JP3727424B2 - 電流センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電流計および電力計などの計測器に適用可能な電流センサに関し、詳しくは、測定対象導線に流れている被測定電流をいわゆるゼロフラックス方式を利用して測定するための電流センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は、ゼロフラックス方式を利用して被測定電流を測定するための電流センサ41を示している。同図に示す従来の電流センサ41は、いわゆるクランプ型の電流センサであって、互いに対向する2つの半円弧状のコアから形成されると共に図示しない開閉機構によって測定対象導線7をクランプ可能に構成された磁気コア2を備えている。磁気コア2には、発生した磁束に基づく誘導電圧を検出する電圧検出巻線3と、その磁束を打ち消すための帰還巻線4とが配設されている。また、電流センサ41は、磁気コア2とは別体に配設されたシャント抵抗5と、電圧−電流変換回路6とを備えている。シャント抵抗5は、帰還巻線4に流れる帰還電流に基づいて両端に発生した電圧をセンサ信号として検出する。一方、電圧−電流変換回路6は、電圧検出巻線3によって検出された誘導電圧に基づいて、磁気コア2の磁束を打ち消すための帰還電流を出力する。この場合、電圧−電流変換回路6は、図4に示すように、電圧検出巻線3に誘導した誘導電圧を所定の利得で増幅する増幅アンプ11と、増幅アンプ11の出力電圧を電圧−電流変換することにより帰還電流を出力する電流バッファ12と、帰還抵抗13と、帰還電流の電流値を制限するための保護回路14とを備えている。なお、保護回路14としては、フューズ抵抗や、正の温度係数を有する抵抗(以下、「正温度係数抵抗」という)などが一般的に用いられている。
【0003】
この従来の電流センサ41では、測定対象導線7をクランプすると、磁気コア2には、測定対象導線7に流れている被測定電流に応じた磁束が発生する。電圧検出巻線3は、その磁束に応じて誘導する誘導電圧を検出し、電圧−電流変換回路6内の増幅アンプ11に出力する。電流バッファ12は、帰還電流を保護回路14を介して帰還巻線4に出力することによって、磁気コア2に発生している磁束を打ち消している。この結果、磁気コア2は、いわゆるゼロフラックス状態になる。この状態では、ゼロフラックス状態を維持させるための帰還電流の電流値iは、被測定電流の電流値をIとし、測定対象導線7の巻数(通常は値1)に対する帰還巻線4の巻線比をnとすれば、以下の式で表されるように、電流値Iに比例した値となる。
i=I/n
この場合、帰還電流がシャント抵抗5に流れることによって電圧降下が生じるため、その抵抗値を値Rとすれば、シャント抵抗5の両端において、下記の式で表される電圧値VS のセンサ信号が検出される。
VS =I×R/n
したがって、測定部(図示せず)は、このセンサ信号を入力することにより、被測定電流を測定することができる。
【0004】
この場合、磁気コア2に磁束が発生していると、磁気コア2、電圧検出巻線3および帰還巻線4がトランスとして機能しなくなる結果、低周波数領域において被測定電流に対する帰還巻線4の出力電流が低下してしまい、広帯域の周波数特性を得ることができない。このため、この電流センサ41では、磁気コア2をゼロフラックス状態にして被測定電流に対するセンサ信号の電圧値および位相の周波数特性を改善することにより、高帯域、高精度かつ高安定な特性を有する電流検出測定を実現している。
【0005】
一方、例えば、モータに流れる電流を測定しようとする場合、モータの起動電流は通常回転時の駆動電流と比較して10倍程度に達することがある。かかる場合に、ゼロフラックス方式の電流センサを使用すると、その起動電流に比例した帰還電流が帰還巻線4およびシャント抵抗5に流れることになる。したがって、電流バッファ12やシャント抵抗5に過大な電流が流れることによって、電流バッファ12の故障や、シャント抵抗5およびプリントパターンの焼損を招くことがある。この場合、回路部品のすべてを過大な被測定電流に対応できるように構成すれば問題が生じないが、装置の大型化やコストアップを招くため、実際上困難である。このため、かかる弊害を防止すべく、この従来の電流センサ41では、帰還電流が大電流となる場合、例えば、保護回路14としてフューズ抵抗を用いたときには、フューズが切断されることによって、帰還電流の電流経路を遮断し、正温度係数抵抗を用いたときには、正温度係数抵抗の内部温度の上昇に伴って抵抗値を増大させることによって、帰還電流の電流制限を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の電流センサ41には、帰還電流の帰還経路中にフューズ抵抗や正温度係数抵抗を配設しているため、以下の問題が生じている。
すなわち、第1に、フューズ抵抗が帰還電流によって切断されると、電流センサ41自体が小型化に構成されているため、ユーザーが取り替えることは極めて困難である。このため、ユーザーは、フューズの切断の毎にメーカまたは代理店に修理の依頼をしなければならず、ユーザーのみならず、メーカおよび代理店にとっても、負担が大きいという問題がある。
第2に、フューズが切断されると、帰還巻線4の一端が開放状態になる。かかる場合、帰還巻線4の巻数が多いため、その両端に高電圧が発生する結果、感電などの事故を引き起こす可能性があるという問題がある。
第3に、電流センサ41の電源が投入されていない場合、増幅アンプ11や電流バッファ12の電源入力端子が低インピーダンス状態になっている。したがって、被測定電流に基づいて帰還巻線4に発生した電流が、シャント抵抗5、グランド、増幅アンプ11および電流バッファ12の各々のグランド端子、並びに増幅アンプ11および電流バッファ12の電源入力端子を介して電源装置(図示せず)の電源出力部に入力する。このため、従来の電流センサ41には、電源が投入されていない場合に、増幅アンプ11および電流バッファ12が劣化したり故障したりするという問題がある。
【0007】
一方、正温度係数抵抗を用いた場合には、上述した第1,第2の問題を解決することはできるが、第3の問題を解決することができない上、以下の他の問題が生じている。
第1に、正温度係数抵抗は、内部温度の上昇に基づいて作動するため、一般的に、秒単位で応答する。このため、被測定電流が瞬間的に大電流となる場合には、その内部温度上昇が追従することができず、電流バッファ12の故障や、シャント抵抗5の焼損を招いてしまうという問題がある。
第2に、正温度係数抵抗は、内部温度が一旦上昇すると、その内部温度が低下するまで、その抵抗値を継続して長時間維持する。このため、従来の電流センサ41には、被測定電流が正常電流値に復帰した場合であっても、直ちに測定を再開することができないという問題がある。
第3に、正温度係数抵抗に過大な帰還電流が連続して流れる場合には、焼損を招く結果、フューズ抵抗を使用した場合と同様な問題を生じさせる。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、内部回路部品の保護を図ることができると共に取扱い上安全な電流センサを提供することを主目的とする。また、電源が投入されていないときであっても内部回路部品の保護を図ることができると共に、煩雑な修理を回避することができる電流センサを提供することなどを他の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく請求項1記載の電流センサは、測定対象導線を流れる被測定電流に応じた磁束を発生可能な磁気コアと、磁気コア上に配設され磁束に基づいて発生する誘導電圧を検出するための電圧検出巻線と、磁気コア上に配設された帰還巻線と、電圧検出巻線によって検出された誘導電圧に応じた帰還電流を帰還巻線の一端側から流し込むことにより磁気コアに発生している磁束を打ち消すための電圧−電流変換回路と、帰還電流の電流値を制限するための保護手段と、帰還巻線の他端側に接続され帰還電流に基づいて被測定電流を検出するためのシャント抵抗とを備えている電流センサにおいて、帰還電流の電流値が所定電流値を超えたときに保護手段を制御するための制御信号を出力する制御手段をさらに備え、保護手段は、制御信号が入力されたときに、電圧−電流変換回路を介しての電圧検出巻線と帰還巻線の一端側との間の帰還経路を遮断すると共に、直接またはシャント抵抗を介して帰還巻線の両端間を短絡することを特徴とする。ここで、保護手段としては、リレーや、トランジスタおよびFETなどの半導体を用いることができる。
【0010】
この電流センサでは、帰還電流の電流値が所定電流値を超えたときに、保護手段は、制御手段から出力される制御信号に基づいて、帰還経路を遮断すると共に、直接またはシャント抵抗を介して帰還巻線の両端を短絡する。この場合、帰還経路が遮断されることによって、電圧−電流変換回路からの帰還電流の出力が阻止されるため、電圧−電流変換回路やプリントパターンの保護が図られる。また、帰還巻線の両端が直接またはシャント抵抗を介して短絡されることにより、帰還巻線において高電圧の発生が防止される。なお、帰還巻線の両端を直接短絡する場合には、帰還巻線のみからなる閉ループが形成され、シャント抵抗には帰還電流が流れないため、シャント抵抗の焼損を防止することが可能になる。さらに、帰還電流の電流値に応じて制御手段が制御信号を出力するため、正温度係数抵抗などが内部温度の上昇に基づいて帰還電流の電流値を制限する場合と比較し、極めて迅速に保護手段を制御することが可能になる。
【0011】
請求項2記載の電流センサは、請求項1記載の電流センサにおいて、制御手段は、シャント抵抗の両端電圧に基づいて制御信号を出力することを特徴とする。
【0012】
制御手段は帰還電流の電流値を検出できればよく、電圧検出巻線や帰還巻線以外の巻線などを用いることもできる。一方、この電流センサでは、シャント抵抗が、保護手段を作動させるための帰還電流検出手段としての機能を兼用する。これにより、制御手段の部品コストを低減することができる。
【0013】
請求項3記載の電流センサは、請求項2記載の電流センサにおいて、制御手段は、所定の遮断周波数を有するローパスフィルタ回路を備え、ローパスフィルタ回路を介して入力した両端電圧に基づいて制御信号を出力することを特徴とする。
【0014】
この電流センサでは、シャント抵抗の両端電圧に極めて高い周波数成分のノイズが瞬間的に入力された場合に、ローパスフィルタがノイズを除去するため、制御手段は、保護手段の不要な保護動作を回避することができる。
【0015】
請求項4記載の電流センサは、請求項1から3のいずれかに記載の電流センサにおいて、保護手段はリレーであって、リレーの可動接点が、帰還巻線の一端側に接続されると共に、常開接点が、電圧−電流変換回路の出力側に接続され、かつ、常閉接点が、直接またはシャント抵抗を介して帰還巻線の他端側に接続されていることを特徴とする。この場合、リレーとしては、ミニチュアリレー、リードリレーおよびウェットリレーなどの機械式リレーや、半導体リレーなどを用いることができる。
【0016】
保護手段としては、リレーに限らずトランジスタやFETなどの半導体を使用することができる。しかし、半導体を使用した場合、大電流の帰還電流が流れている状態で帰還経路を遮断するためには、定格電流が大電流タイプのものを用いなければならず、部品コストが上昇する。一方、リレーを保護手段として用いれば、部品コストを上昇させることなく、大電流の帰還電流が流れている帰還経路を容易に遮断することができる。また、リレーの保護動作後においては、リセット動作などによって正常状態に復帰させることにより、修理することなく、迅速に測定を再開することが可能になる。
【0017】
請求項5記載の電流センサは、測定対象導線を流れる被測定電流に応じた磁束を発生可能な磁気コアと、磁気コア上に配設され磁束に基づいて発生する誘導電圧を検出するための電圧検出巻線と、磁気コア上に配設された帰還巻線と、電圧検出巻線によって検出された誘導電圧に応じた帰還電流を帰還巻線の一端側から流し込むことにより磁気コアに発生している磁束を打ち消すための電圧−電流変換回路と、帰還電流の電流値を制限するための保護手段と、帰還巻線の他端側に接続され帰還電流に基づいて被測定電流を検出するためのシャント抵抗とを備えている電流センサにおいて、保護手段はリレーであって、リレーの可動接点が、帰還巻線の一端側に接続されると共に、常開接点が、電圧−電流変換回路の出力側に接続され、かつ、常閉接点が、直接またはシャント抵抗を介して帰還巻線の他端側に接続されていることを特徴とする。
【0018】
この電流センサでは、電源が投入されていないときには、リレーが作動停止しているため、リレーの可動接点と常閉接点とが接続された状態になっている。したがって、帰還巻線の両端が、直接またはシャント抵抗を介して短絡され、かつ電圧−電流変換回路の出力側が開放状態になっている。この状態では、測定対象導線に大電流の被測定電流が流れたとしても、電圧−電流変換回路からの帰還電流の出力が阻止されるため、電圧−電流変換回路やプリントパターンの保護が図られる。また、帰還巻線の両端が直接またはシャント抵抗を介して短絡されることにより、帰還巻線において高電圧の発生が防止される。さらに、帰還巻線の両端を直接短絡する場合には、帰還巻線のみからなる閉ループが形成され、シャント抵抗には帰還電流が流れないため、シャント抵抗の焼損を防止することが可能になる。
【0019】
請求項6記載の電流センサは、請求項4または5記載の電流センサにおいて、リレーは、メーク・ビフォア・ブレイク動作型のリレーであることを特徴とする。
【0020】
この電流センサでは、リレーとしてメーク・ビフォア・ブレイク動作型(以下、「MBB型」ともいう)のリレーを用いているため、リレーの可動接点は、常閉接点と常開接点との両者に一旦接触した状態を経て、常閉接点または常開接点に接続される。したがって、瞬間的な帰還巻線の開放が防止される結果、高電圧が帰還巻線に発生する事態を確実に回避することが可能になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る電流センサの実施の形態について説明する。なお、従来の電流センサ41と同一の構成要素については、同一の符号を付して詳細説明は省略する。
【0022】
図2は、本発明に係る電流センサの主要構成図を示している。同図に示すように、電流センサ1は、従来の電流センサ41と同様にして、磁気コア2、電圧検出巻線3、帰還巻線4およびシャント抵抗5を備えるほか、制御回路(本発明における制御手段に相当する)20と、従来の電流センサ41とは構成が一部相違する電流−電圧変換回路10とを備えている。なお、本実施形態では交流電流を被測定電流として測定する例について説明するが、電圧検出巻線3に代えてホール素子を用いることによって直流電流も測定することができる。
【0023】
次に、図1を参照して、電流−電圧変換回路10および制御回路20の構成について説明する。
【0024】
同図に示すように、電流−電圧変換回路10は、増幅アンプ11、電流バッファ12および帰還抵抗13を備えるほか、従来の電流センサ41における保護回路14に代えてリレー15を備えている。この場合、リレー15として、ミニチュアリレー、リードリレーおよびウェットリレーなどの機械式リレーや、半導体リレーなどを用いることができるが、以下、MBB型のミニチュアリレーを使用した例について説明する。リレー15のコイル本体16は、一端が図示しない電源装置の電源出力端子に接続され、他端は、制御回路20の後述するトランジスタ36のコレクタに接続されている。この結果、リレー15の可動接点17aは、電流センサ1の電源が投入されていない状態では、常閉接点17bに接続され、トランジスタ36が作動した状態では、常開接点17cに接続される。なお、リレー15の可動接点17aは、トランジスタ36の作動時および作動停止時には、常閉接点17cと常開接点17bとの両者に一旦接触した状態を経て、常閉接点17cまたは常開接点17bに接続される。これにより、帰還巻線4の瞬間的な開放状態を防止することができる結果、高電圧が帰還巻線4に発生する事態を確実に回避することができる。
【0025】
制御回路20は、シャント抵抗5に入力部が接続されたローパスフィルタ21(以下、「LPF21」ともいう)と、LPF21の出力信号を絶対値検波する検波回路22と、非反転入力端子が検波回路22の出力部に接続され反転入力端子が所定電圧値の基準電源24に接続されたコンパレータ23と、コンパレータ23の出力部に接続されたラッチ回路25と、ドライバ回路26とを備えている。なお、LPF21は、抵抗31,32およびコンデンサ32によって、そのカットオフ周波数が例えば100KHzに設定されており、シャント抵抗5の両端電圧に含まれる高域周波数成分のノイズを除去することによって、コンパレータ23の誤動作を防止する。また、ラッチ回路25は、例えば、Dタイプフリップフロップ回路で構成されており、電源投入後に初期リセットされた後では、ハイレベル信号(以下、「H信号」ともいう)を出力し、コンパレータ23からH信号が入力されると、出力部にロウレベル信号(以下、「L信号」ともいう)を継続して出力する。なお、ラッチ回路25は、リセットスイッチ27が操作された場合には、リセットされてH信号を出力する。ドライバ回路26は、抵抗34,35およびNPN型のトランジスタ36で構成され、ラッチ回路25からH信号が出力されると、スイッチングオンしてリレー15を作動させる。
【0026】
次に、電流センサ1の動作について説明する。
【0027】
通常動作時においては、ラッチ回路25からH信号が出力されると、リレー15が作動状態に維持された後、基本的に従来の電流センサ41と同様に作動する。つまり、磁気コア2によってクランプされた状態の測定対象導線7に被測定電流が流れると、磁気コア2には、被測定電流に応じた磁束が発生し、電圧検出巻線3が、その磁束に応じた誘導電圧を電圧−電流変換回路10内の増幅アンプ11に出力する。増幅アンプ11は、誘導電圧を所定の利得で増幅した後、電流バッファ12に出力し、電流バッファ12は、入力信号を電圧−電流変換することによって生成した帰還電流を、リレー15の常開接点17cおよび可動接点17aを介して帰還巻線4に出力することによって、磁気コア2に発生している磁束を打ち消している。この結果、磁気コア2がゼロフラックス状態になると共に、従来の電流センサ41と等しい電流値の帰還電流(つまり、電流値i=I/n)がシャント抵抗5に流れ込む。シャント抵抗5は、電圧降下によって両端に発生するセンサ信号(電圧値VS =I×R/n)を図外の測定部に出力する。これにより、測定部は、センサ信号に基づいて、被測定電流を測定することができる。
【0028】
次に、異常状態時、つまり電源が投入されていない場合においてクランプしている測定対象導線7に大電流が流れた時、および電源投入状態において定格電流を遥かに超える電流が測定対象導線7に流れた時の電流センサ1の動作を説明する。
【0029】
電源が投入されていない状態では、リレー16は、可動接点17aが常閉接点17bに接続されている。このため、電流バッファ12の出力部は開放状態に維持され、かつ、帰還巻線4は、リレー15の両接点17a,17bを介して、その両端が短絡することにより閉ループを形成している。したがって、この状態で測定対象導線7に大電流が流れ、それに応じた誘導電圧が電圧検出巻線3から出力されたとしても、電圧−電流変換回路6からの帰還電流の出力が阻止されるため、電流バッファ12や、電流−電圧変換回路10を搭載しているプリント基板のプリントパターンの過電流からの保護が図られる。また、帰還巻線4の両端が直接短絡されることにより、帰還巻線4において高電圧の発生が防止されると共に、被測定電流に基づいて流れる電流は帰還巻線4の閉ループ内を流れるため、シャント抵抗5には電流が流れず、このため、シャント抵抗5の焼損を防止することができる。
【0030】
一方、電源が投入されている状態においては、トランジスタ36が作動しているので、リレー16の可動接点17aは常開接点17cに接続されている。このため、電流バッファ12の出力部は帰還巻線4の一端に接続され、帰還巻線4は正常動作状態に維持させられている。したがって、この状態では、測定対象導線7に大電流が流れて、それに応じた誘導電圧が電圧検出巻線3から出力されると、誘導電圧に応じた帰還電流が電流バッファ12から出力される。この帰還電流がシャント抵抗5に流れると、シャント抵抗5の両端に電圧が発生し、この電圧信号がLPF21を介して検波回路22に入力される。検波回路22は、電圧信号を絶対値検波することにより生成した正電圧信号をコンパレータ23の非反転入力部に出力する。正電圧信号が基準電源24の基準電圧よりも高いときには、コンパレータ23がH信号を出力することにより、ラッチ回路25がL信号(本発明における制御信号に相当する)を出力してトランジスタ36を作動停止させる。この場合、基準電源24の基準電圧は、電流センサ1の各回路部品が許容できる限界の電流(本発明における所定電流値に相当する)がシャント抵抗5に流れたときに発生する正電圧信号と同一の電圧値に設定されている。
【0031】
これにより、リレー15が作動停止し、電流バッファ12と帰還巻線4との間の帰還電流の帰還経路を遮断すると共に、帰還巻線4の両端を短絡する。この場合、帰還経路が遮断されることによって、電流バッファ12からの帰還電流の出力が阻止されて、上述したのと同様にして、電流バッファ12やプリントパターンの保護が図られると共に、帰還巻線4における高電圧の発生が防止され、かつ、シャント抵抗5の焼損が防止される。さらに、シャント抵抗5の両端に発生する電圧信号の波形のピーク値に基づいてコンパレータ23からH信号が出力されるため、極めて迅速に保護動作に入ることができる。この場合、検波回路22がLPF21からの電圧信号を絶対値検波するため、電流センサ1は、測定対象導線7を流れる被測定電流である交流電流が正負サイクルのどちらのサイクルのときに大電流が流れたとしても、迅速に保護動作に入ることができる。
【0032】
このように、本実施形態に係る電流センサ1によれば、リレー15の切替動作によって、電流バッファ12やシャント抵抗5を過電流から保護している。このため、保護動作の都度、部品交換しなければならないという煩雑な修理を回避することができる。
【0033】
なお、本実施形態では、リレー15の作動停止によって帰還巻線4の両端を直接短絡する例について説明したが、本発明は、これに限定されず、リレー15の常閉接点17bをシャント抵抗5のグランド側に接続し、保護動作時に、シャント抵抗5を介して帰還巻線4の両端を短絡してもよい。ただし、この場合には、シャント抵抗5が過電流により焼損する場合があるため、本実施形態に示した構成を採用することが好ましい。また、本実施形態では、電流バッファ12と帰還巻線4の一端との間の帰還経路を遮断しているが、電流バッファ12を過電流から保護するためには、電圧検出巻線3の一端、増幅アンプ11の入力部、増幅アンプ11の出力部、電流バッファ12の入力部、電流バッファ12の出力部および帰還巻線4の一端からなる帰還経路のいずれか1箇所を遮断すればよい。
【0034】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の電流センサによれば、帰還電流の電流値が所定電流値を超えたときに、保護手段が帰還経路を遮断すると共に直接またはシャント抵抗を介して帰還巻線の両端を短絡するため、電圧−電流変換回路からの帰還電流の出力が阻止される結果、電圧−電流変換回路やプリントパターンの保護を図ることができる。また、帰還巻線の両端が直接またはシャント抵抗を介して短絡されることにより、帰還巻線において高電圧の発生を防止することができ、取扱い上極めて安全な電流センサを提供することができる。さらに、帰還巻線の両端を直接短絡すれば、シャント抵抗の焼損を防止することができる。さらにまた、帰還電流の電流値に応じて制御手段が制御信号を出力することによって、正温度係数抵抗などが内部温度の上昇に基づいて帰還電流の電流値を制限する場合と比較し、極めて迅速に保護動作に入ることができる。
【0035】
また、請求項2記載の電流センサによれば、シャント抵抗が、保護手段を作動させるための帰還電流検出手段としての機能を兼用するため、制御手段の部品コストを低減することができる。
【0036】
さらに、請求項3記載の電流センサによれば、シャント抵抗の両端電圧に極めて高い周波数成分のノイズが瞬間的に入力された場合であっても、ローパスフィルタがノイズを除去するため、制御手段は、保護手段の不要な保護動作を回避することができる。
【0037】
また、請求項4記載の電流センサによれば、リレーを保護手段として用いることにより、部品コストを上昇させることなく、大電流の帰還電流が流れている帰還経路を容易に遮断することができる。また、リレーを用いることにより、保護動作の都度、部品交換しなければならないという煩雑な修理を回避することができる。さらに、リレーの保護動作後においては、リセット動作などによって正常状態に復帰させることにより、迅速に測定を再開することが可能になる。
【0038】
また、請求項5記載の電流センサによれば、電源が投入されていないときには、リレーの作動停止によりリレーの可動接点と常閉接点とが接続されているため、帰還巻線の両端が直接またはシャント抵抗を介して短絡され、かつ電圧−電流変換回路の出力側が開放状態になり、電圧−電流変換回路からの帰還電流の出力が阻止される結果、電圧−電流変換回路やプリントパターンを過電流から保護することができる。また、同時に、帰還巻線の両端が直接またはシャント抵抗を介して短絡することにより、帰還巻線において高電圧の発生を防止し、帰還巻線の両端を直接短絡すれば、シャント抵抗の焼損を防止することができる。
【0039】
さらに、請求項6記載の電流センサによれば、MBB型のリレーを用いることにより、瞬間的な帰還巻線の開放を防止することができる結果、高電圧が帰還巻線に発生する事態を確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電流センサの回路図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る電流センサの主要構成図である。
【図3】従来の電流センサの主要構成図である。
【図4】従来の電流センサの回路図である。
【符号の説明】
1 電流センサ
2 磁気コア
3 電圧検出巻線
4 帰還巻線
5 シャント抵抗
7 測定対象導線
10 電流−電圧変換回路
15 リレー
20 制御回路
21 ローパスフィルタ
Claims (6)
- 測定対象導線を流れる被測定電流に応じた磁束を発生可能な磁気コアと、当該磁気コア上に配設され前記磁束に基づいて発生する誘導電圧を検出するための電圧検出巻線と、前記磁気コア上に配設された帰還巻線と、前記電圧検出巻線によって検出された誘導電圧に応じた帰還電流を前記帰還巻線の一端側から流し込むことにより前記磁気コアに発生している磁束を打ち消すための電圧−電流変換回路と、前記帰還電流の電流値を制限するための保護手段と、前記帰還巻線の他端側に接続され前記帰還電流に基づいて前記被測定電流を検出するためのシャント抵抗とを備えている電流センサにおいて、
前記帰還電流の電流値が所定電流値を超えたときに前記保護手段を制御するための制御信号を出力する制御手段をさらに備え、
前記保護手段は、前記制御信号が入力されたときに、前記電圧−電流変換回路を介しての前記電圧検出巻線と前記帰還巻線の前記一端側との間の帰還経路を遮断すると共に、直接または前記シャント抵抗を介して前記帰還巻線の両端間を短絡することを特徴とする電流センサ。 - 前記制御手段は、前記シャント抵抗の両端電圧に基づいて前記制御信号を出力することを特徴とする請求項1記載の電流センサ。
- 前記制御手段は、所定の遮断周波数を有するローパスフィルタ回路を備え、当該ローパスフィルタ回路を介して入力した前記両端電圧に基づいて前記制御信号を出力することを特徴とする請求項2記載の電流センサ。
- 前記保護手段はリレーであって、当該リレーの可動接点が、前記帰還巻線の前記一端側に接続されると共に、常開接点が、前記電圧−電流変換回路の出力側に接続され、かつ、常閉接点が、直接または前記シャント抵抗を介して前記帰還巻線の前記他端側に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電流センサ。
- 測定対象導線を流れる被測定電流に応じた磁束を発生可能な磁気コアと、当該磁気コア上に配設され前記磁束に基づいて発生する誘導電圧を検出するための電圧検出巻線と、前記磁気コア上に配設された帰還巻線と、前記電圧検出巻線によって検出された誘導電圧に応じた帰還電流を前記帰還巻線の一端側から流し込むことにより前記磁気コアに発生している磁束を打ち消すための電圧−電流変換回路と、前記帰還電流の電流値を制限するための保護手段と、前記帰還巻線の他端側に接続され前記帰還電流に基づいて前記被測定電流を検出するためのシャント抵抗とを備えている電流センサにおいて、
前記保護手段はリレーであって、当該リレーの可動接点が、前記帰還巻線の前記一端側に接続されると共に、常開接点が、前記電圧−電流変換回路の出力側に接続され、かつ、常閉接点が、直接または前記シャント抵抗を介して前記帰還巻線の前記他端側に接続されていることを特徴とする電流センサ。 - 前記リレーは、メーク・ビフォア・ブレイク動作型のリレーであることを特徴とする請求項4または5記載の電流センサ。
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