JP3722183B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真技術を用いて画像を形成するプリンター、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に関する。特に、その感光体ないし中間転写体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真技術を用いた画像形成装置は、導電層の外周面に感光層を有する感光体と、この感光体の感光層を一様に帯電させる帯電手段と、この帯電手段により一様に帯電させられた感光層を選択的に露光して静電潜像を形成する露光手段と、この露光手段により形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像手段と、この現像手段により現像されたトナー像を用紙等の記録媒体に転写させる転写装置とを有している。
【0003】
そして、感光体上に現像されたトナー像を用紙等の記録媒体に転写させる転写装置としては、従来、感光体上に形成されたトナー像が転写(一次転写)され、このトナー像をさらに記録媒体に転写(二次転写)する中間転写体を備えたものが知られている。
【0004】
図5は、このような中間転写体を備えた画像形成装置の一例を示す図で、(a)は概略斜視図、(b)は図(a)におけるb−b部分断面図である。
【0005】
図において、1は感光体であり、導電層1aと、この導電層1a上に形成された感光層1bとを有している。導電層1aは接地されている。
【0006】
2は中間転写体であり、例えば抵抗値が略107〜1014Ωcmの誘電体(中抵抗層)で構成されている。このような中間転写体2は、合成樹脂等に導電性カーボンを混練することによって作成することができる。
【0007】
中間転写体2は、少なくとも画像形成時には感光体1と接触し、この接触部T1が転写部(この場合一次転写部)を形成する。一次転写部T1には、中間転写体2の内方から一次転写ローラ3が配置されており、この一次転写ローラ3によって中間転写体2に一次転写電圧が印加される。
【0008】
また、中間転写体2には、二次転写電圧を印加する二次転写ローラ4が圧接され、この圧接部が二次転写部T2を形成する。二次転写部T2には、中間転写体2の内方からバックアップローラ5が配置されている。
【0009】
画像形成時には、先ず、感光体1および中間転写体2が回転駆動され、感光体1の感光層1bが帯電手段(図示せず)で一様に帯電させられた後に露光手段(図示せず)で選択的に露光されて静電潜像が形成される。次いで、静電潜像に現像手段(図示せず)で現像剤としてのトナーが付与されて可視像(トナー像)となり、このトナー像が、一次転写部T1において中間転写体2上に転写され、その後、二次転写部T2において、この二次転写部T2に供給される用紙等の記録媒体に転写される。
【0010】
トナー像が転写された記録媒体は、図示しない定着器を通過することによってトナー像が定着される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の画像形成装置における中間転写体2は、合成樹脂等に導電性カーボン等の導電性粒子を混練することにより作成される単層構造のものであり、導電性粒子が樹脂中に均一に分散しにくいため、その抵抗値にムラが生じ易かった。
【0012】
したがって、転写部における電界にムラが生じ易く、結果として転写ムラが生じ易いという問題があった。
【0013】
また、樹脂中のゲル化成分や導電性粒子の凝集塊による中間転写体表面の局部的な突起が生じ易く、したがって、感光体と中間転写体との当接部や中間転写体とその裏面に配置されるローラとの当接部において、当接が局部的に不安定となり、やはり転写ムラが生じ易いという問題があった。
【0014】
本発明の目的は、以上のような問題を解決し、転写ムラが生じ難く、良好な画像を形成することのできる画像形成装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の画像形成装置は、回転駆動され、導電層上に形成された感光層の表面に画像が形成される感光体と、同じく回転駆動され、前記感光体表面との間で転写部を形成し、この転写部において前記画像が転写される中間転写体とを有する画像形成装置であって、
前記中間転写体が、導電層と、この導電層の上に形成され前記画像が転写される抵抗層と、中間転写体の端部の表面に露出し前記導電層に転写電圧を給電するための電極部とを有しているとともに、
その電極部に接触して給電する給電部材が導電性を有する弾性ローラで構成されており,前記中間転写体は絶縁性基体の上に前記導電層が形成され、この導電層の上に前記抵抗層が形成されている構成であるとともに、この中間転写体には、その内面側から中間転写体を支持する支持ローラが配置され、この支持ローラに対して前記弾性ローラが前記電極部を介して配置され、これら支持ローラおよび弾性ローラは前記中間転写体の側方にはみ出すはみ出し部を有しているとともに、支持ローラの少なくとも前記はみ出し部は導電性を有しており、前記支持ローラと弾性ローラとのはみ出し部同士が接触することを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記中間転写体は、シームベルトで構成されているとともに、そのシーム部における前記電極部の不連続部の幅よりも、前記弾性ローラと電極部との接触幅が大きく構成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項3記載の画像形成装置は、請求項1または2記載の画像形成装置において、前記弾性ローラは単泡フォームからなるローラで構成されていることを特徴とする。
【0020】
【作用効果】
請求項1記載の画像形成装置によれば、次のような作用効果が得られる。
【0021】
回転駆動され、導電層上に形成された感光層の表面に画像が形成される感光体と、同じく回転駆動され、前記感光体表面との間で転写部を形成し、この転写部において前記画像が転写される中間転写体とを有しているので、感光体表面に形成された画像が、転写部において中間転写体に転写される。
【0022】
そして、中間転写体は、導電層と、この導電層の上に形成され前記画像が転写される抵抗層とを有する複層構造となっているので、抵抗層は、例えば、導電性粒子を分散させた樹脂溶液を塗布し、硬化、乾燥させることにより形成することが可能となる。このように、樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液中に導電性粒子を分散させた場合、熱溶融させた樹脂中に導電性粒子を混練した場合よりも導電性粒子の分散性が良好となる。したがって、抵抗層自体の抵抗ムラを生じ難くすることができる。また、導電性粒子の分散性が良好となるので、抵抗層表面の局部的な突起もほとんど生じなくすることができ、感光体等との当接を安定させて転写不良を防止することが可能となる。
【0023】
また、抵抗層が導電層上に一体的に形成されているため、電極部によって導電層に転写電圧が供給されると、抵抗層の裏側の電位が略均一となり、転写領域全面に亙って略均一な転写電界が形成されることとなる。
【0024】
したがって、この請求項1記載の画像形成装置によれば、転写部における電界にムラが生じ難くなり、結果として、転写ムラの少ない良好な画像を形成することが可能となる。
【0025】
しかも、導電層に転写電圧を給電するための電極部が中間転写体の端部の表面に露出しており、この電極部に接触して給電する給電部材が導電性を有する弾性ローラで構成されているので、この弾性ローラによって転写電圧を容易に導電層に給電することができる。
【0026】
ところで、中間転写体が上述したような構成すなわち、導電層に転写電圧を給電するための電極部が中間転写体の端部の表面に露出している構成であると、感光体から浮遊等したトナーが電極部の表面に部分的に付着することがあり、これによって電極部表面の抵抗が増加し、給電不良、すなわち転写不良が生じるおそれがあるということが分かった。
【0027】
これに対し、この請求項1記載の画像形成装置によれば、電極部に接触して給電する給電部材が導電性を有する弾性ローラで構成されているので、電極部の表面に部分的にトナーが付着した場合でも、電極部と弾性ローラとの安定した接触状態が確保される。
【0028】
したがって、安定した給電状態が確保され、転写不良が生じなくなる。
【0029】
請求項2記載の画像形成装置によれば、請求項1記載の画像形成装置において、前記中間転写体がシームベルトで構成されているので、上記複層構造をなすベルトの両端部を溶着または接着することによって中間転写体を容易に作製することができる。
【0030】
ところで、中間転写体をシームベルトで構成すると、そのシーム部(ベルトの継ぎ目部)においては、前記電極部が不連続状態となることがある。
【0031】
これに対し、この請求項2記載の画像形成装置によれば、前記シーム部における電極部の不連続部の幅よりも、前記弾性ローラと電極部との接触幅が大きく構成されているので、弾性ローラの位置にシーム部が位置する場合でも、電極部と弾性ローラとの接触状態が確保されることとなる。
【0032】
したがって、給電状態が確保され、転写不良が生じなくなる。
【0033】
請求項3記載の画像形成装置によれば、請求項1または2記載の画像形成装置において、前記弾性ローラは単泡フォームからなるローラで構成されているので、ローラにトナーが付着し、ローラのフォームを通じてローラの内部までトナーが入り込み固定化することによるローラの硬化が防止され、一層安定した転写電圧の印加が可能となる。
【0034】
請求項4記載の画像形成装置によれば、請求項2または3記載の画像形成装置において、前記中間転写体をなすシームベルトは複数本の支持ローラに張架されているので、中間転写体の配置の自由度が向上する。
【0035】
そして、前記弾性ローラは、前記複数本の支持ローラのうちいずれかの支持ローラに対して前記電極部を介して配置され、またはその支持ローラの近傍に配置されているので、電極部に対する弾性ローラの接触力が確保され、結果として、より一層安定した転写電圧の印加が可能となる。
【0036】
請求項5記載の画像形成装置によれば、請求項1,2,3,または4記載の画像形成装置において、前記中間転写体は絶縁性基体の上に前記導電層が形成され、この導電層の上に前記抵抗層が形成されている構成であるので、複層構造をなす中間転写体を容易に作製することができるようになる。
【0037】
また、このような中間転写体をベルトとして用いる場合には、導電層は単に導電性を付与する機能のみ有するように構成すればよく、絶縁性基体がベルトとしての強度を保持するように構成すればよいので、さらに機能分離され個々の層の機能を十分に発揮し、高画質な画像を長期間安定して形成することができる。
【0038】
そして、中間転写体には、その内面側から中間転写体を支持する支持ローラが配置され、この支持ローラに対して前記弾性ローラが前記電極部を介して配置されているので、電極部に対する弾性ローラの接触力が確保され、結果として、より一層安定した転写電圧の印加が可能となる。
【0039】
ところで、中間転写体が、上述したように、絶縁性基体の上に導電層が形成され、この導電層の上に抵抗層が形成されている構成であり、この中間転写体の内面側から中間転写体を支持する支持ローラが配置された構成であると、この支持ローラとの接触によって中間転写体の内面が徐々に帯電し、その帯電電位が高くなると放電が発生するおそれがある。この放電は、中間転写体上の画像を乱す原因となり、また、装置の電子部品に悪影響を与える。
【0040】
これに対し、この請求項5記載の画像形成装置によれば、前記支持ローラおよび弾性ローラは中間転写体の側方にはみ出すはみ出し部を有しているとともに、支持ローラの少なくとも前記はみ出し部は導電性を有しており、前記支持ローラと弾性ローラとのはみ出し部同士が接触する構成となっているので、中間転写体内面の帯電電位は、前記弾性ローラの電位よりも高くはならない。
【0041】
したがって、上述した放電が防止され、中間転写体上の画像乱れや、電子部品への悪影響が防止される。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0043】
<第1の実施の形態>
図1は本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す概略図、図2は図1におけるII−II部分断面図、図3は電極ローラ37周辺を示す概略図で、(a)は図1におけるA矢視図、(b)は図(a)におけるb−b部分拡大断面図、(c)は図(a)におけるc−c部分拡大断面図である。
【0044】
この画像形成装置は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナーによる現像器を用いてフルカラー画像を形成することのできる装置である。
【0045】
図1において、10は感光体であり、図示しない適宜の駆動手段によって図示矢印方向に回転駆動可能である。
【0046】
感光体10の周りには、その回転方向に沿って、帯電手段としての帯電ローラ11、現像手段としての現像ローラ17(Y,C,M,K)、中間転写装置30、および感光体クリーニング手段12が配置されている。
【0047】
感光体10は、導電層をなす円筒状の導電性基材10a(図2参照)と、その表面に形成された感光層10bとを有している。
【0048】
帯電ローラ11は、感光体10の外周面に当接して感光層10bを一様に帯電させることが可能である(例えば−600V程度に帯電させることが可能である)。一様に帯電した感光体10の外周面には、図示しない露光ユニットによって所望の画像情報に応じた選択的な露光Lがなされ、この露光Lによって感光体10上に静電潜像が形成される。露光された部位すなわち静電潜像が形成された部位の電位は、例えば−100V程度となるようにすることができる。
【0049】
この静電潜像は、現像ローラ17で、「−」に帯電させられたトナーが付与されて現像される。
【0050】
現像ローラとしては、イエロー用の現像ローラ17Y、シアン用の現像ローラ17C、マゼンタ用の現像ローラ17M、およびブラック用の現像ローラ17Kが設けられている。これら現像ローラ17Y,17C,17M,17Kは、選択的に感光体10に当接し得るようになっており、当接したとき、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのうちのいずれかのトナーを感光体10の表面に付与して感光体10上の静電潜像を現像する。
【0051】
現像されたトナー像は、後述する中間転写体としての中間転写ベルト20上に転写される。
【0052】
感光体クリーニング手段12は、上記転写後に、感光体10の外周面に残留し付着しているトナーを掻き落とすクリーナブレード13と、このクリーナブレード13によって掻き落とされたトナーを受ける受け部14とを備えている。
【0053】
中間転写装置30は、駆動ローラ31と、4本の従動ローラ32,33,34,35と、これら各ローラの回りに張架された中間転写ベルト20と、電極クリーニング部材50とを有している。なお、駆動ローラ31および従動ローラ32,33,34,35は請求項4記載の支持ローラを構成している。
【0054】
中間転写ベルト20は、図2に示すように、導電層21と、この導電層21の上に形成された抵抗層22と、中間転写体の端部の表面に露出し前記導電層21に転写電圧V1を給電するための電極部23とを有している。この実施の形態では、合成樹脂からなる絶縁性基体24の上に前記導電層21が形成されており、この導電層21の上に前記抵抗層22が形成されている。抵抗層22が中間転写体20の一側縁部において帯状に除去され、あるいは予め帯状に形成されないことによって導電層21が帯状に露出しており、この露出部に電極部23が形成されている。なお、導電層21の帯状露出部自体によって電極部を形成することも可能である。より具体的には、中間転写ベルト20は、その絶縁性基体24をシート状の透明なPETで構成し、その上にAL蒸着して導電層21を形成し、その上に、ウレタンをベース(結着樹脂)としフッ素微粒子および導電剤としてのSnOを分散させた塗料を10〜100μm程度の厚さで塗布して抵抗層22を形成したベルトの両端を超音波融着で溶着して可撓性を有する無端ベルト状に構成してある。溶着部、すなわちシーム部を図3(a)(c)において符号25で示す。抵抗層22の表面抵抗は、108〜1015Ω/□程度、体積抵抗率は107〜1014Ωcm程度とする。導電層21の抵抗値は、10の6乗Ωcm以下とすることが望ましい。なお、塗料は、ベルトの一側端縁部を帯状に残して塗布することにより導電層21を帯状に露出させ、この露出部で電極部23を形成しあるいは露出部に電極部23を形成し、この電極部23に後述する給電部材としての給電部材としての電極ローラ37を接触させるようにしてある。
【0055】
駆動ローラ31は、その端部に固定された図示しない歯車が、感光体10の駆動用歯車(図示せず)と噛み合っていることによって、感光体10と略同一の周速で回転駆動され、したがって中間転写ベルト20が感光体10と略同一の周速で図示矢印a方向に循環駆動され得る。
【0056】
従動ローラ35は、駆動ローラ31との間で中間転写ベルト20がそれ自身の張力によって感光体10に圧接される位置に配置されていおり、感光体10と中間転写ベルト20との圧接部において一次転写部T1が形成されている。したがって、一次転写ローラは設けられていない。従動ローラ35は、中間転写ベルト20の循環方向上流側において一次転写部T1の近くに配置されている。
【0057】
駆動ローラ31には、これに対し、中間転写ベルト20を介して給電部材としての電極ローラ37が配置されている(図3参照)。なお、電極ローラ37は、駆動ローラ31の近傍に配置することもできる。
【0058】
この電極ローラ37は、中間転写体20の電極部23に接触するように配置されており、前述したように、この電極ローラ37を介して、中間転写ベルト20の導電層21に上記感光体10の帯電極性と逆極性の転写電圧(一次転写電圧であり、例えば+500V程度の電圧)V1が印加可能である。電極ローラ37は、導電性を有する弾性ローラ、例えばウレタンに導電剤としてのカーボンを分散させた単泡フォームからなる弾性ローラで構成してある。
【0059】
中間転写体20を、上述したようなシームベルトで構成すると、そのシーム部(ベルトの継ぎ目部)25においては、図3(c)に示すように、その電極部23が不連続状態となる。
【0060】
そこで、この実施の形態では、図3(c)に示すように、中間転写ベルト20のシーム部25における電極部23の不連続部の幅Wよりも、電極ローラ37と電極部23との接触幅(ニップ幅)Nが大きくなるように構成してある。
【0061】
従動ローラ32はテンションローラであり、図示しない付勢手段によって中間転写ベルト20をその張り方向に付勢している。
【0062】
従動ローラ33は、二次転写部T2を形成するバックアップローラである。このバックアップローラ33には、中間転写ベルト20を介して二次転写ローラ38が対向配置されている。二次転写ローラ38は、図示しない接離機構により中間転写ベルト20に対して接離可能である。二次転写ローラ38には、二次転写電圧V2(一次転写電圧より大きな電圧であり例えば+1000V程度の電圧)が印加される。
【0063】
従動ローラ34は、ベルトクリーナ39のためのバックアップローラである。ベルトクリーナ39は、中間転写ベルト20と接触してその外周面に残留し付着しているトナーを掻き落とすクリーニング部材としてのクリーナブレード39aと、このクリーナブレード39aによって掻き落とされたトナーを受ける受け部39bとを備えている。このベルトクリーナ39は、図示しない接離機構によって中間転写ベルト20に対して接離可能である。
【0064】
電極クリーニング部材50は、中間転写ベルト20の電極部23と摺接して、電極部23上に付着したトナーを除去するためのものであり、例えば、フォーム材、フェルト、ブラシ、起毛材、等で構成され、図1および図3(a)に示すように、中間転写ベルト20の電極部23に対向配置されている。電極クリーニング部材50は、中間転写体20の回転方向(矢印a方向)において、一次転写部T1よりも下流で電極ローラ37よりも上流に配置してある。また、この実施の形態では、駆動ローラ31に対して電極部23を介して配置されている(図1参照)。
【0065】
中間転写ベルト20が循環駆動される過程で、一次転写部T1において、感光体10上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写され、中間転写ベルト20上に転写されたトナー像は、二次転写部T2において、二次転写ローラ38との間に供給される用紙等の記録媒体Sに転写される。記録媒体Sは、図示しない給紙装置から給送され、ゲートローラ対40によって所定のタイミングで二次転写部T2に供給される。
【0066】
以上のような画像形成装置全体の基本的作動は次の通りである。
【0067】
(i)図示しないホストコンピュータ等(パーソナルコンピュータ等)からの印字指令信号(画像形成信号)が画像形成装置の制御部に入力されると、感光体10、現像ローラ17、および中間転写ベルト20が回転駆動される。
【0068】
(ii)感光体10の外周面が帯電ローラ11によって一様に帯電される。
【0069】
(iii)一様に帯電した感光体10の外周面に、図示しない露光ユニットによって第1色目(例えばイエロー)の画像情報に応じた選択的な露光Lがなされ、イエロー用の静電潜像が形成される。
【0070】
(iv)感光体10には、第1色目(例えばイエロー)用の現像ローラ17Yのみが接触し、これによって上記静電潜像が現像され、第1色目(例えばイエロー)のトナー像が感光体10上に形成される。
【0071】
(v)中間転写ベルト20には上記トナーの帯電極性と逆極性の一次転写電圧V1が印加され、感光体10上に形成されたトナー像が、一次転写部すなわち、感光体10と中間転写ベルト20との圧接部T1において中間転写ベルト20の抵抗層22上に転写される。このとき、二次転写ローラ38およびベルトクリーナ39は、中間転写ベルト20から離間している。
【0072】
(vi)感光体10上に残留しているトナーがクリーニング手段12によって除去された後、図示しない除電手段からの除電光によって感光体10が除電される。
【0073】
(vii)上記(ii)〜(vi)の動作が必要に応じて繰り返される。すなわち、上記印字指令信号の内容に応じて、第2色目、第3色目、第4色目、と繰り返され、上記印字指令信号の内容に応じたトナー像が中間転写ベルト20の抵抗層22上において重ね合わされて中間転写ベルト20上に形成される。
【0074】
(viii)所定のタイミングで記録媒体Sが供給され、記録媒体Sの先端が第2転写部T2に達する直前にあるいは達した後に(要するに記録媒体S上の所望の位置に、中間転写ベルト20上のトナー像が転写されるタイミングで)二次転写ローラ38が中間転写ベルト20に押圧されるとともに二次転写電圧V2が印加され、中間転写ベルト20上のトナー像(基本的にはフルカラー画像)が記録媒体S上に転写される。また、ベルトクリーナ39が中間転写ベルト20に当接し、二次転写後に中間転写ベルト20の抵抗層22上に残留しているトナーが除去される。
【0075】
(ix)記録媒体Sが図示しない定着装置を通過することによって記録媒体S上にトナー像が定着し、その後、記録媒体Sが装置外に排出される。
【0076】
以上のような画像形成装置によれば、次のような作用効果が得られる。
【0077】
(a)回転駆動され、導電層10a上に形成された感光層10bの表面に画像が形成される感光体10と、同じく回転駆動され、感光体10表面との間で転写部T1を形成し、この転写部T1において前記画像が転写される中間転写体20とを有しているので、感光体10表面に形成された画像が、転写部T1において中間転写体20に転写される。
【0078】
そして、中間転写体20は、導電層21と、この導電層21の上に形成され前記画像が転写される抵抗層22とを有する複層構造となっているので、抵抗層22は、例えば、導電性粒子を分散させた樹脂溶液を塗布し、硬化、乾燥させることにより形成することが可能となる。このように、樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液中に導電性粒子を分散させた場合、熱溶融させた樹脂中に導電性粒子を混練した場合よりも導電性粒子の分散性が良好となる。したがって、抵抗層22自体の抵抗ムラを生じ難くすることができる。また、導電性粒子の分散性が良好となるので、抵抗層22表面の局部的な突起もほとんど生じなくすることができ、感光体10等との当接を安定させて転写不良を防止することが可能となる。
【0079】
また、抵抗層22が導電層21上に一体的に形成されているため、電極部23によって導電層21に転写電圧が供給されると、抵抗層22の裏側の電位が略均一となり、転写領域全面に亙って略均一な転写電界が形成されることとなる。
【0080】
したがって、この実施の形態の画像形成装置によれば、転写部T1における電界にムラが生じ難くなり、結果として、転写ムラの少ない良好な画像を形成することが可能となる。
【0081】
しかも、導電層21に転写電圧V1を給電するための電極部23が中間転写体20の端部の表面に露出しており、この電極部23に接触して給電する電極ローラ37が電極部23に対向配置されているので、電極ローラ37によって転写電圧V1を容易に導電層21に給電することができる。
【0082】
(b)ところで、中間転写体20が上述したような構成すなわち、導電層21に転写電圧V1を給電するための電極部23が中間転写体20の端部の表面に露出している構成であると、感光体10から浮遊等したトナーが電極部23の表面に部分的に付着することがあり、これによって電極部23表面の抵抗が増加し、給電不良、すなわち転写不良が生じるおそれが、この実施の形態の画像形成装置によれば、電極部23に接触して給電する電極ローラ37が導電性を有する弾性ローラで構成されているので、電極部23の表面に部分的にトナーが付着した場合でも、電極部23と電極ローラ37との安定した接触状態が確保される。
【0083】
したがって、安定した給電状態が確保され、転写不良が生じなくなる。
【0084】
(c)中間転写体20がシームベルトで構成されているので、複層構造をなすベルトの両端部を溶着または接着することによって中間転写体を容易に作製することができる。
【0085】
ところで、中間転写体20をシームベルトで構成すると、そのシーム部25においては、図3(c)に示したように電極部23が不連続状態となることがあるが、この実施の形態の画像形成装置によれば、前記シーム部25における電極部23の不連続部の幅Wよりも、電極ローラ37と電極部23との接触幅Nが大きく構成されているので、中間転写ベルト20が循環する過程で電極ローラ37の位置にシーム部25が位置した場合でも、電極部23と電極ローラ37との接触状態が確保されることとなる。
【0086】
したがって、給電状態が確保され、転写不良が生じなくなる。
【0087】
(d)電極ローラ37は単泡フォームからなるローラで構成されているので、ローラにトナーが付着することによるローラの硬化が防止され、一層安定した転写電圧の印加が可能となる。
【0088】
(e)中間転写体をなす中間転写ベルト20は複数本の支持ローラ31〜35に張架されているので、中間転写体の配置の自由度が向上する。例えば、図1に示すような循環経路を形成することが可能である。
【0089】
そして、電極ローラ37は、駆動ローラ31対して電極部23を介して配置されているので、電極部23に対する電極ローラ37の接触力が確保され、結果として、より一層安定した転写電圧の印加が可能となる。なお、この作用効果は、電極ローラ37を、複数本の支持ローラ31〜35のうちいずれかの支持ローラに対して配置した場合にも得られ、また、その支持ローラの近傍に配置した場合にも得られる。
【0090】
(f)電極部23と摺接する電極クリーニング部材50が電極部23に対向配置されているので、電極部23上に溜まろうとするトナーが電極クリーニング部材50によって除去されることとなる。しかも、電極クリーニング部材50は、中間転写体20の回転方向に関して、転写部T1よりも下流側で給電部材37の配置位置よりも上流側に配置されているので、転写部T1において感光体10から浮遊し、電極部表面23aに付着したトナーが給電部材37の前位において除去されることとなる。
【0091】
したがって、トナーによる電極部23の汚れが抑制され、転写不良が一層確実に防止される。また、電極ローラ37へのトナーの付着も抑制される。
【0092】
(g)中間転写体は絶縁性基体24の上に導電層21が形成され、この導電層21の上に抵抗層22が形成されている構成であるので、複層構造をなす中間転写体を、絶縁性基体24を利用して容易に作製することができる。
【0093】
(h)この実施の形態の画像形成装置によると、感光体10に対して、中間転写ベルト20がローラ31,35間で圧接されるので、圧接部(一次転写部)T1において、中間転写ベルト20は、それ自体の張力によって感光体10に圧接されることとなる。
【0094】
したがって、上記圧接部T1において中間転写ベルト20を感光体10に圧接させるための圧接ローラ(一次転写ローラ)を設けることなく、感光体10上の可視像を中間転写ベルト20上に転写させることができる。
【0095】
また、中間転写ベルト20は、導電層21と、この導電層21の上に形成され、感光体10に圧接される抵抗層22とを有する複層ベルトで構成されているので、感光体10と中間転写ベルト20との圧接部(すなわち一次転写部)T1の全領域に亙って、中間転写ベルト20の抵抗層22の裏側の電位が略均一となり、結果としてトナーの散りの少ない転写が得られることとなる。
【0096】
しかも、感光体10と中間転写ベルト20との圧接部(すなわち一次転写部)T1の全領域に亙って、中間転写ベルト20の抵抗層21の裏側の電位が略均一となるので、必要最小限の電圧での転写が可能となる。
【0097】
<第2の実施の形態>
図4は本発明に係る画像形成装置の第2の実施の形態を示す図で、図3(a)におけるb−b部分拡大断面図に相当する図である。同図において、前述した第1の実施の形態と同じ部分あるいは相当する部分には同じ符号を付してある。
【0098】
この第2の実施の形態が前述した第1の実施の形態と異なる点は、支持ローラとしての駆動ローラ31および電極ローラ37が、中間転写体20の側方(図4において左方)にはみ出すはみ出し部37a,31aを有しているとともに、駆動ローラ31の少なくともはみ出し部駆動ローラ31aは導電性を有しており、駆動ローラ31と電極ローラ37とのはみ出し部31a,37a同士が、電極ローラ37の弾性変形により接触している点にあり、その他の点に変わりはない。
【0099】
この第2の実施の形態によっても前述した第1の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
【0100】
さらに次のような作用効果が得られる。
【0101】
中間転写体20が、絶縁性基体24の上に導電層21が形成され、この導電層21の上に抵抗層22が形成されている構成であり、この中間転写体20の内面側から中間転写体を支持する支持ローラ(この場合、駆動ローラ31等)が配置された構成であると、駆動ローラ31等との接触によって中間転写体20の内面が徐々に帯電し、その帯電電位が高くなると放電が発生するおそれがある。この放電は、中間転写体20上の画像を乱す原因となり、また、装置の電子部品に悪影響を与える。
【0102】
これに対し、この第2の実施の形態によれば、駆動ローラ31および電極ローラ37が、中間転写体20の側方にはみ出すはみ出し部31a,37aを有しているとともに、駆動ローラ31の少なくともはみ出し部31aは導電性を有しており、駆動ローラ31と電極ローラ37とのはみ出し部31a,37a同士が接触しているので、中間転写体20内面の帯電電位は、電極ローラ37の電位よりも高くはならない。
【0103】
したがって、上述した放電が防止され、中間転写体20上の画像乱れや、電子部品への悪影響が防止されることとなる。
【0104】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【0105】
例えば、
▲1▼上記実施の形態では中間転写体を中間転写ベルトで構成したが、請求項1,3,5記載の発明に関しては、中間転写ドラムで構成することもできる。
【0106】
▲2▼上記実施の形態では、電極ローラ37を、駆動ローラ31に対して電極部23を介して配置したが、他のローラ例えば従動ローラ35に対して配置し、またはその近傍に配置してもよい。
【0107】
【発明の効果】
請求項1〜5記載のいずれの画像形成装置によっても、転写ムラの少ない良好な画像を形成することが可能となる。しかも、安定した給電状態を容易に確保することができ、転写不良も生じなくなる。
【0108】
さらに、
請求項2記載の画像形成装置によれば、中間転写体を容易に作製することができるとともに、給電状態が確保され、転写不良が生じなくなる。
【0109】
請求項3記載の画像形成装置によれば、ローラの硬化が防止され、一層安定した転写電圧の印加が可能となる。
【0110】
請求項4記載の画像形成装置によれば、中間転写体の配置の自由度を向上させることができるとともに、より一層安定した転写電圧の印加が可能となる。
【0111】
請求項5記載の画像形成装置によれば、複層構造をなす中間転写体を容易に作製することができるようになるとともに、より一層安定した転写電圧の印加が可能となり、中間転写体上の画像乱れや、電子部品への悪影響も防止することができる。
【0112】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す概略図。
【図2】図1におけるII−II部分断面図。
【図3】電極ローラ37周辺を示す概略図で、(a)は図1におけるA矢視図、(b)は図(a)におけるb−b部分拡大断面図、(c)は図(a)におけるc−c部分拡大断面図。
【図4】本発明に係る画像形成装置の第2の実施の形態を示す図で、図3(a)におけるb−b部分拡大断面図に相当する図。
【図5】従来の画像形成装置の一例を示す図で、(a)は概略斜視図、(b)は図(a)におけるb−b部分断面図。
【符号の説明】
10 感光体
10a 導電層
10b 感光層
T1 一次転写部T1(転写部)
20 中間転写ベルト(中間転写体)
21 導電層
22 抵抗層
23 電極部
25 シーム部
31〜35 支持ローラ
31a はみ出し部
37 電極ローラ(給電部材)
37a はみ出し部
Claims (3)
- 回転駆動され、導電層上に形成された感光層の表面に画像が形成される感光体と、同じく回転駆動され、前記感光体表面との間で転写部を形成し、この転写部において前記画像が転写される中間転写体とを有する画像形成装置であって、
前記中間転写体が、導電層と、この導電層の上に形成され前記画像が転写される抵抗層と、中間転写体の端部の表面に露出し前記導電層に転写電圧を給電するための電極部とを有しているとともに、
その電極部に接触して給電する給電部材が導電性を有する弾性ローラで構成されており,前記中間転写体は絶縁性基体の上に前記導電層が形成され、この導電層の上に前記抵抗層が形成されている構成であるとともに、この中間転写体には、その内面側から中間転写体を支持する支持ローラが配置され、この支持ローラに対して前記弾性ローラが前記電極部を介して配置され、これら支持ローラおよび弾性ローラは前記中間転写体の側方にはみ出すはみ出し部を有しているとともに、支持ローラの少なくとも前記はみ出し部は導電性を有しており、前記支持ローラと弾性ローラとのはみ出し部同士が接触することを特徴とする画像形成装置。 - 前記中間転写体は、シームベルトで構成されているとともに、そのシーム部における前記電極部の不連続部の幅よりも、前記弾性ローラと電極部との接触幅が大きく構成されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記弾性ローラは単泡フォームからなるローラで構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
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