JP3728200B2 - 発電システム及びその設置方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電システム及びその設置方法に関し、詳しくは外部地絡事故による不要動作を防止できる発電システム及びその設置方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般の低圧配電系統に連系する太陽光発電システムについて図9を用いて説明する。図9は、従来の太陽光発電システム及びその低圧配電系統との接続を示す模式的な概念図である。図中、Aは太陽光発電システムを有する需要家を示し、太陽電池アレイ1、系統連系インバータ2、受電用漏電遮断器3が太陽光発電システムを構成している。直流電源たる太陽電池アレイ1は、所望の電圧、電流が得られるよう太陽電池モジュールを直列及び/又は並列に接続して構成する。太陽電池アレイ1は系統連系インバータ2に接続されており、系統連系インバータ2は受電用漏電遮断器3を介して低圧配電系統4に接続されている。また、負荷5が系統連系インバータ2と受電用漏電遮断器3の間に接続されている。太陽電池アレイ1からの直流電力は系統連系インバータ2に入力され、交流電力に変換され、負荷5又は低圧配電系統4に出力される。需要家A内の配線は、受電用漏電遮断器3の系統連系インバータ2側および負荷5側である。受電用漏電遮断器3は、地絡電流を検出することにより需要家A内の地絡事故を検知し、その影響が需要家Aの外部である低圧配電系統4へ波及しないよう需要家内外の接続を遮断する。
【0003】
また、発電設備を有しない他の需要家B1、B2が、受電用漏電遮断器3を介して低圧配電系統4に接続されている。
【0004】
ところで、太陽電池アレイ1はその面積が広いことから対地浮遊容量6が存在する。太陽電池アレイ1を構成する太陽電池モジュールとして、近年、建材一体形のものや薄型化されたものが開発されているが、補強材として導電性を有する部材(金属板等)が使用される場合や下地材として金属板等の導電性を有する部材が葺かれる場合もある。このような場合、太陽電池セルと金属板とが短い距離で広い面積で対向して対地浮遊容量6が大きくなるケースがある。特にそのような金属板が接地されている場合には太陽電池セルもしくは太陽電池モジュールが安定した対地浮遊容量を持つ事になる。また、雨などにより太陽電池モジュールの表面などに水分が付着すると、水分を介して対地浮遊容量6が発生する場合もある。
【0005】
一方、近年、高効率化、小形化、軽量化および低価格化などのため、系統連系インバータ2は、絶縁トランスを有しない、いわゆるトランスレス方式を採用しているものが多くなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、我々は、対地浮遊容量6が大きく系統連系インバータ2がトランスレス方式の場合に他の需要家B1やB2で地絡事故が発生すると、地絡電流Ig2が太陽電池アレイ1の対地浮遊容量6を通じてシステム内に侵入し、系統連系インバータ2を通過し、これが受電用漏電遮断器3に検出されて不要動作が生じることを見出した。受電用漏電遮断器3にこの不要動作が発生すると、需要家A内で事故が発生した訳でないのに、太陽光発電システムを有する需要家A内は低圧配電系統4から切り離され、太陽電池が発電していない場合には需要家A内は停電してしまう。
【0007】
上記の問題は太陽光発電システムに限られるものではない。例えば、風力発電システムや燃料電池などを用いる発電システムでも対地浮遊容量が大きければ同様の問題が発生し、外部地絡事故により受電用漏電遮断器が不要動作し、需要家内に停電が発生する可能性がある。
【0008】
本発明は、上述の問題を解決するためのものであり、外部地絡事故による受電用漏電遮断器の不要動作を防止することのできる発電システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、漏電遮断器を備えた複数の需要家が接続され1線が接地されている低圧配電系統に、受電用漏電遮断器を介して接続され、少なくともトランスレスインバータと対地浮遊容量を有する直流電源とからなる発電システムにおいて、発電システムの受電用漏電遮断器の動作時限が上記需要家群に備えられた漏電遮断器の動作時限よりも大きく設定されていることを特徴とする発電システムを提供する。
【0010】
また、本発明は、1線が共用接地された単相系統と三相系統から構成された低圧配電系統に受電用漏電遮断器を介して接続され、少なくともトランスレスインバータと対地浮遊容量を有する直流電源とからなる発電システムにおいて、前記受電用漏電遮断器が、共用接地線の対地電圧を検出する対地電圧検出手段と、該対地電圧検出手段に接続され前記対地電圧検出手段の出力が発電システム内部での最悪ケースの地絡に基づいて予め設定された電圧しきい値よりも低い場合には内部地絡と判定し高い場合には外部地絡と判定する対地電圧レベル判定手段と、零相電流トランスと、該零相電流トランスに接続された零相電流検出手段と、前記前記零相電流検出手段に接続された零相電流レベル判定手段と、該零相電流レベル判定手段と前記対地電圧レベル判定手段とに接続されそれぞれの出力に応じて接点を駆動する接点駆動手段と、を有することを特徴とする発電システムを提供する。
【0011】
さらに、本発明は、1線が共用接地された単相系統と三相系統から構成された低圧配電系統に受電用漏電遮断器を介して接続され、少なくともトランスレスインバータと対地浮遊容量を有する直流電源とからなる発電システムにおいて、前記受電用漏電遮断器が、共用接地線の対地電圧を検出する対地電圧検出手段と、該対地電圧検出手段に接続され前記対地電圧検出手段の出力が発電システム内部での最悪ケースの地絡に基づいて予め設定された電圧しきい値よりも低い場合には内部地絡と判定し高い場合には外部地絡と判定する対地電圧レベル判定手段と、該対地電圧レベル判定手段に接続され該対地電圧判定手段の出力に応じて時限を選択する時限選択器と、零相電流トランスと、該零相電流トランスに接続された零相電流検出手段と、前記前記零相電流検出手段に接続された零相電流レベル判定手段と、該零相電流レベル判定手と前記時限選択器とに接続されそれぞれの出力に応じて接点を駆動する接点駆動手段と、を有することを特徴とする発電システムを提供する。
【0012】
また、本発明は、漏電遮断器を備えた複数の需要家が接続され1線が接地されている低圧配電系統に、少なくともトランスレスインバータと対地浮遊容量を有する直流電源とからなる発電システムを受電用漏電遮断器を介して接続する発電システムの設置方法において、前記受電用漏電遮断器として、動作時間が前記需要家群に備えられた漏電遮断器の動作時限よりも大きく設定された漏電遮断器を接続することを特徴とする発電システムの設置方法を提供する。
【0013】
本発明の発電システムは、共通接地された単相低圧配電系統と3相配電系統によって構成されている低圧配電系統に接続されていることが好ましい。
【0014】
また、本発明の発電システムの好ましい態様としては、前記地絡方向判定手段が地絡位置を内部と判定した場合に前記受電用漏電遮断器が動作するまでの時間が、前記地絡方向判定手段が地絡位置を外部と判定した場合に前記受電用漏電遮断器が動作するまでの時間よりも短い態様、及び、前記地絡方向判定手段が地絡位置を内部と判定した場合には前記受電用漏電遮断器が動作し、前記地絡方向判定手段が地絡位置を外部と判定した場合には前記受電用漏電遮断器が動作しない態様、が挙げられる。
【0015】
地絡方向判定手段としては、低圧配電系統の接地側端子の対地電圧と零相電流の位相差から地絡位置が内部か外部かを判定するものが好適である。また、前記トランスレスインバータが単相配電系統に連系している場合には、該単相配電系統の接地側端子の対地電圧が該単相系統における正常値よりも高い時に地絡位置を外部と判定する地絡方向判定手段も好適に用いられる。
【0016】
直流電源としては、太陽電池を含むものが好ましく、該太陽電池が太陽電池素子を金属板とを有するものが特に好ましく、該金属板が接地されていることがさらに好ましい。複数の太陽電池を直列及び/又は並列に接続した太陽電池アレイからなる直流電源も本発明に好適に用いられる。
【0017】
以上の好ましい態様は、本発明の設置方法についても同様である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
本実施の形態では、発電システム側の受電用漏電遮断器の動作時限を、同じ低圧配電系統に接続された他の需要家群の受電用漏電遮断器の動作時限よりも遅く設定したシステムについて説明する。本形態の特徴は、大変簡易かつ安価かつ実質的に本発明の意図を達成するところにある。
【0020】
ほとんどの場合、発電システムを有する需要家以外の需要家にも受電用漏電遮断器(以下、単に漏電遮断器という)が設備されており、需要家の内部で地絡事故が生じた場合、相応の速度(多くは0.1秒以内)で漏電遮断器が作動し、低圧配電系統から当該需要家への電力供給が遮断される。その時に、発電システムを有する需要家の漏電遮断器が多少の時間動作しないようにして、他の需要家での漏電に起因する遮断を防止するというのが、本実施の形態の本質的な技術思想である。以下、具体的に説明する。
【0021】
本実施の形態にかかる発電システムを図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態にかかる発電システム及びその低圧配電系統との接続の好適な一例を示す模式的な概念図である。
【0022】
(直流電源)
本発明の発電システムの直流電源は、対地浮遊容量を有するものであれば特に限定されないが、後述するように、直流電源としては太陽電池を含む電源が好適である。
【0023】
(太陽電池アレイ)
本発明の発電システムの直流電源として好適に用いられる太陽電池アレイ1は、種々の構成のものを用いることが可能である。もちろんアレイではなく、一個の太陽電池を直流電源とすることもできるが、大きな電力を得るためには、複数の太陽電池を有する太陽電池アレイが好適である。太陽電池アレイ1は、対地浮遊容量6があるものであればよく、アレイを構成する太陽電池モジュールの種類は限定されない。対地浮遊容量6が大きいものほど本発明の効果は大きく、金属補強板上に太陽電池セル(素子)が樹脂封止された太陽電池モジュール、金属板上に接するように施工される太陽電池モジュール、建材一体型の太陽電池モジュール等で太陽電池アレイを構成した時に本発明は特に効果が大きい。また、通常時は対地浮遊容量6が小さくても、雨などで対地浮遊容量6が大きくなる太陽電池モジュールを用いた太陽電池アレイを用いた場合にも本発明の効果が得られる。また、上記金属補強板、金属板等が接地されている場合には、安定した対地浮遊容量が存在しているので、不要な遮断が生じ易くなり、本発明の効果が顕著に発揮されることになる。本発明の効果が特に顕著に現れる対地浮遊容量の範囲は、0.1μF以上である。(原理的には容量が大きいほど漏電電流が流れやすくなるため、上限は無い。)
本実施の形態では、裏面に金属板を有する太陽電池モジュール(キヤノン製、商品形式BS2−01、定格出力60Wp(ワットピーク))を60枚(15直列4並列)使用して3.6kWpのアレイを構成した。裏面金属板は、すべて接地した。この時の浮遊容量6の実測値は2.4μFであった。なお、原理的に言って、容量6としてはインバータ内部のフィルタコンデンサ等の容量も当然含まれる。要はDC回路の大地に対する静電容量が問題となるのである。
【0024】
(インバータ)
インバータ2はトランスレスインバータであり、種々のトランスレスインバータを用いることができる。本発明は、非絶縁タイプのインバータと浮遊容量のある直流電源を組み合わせた発電システムでは、外部地絡電流の侵入が発生してしまうことに着目してなされている。このような状況が発生するためにはトランスレスインバータが必須なのである。本実施の形態では、日本電池製トランスレスインバータ(形式LINEBACK FX)を使用した。なお、インバータの出力電気方式(単相・三相、電圧、周波数)は、連系する配電系統に合わせることが望ましい。
【0025】
(低圧配電系統)
低圧配電系統4は、1線が接地された低圧配電系統であればよく、電圧、周波数、配線方式に制限はない。本実施の形態では単相3線式100V/200V、60Hzの配電系統とした。
【0026】
(負荷)
負荷5は、電力を消費するものであれば何でもよく、例えば一般の電化製品からなる。本実施の形態では、負荷5として1kWの電気ストーブを用い、これを需要家A、B1及びB2に設置した。
【0027】
(受電用漏電遮断器)
発電システムに使用される漏電遮断器3Aとしては、動作時限設定手段7を内蔵したものを採用した。このようなタイプの漏電遮断器としては市販品が数多く存在するのでそれを用いることができる。動作電流は30mAである。無論、このような動作時限設定手段7は外付けであってもよいし、動作時限設定の方法としてもデジタル・アナログを問わず種々の公知技術を適用することが可能である。
【0028】
また、本実施の形態では、他の需要家群B1、B2の漏電遮断器3として、定格動作電流30mA、動作時限0.1秒以下のものを選択した。この程度の感度と動作電流の漏電遮断器が、一般家庭で最も使用頻度が高いというのが選択の理由である。
【0029】
本実施の形態の本質的な技術思想は、発電システムを有する需要家の漏電遮断器が多少の時間動作しないようにして、他の需要家での漏電に起因する遮断を防止するというものである。そこで、発電システムの漏電遮断器3Aの動作時限を他の需要家群B1、B2の漏電遮断器3の動作時限よりも長い0.8秒に設定した。この漏電遮断器3Aの動作時限は、本発明の目的が達成できる範囲で短い方が望ましく、より具体的には、0.1秒以上1.0秒以下とすることが好ましい。
【0030】
時限を変えるには、直接的な遅延時限を変えるほかに、定格動作電流を変える方法もある。この方法は、同じ大きさの漏電電流が流れた場合に、定格動作電流の大きい漏電遮断器(感度の鈍い方)が遅く動作する事を利用する。即ち、発電システム側の漏電遮断器3Aの定格動作電流を需要家群B1、B2の漏電遮断器3の定格動作電流よりも大きな値とすれば良いが、極端な感度の低下を招くべきではないとの点も考慮することが好ましい。具体的には、漏電遮断器3Aの定格動作電流は、100mA以上1000mA以下とすることが好ましい。
【0031】
なお、通常市販されている漏電ブレーカを用いてシステムを構築する場合、定格動作電流を変える方法よりも直接的な遅延時限を変える方法の方が条件の設定が容易であるので好ましい。
【0032】
(動作試験)
需要家B2において、漏電電流500mA、0.1秒の地絡事故を発生させた。B2の遮断器は約50msで動作し、B1の遮断器は漏電電流の侵入が無いので不動作であった。また、この時の発電システムへの侵入漏電電流はほぼ200mAに達していたが、漏電遮断器3A自身は動作せず、不要遮断が生じない事が確認できた。
【0033】
(第2の実施の形態)
本第2の実施の形態では、発電システム側の地絡検出機能に地絡が外部で起きたか否かを判定する地絡方向判定手段を用いたシステムについて説明する。
【0034】
従来例である図9で示したとおり、地絡電流Ig2は対地浮遊容量6を通じて発電システムAに侵入してくる。この時の擬似等価回路を図8に示した。需要家B2の地絡抵抗Rxにより発生した地絡電流Ig0は、(太陽電池モジュールの裏面金属板がD種接地してある場合)本来流れるべきB種接地抵抗Rbを通じて流れてくる電流Ig1とD種接地抵抗Rdおよび対地浮遊容量Cの直列回路とを通じて流れてくる電流Ig2とになる。したがって、この場合、中性線の対地電位を基準位相に取ると、発電システムを通じて流れる零相電流(侵入地絡電流Ig2)は進み電流になる。このことを利用して侵入地絡電流Ig2を検出することで地絡が需要家Aの外部で生じたか内部で生じたかを判定し、遮断器の動作を制御するということが、本第2の実施の形態の大きな特徴である。
【0035】
図2は、本第2の実施の形態にかかる発電システム及びその低圧配電系統との接続の好適な一例を示す模式的な概念図である。図2中、Aは太陽光発電システムを有する需要家であり、その発電システム中の漏電遮断器3Bは地絡方向判定手段8Aを有している。図2中、太陽電池アレイ1、系統連系インバータ2、低圧配電系統4、負荷5および需要家群B1、B2に用いられる漏電遮断器3は、第1の実施の形態と同様である。
【0036】
(遮断手段器3Bの構成)
本第2の実施の形態で用いられる漏電遮断器3Bは、地絡方向判定手段8Aを含んでいる。地絡方向判定手段8Aは、図2に示したように漏電遮断器3Bの中に含まれていてもよく、漏電遮断器3Bとは別に存在していてもよい。漏電遮断器3Bの概要を図3に示す。図3は、漏電遮断器3Bの構成を示す模式的なブロック図である。
【0037】
地絡方向判定手段8Aは、対地電圧検出手段82、零相電流トランス81、零相電流検出手段83、位相比較手段84からなる。地絡方向判定手段8Aは、零相電流を基準とする対地電圧の位相が一定の位相範囲に入る場合には、地絡が需要家Aの外部で発生した(外部地絡)と判定し、入らなかった場合には、地絡が需要家Aの内部で発生した(内部地絡)と判定し、その結果を出力する。本例では−30度から−150度(−90度±60度)までの領域に入った場合に外部地絡と判定することにした。本例のようなケースでは、侵入経路が安定した浮遊容量を持っているので、外部地絡と判定する範囲は−90度を中心にもっと狭く(例えば90度±30度に)することも可能である。このような目的に使用できる電圧検出手段、電流検出手段、位相比較手段などは、信号変換器(transducer)として多種多様なものが市販されており、公知公用の技術が使用できる。
【0038】
位相比較手段84から出力された判定結果(判定出力)は、時限選択器32に送られて、時限を選択させる。具体的には外部地絡と判定した場合0.8秒を選択し、内部地絡と判定した場合には0.1秒を選択するようにした。
【0039】
この時限選択結果は、零相電流レベル判定手段31(判定レベル30mA)の結果と共に接点駆動手段33に送られ、接点34を動作させる。
【0040】
(動作試験)
第1の実施の形態と同様に500mA、0.1秒の地絡を需要家B2で発生させたところ、発電システムの不要遮断が起きないことを確認した。さらに、本第2の実施の形態では、外部判定時の動作時限を無限大すなわち不動作と設定することにより、地絡保護のされていない配電系統4の幹線の地絡であっても発電システムの遮断を抑制できる。ただし、不動作とすることの是非については、システムの安全性等必要性を考慮して検討する必要がある。
【0041】
また、本第2の実施の形態の受電用漏電遮断器は、精度の高い内外判定が可能であるとともに、内部地絡の場合の応答速度を落とさずにすむ。言い換えると、内部地絡が生じた場合には通常の受電用漏電遮断器と全く同じ動作をするので、大変安全性が高い。
【0042】
(第3の実施の形態)
本実施の形態では、低圧配電系統が共用接地された単相系統と三相系統から構成されている場合(変則V結線なども含む)について説明する。このような系は外部地絡の影響を最も受けやすい。特に発電システムが単相系統に連系されている場合、これが顕著になる。まず、この理由について図を参照しながら説明する。例えば、図4に示すようにΔ接続の三相系統と単相3線系統が共用接地された場合のベクトル図の例は図6のようになる。S相(S線)で地絡が生じた場合は、単相系統のR相あるいはT相で地絡が生じた場合よりも大きな対地電位が、単相系統の接地側電線(中性線:N線)と大地との間に発生する。このため零相電流も大きくなる。即ち、発電システムに侵入する地絡電流が大きくなり、漏電遮断器の不要動作が生じ易くなるのである。本発明は、このような共有接地線を有する低圧配電系統に連系している場合に、さらに大きな効果が見込める。なお、このような共用接地の例は、低圧配電系統に連系する発電系統に特有のものであると考えられる。
【0043】
このような系に関しては、地絡方向判定手段として、第2の実施の形態よりも簡易なものを用いることができる。以下、図4を用いて本実施の形態について具体的に説明する。
【0044】
図4中、太陽電池アレイ1、インバータ2、負荷5、需要家B1、B2の受電用漏電遮断器3は第1の実施の形態と同様の構成とした。また、その他についても、第2の実施の形態と同様の点については説明を省略する。
【0045】
(低圧配電系統4)
ここでは、図4に示すように三相トランスから単相3線系統と三相系統を共通配電する系を低圧配電系統として用いた。この他にも、共通接地点を持っている2つの系統、例えば、図7に示すようなトランスを個別に持った系や、単相トランス2つを組み合わせて使用する変則V結線なども、本実施の形態に適用できる。
【0046】
(遮断手段3C)
本実施の形態で用いられる遮断器3Cには、第2の実施の形態よりも簡単な方向判定手段8Bを利用することができる。かかる遮断器3C及び方向判定手段8Bの概要を図5に示す。図5の例では、具体的には対地電圧検出手段82の出力レベルを対地電圧レベル判定手段85で判定し、その結果を判別する。即ち、本実施の形態においては、中性線(N線)の対地電圧のみを判定し外部地絡か内部地絡かを判定するのである。具体的には、判定手段85は、対地電圧検出手段82の出力が予め設定された電圧しきい値よりも低い場合には内部地絡と判定し、高い場合には外部地絡と判定する。そして、判定出力は時限選択器32に送られ時限を選択させる。この時限選択結果は、零相電流レベル判定手段31の結果とともに接点駆動手段33に送られて、接点34を動作させる。電圧しきい値は、発電システムが連系されている系統電圧よりも高い電圧が検出された場合に外部地絡が生じたと判定するように設定するのが簡便である。実際に発電システム内部で最悪ケースの地絡(最も対地電圧が高くなるような地絡)を起こしてみて、その際の対地電位を基準に電圧しきい値を設定すれば、電圧しきい値をより低くすることができるので、発電システム保護の観点から言えば更に好ましい。本実施の形態では、商用系統電圧の変動も考慮し、電圧しきい値を110Vに設定した。
【0047】
第2の実施の形態では位相比較により方向判定を行ったが、本実施の形態では電圧検出により判定を行う。そのため構成が簡単になり、コスト的にも有利になるという特徴がある。
【0048】
なお、方向判定以外の要素は、第2の実施の形態と同様であるので説明を一部省略した。
【0049】
(動作試験)
需要家B2でS相の地絡(500mA、0.1秒)を発生させたところ、対地電位は130Vまで上昇し、不要遮断(漏電遮断器の不要動作)が起きないことを確認した。しかし、単相配電系統と共通であるR相又はT相の地絡を発生させた場合には不要遮断が生じてしまった。これは、S相又はT相の地絡を発生させた場合には対地電位が110Vまで上昇しないためである。このような不要遮断は、時限選択器32を第2の実施の形態と同様にして漏電遮断器3Cの動作時限を遅くすることで防ぐことができる。
【0050】
本実施の形態のように方向判定を対地電圧で行うのに最も適した系は、図7に示すように単相系と三相系が個別のトランスを持ち、なおかつ1線が共用接地されている場合である。図7に示す場合には、図4に示す場合と異なり、R相又はT相の地絡が発生した場合にも対地電位上昇が生じ、内部地絡か外部地絡かの判定が可能になる。即ち、図7に示すような場合には時限選択器32が不要となる。なお、図7に示す場合には、中性線S相およびN相は元々接地されているので、これらの相における地絡は一般的には検出する必要がない。
【0051】
【発明の効果】
以上、述べてきたように本発明は、以下のような顕著な効果を有する。
(1)外部地絡事故時に不要な遮断動作を行わない。このために発電システムにおける停電が減る。
(2)停電が減るので、発電停止する機会も減り、発電損失が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態にかかる発電システム及びその低圧配電系統との接続の好適な一例を示す模式的な概念図である。
【図2】 本発明の第2の実施の形態にかかる発電システム及びその低圧配電系統との接続の好適な一例を示す模式的な概念図である。
【図3】 本発明で使用される漏電遮断器の構成の一例を示す模式的な概念図である。
【図4】 本発明の第3の実施の形態にかかる発電システム及びその低圧配電系統との接続の好適な一例を示す模式的な概念図である。
【図5】 本発明で使用される漏電遮断器の構成の一例を示す模式的な概念図である。
【図6】 共用接地系統の電圧ベクトル図の例である。
【図7】 本発明の第3の実施の形態にかかる発電システムに接続されうる共用接地系統の一例を示す模式的な概念図である。
【図8】 侵入地絡電流の発生経路を示す擬似等価回路について説明するための示す概念図である。
【図9】 従来の発電システム及びその低圧配電系統との接続の一例を示す模式的な概念図である。
【符号の説明】
1 太陽電池アレイ(直流電源)
2 系統連系インバータ(トランスレス・インバータ)
3 受電用漏電遮断器
3A 動作時限遅延つき漏電遮断器
3B、3C 地絡方向判定機能つき漏電遮断器
4 低圧配電系統
5 負荷
6 対地浮遊容量
7 動作時限設定手段(遅延手段)
8A、8B 地絡方向判定手段
31 零相電流レベル判定手段
32 時限選択器
33 接点駆動手段
34 負荷開閉接点
81 零相電流トランス
82 対地電圧検出手段
83 零相電流検出手段
84 位相比較手段
85 対地電圧レベル判定手段
A 太陽光発電システムを有する需要家
B1、B2 発電設備を有さない需要家
Ig0 地絡電流
Ig1 配電系統接地極(B種接地)に流れ込む地絡電流
Ig2 発電システムに侵入してくる地絡電流
Claims (9)
- 漏電遮断器を備えた複数の需要家が接続され1線が接地されている低圧配電系統に、受電用漏電遮断器を介して接続され、少なくともトランスレスインバータと対地浮遊容量を有する直流電源とからなる発電システムにおいて、発電システムの受電用漏電遮断器の動作時限が上記需要家群に備えられた漏電遮断器の動作時限よりも大きく設定されていることを特徴とする発電システム。
- 前記低圧配電系統が、共通接地された単相低圧配電系統と3相配電系統によって構成されている低圧配電系統である請求項1に記載の発電システム。
- 1線が共用接地された単相系統と三相系統から構成された低圧配電系統に受電用漏電遮断器を介して接続され、少なくともトランスレスインバータと対地浮遊容量を有する直流電源とからなる発電システムにおいて、前記受電用漏電遮断器が、共用接地線の対地電圧を検出する対地電圧検出手段と、該対地電圧検出手段に接続され前記対地電圧検出手段の出力が発電システム内部での最悪ケースの地絡に基づいて予め設定された電圧しきい値よりも低い場合には内部地絡と判定し高い場合には外部地絡と判定する対地電圧レベル判定手段と、零相電流トランスと、該零相電流トランスに接続された零相電流検出手段と、前記前記零相電流検出手段に接続された零相電流レベル判定手段と、該零相電流レベル判定手段と前記対地電圧レベル判定手段とに接続されそれぞれの出力に応じて接点を駆動する接点駆動手段と、を有することを特徴とする発電システム。
- 1線が共用接地された単相系統と三相系統から構成された低圧配電系統に受電用漏電遮断器を介して接続され、少なくともトランスレスインバータと対地浮遊容量を有する直流電源とからなる発電システムにおいて、前記受電用漏電遮断器が、共用接地線の対地電圧を検出する対地電圧検出手段と、該対地電圧検出手段に接続され前記対地電圧検出手段の出力が発電システム内部での最悪ケースの地絡に基づいて予め設定された電圧しきい値よりも低い場合には内部地絡と判定し高い場合には外部地絡と判定する対地電圧レベル判定手段と、該対地電圧レベル判定手段に接続され該対地電圧判定手段の出力に応じて時限を選択する時限選択器と、零相電流トランスと、該零相電流トランスに接続された零相電流検出手段と、前記前記零相電流検出手段に接続された零相電流レベル判定手段と、該零相電流レベル判定手と前記時限選択器とに接続されそれぞれの出力に応じて接点を駆動する接点駆動手段と、を有することを特徴とする発電システム。
- 漏電遮断器を備えた複数の需要家が接続され1線が接地されている低圧配電系統に、少なくともトランスレスインバータと対地浮遊容量を有する直流電源とからなる発電システムを受電用漏電遮断器を介して接続する発電システムの設置方法において、前記受電用漏電遮断器として、動作時間が前記需要家群に備えられた漏電遮断器の動作時限よりも大きく設定された漏電遮断器を接続することを特徴とする発電システムの設置方法。
- 前記直流電源として太陽電池を含む電源を設けることを特徴とする請求項5に記載の発電システムの設置方法。
- 前記太陽電池として、太陽電池素子と金属板とを有する太陽電池モジュールを用いることを特徴とする請求項6に記載の発電システムの設置方法。
- 前記金属板を接地する工程を含む請求項7に記載の発電システムの設置方法。
- 前記直流電源として、複数の太陽電池を直列及び/又は並列に接続した太陽電池アレイを設けることを特徴とする請求項6乃至8に記載の発電システムの設置方法。
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