JP3723552B2 - 芝生用種まき装置および芝生面手入れ装置 - Google Patents
芝生用種まき装置および芝生面手入れ装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、一般的には、芝生用種まき装置および芝生面手入れ装置に関し、より特定的には、ゴルフ場のグリーン、野球場、サッカー場などの芝生面に芝生用の種まきを行なうための芝生用種まき装置および芝生面手入れ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴルフ場などのグリーンに芝生の種まきを行なうための種まき機構を備えるバーチスライサが、特開2001−128504号公報に開示されている(特許文献1)。図7は、特許文献1に開示されているバーチスライサを示す斜視図である。
【0003】
図7を参照して、バーチスライサ600は、種まき機構607を備える。種まき機構607は、主に、芝生用の種が収容される容器601と、容器601に収容された芝生用の種に異物が混入しないように容器601に開閉自在に取り付けられた蓋602と、容器601の両端に取り付けられたタイヤ610とから構成されている。
【0004】
容器601の底面側には穴が設けられており、この穴から芝生用の種が芝生面へ落下する。容器601がバーチスライサ600とともに持ち上げられるとこの穴が閉じ、容器601がバーチスライサ600とともに芝生面へ載置されるとこの穴が開くような機構となっている。
【0005】
続いて、このような種まき機構607において一般的に採用されている構造を以下に説明する。図8は、従来技術の種まき機構の内部構造を説明するための断面図である。図8に示す構造が図7中の種まき機構607に適用されているものとして以下説明を行なう。図8は、図7中のVIII−VIII線上に沿った断面図に相当する。
【0006】
図8を参照して、容器601の底面には、所定の長さで穴611が形成されている。容器601の底面には、穴611を覆うようにシャッター612が設けられている。シャッター612は、矢印613が示す方向にスライド可能に設けられている。シャッター612をスライドさせることによって穴611の開口面積を変化させることができる。
【0007】
容器601の内部には、芝生用の種を容器601の底面側に案内するための案内板614が設けられている。容器601の内部には、たとえば4枚の羽根が形成された回転羽根616が設けられている。回転羽根616は容器601の両端に設けられたタイヤ610に連結されている。バーチスライサ600をトラクタなどによって牽引し移動させるとタイヤ610が回転するため、回転羽根616も回転する。回転羽根616の回転にともなって、容器601の内部に収容された芝生用の種は穴611が位置する方向に押し出される。これにより、芝生用の種は穴611から芝生面へと落下する。この際、シャッター612をスライドさせて穴611の開口面積を変化させることによって、穴611から芝生面へと落下する芝生用の種の量を調整することができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−128504号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に開示されている種まき機構607では、回転羽根616を回転させることによって芝生用の種をまいている。しかし、芝生用の種が穴611を通過する際に、穴611を規定する容器601のエッジ部と回転羽根616の羽根との間に挟まれるおそれがある。この場合、芝生用の種がギロチンによって切断されたような状態となるため、その切断された種が無駄になってしまう。特に、芝生用の種は、他の植物の種と比較して細くて長く、種の長さは大きいもので5mm程度にもなる。このため、多くの種が回転羽根616によって切断されてしまう。
【0010】
また、種まき機構607では、回転羽根616とタイヤ610とを連結し、タイヤ610の回転を利用することによって回転羽根616を回転させている。しかし、種まき機構607はバーチスライサ600がトラクタなどに牽引されることによって移動するため、タイヤ610が芝生面上でスリップするおそれがある。この場合、回転羽根616が回転する速度が均一でなくなるため、芝生用の種のまかれる量が場所によって異なってしまう。
【0011】
また、種まき機構607では、種がまかれる量はシャッター612をスライドさせることによって調整される。しかし、バーチスライサ600を牽引する速度によって回転羽根616が回転する速度もかわるため、芝生面全体に意図する量の種を均一にまくことは困難である。さらに、種まき機構607はタイヤ610を備えるため、既に種がまかれた芝生面上をタイヤ610が通過した場合に、種が芝生面に踏み込まれてしまうという問題が発生する。この場合、その種の発芽が妨げられることとなる。
【0012】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、所定量の種を芝生面全体に均一にまくことができるとともに、種を傷付けることなく、芝生面にまくことができる芝生用種まき装置および芝生面手入れ装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明の1つの局面に従った芝生用種まき装置は、芝生用の種が収容される筐体であって、芝生用の種を吐出する開口部を有する筐体と、開口部を塞ぐように設けられた弾性部材とを備える。筐体は、その内表面から開口部に連なる周縁面をさらに有する。弾性部材は、周縁面に接触する表面を有する。弾性部材が回転していない時、開口部は、静止した表面によって塞がれた状態となり、弾性部材を回転させた時、開口部が表面に塞がれた状態で、表面が周縁面上を移動しながら芝生用の種を弾性部材の回転方向に掻き出すことによって、芝生用の種がまかれる。
また好ましくは、開口部は、ほぼ水平方向に開口している。
また好ましくは、芝生用種まき装置は、弾性部材を回転させるモーターをさらに備える。モーターは、表面が周縁面上を移動する速度を調節するための回転速度調節機構を含む。
また好ましくは、弾性部材は、ブラシ状部材、ゴム部材およびスポンジ部材からなる群より選ばれた少なくとも一種を含む。
また好ましくは、弾性部材は、回転軸を有する。回転軸の外周面には、回転軸を中心に放射状に延びる毛が設けられている。毛の先端または側面によって、回転軸の外側に円筒状の表面が形成されている。
この発明に従った芝生面手入れ装置は、上述のいずれかに記載の芝生用種まき装置と、芝生面に穴をあけるためのエアレーション機構が設けられ、筐体に取り付けられた本体部とを備える。芝生用種まき装置および本体部を一方向に移動させるとともに、エアレーション機構によって芝生面に穴をあけ、芝生用種まき装置によって芝生面に種まきを行なう。
また好ましくは、芝生用種まき装置の全重量が、本体部によって支持されている。
この発明の別の局面に従った芝生用種まき装置は、芝生用の種が収容される筐体であって、芝生用の種を吐出する開口部を有する筐体と、開口部を塞ぐように設けられた弾性部材とを備える。開口部は、ほぼ水平方向に開口している。弾性部材は、開口部を塞ぐ表面を有する。弾性部材が回転すると、表面に開口部が塞がれた状態で表面が開口部上を移動することによって、芝生用の種がまかれる。
このように構成された芝生用種まき装置によれば、弾性部材の回転にともなって、筐体に収容され、弾性部材の近傍に位置する芝生用の種が開口部から筐体の外部へと排出される。これにより、開口部の下方に位置する芝生面に芝生用の種がまかれる。本発明において弾性部材とは、外力を加えた後、外力を取り去った場合に、形や体積が変化した状態から再びもとの状態に回復する性質を有する部材をいい、外力を取り去った場合に、もとの状態に近い状態に回復する性質を有する部材をも含む。また、柔軟性を有し、外力を加えた場合に形や体積が容易に変化し、外力を加え続けるとその変化した状態が維持される程度に弾性を有する部材をも含む。
弾性部材は弾性を有するため、開口部から排出される芝生用の種が弾性部材から受ける外力を軽減することができる。これにより、発芽が妨げられるような状態、たとえば種が切断されたり変形された状態で芝生面にまかれることを防止できる。
このように構成された芝生用種まき装置によれば、弾性部材の表面上に位置する芝生用の種が、弾性部材の回転によって弾性部材の表面と筐体の周縁に巻き込まれる。この際、弾性部材は弾性を有するため、種が傷付くことがない。さらに弾性部材が回転することによって、種は弾性部材の表面と筐体の周縁との間から開放され、芝生面へと落下する。また、弾性部材は、その表面が開口部を規定する筐体の周縁に接触するように設けられているため、弾性部材が回転していない状態で開口部から種が漏れ出すことを確実に防止することができる。
このように構成された芝生用種まき装置によれば、種がまかれる量はモーターの回転速度のみによって決定されるため、芝生面全体に渡って均一な量の種をまくことができる。また、モーターは回転速度調節機構を含むため、芝生面にまく種の量を任意に調節することができる。
このように構成された芝生用種まき装置によれば、ブラシ状部材、ゴム部材またはスポンジ部材から形成された弾性部材は弾性を有するため、上述の効果を奏することができる。
このように構成された芝生面手入れ装置によれば、エアレーション機構によって芝生面にあけられた穴に芝生用種まき装置によって種をまくことができる。芝生用種まき装置および本体部を一方向に移動させる一連の作業によって、芝生面の穴あけと芝生面への種まきとが同時に行なわれるため、作業効率を向上させることができる。なお、エアレーション機構で芝生面に無数の穴をあけることによって、芝生面の表面積が大きくなり、芝生が水や肥料を吸収しやすくなるとともに、芝生面の表面の微生物(バクテリア)が活性化して芝生の成長を助けることにもなる。
このように構成された芝生面手入れ装置によれば、芝生用種まき装置に芝生面との接点となるタイヤが設けられていない。このため、既にまかれた種の上をタイヤが通過することによって、種が芝生面に踏み込まれるというおそれがない。これにより、種の発芽を妨げる要因を除去することができる。
【0021】
また好ましくは、弾性部材は、エアレーション機構によって穴があけられた芝生面の上方を開口部が通過する時点から回転し始めるように設定されている。このように構成された芝生面手入れ装置によれば、常に穴があけられた芝生面に種をまくことができる。これにより、穴があけられていない芝生面に種がまかれることによって種に無駄が生じることを防止できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、この発明の実施の形態におけるバーチスライサを示す斜視図である。図1を参照して、バーチスライサ100は、バーチカル作業、スライシング作業およびエアレーション作業を行なうバーチスライサ本体部200と、バーチスライサ本体部200に取り付けられ、芝生用の種まき作業を行なう種まき機構1とを備える。
【0024】
バーチカル作業とは、芝生面上で所定の刃物を回転させることによって芝生の間の枯れかすを除去する作業をいう。スライシング作業とは、芝生面上で所定の刃物を回転させることによって芝生面の下に形成された不透水層(ルートゾーン)を消滅させる作業をいう。エアレーション作業とは、芝生面上で所定の刃物を回転させることによって芝生面に小さな孔をあける作業をいう。
【0025】
バーチスライサ100は、トラクタ500によって牽引される。バーチスライサ本体部200は、トラクタ500から延びた3本のリンク棒501、502および503に接続されている。この3本のリンク棒501、502および503によって、バーチスライサ100は、いわゆる三点リンクヒッチ方式で牽引されることになる。リンク棒501の一方端はトラクタ500に接続され、他方端はバーチスライサ本体部200の上部に回動可能に接続されている。リンク棒502および503の一方端はトラクタ500に接続され、他方端はバーチスライサ本体部200の下部に回動可能に接続されている。
【0026】
バーチスライサ本体部200は、本体フレーム201にさまざまな部材が取り付けられることによって構成されている。本体フレーム201の上部には、アーチアーム202が取り付けられている。アーチアーム202には、リンク棒501が接続されている。本体フレーム201の上部は、本体カバー203によって覆われている。本体カバー203が本体フレーム201の上部の全体を覆うことによって、本体フレーム201上に載置されたさまざまな部材が露出するのを防いでいる。
【0027】
本体フレーム201の下部には、エアレーション作業を行なうためのスパイキングブレード204が取り付けられている。スパイキングブレード204には、中心から放射状に延びる小さな刃が複数形成されている。スパイキングブレード204は、本体フレーム201の両端に挟まれた空間において、それぞれ間隔を隔てて多数枚設けられている。スパイキングブレード204は、本体フレーム201に回転自在に設けられた回転軸に取り付けられている。その回転軸は、本体カバー203の内部に設けられた駆動機構および動力伝達機構を介して、トラクタ500に向い合う本体カバー203の側面に設けられた入力軸に接続されている。
【0028】
なお、エアレーション作業を行なう場合を想定して、図中にはスパイキングブレード204を示したが、バーチスライサ100を用いて行なう作業にあわせて、その作業に適した刃物に取りかえることができる。
【0029】
本体カバー203の側面に設けられた入力軸には、動力源としてのトラクタ500から回転運動が伝達される。この回転運動が、動力伝達機構および駆動機構を介して回転軸に伝わることによって、回転軸に取り付けられた所定の刃物を所定の方向に回転させることができる。
【0030】
本体フレーム201の側面には、縦長のチェーンカバー210が設けられている。チェーンカバー210は、駆動機構の一部を構成するチェーンを保護する役割を果たす。本体カバー203の上面には、動力伝達機構の一部を構成するクラッチに接続された回転握り205が設けられている。回転握り205を回転させることによってクラッチの切り替えを行ない、回転軸の回転方向を変更させたり、回転軸に回転運動が伝わらないようにニュートラルの状態にすることができる。
【0031】
具体的には、エアレーション作業を行なう場合には、ニュートラルの状態が選択され、バーチカル作業およびスライシング作業を行なう場合には、バーチスライサ100の進行方向に対して、順方向および逆方向の回転方向がそれぞれ選択される。
【0032】
本体カバー203の上面には、本体カバー203内の昇降機構に接続されたクランクハンドル217が設けられている。クランクハンドル217を回転させることによって、スパイキングブレード204を上下移動させることができる。芝生の状態などを考慮し、クランクハンドル217を所定の角度だけ回転させることによって、スパイキングブレード204が芝生面に食い込む深さを調整する。本体フレーム201の側面には、クランクハンドル217によって高さが調整されたスパイキングブレード204の位置を固定するためのロックハンドル229が設けられている。
【0033】
種まき機構1には、芝生用の種を収容するための容器2と、容器2の上部に設けられた蓋7とが設けられている。種まき機構1は、本体フレーム201に接続された取り付けアングル19aおよび19bによってバーチスライサ本体部200に取り付けられている。容器2は芝生面に接触しておらず、種まき機構1の全重量がバーチスライサ本体部200によって支持されている。容器2の側面には、駆動部カバー20が設けられている。
【0034】
図2は、図1中のII−II線上に沿った種まき機構の断面図である。図2を参照して、種まき機構1は、容器2と、容器2の外側に設けられ、容器2に接触する位置に位置決めされた回転ブラシ5とを備える。
【0035】
容器2の上面側には、芝生用の種を容器2の内部に投入するための投入口が形成されている。容器2の上面には、蓋7がその投入口に対して開閉自在に設けられている。蓋7は、蝶番9を介して容器2に取り付けられている。蓋7の上面には、蓋7を開け閉めする際に使用される取っ手8が取り付けられている。
【0036】
容器2の底面側には、図1中のバーチスライサ本体部200に向い合って、ほぼ水平方向に開口された開口部3が形成されている。開口部3は、図2の紙面に垂直方向に延在しており、容器2のほぼ幅一杯に形成されている。開口部3を塞ぐように回転ブラシ5が設けられている。回転ブラシ5は図2の紙面に垂直方向に延在している。開口部3は回転ブラシ5によって完全に塞がれている。回転ブラシ5は回転軸5bを有し、回転軸5bを中心に回転できるように容器2の側面に取り付けられている。
【0037】
回転ブラシ5の構造について詳しく説明すると、回転軸5bは十分な剛性を有する材料によって形成されている。回転軸5bの外周面には、回転軸5bを中心に放射線状に延びる毛が設けられている。この毛は、弾性、柔軟性および耐磨耗性を備える材料、たとえばナイロン樹脂などの合成樹脂から形成されている。毛の先端によって回転軸5bの外側に円筒状の外周面が形成されており、この外周面が回転ブラシ5の表面5aを構成している。
【0038】
なお、回転軸5bの外周面に設けられる毛には、たわしに使用される藁(わら)のように天然の材料を用いても良い。また、本実施の形態では、毛の先端によって回転ブラシ5の表面5aが構成されているが、毛が倒れた状態で回転軸5bに設けられている場合、表面5aが毛の側面によって構成されていても良い。
【0039】
回転ブラシ5は、開口部3を規定する容器2の周縁部4aおよび4bに表面5aが接触するように設けられている。容器2の周縁部4aおよび4bが回転ブラシ5の表面5aに多少埋没するように回転ブラシ5が位置決めされていても良い。回転ブラシ5が回転した場合においても、表面5aと周縁部4aおよび4bとが接触した状態が維持される。
【0040】
回転ブラシ5にかえて、回転軸5bの外周面にゴム部材を巻き付けたものを使用しても良い。この場合、表面5aはゴム部材の外周面によって構成される。ゴム部材の外周面には、凹凸形状が形成されていても良い。ゴム部材を構成する材料としては、耐磨耗性に優れたブタジエンゴムまたはスチレンブタジエンゴムなどの各種合成ゴムを使用することができる。また、合成ゴムに発泡剤を加えることによって、ゴム部材を多泡性構造としても良い。
【0041】
また、回転ブラシ5にかえて、回転軸5bの外周面にスポンジ部材を巻き付けたものを使用しても良い。この場合、表面5aはスポンジ部材の外周面によって構成される。スポンジ部材を構成する材料としては、たとえばウレタンフォームのように高い弾性率を有するフォーム材を使用することができる。また、回転軸5bの外周面に、薄手の布を多層に巻き付けても良い。
【0042】
その他、回転ブラシ5にかえて、内部に空気を溜めた表面5aを回転軸5bの周りに形成するタイヤ構造のものを使用しても良い。表面5aの内部に溜める空気の圧力を調整することによって、適当な弾性を持たせることができる。
【0043】
図3は、図1中の矢印IIIから見た種まき機構の側面図である。図3を参照して、図1中の駆動部カバー20が取り外された状態で、種まき機構1の側面図が描かれている。容器2の側面2aは、芝生用の種が収容されるスペースよりさらに外側に広がって延在している。なお図示しないが、側面2aの反対側にも側面2aと同一形状の側面が設けられている。回転軸5bの両端は、図示しないベアリングを介して、側面2aと側面2aの反対側に設けられた側面とに取り付けられている。これにより、回転ブラシ5は回転軸5bを中心に回転することができる。
【0044】
回転軸5bの端部には、大径の歯付きプーリ11が嵌め合わされている。歯付きプーリ11は、歯付きプーリ11と側面2aとの間に図示しないベアリングが位置するように取り付けられている。側面2aの裏面には、芝生用の種が収容されるスペースの外側に位置してモーター10が取り付けられている。モーター10は、回転速度を任意に調整することができる可変速タイプのモーターである。
【0045】
モーター10の出力軸10aが側面2aを貫通して図3の紙面の手前側に延びている。そのモーター10の出力軸10aには、小径の歯付きプーリ12が嵌め合わされている。歯付きプーリ11および12の間には、歯付きベルト13が取り付けられている。モーター10を駆動させることによって出力軸10aから出力される回転力は、歯付きプーリ12、歯付きベルト13および歯付きプーリ11を介して回転軸5bに伝えられる。これにより、回転ブラシ5を所定の回転速度で回転させることができる。
【0046】
図4は、図1中の種まき機構によって種がまかれる様子を示す断面図である。図4を参照して、モーター10を駆動させていない場合、開口部3は静止した回転ブラシ5の表面5aによって塞がれた状態となっている。このため、芝生用の種が開口部3から漏れることはなく、種が容器2の内部に収容された状態が保持される。
【0047】
モーター10を駆動させることによって回転ブラシ5を矢印15に示す方向に回転させた場合、回転ブラシ5の表面5aは、開口部3を塞いだ状態で開口部3上を移動する。このとき、容器2の内部において表面5aに接触する芝生用の種が、回転ブラシ5の回転方向に掻き出される。これにより、芝生用の種は開口部3から放出され、開口部3の下方に位置する芝生面へと落下する。種の自重によって、表面5aには次々に新たな種が接触するため、種まきを継続して行なうことができる。
【0048】
種まき機構1によって開口部3からまかれる種の量は、回転ブラシ5の表面5aが開口部3上を移動する速度によって決定される。つまり、回転ブラシ5の回転速度を速くすることによって、開口部3からまかれる種の量を増やすことができ、回転ブラシ5の回転速度を遅くすることによって、開口部3からまかれる種の量を減らすことができる。したがって、モーター10の回転速度を適宜調整し、回転ブラシ5の回転速度を変更することによって、所定量の種を芝生面にまくことができる。
【0049】
この発明の実施の形態に従った芝生用種まき装置としての種まき機構1は、芝生用の種が収容される筐体としての容器2であって、芝生用の種を吐出する開口部3を有する容器2と、開口部3を塞ぐように設けられた弾性部材としての回転ブラシ5とを備える。回転ブラシ5が回転することによって芝生用の種がまかれる。
【0050】
回転ブラシ5は、開口部3を規定する容器2の周縁としての周縁部4aおよび4bに接触し、かつ開口部3を塞ぐ表面5aを有する。回転ブラシ5が回転すると、表面5aに開口部3が塞がれた状態で表面5aが開口部3上を移動する。
【0051】
種まき機構1は、回転ブラシ5を回転させるモーター10をさらに備える。モーター10は、表面5aが開口部3上を移動する速度を調節するための回転速度調節機構を含む。回転ブラシ5は、ブラシ状部材、ゴム部材およびスポンジ部材からなる群より選ばれた少なくとも一種としてのブラシ状部材を含む。
【0052】
このように構成された種まき機構1によれば、回転ブラシ5の表面5aは弾性および柔軟性を有する毛の先端によって構成されている。このため、芝生面にまかれる際に芝生用の種が表面5aに接触しても傷付かない。これにより、発芽が妨げられない状態で全ての種をまくことができ、種を無駄にすることがない。また、モーター10の回転速度を調整することによって芝生面にまかれる種の量を決定することができるため、芝生面の全体に渡って所定量の種を均一にまくことができる。
【0053】
図5は、図1中に示すバーチスライサを用いて、エアレーション作業および種まき作業を行なう様子を示す図である。図5を参照して、バーチスライサ100を3点ヒッチで吊り上げた状態で、トラクタ500を種まきを行なおうとする芝生面40上に移動させる。吊り上げられたバーチスライサ100を芝生面40に下ろして、スパイキングブレード204を芝生面40に接触させる。
【0054】
クランクハンドル217を回転させることによって、スパイキングブレード204が芝生面40に食い込む深さを調整する。その後、ロックハンドル229を回転させることによって、調整されたスパイキングブレード204の位置を固定する。さらに、回転握り205を回転させることによってクラッチの切り替えを行ない、トラクタ500の回転運動が回転軸5bに伝わらないニュートラルの状態を選択する。
【0055】
トラクタ500でバーチスライサ100を牽引することによって、矢印30に示す方向にバーチスライサ100を進行させる。スパイキングブレード204は芝生面40に食い込んだ状態となっているため、バーチスライサ100の進行にともなってスパイキングブレード204が矢印35に示す方向に回転する。これにより、スパイキングブレード204が通過した芝生面40には穴があけられるため、バーチスライサ本体部200によってエアレーション作業が行なわれる。
【0056】
一方、図3中のモーター10を駆動させることによって、芝生面40には種まき機構1から芝生の種がまかれる。バーチスライサ100が進行する方向(矢印30に示す方向)に対して、バーチスライサ本体部200は前方に位置し、種まき機構1は後方に位置する。このため、バーチスライサ本体部200によって芝生面40にあけられた穴に種をまくことができる。このようにトラクタ500でバーチスライサ100を牽引しながら、芝生面40の穴あけと芝生面40への種まきとを同時に行なうことができる。これにより、芝生面への種まき作業の作業効率を向上させることができる。
【0057】
なお、バーチスライサ100を用いてバーチカル作業またはスライシング作業を行なう場合には、モーター10を駆動させないでバーチスライサ100を牽引すれば良い。これによって、種まき機構1をバーチスライサ本体部200に取り付けたままの状態で、バーチカル作業およびスライシング作業を行なうことができる。
【0058】
図6は、図1中に示すバーチスライサによってエアレーション作業が行なわれる領域と、種まき作業が行なわれる領域とを示す模式図である。図5および図6を参照して、初めバーチスライサ100を芝生面40に下ろした状態で、芝生面40の地点Aの上方に種まき機構1の開口部3が位置し、芝生面40の地点Bにスパイキングブレード204が食い込んでいる場合を想定している。また、バーチスライサ100を移動させてエアレーション作業および種まき作業を完了した時に、芝生面40の地点Cの上方に種まき機構1の開口部3が位置し、芝生面40の地点Dにスパイキングブレード204が食い込んでいる場合を想定している。
【0059】
バーチスライサ100が移動し始めて、芝生面40の地点Bの上方を種まき機構1の開口部3が通過するタイミングでモーター10を駆動させる。モーター10の駆動と同時に種まき機構1による種まきが開始される。
【0060】
この場合、バーチスライサ本体部200によってエアレーション作業が行なわれた領域は、芝生面40の地点Bから地点Dまでの矩形52に示す領域である。また、種まき機構1によって種まきが行なわれた領域は、芝生面40の地点Bから地点Cまでの線分51に示す領域である。バーチスライサ100の移動の開始と同時にモーター10を駆動させた場合、芝生面40の地点Aから地点Bまでの領域53は穴があけられていないにもかかわらず種まきが行なわれる。このため、領域53にまかれた種が無駄になるおそれが生じる。しかし、モーター10を駆動させるタイミングを遅らせることによって、穴があけられた芝生面40にのみ種をまくことができるため、種に無駄が生じることがない。
【0061】
また、ゴルフ場などの芝生にバーチスライサ100を使用する場合、バーチスライサ100によって種まきを行なう広さは広範囲に渡る。このため、バーチスライサ100が通過する範囲を少しずつずらしながら、ゴルフ場の端から端をトラクタで何度も往復しなけらばならない。この際、バーチスライサ100が既に種がまかれた芝生面の一部を通過する場合がある。このような場合においても、バーチスライサ100では種まき機構1の全重量がバーチスライサ本体部200によって支持されており、種まき機構1にタイヤが設けられていないため、芝生面にまかれた種がタイヤに踏み込まれるということがない。
【0062】
この発明の実施の形態に従った芝生面手入れ装置としてのバーチスライサ100は、種まき機構1と、芝生面40に穴をあけるためのエアレーション機構が設けられ、容器2に取り付けられた本体部としてのバーチスライサ本体部200とを備える。種まき機構1およびバーチスライサ本体部200を一方向に移動させるとともに、エアレーション機構によって芝生面40に穴をあけ、種まき機構1によって芝生面40に種まきを行なう。
【0063】
種まき機構1の全重量が、バーチスライサ本体部200によって支持されている。回転ブラシ5は、エアレーション機構によって穴があけられた芝生面40の上方を開口部3が通過する時点から回転し始めるように設定されている。
【0064】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に従えば、所定量の種を芝生面全体に均一にまくことができるとともに、種を傷付けることなく、芝生面にまくことができる芝生用種まき装置および芝生面手入れ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態におけるバーチスライサを示す斜視図である。
【図2】 図1中のII−II線上に沿った種まき機構の断面図である。
【図3】 図1中の矢印IIIから見た種まき機構の側面図である。
【図4】 図1中の種まき機構によって種がまかれる様子を示す断面図である。
【図5】 図1中に示すバーチスライサを用いて、エアレーション作業および種まき作業を行なう様子を示す図である。
【図6】 図1中に示すバーチスライサによってエアレーション作業が行なわれる領域と、種まき作業が行なわれる領域とを示す模式図である。
【図7】 特許文献1に開示されているバーチスライサを示す斜視図である。
【図8】 従来技術の種まき機構の内部構造を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1 種まき機構、2 容器、3 開口部、4a,4b 周縁部、5 回転ブラシ、5a 表面、10 モーター、40 芝生面、100 バーチスライサ、200 バーチスライサ本体部。
Claims (8)
- 芝生用の種が収容される筐体であって、芝生用の種を吐出する開口部を有する前記筐体と、
前記開口部を塞ぐように設けられた弾性部材とを備え、
前記筐体は、その内表面から前記開口部に連なる周縁面をさらに有し、
前記弾性部材は、前記周縁面に接触する表面を有し、
前記弾性部材が回転していない時、前記開口部は、静止した前記表面によって塞がれた状態となり、前記弾性部材を回転させた時、前記開口部が前記表面に塞がれた状態で、前記表面が前記周縁面上を移動しながら芝生用の種を前記弾性部材の回転方向に掻き出すことによって、芝生用の種がまかれる、芝生用種まき装置。 - 前記開口部は、ほぼ水平方向に開口している、請求項1に記載の芝生用種まき装置。
- 前記弾性部材を回転させるモーターをさらに備え、
前記モーターは、前記表面が前記周縁面上を移動する速度を調節するための回転速度調節機構を含む、請求項1または2に記載の芝生用種まき装置。 - 前記弾性部材は、ブラシ状部材、ゴム部材およびスポンジ部材からなる群より選ばれた少なくとも一種を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の芝生用種まき装置。
- 前記弾性部材は、回転軸を有し、
前記回転軸の外周面には、前記回転軸を中心に放射状に延びる毛が設けられており、
前記毛の先端または側面によって、前記回転軸の外側に円筒状の前記表面が形成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の芝生用種まき装置。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の芝生用種まき装置と、芝生面に穴をあけるためのエアレーション機構が設けられ、前記筐体に取り付けられた本体部とを備え、前記芝生用種まき装置および前記本体部を一方向に移動させるとともに、前記エアレーション機構によって芝生面に穴をあけ、前記芝生用種まき装置によって芝生面に種まきを行なう、芝生面手入れ装置。
- 前記芝生用種まき装置の全重量が、前記本体部によって支持されている、請求項6に記載の芝生面手入れ装置。
- 芝生用の種が収容される筐体であって、芝生用の種を吐出する開口部を有する前記筐体と、
前記開口部を塞ぐように設けられた弾性部材とを備え、
前記開口部は、ほぼ水平方向に開口しており、
前記弾性部材は、前記開口部を塞ぐ表面を有し、前記弾性部材が回転すると、前記表面に前記開口部が塞がれた状態で前記表面が前記開口部上を移動することによって、芝生用の種がまかれる、芝生用種まき装置。
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