JP3725589B2 - Single crystal substrate product, optical component, method of manufacturing single crystal substrate product, and method of manufacturing optical component - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ニオブ酸リチウム単結晶基板等を備えた単結晶基板品(特に光導波路基板)、これを利用した光部品、単結晶基板品の製造方法及び光部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ニオブ酸リチウム(LiNbO3 ) 単結晶、タンタル酸リチウム(LiTaO3 )単結晶が、第二高調波発生素子、光変調器、光スイッチ用基板等のオプトエレクトロニクス用材料として期待されている。液相エピタキシャル法は、引き上げ法に比べて、低温で単結晶膜を作成することができるので、結晶性の良い高品質の薄膜を形成する方法として期待されている。
【0003】
例えば、「Journal of Crystal Growth 」46(1979年)の第314頁〜322頁の記載によれば、タンタル酸リチウム単結晶基板上に液相エピタキシャル法によってニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体膜を作成している。「Applied Physics Letters 」 Vol.26 No.1 (1975)の第8〜10頁の記載によれば、タンタル酸リチウム単結晶基板上に液相エピタキシャル法によってニオブ酸リチウム単結晶薄膜を形成している。「Journal of Crystal Growth 」50(1980年)の第291頁〜298頁の記載によれば、タンタル酸リチウム単結晶基板上に「Capillary Liquid Epitaxial」法によってニオブ酸リチウム単結晶薄膜を作成している。しかし、これは通常の液相エピタキシャル法とは原理的に異なっており、またニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体膜の形成については記載されていない。
【0004】
液相エピタキシャル法における成膜方法の概略を説明する。まず、例えばニオブ酸リチウム(溶質)とLiVO3 (溶融媒体)とを仕込んで混合する。この溶融体の仕込み組成に対応する飽和温度をT0 とする。この溶融体の温度を、飽和温度T0 よりも高温T1 で保持し、ニオブ酸リチウムとLiVO3 とを均一に溶融させる。次いで、溶融体の温度を、飽和温度T0 よりも低い温度まで冷却して、溶融体を過冷却状態とする。過冷却状態の溶融体に対して、基板を接触させる。
【0005】
特に最近は、液相エピタキシャル法によって、単結晶基板よりも高い屈折率を有する単結晶膜を形成し、この単結晶膜を光導波路とする、光導波路基板の製造方法が、高品質の光導波路デバイスを製造する方法として注目されている。
【0006】
ここで、ニオブ酸リチウムよりもタンタル酸リチウムの方が屈折率が小さい。またニオブ酸リチウムとタンタル酸リチウムとは、任意の比率で固溶体を生成し、タンタルの比率が大きくなるのに従って、固溶体の屈折率は小さくなる。このため、液相エピタキシャル法によってニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体膜やニオブ酸リチウム薄膜を形成するための基板としては、主としてタンタル酸リチウム単結晶基板が使用されてきた。この理由は、タンタル酸リチウムの方が、ニオブ酸リチウムやニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体よりも屈折率が小さいことから、タンタル酸リチウム単結晶基板を使用すると、前記の各薄膜を光導波路として使用できるからである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、タンタル酸リチウム単結晶のキュリー温度は約600℃であり、液相エピタキシャル法における成膜温度は、700℃以上である。従って、単分域化処理されたタンタル酸リチウム単結晶基板を使用しても、成膜の過程で単結晶基板が多分域化してしまい、その結晶性が劣化してしまい、同時に膜の方も多分域化してしまうので、高品質の膜を作成することが困難であった。しかも、このように多分域化した薄膜を光デバイスとして使用するためには、再度単分域化処理を行う必要があるが、この単分域化処理の段階で薄膜の結晶性に一層ダメージを与えてしまう。
【0008】
更に、ニオブ酸リチウム単結晶基板については、結晶性の良い光学グレードの単結晶基板が得られている。しかし、現在の段階では、引き上げ法により製造されるタンタル酸リチウム単結晶基板は、ニオブ酸リチウム単結晶基板に比べて結晶性が悪い。もともと結晶性が悪いタンタル酸リチウム単結晶基板の上に単結晶膜を形成しても、光学グレードのニオブ酸リチウム単結晶基板上に作製した膜よりも優れた結晶性を持つ単結晶膜を得るのは、困難である。
【0009】
これに対して、ニオブ酸リチウム単結晶基板のキュリー温度は約1200℃であり、液相エピタキシャル法における成膜温度においても基板の結晶性が十分に安定しているので、基板材料として適している。また、前記したように、高品質の単結晶基板が引き上げ法によって製造されているので、入手が容易である。
【0010】
しかし、ニオブ酸リチウムの融点はニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体の融点よりも高い。この結果、液相エピタキシャル法用の溶融体の飽和温度は、タンタルの比率が大きくなるほど、高くなってくる。従って、溶融体に対してニオブ酸リチウム単結晶基板を接触させると、固溶体膜の成長が起こらず、基板の方が溶解してしまうため、ニオブ酸リチウム単結晶基板上にニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体膜を形成することは困難と考えられてきた。
【0011】
本発明の課題は、液相エピタキシャル法によって、ニオブ酸リチウム単結晶基板等の上に、この基板よりも高い融点を有するニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体からなる膜を形成することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、LiNb1-z Taz O3 (0≦z<0.8)の組成を有する単結晶基板と、この単結晶基板上に液相エピタキシャル法によって形成されているニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体膜とを備えている単結晶基板品であって、ニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体膜の組成がLiNb1-x Tax O3 (0<x≦0.8)であり、xおよびzがz<xの関係を満足していることを特徴とする、単結晶基板品に係るものである。
【0013】
また、本発明は、単結晶基板と、この単結晶基板上にエピタキシャル成長した単結晶膜とを備えている単結晶基板品であって、単結晶膜の組成がLiNb1-x Tax O3 (0≦x≦0.8)であり、単結晶膜のX線ロッキングカーブの半値幅が単結晶基板のX線ロッキングカーブの半値幅よりも小さいことを特徴とする、単結晶基板品に係るものである。
【0014】
また、本発明は、単結晶基板と、この単結晶基板上にエピタキシャル成長した単結晶膜とを備えている単結晶基板品であって、単結晶膜の組成がLiNb1-x Tax O3 (0≦x≦0.8)であり、この単結晶膜中のタンタルのモル濃度が単結晶基板中のタンタルのモル濃度よりも大きいことを特徴とする、単結晶基板品に係るものである。
【0015】
また、本発明は、上記のような単結晶基板品を製造する方法に係るものであって、単結晶基板を溶融体の過冷却状態の液相部分に接触させるのに際して、溶融体が主としてLi2 O3 、Nb2 O5 、Ta2 O5 およびフラックスからなり、液相部分の組成が、図6に示すようなLiNbO3 ─LiTaO3 −溶融媒体擬三成分系の三角図において、A(95、5、0)とB(95、2、3)とを結ぶ直線、A(95、5、0)とC(60、40、0)とを結ぶ直線、C(60、40、0)とD(60、0、40)とを結ぶ直線、B(95、2、3)とE(0、40、60)とを結ぶ直線および飽和温度1200℃以下を満たす曲線で囲まれる領域内に属する組成割合であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記の単結晶基板品およびその製造方法を、各種の光部品に対して適用するものであり、特に第二高調波発生素子に適用するものである。
【0017】
以下、本発明に至った経緯について、詳細に説明していく。
本発明者は、液相エピタキシャル法を検討する過程で、過冷却状態を作りだす方法を見直してみた。従来は、まず1000〜1300°Cの十分な高温で溶質と溶融媒体とを十分に溶融させ、次いでこの仕込み組成に対応する飽和温度よりも低温にすることで、過冷却状態を作りだしていた。即ち、十分な高温の液相から過冷却状態を作りだす必要があるという常識であった。
【0018】
しかし、本発明者が液相エピタキシャル法について、改めて再検討した結果、良質な単結晶膜を再現性良く形成することはできないことがわかった。この理由について説明する。まず、液相エピタキシャル法は、引き上げ法に比べると、低い温度で成膜できるので、結晶性の良い単結晶膜を形成できるはずである。
【0019】
しかし、溶質の濃度が上昇すると、飽和温度が高くなり、引き上げ法における育成温度に近づいてくる。従って、結晶性の良い膜を形成するためには、できるだけ低温で成膜する必要がある。この観点からは、1000°C以下の低温で膜を形成することが好ましいのである。
【0020】
しかし、この一方、溶質の濃度が低くなると、特に飽和温度が1000°C以下になると、今度は液相線の傾きが非常に大きくなってくる。従って、溶融体における溶質の濃度がわずかに変動した場合にも、飽和温度は大きく変動してしまう。液相エピタキシャル法においては、まず溶融体を飽和温度以上に保持し、次いで飽和温度未満の成膜温度にして過冷却状態で成膜している。そして、膜の結晶性は、この過冷却状態によって決定され、この過冷却状態は、飽和温度及び成膜温度によって決定される。
【0021】
従って、溶融体における溶質の濃度がわずかに変動すると、結晶性の良い膜を形成することは不可能になってしまう。特に、実際の成膜工程においては、基板への膜形成を繰り返すと、溶融体の組成が直ちに変化していき、一定の溶質濃度を保持することはできない。従って、再現性よく成膜することが困難であった。
【0022】
本発明者は、この点に着目し、従来とは本質的に異なる方法に想到した。この方法について、図1〜3を参照しつつ、説明する。図1、図3は、本発明者が開発した新規な液相エピタキシャル法における溶融体の温度スケジュールを模式的に示すグラフである。図2(a)、(b)は、ルツボ1内における溶融体の状態を模式的に示す断面図である。
【0023】
まず、溶質と溶融媒体とを、ルツボ1内に仕込んで混合する。この溶融体の飽和温度T0 は、溶融体における溶質の濃度、即ち、仕込み組成に対応して、一定値に定まる。この飽和温度は液相線から算出することができる。
【0024】
まず、この溶融体の温度を、飽和温度T0 よりも高温T1 で保持し、溶質と溶融媒体とを均一に溶融させる。図1において、「A」が、この溶融状態に対応する。また、図2(a)に示すように、溶融体2のすべてが液相となっている。
【0025】
次いで、溶融体の温度を、飽和温度T0 よりも低い固相析出温度T2 まで冷却する。この状態では、溶融体は、最初は過冷却状態となるが、この温度で十分に長い時間保持すると、溶融体から固相が析出してくる。図1において、「B」が、この固相析出のための保持状態に対応する。この時には、図2(b)に示すように、溶融体3が、液相部分4と固相部分5とに分離する。この固相5部分は、主としてルツボ1の壁面に沿って析出する。
【0026】
次いで溶融体の温度を下げて、液相部分4を過冷却状態にする。図1において、「C」が、この過冷却状態に相当する。過冷却状態の液相部分4に対して、基板6を矢印7のように降下させ、接触させ、単結晶膜をエピタキシャル成長させる。
【0027】
また、次の方法も検討した。即ち、図3に示すように、まず、溶融体の温度を、飽和温度T0 よりも高温T1 で保持し、溶質と溶融媒体とを均一に溶融させる。図3において、「A」が、この溶融状態に対応する。次いで、溶融体の温度を、飽和温度T0 よりも高い保持温度T2 まで冷却する。むろんこの段階では固相は析出しない。そこで、新たに所定量の溶質を溶融体に添加する。このときには、溶融体の飽和温度が、T2 よりも高いT5 に上昇する。この温度T2 で十分に長い時間保持すると、固相と液相との状態が安定する。図3において、「D」が、この固相と液相とが共存した保持状態に対応する。
【0028】
次いで溶融体の温度をT3 にまで下げ、液相部分4を過冷却状態にする。図3において、「C」が、この過冷却状態に相当する。過冷却状態の液相部分4に対して、基板6を矢印7のように降下させ、接触させ、単結晶膜をエピタキシャル成長させる。
また、溶融体の液相を過冷却状態とするには、温度T2 に保持した溶融体に対して、温度T2 よりも低い温度T3 に冷却した基板を接触させてもよい。これにより、基板表面近傍の溶融体は、溶融体全体の温度をT2 に冷却した場合と同様に、過冷却状態となり、基板上に膜が形成される。
【0029】
このように、本方法においては、固相と液相が安定的に共存している状態B、D(温度T2 )を出発点とし、この安定な状態から成膜温度T3 にまで温度を下げることによって、液相部分を過冷却状態としている。このように、固相と液相とが安定的に共存している状態では、系全体の飽和温度を越えない限り、液相部分における溶質の濃度は、保持温度T2 における飽和濃度に保たれる。
【0030】
例えば、溶融体における溶質の濃度が低下したときには、保持温度T2 において、固相部分の量がその分減少し、溶質の濃度が増加したときには、固相部分の量がその分増加する。従って、液相部分の温度と濃度とは、常に一定に保持される。そして、成膜温度T3 も、むろん一定値に設定するので、T2 とT3 との差(過冷却度)も一定に保持され、過冷却状態を完全に制御することが、初めて可能になる。
【0031】
この結果、実際の成膜工程において、基板への膜形成を繰り返したために、溶融体の組成が変化していった場合においても、過冷却状態がほぼ完全に一定状態に保持される。従って、結晶性の良い単結晶膜を、再現性良く成膜することができる。
【0032】
しかも、本方法によれば、単に一定品質の単結晶膜を再現性良く作成できるというだけでなく、単結晶膜の結晶性自体が顕著に向上していた。特に、従来は作成不可能であった、単結晶基板よりもX線ロッキングカーブの半値幅が小さい単結晶膜を形成することに成功した。
【0033】
この理由は明らかではないが、おそらく、以下の理由によると思われる。従来の方法では、溶融体に基板を接触させるときには、溶融体全体が均一な液相である。従って、基板が溶融体に接触した瞬間に、基板の表面において、液相全体の中で初めて固相の析出が起こる。このため、単結晶膜の成長が開始するためには、比較的大きな核形成エネルギーが必要であると推定できる.従って基板と膜との界面において膜の成長が開始される時に、核形成エネルギーが大きいために、この界面において膜の結晶性が乱れ、その上に析出する膜の結晶性が、この結晶性の乱れを反映するものと思われる。
【0034】
一方、本方法においては、図2(b)に示すように、基板6が溶融体3に接触する前に、あらかじめ溶融体3中に固相部分5が共存している。この状態では、もともと固相部分5と液相部分4の界面では、微視的に見れば溶融と析出とが起こっている。従って、あらたに基板6を液相部分に接触させても、スムーズに膜成長が開始され、結晶性に優れた単結晶膜が作製できると考えられる。
【0035】
本発明者は、このように過冷却状態を制御する方法を実現し、この方法を使用して、ニオブ酸リチウム単結晶基板上に、ニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体膜を作成することを試みてみた。これは、従来は、溶解度の関係から困難であるとされてきた組み合わせである。
【0036】
この結果、意外にも、ニオブ酸リチウム単結晶基板上に、相当に広い組成範囲で上記の固溶体膜を作成できることを発見し、本発明に到達した。
【0037】
実際には、ニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体膜の組成をLiNb1-x Tax O3 と表示したときに、0<x≦0.8の範囲内で固溶体膜を作成できることが分かった。
【0038】
また、本発明者は、上記の単結晶基板を構成するニオブ酸リチウムの中にタンタル成分をドープし、ニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体からなる単結晶基板を製造し、この上にニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体膜を形成することを試みた。この結果、やはり上記と同様に広い組成範囲でこの固溶体膜を形成できることを確認した。このニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム単結晶基板の組成は、LiNb1-z Taz O3 (0<z≦0.8)と表示することができ、ここで、xおよびzがz<xの関係を満足しているので、(0<z<0.8)となる。即ち、固溶体膜の方が基板よりもタンタルの置換割合が大きい。
【0039】
更に具体的に説明する。基板を接触させるための溶融体は、主としてLi2 O、Nb2 O5 、Ta2 O5 フラックスからなる。Li2 Oの仕込み量は、Nb2 O5 、Ta2 O5 およびフラックスの仕込み量の合計(モル数)にほぼ等しくなるように調合する。溶融体は、溶質成分であるLiNbO3 およびLiTaO3 と、溶媒成分(フラックス)からなる、LiNbO3 ─LiTaO3 ─溶融媒体の擬三元系組成であると考えることができる。また、溶融体は、溶質成分であるLiNb1-x Tax O3 と、溶媒成分(フラックス)からなる、LiNb1-x Tax O3 ─溶融媒体の擬二元系組成であると考えることができる。こうしたフラックスとしては、V2 O5 、B2 O3 、MoO3 、WO3 を好適なものとして例示できる。
【0040】
図4は、LiNb1-x Tax O3 ─LiVO3 の擬二元系組成の相図である。横軸は、LiNb1-x Tax O3 の割合をモル%で示す。縦軸は温度を示す。図5は、図4に示す相図を、LiNbO3 ─LiTaO3 ─LiVO3 の擬三元系組成の三角図として表示しなおしたものである。図5における「900」から「1300」までの各数値は、それぞれ各組成点における飽和温度を示す数値である。
【0041】
まず、飽和状態における液相の組成は、この三角図において、飽和温度1200℃以下の部分であることが必要である。なぜなら、ニオブ酸リチウム単結晶基板のキュリー温度は約1200℃であるため、1200℃を越える温度の液相部分に対して基板を接触させると、基板が多分域化してしまい、基板の結晶性にダメージを与えるのと共に、高品質膜の作成が困難になるからである。この組成範囲は、図6の三角図においては、曲線Iで表示されている。
【0042】
この観点から、高品質の膜を作成するためには、更に、過冷却状態の液相部分の温度を1150℃以下とすることが好ましい。1150℃以下の膜形成温度を採用することによって、膜の結晶性が一層向上し、この膜内に光導波路を形成したときに、光導波路における光損傷が顕著に減少するからである。また、膜形成温度は750℃以上とすることが好ましく、750℃未満の成膜温度では、上記の固溶体膜を形成することが困難であった。
【0043】
本発明者は、前記した成膜方法を使用して、図5において種々の組成比率の溶融体について、成膜を行ってみた。この結果、意外にも相当に広い組成範囲内で前記の固溶体膜を安定して形成できることを発見した。
【0044】
ただし、その溶融体の組成範囲は、図6の擬三元系組成の三角図に示される組成範囲内であることも確認した。ここで、カッコの中の数値は、(LiVO3 のモル数、LiNbO3 のモル数、LiTaO3 のモル数)に該当する。
【0045】
LiNbO3 のモル数:LiTaO3 のモル数比率は、40%以上:60%以下である必要があることが判明した。この理由は明確ではないが、次のように推定した。図7(a)〜(c)の模式的なグラフを参照しつつ説明する。図7の各グラフにおいて、縦軸は溶出または析出の速度を示しており、横軸はLiTaO3 のモル数のLiNbO3 のモル数に対する比率を示す。
【0046】
ニオブ酸リチウム単結晶基板上に前記固溶体膜を析出させるためには、ニオブ酸リチウムが過冷却状態の液相中に溶出する溶出速度よりも、液相から固体が析出する析出速度の方が速くなくてはならない。また、LiNbO3 のモル数が少ないほど、即ち、グラフにおいて右の方に行くほど、溶融体に対するニオブ酸リチウムの溶解度が高くなり、この結果、ニオブ酸リチウムの溶出速度は大きくなる。この一方、LiNbO3 のモル数が少ないほど、析出速度の方は小さくなってくる。この結果、ある点Fにおいてニオブ酸リチウムの溶出速度が、固溶体膜の析出速度を上回り、成膜が不可能になる。
【0047】
また、液相の過冷却度が重要であるらしい。図7(a)は過冷却度が大きい場合のグラフであり、図7(b)は図7(a)よりも過冷却度が小さい場合のグラフであり、図7(c)は図7(b)よりも過冷却度が小さい場合のグラフである。液相の過冷却度が小さくなるほど、固溶体膜の析出速度が小さくなり、かつ液相の温度が上昇するため、ニオブ酸リチウムの溶出速度が上昇してくる。この結果、成膜可能なLiTaO3 のモル比率が減少してくる。
【0048】
このグラフだけを見ると、LiTaO3 のモル比率を上昇させるためには、過冷却度を大きくすれば良いことになる。しかし、過冷却度を大きくしすぎると、過冷却状態を安定に制御することができなくなり、実際上には50℃を越えると、過冷却状態を維持することができなかった。
【0049】
以上の理由から、成膜可能な、液相におけるLiTaO3 の含有割合には限界がある。具体的には、LiNbO3 のモル数が40%未満になると、過冷却度を50℃近くにまで下げるように精密に制御したとしても、成膜はできなかった。この組成範囲は、図6の三角図においては、点B(95、2、3)と点E(0、40、60)とを結ぶ直線Jで表示されている。
【0050】
また、溶媒と溶質との比率についても成膜可能な範囲があった。即ち、LiVO3 の比率が60%以下である場合には、高品質膜の作成ができなかった。この理由も明確ではないが、おそらく、溶媒の割合が少なくなり、溶質成分の割合が多くなることから、液相中の溶質の濃度が濃くなり、液相部分の粘度が上昇するために、膜の成長がスムーズに行われず、膜の結晶性が悪化するものと考えられる。この組成範囲は、図6の三角図においては、点C(60、40、0)と点D(60、0、40)とを結ぶ直線Hによって表示されている。
【0051】
また、溶質の割合が5%以下である場合には、溶質の濃度が薄くなりすぎるために、膜成長に伴って、溶融体内における溶質の濃度が大きく変化し易くなり、成膜できないものと考えられる。この組成範囲は、図6の三角図においては、点A(95、5、0)と点B(95、2、3)とを結ぶ直線Kによって表示されている。なお、この組成範囲は、当然、点A(95、5、0)と点C(60、40、0)とを結ぶ直線Gによって囲まれている。
【0052】
なお,図1〜図3を用いて説明した、液相エピタキシャル法の特定の温度制御方法は、前記した擬三元系組成について、過冷却状態を精密に安定して制御するために実施したものである。しかし、他の方法によって過冷却状態を精密に安定して制御することが可能になれば、やはり本発明の範囲内の固溶体膜を成膜することはできると考えられる。
【0053】
以上は、ニオブ酸リチウム単結晶基板の場合について説明したが、これらの関係は、ニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体単結晶の場合にも、同様にあてはまることが判明してきた。
【0054】
また、上記の例では、フラックスとしてV2 O5 を使用した場合について説明してきた。しかし、フラックスとしてB2 O3 、MoO3 、WO3 を使用した場合には、基本的に同様な結果が得られた。
【0055】
図8は、このようにして成膜された単結晶基板品12を模式的に示す正面図である。前記の組成を有する単結晶基板6上に固溶体膜10が形成されている。この固溶体膜10における組成は、LiNb1-x Tax O3 であるが、xは、最大でも0.8であった。このxは、0.02以上とすることが好ましい。
【0056】
ここで、単結晶基板の材質をニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体単結晶とした場合には、このタンタルの割合zは0.8以下であるが、更にはzを0.2以下とすることが好ましい。なぜなら、zが大きいと、単結晶基板のキュリー温度が低下してくるが、このキュリー温度が成膜温度以下となると、成膜工程において単結晶基板および単結晶膜が多分域化し、これらの結晶性が損なわれ、かつ再び単分域化処理工程が必要となるからである。また、特に結晶性が優れた膜を形成するためには、成膜温度をある程度高くすることが必要である。この観点からは、zが0.2以下の範囲内であれば、通常の成膜温度であれば、成膜温度が単結晶基板のキュリー温度を下回るおそれがない。
【0057】
また、図9に模式的に示すように、固溶体膜10上に、更に、ニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体膜からなる第二層11を形成して、単結晶基板品13を製造することができる。ここで、この第二層11の組成は、LiNb1-y Tay O3 (0≦y≦0.8)であり、xとyとがy<xの関係を満足している。
【0058】
この結果、第二層11の屈折率が、固溶体膜10の屈折率よりも小さくなるので、第二層11を光導波路として使用することができるようになった。このように、主としてニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体膜からなる光導波路をニオブ酸リチウム単結晶基板またはこれにタンタルをドープした単結晶基板上に形成した基板を、初めて提供することができた。
【0059】
本発明に係る単結晶基板品は、各種の光部品の基材として広範に使用できるものである。こうした光部品としては、例えば、光通信等で用いる光外部変調器、光スイッチ、光増幅器、光ピックアップ等で用いるSHG素子(第二高調波発生素子)、光計測装置に用いる光ファイバージャイロ用の光集積回路等を挙げることができる。この場合、図9に示すように、固溶体膜10よりも屈折率が小さい第二層11を形成した単結晶基板品13は、低損失の光導波路基板として使用できるので、こうした各種光部品として特に好適である。
【0060】
図9の単結晶基板品においては、一般的には第二層11を光導波路として使用するが、この観点からは固溶体膜10と第二層11との屈折率の差を大きくする必要がある。このため、xとyとの差は、0.1以上とすることが特に好ましい。
【0061】
なお、前記した各組成式(LiNb1-z Taz O3 、LiNb1-x Tax O3 、LiNb1-y Tay O3 )は、それぞれ本技術分野において慣用されている表現方法であり、通常通り、各組成式においては、Aサイトを構成する原子(Li)とBサイトを構成する原子(NbとTa)との比率は表現していない。
【0062】
本発明の固溶体膜や単結晶基板中に、ドープ成分として、希土類元素を含有させることができる。この希土類元素は、レーザー発振用の添加元素として作用する。この希土類元素としては、特にNd、Er、Tm、Ho、Dy、Prが好ましい。
【0063】
また、固溶体膜や単結晶基板中に、亜鉛、スカンジウム、マグネシウム、インジウム、チタンおよびバナジウムからなる群から選ばれた一種以上の金属原子を含有させることができる。これらの元素は、耐光損傷特性を向上させる作用を有している。
【0064】
更に、特に図1〜図3を用いて説明したような成膜方法を採用して、光学グレードのニオブ酸リチウム単結晶基板よりもX線ロッキングカーブの半値幅が小さい前記固溶体膜を形成し、これに光導波路を形成し、その光学特性を測定してみた。この結果、光導波路の耐光損傷特性が顕著に向上することを確認した。この結果、本発明の単結晶基板品を、各種光学部品として有効に利用することが可能になった。
【0065】
ここで、X線ロッキングカーブの半値幅について説明する。単結晶基板及び固溶体膜の結晶性は、X線ロッキングカーブの半値幅によって評価することができる。一般に、この半値幅が小さいほど、単結晶の結晶性が良好であると判断できる。この値そのものは、X線測定装置において使用する基準結晶等によって変動するので、絶対値を特定することはできない。
【0066】
しかし、液相エピタキシャル法により作製される固溶体膜の結晶性は、単結晶基板の結晶性の影響を強く受ける。従って、作製した固溶体膜の結晶性の優劣を判断するには、使用した基板のX線ロッキングカーブの半値幅を基準にしなければならない。特に、光学グレードのニオブ酸リチウム単結晶基板は、現在引き上げ法によって作成されているので、固溶体膜のX線ロッキングカーブの半値幅が、光学グレードのニオブ酸リチウム単結晶基板のそれよりも小さいことが好ましい。
【0067】
飽和している液相の保持温度と成膜温度との差(過冷却度)は、単結晶膜のX線ロッキングカーブの半値幅を一層小さくするという観点から見て、20°C以下とすることが更に好ましい。
【0068】
次いで、本発明の単結晶基板品を第二高調波発生素子として使用する際の一態様について説明する。図10(a)は、図9の単結晶基板品13を使用した第二高調波発生素子を示す模式図である。こうした素子は、光ディスクメモリー用、医学用、光化学用、各種光計測用等の幅広い応用が可能である。
【0069】
第二高調波発生素子18においては、レーザー光源14、光学系16および単結晶基板品13が整列されている。レーザー光源14から入射光を矢印15のように光学系16に射出させ、光学系16からのレーザー光を、単結晶基板品13の第二層(光導波路)13の一方の端面から入射させる。第二層13の他方の端面から、第二高調波が矢印17のように射出する。
【0070】
図10(b)に示すように、第二層11をエッチング等によって加工してリブを形成することによって、リブ型の光導波路を形成し、これを第二高調波発生のために使用することができる。この単結晶基板品19はチップ状のものであり、単結晶基板20の主面20a上に固溶体膜21が形成されており、固溶体膜21上に第二層22が形成されている。この第二層22においては、細長いリブ形状の光導波路24が真っ直ぐに伸びるように形成されている。こうしたリブ型の光導波路24は、エッチング等の方法によって形成できる。
【0071】
この場合には、例えば、図10(c)に模式的に示す第二高調波発生素子25のように、レーザー光源14、光学系16および単結晶基板品19を整列させる。レーザー光源14から入射光を矢印15のように光学系16に射出させ、光学系16からのレーザー光を、単結晶基板品19のリブ型の光導波路24の一方の端面から入射させる。光導波路24の他方の端面から、第二高調波が矢印17のように射出する。
【0072】
本発明の単結晶基板品を実用デバイスに適用するのに際しては、強い光を入射させることが多いが、強い光を入射させると屈折率等の特性に変化が生ずる現象、いわゆる光損傷現象が問題になっている。例えば、「Appl. Phys. Lett. 」30、1977年、第238頁〜239頁の記載によれば、タンタル酸リチウム単結晶の方がニオブ酸リチウム単結晶に比べて、耐光損傷特性が優れている。ニオブ酸リチウム単結晶、タンタル酸リチウム単結晶は、通常は、引き上げ法によって製造されるが、タンタル酸リチウムは、ニオブ酸リチウムに比べて融点が高いために、育成が困難であり、光学グレードの単結晶を得ることが困難である。
【0073】
通常の引き上げ法によって育成されるニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム単結晶は、いずれも調和溶融組成(コングルエント組成)であり、その組成は、例えばニオブ酸リチウム単結晶においては、Li/Nb=0.946であった(「J. Chem. Phys.」56、1972年、第4848〜4851頁)。また、タンタル酸リチウムにおいては、例えば「J. Crystal growth 」10、1971年、第276〜278頁の記載によれば、Li/Ta=0.951であることが知られていた。例えば、「J. Crystal growth 」116、1992年、第327〜332頁には、2重ルツボを用いた引き上げ法により、化学量論組成のニオブ酸リチウム単結晶を作製した例が記載されているが、この方法により作製した結晶の結晶性は、通常の引き上げ法により作製されるコングルエント組成のニオブ酸リチウム単結晶に比べて劣っており、耐光損傷特性も劣っている。タンタル酸リチウム単結晶については、引き上げ法により化学量論組成の単結晶が作製された例はなく、その特性についても研究されていない。
【0074】
しかし、本発明者は、本発明の単結晶基板品において、ニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体膜の組成がLiNb1-x Tax O3 (0.05≦x≦0.70)である範囲内で、リチウムの含有割合(Aサイトの金属の含有割合)/(タンタルの含有割合とニオブの含有割合との合計)(Bサイトの金属の含有割合)を0.98以上、1.02以下に制御することに成功し、かつこの化学量論組成に近い組成を有する単結晶膜を使用すると、膜の光損傷特性が顕著に向上することを見いだし、本発明に到達した。また、本発明者は、第二層についても、その組成をLiNb1-y Tay O3 (0.05≦y≦0.70)とし、リチウムの含有割合/(タンタルの含有割合とニオブの含有割合との合計)を0.98以上、1.02以下とすることで、上記と同様に耐光損傷特性を顕著に向上させうることを見いだした。
【0075】
ここで、タンタルによる置換割合xまたはyを0.05以上とすることによって、耐光損傷特性が顕著に向上することを見いだした。これは、タンタルの添加による作用効果であると考えられる。この意味で、xまたはyを0.1以上とすることが、より一層好ましい。また、xまたはyが0.7を越えると、光損傷のしきい値が顕著に低下してくることを確認した。これは、タンタルの含有割合が0.70よりも大きくなると、膜と基板との格子定数の差(格子ミスマッチ)が大きくなり、結晶性が劣化するためであろうと考えられる。この観点からは、xまたはyを0.6以下とすることが、より一層好ましかった。
【0076】
また、リチウムの含有割合(Aサイトの金属の含有割合)/(タンタルの含有割合とニオブの含有割合との合計)(Bサイトの金属の含有割合)を0.98以上、1.02以下とすることで、耐光損傷特性が著しく向上した理由は明確ではないが、結晶の組成が化学量論組成に近くなると、非化学量論的な結晶欠陥が低減され、結晶の完全性が高くなるためと考えられる。
【0077】
【実施例】
以下、更に具体的な実験結果について述べる。
(実験1)
前記した図1の温度スケジュールに従って、液相エピタキシャル法によって成膜した。LiNbO3 ─LiTaO3 ─LiVO3 擬三元系において、表1に示す各条件下に本発明を実施した。
【0078】
各溶融体2を、十分に高い温度T1 (1000°C〜1300°C)で3時間以上攪拌し、十分均一な液相の状態とした。その後、溶融体を保持温度T2 まで冷却した後、12時間以上保持し、過飽和分の固溶体が核発生して固相5が析出するまで待った。このとき、溶融体の液相部分4は、温度T2 における飽和状態であり、溶融体3内は、液相部分4と固溶体からなる固相部分5とが共存した状態である。保持温度T2 と、このときの液相部分4の組成とを、表1および表2に示すように変更した。
【0079】
その後、溶融体3の温度を、T2 から過冷却度ΔTだけ低い成膜温度T3 まで冷却し、ただちにニオブ酸リチウム単結晶基板6を液相部分4に接触させて成膜を行った。過冷却度ΔTも、表1および表2に示すように変更した。
【0080】
得られた固溶体膜は、いずれもLiNb1-x Tax O3 の組成を有していた。これらの固溶体膜の組成を測定し、xの値を表1および表2に示した。また、各固溶体膜のX線ロッキングカーブの半値幅を測定し、表1および表2に示した。
【0081】
X線ロッキングカーブの半値幅の測定は、二結晶法により、(0012)面の反射を用いて行った。入射X線としてはCuKα1を使用し、モノクロメータとしては、GaAs単結晶の(422)面を用いた。
【0082】
本発明者が使用した光学グレードのニオブ酸リチウム単結晶基板のX線ロッキングカーブの半値幅は、いずれも6.8〜6.9〔arc sec 〕であったので、これをニオブ酸リチウム単結晶基板の結晶性の基準とした。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
表1からわかるように、種々の保持温度で成膜したところ、飽和温度が1200℃以下の範囲内においては、本発明の組成範囲内であれば、半値幅の小さな、結晶性の良好な固溶体膜を形成できる。特に、飽和温度が1150℃以下である組成範囲内においては、固溶体膜の前記半値幅が、ニオブ酸リチウム単結晶基板の前記半値幅よりも小さい、即ち、基板よりも結晶性の良い固溶体膜を、形成することができた。
【0086】
一方、表2に示す結果からわかるように、飽和温度が1200℃を越えると、固溶体膜の前記半値幅が顕著に劣化することが分かる。
【0087】
また、表1からわかるように、図1に示すような温度スケジュールを採用することによって、溶融体の仕込み組成がどのように変化しても、一旦固相を析出する保持段階が存在するので、極めて広い温度範囲で成膜が可能になっている。そして、溶融体の各仕込み組成について、いずれも、固溶体膜の前記半値幅が、きわめて良好になっている。
【0088】
(実験2)
実験1と同様にして、液相エピタキシャル法によって固溶体膜を形成した。ただし、保持温度T2 、溶融体の液相部分の組成を表3、表4に示すように変更させた。過冷却度の影響を一定にするため、過冷却度は15℃に統一した。得られた固溶体膜の組成xと前記半値幅とを測定し、表3と表4とに表示した。なお、これらの例については、溶融体の液相部分の組成を変更させることを目的としており、このために溶融体の仕込み組成を種々変更している。
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
表3、表4において採用した各条件は、飽和温度はいずれも1160℃以下であり、過冷却度は15℃であって、表1の結果から見て問題はない。また、LiTaO3 の割合も、表1の各例から見て、十分に高品質の固溶体膜を形成できるはずの範囲内である。
【0092】
実際、液相部分の組成において溶媒の割合が90〜60%の範囲内であると、ニオブ酸リチウム単結晶基板の方よりも小さな前記半値幅を有する固溶体膜を形成することができる。しかし、表4に示すように、溶媒の割合が95%以上になると、前記半値幅が顕著に、かつ急激に劣化している。また、溶媒の割合が60%未満になると、やはり前記半値幅が顕著に、かつ急激に劣化している。
【0093】
(実験3)
実験1と同様にして固溶体膜を形成した。ただし、保持温度T2 、溶融体の液相部分の組成を、表5に示すように変更させた。ただし、飽和温度は、表1の結果から見て許容可能な1200℃以下の範囲内に保持した。また、溶媒の割合は、実験1および実験2の結果からみて問題のない85%に保持した。
【0094】
そして、LiNbO3 のモル数に対するLiTaO3 のモル数の割合を、表5に示すように種々変更した。そして、各組成について、成膜が可能な過冷却度を測定した。この結果を表5に示す。
【0095】
【表5】
【0096】
表5からわかるように、LiNbO3 のモル数:LiTaO3 のモル数が、12:3であると、きわめて広い範囲内で成膜が可能であった。これが10:5になると、最低でも15℃の過冷却度が必要になったが、やはり良好な膜が得られた。これが8:7になると、約30℃の過冷却度が必要になった。更に、これが6:9になると、約45℃以上の過冷却度が必要となり、成膜条件が非常に厳しく限定されてきた。これが成膜の限界であった。
【0097】
(実験4)
実験1と同様の方法によって図9の単結晶基板品13を作成した。
ただし、溶融体の仕込み組成を、Li2 O:V2 O5 :Nb2 O5 :Ta2 O5 =50:36:9:5とし、液相部分の飽和温度(保持温度)T2 を970℃とし、過冷却度ΔTを30℃とし、成膜時間を10分間とした。この条件下で、第一層目の固溶体膜10を形成した。この膜厚は20μmであり、固溶体膜の組成がx=0.35であった。波長633nmで、固溶体膜10の常光屈折率は2.248であり、異常光屈折率は、2.194であった。
【0098】
次に、溶融体の仕込み組成を、Li2 O:V2 O5 :Nb2 O5 =50:40:10とし、液相部分の飽和温度(保持温度)T2 を910℃とし、過冷却度ΔTを5℃とし、成膜時間を8分間とした。この条件下で、固溶体膜10上に第二層11を形成した。第二層11の膜厚は8μmであり、第二層の組成は、LiNbO3 であった。波長633nmで、第二層11の常光屈折率は2.286であり、異常光屈折率は、2.193であった。
【0099】
この第二層11は、屈折率の関係から、十分に光導波路として使用できるものである。そして、実際に波長830nmのレーザー光を通して、この光導波路11の耐光損傷特性を測定したところ、2mWの出射光パワーにおいても、まったく光損傷は認められなかった。
【0100】
(実験5)
実験4と同様の方法によって図9の単結晶基板品13を作成した。
ただし、溶融体の仕込み組成を、Li2 O:V2 O5 :Nb2 O5 :Ta2 O5 =50:40:5:5とし、液相部分の飽和温度T2 を1015℃とし、過冷却度ΔTを40℃とし、成膜時間を15分間とした。この条件下で、第一層目の固溶体膜10を形成した。この膜厚は18μmであり、固溶体膜の組成がx=0.63であった。波長633nmで、固溶体膜10の常光屈折率は2.217であり、異常光屈折率は、2.189であった。
【0101】
次に、溶融体の仕込み組成を、Li2 O:V2 O5 :Nb2 O5 :Ta2 O=50:42.5:5:2.5とし、液相部分の飽和温度T2 を950℃とし、過冷却度ΔTを20℃とし、成膜時間を5分間とした。この条件下で、固溶体膜10上に第二層11を形成した。第二層11の膜厚は5μmであった。波長633nmで、第二層11の常光屈折率は2.263であり、異常光屈折率は、2.196であった。
【0102】
この第二層11は、屈折率の関係から、十分に光導波路として使用できるものである。そして、実際に波長830nmのレーザー光を通して、この光導波路11の耐光損傷特性を測定したところ、2mWの出射光パワーにおいても、まったく光損傷は認められなかった。
【0103】
(実験6)
成膜温度と固溶体膜中のタンタルの置換割合との関係を検討した。
図1の温度スケジュールに従って、液相エピタキシャル法によって成膜した。LiNbO3 ─LiTaO3 ─LiVO3 擬三元系を用いて、ニオブ酸リチウム単結晶基板上に固溶体膜を形成した。
【0104】
溶融体を、十分に高い温度T1 (1000°C〜1300°C)で3時間以上攪拌し、十分均一な液相の状態とした。その後、溶融体を保持温度T2 まで冷却した後、12時間以上保持した。その後、溶融体3の温度を、T2 から過冷却度ΔTだけ低い成膜温度T3 まで冷却し、ただちにニオブ酸リチウム単結晶基板6を液相部分4に接触させて成膜を行った。
【0105】
ただし、溶融体の仕込み組成は、モル比でLiNbO3 :LiTaO3 =80:20となるようにし、溶融体の飽和温度T0 が、成膜温度T3 よりも約100℃高くなるように、LiVO3 の割合を調節した。また、過冷却度ΔTは10℃に設定した。成膜温度T3 を、表6および図11に示すように種々変更し、固溶体膜を製造し、固溶体膜中のタンタルの割合xを測定した。この測定結果を表6および図11に示す。
【0106】
【表6】
【0107】
このように、成膜温度T3 と、タンタルの置換割合との間には、非常にリニアな対応関係があることを発見した。従って、この関係を利用すれば、成膜温度T3 を正確に設定すれば、固溶体膜中のタンタルの置換割合xをきわめて精密に制御、変更できることがわかった。
【0108】
また、成膜温度が1250℃を越えると、固溶体膜の形成は不可能であったが、これは、ニオブ酸リチウム単結晶基板の融点が約1250℃であるため、1250℃を越える温度で固溶体膜を形成することはできないからである。この観点からは、1230℃以下の成膜温度を採用することが好ましく、このときの固溶体膜のxは約0.8となった。
【0109】
また、成膜温度T3 を低下させていくと、タンタルの割合xも低下していくが、特に成膜温度が約750℃未満になると、膜中にタンタルを含有させることは困難になることが判明した。更に、固溶体膜を成膜するときに、過冷却状態の液相部分の温度を約800℃以上、1150℃以下とすることによって、xを0.1以上、0.6以下の範囲で変化させることができることも判る。
【0110】
このように、前記固溶体膜中のタンタルの割合xを自由に制御する技術は、本発明者が初めて発見したものであり、種々の用途に応じて特性を有する単結晶基板品を製造する上できわめて有用なことは明らかである。
【0111】
(実験7)
実験6で製造した各組成を有する固溶体膜について、X線ロッキングカーブの半値幅を測定した。また、これらの各固溶体膜に対して波長514.5nmのアルゴンレーザーを照射し、光損傷を生ずるしきい値を測定した。これらの結果を表7に示す。また、比較例として、タンタル酸リチウム単結晶基板上にニオブ酸リチウム単結晶薄膜を形成し、この膜について上記の測定を行った。
【0112】
【表7】
【0113】
成膜温度が1150℃以下では、非常に結晶性の良好な固溶体膜が得られるのに対して、成膜温度が1150℃を越えると、固溶体膜の結晶性が劣化していた。しかし、この場合にもタンタル酸リチウム単結晶基板上にニオブ酸リチウム単結晶薄膜を形成した場合とは同等以上の結晶性は得られている。このように成膜温度を1150℃以下とすることで固溶体膜の結晶性が向上した理由は明白ではないが、基板として使用したニオブ酸リチウムのキュリー温度が約1150℃であるので、1150℃を越える温度て成膜すると、基板が多分域化し、その結晶性が劣化してしまうからであろう。
【0114】
(実験8)
上記したような、固溶体膜の成膜温度を選択することによって、前記固溶体膜中のタンタルの割合xを精密に制御する技術は、特にシングルモード光導波路を製造する場合にきわめて有用である。なぜなら、シングルモード光導波路においては、導波される光の波長を一定値に設定し、光導波路の厚さを正確に制御できたとしても、更に光導波路の屈折率を正確に制御する必要があり、この許容範囲は一般に非常に狭い。
【0115】
しかし、前記固溶体膜におけるタンタルの割合が僅かに変動しても、光導波路の屈折率はかなり変動し、光の伝搬損失が顕著に増大する。このため、本発明者は、前記した発見にもとづいて、シングルモード光導波路が有する高度の伝搬特性を維持するための製造方法を研究した。
【0116】
20mol%LiNb0.8 Ta0.2 O3 ─80mol%LiVO3 擬三元系を用いて、実験6と同様にして、ニオブ酸リチウム単結晶基板上に固溶体膜を形成した。過冷却度ΔTは10℃に設定した。成膜温度T3 を、表8に示すように、900℃〜940℃の範囲内で変更し、各例の固溶体膜(厚さ20μm)を製造し、固溶体膜中のタンタルの割合xを測定した。
【0117】
更に、各固溶体膜について、プロトン交換法によって同一の条件下で光導波路を形成した。この際には、通常のフォトリソグラフィー法によって、各固溶体膜の表面に幅2μmのアルミニウムマスクパターンを形成し、この単結晶基板品を200℃の安息香酸中に15分間浸漬した。マスクをエッチングによって除去し、350℃で4時間光導波路をアニール処理し、プロトン交換光導波路を形成した。各例の光導波路に対して波長830nmの光を入射させ、伝搬損失を測定した。これらの測定結果を表8に示す。
【0118】
【表8】
【0119】
この結果からわかるように、xが0.246〜0.291の範囲内で伝搬損失が抑制されており、特にxが0.253〜0.272というきわめて狭い範囲内、即ち、xの範囲としては0.02というきわめて狭い範囲内で、光導波路の伝搬損失が最小限に抑えられている。このように、シングルモード光導波路においては、ニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体膜においてタンタルの割合xの許容範囲がきわめて小さいことが判る。
【0120】
これと同時に、成膜温度T3 とタンタルの割合xとはきわめて精密に、リニアに対応しており、成膜温度T3 を904℃〜932℃の範囲内とすること、更に好ましくは908℃〜920℃の範囲内とすることによって、光導波路の伝搬損失を最小限に抑制することができた。
【0121】
このように、本発明によって、成膜温度T3 の許容範囲を約10℃以下に設定することによって、伝搬損失の低いシングルモード光導波路を量産することが可能になった。
【0122】
(実験9)
図1の温度スケジュールに従って、LiNbO3 ─LiTaO3 ─LiVO3 擬三元系を用いて、ニオブ酸リチウム単結晶基板上に固溶体膜を形成した。溶融体を、十分に高い温度T1 (1000°C〜1300°C)で3時間以上攪拌し、十分均一な液相の状態とした。その後、溶融体を保持温度T2 まで冷却した後、12時間以上保持した。その後、溶融体3の温度を、T2 から過冷却度ΔTだけ低い成膜温度T3 まで冷却し、ただちにニオブ酸リチウム単結晶基板6を液相部分4に接触させて成膜を行った。
【0123】
ただし、溶融体の仕込み組成は、モル比でLiNbO3 :LiTaO3 =80:20となるようにし、溶融体の飽和温度T0 が、成膜温度T3 よりも約100℃高くなるように、LiVO3 の割合を調節した。また、過冷却度ΔTは10℃に設定した。成膜温度T3 を種々変更することによって、図12および表9に示すようなタンタルの置換割合(x)を有する固溶体膜を製造した。
【0124】
この単結晶基板の両面に白金の電極を設置し、電気炉内にこの単結晶基板を収容し、600℃で加熱した後、直流電圧を印加して、単分域化処理を行った。各組成を有する固溶体膜について、位相整合波長を測定し、表9および図12に示した。
【0125】
【表9】
【0126】
実験6等の結果からわかるように、固溶体膜を成膜するときに、過冷却状態の液相部分の温度を750℃以上、1250℃以下とすることによって、タンタルの置換割合xを0〜0.8の範囲で変化させることができ、かつ、過冷却状態の液相部分の温度を800℃以上、1150℃以下とすることによって、xを0.1以上、0.6以下の範囲で変化させることができる。そして、表9および図12の結果から判るように、xを0.0〜0.8の範囲内で変化させることによって、位相整合波長を1.0〜2.5μmの範囲内で制御することができる。更には、xを0.0〜0.6の範囲内で変化させることによって、位相整合波長を1.0〜1.6μmの範囲内で制御することができる。
【0127】
このように、固溶体膜中のタンタルの置換量を変化させることで、第二高調波の位相整合波長を前記範囲内で制御することができるので、本発明の素子はSHG素子として極めて有用である。また、前記した第二層もニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体膜であり、このタンタルの置換割合yについても、まったく同様の結果が得られる。
【0128】
(実験10)
実験4で製造した、図9の単結晶基板品13を使用し、第二高調波の発生実験を行った。即ち、固溶体膜10の膜厚は20μmであり、組成はx=0.35であった。第二層11の膜厚は8μmであり、組成は、LiNbO3 であった。
【0129】
この単結晶基板品13の端面に、波長1064nmのYAGレーザー(出力100mW)14を結合し、TEモードでYAGレーザーを第二層11の一方の端面に入射させ、第二層11の他方の端面から波長532nmの第二高調波を発生させた。この結果、シングルモードで約15mWの出力を得た。この出力において、第二層11および固溶体膜10における光損傷は、まったく認められなかった。このように、本発明のデバイスは、第二高調波発生素子としてきわめて優れて特性を有していた。
【0130】
(実験11)
実験5で製造した、図9の単結晶基板品13を使用し、第二高調波の発生実験を行った。即ち、第一層目の固溶体膜10の膜厚は18μmであり、組成はx=0.63であった。第二層11の膜厚は5μmであり、組成はy=0.42であった。
【0131】
この単結晶基板品13の端面に、波長1300nmのYAGレーザー(出力50mW)14を結合し、TEモードでYAGレーザーを第二層11の一方の端面に入射させ、第二層11の他方の端面から波長650nmの第二高調波を発生させた。この結果、シングルモードで約8mWの出力を得た。この出力において、第二層11および固溶体膜10における光損傷は、まったく認められなかった。このように、本発明のデバイスは、第二高調波発生素子としてきわめて優れて特性を有していた。
【0132】
(実験12)
前記した図1の温度スケジュールに従って、実験1と同様の方法に従って、液相エピタキシャル法によって、光学グレードのニオブ酸リチウム単結晶基板のZ面上に、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体からなるエピタキシャル膜を形成した。主としてLi2 O、Nb2 O5 、Ta2 O5 、V2 O5 からなる溶融体を使用した。この溶融体の仕込み組成は、モル比で、LiNb1-x Tax O3 とLiVO3 との比率が20:80となるように、前記の各成分を混合した。
【0133】
Li2 Oの仕込み量を変化させることによって、溶融体中におけるリチウムの含有割合/(タンタルの含有割合とニオブの含有割合との合計)を変化させ、これによって、作成する固溶体膜におけるリチウムの含有割合/(タンタルの含有割合とニオブの含有割合との合計)を制御した。
【0134】
本実験例では、表10に示すように、タンタルの置換割合xを変化させ、リチウムの含有割合/(タンタルの含有割合とニオブの含有割合との合計)は化学量論的組成比率である1.00に制御した。作成した膜の断面に垂直に、波長488nmのアルゴンレーザーを入射させ、出射した光のビームパターンの変化を観察することによって、膜の耐光損傷特性を測定した。この測定によって得られた光損傷のしきい値を、表10に示す。
【0135】
【表10】
【0136】
この結果から判るように、膜におけるリチウムの含有割合/(タンタルの含有割合とニオブの含有割合との合計)を化学量論的組成とした場合、タンタルの置換割合xが0.05未満になると、あるいは0.70を越えると、光損傷のしきい値が著しく減少しており、xを0.10以上、0.60以下とすることによって、1000W/cm2 以上のしきい値が得られ、実用的な光学素子として良好に使用できることが確認された。
【0137】
(実験13)
実験12と同様にして、光学グレードのニオブ酸リチウム単結晶基板のZ面上に、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体からなるエピタキシャル膜を形成した。LiO2 の仕込み量を変化させることによって、溶融体中におけるリチウムの含有割合/(タンタルの含有割合とニオブの含有割合との合計)を変化させ、これによって、作成する固溶体膜におけるリチウムの含有割合/(タンタルの含有割合とニオブの含有割合との合計)を制御した。
【0138】
本実験例では、表11に示すように、タンタルの置換割合xを0.3に固定し、リチウムの含有割合/(タンタルの含有割合とニオブの含有割合との合計)を、表11に示すように変化させた。各例の膜について、光損傷のしきい値を、実験12と同様にして測定した。
【0139】
【表11】
【0140】
この結果から判るように、膜におけるリチウムの含有割合/(タンタルの含有割合とニオブの含有割合との合計)を0.98以上、1.02以下とすることによって、光損傷のしきい値が著しく増大し、1000W/cm2 以上のしきい値が得られ、実用的な光学素子として良好に使用できることが確認された。このように顕著な作用効果が得られた理由は明確ではないが、化学量論的組成に近いために、結晶の完全性が高いためであろうかと思われる。
【0141】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明は、ニオブ酸リチウム単結晶基板上に、特定組成のニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体膜を有する新規な単結晶基板品を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】液相エピタキシャル法において、固相と液相とを共存させる方法における、溶融体の温度スケジュールを模式的に示すグラフである。
【図2】(a)、(b)は、ルツボ1内における溶融体の状態を模式的に示す断面図である。
【図3】液相エピタキシャル法において、固相と液相とを共存させる方法における、溶融体の温度スケジュールの他の例を模式的に示すグラフである。
【図4】LiNb1-x Tax O3 ─LiVO3 の擬二元系組成の相図である。
【図5】図4に示す相図を、LiNbO3 ─LiTaO3 ─LiVO3 の擬三元系組成について表示しなおした、三角図である。
【図6】本発明において固溶体膜の作成が可能な溶融体の組成の範囲を表示する、LiNbO3 ─LiTaO3 ─LiVO3 の擬三元系組成についての三角図である。
【図7】(a)、(b)および(c)は、上記の擬三元系組成において、LiTaO3 の割合と、基板からのニオブ酸リチウムの溶出速度と、基板上への固溶体膜の析出速度との関係を模式的に示すグラフである。
【図8】ニオブ酸リチウム単結晶基板6上に固溶体膜10を有する単結晶基板品12を模式的に示す正面図である。
【図9】ニオブ酸リチウム単結晶基板6、固溶体膜10および光導波路として機能する第二相を有する単結晶基板品13を、模式的に示す正面図である。
【図10】(a)は、本発明の単結晶基板品13を使用した第二高調波発生素子18を示す模式図であり、(b)は、リブ型の光導波路を備えた単結晶基板品19を示す斜視図であり、(c)は、単結晶基板品19を使用した第二高調波発生素子25を示す模式図である。
【図11】成膜温度T3 とタンタルの割合xとの関係を示すグラフである。
【図12】ニオブ酸リチウム─タンタル酸リチウム固溶体膜におけるタンタルの置換割合x(またはy)と、位相整合波長との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ルツボ,2 均一に溶融している溶融体,3 固相部分と液相部分とが共存している溶融体,4 液相部分,5 固相部分,6 ニオブ酸リチウム単結晶基板,10 固溶体膜,11 第二層,12、13 単結晶基板品,A (95、5、0)の組成を示す点,B (95、2、3)の組成を示す点,C (60、40、0)の組成を示す点,D(60、0、40)の組成を示す点,E(0、40、60)の組成を示す点,G 点A(95、5、0)と点C(60、40、0)とを結ぶ直線,H 点C(60、40、0)と点D(60、0、40)とを結ぶ直線,I 飽和温度1200℃以下の組成範囲を示す曲線,J 点B(95、2、3)と点E(0、40、60)とを結ぶ直線,K 点A(95、5、0)と点B(95、2、3)とを結ぶ直線[0001]
[Industrial application fields]
The present invention relates to a single crystal substrate product (particularly an optical waveguide substrate) including a lithium niobate single crystal substrate, an optical component using the same, a method for manufacturing a single crystal substrate product, and a method for manufacturing an optical component.
[0002]
[Prior art]
Lithium niobate (LiNbO Three ) Single crystal, lithium tantalate (LiTaO) Three ) Single crystals are expected as materials for optoelectronics such as second harmonic generation elements, optical modulators, and optical switch substrates. The liquid phase epitaxial method is expected as a method for forming a high-quality thin film with good crystallinity because a single crystal film can be formed at a lower temperature than the pulling method.
[0003]
For example, according to the description on pages 314 to 322 of "Journal of Crystal Growth" 46 (1979), a lithium niobate-lithium tantalate solid solution film is formed on a lithium tantalate single crystal substrate by liquid phase epitaxy. are doing. According to the description on
[0004]
An outline of a film forming method in the liquid phase epitaxial method will be described. First, for example, lithium niobate (solute) and LiVO Three (Melting medium) is charged and mixed. The saturation temperature corresponding to the charged composition of the melt is T 0 And The temperature of this melt is expressed as the saturation temperature T 0 Higher than T 1 And hold lithium niobate and LiVO Three And uniformly melt. The temperature of the melt is then changed to the saturation temperature T 0 To a lower temperature to bring the melt into a supercooled state. The substrate is brought into contact with the supercooled melt.
[0005]
In particular, a method of manufacturing an optical waveguide substrate, in which a single crystal film having a higher refractive index than that of a single crystal substrate is formed by liquid phase epitaxy and this single crystal film is used as an optical waveguide, has recently been developed. It is attracting attention as a method for manufacturing devices.
[0006]
Here, the refractive index of lithium tantalate is smaller than that of lithium niobate. Further, lithium niobate and lithium tantalate produce a solid solution at an arbitrary ratio, and the refractive index of the solid solution decreases as the ratio of tantalum increases. Therefore, a lithium tantalate single crystal substrate has been mainly used as a substrate for forming a lithium niobate-lithium tantalate solid solution film or a lithium niobate thin film by a liquid phase epitaxial method. This is because lithium tantalate has a lower refractive index than lithium niobate or lithium niobate-lithium tantalate solid solution. This is because it can be used.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
However, the Curie temperature of the lithium tantalate single crystal is about 600 ° C., and the film forming temperature in the liquid phase epitaxial method is 700 ° C. or higher. Therefore, even if a single-domain treated lithium tantalate single crystal substrate is used, the single crystal substrate becomes multidomain in the process of film formation, and the crystallinity deteriorates. Since it becomes multi-domain, it was difficult to produce a high-quality film. Moreover, in order to use such a multi-domain thin film as an optical device, it is necessary to perform a single domain process again. However, the crystallinity of the thin film is further damaged at the stage of the single domain process. I will give it.
[0008]
Furthermore, as for the lithium niobate single crystal substrate, an optical grade single crystal substrate with good crystallinity has been obtained. However, at the present stage, the lithium tantalate single crystal substrate manufactured by the pulling method has poor crystallinity as compared with the lithium niobate single crystal substrate. Even if a single crystal film is originally formed on a lithium tantalate single crystal substrate having poor crystallinity, a single crystal film having crystallinity superior to a film fabricated on an optical grade lithium niobate single crystal substrate is obtained. It is difficult.
[0009]
On the other hand, the Curie temperature of the lithium niobate single crystal substrate is about 1200 ° C., and the crystallinity of the substrate is sufficiently stable even at the film forming temperature in the liquid phase epitaxial method. . In addition, as described above, since a high-quality single crystal substrate is manufactured by a pulling method, it is easy to obtain.
[0010]
However, the melting point of lithium niobate is higher than that of the lithium niobate-lithium tantalate solid solution. As a result, the saturation temperature of the melt for liquid phase epitaxy increases as the tantalum ratio increases. Therefore, when the lithium niobate single crystal substrate is brought into contact with the melt, the solid solution film does not grow and the substrate dissolves. Therefore, the lithium niobate-tantalate is formed on the lithium niobate single crystal substrate. It has been considered difficult to form a lithium solid solution film.
[0011]
An object of the present invention is to form a film made of a lithium niobate-lithium tantalate solid solution having a melting point higher than that of a substrate on a lithium niobate single crystal substrate or the like by a liquid phase epitaxial method.
[0012]
[Means for Solving the Problems]
The present invention relates to LiNb 1-z Ta z O Three A single crystal substrate having a composition of (0 ≦ z <0.8) and a lithium niobate-lithium tantalate solid solution film formed on the single crystal substrate by a liquid phase epitaxial method The composition of the lithium niobate-lithium tantalate solid solution film is LiNb 1-x Ta x O Three (0 <x ≦ 0.8), and x and z satisfy the relationship of z <x. The present invention relates to a single crystal substrate product.
[0013]
The present invention also relates to a single crystal substrate product comprising a single crystal substrate and a single crystal film epitaxially grown on the single crystal substrate, wherein the composition of the single crystal film is LiNb. 1-x Ta x O Three (0 ≦ x ≦ 0.8), and the half width of the X-ray rocking curve of the single crystal film is smaller than the half width of the X-ray rocking curve of the single crystal substrate Is.
[0014]
The present invention also relates to a single crystal substrate product comprising a single crystal substrate and a single crystal film epitaxially grown on the single crystal substrate, wherein the composition of the single crystal film is LiNb. 1-x Ta x O Three (0.ltoreq.x.ltoreq.0.8), wherein the molar concentration of tantalum in the single crystal film is larger than the molar concentration of tantalum in the single crystal substrate. .
[0015]
The present invention also relates to a method for producing a single crystal substrate product as described above, wherein when the single crystal substrate is brought into contact with the supercooled liquid phase portion of the melt, the melt is mainly Li. 2 O Three , Nb 2 O Five , Ta 2 O Five And the composition of the liquid phase part is LiNbO as shown in FIG. Three ─LiTaO Three -In the triangular diagram of the melting medium pseudo ternary system, a straight line connecting A (95, 5, 0) and B (95, 2, 3), A (95, 5, 0) and C (60, 40, 0) ), A straight line connecting C (60, 40, 0) and D (60, 0, 40), a straight line connecting B (95, 2, 3) and E (0, 40, 60), and It is a composition ratio belonging to a region surrounded by a curve satisfying a saturation temperature of 1200 ° C. or lower.
[0016]
In addition, the present invention applies the above-described single crystal substrate product and its manufacturing method to various optical components, and particularly applies to a second harmonic generation element.
[0017]
Hereinafter, the background to the present invention will be described in detail.
The present inventor has reviewed the method of creating a supercooled state in the course of studying the liquid phase epitaxial method. Conventionally, the solute and the melting medium are first sufficiently melted at a sufficiently high temperature of 1000 to 1300 ° C., and then the temperature is lower than the saturation temperature corresponding to the charged composition, thereby creating a supercooled state. That is, it was common knowledge that it is necessary to create a supercooled state from a sufficiently high-temperature liquid phase.
[0018]
However, as a result of re-examination of the liquid phase epitaxial method by the present inventors, it has been found that a high-quality single crystal film cannot be formed with good reproducibility. The reason for this will be described. First, since the liquid phase epitaxial method can be formed at a lower temperature than the pulling method, a single crystal film with good crystallinity should be formed.
[0019]
However, as the concentration of solute increases, the saturation temperature increases and approaches the growth temperature in the pulling method. Therefore, in order to form a film with good crystallinity, it is necessary to form the film at as low a temperature as possible. From this viewpoint, it is preferable to form the film at a low temperature of 1000 ° C. or lower.
[0020]
However, on the other hand, when the solute concentration is lowered, particularly when the saturation temperature is 1000 ° C. or lower, the inclination of the liquidus becomes very large. Therefore, even when the concentration of the solute in the melt varies slightly, the saturation temperature varies greatly. In the liquid phase epitaxial method, the melt is first maintained at a temperature equal to or higher than the saturation temperature, and then the film is formed in a supercooled state at a film forming temperature lower than the saturation temperature. The crystallinity of the film is determined by this supercooled state, and this supercooled state is determined by the saturation temperature and the film forming temperature.
[0021]
Therefore, if the concentration of the solute in the melt varies slightly, it becomes impossible to form a film with good crystallinity. In particular, in the actual film forming process, when the film formation on the substrate is repeated, the composition of the melt changes immediately, and a constant solute concentration cannot be maintained. Therefore, it is difficult to form a film with good reproducibility.
[0022]
The inventor has focused on this point and has come up with a method that is essentially different from the conventional one. This method will be described with reference to FIGS. 1 and 3 are graphs schematically showing a temperature schedule of a melt in a novel liquid phase epitaxial method developed by the present inventors. 2A and 2B are cross-sectional views schematically showing the state of the melt in the
[0023]
First, the solute and the melting medium are charged into the
[0024]
First, the temperature of the melt is changed to the saturation temperature T 0 Higher than T 1 To melt the solute and the melting medium uniformly. In FIG. 1, “A” corresponds to this molten state. Moreover, as shown to Fig.2 (a), all the
[0025]
The temperature of the melt is then changed to the saturation temperature T 0 Lower solid-phase deposition temperature T 2 Allow to cool. In this state, the melt is initially in a supercooled state, but if it is kept at this temperature for a sufficiently long time, a solid phase is precipitated from the melt. In FIG. 1, “B” corresponds to the holding state for this solid phase precipitation. At this time, the melt 3 is separated into the
[0026]
Next, the temperature of the melt is lowered to bring the
[0027]
The following method was also examined. That is, as shown in FIG. 3, first, the temperature of the melt is changed to the saturation temperature T 0 Higher than T 1 To melt the solute and the melting medium uniformly. In FIG. 3, “A” corresponds to this molten state. The temperature of the melt is then changed to the saturation temperature T 0 Higher holding temperature T 2 Allow to cool. Of course, no solid phase precipitates at this stage. Therefore, a predetermined amount of solute is newly added to the melt. At this time, the saturation temperature of the melt is T 2 Higher than T Five To rise. This temperature T 2 And holding for a sufficiently long time, the state of the solid phase and the liquid phase is stabilized. In FIG. 3, “D” corresponds to a holding state in which the solid phase and the liquid phase coexist.
[0028]
Then the temperature of the melt is T Three Until the
In order to bring the liquid phase of the melt into a supercooled state, the temperature T 2 The temperature T 2 Lower temperature T Three A cooled substrate may be brought into contact with the substrate. As a result, the melt in the vicinity of the substrate surface has the temperature of the entire melt T 2 In the same manner as in the case of cooling, the film is overcooled and a film is formed on the substrate.
[0029]
Thus, in this method, states B and D (temperature T 2 ) As the starting point, from this stable state, the film formation temperature T Three The liquid phase portion is in a supercooled state by lowering the temperature to. As described above, in the state where the solid phase and the liquid phase coexist stably, the concentration of the solute in the liquid phase portion is maintained at the holding temperature T unless the saturation temperature of the entire system is exceeded. 2 At a saturated concentration.
[0030]
For example, when the concentration of the solute in the melt decreases, the holding temperature T 2 , The amount of the solid phase portion decreases correspondingly, and when the concentration of the solute increases, the amount of the solid phase portion increases accordingly. Therefore, the temperature and concentration of the liquid phase part are always kept constant. And the film formation temperature T Three Of course, since it is set to a constant value, T 2 And T Three (Supercooling degree) is also kept constant, and it becomes possible for the first time to completely control the supercooling state.
[0031]
As a result, the supercooled state is maintained almost completely constant even when the composition of the melt changes due to repeated film formation on the substrate in the actual film forming process. Therefore, a single crystal film with good crystallinity can be formed with high reproducibility.
[0032]
Moreover, according to this method, not only a single crystal film having a constant quality can be formed with good reproducibility, but also the crystallinity of the single crystal film itself has been remarkably improved. In particular, the present inventors have succeeded in forming a single crystal film in which the half-value width of the X-ray rocking curve is smaller than that of a single crystal substrate, which could not be produced conventionally.
[0033]
The reason for this is not clear, but is probably due to the following reasons. In the conventional method, when the substrate is brought into contact with the melt, the entire melt is in a uniform liquid phase. Therefore, at the moment when the substrate comes into contact with the melt, solid phase precipitation occurs for the first time in the entire liquid phase on the surface of the substrate. For this reason, it can be estimated that a relatively large nucleation energy is required to start the growth of the single crystal film. Therefore, since the nucleation energy is large when film growth is started at the interface between the substrate and the film, the crystallinity of the film is disturbed at this interface, and the crystallinity of the film deposited on this interface is It seems to reflect the disturbance.
[0034]
On the other hand, in this method, as shown in FIG. 2 (b), the
[0035]
The present inventor has realized a method for controlling the supercooling state in this way, and tried to produce a lithium niobate-lithium tantalate solid solution film on a lithium niobate single crystal substrate using this method. I tried. This is a combination that has conventionally been considered difficult due to solubility.
[0036]
As a result, it was surprisingly discovered that the above-mentioned solid solution film can be formed on a lithium niobate single crystal substrate in a considerably wide composition range, and the present invention has been achieved.
[0037]
In practice, the composition of the lithium niobate-lithium tantalate solid solution film is LiNb. 1-x Ta x O Three It was found that a solid solution film can be formed within the range of 0 <x ≦ 0.8.
[0038]
The inventor also doped a tantalum component into lithium niobate constituting the single crystal substrate to produce a single crystal substrate composed of a lithium niobate-lithium tantalate solid solution, on which lithium niobate is formed. ─ Tried to form a lithium tantalate solid solution film. As a result, it was confirmed that the solid solution film could be formed in a wide composition range as described above. The composition of this lithium niobate-lithium tantalate single crystal substrate is LiNb 1-z Ta z O Three (0 <z ≦ 0.8), where x and z satisfy the relationship z <x, so that (0 <z <0.8). That is, the solid solution film has a larger replacement ratio of tantalum than the substrate.
[0039]
This will be described more specifically. The melt for contacting the substrate is mainly Li 2 O, Nb 2 O Five , Ta 2 O Five Made of flux. Li 2 The amount of O charged is Nb 2 O Five , Ta 2 O Five And the total amount (number of moles) of the flux charged. The melt is LiNbO which is a solute component. Three And LiTaO Three And a solvent component (flux), LiNbO Three ─LiTaO Three ─ It can be considered as a quasi-ternary composition of the melting medium. The melt is LiNb which is a solute component. 1-x Ta x O Three LiNb consisting of a solvent component (flux) 1-x Ta x O Three ─ It can be considered as a quasi-binary composition of the molten medium. Such flux includes V 2 O Five , B 2 O Three , MoO Three , WO Three Can be illustrated as suitable.
[0040]
FIG. 4 shows LiNb 1-x Ta x O Three ─LiVO Three It is a phase diagram of a pseudo binary system composition. The horizontal axis is LiNb 1-x Ta x O Three The ratio is shown in mol%. The vertical axis represents temperature. FIG. 5 shows the phase diagram shown in FIG. 4 as LiNbO. Three ─LiTaO Three ─LiVO Three It is re-displayed as a triangular diagram of the quasi-ternary composition. Each numerical value from “900” to “1300” in FIG. 5 is a numerical value indicating the saturation temperature at each composition point.
[0041]
First, the composition of the liquid phase in the saturated state needs to be a portion having a saturation temperature of 1200 ° C. or lower in this triangular diagram. Because the Curie temperature of the lithium niobate single crystal substrate is about 1200 ° C., if the substrate is brought into contact with the liquid phase portion having a temperature exceeding 1200 ° C., the substrate becomes multi-domain, and the crystallinity of the substrate is reduced. This is because it causes damage and makes it difficult to produce a high-quality film. This composition range is indicated by curve I in the triangular diagram of FIG.
[0042]
From this viewpoint, in order to produce a high-quality film, it is preferable that the temperature of the supercooled liquid phase portion be 1150 ° C. or lower. This is because by adopting a film forming temperature of 1150 ° C. or lower, the crystallinity of the film is further improved, and when an optical waveguide is formed in the film, optical damage in the optical waveguide is remarkably reduced. The film forming temperature is preferably 750 ° C. or higher, and it is difficult to form the solid solution film at a film forming temperature lower than 750 ° C.
[0043]
The inventor tried to form films on the melts having various composition ratios in FIG. 5 by using the film forming method described above. As a result, it has been surprisingly discovered that the solid solution film can be stably formed within a considerably wide composition range.
[0044]
However, it was also confirmed that the composition range of the melt was within the composition range shown in the triangular diagram of the pseudo ternary composition in FIG. Here, the numbers in parentheses are (LiVO Three Number of moles of LiNbO Three Number of moles of LiTaO Three Number of moles).
[0045]
LiNbO Three Number of moles: LiTaO Three It has been found that the molar ratio of must be 40% or more and 60% or less. The reason for this is not clear, but was estimated as follows. This will be described with reference to the schematic graphs of FIGS. In each graph of FIG. 7, the vertical axis indicates the rate of elution or precipitation, and the horizontal axis indicates LiTaO. Three The number of moles of LiNbO Three The ratio with respect to the number of moles is shown.
[0046]
In order to deposit the solid solution film on the lithium niobate single crystal substrate, the deposition rate at which solid precipitates from the liquid phase is faster than the elution rate at which lithium niobate elutes into the supercooled liquid phase. Must-have. LiNbO Three The smaller the number of moles, that is, the more toward the right in the graph, the higher the solubility of lithium niobate in the melt, and as a result, the elution rate of lithium niobate increases. On the other hand, LiNbO Three The smaller the number of moles, the smaller the precipitation rate. As a result, at a certain point F, the elution rate of lithium niobate exceeds the deposition rate of the solid solution film, and film formation becomes impossible.
[0047]
Also, the degree of supercooling of the liquid phase seems to be important. FIG. 7 (a) is a graph when the degree of supercooling is large, FIG. 7 (b) is a graph when the degree of supercooling is smaller than that of FIG. 7 (a), and FIG. It is a graph in case a supercooling degree is smaller than b). As the degree of supercooling of the liquid phase decreases, the solid solution film deposition rate decreases and the temperature of the liquid phase increases, so that the elution rate of lithium niobate increases. As a result, LiTaO capable of film formation Three The molar ratio of decreases.
[0048]
Looking only at this graph, LiTaO Three In order to increase the molar ratio, the degree of supercooling should be increased. However, if the degree of supercooling is increased too much, the supercooled state cannot be stably controlled, and if it exceeds 50 ° C., the supercooled state cannot be maintained.
[0049]
For the above reasons, LiTaO in the liquid phase can be formed. Three The content ratio of is limited. Specifically, LiNbO Three When the number of moles of was less than 40%, film formation could not be carried out even if the degree of supercooling was precisely controlled so as to lower it to near 50 ° C. This composition range is indicated by a straight line J connecting point B (95, 2, 3) and point E (0, 40, 60) in the triangular diagram of FIG.
[0050]
In addition, the ratio of the solvent to the solute has a range in which a film can be formed. That is, LiVO Three In the case where the ratio is 60% or less, a high-quality film could not be formed. The reason for this is also not clear, but it is probably because the proportion of the solute in the liquid phase increases because the proportion of the solvent decreases and the proportion of the solute component increases, and the viscosity of the liquid phase portion increases. It is considered that the growth of the film is not performed smoothly and the crystallinity of the film is deteriorated. This composition range is indicated by a straight line H connecting the point C (60, 40, 0) and the point D (60, 0, 40) in the triangular diagram of FIG.
[0051]
In addition, when the solute ratio is 5% or less, the solute concentration becomes too thin, so that the solute concentration in the melt easily changes greatly as the film grows, so that the film cannot be formed. It is done. This composition range is indicated by a straight line K connecting point A (95, 5, 0) and point B (95, 2, 3) in the triangular diagram of FIG. This composition range is naturally surrounded by a straight line G connecting the point A (95, 5, 0) and the point C (60, 40, 0).
[0052]
The specific temperature control method of the liquid phase epitaxial method described with reference to FIGS. 1 to 3 was carried out in order to accurately and stably control the supercooled state for the above-described pseudo ternary composition. It is. However, if the supercooled state can be precisely and stably controlled by other methods, it is considered that a solid solution film within the scope of the present invention can be formed.
[0053]
In the above, the case of the lithium niobate single crystal substrate has been described. However, it has been found that these relations similarly apply to the case of a lithium niobate-lithium tantalate solid solution single crystal.
[0054]
In the above example, the flux is V 2 O Five We have explained the case of using. However, B as flux 2 O Three , MoO Three , WO Three When using, basically the same results were obtained.
[0055]
FIG. 8 is a front view schematically showing the single
[0056]
Here, when the material of the single crystal substrate is a lithium niobate-lithium tantalate solid solution single crystal, the tantalum ratio z is 0.8 or less, but z is 0.2 or less. Is preferred. This is because if the z is large, the Curie temperature of the single crystal substrate is lowered, but if this Curie temperature is lower than the film formation temperature, the single crystal substrate and the single crystal film are divided into multiple domains in the film formation process. This is because the property is impaired and a single-domain treatment process is required again. In addition, in order to form a film having particularly excellent crystallinity, it is necessary to raise the deposition temperature to some extent. From this point of view, if z is in the range of 0.2 or less, there is no possibility that the film forming temperature is lower than the Curie temperature of the single crystal substrate at the normal film forming temperature.
[0057]
Further, as schematically shown in FIG. 9, a single
[0058]
As a result, since the refractive index of the
[0059]
The single crystal substrate product according to the present invention can be widely used as a base material for various optical components. Examples of such optical components include optical external modulators used in optical communications, optical switches, optical amplifiers, optical pickups, SHG elements (second harmonic generation elements) used in optical pickups, and optical fiber gyroscope light used in optical measuring devices. An integrated circuit etc. can be mentioned. In this case, as shown in FIG. 9, the single
[0060]
In the single crystal substrate product of FIG. 9, the
[0061]
Each composition formula (LiNb 1-z Ta z O Three , LiNb 1-x Ta x O Three , LiNb 1-y Ta y O Three ) Is an expression method commonly used in this technical field, and as usual, in each composition formula, the ratio of atoms (Li) constituting the A site and atoms (Nb and Ta) constituting the B site Is not expressed.
[0062]
The solid solution film or single crystal substrate of the present invention can contain a rare earth element as a doping component. This rare earth element acts as an additive element for laser oscillation. As this rare earth element, Nd, Er, Tm, Ho, Dy, and Pr are particularly preferable.
[0063]
One or more metal atoms selected from the group consisting of zinc, scandium, magnesium, indium, titanium and vanadium can be contained in the solid solution film or the single crystal substrate. These elements have the effect of improving the light damage resistance.
[0064]
Furthermore, by adopting a film formation method as described with reference to FIGS. 1 to 3 in particular, to form the solid solution film having a smaller half-value width of the X-ray rocking curve than the optical grade lithium niobate single crystal substrate, An optical waveguide was formed on this, and the optical characteristics were measured. As a result, it was confirmed that the light damage resistance of the optical waveguide was remarkably improved. As a result, the single crystal substrate product of the present invention can be effectively used as various optical components.
[0065]
Here, the half width of the X-ray rocking curve will be described. The crystallinity of the single crystal substrate and the solid solution film can be evaluated by the half width of the X-ray rocking curve. In general, it can be determined that the smaller the half width, the better the crystallinity of the single crystal. Since this value itself varies depending on a reference crystal or the like used in the X-ray measuring apparatus, an absolute value cannot be specified.
[0066]
However, the crystallinity of the solid solution film produced by the liquid phase epitaxial method is strongly influenced by the crystallinity of the single crystal substrate. Therefore, in order to determine the superiority or inferiority of the crystallinity of the produced solid solution film, the half-value width of the X-ray rocking curve of the substrate used must be used as a reference. In particular, since the optical grade lithium niobate single crystal substrate is currently produced by the pulling method, the half width of the X-ray rocking curve of the solid solution film is smaller than that of the optical grade lithium niobate single crystal substrate. Is preferred.
[0067]
The difference between the holding temperature of the saturated liquid phase and the deposition temperature (degree of supercooling) is set to 20 ° C. or less from the viewpoint of further reducing the half-value width of the X-ray rocking curve of the single crystal film. More preferably.
[0068]
Next, an embodiment when the single crystal substrate product of the present invention is used as a second harmonic generation element will be described. FIG. 10A is a schematic diagram showing a second harmonic generation element using the single
[0069]
In the second
[0070]
As shown in FIG. 10B, a rib-type optical waveguide is formed by processing the
[0071]
In this case, for example, the
[0072]
When the single crystal substrate product of the present invention is applied to a practical device, strong light is often incident. However, when strong light is incident, a phenomenon in which characteristics such as a refractive index are changed, so-called optical damage phenomenon is a problem. It has become. For example, according to the description of “Appl. Phys. Lett.” 30, 1977, pp. 238 to 239, the lithium tantalate single crystal has better light damage resistance than the lithium niobate single crystal. Yes. Lithium niobate single crystals and lithium tantalate single crystals are usually manufactured by the pulling method, but lithium tantalate has a higher melting point than lithium niobate and is difficult to grow. It is difficult to obtain a single crystal.
[0073]
Both the lithium niobate and lithium tantalate single crystals grown by the normal pulling method have a harmonic melting composition (congruent composition). For example, in the lithium niobate single crystal, Li / Nb = 0. 946 (“J. Chem. Phys.” 56, 1972, pp. 4848-4851). Further, in lithium tantalate, for example, according to the description of “J. Crystal growth” 10, 1971, pp. 276 to 278, it was known that Li / Ta = 0.951. For example, “J. Crystal growth” 116, 1992, pp. 327 to 332 describes an example in which a lithium niobate single crystal having a stoichiometric composition is produced by a pulling method using a double crucible. However, the crystallinity of the crystal produced by this method is inferior to the congruent composition lithium niobate single crystal produced by the ordinary pulling method, and the light damage resistance is also inferior. As for lithium tantalate single crystals, there is no example in which a single crystal having a stoichiometric composition is produced by a pulling method, and the characteristics thereof have not been studied.
[0074]
However, the present inventor confirmed that the composition of the lithium niobate-lithium tantalate solid solution film in the single crystal substrate product of the present invention is LiNb. 1-x Ta x O Three (Within 0.05 ≦ x ≦ 0.70) Lithium content (A-site metal content) / (Total of tantalum and niobium content) (B-site metal) If the single crystal film having a composition close to the stoichiometric composition is used, the photodamage property of the film is remarkably improved. As a result, the present invention has been reached. In addition, the present inventor also sets the composition of the second layer to LiNb. 1-y Ta y O Three (0.05 ≦ y ≦ 0.70) and the content ratio of lithium / (total of the content ratio of tantalum and the content ratio of niobium) is 0.98 or more and 1.02 or less, and the same as above It has been found that the light damage resistance can be remarkably improved.
[0075]
Here, it has been found that the light damage resistance is remarkably improved by setting the substitution ratio x or y by tantalum to 0.05 or more. This is considered to be an effect by the addition of tantalum. In this sense, it is even more preferable that x or y is 0.1 or more. It was also confirmed that when x or y exceeded 0.7, the threshold value for photodamage was remarkably lowered. This is considered to be because when the content ratio of tantalum is larger than 0.70, the difference in lattice constant between the film and the substrate (lattice mismatch) increases, and the crystallinity deteriorates. From this viewpoint, it was even more preferable that x or y was 0.6 or less.
[0076]
Further, the lithium content ratio (A-site metal content ratio) / (total of tantalum content ratio and niobium content ratio) (B-site metal content ratio) is 0.98 or more and 1.02 or less. The reason why the light damage resistance is remarkably improved is not clear, but if the crystal composition is close to the stoichiometric composition, non-stoichiometric crystal defects are reduced and the crystal integrity is increased. it is conceivable that.
[0077]
【Example】
Hereinafter, more specific experimental results will be described.
(Experiment 1)
The film was formed by liquid phase epitaxy according to the temperature schedule shown in FIG. LiNbO Three ─LiTaO Three ─LiVO Three In the pseudo ternary system, the present invention was carried out under the conditions shown in Table 1.
[0078]
Each
[0079]
Thereafter, the temperature of the melt 3 is changed to T 2 Deposition temperature T lower than the degree of supercooling ΔT Three Then, the lithium niobate
[0080]
The obtained solid solution films are all LiNb. 1-x Ta x O Three The composition was The compositions of these solid solution films were measured, and the values of x are shown in Tables 1 and 2. Moreover, the half width of the X-ray rocking curve of each solid solution film was measured and shown in Tables 1 and 2.
[0081]
The half-value width of the X-ray rocking curve was measured using reflection on the (001) plane by a double crystal method. CuKα1 was used as the incident X-ray, and the (422) plane of GaAs single crystal was used as the monochromator.
[0082]
The half-value width of the X-ray rocking curve of the optical grade lithium niobate single crystal substrate used by the present inventors was 6.8 to 6.9 [arc sec]. This was used as a standard for crystallinity of the substrate.
[0083]
[Table 1]
[0084]
[Table 2]
[0085]
As can be seen from Table 1, when the film was formed at various holding temperatures, a solid solution having a small half-value width and a good crystallinity was within the composition range of the present invention when the saturation temperature was 1200 ° C. or lower. A film can be formed. In particular, in the composition range where the saturation temperature is 1150 ° C. or less, the solid solution film has a half width smaller than the half width of the lithium niobate single crystal substrate, that is, a solid solution film having better crystallinity than the substrate. Could be formed.
[0086]
On the other hand, as can be seen from the results shown in Table 2, it can be seen that when the saturation temperature exceeds 1200 ° C., the half width of the solid solution film is significantly deteriorated.
[0087]
Further, as can be seen from Table 1, by adopting a temperature schedule as shown in FIG. 1, no matter how the charged composition of the melt changes, there is a holding stage to precipitate the solid phase once, Film formation is possible in a very wide temperature range. And about each preparation composition of a melt, the said half value width of a solid solution film | membrane is very favorable in all.
[0088]
(Experiment 2)
In the same manner as in
[0089]
[Table 3]
[0090]
[Table 4]
[0091]
In each of the conditions employed in Tables 3 and 4, the saturation temperature is 1160 ° C. or less, the degree of supercooling is 15 ° C., and there is no problem in view of the results in Table 1. LiTaO Three The ratio is also in a range where a sufficiently high-quality solid solution film should be able to be formed as seen from each example in Table 1.
[0092]
In fact, when the ratio of the solvent in the composition of the liquid phase portion is in the range of 90 to 60%, a solid solution film having the half width smaller than that of the lithium niobate single crystal substrate can be formed. However, as shown in Table 4, when the ratio of the solvent is 95% or more, the half width is remarkably and rapidly deteriorated. In addition, when the proportion of the solvent is less than 60%, the half width is remarkably and rapidly deteriorated.
[0093]
(Experiment 3)
A solid solution film was formed in the same manner as in
[0094]
And LiNbO Three LiTaO for the number of moles Three The ratio of the number of moles was variously changed as shown in Table 5. And about each composition, the supercooling degree in which film-forming was possible was measured. The results are shown in Table 5.
[0095]
[Table 5]
[0096]
As can be seen from Table 5, LiNbO Three Number of moles: LiTaO Three When the number of moles was 12: 3, film formation was possible within a very wide range. When this was 10: 5, a minimum degree of supercooling of 15 ° C. was required, but still a good film was obtained. When this was 8: 7, a degree of supercooling of about 30 ° C. was required. Furthermore, when this is 6: 9, a degree of supercooling of about 45 ° C. or higher is required, and the film forming conditions have been very severely limited. This was the limit of film formation.
[0097]
(Experiment 4)
A single
However, the charge composition of the melt is Li 2 O: V 2 O Five : Nb 2 O Five : Ta 2 O Five = 50: 36: 9: 5, saturation temperature (holding temperature) T of the liquid phase part 2 Was 970 ° C., the degree of supercooling ΔT was 30 ° C., and the film formation time was 10 minutes. Under this condition, the first
[0098]
Next, charge composition of the melt is set to Li 2 O: V 2 O Five : Nb 2 O Five = 50: 40: 10, saturation temperature (holding temperature) T of the liquid phase part 2 Was 910 ° C., the degree of supercooling ΔT was 5 ° C., and the film formation time was 8 minutes. Under this condition, the
[0099]
The
[0100]
(Experiment 5)
A single
However, the charge composition of the melt is Li 2 O: V 2 O Five : Nb 2 O Five : Ta 2 O Five = 50: 40: 5: 5, saturation temperature T of the liquid phase part 2 Was 1015 ° C., the degree of supercooling ΔT was 40 ° C., and the film formation time was 15 minutes. Under this condition, the first
[0101]
Next, charge composition of the melt is set to Li 2 O: V 2 O Five : Nb 2 O Five : Ta 2 O = 50: 42.5: 5: 2.5, saturation temperature T of the liquid phase part 2 Was 950 ° C., the degree of supercooling ΔT was 20 ° C., and the film formation time was 5 minutes. Under this condition, the
[0102]
The
[0103]
(Experiment 6)
The relationship between the deposition temperature and the substitution ratio of tantalum in the solid solution film was examined.
The film was formed by liquid phase epitaxy according to the temperature schedule of FIG. LiNbO Three ─LiTaO Three ─LiVO Three A solid solution film was formed on a lithium niobate single crystal substrate using a pseudo ternary system.
[0104]
The melt is heated to a sufficiently high temperature T 1 The mixture was stirred at (1000 ° C to 1300 ° C) for 3 hours or more to obtain a sufficiently uniform liquid phase. Thereafter, the melt is held at a holding temperature T 2 And cooled to 12 hours or longer. Thereafter, the temperature of the melt 3 is changed to T 2 Deposition temperature T lower than the degree of supercooling ΔT Three Then, the lithium niobate
[0105]
However, the charge composition of the melt is LiNbO in molar ratio. Three : LiTaO Three = 80:20, the saturation temperature T of the melt 0 Is the deposition temperature T Three LiVO to be about 100 ° C. higher than Three The ratio of was adjusted. The degree of supercooling ΔT was set to 10 ° C. Deposition temperature T Three As shown in Table 6 and FIG. 11, various changes were made to produce a solid solution film, and the tantalum ratio x in the solid solution film was measured. The measurement results are shown in Table 6 and FIG.
[0106]
[Table 6]
[0107]
Thus, the film formation temperature T Three And the replacement ratio of tantalum has been found to have a very linear correspondence. Therefore, if this relationship is utilized, the film formation temperature T Three It was found that the tantalum substitution ratio x in the solid solution film can be controlled and changed with high precision if the value is set accurately.
[0108]
Further, when the film formation temperature exceeded 1250 ° C., it was impossible to form a solid solution film. However, since the melting point of the lithium niobate single crystal substrate was about 1250 ° C., the solid solution film was formed at a temperature exceeding 1250 ° C. This is because a film cannot be formed. From this point of view, it is preferable to adopt a film forming temperature of 1230 ° C. or less, and x of the solid solution film at this time is about 0.8.
[0109]
Also, the film formation temperature T Three However, it has been found that it becomes difficult to contain tantalum in the film, particularly when the film forming temperature is less than about 750 ° C. Further, when the solid solution film is formed, the temperature of the supercooled liquid phase portion is set to about 800 ° C. or higher and 1150 ° C. or lower, thereby changing x in the range of 0.1 or higher and 0.6 or lower. You can also see that you can.
[0110]
As described above, the technique for freely controlling the ratio x of tantalum in the solid solution film was first discovered by the present inventor. In producing single crystal substrate products having characteristics according to various uses. Clearly it is very useful.
[0111]
(Experiment 7)
About the solid solution film | membrane which has each composition manufactured in
[0112]
[Table 7]
[0113]
When the film formation temperature is 1150 ° C. or lower, a solid solution film having very good crystallinity can be obtained, whereas when the film formation temperature exceeds 1150 ° C., the crystallinity of the solid solution film is deteriorated. However, in this case, crystallinity equal to or higher than that obtained when a lithium niobate single crystal thin film is formed on a lithium tantalate single crystal substrate is obtained. The reason why the crystallinity of the solid solution film is improved by setting the film formation temperature to 1150 ° C. or less is not clear, but since the Curie temperature of lithium niobate used as the substrate is about 1150 ° C., 1150 ° C. If the film is formed at a temperature higher than that, the substrate will be divided into multiple regions, and the crystallinity will deteriorate.
[0114]
(Experiment 8)
The technique for precisely controlling the tantalum ratio x in the solid solution film by selecting the film formation temperature of the solid solution film as described above is extremely useful particularly when a single mode optical waveguide is manufactured. This is because in a single-mode optical waveguide, even if the wavelength of the guided light is set to a constant value and the thickness of the optical waveguide can be controlled accurately, it is necessary to further control the refractive index of the optical waveguide. Yes, this tolerance is generally very narrow.
[0115]
However, even if the tantalum ratio in the solid solution film slightly varies, the refractive index of the optical waveguide varies considerably, and the light propagation loss increases remarkably. For this reason, the present inventor has studied a manufacturing method for maintaining the high propagation characteristics of the single mode optical waveguide based on the above-described findings.
[0116]
20 mol% LiNb 0.8 Ta 0.2 O Three ─80mol% LiVO Three A solid solution film was formed on a lithium niobate single crystal substrate in the same manner as in
[0117]
Furthermore, an optical waveguide was formed on each solid solution film under the same conditions by the proton exchange method. At this time, an aluminum mask pattern having a width of 2 μm was formed on the surface of each solid solution film by a normal photolithography method, and this single crystal substrate product was immersed in benzoic acid at 200 ° C. for 15 minutes. The mask was removed by etching, and the optical waveguide was annealed at 350 ° C. for 4 hours to form a proton exchange optical waveguide. Light with a wavelength of 830 nm was incident on the optical waveguide of each example, and the propagation loss was measured. Table 8 shows the measurement results.
[0118]
[Table 8]
[0119]
As can be seen from this result, the propagation loss is suppressed when x is in the range of 0.246 to 0.291. In particular, x is within a very narrow range of 0.253 to 0.272, that is, as the range of x. Is within a very narrow range of 0.02, the propagation loss of the optical waveguide is minimized. Thus, it can be seen that in the single mode optical waveguide, the allowable range of the tantalum ratio x in the lithium niobate-lithium tantalate solid solution film is extremely small.
[0120]
At the same time, the film formation temperature T Three The ratio x of tantalum and x corresponds to the linearity very precisely, and the film-forming temperature T Three By setting the value in the range of 904 ° C. to 932 ° C., more preferably in the range of 908 ° C. to 920 ° C., the propagation loss of the optical waveguide could be suppressed to the minimum.
[0121]
Thus, according to the present invention, the film formation temperature T Three By setting the allowable range of about 10 ° C. or less, it becomes possible to mass-produce single mode optical waveguides with low propagation loss.
[0122]
(Experiment 9)
According to the temperature schedule of FIG. 1, LiNbO Three ─LiTaO Three ─LiVO Three A solid solution film was formed on a lithium niobate single crystal substrate using a pseudo ternary system. The melt is heated to a sufficiently high temperature T 1 The mixture was stirred at (1000 ° C to 1300 ° C) for 3 hours or more to obtain a sufficiently uniform liquid phase. Thereafter, the melt is held at a holding temperature T 2 And cooled to 12 hours or longer. Thereafter, the temperature of the melt 3 is changed to T 2 Deposition temperature T lower than the degree of supercooling ΔT Three Then, the lithium niobate
[0123]
However, the charge composition of the melt is LiNbO in molar ratio. Three : LiTaO Three = 80:20, the saturation temperature T of the melt 0 Is the deposition temperature T Three LiVO to be about 100 ° C. higher than Three The ratio of was adjusted. The degree of supercooling ΔT was set to 10 ° C. Deposition temperature T Three Were changed to produce a solid solution film having a tantalum substitution ratio (x) as shown in FIG. 12 and Table 9.
[0124]
Platinum electrodes were placed on both sides of the single crystal substrate, the single crystal substrate was placed in an electric furnace, heated at 600 ° C., and then subjected to a single domain treatment by applying a DC voltage. The phase matching wavelength of the solid solution film having each composition was measured and shown in Table 9 and FIG.
[0125]
[Table 9]
[0126]
As can be seen from the results of
[0127]
As described above, since the phase matching wavelength of the second harmonic can be controlled within the above range by changing the substitution amount of tantalum in the solid solution film, the element of the present invention is extremely useful as an SHG element. . The second layer is also a lithium niobate-lithium tantalate solid solution film, and the same result can be obtained for the tantalum substitution ratio y.
[0128]
(Experiment 10)
Using the single
[0129]
A YAG laser (
[0130]
(Experiment 11)
Using the single
[0131]
A YAG laser (output: 50 mW) 14 having a wavelength of 1300 nm is coupled to the end face of the single
[0132]
(Experiment 12)
In accordance with the temperature schedule of FIG. 1 described above, an epitaxial film made of a lithium niobate-lithium tantalate solid solution on the Z-plane of an optical grade lithium niobate single crystal substrate by a liquid phase epitaxial method according to the same method as in
[0133]
Li 2 By changing the charged amount of O, the content ratio of lithium in the melt / (total of the content ratio of tantalum and the content ratio of niobium) is changed, whereby the content ratio of lithium in the solid solution film to be produced / (Total of tantalum content and niobium content) was controlled.
[0134]
In this experimental example, as shown in Table 10, the tantalum substitution ratio x was changed, and the lithium content ratio / (total of the tantalum content ratio and the niobium content ratio) is a stoichiometric composition ratio. Control to .00. The optical damage resistance property of the film was measured by irradiating an argon laser having a wavelength of 488 nm perpendicular to the cross section of the formed film and observing the change in the beam pattern of the emitted light. Table 10 shows the threshold values for optical damage obtained by this measurement.
[0135]
[Table 10]
[0136]
As can be seen from this result, when the lithium content ratio / (total of the tantalum content ratio and the niobium content ratio) in the film is stoichiometric, the tantalum substitution ratio x is less than 0.05. Or exceeding 0.70, the threshold of photodamage is remarkably reduced, and by setting x to 0.10 or more and 0.60 or less, 1000 W / cm 2 The above threshold values were obtained, and it was confirmed that they could be used favorably as practical optical elements.
[0137]
(Experiment 13)
In the same manner as in
[0138]
In this experimental example, as shown in Table 11, the tantalum substitution ratio x is fixed at 0.3, and the lithium content ratio / (total of the tantalum content ratio and the niobium content ratio) is shown in Table 11. Was changed. For each example film, the threshold for photodamage was measured as in
[0139]
[Table 11]
[0140]
As can be seen from this result, by setting the lithium content ratio / (total of the tantalum content ratio and the niobium content ratio) in the film to be 0.98 or more and 1.02 or less, the threshold of photodamage is reduced. Increased significantly, 1000 W / cm 2 The above threshold values were obtained, and it was confirmed that they could be used favorably as practical optical elements. The reason why such a remarkable effect is obtained is not clear, but it seems to be because the crystal has high integrity because it is close to the stoichiometric composition.
[0141]
【The invention's effect】
As described above, the present invention provides a novel single crystal substrate product having a lithium niobate-lithium tantalate solid solution film having a specific composition on a lithium niobate single crystal substrate.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a graph schematically showing a temperature schedule of a melt in a method in which a solid phase and a liquid phase coexist in a liquid phase epitaxial method.
FIGS. 2A and 2B are cross-sectional views schematically showing the state of a melt in the
FIG. 3 is a graph schematically showing another example of a temperature schedule of a melt in a method in which a solid phase and a liquid phase coexist in a liquid phase epitaxial method.
FIG. 4 LiNb 1-x Ta x O Three ─LiVO Three It is a phase diagram of a pseudo binary system composition.
FIG. 5 shows the phase diagram shown in FIG. 4 as LiNbO. Three ─LiTaO Three ─LiVO Three It is a triangle figure re-displayed about the pseudo ternary system composition of.
FIG. 6 shows LiNbO, which displays the range of the composition of the melt capable of producing a solid solution film in the present invention. Three ─LiTaO Three ─LiVO Three It is a triangle figure about the pseudo ternary system composition of.
7 (a), (b) and (c) show LiTaO in the pseudo ternary composition described above. Three 5 is a graph schematically showing the relationship between the ratio of the above, the elution rate of lithium niobate from the substrate, and the deposition rate of the solid solution film on the substrate.
FIG. 8 is a front view schematically showing a single
FIG. 9 is a front view schematically showing a single
10A is a schematic diagram showing a second
FIG. 11 shows film formation temperature T Three It is a graph which shows the relationship between the ratio x of tantalum.
FIG. 12 is a graph showing the relationship between the tantalum substitution ratio x (or y) in the lithium niobate-lithium tantalate solid solution film and the phase matching wavelength.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
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