JP3720968B2 - 電子ビーム冷却装置並びにそれを備えたイオン蓄積リング及びイオンシンクロトロン - Google Patents

電子ビーム冷却装置並びにそれを備えたイオン蓄積リング及びイオンシンクロトロン Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ビーム冷却装置並びにそれを備えたイオン蓄積リング及びイオンシンクロトロンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の水冷式ソレノイドコイルを用いた電子ビーム冷却装置を図16に一部切り欠いた正面図として示す。従来の電子ビーム冷却装置は入射側及び出射側の機器がイオンビーム軸9Xに対して、90°上方を向いているか、斜め45°上方を向いているかであり、図は後者の45°傾斜角のものを示している。電子ビーム入射部1における電子銃2により生成された電子は、加速管3で加速されて所定の速度を持つ電子ビーム4となる。イオンとの相互作用をさせるイオンビーム軌道部分を含めて電子ビーム4を通す部分には、電子の電荷による発散を防ぐために、電子銃部ソレノイドコイル5によりソレノイド磁界が発生される。
【0003】
電子ビーム4は入射側トロイド部6の入射側トロイドコイル7によって偏向され、セントラル部8において、イオンビーム9の中に入射されてイオンビーム9を冷却する。次いで、イオンビーム9を冷却した電子ビーム4は、出射側トロイド部10の出射側トロイドコイル11により再び偏向され、電子ビーム回収部12において、減速管13に導かれてエネルギーを減少させた後にコレクタ14によって回収される。なお、セントラル部8には電子ビーム4をイオンビーム9に巻きつけるために、ソレノイドコイル15が設けられている。電子ビーム4をイオンビーム9に入射する際は、電子ビーム4の運動量の広がりが小さいほど、イオンビーム9の運動量の広がりを小さくすることができることから、電子ビーム入射部1においては、電子ビーム4の運動量の広がりをできるだけ小さくすることが望まれる。
【0004】
電子ビーム4を生成し運動量を与える電子銃2及び加速管3の部分において、電子銃部ソレノイドコイル5によるソレノイド磁界が加速方向と一致しなかったり変化したりすることは、電子に、進行方向に対して垂直な方向の運動量成分を発生させることになる。この運動量成分は電子の運動量の広がりを大きくすることから、電子銃2及び加速管3部においては、ソレノイド磁界に高い均一度が要求されるとともに、加速方向とソレノイド磁界の方向とを正確に一致させる必要がある。
【0005】
電子銃部ソレノイドコイル5においては、入射側トロイドコイル7との接合部における磁界の急激な変化は電子の運動量の広がりをもたらすことから、入射側トロイドコイル7との接合部におけるソレノイド磁界の一様性が要求される。このソレノイド磁界の変化については、断熱パラメータと呼ばれる因子が1より十分に小さい必要がある。また、コイル内の磁界変化を小さくするために、ソレノイドコイル5及びトロイドコイル7は巻線が連続するように構成されている必要がある。
【0006】
電子銃部ソレノイドコイル5は、イオンビーム軌道に不正な磁界を発生させないようにするため磁性体からなる磁気シールド16で覆われている。磁界を加速管3から入射側トロイドコイル7までの間で減少させて断熱膨張させることにより、さらに電子ビーム運動量の広がりを小さくし得ることが知られている。この場合のソレノイド磁界の変化も断熱パラメータが1より十分小さいことが必要である。なお、断熱膨張効率は磁界の大きさの変化量の大きい方が高い。
【0007】
しかしながら、電子の発散を防ぐためには電子ビーム軌道中に最低数百ガウスのソレノイド磁界が必要であり、磁界の大きさの変化量を大きくするためには加速管3の磁界を大きくする必要がある。このためには、水冷ソレノイドコイルを使用したものではコイル形状が大きくなってしまうことから、この対策として超電導ソレノイドコイルの導入が考えられる。超電導ソレノイドコイルの例としては、均一磁界が必要で漏洩磁界を小さくした、磁気共鳴現象を用いた磁気共鳴撮像(以下、「MRI」と称する)用超電導磁石が知られている。
【0008】
このMRI用超電導磁石は、同軸上に配置された複数の超電導コイルと、この超電導コイルの中心に対して同心的に配置されている磁気シールドとから構成されている。磁気シールド及び超電導コイルは磁界の高均一度を得るために、超電導コイルの中心に対して対称な形状をしている。磁気シールドの円筒部には、これを支える磁気シールド脚が設けられている。
【0009】
さらに、超電導コイルを囲んでそれを冷却するための超電導クライオスタットには、その重量を支えるクライオスタット脚が設けられることから、磁気シールドの円筒部には、クライオスタット脚が貫通するクライオスタット脚用穴や、別途、冷媒と電流の供給ポートを貫通させることから、供給ポート用穴や、輻射シールド用の冷凍機ポート等が設けられる。
【0010】
上述の電子ビーム冷却装置自体の性能とは別に、電子ビーム冷却装置の設置を考える通常のイオン蓄積リングあるいはイオンシンクロトロンでは、イオンビーム9の軌道補正用として、水平方向及び垂直方向のステアリング電磁石がリング全体にわたって4極電磁石の前後に設けられる。したがって、電子ビ一ム冷却装置を設置する部位の前後にも上述のステアリング電磁石が設けられている。
【0011】
従来は入射側トロイドコイル7及び出射側トロイドコイル11による電子ビーム4の偏向が垂直面内で行われていたので、トロイドコイル11によるイオンビーム9の偏向は水平成分が大きかった。通常の加速器のビームパイプは水平方向に広く垂直方向に狭い形状をしていて、トロイドコイルの磁場による水平方向の偏向はビームパイプの大きさで十分に足りた。したがって、イオンビーム7のトロイドコイルの磁場による偏向は、出射側にあるステアリング電磁石を一部用いて正規のビーム軌道に戻していた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
電子ビーム入射部において、電子銃部ソレノイドコイルに超電導ソレノイドコイルを用いることは、加速管の磁界を高くしてソレノイド磁界の大きさの変化を大きくし、より運動量の広がりの小さい電子ビーム冷却装置を構成することの可能性につながる。
【0013】
しかしながら、ソレノイドコイルを超電導状態にするためには、コイル自体を極低温に冷却する必要がある。通常、極低温に冷却するためには、液体ヘリウム等の冷媒を利用するか、極低温冷凍機を使うこと等が考えられる。
【0014】
電子ビーム冷却装置において、MRI用超電導電磁石等に比較し、コイル径が小さいとともに、電子ビームによるイオンの冷却効率を上げるためには、MRIと同等以上の磁場均一度が要求される。この要求を満たすためには超電導クライオスタットにおける各ポート用の穴がコイル径に対して相対的に大きくなり、それにより磁気シールドの円筒部にあけられる穴も同様に大きくなることから、この磁気シールドの円筒にあけられた穴によってソレノイド磁界が乱され、電子ビームの運動量の広がりが増加するという問題があった。
【0015】
さらに、電子銃部ソレノイドコイルと電子回収側のソレノイドコイルを横向きにしたとき、イオンビームの偏向によりビームが上下方向に大きく偏向させられることになり、既存形状のビームパイプ等ではビームが壁に突き当たることになり、ビームパイプを改造する必要があった。
【0016】
したがって本発明の目的は、設置スペースに制約されることなく、イオンビームの広がりを小さくするとともに、イオンリングに設けるステアリング電磁石を小さくし、特殊形状のビームパイプを不要にすることのできる電子ビーム冷却装置並びにそれを備えたイオン蓄積リング及びイオンシンクロトロンを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1に係る発明は、超電導ソレノイドコイルを含む電子銃及び加速管を含んで構成され、均一速度の電子ビームをイオンリングに入射する電子ビーム入射部と、イオンリングに入射しイオンリングから出射するために電子ビームを曲げるトロイド部と、電子ビームとイオンビームを平行して通過させ、イオンビームを冷却するセントラル部と、電子ビームを回収する電子ビーム回収部とを備えた電子ビーム冷却装置において、冷媒を貯溜する冷媒槽と、超電導ソレノイドコイルを冷媒槽からの接触伝熱によって冷却する接触伝熱手段とを設けたことを特徴とする。
【0018】
超電導ソレノイドコイルの外側には、磁界の対称性を保持するとともに、周辺機器、とくにイオンビームに磁界の影響を与えないために、磁気シールドが軸対称になるように配置されている。この磁気シールドは磁界の均一性と、漏洩磁界の影響を受けない、超電導コイルのフィードスルー側(電子銃から見て、電子を送り出す方向の反射側)で開口構造をとっている。超電導コイルヘの電流導入、超電導状態へのコイルの冷却、及びクライオスタットの真空排気は、すべてこの部分を使用している。液体ヘリウム等の冷媒槽は超電導コイル用クライオスタットのフィードスルー側に設けられ、良伝熱体を用いて冷媒槽とコイルを接続し、接触伝熱によってコイルを超電導状態に冷却する。
【0019】
したがって、磁気シールドの回転対称が保持されて電子銃及び加速管部での不正磁界の発生が抑制される。一方、冷媒槽は超電導コイルのクライオスタットの磁気シールドの存在しない側に設けられ、接触伝熱により冷却されるので、冷媒槽の向きに制約されずに、超電導コイルの向きに自在に決定することができる。これにより、電子ビーム入射部と電子ビーム回収部の向きを、従来から用いられている垂直方向に90°立てる方向や、45°斜め上方に立てる方向以外にも、真横に置く方向等の種々の方向にすることができる。
【0020】
請求項2に係る発明は、超電導ソレノイドコイルを含む電子銃及び加速管を含んで構成され、均一速度の電子ビームをイオンリングに入射する電子ビーム入射部と、イオンリングに入射しイオンリングから出射するために電子ビームを曲げるトロイド部と、電子ビームとイオンビームを平行して通過させ、イオンビームを冷却するセントラル部と、電子ビームを回収する電子ビーム回収部とを備えた電子ビーム冷却装置において、冷凍機と、超電導ソレノイドコイルを冷凍機からの接触伝熱によって冷却する接触伝熱手段とを設けるとともに、超電導ソレノイドコイルのための断熱容器と冷凍機のための断熱容器とを別構造として1つの真空容器内に納めたことを特徴とする。
【0021】
ここでは、液体ヘリウム等の冷媒を用いる代わりに、汎用の極低温の冷凍機を用いるため、冷媒槽より小さい容器によって構成できるとともに、電子ビーム冷却装置の運転に必要だった高価な冷媒の購入と保管が不要になり、運転コストと設備費用を大幅に削減することができる。したがって、請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果がそのまま得られるとともに、低コストで、コンパクトな構造を得ることができる。
【0022】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の電子ビーム冷却装置において、冷媒槽と超電導ソレノイドコイルとの間に冷媒移送管及び排出管を設け、超電導ソレノイドコイルを冷媒により直接冷却するとともに、超電導ソレノイドコイルのための断熱容器と冷媒槽のための断熱容器とを別構造として1つの真空容器内に納めたことを特徴とする。
【0023】
これによって、超電導コイルに冷媒を直接注入するので、冷媒槽からコイルへの複雑な伝熱系を簡素にすることができる。また、超電導部分を直接冷却するので、たとえ輻射や伝熱等による侵入熱が冷凍機等による接触伝熱より多くても冷却可能であり、その結果、クライオスタットの構造も強固に、かつ簡単化することができる。
【0024】
したがって、請求項1に係る発明の効果がそのまま得られるとともに、冷媒槽を備えている関係で大型にはなるが、構造が単純で、強度的にも優れた構造を得ることができる。
【0025】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の電子ビーム冷却装置において、超電導ソレノイドコイルのための真空容器と冷媒槽とを別構造とし、超電導ソレノイドコイルのための真空容器と冷媒槽との間を、伝熱部を有する接続管を介して接続し、冷媒槽と超電導ソレノイドコイルとの間を、伝熱部を介して伝熱することを特徴とする。
【0026】
これによって、超電導コイルの向きと位置にかかわらず、磁気シールドの対称性を損なわないで、また、コイル用の電流導入端子や真空引きポート、予冷ポートとの干渉を避けて、冷媒槽を自在の位置に設けることができる。
【0027】
請求項5に係る発明は、請求項2に記載の電子ビーム冷却装置において、超電導ソレノイドコイルのための真空容器と冷凍機のための真空容器とを別構造とし、超電導ソレノイドコイルのための真空容器と冷凍機のための真空容器との間を、伝熱部を有する接続管を介して接続し、冷凍機と超電導ソレノイドコイルとの間を、伝熱部を介して伝熱することを特徴とする。
【0028】
これによって、液体ヘリウム等の冷媒の代わりに、汎用の極低温の冷凍機を用いるため、冷媒槽より小さい容器で構成できるとともに、電子ビーム冷却装置の運転に必要だった高価な冷媒の購入と保管が不要になり、運転コスト及び設備費用を大幅に削減することができる。
【0029】
したがって、請求項4に係る発明の効果がそのまま得られるとともに、低コストで、コンパクトな構造を得ることができる。
【0030】
請求項6に係る発明は、請求項3に記載の電子ビーム冷却装置において、超電導ソレノイドコイルのための真空容器と冷媒槽とを別構造とし、超電導ソレノイドコイルのための真空容器と冷媒槽との間を、内部に冷媒移送管及び排出管を有する接続管を介して接続し、冷媒槽から冷媒移送管を介して超電導ソレノイドコイルへ冷媒を供給し、超電導ソレノイドコイルで気化した溶媒を排出管を介して冷媒槽へ回収することを特徴とする。
【0031】
これによって、超電導コイルに液体ヘリウム等の冷媒を直接、注入するので、冷媒槽からコイルへの複雑な伝熱系を簡素にすることができる。また、超電導部分を直接冷却するので、輻射や伝導による侵入熱が冷凍機等による接触伝熱よりは多くても冷却できるので、クライオスタットの構造も強固で、簡単化することができる。
【0032】
したがって、請求項3に係る発明の効果がそのまま得られるとともに、構造が単純で、強度的にも優れた構造を得ることができる。
【0033】
請求項7に係る発明は、請求項4ないし6のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置において、接続管に可撓性部を設けたことを特徴とする。
【0034】
超電導コイルの冷却の際に冷凍機を用いた場合は、冷凍機の振動が、また、冷媒を用いた場合は、冷媒供給ラインにポンプがあるときに、ポンプの振動又は冷媒流の脈動が、真空容器から接続管を通ってコイルに伝えられる。コイル又はコイル部分の真空容器の振動はソレノイド磁場の振動をもたらし、電子ビームに悪影響を与える。そこで、接続管に可撓性部を設けることによって、冷凍機又はポンプの振動を、コイルから切り離すことができる。なお、ここで、接続管の内部にある極低温を伝える良伝熱体、又は、冷媒供給配管及び輻射熱シールドは、接続管と同様に、熱膨張差や振動等を考慮して可撓性部を介して接続される。
【0035】
これによって、安定したソレノイド磁場を電子ビーム冷却装置に供給することができ、イオンビームの冷却効率を向上させることができる。
【0036】
請求項8に係る発明は、請求項4ないし6のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置において、接続管にフランジ部を介在させたことを特徴とする。
【0037】
冷凍機又は冷媒槽の真空容器と超電導コイルの真空容器を連通する接続管にフランジ部を設け、接続管内部の極低温を伝える良伝熱体、又は、冷媒供給配管と排出管、及び輻射熱シールドにも接続部を設けることによって、個々の真空容器のメンテナンスを容易にすることができる。したがって、冷凍機のメンテナンス等の定期点検の必要とする部分の点検及び交換を容易にすることができる。
【0038】
請求項9に係る発明は、請求項1に記載の電子ビーム冷却装置において、電子ビーム回収部に含まれるソレノイドコイルとして、電子銃に含まれる超電導ソレノイドコイルと同一構造の超電導ソレノイドコイルを設けたことを特徴とする。
セントラル部と出射側ト口イド部を通過した電子ビームは、イオンビームとの相互作用及びトロイド部の磁場の影響を受けて、回収部では電子ビームが発散している。そのため、通常のソレノイド磁場では電子ビームが回収しきれないおそれがある。そこで、電子ビーム回収部のソレノイドコイルを、通常の常電導コイルの代わりに、超電導コイルにすることによって、ソレノイド磁場強度を大きくし、発散した電子ビームを集束させることができる。これによって、電子ビーム回収部に内蔵される減速管と電子ビーム回収部をコンパクトに構成することができる。
【0039】
請求項10に係る発明は、請求項1ないし9のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置において、入射側トロイド部の上流側及び出射側トロイド部の下流側のイオンのビームラインに、それぞれイオンビーム偏向用の補正コイルを設けたことを特徴とする。
【0040】
電子ビーム冷却装置の上流側の補正コイルは、電子ビーム冷却装置に入るイオンビームがトロイドコイルの磁場によって偏向させられるために、セントラル部においてイオンビームと電子ビームとが平行になるように、電子ビーム冷却装置の上流で、あらかじめイオンビームを偏向させて、入射側トロイド磁場によって電子ビームと平行になるように調整する目的で設けられる。電子ビーム冷却装置の下流には、出射側トロイド磁場によって、偏向させられたイオンビームを正規のイオンビーム軌道に戻すために、上流側とは別の補正コイルが設けられる。
【0041】
これにより、電子ビーム冷却装置のセントラル部において、イオンビームと電子ビームとが平行に相互作用を受けることになり、イオンビームの冷却効率を向上させることができる。
【0042】
請求項11に係る発明は、請求項1ないし9のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置において、入射側トロイド部及び出射側トロイド部にそれぞれイオンビーム偏向用の補正コイルを内蔵したことを特徴とする。
【0043】
これにより、トロイドコイルによるイオンビームの偏向角度を小さくすることができ、請求項10に係る偏向用の補正コイルの磁場を下げ、あるいは、補正コイルの数を減らすことができる。
【0044】
請求項12に係る発明は、請求項1ないし11のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置において、イオンのビームラインに設けられている補正用のステアリング電磁石を偏向させられたイオンビームの補正用に使用することを特徴とする。
通常のイオンリングでは、イオンビームの軌道補正用として、水平方向と垂直方向のステアリング電磁石が4極電磁石の前後に設けられる。請求項12に係る発明では、請求項10に係る発明の補正コイルの新設の代わりに、同じ目的で既存のステアリング電磁石を使用する。これにより、電子ビーム冷却装置の設置による補正コイルの数を減らすことができるか、あるいは補正コイルの仕様を容易にすることができる。
【0045】
請求項13に係る発明は、請求項1ないし12のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置において、入射側トロイドコイル、セントラル部ソレノイドコイル、及び出射側トロイドコイルを、それらの磁場中心軸を電子ビーム冷却手段のない時のイオンビーム軸に対して傾斜させるか、又は偏芯させるかして配置したことを特徴とする。
【0046】
イオンビームは電子ビーム冷却装置のトロイドコイルにより偏向させられる。イオンビームの電子ビーム冷却装置のないときのイオンビーム軸に対する偏向は、電子ビーム冷却装置の前後に補正コイルを配置することによって補正している。しかしながら、トロイドコイルの磁場が強くなると、偏向角が大きくなり、その分補正コイルの磁場も大きくなる。したがって、セントラル部におけるイオンビームを電子ビーム冷却装置のないときのイオンビーム軸に一致させるためには、補正コイルの数と配置、磁場の強さを調整しなければならなく、イオンビームもセントラル部以外ではかなりビーム軸からずれてしまう場合もある。
【0047】
そこで、入射側トロイドコイルとセントラル部ソレノイドコイルと出射側トロイドコイルの磁場中心軸を、電子ビーム冷却装置のないときのイオンビーム軸に対して、傾斜させるか又は偏芯させることによって、トロイドコイル及び補正コイルによって、電子ビーム冷却装置のないときのイオンビーム軸に対して、はずれたイオンビームを、元の軸に戻さないで、電子ビーム冷却装置の電子ビームのビーム軸を、イオンビームに合わせて設置することができる。
【0048】
これにより、補正コイルの大きさを小さくすることができるとともに、補正コイルを調整することによって、イオンビームのずれ幅を小さくして、イオンビーム用の真空ダクトを、リングの他の部分と同じ形状に保つことができる。
【0049】
請求項14に係る発明は、請求項1ないし13のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置において、入射側トロイドコイル、セントラル部ソレノイドコイル、及び出射側トロイドコイルをそれぞれに内蔵する真空容器全体を、電子ビーム冷却手段のない時のイオンビーム軸に対して傾斜させるか偏芯させるかして配置したことを特徴とする。
【0050】
請求項13に係る発明においては、入射側トロイドコイルとセントラル部ソレノイドコイルと出射側トロイドコイルの磁場中心のみを傾斜させるか偏芯させていた。したがって、電子ビーム冷却装置のないときのイオンビーム軸に対して平行に組み立てられる真空容器に対して、コイルの角度決めや中心軸の偏芯をするのが難しく、組立性に難点があった。
【0051】
しかるに請求項14に係る発明によれば、真空容器側にあらかじめ角度をつけておくか偏芯させておくので、コイルは真空容器を芯として組立作業をすることができる。これにより、請求項12で係る発明で問題となりうる組立性を容易にすることができる。
【0052】
請求項15に係る発明は、請求項1ないし14のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置において、出射側トロイドコイルの磁場強度を、トロイドコイルによるイオンビームの偏向角度に応じて、入射側トロイドコイルの磁場強度に比べて、100%未満から70%程度まで低下させたことを特徴とする。
【0053】
従来の電子ビーム冷却装置では、トロイドコイルの磁場は電子の発散防止及び集束の意味で、断熱膨張後の電子銃部ソレノイドコイル、セントラル部ソレノイドコイル、及び電子ビーム回収部ソレノイドコイルの磁場と同一にしていた。入射側のトロイドコイルは冷却前なので、電子ビームの特性を低下させないために、電子ビーム入射部のソレノイドコイルとセントラル部のソレノイドコイルの磁場と整合性をとる必要がある。出射側のトロイドコイルは電子ビーム回収部で電子が回収できるかぎり、磁場強度を低下させることが可能である。ここで、出射トロイドコイルの磁場を入射トロイドコイルの磁場の70%より下げると、電子ビームのサイズが1.2倍以上になり、下流のソレノイドコイルでは電子を集束しきれなくなって、電子ビームが発散するか、又は真空容器に当たってしまい、電子ビーム回収部での回収が不能になる。
【0054】
そこで、出射トロイドコイルの磁場を入射トロイドコイルの磁場の100%から70%を限度に低下させることによって、トロイドコイルによるイオンビームの影響を減少させるとともに、トロイドで発散傾向にある電子ビームを電子ビーム回収部ソレノイドコイルの磁場を調整することによって、コレクタに回収することができる。出射トロイドコイルの磁場の値は、補正コイルによるイオンビームの偏向調整と、電子ビーム回収部ソレノイドコイルの磁場の調整との関係において、100%から70%の間で、機器性能上及びコスト上の観点から、最適な値に選択すればよい。
【0055】
これにより、トロイドコイルによるイオンビームの偏向角度を小さくし、電子ビーム冷却装置の下流側の補正コイルの負担を減少させることができる。
【0056】
請求項16に係る発明は、請求項1ないし15のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置において、セントラル部に、イオンビームの位置を検出し、その検出結果に従ってイオンリング全体のビームの閉軌道の歪みを補正するための電極を内蔵したことを特徴とする。
【0057】
電子ビーム冷却装置のセントラル部には、電子ビームとイオンビームの位置を検出するための電極が設けられる。通常のイオンリングにはイオンビームの軌道を確認するために、ある間隔で,電極が設けられており、その検出情報を用いてステアリング電磁石を調整し、イオンビームの閉軌道の歪みを補正する。
【0058】
本発明では電子ビーム冷却装置の内部にある電極からのイオンビーム軌道についての情報をも軌道補正に利用することによって、軌道補正の精度を上げることができるか、又は、イオンリング内の電極を減らすことができる。
【0059】
請求項17に係る発明は、請求項1ないし16のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置において、イオンビームを冷却することによってイオンリングのビーム入射時のエネルギーにおけるイオンビームのエミッタンス(放射力)を小さくすることを特徴とする。
【0060】
イオンリングに設けられる電子ビーム冷却装置は、周回しているイオンビームの運動量の広がりを減少させることを目的としている。電子銃で生成された低温電子ビームは断熱膨張法によって極低温化され、イオンの周回ビームと精密に合流させることによって、イオンビームの運動量の減少に加えて、位相空間内でのビームの広がりを表すエミッタンスを縮小することができる。
【0061】
これにより、ビームの広がりを小さくして、入射・加速の効率を大幅に改善できると同時に、冷却蓄積法を用いて蓄積ビーム強度を大きくすることができ、2次ビームを用いた診断・治療を初めとする高精度重粒子線治療や物理実験に貢献させることができる。
【0062】
請求項18に係る発明は、請求項1ないし16のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置において、イオンビームを冷却することによってイオンリングのビームフラットトップの最大エネルギーにおけるイオンビームのエミッタンスを小さくすることを特徴とする。
【0063】
これにより、請求項18に係る発明と同様に、冷却蓄積法を用いて蓄積ビーム強度を大きくすることができ、2次ビームを用いた診断・治療を初めとする高精度重粒子線治療や物理実験に貢献させることができる。
【0064】
請求項19に係る発明は、請求項1ないし18のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置を備えたイオン蓄積リングに関するものである。
【0065】
請求項20係る発明は、請求項1ないし18のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置を備えたイオンシンクロトロンに関するものである。
【0066】
請求項19又は20に係る発明によれば、イオン蓄積リング又はイオンシンクロトロンのビームの運動量の広がりを減少させ、また、エミッタンスを縮小させることによって、入射・加速の効率を大幅に改善できると同時に、冷却蓄積法を用いて蓄積ビーム強度を大きくすることができ、2次ビームを用いた診断・治療を初めとする高精度重粒子線治療や物理実験に貢献させることができる。
【0067】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本発明の実施の形態を示す図1〜図15において上記した従来技術と同じ構成部分については、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0068】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態による電子ビーム冷却装置の縦断面を示すものである。電子ビーム入射部1において真空容器内の電子銃2及び加速管3の周囲に超電導ソレノイドコイル17及び磁気シールド16が配置されている。磁気シールド16の対称性が損なわれないように、磁気シールド16の外側の、磁場の対称性が損なわれることが許容できる電子ビーム入射部1のフィードスルー18側(電子銃2から見て電子ビーム4を送り出す方向の反対側)に、極低温冷熱発生源の冷媒槽19、電流供給ポート20、真空排気ポート21、及び予冷ポート22を備えた超電導クライオスタット23が配置されている。超電導ソレノイドコイル17は、極低温に維持するために、超電導クライオスタット23の中に配置されている。
【0069】
超電導クライオスタット23の内部には、超電導ソレノイドコイル17を囲んで、大気(室温雰囲気)と極低温雰囲気との間の断熱のために40Kの輻射熱シールド24が配設されている。図1の装置では、超電導クライオスタット23の上部に、はみ出した形で極低温冷熱発生源である冷媒槽19が設けられており、その中に液体ヘリウム等の冷媒を貯溜している。冷媒槽19の外側には超電導ソレノイドコイル17用の輻射熱シールド24とは別の輻射熱シールド25が設けられている。この実施の形態1では、超電導クライオスタット23は1つの真空容器の構造として、超電導ソレノイドコイル17及び冷媒槽19を内蔵している。
【0070】
冷媒槽19と超電導ソレノイドコイル17との間では、高純度の銅やアルミニウム等からなる良熱伝導体26を介して、超電導ソレノイドコイル17を超電導状態に保持する極低温状態が冷媒槽19から超電導ソレノイドコイル17に伝導される。このようにして超電導クライオスタット23とその外側の磁気シールド16の対称性を損なうことなく、冷媒槽19及び良熱伝導体26を配置することができる。
【0071】
この実施の形態によれば、冷媒槽19を磁気シールド16の外側に配置するので、磁気シールド16の回転対称性が保持されて電子銃2及び加速管3の部分での不正磁界の発生を抑制し、運動量の広がりの小さい電子ビームを得ることができ、イオンビームの冷却効率を向上させることができる。一方、冷媒槽19は超電導ソレノイドコイル17を覆う磁気シールド16の配置されていない側に設けられ、接触伝熱により冷却されるので、冷媒槽19の向きに制約されずに、超電導ソレノイドコイル17の向きを自在に決定することができる。これにより、電子ビーム入射部1及び電子ビーム回収部12の向きを、従来から用いられている図に示すような垂直方向に90°立てる方向や、図16の従来装置で説明した約45°斜め上方に立てる方向以外にも、真横に90°又はその他の角度に設置する等、種々の方向にすることができる。
【0072】
(実施の形態2)
図2は第2の実施の形態による電子ビーム冷却装置を示すものである。この実施の形態では、極低温の冷熱発生源を冷媒槽19(図1)の代わりに、汎用の極低温冷凍機27を用いる。極低温冷凍機27及び超電導ソレノイドコイル17の間は高純度の銅やアルミニウム等からなる良熱伝導体26を介して、超電導ソレノイドコイル17を超電導状態に保持する極低温状態を極低温冷凍機27から超電導ソレノイドコイル17に伝える。
【0073】
超電導ソレノイドコイル17とそのための輻射熱シールド24と、極低温冷凍機27とそのための輻射熱シールド25とを別構造として、1つの真空容器である超電導クライオスタット23内に納めることによって、磁気シールド16における回転対称性を維持したまま、超電導ソレノイドコイル17の向きにかかわらず極低温冷凍機27を所定の向きに配置することができる。
【0074】
極低温冷凍機27を使用することにより、高価で、取扱や、保管、廃棄等に注意を要するヘリウム等の冷媒を用いることなく、超電導ソレノイドコイル17を極低温の超電導状態に冷却することができる。
【0075】
この実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果を奏する上に、さらに特別の冷媒を用いないので、外部に大型の冷凍機や冷媒貯溜槽を設けることなく、電子ビーム冷却装置をコンパクトに製作することができる。
【0076】
(実施の形態3)
図3及び図4は第3の実施の形態による電子ビーム冷却装置の縦断面図及び要部拡大図である。この実施の形態では、極低温発生源を、第1の実施の形態と同様に液体ヘリウム等の冷媒を冷媒槽19にするとともに、冷媒槽19と超電導ソレノイドコイル17との間に冷媒移送管28と排出管29を設けて、冷媒により超電導ソレノイドコイル17を直接冷却するとともに、超電導ソレノイドコイル部輻射熱シールド24と冷媒槽の輻射熱シールド25を別構造として1つの真空容器である超電導クライオスタット23内に納めている。これによって、磁気シールド16における回転対称性を維持したまま、超電導ソレノイドコイル17の向きにかかわらず冷媒槽19を所定の向きに形成することができる。
【0077】
この実施の形態では、液体ヘリウム等の冷媒で直接、超電導ソレノイドコイル17を冷却するので、冷媒槽19や第2の実施の形態の場合の極低温冷凍機27からの複雑な伝熱系を簡素化することができる。また、超電導部分を直接冷却するので、輻射や伝熱等による侵入熱が冷凍機等による接触伝熱より多くても所期の冷却機能を達成することができ、その結果、超電導クライオスタット23の構造も強固に、かつ簡単化することができる。
【0078】
この実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果を得ることができるとともに、冷媒槽19を備えている関係上、超電導クライオスタット23がやや大きくなるが、単純構造で、強度的にも優れた冷却装置を構成することができる。
【0079】
(実施の形態4)
図5及び図6は第4の実施の形態による電子ビーム冷却装置の縦断面図及び要部拡大図である。この実施の形態では、電子銃部の超電導ソレノイドコイル17において、超電導ソレノイドコイル17を覆う超電導クライオスタット30と冷媒槽19を覆うクライオスタット31を別構造とし、超電導ソレノイドコイル部超電導クライオスタット30と冷媒槽部クライオスタット31との間を、伝熱部を有する接続管32を介して接続し、冷媒槽19と超電導ソレノイドコイル17との間を伝熱する。さらに、接続管32に可撓性部33及びフランジ部34を設ける。超電導ソレノイドコイル部クライオスタット30と冷媒槽部クライオスタット31を形成する真空容器を別構造にすることにより、その間の極低温の伝導を、接続管32の中に設けた良熱伝導体26(図1,2参照)を通して行う。
【0080】
これにより、超電導ソレノイドコイル17の冷却の際、冷媒槽19を用い、その冷媒槽19に冷媒供給用のポンプ等を備え付けた場合にポンプの振動又は冷媒流の脈動を、接続管32に可撓性部33を設けることによって、超電導クライオスタット30から切り離すことができる。なお、接続管32内に配設される、良熱伝導体26及び輻射熱シールド35は、接続管32と同様に、熱膨張差や振動等を考慮して、可撓性部を介して接続するのがよい。
【0081】
さらに、冷媒槽部クライオスタット31と超電導ソレノイドコイル17部分の超電導クライオスタット30を接続する接続管32にフランジ部34を設け、接続管32内部の極低温を伝える良熱伝導体26及び輻射熱シールド35にも接続部を設けることによって、個々のクライオスタットのメンテナンスを容易にすることができる。
【0082】
この実施の形態によれば、第2の実施の形態の効果を奏する上に、超電導ソレノイドコイル17の向きと位置にかかわらず、磁気シールド16の対称性を損なうことなく、また、コイル用の電流供給ポート20や真空引きポート21、予冷ポート22との干渉を避けながら、冷媒槽19を自在の位置に配設することができる。さらに、振動等の影響を受けない安定したソレノイド磁場を電子ビーム冷却装置に供給することができ、イオンビームの冷却効率を向上させることができる。また、冷媒槽19のメンテナンス等の定期点検を必要とする部分の点検及び交換の作業を容易にすることができる。
【0083】
(実施の形態5)
図7及び図8は第5の実施の形態による電子ビーム冷却装置の断面を示すものである。この実施の形態にあっては、超電導ソレノイドコイル17を覆う超電導クライオスタット30と極低温冷凍機27を覆うクライオスタット36とを別構造とし、超電導ソレノイドコイル部クライオスタット30と冷凍機部クライオスタット36との間に、伝熱部を有する接続管32を設けて、極低温冷凍機27と超電導ソレノイドコイル17との間を伝熱する。さらに、接続管32に可撓性部33及びフランジ部34を設けている。
【0084】
超電導ソレノイドコイル部クライオスタット30と冷凍機部クライオスタット36を形成する真空容器を別構造にしているため、その間の極低温の伝導を、接続管32の中に設けられた良熱伝導体26を通して行う。超電導ソレノイドコイル部クライオスタット30と冷凍機部クライオスタット36を形成する真空容器を別構造にしているため、その間の極低温状態の伝導を、接続管32の中に設けた良熱伝導体26を通して行う。
【0085】
これにより、超電導ソレノイドコイル17の冷却の際に、極低温冷凍機27を用いた場合、極低温冷凍機27の振動を、接続管32に可撓性部33を設けることによって、超電導ソレノイドコイル17から切り離すことができる。なお、ここで、接続管32の内部にある極低温状態を伝える良熱伝導体26及び輻射熱シールド35は、接続管32と同様に、熱膨張差や振動等を考慮して、可撓性部を介して接続される。また、冷凍機部クライオスタット36と超電導ソレノイドコイル部クライオスタット30を接続する接続管32にフランジを設け、接続管内部の極低温を伝える良熱伝導体26及び輻射熱シールド35にも接続部を設けることによって、個々のクライオスタットのメンテナンスを容易にすることができる。
【0086】
この実施の形態によれば、第2の実施の形態及び第4の実施の形態の効果を同時に奏することができる。また、極低温冷凍機27のメンテナンス等の定期点検の必要とする部分の点検及び交換を容易にすることができる。
【0087】
(実施の形態6)
図9及び図10は第6の実施の形態による電子ビーム冷却装置の断面を示すものである。この実施の形態では、超電導ソレノイドコイル17を覆う超電導クライオスタット30と冷媒槽19を覆うクライオスタット31を別構造とし、超電導ソレノイドコイル部超電導クライオスタット30と冷媒槽部クライオスタット31との間を、伝熱部を有する接続管32を介して接続し、冷媒槽19と超電導ソレノイドコイル17との間を接続管32を介して伝熱する。また、接続管32に可撓性部33及びフランジ部34を設ける。
【0088】
ここでは超電導ソレノイドコイル部クライオスタット30と冷媒槽部クライオスタット31を形成する真空容器を別構造にしているため、その間の冷媒の移送を、接続管32の中に設けた冷媒移送管28と排出管29を通して行う。
【0089】
これにより、超電導ソレノイドコイル17の冷却の際に冷媒槽19を用い、その冷媒槽19に冷媒供給用のポンブ等を備え付けた場合、ポンプの振動又は冷媒流の脈動を、接続管32に可撓性部33を設けることによって、超電導クライオスタット30から切り離すことができる。なお、ここで、接続管32の内部にある冷媒を流すための冷媒移送管28と排出管29及び輻射熱シールド35は、接続管32と同様に、熱膨張差や振動等を考慮し、可撓性部を介して接続する。
【0090】
冷媒槽部クライオスタット31と超電導ソレノイドコイル17部分の超電導クライオスタット30を接続する接続管にフランジ部34を設け、接続管32内部の冷媒を輸送する冷媒移送管28と排出管29及び輻射熱シールド35にも接続部を設けることにより、個々のクライオスタットのメンテナンスを容易にすることができる。
【0091】
この実施の形態によれば、第3の実施の形態(図3及び図4)及び第4の実施の形態(図5及び図6)の効果を同時に奏することができる。
【0092】
なお、第4ないし第6の実施の形態はそれぞれ単独に、あるいは複数を組合せて実施することもできる。
【0093】
(実施の形態7)
図11は第7の実施の形態による電子ビーム冷却装置の縦断面を示すものである。この実施の形態においては、電子ビーム4を回収する電子ビーム回収部12を構成するソレノイドコイルに、請求項2、5、7及び8に係る発明の実施の形態と同一構成の超電導ソレノイドコイル37を使用する。
【0094】
これにより、電子ビーム回収部12におけるソレノイド磁場強度を強くし、発散した電子ビーム4を集束し、減速管13やコレクタ14を従来のものよりも大きくすることなく、電子ビーム4を良好に回収することができる。
【0095】
この実施の形態によれば、電子ビーム回収部12に内蔵される減速管13と電子ビーム回収部12をコンパクトに構成することができるとともに、超電導ソレノイドコイル37を覆う磁気シールド38の効果によって、コレクタ14部で電子ビーム4を回収する時に発生する放射線の外部への漏れを抑制することができる。
【0096】
なお、電子ビーム回収部12を構成するソレノイドコイル37において、請求項1ないし8のいずれかを、単独にあるいは複数組み合わせて構成した超電導ソレノイドコイルを備えた電子ビーム冷却装置もこの実施の形態に含まれる。
【0097】
(実施の形態8)
図12は第8の実施の形態による電子ビーム冷却装置の前後のイオンリングの配置図を示すものである。この実施の形態は、イオンビーム偏向用の補正コイル39を、入射側トロイド部6の上流側と、出射側トロイド部10の下流側のイオンのビームライン上に設けたことを特徴とするものである。
【0098】
電子ビーム冷却装置の上流側の補正コイル39は、電子ビーム冷却装置に入るイオンビーム9が入射側トロイド部6の磁場によって偏向させられるため、セントラル部8においてイオンビーム9と電子ビーム4とが平行になるように、電子ビーム冷却装置の上流で、あらかじめイオンビーム9を偏向させて、入射側トロイド部6の磁場によって電子ビーム4と平行になるように調整する目的で設けられる。電子ビーム冷却装置の下流には、出射側トロイド部10の磁場によって偏向させられたイオンビーム9を正規のイオンビーム軌道に戻すために、上流側とは別の補正コイル39が設置されている。
【0099】
これにより、電子ビーム冷却装置のセントラル部8において、イオンビーム9と電子ビーム4とが平行に相互作用を受けることになり、イオンビーム9の冷却効率を向上させることができる。
【0100】
この実施の形態によれば、補正コイル39の磁場によりイオンビーム9の軌道を調整することにより、ビームダクトのサイズに従ってイオンビームの軌道を形成することができ、既存イオンビーム9用のダクトを偏向させたりしないで、電子ビーム冷却装置においてイオンビーム9の冷却を効率よく行うことができる。
(実施の形態9)
第9の実施の形態による電子ビーム冷却装置では、図13に示すように、電子ビーム冷却装置の入射側トロイド部6及び出射側トロイド部10の中に、イオンビーム9の偏向補正用のコイル40を内蔵する。図13は補正コイル40を内蔵した入射側トロイド部6の概略を示すものである。
【0101】
補正コイル40を設けることにより、入射側トロイド部6及び出射側トロイド部10に含まれる入射側トロイドコイル7及び出射側トロイドコイルによるイオンビーム9の偏向角度を小さくすることができ、第8の実施の形態(図12)で説明した偏向用の補正コイル39の磁場を下げて、補正コイル39の仕様を容易にすることができるか、あるいは、補正コイル39の数を減らすことができる。
この実施の形態によれば、電子ビーム冷却装置の前後において、既存リングと異なる特殊形状のダクトを製作することなく、電子ビーム冷却装置をイオンリングのビームラインに導入することができる。
【0102】
電子ビーム冷却装置の前後にあって、既設のイオンのビームラインに設けられている補正用のステアリング電磁石を、電子ビーム冷却装置によって偏向させられたイオンビーム9の補正用として使用することができる。通常のイオンリングでは、イオンビームの軌道補正用として、水平方向と垂直方向のステアリング電磁石41が4極電磁石42の前後に設けられる(図12参照)。しかしながら、補正コイル39を新設する代わりに、同様の目的で既存のステアリング電磁石41を使用することができる。
【0103】
これにより、電子ビーム冷却装置の設置による補正コイル39の数を減らすことができるか、あるいは補正コイル39の仕様を容易にすることができる。この実施の形態によれば、新設する補正コイル39の数を減らして、第8の実施の形態の効果を得ることができる。
【0104】
(実施の形態10)
図14は第10の実施の形態による電子ビーム冷却装置の断面を示すものである。入射側トロイドコイル7とセントラル部ソレノイドコイル15と出射側トロイドコイル11とそれぞれに内蔵される真空容器43全体を、電子ビーム冷却装置のない時のイオンビーム軸に対して傾斜させて配置する。
【0105】
イオンビーム9は電子ビーム冷却装置の入射側トロイドコイル7及び出射側トロイドコイル11により偏向させられる。イオンビーム9の電子ビーム冷却装置のないときのイオンビーム軸に対する偏向は、電子ビーム冷却装置の前後に補正コイル39を配置することによって補正する。しかしながら、トロイドコイル7及び11の磁場が強くなると偏向角が大きくなり、その分、補正コイル39の磁場も大きくなる。したがって、セントラル部8におけるイオンビーム9を電子ビーム冷却装置を設けていないときのイオンビーム軸に一致させるためには、補正コイル39の数と配置、磁場の強さを調整しなければならなくなり、イオンビーム9もセントラル部8以外ではかなりビーム軸からずれてしまう場合も生じてくる。
【0106】
そこで、入射側トロイドコイル7とセントラル部ソレノイドコイル15と出射側トロイドコイル11の磁場中心軸を、電子ビーム冷却装置を設けていないときのイオンビーム軸に対して、内蔵する真空容器43ごと、傾斜させることによって、トロイドコイル7,11及び補正コイル39によって、電子ビーム冷却装置を設けていないときのイオンビーム軸に対して、はずれたイオンビーム9を、元の軸に戻さないで、電子ビーム冷却装置の電子ビーム4のビーム軸をイオンビーム9に合わせて設置することができる。
【0107】
これにより、補正コイル39を小さくすることができるとともに、補正コイル39を調整することによりイオンビーム9のずれ幅を小さくし、イオンビーム用の真空容器43をリングの他の部分と同じ形状に保つことができる。さらに、真空容器43側にあらかじめ傾斜角度をつけておくことができるので、コイル7,15,11は真空容器43を芯として組立作業をすることができる。
【0108】
この実施の形態によれば、電子ビーム冷却装置の設置に伴う、補正コイル39の負荷を減少させることができ、補正コイル39の数を減らすことができるか、あるいは仕様を緩やかにすることができる。また、電子ビーム冷却装置のコイルと真空容器の軸を一致させているので、組立も従来通りにすることができる。
【0109】
入射側トロイドコイル7とセントラル部ソレノイドコイル15と出射側トロイドコイル11の磁場中心軸を、電子ビーム冷却装置を設けていないときのイオンビーム軸に対して、傾斜させるか又は偏芯させて配置し、中の真空容器43は従来のイオンビーム軸に合わせて組み立てることができる。さらに、電子ビーム4の入射角と出射角とが180°異なる場合、トロイド磁場から受ける磁場の影響が逆になり、セントラル部ソレノイドコイル15の磁場と真空容器の軸を偏芯させることによって、セントラル部8の冷却空間で効率よく冷却することができる。
【0110】
出射側トロイドコイル11の磁場強度は、出射側トロイドコイル11によるイオンビーム9の偏向角度に応じて、入射側トロイドコイル7の磁場強度に比べ、100%から70%程度にまで下げて使用することができる。入射側トロイドコイル7は冷却前なので、電子ビーム4の特性を低下させないために、電子ビーム入射部のソレノイドコイル5とセントラル部ソレノイドコイル15の磁場と整合性をとる必要があるが、出射側トロイドコイル11は電子ビーム回収部12で電子が回収できるかぎり、磁場強度を低下させることが可能である。
【0111】
これにより、出射側トロイドコイル11によるイオンビーム9の偏向角度を小さくし、電子ビーム冷却装置の下流側の補正コイル39の負担を減らすことができる。
【0112】
(実施の形態11)
第11の実施の形態に係る電子ビーム冷却装置では、セントラル部に電極45を内蔵することによって、イオンビームの位置を検出し、その検出結果をイオンリング全体のビームの閉軌道の歪み補正のために使用する。図15にこの実施の形態による電子ビーム冷却装置のセントラル部8を示す。
【0113】
セントラル部8には、真空容器43の中に電子ビーム4とイオンビーム9の位置を検出するために電極45が設けられる。また、通常のイオンリングにはイオンビーム9の軌道を確認するために、ある間隔で電極が設けられており、その情報を用いてステアリング電磁石41を調整し、イオンビーム9の閉軌道の歪みを補正する。
【0114】
この実施の形態によれば、電子ビーム冷却装置の内部にある電極45からのイオンビーム9の軌道の情報も、軌道補正に利用することによって、軌道補正の精度を向上させることができるか、又は、イオンリング内の電極を減らすことができる。
【0115】
イオンビームを冷却することによって、イオンリングのビーム入射時のエネルギーにおけるイオンビームのエミッタンスを小さくすることができる。
【0116】
イオンリングへの電子ビーム冷却装置の設置は、周回しているイオンビーム9の運動量の広がりを減少させることを目的としている。電子銃で生成された低温電子ビームは断熱膨張法によって極低温化され、イオンの周回ビームと精密に合流させることによって、イオンビームの運動量の減少に加えて、位相空間内でのビームの広がりを表すエミッタンスを縮小することができる。
【0117】
この実施の形態に従ってビームの広がりを小さくすることにより、入射性及び加速効率を大幅に改善できると同時に、冷却蓄積法を用いて蓄積ビーム強度を大きくすることができ、2次ビームを用いた診断・治療を初めとする高精度重粒子線治療や物理実験に貢献することができる。
【0118】
イオンビームを冷却することによって、イオンリングのビームフラットトップの最大エネルギーにおけるイオンビームのエミッタンスを小さくすることができる。こうすることにより、冷却蓄積法を用いて蓄積ビーム強度を大きくすることができ、2次ビームを用いた診断・治療を初めとする高精度重粒子線治療や物理実験に貢献することができる。
【0119】
さらに、ソレノイドコイルは従来通り常電導とすることができる。こうすることにより、イオン蓄積リング又はイオンシンクロトロンのビーム特性を向上させることができ、2次ビームを用いた診断・治療を初めとする高精度粒子線治療や物理実験に貢献することができる。
【0120】
【発明の効果】
以上述べた本発明によれば、電子ビーム冷却装置の入射側機器に超電導ソレノイドコイルを用いることにより、電子ビームの断熱膨張によりイオンビームの冷却効率を向上させることができる。また、超電導ソレノイドコイルのクライオスタットと極低温発生源のクライオスタットを別構造とすることによって、前記電子ビーム入射部及び電子ビーム回収部の向きを垂直方向に90°立てて設置しているので、電子銃部ソレノイドコイルと電子回収側のソレノイドコイルを横向きにした場合の影響が大幅に改善され、イオンビームの偏向によりビームが上下方向に大きく偏向させられることを大幅に抑制し、既存形状のビームパイプ等ではビームが壁に突き当たる恐れが大幅に軽減される
【0121】
さらに、補正電磁石やセントラル部ソレノイドコイルの向きを調整することにより、セントラル部における、電子ビームによるイオンビームの冷却効率を向上させることができる。
【0122】
したがって本発明による電子ビーム冷却装置によれば、イオンビームの冷却効率を向上させ、イオンビーム特性を向上させ、それによって、2次ビームを用いた診断・治療を初めとする高精度重粒子線治療や物理実験に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による電子ビーム冷却装置の縦断面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態による電子ビーム冷却装置の縦断面図。
【図3】本発明の第3の実施の形態による電子ビーム冷却装置の縦断面図。
【図4】図3の要部の拡大図。
【図5】本発明の第4の実施の形態の電子ビーム冷却装置の縦断面図。
【図6】図5の要部の拡大図。
【図7】本発明の第5の実施の形態の電子ビーム冷却装置の縦断面図。
【図8】図7の要部の拡大図。
【図9】本発明の第6の実施の形態の電子ビーム冷却装置の縦断面図。
【図10】図9の要部の拡大図。
【図11】本発明の第7の実施の形態の電子ビーム冷却装置の縦断面図。
【図12】本発明の第8の実施の形態の電子ビーム冷却装置の前後のイオンリングの配置図。
【図13】本発明の第9の実施の形態の電子ビーム冷却装置において補正コイルを内蔵したトロイド部の断面図。
【図14】本発明の第10の実施の形態の電子ビーム冷却装置の縦断面図。
【図15】本発明の第11の実施の形態の電子ビーム冷却装置のセントラル部の断面図。
【図16】従来の電子ビーム冷却装置の縦断面図。
【符号の説明】
1 電子ビーム入射部
2 電子銃
3 加速管
4 電子ビーム
5 電子銃部ソレノイドコイル
6 入射側トロイド部
7 入射側トロイドコイル
8 セントラル部
9 イオンビーム
10 出射側トロイド部
11 出射側トロイドコイル
12 電子ビーム回収部
13 減速管
14 コレクタ
15 セントラル部ソレノイドコイル
16 磁気シールド
17 超電導ソレノイドコイル
18 フィードスルー
19 冷媒槽
20 電流供給ポート
21 真空排気ポート
22 予冷ポート
23 超電導クライオスタット
24,25,35 輻射熱シールド
26 良熱伝導体
27 極低温冷凍機
28 冷媒移送管
29 冷媒排出管
30 超電導ソレノイドコイル部クライオスタット
31 冷媒槽部クライオスタット
32 接続管
33 可撓性部
34 フランジ部
36 冷凍機部クライオスタット
37 超電導ソレノイドコイル
38 磁気シールド
39 補正コイル
40 トロイド内蔵補正コイル
41 ステアリング電磁石
42 4極電磁石
43 真空容器
44 真空ダクト
45 電極

Claims (20)

  1. 超電導ソレノイドコイルを含む電子銃及び加速管を含んで構成され、均一速度の電子ビームをイオンリングに入射する電子ビーム入射部と、前記イオンリングに入射しイオンリングから出射するために前記電子ビームを曲げるトロイド部と、前記電子ビームとイオンビームを平行して通過させ、イオンビームを冷却するセントラル部と、前記電子ビームを回収する電子ビーム回収部とを備えた電子ビーム冷却装置において、冷媒を貯溜する冷媒槽と、前記超電導ソレノイドコイルを前記冷媒槽からの接触伝熱によって冷却する接触伝熱手段とを設け、さらに前記電子ビーム入射部及び電子ビーム回収部の向きを垂直方向に90°立てて設置することを特徴とする電子ビーム冷却装置。
  2. 超電導ソレノイドコイルを含む電子銃及び加速管を含んで構成され、均一速度の電子ビームをイオンリングに入射する電子ビーム入射部と、前記イオンリングに入射しイオンリングから出射するために前記電子ビームを曲げるトロイド部と、前記電子ビームとイオンビームを平行して通過させ、イオンビームを冷却するセントラル部と、前記電子ビームを回収する電子ビーム回収部とを備えた電子ビーム冷却装置において、冷凍機と、前記超電導ソレノイドコイルを前記冷凍機からの接触伝熱によって冷却する接触伝熱手段とを設けるとともに、前記超電導ソレノイドコイルのための断熱容器と前記冷凍機のための断熱容器とを別構造として1つの真空容器内に納め、、さらに前記電子ビーム入射部及び電子ビーム回収部の向きを垂直方向に90°立てて設置することを特徴とする電子ビーム冷却装置。
  3. 前記冷媒槽と前記超電導ソレノイドコイルとの間に冷媒移送管及び排出管を設け、前記超電導ソレノイドコイルを冷媒により直接冷却するとともに、前記超電導ソレノイドコイルのための断熱容器と前記冷媒槽のための断熱容器とを別構造として1つの真空容器内に納めたことを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム冷却装置。
  4. 前記超電導ソレノイドコイルのための真空容器と前記冷媒槽とを別構造とし、前記超電導ソレノイドコイルのための真空容器と前記冷媒槽との間を、伝熱部を有する接続管を介して接続し、前記冷媒槽と前記超電導ソレノイドコイルとの間を、前記伝熱部を介して伝熱することを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム冷却装置。
  5. 前記超電導ソレノイドコイルのための真空容器と前記冷凍機のための真空容器とを別構造とし、前記超電導ソレノイドコイルのための真空容器と前記冷凍機のための真空容器との間を、伝熱部を有する接続管を介して接続し、前記冷凍機と前記超電導ソレノイドコイルとの間を、前記伝熱部を介して伝熱することを特徴とする請求項2に記載の電子ビーム冷却装置。
  6. 前記超電導ソレノイドコイルのための真空容器と前記冷媒槽とを別構造とし、前記超電導ソレノイドコイルのための真空容器と前記冷媒槽との間を、内部に冷媒移送管及び排出管を有する接続管を介して接続し、前記冷媒槽から前記冷媒移送管を介して前記超電導ソレノイドコイルへ冷媒を供給し、前記超電導ソレノイドコイルで気化した溶媒を前記排出管を介して前記冷媒槽へ回収することを特徴とする請求項3記載の電子ビーム冷却装置。
  7. 前記接続管に可撓性部を設けたことを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置。
  8. 前記接続管にフランジ部を介在させたことを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置。
  9. 前記電子ビーム回収部に含まれるソレノイドコイルとして、前記電子銃に含まれる超電導ソレノイドコイルと同一構造の超電導ソレノイドコイルを設けたことを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム冷却装置。
  10. 入射側トロイドの上流側及び出射側トロイドの下流側のイオンのビームラインにそれぞれイオンビーム偏向用の補正コイルを設けたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置。
  11. 入射側トロイド部及び出射側トロイド部にそれぞれイオンビーム偏向用の補正コイルを内蔵したことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置。
  12. 前記イオンのビームラインに設けられている補正用のステアリング電磁石を偏向させられたイオンビームの補正用に使用することを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置。
  13. 入射側トロイドコイル、セントラル部ソレノイドコイル、及び出射側トロイドコイルを、それらの磁場中心軸を電子ビーム冷却手段がない時のイオンビーム軸に対して傾斜させるか偏芯させるかして配置したことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置。
  14. 入射側トロイドコイル、セントラル部ソレノイドコイル、及び出射側トロイドコイルをそれぞれに内蔵する真空容器全体を、電子ビーム冷却手段がない時のイオンビーム軸に対して傾斜させるか偏芯させるかして配置したことを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置。
  15. 出射側トロイドコイルの磁場強度を、トロイドコイルによるイオンビームの偏向角度に応じて、入射側トロイドコイルの磁場強度に比べて、100%未満から70%程度まで低下させたことを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置。
  16. セントラル部に、イオンビームの位置を検出し、その検出結果に従ってイオンリング全体のビームの閉軌道の歪みを補正するための電極を内蔵したことを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置。
  17. イオンビームを冷却することによってイオンリングのビーム入射時のエネルギーにおけるイオンビームのエミッタンスを小さくすることを特徴とする請求項1ないし16のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置。
  18. イオンビームを冷却することによってイオンリングのビームフラットトップの最大エネルギーにおけるイオンビームのエミッタンスを小さくすることを特徴とする請求項1ないし16のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置。
  19. 請求項1ないし18のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置を備えたイオン蓄積リング。
  20. 請求項1ないし18のいずれかに記載の電子ビーム冷却装置を備えたイオンシンクロトロン。
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