JP3718998B2 - カラー受像管 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、コンピュータディスプレイやテレビジョン受像機に用いられるカラー受像管、特に3個の陰極が水平方向に一直線上に並んだインライン型のカラー受像管の電子銃に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
3個の陰極を水平一直線上に配列するインライン型のカラー受像管では、電子ビームを偏向する磁界を水平方向にピンクッション状に垂直方向にバレル状に歪ませることにより、3本の電子ビームを画像表示面全域で自動集中させるいわゆるセルフコンバーゼンス方式が採用されている。これにより画像表示面の各点で電子ビームの集中を容易に行うことができる反面、この偏向磁界による電子ビームに対する集束力に水平方向と垂直方向との間の不均一が生じ、特に画像表示面の周辺部で電子ビームの集束が損なわれるという問題がある。
【0003】
このような課題を解決するため、カラー受像管の電子銃の電極構成によって非軸対称の電子レンズを形成し、係る非軸対称レンズの集束作用を電子ビームの偏向角度に応じて変化させることで画像表示面の全域で良好な電子ビームスポットを得る技術が広く用いられている。
【0004】
このような非軸対称レンズを有するカラー受像管において、非軸対称レンズの集束作用を変化させるために偏向角度に応じて供給することが必要な集束電圧の変化量(以下「ダイナミック電圧量」という。)を低減することを目的として、第2集束電極と第4集束電極とに印加される第2集束電圧を、第1集束電極と第3集束電極とに印加される第1集束電圧よりも低い電圧から電子ビームの偏向角の増大に伴って上昇するものとする技術が、特開平6−187921号公報に記載されている。
【0005】
そして、同公報に記載の従来のカラー受像管の電子銃は、図7にその構造を示す断面図、図8に主要な各電極に形成される電子ビーム通過孔の開孔形状を示すように、第2集束電極5の第3集束電極6側端面には、縦長の電子ビーム通過孔5a、5b、5cが、第3集束電極6の第2集束電極5側端面には横長の電子ビーム通過孔6a、6b、6cが、第3集束電極6の第4集束電極7側端面には縦長の電子ビーム通過孔6d、6e、6fが、そして、第4集束電極7の第3集束電極6側端面には横長の電子ビーム通過孔7a、7b、7cがそれぞれ設けられ、第2集束電極と第3集束電極との間に第1の非軸対称レンズを、また、第3集束電極と第4集束電極との間に第2の非軸対称レンズをそれぞれ形成するようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術によれば、ダイナミック電圧量を低減することはできるものの、電子ビームが偏向されていない無偏向時において、第2集束電極に印加される第2集束電圧Vfoc2が第3集束電極に印加される第1集束電圧Vfoc1よりも低くなるため、この間に形成される第1の非軸対称電子レンズの作用が強くなりすぎて、電子ビームの断面形状が極端に縦長になってしまい、その結果、画像表示面での電子ビームのスポット形状が画面全域で横長になってしまうという問題があった。このように、電子ビームのスポット形状が横長となると、特に、水平方向での解像度が低下するとともに、モアレが発生しやすくなってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決し、ダイナミック電圧量を低減するという従来技術の効果を維持しつつ、表示画面全域での電子ビームスポットの形状を真円に近づけて画面全域で良好な解像度を得るとともに、モアレの発生を抑えたカラー受像管を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のカラー受像管は、水平方向にインライン配列された3個の陰極と、制御電極、加速電極、複数の集束電極および陽極電極が順次配列された電子銃を有し、前記複数の集束電極の少なくとも一部に、第1集束電圧と、前記第1集束電圧より低い電圧から電子ビーム偏向角の増大に伴って漸次上昇する第2集束電圧とが印加されることによって、電子ビームの無偏向時において水平方向において集束形のそして垂直方向において発散形のレンズ作用を奏する前記陰極側の第1非軸対称レンズと、この第1非軸対称レンズとは水平方向および垂直方向でそれぞれ逆の作用を電子ビームに与える前記陽極側の第2非軸対称レンズを形成し、さらに、前記2つの非軸対称レンズとは別の前記電子銃に設けられた電子ビーム補正手段を有し、前記電子ビーム補正手段によって前記電子ビーム補正手段を通過した直後の電子ビーム断面を横長にするものである。
【0009】
このようにすることで、ダイナミック電圧量を低減しつつ、表示画面全域での電子ビームスポットの形状を真円に近づけることができる。
【0010】
さらに、電子ビームの無偏向時において、電子ビームが水平方向と垂直方向に等しい集束作用を受けるように構成することが望ましく、この場合、電子ビームを集束する主集束レンズが、水平方向で強く、垂直方向で弱い集束作用を持つように形成することが望ましい。
【0011】
このようにすることで、電子ビームが無偏向の状態の時に非軸対称レンズが生じさせる非点収差の影響を打ち消して、良好なフォーカス特性を得ることができる。
【0012】
また、円形の電子ビーム断面形状が、前記電子ビーム補正手段を経ることによって水平方向径が垂直方向径の1.25〜5.00倍に変形するものであることが望ましく、その手段としては、前記電子銃を構成する電極の少なくとも一方の面における電子ビーム通過孔形状を横長若しくは縦長の四角形としたものであることが望ましい。具体的には、前記加速電極の前記集束電極側の電子ビーム通過孔を横長四角形とするか、前記加速電極に隣接する集束電極の前記加速電極側の電子ビーム通過孔を縦長四角形とすることが望ましい。
【0013】
このようにすることで、他の電極への電子ビーム当たりを回避しつつ、画像表示面での電子ビームのスポット形状をほぼ真円とすることができ、特に、簡易かつ、電子ビームの集束特性に悪影響を与えることなく、電子ビーム断面形状を横長に補正することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明のカラー受像管の実施の形態を説明する。
【0015】
図2は、本発明のカラー受像管の部分断面図を示している。
図2に示したように、本発明のカラー受像管は、パネルおよびファンネルからなる外囲器11を有し、パネルの内面には蛍光体が塗布されて画像表示面12が形成されるとともに、外囲器11のネック部13内には電子銃14が収納されている。また、外囲器11のネック部13近傍外部には、電子銃14から射出される図示しない電子ビームを、画像表示面12上で偏向走査するための偏向ヨーク15が取り付けられる。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係るカラー受像管の電子銃の構造を示す断面図である。
【0017】
本発明のカラー受像管の電子銃は、水平一直線上に配列された3個の陰極1a、1b、1c、制御電極2、加速電極3、複数(本実施の形態では4つ)の集束電極である第1集束電極4、第2集束電極5、第3集束電極6、第4集束電極7、および、陽極電極8が順次配置されることにより構成されている。そして、第2集束電極5、第3集束電極6、および、第4集束電極7は箱状に形成され、電子ビームの進行方向にそれぞれ2つの端面を有している。
【0018】
そして、図示するように、第1集束電極4および第3集束電極6には、一定の第1集束電圧Vfoc1が印加され、第2集束電極5および第4集束電極7には、第2集束電圧Vfoc2が印加される。この第2集束電圧Vfoc2は、電子ビームが偏向されない時には、第1集束電圧Vfoc1より低い定電圧Vfoc2sであり、電子ビームが偏向されている場合は、偏向角の増大に応じて上昇するダイナミック電圧VdynをVfoc2sに加えたものとなる。
【0019】
尚、一般的には、このVdynはパラボラ波であり、水平偏向および垂直偏向それぞれに同期した成分を合成したものとなっている。そして、Vdynによって第4集束電極7と陽極電極8との間に形成される主集束レンズの強さを調整して、画像表示面各点での電子ビーム集束状態を最適なものとする、いわゆるダイナミックフォーカス作用を生じさせる。
【0020】
また、第1集束電圧Vfoc1は、必ずしも一定の電圧を別途供給するものに限られず、第1集束電極4および第3集束電極6には直接電圧を供給せず、これらを第2集束電極5および第4集束電極7に抵抗を介して接続し、第2集束電極5および第4集束電極7にダイナミック電圧Vdynを印加したときに、第1集束電極4と第2集束電極5との間および第3集束電極6と第4集束電極7との間に存在する静電容量により第1集束電極4および第3集束電極6に生じるほぼ平滑な電位等を用いるものであってもかまわない。
【0021】
図3は、本発明のカラー受像管の電子銃を構成する主要な電極に形成される電子ビーム通過孔の開孔形状を示すものである。
【0022】
図3に示すように、加速電極3の第1集束電極5側端面には、電子ビーム断面を横長形状にするための電子ビーム補正手段としての横長四角形のビーム通過孔3d、3e、3fが設けられている。なお、加速電極3の制御電極2側端面には、円形状の電子ビーム通過孔3a、3b、3cが設けられている。
【0023】
また、電子ビームが偏向されていない無偏向時、第1集束電圧と第2集束電圧がVfoc1>Vfoc2となっている状態において、水平方向において集束形の、そして垂直方向において発散形の第1の非軸対称レンズを形成させるために、第2集束電極5の第3集束電極6側端面には、電子ビームの配列方向と垂直な方向に長い四角形のビーム通過孔5a、5b、5cが、一方、第3集束電極6の第2集束電極5側の端面には電子ビームの配列方向と平行な方向に長い四角形の電子ビーム通過孔6a、6b、6cが形成されている。さらに、電子ビーム無偏向時に、水平方向において発散形の、そして垂直方向において集束形の第2の非軸対称レンズを生成させるために、第3集束電極6の第4集束電極7側端面には電子ビームの配列方向と垂直な方向に長い四角形の電子ビーム通過孔6d、6e、6fが形成され、さらに、第4集束電極7の第3集束電極6側端面には電子ビームの配列方向と平行な方向に長い四角形の電子ビーム通過孔7a、7b、7cが形成されている。
【0024】
第4集束電極7と陽極電極8との間には、電子ビームの主集束を行う主集束レンズが形成されるが、この主集束レンズは水平方向で強く垂直方向で弱い集束レンズ作用を持つように構成する。
【0025】
以上のような、電子ビーム形状を横長にする電子ビーム補正手段を設けるのは、本発明の実施形態において、陰極に近い位置にあるため電子ビームスポット形状に与える影響が大きい第1の非軸対称レンズが、偏向磁界によるレンズ作用が生じない無偏向時においても電子ビームのスポット形状に非軸対称のレンズ作用を及ぼすため、これを補正するためである。
【0026】
また、主集束レンズを水平方向で強く垂直方向で弱い集束レンズ作用を持つように構成するのは、陽極、すなわち主集束レンズに近い側に位置するため電子ビームのフォーカス性能に対して与える影響が大きい第2の非軸対称レンズが、電子ビームが無偏向の時、すなわち偏向磁界によるレンズ作用が生じていないときに電子ビームに非軸対称のレンズ作用を与えるので、電子ビームにフォーカス作用を及ぼす主集束レンズをこの非軸対称の作用を補正するような集束作用を持たせることで、トータルとしての電子ビームの集束を良好に行わしめるためである。
【0027】
このように、本実施形態において、電子ビーム補正手段と主集束レンズのレンズ作用によって、ダイナミック電圧量を低減するために無偏向時にVfoc1>Vfoc2となるように設定されるために生じる、第1および第2の非軸対称レンズが電子ビームに与える不所望なレンズ作用をキャンセルすることで、電子ビームが無偏向の時、すなわち偏向磁界によるレンズ作用が生じず、電子銃の各電極が与えるレンズ作用によって電子ビームのスポット形状やフォーカス性能が左右される状態において、良好な電子ビームスポット形状およびフォーカス性能を得ることができるのである。
【0028】
次に、本発明に係るカラー受像管の電子銃が形成する各電子レンズが電子ビームに与える影響を、図4を用いて説明する。なお、図中凸レンズの形状としたものは電子ビームに対して集束作用が働くことを、凹レンズの形状としたものは電子ビームに対して発散作用が働くことを示している。
【0029】
まず、電子ビームが画像表示面の中央にあるとき、すなわち、電子ビームの偏向角が0度の状態を示す図4(a)について説明する。
【0030】
水平方向における電子ビームは、電子ビーム補正手段によるレンズ16で発散方向の作用16aを受け、第1の非軸対称レンズ17では集束方向の作用17aを第2の非軸対称レンズ18では発散方向の作用18aを受け、主集束レンズ19で強い集束方向の作用19aを受ける。
【0031】
一方、垂直方向における電子ビームは、電子ビーム補正手段によるレンズ16で集束方向の作用16bを受け、第1の非軸対称電子レンズ17では発散方向の作用17bを第2の非軸対称レンズ18では集束方向の作用18bを受け、主集束レンズ19で弱い集束方向の作用19bを受ける。
【0032】
このような本発明のカラー受像管の場合、電子ビーム補正手段によるレンズ作用で、上述のように水平方向には発散作用16aを受けるので、電子ビームの発散角αが大きくなるとともに、垂直方向には集束作用16bを受けるので、電子ビームの発散角βが小さくなる。この結果、主集束レンズ19に入射するときの電子ビームの形状22aはほぼ円形となり、その結果、画像表示面中央での電子ビームスポット形状23aもほぼ円形となる。
【0033】
また、図4(b)に示すように、電子ビームが画像表示面の周辺にあるとき、すなわち電子ビームが偏向されている状態では、偏向磁界による磁気レンズ20が発生し、水平方向では発散方向の作用20aが、垂直方向では集束方向の作用20bが生じる。このとき、第2集束電圧Vfoc2にはダイナミック電圧Vdynが印加されるため、第2集束電圧Vfoc2が第1集束電圧Vfoc1に近づくか又はこれを超えた値となり、第1の非軸対称レンズ17および第2の非軸対称レンズ18の電子ビームに対する作用がともに弱くなる。その結果として、第1および第2の非軸対称レンズでのレンズ作用が、無偏向時である図4(a)の状態よりも水平方向および垂直方向ともに弱くなり、偏向磁界による磁気レンズ20の作用を打ち消すことができ、画像表示面周辺での電子ビームスポットを真円に近づけることができる。
【0034】
これに対し、電子ビーム補正手段を有さない、従来のカラー受像管の電子銃の各電極が電子ビームに与える影響を表したものが図5である。
【0035】
偏向角が0の状態での電子ビームには、図5(a)に示すように、本発明のカラー受像管の電子銃におけるものと同じく、第1の非軸対称レンズ17、第2の非軸対称レンズ18、および、主集束レンズ19による作用が働く。しかし、電子ビーム補正手段によるレンズ作用が働かないため、第1の非軸対称レンズ17の作用を強く受け、主集束レンズ19に入射するときの電子ビームの形状22bが縦長形状となり、画像表示面中央での電子ビームスポット形状23bは横長形状となる。
【0036】
電子ビームが画像表示面の周辺部に偏向された状態を示す図5(b)における場合は、2つの非軸対称電子レンズ17、18による電子ビームへの作用は弱くなるものの、全体としては同じ傾向となるため、画像表示面周辺部での電子ビームスポットはやはり横長形状となるので、水平方向の解像度が低くなり、また、モアレが発生しやすくなってしまうのである。
【0037】
次に、電子ビーム補正手段について検討する。
本発明のカラー受像管の電子銃では、第2集束電圧を第1集束電圧より低い値から、電子ビームの偏向角の増大に応じて上昇する電圧としている。このようにすることで、ダイナミック電圧量が小さくても適正な非軸対称電子レンズ電界を作ることができることは、特開平6−187921号公報に記載された従来技術に示されたとおりである。
【0038】
この場合に、電子ビームが偏向されていない状態の第1集束電圧と第2集束電圧の電圧差(Vfoc1−Vfoc2s)が大きいほど、ダイナミック電圧の増加量を低減する効果が得られる。一方、この電圧差が大きすぎると、第1の非軸対称電子レンズによる水平方向の電子ビーム集束作用が強くなりすぎて、電子ビーム補正手段での補正によっても、電子ビームのスポット形状の補正が十分に成し得ない状態が生じる。
【0039】
このことを図6用いて詳細に説明する。
図6は、電子ビーム形状に及ぼす作用が強い第1の非軸対称電子レンズによる電子ビーム形状の変化を、電子ビームが偏向されていない状態での電子ビームのスポット形状の縦横比と第1集束電圧と第2集束電圧の電圧差(Vfoc1−Vfoc2s)との関連として示したものである。なお、このとき、陰極と第1非軸対称レンズとの距離を5mm、第1非軸対称レンズを形成する第1集束電極および第2集束電極の電子ビーム通過孔は、短辺1.2mm、長辺4.8mmの長方形とし、対向する電極どうしの間隔はいずれも0.1mmとした。また、陰極と主集束レンズ間の距離は36mm、主集束レンズと第2非軸対称レンズ間の距離を12.5mmとした。
【0040】
図6から明らかなように、ダイナミック電圧量を低減する実用的な効果を得るために必要な最低限の電位差であるVfoc1−Vfoc2sを250Vとした時、画像表示面中央での電子ビームのスポット形状の縦横比(水平方向/垂直方向)は約1.1となる。
【0041】
一方、上記のようにVfoc1−Vfoc2sの電位差を大きくするにつれてダイナミック電圧量を低減する効果は強くなるが、例えばVfoc1−Vfoc2s=1500Vのとき、画像表示面中央での電子ビームスポット形状は大きく横長につぶれ、その縦横比(水平方向/垂直方向)は約3.2となる。
【0042】
このように、スポット形状の縦横比が大きくなる場合、電子ビーム補正手段によってスポット形状を円に近づけるためには、電子ビーム形状を変形させる強いレンズが必要となり、第1の非軸対称レンズにより画像表示面中央での電子ビームスポット形状の縦横比が約3.2となる場合には、電子ビーム補正手段によって、断面が円形の電子ビームを垂直方向径に対する水平方向径がおよそ4.0倍と成し得る量の補正が必要となる。
【0043】
ここで、電子ビーム補正手段による電子ビームの補正効果は、一定の限界があることを考慮しなくてはならない。
【0044】
すなわち、電子ビーム補正手段でビームを横長にしすぎると、水平方向にビームが広がりすぎてより陽極側に位置する電極等に電子ビームが当たってしまい、画面輝度が暗くなったり、フォーカスがぼやけたりするという問題が発生してしまう。電子ビーム補正手段を加速電極の第1集束電極側の面に設けた場合に、電子ビームが第1集束電極に当たらないための横長補正量の限界値は、電子ビーム補正手段での補正量を電子ビームの形状の縦横比で表した場合にほぼ4.0であることが確認できた。
【0045】
したがって、電子ビーム補正手段によって電子ビームスポット形状を補正する補正量、すなわち、電子ビーム補正手段を経ることによって縦横比が1:1の電子ビームがどのように変化するかという変化量は、1.25から5.0の間とすることが好ましく、特に、4.0程度とすることがより好ましい。
【0046】
もちろん、この補正量は、Vfoc1−Vfoc2sによって生じる第1の非軸対称レンズの水平方向および垂直方向での集束力の差によって生じる集束作用の不均一を補正するものであるから、その下限は第1の非軸対称レンズによる電子ビームスポットの変形を補正しうる値とすべきであることは当然であり、この、第1の非軸対称レンズでのビームスポットの変形度合いは、Vfoc1−Vfoc2sの数値および第1の非軸対称レンズを構成する電極の電子ビーム通過孔の形状や電極間隔等によって左右されるものである。
【0047】
一方、電子ビーム補正手段による補正量は、上記説明のように4.0程度、最大でも5.0が限界と考えられるので、実質上画像表示面の中央で電子ビームスポット形状をほぼ円形とするためには、第1の非軸対称レンズによる電子ビームの縦横比は、約3.2までに抑えなくてはならず、上記例によればVfoc1−Vfoc2sを1500V以下にすることが必要となるのである。
【0048】
次に、本発明の実施の形態をカラー陰極線管に具体的に適用したものを示す。
例えば、46cm(19インチ)100度偏向のコンピュータモニタ管に適用した場合、Vfoc1−Vfoc2s=600Vとすることによって、画面周辺部でのダイナミック電圧Vdynを従来の500Vから400Vに100V低減することができた。
【0049】
また、加速電極の第1集束電極側に設けた電子ビーム補正手段を水平4.0mm、垂直1.6mmの横長長方形とすることで、標準使用状態である電流Ia=300μAでのスポット径は、画面中央で水平0.58mm、垂直0.58mm、画面コーナー部で水平0.73mm、垂直0.52mmを得た。
【0050】
電子ビーム補正手段を有さない従来技術の場合は、同条件において画面中央で水平0.68mm、垂直0.48mm、画面コーナー部で水平0.86mm、垂直0.43mmであったので、画面の中央、コーナーともに、本発明のカラー受像管の効果が十分に発揮できていることが確認できた。
【0051】
上記の本発明を適用した46cm(19インチ)100度偏向のコンピュータモニタ管において、1600×1200ドットを実用上解像することができるスポット径0.75mm以下を画面の全領域で達成することができ、また、モアレも実用上問題のないレベルとすることができた。
【0052】
なお、上記本発明の実施の形態では、ビーム径を横長にする電子ビーム補正手段として加速電極3の第1集束電極4側端面に、横長四角形形状の電子ビーム通過孔を形成した場合についてのみ説明したが、電子ビーム形状補正手段を設ける位置はこれに限らず、制御電極2の電子ビーム通過孔を横長形状としてもよいし、また、第1集束電極4の加速電極3側端面の電子ビーム通過形状を縦長の長方形としてもよく、その他の電極であってもかまわない。
【0053】
さらに、電子ビーム補正手段におけるビーム通過孔形状は、長方形のものに限られず楕円形のものでもよく、また、電子ビーム通過孔形状は円形等の軸対称形状としてその通過孔の近傍に衝立を設けるようにしてもよい。
【0054】
また、上記本発明の実施の形態においては、非軸対称レンズとして向かい合う電子銃電極端面に縦長四角形開孔および横長四角形開孔をそれぞれ設けたもので説明したが、開孔は楕円形でも良く、また、開孔自体は円形等の軸対称形状のまま開口近傍に衝立を設ける等の手段でも同様の効果が得られる。
【0055】
さらに、上記実施の形態では、非軸対称レンズおよび電子ビーム形状補正手段以外の電子ビーム通過孔形状を便宜上円形として図示しているが、これに限られないことは言うまでもない。
【0056】
【発明の効果】
本発明によると、偏向磁界のレンズ作用による電子ビームスポットの変形による画面コーナー部での解像度の低減を解決するために必要なダイナミック電圧を低減しつつ、画面中央でのスポット径をほぼ真円に、また、コーナー部のスポット形状も実用上問題のないようにすることができ、この結果、画面全域での解像度を向上するとともに、モアレの発生を実用上問題のないレベルにすることができるインライン型カラー受像管を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラー受像管の電子銃構造を示す断面図
【図2】本発明のカラー受像管の要部断面図
【図3】本発明のカラー受像管電子銃の電子ビーム通過孔形状を示す図
【図4】本発明のカラー受像管による電子ビーム形状補正の原理を示す図
【図5】従来のカラー受像管における電子ビーム形状の原理を示す図
【図6】第1の非軸対称電子レンズによるビーム形状の変化を説明するための図
【図7】従来のカラー受像管の電子銃構造を示す断面図
【図8】従来のカラー受像管電子銃の電子ビーム通過孔形状を示す図
【符号の説明】
1a,1b,1c 陰極
2 制御電極
3 加速電極
4 第1集束電極
5 第2集束電極
6 第3集束電極
7 第4集束電極
8 陽極電極
Claims (7)
- 水平方向にインライン配列された3個の陰極と、制御電極、加速電極、複数の集束電極および陽極電極が順次配列された電子銃を有し、前記複数の集束電極の少なくとも一部に、第1集束電圧と、前記第1集束電圧より低い電圧から電子ビーム偏向角の増大に伴って漸次上昇する第2集束電圧とが印加されることによって、電子ビームの無偏向時において水平方向において集束形のそして垂直方向において発散形のレンズ作用を奏する前記陰極側の第1非軸対称レンズと、この第1非軸対称レンズとは水平方向および垂直方向でそれぞれ逆の作用を電子ビームに与える前記陽極側の第2非軸対称レンズを形成し、さらに、前記2つの非軸対称レンズとは別の前記電子銃に設けられた電子ビーム補正手段を有し、前記電子ビーム補正手段によって前記電子ビーム補正手段を通過した直後の電子ビーム断面を横長にすることを特徴とするカラー受像管。
- 電子ビームの無偏向時において、電子ビームが水平方向と垂直方向に等しい集束作用を受けるように構成されたことを特徴とする請求項1記載のカラー受像管。
- 電子ビームを集束する主集束レンズが、水平方向で強く、垂直方向で弱い集束作用を持つように形成されたことを特徴とする請求項2記載のカラー受像管。
- 円形の電子ビーム断面形状が、前記電子ビーム補正手段を経ることによって水平方向径が垂直方向径の1.25〜5.00倍に変形するものであることを特徴とする請求項1から3記載のカラー受像管。
- 前記電子ビーム補正手段が、前記電子銃を構成する電極の少なくとも一方の面における電子ビーム通過孔形状を横長若しくは縦長の四角形としたものであることを特徴とする請求項1から4記載のカラー受像管。
- 前記電子ビーム補正手段が、前記加速電極の前記集束電極側の電子ビーム通過孔を横長四角形としたことを特徴とする請求項5記載のカラー受像管。
- 前記電子ビーム補正手段が、前記加速電極に隣接する集束電極の前記加速電極側の電子ビーム通過孔を縦長四角形としたことを特徴とする請求項5記載のカラー受像管。
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1998
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Publication number | Publication date |
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JPH11345576A (ja) | 1999-12-14 |
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