JP3728006B2 - ガスタービン機関のファンの羽根 - Google Patents

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Description

【0001】
この出願は、1994年10月6日に出願され、出願人に譲渡されていて、三人の発明者がこの出願と共通である係属中の米国特許出願通し番号第08/319,346号、発明の名称「ターボ流体機械に対するレーザ衝撃ピーニングを加えた回転子部品」の関連する主題を扱うものである。
この出願は、1994年12月16日に出願され、出願人に譲渡され、一人の発明者がこの出願と共通である係属中の米国特許出願通し番号第08/(出願人控え番号13DV−12139)、発明の名称「飛行形レーザ衝撃ピーニング」の関連する主題を取扱う。
【0002】
【発明の背景】
政府は本発明について、空軍省によって与えられた契約番号F33657−88C−2133に従う権利を有する。
【0003】
【発明の分野】
この発明はガスタービン機関の回転子の羽根、更に具体的に云えば、レーザ衝撃ピーニングによって加えられた局在化した残留圧縮応力を持つ前縁に関する。
【0004】
【関連技術の説明】
ガスタービン機関、特に航空機用ガスタービン機関の回転子は高い回転速度で運転され、この速度によって、羽根内に強い張力及び振動応力の場が生じ、それがファンの羽根を異物損傷(FOD)を受け易くする。ベーンの伴流、入口圧力の歪み並びにその他の空気力学的な現象によっても、振動が起こり得る。このFODによって、特にファンの羽根のエーロフォイルの前縁及び後縁に、刻み目及び裂け目が生じ、従って応力集中が起こる。こう云う刻み目及び裂け目が強い応力集中又は応力上昇部分の源となり、振動応力による高サイクル疲労(HCF)の為に、こう云う羽根の寿命を著しく制限する。FOD損傷が、破損した羽根が切離されたことによって、機関の損失を惹きおこすことがある。ファンの羽根を一新する並びに/又は交換することは費用がかゝり、従って回転子の能力を高めること、特に航空機用機関のファンの羽根の寿命を伸ばす手段があれば、非常に望ましい。ファンの羽根の寿命を伸ばすと云う問題に対するこの発明の解決策は、エーロフォイルの縁に於ける応力集中の余裕を見込んで応力レベルを下げることにより、適切な余裕を設計するものである。典型的には、これは、エーロフォイルの前縁に沿って局部的に厚さを厚くすることによってなされるが、そうするとファンの羽根に望ましくない重量が増え、この空気力学的な性能に悪影響がある。別の方法は、羽根のダンパを使って、羽根の運動力学を管理することである。ダンパは高価であって、羽根を非常に厳しいFODから保護することが出来ない。こう云う設計は費用がかゝり、当然ながら顧客の満足をそこなう。
【0005】
従って、現在のファンの羽根よりも、低サイクル及び高サイクルの両方の疲労に一層よく抵抗することが出来る様な、より長持ちするファンの羽根を設計並びに構成することが非常に望ましい。この発明はこの目的に向かって、ファンの羽根の前縁、並びに後縁の面にレーザ衝撃ピーニングを加えることによって加えられた深い残留圧縮応力を持つ領域をファンの羽根に持たせる。
【0006】
この発明のレーザ衝撃ピーニングによって加えられた深い残留圧縮応力を持つ領域は、米国特許第5,235,838号、発明の名称「真の工作物の形直し又は矯正を行う方法と装置」に記載されている様に、工作物を局部的に加熱して硬化する為にレーザ・ビームを用いた硬化作業によって誘起された、局部的に区切られた残留圧縮応力を持つ工作物の表面層区域と混同してはならない。この発明は、大エネルギのパルス・レーザからの多数の放射パルスを使って、米国特許第3,850,698号、発明の名称「材料の性質の変更」、同第4,401,477号、発明の名称「レーザ衝撃処理」及び同第5,131,957号、発明の名称「材料の性質」に記載された方法と同様に、工作物の表面に衝撃波を発生する。普通理解されている、そしてこの明細書で使われるレーザ・ピーニングは、レーザ・ビーム源からのレーザ・ビームを利用して、面の一部分に強い局在化した圧縮力を発生することを意味する。レーザ・ピーニングは、工作物の外面に圧縮応力を加えた保護層を作る為に利用されており、これは、米国特許第4,937,421号、発明の名称「レーザ・ピーニング装置及び方法」に記載されている様に、疲労破壊に対する工作物の抵抗力をかなり強めることが知られている。しかし、従来、この発明で取り上げる様な種類のファンの羽根の前縁も、それを作る方法も開示されていない。この発明が取り上げるのはそう云う目的である。
【0007】
【発明の要約】
この発明はガスタービン機関のファンの羽根の前縁並びに/又は後縁に沿った少なくとも1つのレーザ衝撃ピーニングを加えた面と、レーザ衝撃ピーニングを加えた面から羽根の中に入り込む、レーザ衝撃ピーニング(LSP)によって加えられた深い残留圧縮応力を持つ領域とを有する。羽根が羽根の吸込み側及び圧力側の両側にレーザ衝撃ピーニングを加えた面を持つことが好ましく、両側を同時にレーザ衝撃ピーニングにかける。この発明は新品、中古及び修理したファンの羽根に使うことが出来る。
【0008】
【利点】
この発明で得られる利点としては、強い張力及び振動応力の場の中で動作する様に設計されたものとして、ファンの羽根の前縁及び後縁の刻み目及び裂け目による疲労破損に一層よく耐えることが出来ると共に、従来通りに構成されたファンの羽根よりも寿命を長くしたガスタービン機関の羽根を安全に構成することが出来ることが挙げられる。この発明の別の利点は、普通行われている様に、前縁及び後縁に沿って厚さを厚くすることなく、従って羽根に望ましくない重量が加わるのを避けながら、商業的に受入れることの出来る様な長さの寿命を持つファンの羽根を構成することが出来ることである。前縁及び後縁に沿って厚さを厚くせずにファンの羽根を構成することの別の利点は、一層薄手の前縁及び後縁を持つ羽根で利用することの出来る、エーロフォイルの改良された空気力学的な性能である。この発明は、羽根の手入れ並びに/又は交換の回数を減らす為に、能力を高めた新品及び手入れをしたファンの羽根を提供すること、並びに特にファンの羽根の寿命を伸ばすことが出来る様にする。この発明はファンの羽根及び機関の重量を増加する様な、前縁区域を太らせることなく、FOD又はその他のファンの羽根の損傷を見込んだ振動応力に対する能力を高めることによって、航空機用機関のファンの羽根を適切な余裕をもって設計することが出来る様にする。この発明は、現在しばしば行われ又は必要とされている様に、疑いのあるファンの羽根の高価な設計し直しの努力や頻繁な交換を避けながら、古い形式のガスタービン機関のファンの羽根の安全で信頼性のある動作を保証する為に、現存のファンの羽根を手入れする為に有利に用いることが出来る。
【0009】
この発明の上記並びにその他の面及び特徴は、以下図面について説明する所から明らかになろう。
【0010】
【発明の詳しい説明】
図1には、この発明の1実施例によるファンの羽根8の形をした一例としての航空機用ガスタービン機関の部品を含む航空機用ガスタービン機関10が略図で示されている。ガスタービン機関10が、機関の中心線11の周りに円周方向に配置されていて、流れに対して直列に、ファン部分12、高圧圧縮機16、燃焼部分18、高圧タービン20及び低圧タービン22を含む。燃焼部分18、高圧タービン20及び低圧タービン22は、機関10の高温部分と呼ばれる場合が多い。高圧回転子軸24が、高圧タービン20を高圧圧縮機16に駆動関係をもって接続し、低圧回転子軸26が低圧タービン22をファン部分12に駆動接続する。燃焼部分18で燃料を燃焼させて、非常に高温のガス流28を発生し、それが高圧及び低圧タービン20、22に通されて、機関10の動力とする。ファン部分12を通過する空気の一部分を側路ダクト30を介して高圧圧縮機16及び高温部分を側路させる。このダクトは、ファン部分12と高圧圧縮機16の間に入口又は分割器32を有する。多くの機関は、分割器32及び高圧圧縮機16の間で低圧回転子軸26に装着された低圧圧縮機(図に示してない)を持っている。ファン部分12はファンの第1、第2、及び第3段12a、12b、12cでそれぞれ例示する様に、多段ファン部分であり、多くのガスタービン機関でも同じである。この発明のファンの羽根8が単一段ファン部分あるいは多段ファン部分のいずれかの段で使用するように設計される。
【0011】
図2及び3について説明すると、ファンの羽根8が、羽根のプラットフオーム36から羽根先端38まで半径方向外向きに伸びるエーロフォイル34を有する。ファンの羽根8が、プラットフォーム36から根元部分40の半径方向内側の端37まで半径方向内向きに伸びる根元部分40を含む。根元部分40の半径方向内側の端37に羽根の根元42があり、これが羽根軸部44によってプラットフォーム36に接続される。エーロフォイル34が、エーロフォイルの前縁LE及び後縁TEの間で弦方向に伸びる。エーロフォイル34の弦Cは、図3に示す様に、羽根の各々の断面で、前縁LEと後縁TEの間の線である。エーロフォイル34の圧力側46は、矢印で示す全体的な回転方向と向かい合っており、吸込み側48はエーロフォイルの反対側にあり、平均線MLが大体弦方向に2つの面の中間にある。
【0012】
図2(A)に戻って説明すると、ファンの羽根8が前縁部分50を持ち、これはエーロフォイル34の前縁LEに沿って、羽根のプラットフォーム36から羽根先端38まで伸びる。前縁部分50は予定の第1の幅W1を持ち、前縁部分50が、エーロフォイル34の前縁に沿って起こり得る刻み目52及び裂け目を取囲む。ファンの羽根8が機関の運転中に回転することによって発生される遠心力により、エーロフォイルがかなりの引っ張り応力の場にさらされる。エーロフォイル34は、機関の運転中に発生される振動の作用も受け、刻み目52及び裂け目が高サイクル疲労応力上昇部分として作用して、その周りに余分の応力集中を生ずる。
【0013】
刻み目及び裂け目から発生して拡がる、考えられるひゞ割れの線に沿った羽根の部分の疲労破損に対抗する為、圧力側46及び吸込み側48の少なくとも一方、好ましくは両方は、図3に見られる様に、少なくとも1つのレーザ衝撃ピーニングを加えた面54、及びレーザ衝撃ピーニングを加えた面からエーロフォイル34の中に入り込む、レーザ衝撃ピーニング(LSP)によって加えられた深い残留圧縮応力を持つ予め応力を加えた領域56を有する。エーロフォイルは、前縁LEに沿って2つのレーザ衝撃ピーニングを加えた面54及び予め応力を加えた領域56が、弦方向に、幅W1の範囲全体まで、前縁部分50と同長であると共に、幅W1の少なくとも一部分にわたって合体する位に、深くエーロフォイル34の中に入り込んでいることが好ましい。予め応力を加えた領域56が、半径方向には、前縁LEに沿って前縁部分50と同長であることが示されているが、それより短かくてもよい。レーザ衝撃ピーニングを加えた面54の全体は、レーザ衝撃ピーニングを加えた円形スポット58を重ね合せて形成される。
【0014】
図2Bは、前縁の長さの一部分にわたって予め応力を受けた領域56を持つ場合のこの発明を例示している。この領域56は、全体的に予定の節線59を中心とし、そこで前縁LEと交差する前縁LEのレーザ衝撃ピーニングを加えた面の長さL1にわたって伸びる。節線59が、振動応力による主破損モードの内の1つであることが好ましい。この応力は、曲げ及び捩れ撓みモードで羽根を励振したことによるものであることがある。この主破損モードは必ずしも最大応力モードでないことがあり、むしろ機関の使命にわたって一層長い期間の間存在する一層低応力のモード又はモードの組合せである。例として云うと、図2Bに示した予定の節線59は、第1の撓みモードによるものである。前縁LEのこの区域にある刻み目52は、このモードでの共振状態で、羽根を破損する潜在性が最大である。別の例として、前縁の長さの一部分にわたる予め応力を受けた領域56のレーザ衝撃ピーニングを加えた面の長さL1は、先端38からプラットフォーム36までのファンの羽根の長さの約20%にわたり、前縁LEに沿って伸びることがある。
【0015】
この発明は、第2の幅W2を持つ後縁部分70に、後縁TEに沿ったレーザ衝撃ピーニングを加えた面54が後縁TEにだけにあるファンの羽根構造を含む。レーザ衝撃ピーニング(LSP)によって加えられた深い残留圧縮応力を持つ、これと関連する予め応力を受けた領域56が、後縁部分70のレーザ衝撃ピーニングを加えた面54からエーロフォイル34の中に入り込む。圧力側46及び吸込み側48の少なくとも一方、好ましくは両方が、レーザ衝撃ピーニングを加えた面54と、後縁TEに沿った後縁部分のレーザ衝撃ピーニングを加えた面からエーロフォイル34に入り込む、レーザ衝撃ピーニング(LSP)によって加えられた深い残留圧縮応力を持つ予め応力を受けた領域56とを有する。予め圧縮応力を受けた領域56が幅W2の範囲一杯まで、弦方向に前縁部分50と同長であって、幅W2の少なくとも一部分にわたって合体する位に深くエーロフォイル34に入り込んでいることが好ましい。予め圧縮応力を受けた領域56が、後縁TEに沿って半径方向には、前縁部分50と同長である場合が示されているが、これより一層短く、先端38から、プラットフォーム36に向かう後縁TEに沿った経路の一部分にわたって伸びていてもよい。
【0016】
レーザ・ビーム衝撃によって誘起された、予め圧縮応力を受けた領域56に於ける深い残留圧縮応力は、一般的に約50−150 KPSI(キロポンド/平方吋)であり、レーザ衝撃を加えた面54から、レーザ衝撃によって誘起された残留圧縮応力を持つ領域56の中に約20−50ミルの深さに入り込む。レーザ・ビーム衝撃によって誘起された深い残留圧縮応力は、塗料で覆われた面54に対して±数ミルだけ焦点外れにした高エネルギのレーザ・ビームを反復的に発射することによって発生される。典型的には、レーザ・ビームは、ギガワット/cm2 の大きさ程度のピーク・エネルギ密度を持ち、塗料を塗った面54の上に流す流水のカーテンを介して発射される。塗料が削摩されてプラズマを発生し、その結果、材料の面に衝撃波が生ずる。こう云う衝撃波が、流水のカーテンによって塗料を塗った面に向け直され、塗料を塗った面の下方にある材料内に進行する衝撃波(圧力波)を発生する。こう云う衝撃波の大きさ及び量が、圧縮応力の深さ及び強度を決定する。塗料を使ってターゲットの面を保護すると共に、プラズマを発生する。削摩された塗料材料は、流水のカーテンによって洗い流される。
【0017】
前に引用した係属中の米国特許出願通し番号第07/(出願人控え番号13DV−12139)、発明の名称「飛行形レーザ衝撃ピーニング」には、「飛行形」レーザ衝撃ピーニングに関する情報が記載されている。レーザは、図4に例示する様に、逐次的に「飛行中」に発射して、重なり合うレーザ衝撃ピーニングを受けた円形スポットの行64内に直径Dを持つレーザ衝撃ピーニングを加えた円形スポット58(円で示す)の行の中心線62に沿って、隣接していない中心Xのパターンに命中させることが出来る。このパターンは、レーザ衝撃ピーニングを加える面54上の重なり合う衝撃ピーニングを加えた円形スポットの重なり合う多数の行64であってよい。第1の重なりは、所定の行内の隣合ったレーザ衝撃ピーニングを加えた円形スポット58の間で起こり、一般的には、隣合ったレーザ衝撃ピーニングを加えた円形スポット58の中心Xの間の第1のオフセットO1によって限定されるが、直径Dの約の30%乃至50%又はそれ以上に変化し得る。第2の重なりは、隣合った行にある隣接したレーザ衝撃ピーニングを加えた円形スポット58の間で起こり、一般的には隣合った行の中心線62の間の第2のオフセットO2によって限定されるが、レーザ・ビームの使い方及び強度又はなだらかさに応じて、直径Dの約30%−50%で変わり得る。第3の重なりは、隣接した行64にある隣接したレーザ衝撃ピーニングを加えた円形スポット58の中心Xの間の直線的なオフセットO3であり、特定の用途に応じて、直径Dの約30%−50%で変わり得る。
【0018】
この方法は、エーロフォイルの表面に目立った様な効果又は損傷を何ら伴わずに、生又は生に近い塗料だけが削摩される様に設計されている。これは、レーザによる僅かな汚点又は再溶解さえも防止する為である。そうしないと、羽根の動作に望ましくない空気力学的な影響が生ずる。パターン全体をカバーするには何回かの順序が必要になることがあり、レーザ発射の各順序の合間に、レーザ衝撃ピーニングを加える面54の塗料の再塗布が行われる。レーザ発射の各順序は多数回のレーザ発射又はパルスを持ち、この発射の間の期間は“rep”と呼ばれる場合が多い。repの間、次のパルスが、その順序内の次のレーザ衝撃ピーニングを加える円形スポット58の場所で発生する様に、部品を動かす。部品を連続的に動かして、レーザ・ビームのパルス又は発射の時に適切な位置にある様に調時することが好ましい。各順序の1回又は更に多くの繰返しを用いて、各々のレーザ衝撃ピーニングを加える円形スポット58に1回よりも多く命中させることが出来る。これによって、毎回の発射又はレーザ・パルスに、より小さいレーザ・エネルギを使うことが出来る。
【0019】
この発明の1例は、長さ約11吋のエーロフォイル、約3.5吋の弦C及び前縁LEに沿った長さ約2吋のレーザ衝撃ピーニングを加えた面54を持つファンの羽根8である。レーザ衝撃ピーニングを加えた面54の幅(W1)は約0.5吋である。前縁LEに最も近いレーザ衝撃ピーニングを加えた円形スポット58の第1の行64は、レーザ・スポットの直径D、即ち約0.27吋の約20%、前縁を通り越し、こうしてレーザ衝撃ピーニングを加えた面54の下方に、前縁から約0.54吋入り込んだ、予め応力を受けた領域56内に深い残留圧縮応力を加える。連続的なレーザの発射及び羽根の移動の4回の順序を用いた。レーザのrepの間の発射を、削摩されていない塗料を塗った面上にあるスポット58に対して行い、この為、各々の順序の合間に塗料を塗り直すことを必要とする。各々のスポット58に3回命中させ、この為、4回ずつの順序からなる3組を用いて、レーザ衝撃ピーニングを加えた面54には合計12回の塗料塗り並びに塗り直しを用いた。
【0020】
塗料を塗ること並びに塗り直しに代わる方法は、塗料を塗ることを全く用いないで、エーロフォイルの面上の金属合金で上に述べたプラズマを形成することである。レーザ衝撃ピーニング過程を実施した後、レーザ衝撃ピーニングを加えた面を、エーロフォイルの動作に妨げがあるかも知れない面上に形成された再溶解部を取除くのに十分な深さまで取除くことが出来る。
【0021】
特に図3について説明すると、この発明は、レーザ衝撃ピーニングを加えた面54と、前に述べた様にレーザ衝撃ピーニング(LSP)によって加えられた、深い残留圧縮応力を持つ関連する予め応力を受けた領域56とを有する前縁LE、又は後縁TEの部分又は前縁LE並びに後縁TEの両方の部分の何れかを有するファンの羽根8の構造を含む。後縁TE部分にあるレーザ衝撃を加えた面並びに関連する予め応力を受けた領域は、前に述べた前縁LE部分の場合と同様に構成される。前縁LEの刻み目は、後縁TEの刻み目よりも一層大きくなる傾向があり、従って、前縁部分50の第1の幅W1は後縁部分70の第2の幅W2より大きくすることが出来る。例として云うと、W1は約0.5吋であってよく、W2は約0.25吋であってよい。
【0022】
この発明の原理を説明する為に、この発明の好ましい実施例を詳しく説明したが、この実施例には、特許請求の範囲によって限定されたこの発明の範囲を逸脱せずに、種々の変更を加えることが出来ることは云うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による一例の航空機用ガスタービン機関の断面図。
【図2】(A)は、この発明による一例の航空機用ガスタービン機関のファンの羽根の斜視図。
(B)は、この発明に従って前縁に沿ってレーザ衝撃ピーニングにかけた半径方向に伸びる部分を持つ別の航空機用ガスタービン機関のファンの羽根の斜視図。
【図3】図2(A)に示した線3−3で切ったファンの羽根の断面図。
【図4】図2(A)に示したファンの羽根の前縁に沿って、レーザ衝撃ピーニングにかけられた面上のレーザ衝撃ピーニングにかけられた円形スポットのパターンの簡略図。
【符号の説明】
LE 前縁
TE 後縁
34 エーロフォイル
38 先端
54 ピーニングを加えた面
56 予め応力を受けた領域

Claims (4)

  1. 前縁、後縁、圧力側及び吸込み側を持つ金属のエーロフォイルと、
    前記圧力側又は吸込み側の少なくとも一方に、レーザ衝撃ピーニングを加えた面とを有し、
    前記レーザ衝撃ピーニングを加えた面は前記前縁又は後縁の少なくとも一部分に沿って半径方向に伸びると共に、前記前縁又は後縁から弦方向に伸びておりレーザ衝撃ピーニング(LSP)によって加えられた深い残留圧縮応力を持つ領域が、前記レーザ衝撃ピーニングを加えた面からエーロフォイルの中に入り込んでおり、更に、前記一部分は前記前縁及び前記羽根の予定の節線の交差部を中心としている請求項1記載のガスタービン機関のファンの羽根。いるガスタービン機関のファンの羽根。
  2. 前記節線が主破損線である請求項1記載のガスタービン機関のファンの羽根。
  3. 前記残留圧縮応力を持つ領域が、前記エーロフォイルの両側を同時にレーザ衝撃ピーニングにかけることによって形成される請求項1ないし請求項2のいずれか一項記載のガスタービン機関のファンの羽根。
  4. 前記ファンの羽根が修理したファンの羽根である請求項3記載のガスタービン機関のファンの羽根。
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