JP3725522B2 - 超音波診断装置及びその保守管理方法並びにその保守管理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波診断装置等の医療用画像診断装置及びその保守管理方法並びにその保守管理システムに係り、特に遠隔地からネットワークを介してリモートコントロールで保守管理を行う構成の工夫に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置には、本来の機能のほか、システム設定を変更したり、ソフトウェアをアップグレードしたり、システム診断を行ったりする等のサービス・メンテナンス機能も設けられている。このようなサービス・メンテナンス機能は、通常、装置本体に搭載されている。従って、実際にサービス・メンテナンス作業を行うサービス員等のオペレータは、その作業時に装置本体を直接操作してそのサービス・メンテナンスを行うようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−62130号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来例の超音波診断装置では、サービス・メンテナンス時に、サービス員は超音波診断装置が設置されている施設に出向いて作業を行う必要があった。このため、サービス員の移動に費やされる時間によりサービス・メンテナンスの完了までの作業時間が長くなる。この作業時間は、超音波診断装置を操作するオペレータから見ると、超音波診断装置の故障に伴うダウンタイムに相当する。つまり、サービス・メンテナンスの作業時間が長くなれば、超音波診断装置が使用できない時間も長くなり、診療等に支障をきたす場合も考えられる。
【0005】
また、ソフトウェアをアップグレードする際のメディアの配布・管理が煩雑で時間がかかると共に誤りも発生することが考えられる。さらに、サービス・メンテナンス作業の内容についてはその情報を収集・管理するのは煩雑で時間がかかる作業である。
【0006】
以上のことは、超音波診断装置以外の医療用画像診断装置の場合も同様である。
【0007】
また、以上のことは、超音波診断装置等の医療用画像診断装置についての修理/故障診断/定期点検等の保守管理作業の場合についても同様である。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたもので、保守管理に必要な時間及び超音波診断装置等の医療用画像診断装置のダウンタイムを短縮することを、その目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴は、以下の通りである。
【0010】
請求項1記載の発明に係る超音波診断装置の保守管理方法は、通信回線を介して接続された遠隔地のコンピュータにより超音波プローブを有する超音波診断装置を保守管理する方法であって、前記超音波診断装置の制御回路が、該超音波診断装置の使用状況に関するログデータを作成するステップと、前記超音波診断装置のインターフェイス回路が、前記ステップにおいて作成されたログデータを前記通信回線を介して前記遠隔地のコンピュータに送信するステップと、前記コンピュータのサーバが、前記ステップにおいて受信したログデータを、前記遠隔地のコンピュータ上の所定のデータベースを構成するデータとしてデータベース・システムに記憶させるステップと、前記コンピュータのサーバが、前記データベースを構成するデータとしてデータベース・システムに記憶されたログデータを元に前記超音波診断装置毎及び該超音波診断装置を使用する技師毎の超音波画像の静止画の記録効率(記録成功率)を含む使用状況を解析するステップと、該解析ステップにおいて得られた解析結果を、前記超音波診断装置毎及び該超音波診断装置を使用する技師毎に出力するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に係る医療用画像診断装置の保守管理方法において、前記超音波診断装置毎及び該超音波診断装置を使用する技師毎の超音波画像の静止画の記録効率(記録成功率)は、超音波画像のフリーズ回数及びその記録回数の所定の理想記録回数と比較可能に出力されることを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の発明に係る超音波診断装置は、超音波プローブを有する超音波診断装置の使用状況に関するログデータを作成するログ作成手段と、前記ログ作成手段により作成されたログデータを所定の記録媒体上に記録させるログ記録手段と、前記ログ記録手段により前記記録媒体上に記録されたログデータを元に前記超音波診断装置毎及び該超音波診断装置を使用する技師毎の超音波画像の静止画の記録効率(記録成功率)を含む使用状況を解析する解析手段と、該解析手段により得られた解析結果を、前記超音波診断装置毎及び該超音波診断装置を使用する技師毎に出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明に係る保守管理システムは、遠隔地の超音波診断装置と通信回線を介して接続され、サーバとデータベース・システムとを有する保守管理システムにおいて、該サーバは、前記超音波診断装置の使用状況に関するログデータを受信する手段と、前記ログデータをデータベースとして記憶する手段と、前記ログデータに記憶されたログデータを元に前記超音波診断装置毎及び該超音波診断装置を使用する技師毎の超音波画像の静止画の記録効率(記録成功率)を含む使用状況を解析する解析手段と、該解析手段により得られた解析結果を、前記超音波診断装置毎及び該超音波診断装置を使用する技師毎に出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る医療用画像診断装置及びその保守管理方法並びにその保守管理システムの実施形態を図面を参照して具体的に説明する。以下の例では、医療用画像診断装置に超音波診断装置を例示してあるが、本発明はこれに限らず、X線診断装置、CTスキャナ、MRI、核医学診断装置、内視鏡装置等のモダリティに適用可能である。
【0018】
図1は、本例の医療用画像診断装置(本例では超音波診断装置)の保守管理システムの概要を説明するものである。図1において、被検者の画像診断が行われる病院側には、医療用画像診断装置の一例としての超音波診断装置100と、システム利用者が利用するPC(パーソナルコンピュータ)等のコンピュータ端末200とが設置されている。
【0019】
また、図1において、超音波診断装置100の保守管理を管轄すべき遠隔地のセンター側には、サービスシステムを構成する保守管理システムMSが配置されている。この保守管理システムMSと、超音波診断装置1及びコンピュータ端末200とは、図1に示すように、公衆回線、専用回線等の通信回線CLを介してTCP/IP等の標準化された通信プロトコルに基づいて超音波診断装置100の保守管理に関する各種制御信号や情報の通信が可能となっている。
【0020】
ここで、病院側の超音波診断装置100とセンター側の保守管理システムMSとに分けて、その詳細を説明する。
【0021】
まず、病院側に置かれる超音波診断装置100は、被検体内の診断部位に超音波ビームを送受信してその超音波エコー信号を元に超音波画像を取得/表示する通常のシステムを適用したもので、超音波プローブ111と、この超音波プローブ111が接続される装置本体112とで構成される。
【0022】
超音波プローブ111には、例えばセクタ式電子走査型、リニア式走査型、機械走査型等の各種タイプのものが適用され、複数の圧電振動子がアレイ状に配列されたプローブ先端部を有する。この超音波プローブ111によれば、装置本体112からの駆動電圧を超音波パルス信号に変換してその超音波パルス信号をプローブ先端部から被検体内の診断部位の所望方向に送信すると共に、プローブ先端部で被検体の体内組織の音響インピーダンスの異なる境界で反射され又は微小散乱体により後方散乱された超音波エコー信号をこれに対応する電圧信号に変換してその電圧信号を装置本体112に供給するようになっている。
【0023】
また、この超音波プローブ111には、その図示しない本体の適宜位置に加速度センサ111aが設けられている。この加速度センサ111aは、超音波プローブ111の振動等に伴う加速度を計測し、その計測値を装置本体112に供給するようになっている。
【0024】
図2は、超音波診断装置100の装置本体112の概要を説明するものである。図2において、装置本体112には、モニタ113、操作パネル114、及びシステム保守モード用スイッチ115が搭載される。
【0025】
この内、操作パネル114には、被検体の超音波診断で用いる各種モード(例えば、Bモード、ドプラモード、Mモード、CFMモード、アンギオモード、TDIモード、THIモード、計測モード等)、超音波画像のフリーズボタン、その静止画/VTRの記録ボタン、その他の条件設定や変更等のユーザからの指示を入力するためのボタン、スイッチ、キーボード、マウス、トラックボール等の入力デバイスが装備されている。
【0026】
また、システム保守モード用スイッチ115は、超音波診断装置100の保守管理時に使用されるもので、例えば、操作パネル114上の入力デバイスとして一体に搭載されたり、或いはモニタ113の画面上に表示されるポインタ、メニュー、ボタン等のソフトウェアによる指示手段で構成される。このシステム保守モード用スイッチ115は、これに限らず、音声による起動/選択等の他の指示手段も採用できる。
【0027】
上記の装置本体112には、図2に示すように超音波プローブ111に接続された送受信回路121、この送受信回路121の受信側に置かれた振幅検出器122、血流情報検出器123、データメモリ124、DSC(デジタル・スキャン・コンバータ)125、画像メモリ126、及びこれらの全体の制御中枢を担う制御部127が搭載される。
【0028】
送受信回路121は、図2に示すように発振器(パルス発生器)131、送信側及び受信側の遅延回路132、パルサ133、スキャン・コントローラ134、プリアンプ135、及び加算器136を備える。
【0029】
発振器131は、超音波プローブ111からの超音波ビームの繰り返し周波数を決定するレートパルスを発生し、そのレートパルスを超音波プローブ111の各振動子数に応じた送信チャンネル数分に分配して遅延回路132に送る。遅延回路132は、スキャン・コントローラ134から指令されたタイミング信号に応じて遅延時間を可変設定し、その遅延時間をレートパルスに付加して送信チャンネル毎にパルサ133に供給する。パルサ133は、レートパルスを受けたタイミングで超音波プローブ111の各振動子(送信チャンネル)毎に電圧パルスを与える。
【0030】
これにより、送受信回路121では、超音波プローブ111の各振動子に与える電圧パルスのタイミングを変えることにより、超音波プローブ11から被検体内に照射される超音波ビームを電子的に走査したり、フォーカスをかけたりする。この際、スキャン・コントローラ134の制御により遅延回路132に与える遅延時間を可変することにより、超音波ビームの方向(ラスタ方向)を可変できる。
【0031】
このように送信された超音波ビームは、被検体内の音響インピーダンスの不連続面で反射される。この反射超音波信号は、再び超音波プローブ111で受信され、対応する電圧量の反射波信号に変換される。この反射波信号は、プリアンプ135で増幅され、遅延回路132により送信時と同一の遅延時間が与えられた後、加算器136で加算され、振幅検出器122及び血流情報検出器123に送られる。
【0032】
振幅検出器122は、送受信回路121内の加算器136からの出力を受けて超音波ビームの各ラスタ方向における反射波の強度を検出し、その検出信号を各ラスタの輝度情報、すなわちBモード画像(断層像)情報としてデータメモリ124を介してDSC125に送る。
【0033】
血流情報検出器123は、ドプラシフト検出器141及びカラードプラ用のMTI(Moving Target Indicator)演算部142を備える。
【0034】
ドプラシフト検出器141は、直交検波方式によりドプラ偏移周波数を検出する回路であり、例えば送受信回路121内の発振器131の出力側にその位相を90度変換する移相器143と、加算器136の出力側に2チャンネルに分かれてミキサ144、144、及びローパスフィルタ(LPF)145、145とを備える。
【0035】
各ミキサ144、144は、加算器136の出力と、発振器131の出力及び位相器143の出力とをそれぞれ掛け合わせてドプラ偏移周波数と高周波成分(2倍の送信周波数+ドプラ偏移周波数)を得て、各LPF145、145に送る。
【0036】
各LPF145、145は、各ミキサ143、143の出力から高周波成分を除去し、ドプラ偏移周波数の極性も検出可能なコサイン成分及びサイン成分として、MTI演算部142に送る。
【0037】
MTI演算部142は、各LPF145、145の出力側に順次、図示しないA/D変換器、MTIフィルタ146、146、自己相関器147、平均速度演算回路148、分散演算回路(速度分布演算回路)149、及びパワー演算回路150を備える。
【0038】
各MTIフィルタ146、146は、例えばハイパス特性のデジタルフィルタからなり、各LPFのA/D変換後の出力に対して固定反射体(血管壁、心壁等)からの不要な反射波(クラッタ成分)を取り除き、自己相関器147を介して平均速度、分散(速度分布)、パワーの各演算回路148〜150に供給する。
【0039】
平均速度、分散、パワーの各演算回路 148〜150は、平均速度(又は最高速度)、速度分布(又は速度分布値)、血流からの散乱パワー情報を演算し、これらを血流情報としてデータメモリ124を介してDSC125に供給する。
【0040】
DSC125は、振幅検出器122からのBモード画像情報と、血流情報検出器123からの血流情報とを標準テレビジョン方式の画像フォーマットに変換し、これらの画像を画像メモリ126を介してモニタ113に出力する。これにより、通常の検査状態では、モニタ113の画面上に所定フォーマットのBモード画像や血流情報が表示される。
【0041】
制御部127には、操作パネル14に接続された制御回路128、システム保守モード用スイッチ115に接続されたセキュリティ設定回路129、及び通信用のインターフェース回路130が含まれる。
【0042】
制御回路128は、例えばCPU及びメモリ等の記録媒体を含むマイクロコンピュータを搭載してなり、その記録媒体に予め記録した処理アルゴリズムをCPUで実行することにより、操作パネル114やシステム保守モード用スイッチ115からのユーザによる指示に基づいて超音波診断装置100内の各構成要素の動作や機能を制御したり、超音波診断装置1の修理/故障診断/定期点検などの保守管理時に、センター側の保守管理システムMSとの間で行われる通信を制御して予め設定された保守管理に関する処理を実行したりする。
【0043】
特に、この制御回路128は、そのCPUによる処理により、超音波診断装置100の使用状況データとして、ログデータを作成/収集し、そのログデータを例えば制御回路128内のメモリ等の記憶媒体内に記憶し、そのログデータを定期的にインターフェース回路130を介して通信回線CL経由で保守管理システムMSに送る。また、超音波診断装置100の使用状況データとして、超音波プローブ111に設けられた加速度センサ111aからの計測データを収集し、その計測データを定期的にインターフェース回路130を介して通信回線CL経由で保守管理システムMSに送る。
【0044】
セキュリティ設定回路129は、例えばCPU及び記録媒体等を有するマイクロコンピュータを搭載してなり、その記録媒体にソフトウェア又はファームウェアとして予め記録した処理アルゴリズムをCPUが実行することにより、本装置100の電源投入時に例えばモニタ113上にユーザIDやパスワード等の入力を促すログオン(ログイン)画面を表示させ、その入力操作に必要なスイッチ(操作パネル114上のスイッチ又はシステム保守モード用スイッチ115)のみを許可し、その他のスイッチや機能等の動作をユーザに応じて制限する。
【0045】
この場合には、電源投入直後に予め設定されたデフォルトユーザ等のアカウントでログオンしたユーザに対してはサービス機能や患者情報アクセス機能を動作させる権限を制限することも可能である。なお、セキュリティ設定回路129は制御回路128と一体に構成することも可能である。
【0046】
次に、センター側に置かれる保守管理システムMSは、図1に示すように、超音波診断装置100に通信回線CLを介して接続される遠隔地のコンピュータとして機能するサーバ300と、このサーバ300により処理/解析すべき超音波診断装置100の使用状況データを管理するデータベース・システム400とを備える。
【0047】
図3は、病院側の超音波診断装置100とセンター側の保守管理システムMSとの間の処理シーケンスの概要を説明するものである。
【0048】
図3において、超音波診断装置100は、その制御部127の処理により、超音波診断装置100の使用状況データとしてログデータ(ログファイル又は履歴ファイル)を作成する(ステップSt11)。
【0049】
図4は、このログデータの一例を示す。この例におけるログデータは、図4に示すように、技師等のシステム使用者による超音波診断装置100の各操作内容(例えば、新しい患者に対する患者情報入力、Bモードスキャン開始、フリーズON、フリーズOFF、フリーズON、静止画記録、…、ドプラモード開始、フリーズON、静止画記録、VTR記録、VTR終了、…、次の患者に対する患者情報入力、…、等)毎の日時情報が時系列に記録されたものである。
【0050】
次いで、前述の図3において、超音波診断装置100は、上記のように作成したログデータを定期的に、例えば1ヶ月毎に通信回線CL経由でセンター側の保守管理システムMSに送信する(ステップSt12)。
【0051】
これに応答して、図3に示すように、保守管理システムMSは、そのサーバ300の処理により、超音波診断装置100から送られてくるログデータを受信すると(ステップSt13)、そのログデータをデータベース・システム400上のデータベースを構成するデータとして記憶すると共に、そのログデータを元に超音波診断装置100の使用状況を解析する(ステップSt14)。
【0052】
図5は、このサーバ300による解析結果データの一例を示すものである。図5に示す解析結果データでは、システム使用者である技師毎の識別番号に相当する技師ID(OP1、OP2、OP3、…、OPn)、超音波診断装置100毎の識別番号に相当する装置ID(A1、A2、A3、…、An)、患者毎の識別番号に相当する患者ID(PT1、PT2、PT3、…、PTn)、検査日時、Bモード使用時間、ドプラモード使用時間、カラーモード(CFMモード)、Mモード、超音波画像のフリーズ回数、静止画の記録回数、及びVTRの記録回数の各項目毎の情報が含まれる。この解析結果のその他の項目には、例えば超音波診断用のアンギオモード、TDIモード、THIモード、計測モードの各使用時間や、フリーズ回数に対する記録回数の比率、超音波診断装置で使用されたワークフローの種類等の情報も含まれる。
【0053】
次いで、前述の図3において、サーバ300は、その解析結果データを必要に応じて電子メールの添付ファイル等の所定形式のデータに変換してTCP/IP等の通信プロトコルに基づいて通信回線CL経由で病院側のコンピュータ端末200に送信する(ステップSt15)。
【0054】
これに応答して、図3に示すように、コンピュータ端末200は、その図示しないCPUによる処理により、センター側のサーバ300から送られてくる解析結果データを受信すると(ステップSt16)、その解析結果データを必要に応じてシステム利用者が超音波診断装置100の使用状況を評価しやすいように予め決められた表示フォーマットのリスト(一覧表)、グラフ、画像等の表示データに変換して画面上に表示する(ステップSt17)。
【0055】
図6〜図8は、この解析結果データのグラフ化の一例を説明するものである。
【0056】
図6に示す解析結果データのグラフは、装置ID又は技師ID毎に、所定期間(1ヶ月等)内の各モード(ドプラ、B、M、CFM、アンギオ、TDI、THI、計測等)の使用状況を評価するもので、横軸がモードの種類、縦軸が各モードの使用時間をそれぞれ示す。この例では、装置IDがAnの超音波診断装置100又は技師IDがOPnの技師の場合を示しており、どのモード(検査)がよく使用されているか、或いは使用されていないか等の超音波診断装置100の使用状況の評価を容易に行えるようになっている。
【0057】
図7に示す解析結果データのグラフは、装置ID又は技師ID毎の各モードの使用時間を評価するもので、横軸が装置ID又は技師ID、縦軸が各モードの使用時間をそれぞれ示す。この例では、装置IDがA1とA2(又は技師IDがOP1とOP2)の2つの場合を示しており、各モードの使用時間の合計値は、装置IDがA2(又は技師IDがOP2)よりもA1(又は技師IDがOP1)の方が大きくなっている。これは両者の各モード使用時間の内の例えばBモード等の使用時間の違いを反映している。
【0058】
このことから、例えば技師の例を考えると、技師IDがOP1の技師は、技師IDがOP2の技師と比べ、相対的に検査に要する時間が長くなっており、その理由の1つとしてBモードの検査に時間を要しているためである等の技師毎の検査パフォーマンスの相対評価も可能となる。
【0059】
図8に示す解析結果データのグラフは、装置ID(又は技師)毎の超音波画像の静止画の記録効率(記録成功率)を理想の場合と比べて評価するもので、横軸が装置ID又は技師ID、縦軸が超音波画像のフリーズ回数n1及びその記録回数n2をそれぞれ示す。この例では、理想の場合は超音波画像のフリーズ回数n1及びその記録回数n2がそれぞれ理想記録回数nに等しい場合(フリーズ回数:記録回数=n1:n2=n:n)であるものと想定している。
【0060】
この例では、図8に示すように、装置IDがA1(又は技師IDがOP1)の場合は、記録回数n2は理想記録回数nに等しいものの、フリーズ回数n1が理想記録回数nよりも多くなっている(n1>n)。このことから、例えば技師の例を考えると、技師IDがOP1の技師の場合は、静止画の記録回数(記録枚数)は理想的であるが、フリーズ回数が理想の場合よりも大きく、その分、検査時間にロスが生じている等の評価が可能となる。
【0061】
また、図8に示すように、装置IDがA2(又は技師IDがOP2)の場合は、フリーズ回数n1及び記録回数n2の比率は1であるが、いずれも理想記録回数nより多くなっている(n1>n、n2>n)。このことから、例えば技師の例を考えると、技師IDがOP2の技師の場合は、フリーズ回数に対する静止画の記録回数(記録枚数)の比率を元にした記録成功率は高いものの、フリーズ回数及び記録回数のいずれもが理想の場合よりも大きく、その分、検査時間のロス及び記録枚数のロスが生じている等の評価が可能となる。
【0062】
従って、本例によれば、以上のように超音波診断装置の使用状況の評価が可能となるため、装置ID毎にその使用態様に応じて定期点検や部品交換等の保守管理を行ったり、その保守管理計画を立てたりでき、さらに技師毎の検査パフォーマンスを検査毎にきめ細かく且つ容易に評価したり、技師毎に検査効率向上のための改善計画を立てたりできるようになる。これは、病院経営の面からも有益なものとなる。
【0063】
また、上記で得られる超音波診断装置の使用状況に関するデータは、これとは別途に得られる患者の症例(肝機能障害、胆石、膵炎等)に関するデータと互いに関連づけることも可能である。この場合には、患者の症例毎に例えば各モードの検査時間を対比/評価したりする等、上記の効果をより一層高めることが可能となる。
【0064】
なお、上記の例では、超音波診断装置の使用状況を解析/評価するためのデータとしてログデータを用いた場合を説明しているが、これに加え、超音波プローブの劣化情報や、加速度センサからの計測値が所定値を越えた日時の情報やその回数の情報を用いることも可能である。特に、加速度センサからの計測値を元にした情報を用いれば、ログデータからは把握しにくい超音波プローブの移動に関する使用状況(どれぐらいの振動や衝撃をどの程度受けた等)をより正確に把握でき、その点検や修理等の保守管理を効率よく実施できる。
【0065】
また、超音波プローブの劣化情報としては、上記のほか、既知のファントム試験結果を利用することも可能である。このファントム試験を用いた例を図9及び図10を元に説明する。
【0066】
図9(a)及び(b)は、超音波プローブ111によるファントム試験の概要を説明するものである。図9(a)及び(b)において、ファントム試験は、超音波プローブ111がそのプローブホルダ160内に置かれた状態で例えば定期的に実施される。
【0067】
この例に示すプローブホルダ160は、図9(a)及び(b)に示すように、その外枠を成すホルダケース161と、このホルダケース161内に置かれ、超音波プローブ111のプローブ先端部をはめ込み可能な凹部(溝)を有しその凹部内に超音波プローブ111をはめ込むように挿入して支持できるプローブ置台(プローブ受け部材)162と、そのプローブ置台162のベース側に置かれたファントム試験用の標準試験体を成すファントム163とを備えている。この内、ファントム163は、図9(a)及び(b)に示すように、その内部の複数位置にファントム試験用の所定材質(例えば、タングステン)の超音波反射体164…164が配置されるものである。
【0068】
図10は、ファントム試験時の病院側の超音波診断装置100とセンター側の保守管理システムMSとの間の処理シーケンスの概要を説明するものである。
【0069】
図10において、超音波診断装置100は、その制御部127による制御の元で、ファントム試験を実施する(ステップSt21)。このファントム試験は、例えば予め設定されたボタン操作等のシステム利用者の操作又は超音波プローブ111がプローブホルダ160内に置かれた時点で自動的に開始される。これにより、プローブホルダ160内に置かれた超音波プローブ111が所定の超音波スキャン条件の元で駆動され、その結果、ファントム163内の超音波反射体164…164を反映した超音波画像が取得される。
【0070】
そして、超音波診断装置100は、ファントム試験で得られた超音波画像(ファントム試験結果データ)を通信回線CL経由でセンター側の保守管理システムMSに送信する(ステップSt22)。
【0071】
これに応答して、図10に示すように、保守管理システムMSは、そのサーバ300の処理により、超音波診断装置100から送られてくるファントム試験で得られた超音波画像を受信すると(ステップSt23)、その超音波画像を元に超音波プローブ111の劣化状況を例えば既知のファントム試験用の画像処理アルゴリズム等を用いた画像解析手法を用いて解析し(ステップSt24)、その解析結果データを、前述のログデータの場合と同様に、必要に応じて電子メールの添付ファイル等の所定形式のデータに変換してTCP/IP等の通信プロトコルに基づいて通信回線CL経由で病院側のコンピュータ端末200に送信する(ステップSt25)。
【0072】
これに応答して、図10に示すように、コンピュータ端末200は、その図示しないCPUによる処理により、センター側のサーバ300から送られてくる解析結果データを受信すると(ステップSt26)、その解析結果データを必要に応じてシステム利用者が超音波プローブ111の劣化状況を評価しやすいように予め決められた表示フォーマットの表示データに変換して画面上に表示する(ステップSt27)。
【0073】
なお、上述したファントム試験のほか、超音波プローブの劣化情報を評価するために、既知の超音波プローブの空中放置による試験を用いることも可能である。この場合には、例えば超音波プローブを空中放置した状態で1素子毎に駆動させることにより、その反射エコー信号を元に欠損素子の特定等の解析が可能となる。
【0074】
なお、本例では、遠隔地のセンター側に置かれた保守管理システムにより超音波診断装置の使用状況や超音波プローブの劣化状況を解析する構成の例を説明しているが、保守管理システムのデータ解析やデータベース機能を超音波診断装置内に一体に搭載することも可能である。この場合には、病院側のみで、上記と同様の超音波診断装置の使用状況や超音波プローブの劣化状況の解析/評価が可能となる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、超音波診断装置等の医療用画像診断装置の使用状況の評価が可能となるので、検査パフォーマンスを検査毎にきめ細かく且つ容易に評価したり、検査効率向上のための改善計画を立てたりできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る医療用画像診断装置(超音波診断装置)及びその保守管理方法の全体構成を示す概略ブロック図。
【図2】本実施形態に係る超音波診断装置の全体構成を示す概略ブロック図。
【図3】超音波診断装置とその保守管理システムとの間の処理シーケンスを説明する図。
【図4】超音波診断装置の使用状況解析で用いるログデータの一例を説明する図。
【図5】超音波診断装置の使用状況の解析例を説明する図。
【図6】各モード毎の使用状況に関する解析結果の表示例を説明するグラフ。
【図7】装置又は技師毎の各モードの使用状況に関する解析結果の表示例を説明するグラフ。
【図8】超音波画像の記録効率に関する解析結果の表示例を説明するグラフ。
【図9】ファントム試験で用いるプローブホルダの概要を示す図で、(a)は正面から見た部分断面図、(b)は側面から見た部分断面図。
【図10】ファントム試験時の超音波診断装置とその保守管理システムとの間の処理シーケンスを説明する図。
【符号の説明】
100 超音波診断装置
111 超音波プローブ
111a 加速度センサ
115 システム保守モード用スイッチ
160 プローブホルダ
161 ホルダケース
162 プローブ置台
163 ファントム
164 超音波反射体
200 コンピュータ端末
300 サーバ
400 データベースシステム
Claims (4)
- 通信回線を介して接続された遠隔地のコンピュータにより超音波プローブを有する超音波診断装置を保守管理する方法であって、
前記超音波診断装置の制御回路が、該超音波診断装置の使用状況に関するログデータを作成するステップと、
前記超音波診断装置のインターフェイス回路が、前記ステップにおいて作成されたログデータを前記通信回線を介して前記遠隔地のコンピュータに送信するステップと、
前記コンピュータのサーバが、前記ステップにおいて受信したログデータを、前記遠隔地のコンピュータ上の所定のデータベースを構成するデータとしてデータベース・システムに記憶させるステップと、
前記コンピュータのサーバが、前記データベースを構成するデータとしてデータベース・システムに記憶されたログデータを元に前記超音波診断装置毎及び該超音波診断装置を使用する技師毎の超音波画像の静止画の記録効率(記録成功率)を含む使用状況を解析するステップと、
該解析ステップにおいて得られた解析結果を、前記超音波診断装置毎及び該超音波診断装置を使用する技師毎に出力するステップと、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置の保守管理方法。 - 前記超音波診断装置毎及び該超音波診断装置を使用する技師毎の超音波画像の静止画の記録効率(記録成功率)は、超音波画像のフリーズ回数及びその記録回数の所定の理想記録回数と比較可能に出力されることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置の保守管理方法。
- 超音波プローブを有する超音波診断装置の使用状況に関するログデータを作成するログ作成手段と、
前記ログ作成手段により作成されたログデータを所定の記録媒体上に記録させるログ記録手段と、
前記ログ記録手段により前記記録媒体上に記録されたログデータを元に前記超音波診断装置毎及び該超音波診断装置を使用する技師毎の超音波画像の静止画の記録効率(記録成功率)を含む使用状況を解析する解析手段と、
該解析手段により得られた解析結果を、前記超音波診断装置毎及び該超音波診断装置を使用する技師毎に出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 遠隔地の超音波診断装置と通信回線を介して接続され、サーバとデータベース・システムとを有する保守管理システムにおいて、該サーバは、
前記超音波診断装置の使用状況に関するログデータを受信する手段と、
前記ログデータをデータベースとして記憶する手段と、
前記ログデータに記憶されたログデータを元に前記超音波診断装置毎及び該超音波診断装置を使用する技師毎の超音波画像の静止画の記録効率(記録成功率)を含む使用状況を解析する解析手段と、
該解析手段により得られた解析結果を、前記超音波診断装置毎及び該超音波診断装置を使用する技師毎に出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする保守管理システム。
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