JP3723621B2 - 開扉防止用錠装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動販売機などの扉がこじ開けなどにより不正開扉されることを防止する開扉防止用錠装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動販売機の扉などには、シリンダ錠などの錠装置が設けられているので、キーを持たない他人が勝手に扉を開けることはできないが、店頭や路傍に設置された自動販売機は、人通りが少なくなった夜間に、バールなどを利用して自動販売機の扉枠及び扉を暴力的に変形し、扉をこじ開けてシリンダ錠の施錠を外す悪質な盗難に逢う危険性がある。
このような犯罪を防止するには、自動販売機の周囲にチェンを巻きつけて、チェンの両端を南京錠で止め、自動販売機の開扉を不能にする方法が採られていた。
【0003】
巻きつけられたチェンは、開扉を防止することができるが、次のような問題があった。
(a) 自動販売機の周囲に巻きつけるチェンの長さが長くなり、使い勝手が悪い。(b) チェンにつながれた南京錠は、鍵孔をピッキングし易い向きにすることができるので、悪質な不正解錠を防止することができない。
(c) チェンや南京錠が直接に自動販売機に当たって自動販売機の周囲の表面に打ち傷や擦り傷を付ける欠点があった。
【0004】
かかる問題を解決するために、出願人は、自動販売機の扉枠と扉の端部のうち、一方にチェンの一端を固定するチェン固定部を設け、他方にチェンの他端を係脱する錠本体を設けた開扉防止用錠装置を提案した(実公平6−3097号公報参照)。
開扉防止用錠装置では、自動販売機の全周囲にチェンを巻く必要がなくなったので、開扉防止の手間が容易になり、自動販売機にチェンや南京錠の打ち傷がつく虞がなく、キーの鍵孔が下面にあるのでピッキングが困難であり、鍵孔より雨水や塵埃が侵入しないなどの利点があったが、次のような改善すべき点が残されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
開扉防止用錠装置は屋外に設置されるので、上面のロッド挿入用の孔とロッドとの隙間から雨水や塵埃が侵入し、内部に錆が発生したり、塵埃により作動が不円滑になる等の問題がある。
本発明はかかる課題を解決することを目的としており、錠本体の上面から雨水や塵埃が侵入する虞がない開扉防止用錠装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の開扉防止用錠装置は、
扉枠の開口部を開閉する扉が設けられた自動販売機にチェン掛けして開扉を防止するために、上記扉又は扉枠の何れか一方にチェンの一端を固定するチェン固定部が設けられると共に該チェーンの他端側に錠が設けられ、解錠することにより錠本体の施錠ロッドに係止されている上記チェーンの他端を開放するようにした開扉防止用錠装置において、上記錠本体には下方に開口する収容孔と該収容孔に交叉し上記チェンの他端を挿脱できるチェン挿入溝を設け、上記収容孔には、下面に鍵孔を向けたシリンダ錠と、上記チェン挿入溝内のチェンに係脱する方向に昇降可能な施錠ロッドと、上記シリンダ錠のロータに係合し周壁の側面に螺旋カムが形成されると共に該螺旋カムに上記施錠ロッドに連動するガイドピンを係入させたシリンダカムとを設けて、上記ロータの施錠、解錠方向の回動により上記施錠ロッドを昇降方向に駆動させて上記チェーンの他端との係脱をさせるようにした。
【0007】
上記シリンダカムの下方に突出するカム受け部材を上記シリンダカムの底壁に当接するようにするとよい。
【0008】
上記収容孔はボディの下面に開口する大径孔部と該大径孔部に接続し上記チェン挿入溝と交叉する小径孔部により構成され、上記シリンダ錠のロータが施錠角度に回動したときに、上記施錠ロッドが上記チェン挿入溝の交叉部よりも上方の小径孔部内に突出するようにするとよい。
また、上記シリンダカムには、上記シリンダ錠の施錠,解錠方向の回動により昇降するロッドガイドが挿入され、該ロッドガイドに上記施錠ロッドが回動自在に取り付けられるようにするとよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の具体例について図面を参照して説明すると、図7は自動販売機Aに設けられた開扉防止用錠装置を示し、開扉防止用錠装置は、錠本体Bと、チェン固定部Fに一端が固定されるチェンCとにより構成される。
図7では、錠本体Bが扉Dの端部に取り付けられ、チェン固定部Fが扉枠Eに取り付けられているが、チェン固定部Fを扉Dに取り付け、錠本体Bを扉枠Eに取り付けてもよい。
【0010】
錠本体Bの構造は、図1の断面図、図1のX−X断面図である図2、図2のW矢視図である図6に示すように、錠本体Bのボディ1に扉Dに固着される取り付け面1aが設けられ、取り付け面1aの上下方向に3つのねじ孔2が設けられる(図1,図6)。
扉Dの裏面から貫通するボルト3がねじ孔2にねじ込まれ、ナット4により緊締される(図8参照)。
【0011】
ボディ1には、取り付け面1aの反対側及び一方の側面に開口するチェン挿入溝5(図1のY−Y断面である図4参照)が形成され、ボディ1の下面に開口する収容孔6は、下方の大径孔部6aと、大径孔部6aに連通しチェン挿入溝5に直交する小径孔部6bとにより構成される(図1,図2参照)。
【0012】
ボディ1には、大径孔部6aから取り付け面1aに貫通する縦長孔7及び孔8が設けられ、孔8の下方の取り付け面1aに四角形状の凹部9が形成され、四角形状の凹部9の底面のほぼ中央にねじ孔10が螺設され、凹部9の両端部に、大径孔部6aの外周面に達する長孔11が設けられる(図1のZ−Z断面図である図5参照)。
【0013】
大径孔部6aに挿入されるシリンダカム12は、図11に示すように、円形の底壁13と、底壁13の周縁から上方に延びる周壁14と、底壁13の下方に高さの低い周壁15を設け、周壁15の円周方向の一箇所に周壁15を切欠する切欠部35を設ける。
底壁13の中央部に非円形の孔16が設けられ、周壁14に溝形状の螺旋カム17が設けられる。
底壁13の内部に昇降可能に挿入されるロッドガイド18は、下面に開口する円形凹部19の底からロッドガイド18の上面に孔20が貫通する。
【0014】
下方の大径孔部6aに挿入可能に挿入される施錠ロッド21の下端部に小径部21aが設けられ、小径部21aの先端部は孔20に挿入された後に、止め輪22が嵌着されるので、施錠ロッド21はロッドガイド18より抜け止めされ、ロッドガイド18に対して回動可能である。
ロッドガイド18の外周面にガイドピン23の一端が固着され、ガイドピン23の他端側は螺旋カム17を通過して縦長孔7に遊嵌する(図2参照)。
従って、シリンダカム12が大径孔部6aの内周面に沿って回動すると、施錠ロッド21が昇降する。
【0015】
シリンダカム12が大径孔部6aに挿入された後に、ピン形状のカム受け部材24がボディ1の外側から孔8に挿入され、カム受け部材24は先端がシリンダカム12の切欠部35に突出する(図2参照)。
切欠部35の横幅は、シリンダカム12が所定角度だけ回動するときにカム受け部材24との干渉しない寸法であり、次に述べるシリンダ錠25を取り外したときに、シリンダカム12の落下を阻止するものである。
【0016】
シリンダカム12の下方の大径孔部6aに挿入されるシリンダ錠25は、筒状のシリンダケース26と、シリンダケース26に回動可能に挿入されるロータ27とを有し、シリンダケース26の外周面は、円形の外周面の両側を平面26aに切欠された非円形の形状であり、円形部分には雄ねじ28が設けられ、シリンダケース26の前端に鍔部29が設けられ、雄ねじ28にはナット30が螺合する(図2,図10参照)。
【0017】
ロータ27の前面に鍵孔31が設けられ、ロータ27の後部に軸部32が延設される。
軸部32の外周面は、円形の外周面の両側を平面に切欠された非円形の形状であり、円形部分に設けられる雄ねじ33が設けられる(図10参照)。
回動規制カム34には、軸部32と同形状の非円形孔が設けられ、この非円形孔に軸部32が挿通される(図2参照)。
【0018】
回動規制カム34は、ロータ27の回動を施錠角度から解錠角度までに規制するものであり、軸部32の雄ねじ33に螺合するナット36により軸部32に固着される。
シリンダ錠25は、鍵孔31を下に向けて大径孔部6aに挿入された後に、固定金具37により回動不能,軸方向移動不能に拘束される(図2参照)。
【0019】
固定金具37は、連結部37aの両端に脚部37bが設けられ、連結部37aの中央に孔38が貫通する(図10参照)。
固定金具37の脚部37bは、長孔11を通過してシリンダケース26の両平面26aに接触し、連結部37aはワッシャ40を介して凹部9に挿入され、予め雄ねじ28に螺合したナット30と鍔部29との間に挿入される。
孔38に挿入されるねじ39が凹部9の底面のねじ孔10に螺合し、固定金具37がボディ1に固着される(図5参照)。
【0020】
自動販売機Aの扉枠Eに固着されるチェン固定部Fは、チェンCの一方の端部に挿入されたUボルト41の両端部が扉枠Eの外側から扉枠Eの孔に挿入され、Uボルト41の両端部にそれぞれワッシャ42を介してナット43が螺合する。
【0021】
以上のように構成された開扉防止用錠装置は、ボディ1の上面に孔や隙間がないので雨水や塵埃が内部に侵入する虞はなく、内部の部品に錆の発生する問題や塵埃によって作動が不円滑になる問題も生じない。
ガイドピン23,カム受け部材24,固定金具37は、すべて取り付け面1aに設けてあるので、第三者が勝手に取り外すことは不可能である。
次に、開扉防止用錠装置の作用を解錠状態,施錠操作,解錠操作,シリンダ錠の交換の順に説明する。
【0022】
解錠状態では、図3に示すように、シリンダ錠25のロータ27及びシリンダカム12が解錠角度にあり、シリンダカム12の螺旋カム17に挿入されているガイドピン23は縦長孔7の下端部に位置し、ロッドガイド18が下降しているので、施錠ロッド21はチェン挿入溝5よりも下方に没入している。
チェン固定部Fに一端を係止されているチェンCは、他端が垂れ下がっており、扉Dの開閉を妨げない状態にある。
【0023】
垂れ下がっているチェンCの他端をチェン挿入溝5に挿入し、管理者が所有する正規のキーをシリンダ錠25の鍵孔31に挿入して施錠方向に回動すると、ロータ27が施錠角度に回動し、ロータ27に係合するシリンダカム12は、周壁15がナット30の上端面を滑り接触しながらロータ27と一体となって回動する。
シリンダカム12が解錠角度から施錠角度までの回動範囲では、カム受け部材24は周壁15の切欠部35内にあるのでシリンダカム12の回動を妨げない。
【0024】
シリンダカム12の回動により、螺旋カム17に挿入されているガイドピン23が、縦長孔7の上端部まで上昇し、施錠ロッド21がチェンCを通過して小径孔部6bの上端部まで上昇するので(図2参照)、チェンCの他端は錠本体Bに施錠される。
施錠操作はキーを施錠方向に回動するワンタッチ動作でよく、施錠された錠本体Bには、全くばねが使用されていないので、自動販売機Aを激しく揺すったり衝撃を与えても、施錠ロッド21がチェンCから外れる恐れはなく、施錠の信頼性が高い。
【0025】
正規のキーをシリンダ錠25の鍵孔31に挿入して解錠方向に回動するワンタッチ操作で、ロータ27とシリンダカム12が一体となって解錠角度に回動し、螺旋カム17に挿入されているガイドピン23が、縦長孔7の下端部まで下降し、施錠ロッド21がチェン挿入溝5の下方に没入してチェンCの他端との係合が解除され、図3に示す解錠状態に戻る。
【0026】
キーの紛失,シリンダ錠25の故障,その他の理由によりキーコードを変更する必要が生じた場合には、シリンダ錠25を取り替えなければならない。
シリンダ錠25を取り替えるには、錠本体Bを取り外した後にねじ39を取って固定金具37を除去すればよい。
固定金具37の拘束を解除されたシリンダ錠25が自重により大径孔部6aから落下する。
このとき、シリンダカム12は、カム受け部材24によって落下を阻止される。
【0027】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されているので、従来の装置の欠点を解消でき、以下に記載されるような効果を奏する。
(1) 開扉防止用錠装置には故障の原因となるばねが全く使用されていないので、長時間使用に対する耐久性に優れている。
(2) 開扉防止用錠装置は、屋外に設置され、風雨に曝されても、雨水や塵埃が侵入することなく、錆の発生や、塵埃による作動不円滑の問題が解消された。
【0028】
(3) 開扉防止用錠装置には、従来のロッドのように外部に突出する部品がなく、横から何らかの外力を受けて曲がり変形し作動が重たくなるような問題は生じない。
(4) 自動販売機を乱暴に揺すったり、或いは横方向から衝撃を加えても、不正解錠される虞がないので、開扉防止用錠装置の信頼性が高い。
【0029】
(5) 開扉防止用錠装置の施錠,解錠操作は、片手でチェンの端部を持ち、他方の手でキーを回動するワンタッチ操作でよいので、操作性に優れている。
(6) 開扉防止用錠装置は構成部品点数が少ないので、耐久性に優れる利点と安価に提供できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 錠本体の施錠状態を示す縦断面図である。
【図2】 施錠状態における図1のX−X断面図である。
【図3】 解錠状態における図1のX−X断面図である。
【図4】 図1のY−Y断面図である。
【図5】 図1のZ−Z断面図である。
【図6】 図2のW矢視図である。
【図7】 自動販売機に設けられた開扉防止用錠装置の斜視図である。
【図8】 扉に取り付けられた錠本体の側面図である。
【図9】 扉枠に取り付けられたチェン固定部の側面図である。
【図10】 シリンダ錠とその固定金具の斜視図である。
【図11】 シリンダカムの斜視図である。
【符号の説明】
A 自動販売機
B 錠本体
C チェン
D 扉
E 扉枠
F チェン固定部
1 ボディ
5 チェン挿入溝
6 収容孔
6a 大径孔部
6b 小径孔部
7 縦長孔
12 シリンダカム
14,15 周壁
17 螺旋カム
18 ロッドガイド
21 施錠ロッド
23 ガイドピン
24 カム受け部材
25 シリンダ錠
27 ロータ
31 鍵孔
37 固定金具
41 Uボルト
Claims (4)
- 扉枠の開口部を開閉する扉が設けられた自動販売機にチェン掛けして開扉を防止するために、上記扉又は扉枠の何れか一方にチェンの一端を固定するチェン固定部が設けられると共に該チェーンの他端側に錠が設けられ、解錠することにより錠本体の施錠ロッドに係止されている上記チェーンの他端を開放するようにした開扉防止用錠装置において、上記錠本体には下方に開口する収容孔と該収容孔に交叉し上記チェンの他端を挿脱できるチェン挿入溝を設け、上記収容孔には、下面に鍵孔を向けたシリンダ錠と、上記チェン挿入溝内のチェンに係脱する方向に昇降可能な施錠ロッドと、上記シリンダ錠のロータに係合し周壁の側面に螺旋カムが形成されると共に該螺旋カムに上記施錠ロッドに連動するガイドピンを係入させたシリンダカムとを設けて、上記ロータの施錠、解錠方向の回動により上記施錠ロッドを昇降方向に駆動させて上記チェーンの他端との係脱をさせるようにしたことを特徴とする開扉防止用錠装置。
- 上記シリンダカムの下方に突出し、上記シリンダカムの底壁に当接するカム受け部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の開扉防止用錠装置。
- 上記収容孔はボディの下面に開口する大径孔部と該大径孔部に接続し上記チェン挿入溝と交叉する小径孔部により構成され、上記シリンダ錠のロータが施錠角度に回動したときに、上記施錠ロッドが上記チェン挿入溝の交叉部よりも上方の小径孔部内に突出することを特徴とする請求項1記載の開扉防止用錠装置。
- 上記シリンダカムには、上記シリンダ錠の施錠,解錠方向の回動により昇降するロッドガイドが挿入され、該ロッドガイドに上記施錠ロッドが回動自在に取り付けられることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の開扉防止用錠装置。
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- 1996-02-29 JP JP04334396A patent/JP3723621B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|---|---|---|
DE102013222465A1 (de) * | 2013-11-06 | 2015-05-07 | Volkswagen Aktiengesellschaft | Schließeinrichtung für eine Tür oder Klappe |
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