JP3718414B2 - (メタ)アクリル酸系共重合体およびその製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸系共重合体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、スケール防止剤、分散剤、洗剤ビルダー等に好適に用いられる(メタ)アクリル酸系共重合体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、(メタ)アクリル酸系単量体とスルホン酸基含有(メタ)アリルエーテル系単量体との共重合体は、スケール防止剤や分散剤に求められる優れたキレート力および分散力を発揮するものとして注目されており、例えば、特開平11−263892号公報、特開平11−128715号公報、特開昭58−9987号公報、特開平11−302341号公報、特開昭60−173039号公報、特開昭60−190486号公報、特開昭60−118295号公報等においては、このような共重合体を用いたスケール防止剤や無機顔料分散剤等が提案されている。
【0003】
例えば、スケール防止剤においては、省資源・節水のために高濃縮した冷却水系で用いられたり、水質の低下等の理由から硬度の高い水系で用いられたり、あるいは海水のような高塩濃度の水系で用いられたりすることがあるが、このような場合には、重合体がゲル化して沈殿してしまい、スケール防止能が著しく低下する傾向がある。
(メタ)アクリル酸系単量体とスルホン酸基含有(メタ)アリルエーテル系単量体との共重合体は、そのスルホン酸基含有(メタ)アリルエーテル系単量体由来の構成単位によって、ゲル化を抑制する作用を示すのであるが、高濃度水系あるいは高硬度、高塩濃度水系のように水中イオン濃度が非常に高い場合には、その程度に応じてスルホン酸基含有(メタ)アリルエーテル系単量体の共重合量をさらに上げる必要がある。
【0004】
しかし、(メタ)アリルエーテル系単量体は、(メタ)アクリル酸系単量体との共重合性が低いため、十分な耐ゲル性を発揮させるべくスルホン酸基含有(メタ)アリルエーテル系単量体の共重合比が高い共重合体を得ようとした場合には、未反応の(メタ)アリルエーテル系単量体が多量に残存して、共重合体中に含まれてしまう傾向があった。
このように、仕込みの際に単量体成分中のスルホン酸基含有(メタ)アリルエーテル系単量体の比率を高くして共重合させた場合、見掛け上(メタ)アリルエーテル系単量体が多く導入された共重合体が得られたように見えても、実際に得られる共重合体における該単量体由来の構成単位量は、モノマーとして残存した分だけ少ないことになる。そして、得られた共重合体を各種用途に供する場合、通常、共重合体製造時の各単量体の仕込み量から理論的に導かれる共重合量比であるとみなしてその配合量が決定されるので、結局、実質的に含まれる(メタ)アリルエーテル系構成単位は期待した量よりも少なくなってしまい、所望の性能が発揮できないこととなる。
【0005】
また、未反応の(メタ)アリルエーテル系単量体が多量に残存してしまうと、(メタ)アリルエーテル系単量体のコストが比較的高いことから、経済的にも不利となる。さらに、各種用途に供された後、共重合体は最終的には環境中に排出されることとなるので、環境への影響の点からも、残存モノマー含有量が少ない共重合体が望まれている。
ところで、一般に、共重合反応に際しては、過硫酸塩等の開始剤を大過剰に用いることにより、重合率を向上させて残存モノマー量を低減させることも可能であると考えられるが、過硫酸塩は反応後に分解して硫酸塩となるので、この場合、得られる共重合体は多量の硫酸塩を含有したものとなり、例えば、共重合体水溶液を低温で保存した時に硫酸塩が析出するといった問題を生じる。このため、従来、過硫酸塩を大過剰に用いて残存モノマー量の少ない共重合体を得ることは検討されていなかった。また、例えば、過硫酸塩と他の開始剤の組み合わせなど、2種以上の開始剤を併用して残存モノマーを低減することについても、重合系が複雑になり種々の弊害を伴うことが懸念されるため、これまで全く検討されることがなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、(メタ)アリルエーテル系単量体量の含有量が少ない(メタ)アクリル酸系共重合体およびその製造方法を提供し、分散性に優れると同時に、高濃度水系あるいは高硬度、高塩濃度水系のように水中イオン濃度が非常に高い場合にも良好な耐ゲル性を発揮し、しかも環境負荷が小さい、スケール防止剤、分散剤、洗剤ビルダー等を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、例えば、開始剤として過硫酸塩と過酸化水素とを特定の割合で併用したり、単量体を特定の方法で投入したりすることにより、(メタ)アリルエーテル系単量体を効果的に導入することができ、(メタ)アリルエーテル系単量体量の含有量が少ない共重合体を得ることができることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の(メタ)アクリル酸系共重合体は、下記一般式(1)で示す(メタ)アクリル酸系単量体(A)由来の構成単位(a)と、下記一般式(2)で示す(メタ)アリルエーテル系単量体(B)由来の構成単位(b)とを、(b)/(a)=0.08〜0.30(モル比)の割合で含み、かつ重量平均分子量が1,000〜12,000である共重合体であって、
該共重合体に含まれる(メタ)アリルエーテル系単量体(B)量が、固形分に対して800x3 %以下(但し、xは、前記構成単位(b)/前記構成単位(a)(モル比)を示す。)である、ことを特徴とする。
【0008】
【化5】
Figure 0003718414
【0009】
(式中、R1 は、水素原子またはメチル基を表し、Xは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アミン基を表す。)
【0010】
【化6】
Figure 0003718414
【0011】
(式中、R2 は、水素原子またはメチル基を表し、YおよびZは、それぞれ独立に水酸基またはスルホン酸基(但し、1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、もしくは有機アミン基の塩を含む。)を表す。但し、Y、Zの少なくとも一方はスルホン酸基である。)
本発明の(メタ)アクリル酸系共重合体の製造方法は、前記本発明の(メタ)アクリル酸系共重合体を得るための製造方法であって、開始剤として、過硫酸塩(P)と過酸化水素(Q)とを、(Q)/(P)=1/50〜10/1(重量比)の割合で併用して、下記一般式(1)で示す(メタ)アクリル酸系単量体(A)と、下記一般式(2)で示す(メタ)アリルエーテル系単量体(B)とを、(B)/(A)=0.08〜0.34(モル比)の割合で含む単量体成分を、重合溶媒の沸点還流温度に維持して共重合させる、ことを特徴とする。
【0012】
【化7】
Figure 0003718414
【0013】
(式中、R1 は、水素原子またはメチル基を表し、Xは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アミン基を表す。)
【0014】
【化8】
Figure 0003718414
【0015】
(式中、R2 は、水素原子またはメチル基を表し、YおよびZは、それぞれ独立に水酸基またはスルホン酸基(但し、1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、もしくは有機アミン基の塩を含む。)を表す。但し、Y、Zの少なくとも一方はスルホン酸基である。)
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の(メタ)アクリル酸系共重合体は、前記一般式(1)で示す(メタ)アクリル酸系単量体(A)由来の構成単位(a)と、下記一般式(2)で示す(メタ)アリルエーテル系単量体(B)由来の構成単位(b)とを、(b)/(a)=0.08〜0.30(モル比)の割合で含む共重合体である。
前記(メタ)アクリル酸系単量体(A)は前記一般式(1)で示されるものであるが、一般式(1)中、Xの例である金属原子の具体例としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、有機アミン基の具体例としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。前記(メタ)アクリル酸系単量体(A)の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)が挙げられ、これらの中でも特に、アクリル酸、アクリル酸ナトリウムが好ましい。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記(メタ)アリルエーテル系単量体(B)は前記一般式(2)で示されるものであるが、一般式(2)中、YおよびZの例であるスルホン酸基のうち、金属塩の具体例としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等の塩が挙げられ、有機アミン基の塩の具体例としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。前記(メタ)アリルエーテル系単量体(B)の具体例としては、例えば、3−(メタ)アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸およびその塩、3−(メタ)アリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−プロパンスルホン酸およびその塩等が挙げられ、これらの中でも特に、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウムが好ましい。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
本発明の(メタ)アクリル酸系共重合体は、前記(メタ)アクリル酸系単量体(A)由来の構成単位(a)と、前記(メタ)アリルエーテル系単量体(B)由来の構成単位(b)とを、(b)/(a)=0.08〜0.30(モル比)の割合で含む共重合体である。(b)/(a)が0.08(モル比)未満であると、耐ゲル性が低くなり、例えばカルシウムイオン等の硬度成分が多い水系においてスケール防止剤等として用いた場合に、ポリマーがゲル化して沈殿しやすく、その性能を発揮できないこととなる。一方、(b)/(a)が0.30(モル比)を越えると、キレート能や分散能が低下するので、例えばスケール防止剤等としての本来の性能が発揮しえないこととなる。
【0019】
本発明の(メタ)アクリル酸系共重合体は、少なくとも前記構成単位(a)と前記構成単位(b)とを前記の比率で有していればよく、これらのほかに、(メタ)アクリル酸系単量体(A)または(メタ)アリルエーテル系単量体(B)と共重合可能な他の単量体(C)由来の構成単位(c)をも含んでいてもよい。この場合、構成単位(c)の比率は、構成単位(a)と前記構成単位(b)との合計モル数に対して10モル%以下であることが好ましく、さらに好ましくは5モル%以下であるのがよい。なお、他の単量体(C)については後述する。
本発明の(メタ)アクリル酸系共重合体に占める前記各構成単位((a)(b)および必要に応じて(c))の割合は、前記構成単位(a)が44〜84重量%、前記構成単位(b)が16〜47重量%、、前記構成単位(c)が0〜15重量%であることが好ましい。但し、各構成単位の合計は、常に100重量%とする。
【0020】
本発明の(メタ)アクリル酸系共重合体は、該共重合体に含まれる(メタ)アリルエーテル系単量体(B)量が、固形分に対して800x3 %以下(但し、xは、前記構成単位(b)/前記構成単位(a)(モル比)を示す。)であるものである。好ましくは、固形分に対して700x3 %以下、より好ましくは600x3 %以下であるのがよい。一般に、(メタ)アリルエーテル系単量体(B)は共重合性が低いため、該単量体(B)由来の構成単位(b)の比率が高い場合、未反応の単量体(B)が多量に残存して得られる共重合体中に含まれてしまうのであるが、本発明の(メタ)アクリル酸系共重合体は、前述のように(メタ)アリルエーテル系単量体(B)由来の構成単位(b)/(メタ)アクリル酸系単量体(A)由来の構成単位(a)の割合が0.08〜0.30(モル比)と、構成単位(b)の割合が高い共重合体であるにもかかわらず、(メタ)アリルエーテル系単量体(B)の含有量が前記特定量以下と非常に少ないという特徴を有する。
【0021】
本発明の(メタ)アクリル酸系共重合体は、重量平均分子量が1,000〜12,000であるものである。さらに好ましくは1,200〜10,000である。重量平均分子量が1,000未満であると、キレート能が低くなり、一方、12,000を越えると、分散能が低下する傾向があるので、いずれも場合も、例えば、スケール防止剤、分散剤、洗剤ビルダー等の用途において所望の性能を発揮しえなくなる。重量平均分子量が前記範囲であれば、キレート能と分散能をともに満足させることができるのである。
本発明の(メタ)アクリル酸系共重合体は、硫酸イオン含有量が固形分に対して4重量%以下であることが好ましい。硫酸イオン含有量が固形分に対して4重量%より多いと、例えば、共重合体水溶液を低温で保存した時に硫酸塩が析出するといった問題を生じる傾向がある。
【0022】
本発明の(メタ)アクリル酸系共重合体の製造方法は、前記(メタ)アクリル酸系単量体(A)と、前記(メタ)アリルエーテル系単量体(B)とを、(B)/(A)=0.08〜0.34(モル比)の割合で含む単量体成分を共重合させるものである。好ましくは、(B)/(A)=0.08〜0.30(モル比)である。共重合させる単量体成分中の前記単量体(A)と前記単量体(B)との割合を前記範囲とすることにより、本発明の(メタ)アクリル酸系共重合体、すなわち、前述のように(メタ)アリルエーテル系単量体(B)由来の構成単位(b)/(メタ)アクリル酸系単量体(A)由来の構成単位(a)の割合が0.08〜0.30(モル比)と、構成単位(b)の割合が高い共重合体が得られるのである。(B)/(A)が0.08(モル比)未満であると、得られる共重合体の耐ゲル性が低くなり、該共重合体を例えばカルシウムイオン等の硬度成分が多い水系におけるスケール防止剤等として用いた場合に、ポリマーがゲル化して沈殿しやすく、その性能を発揮できないこととなる。一方、(B)/(A)が0.34(モル比)を越えると、得られる共重合体のキレート能や分散能が低下するので、該共重合体を例えばスケール防止剤等として用いた場合に本来の性能が発揮しえないこととなる。
【0023】
前記単量体成分としては、前記単量体(A)と前記単量体(B)の他に、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体(C)を併用してもよい。他の共重合体(C)としては、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート等のスルホン酸基含有不飽和単量体、およびそれらの塩;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等の窒素含有ノニオン性不飽和単量体;3−(メタ)アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の水酸基含有不飽和単量体;3−アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパンにエチレンオキサイドを1〜200モル付加させた化合物(3−アリルオキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパン)、(メタ)アリルアルコールにエチレンオキサイドを1〜100モル付加させた化合物等のポリオキシエチレン基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル;イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸単量体;スチレン等の芳香族不飽和単量体;等が挙げられる。また、これら他の単量体(C)を共重合させる場合、その使用量は、前記単量体(A)と前記単量体(B)との合計モル数に対して10モル%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは5モル%以下とするのがよい。
【0024】
前記単量体成分を共重合させる際には、開始剤として、過硫酸塩(P)と過酸化水素(Q)とを、(Q)/(P)=1/50〜10/1(重量比)の割合で併用することが重要である。さらに好ましくは(Q)/(P)=1/20〜5/1(重量比)、最も好ましくは(Q)/(P)=1/10〜3/1(重量比)の割合とするのがよい。過硫酸塩と過酸化水素とを併用することにより、過硫酸塩を多量に用いずとも相乗効果により重合率を十分に向上させて残存モノマー量を低減させることができ、前記重量平均分子量および硫酸イオン含有量を同時に満足する共重合体を得ることができるのである。(Q)/(P)の割合が1/50より小さいと、過酸化水素(Q)併用の効果が十分に期待できず、一方、10/1より大きいと、多量の過酸化水素(Q)が残存することとなり、安全性に問題を生じる傾向がある。なお、前記過硫酸塩(P)としては、特に制限はないが、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0025】
開始剤として用いる過硫酸塩(P)と過酸化水素(Q)との合計使用量は、前記(メタ)アクリル酸系単量体(A)と前記(メタ)アリルエーテル系単量体(B)の総仕込み量1モルに対して、1〜10gとすることが好ましく、さらに好ましくは1〜5gとするのがよい。また、過硫酸塩(P)と過酸化水素(Q)とは、いずれも水溶液として重合系内に添加することが望ましいが、これに限定されるものではない。
前記単量体成分を共重合させる際には、過硫酸塩(P)と過酸化水素(Q)のほかに、さらに、例えば、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕等のアゾ化合物;tert−ブチルパーオキシド等の過酸化物;等から選ばれる1種または2種以上の開始剤を、通常、単量体成分に対し0.001〜10重量%用いることもできる。
【0026】
本発明の(メタ)アクリル酸系共重合体の製造方法においては、前記(メタ)アクリル酸系単量体(A)と前記(メタ)アリルエーテル系単量体(B)とをそれぞれ別々に投入し、かつ、前記(メタ)アリルエーテル系単量体(B)を、前記(メタ)アクリル酸系単量体(A)の投入時間の80%以内の時間で投入することが好ましい。これにより、(メタ)アリルエーテル系単量体(B)の重合率を向上させることができ、ひいては、残存する(メタ)アリルエーテル系単量体(B)を低減することができるのである。なお、各単量体の投入の仕方については、滴下、好ましくは連続滴下が望ましいが、これに限定されるものではない。
【0027】
前記単量体成分を共重合させる際の共重合方法としては、公知の共重合方法、例えば、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等を用いることができ、特に限定はされない。
前記共重合の際の反応温度は、特に限定はされないが、好ましくは50〜150℃、より好ましくは70〜120℃であり、最も好ましくは用いる溶媒の還流温度とするのがよい。反応温度が50℃未満であると、共重合反応性が低下する等の傾向があり、一方、150℃を越えると、副反応が多くなり、反応制御が困難になる等の傾向があり、好ましくない。なお、前記共重合反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよいし、大気下で行ってもよい。
【0028】
前記共重合反応の際の溶媒としては、特に限定はされないが、例えば、水や、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜4のアルコールの中から選ばれたものが好ましく、これらは単独溶媒であっても混合溶媒であってもよい。最も好ましくは、有機溶媒を含まない水である。
前記共重合反応を行う際、原料混合物中の単量体成分の濃度は、特に限定はされないが、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは15〜60重量%、さらに好ましくは20〜55重量%である。この割合が10重量%未満であると、生産性が悪い等の傾向があり好ましくない。
【0029】
本発明の(メタ)アクリル酸系共重合体は、キレート能、分散能および耐ゲル性能に優れたものであるので、例えば、冷却水系、ボイラー水系、地熱水系、オイルフィード水系、集塵水系、製紙水系、鉱物の精錬水系等におけるスケール防止剤;有機・無機顔料、土・鉱物等の無機物等の分散剤;洗剤用等のビルダー;等の用途において好適に使用することができる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明に係る実施例および比較例について説明するが、本発明は該実施例により何ら制限されるものではない。
得られた共重合体の各種物性は以下のようにして測定した。
なお、共重合体水溶液の固形分は、薄膜状態で130℃で2時間、熱風乾燥して得られた蒸発残分を固形分とした。具体的には、共重合体水溶液をアルミカップに約0.5g正確に秤量し、これを約2gの脱イオン水で希釈して、130℃の熱風乾燥器中で2時間静置した後、デシケーター内に静置して冷却し、再度秤量した。そして、乾燥前後の重量比より固形分を求めた。
【0031】
(重量平均分子量) ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(昭和電工(株)製「Shodex−GPC SYSTEM−21」を用い、以下の条件で測定した。
カラム:東ソー(株)製「TSKgelα−3000+TSKgelα−2500+TSKguard columnα」
溶離液:0.1M酢酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル=7/3vol比
流量 :0.5ml/分
温度 :40℃
検量線:標準ポリアクリル酸ナトリウム(AMERICAN POLYMERSTANDARDS CORP.製)
【0032】
(硫酸イオン含有量) イオンクロマトグラフ(日本ダイオネクス(株)製「DX−500」を用い、以下の条件で測定した。
カラム:日本ダイオネクス(株)製「DIONEX IonPac AS4A+AG4A」
検出器:電気伝導検出器(日本ダイオネクス(株)製「DIONEX CD−20」)
溶離液:2mM NaHCO3 +2mM Na2 CO3 水溶液
再生液:25mM H2 SO4
流量 :1.5ml/分
温度 :室温
検量線:イオンクロマト用硫酸イオン標準液(キシダ化学(株)製)
【0033】
(残存モノマー量) 高速液体クロマトグラフィー((株)日立製作所製「L−7100型ポンプ」「L−7300型カラムオーブン」「L−7200型オートサンプラー」「L−7400型UV検出器(波長200nm)」)を用い、以下の条件で定量した。
カラム:昭和電工(株)製「ShodexRSpak DE−413」
溶離液:0.1重量%リン酸水溶液
流量 :1ml/分
温度 :40℃
〔実施例1〕
バドル翼(SUS316製バドル型回転翼)攪拌機、還流冷却管、4つの滴下装置を備えた内容積500mlのガラス製セパラブルフラスコに、脱イオン水76gを仕込み、沸点還流温度まで昇温した。次いで、攪拌下、アクリル酸ナトリウム(以下、SAと略す)の37%水溶液159.28gと、アクリル酸(以下、AAと略す)の80%水溶液6.76gとの混合液166.04gと、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(以下、HAPSと略す)の40%水溶液81.9gと、過硫酸ナトリウム(以下、NaPSと略す)の10%水溶液26.6gと、過酸化水素(以下、HPと略す)の2%水溶液44.5gとを、それぞれ別々に、SA水溶液とAA水溶液との混合液は140分、HAPS水溶液は120分、NaPS水溶液は160分、HP水溶液は140分かけて、滴下した。滴下終了後、30分間にわたって沸点還流温度を維持して重合を完結させ、淡黄色透明な水溶性の共重合体水溶液を得た。
【0034】
得られた共重合体水溶液中を分析したところ、
Figure 0003718414
であった。
【0035】
〔実施例2〕
バドル翼(SUS316製バドル型回転翼)攪拌機、還流冷却管、4つの滴下装置を備えた内容積1500mlのガラス製セパラブルフラスコに、脱イオン水208.0gを仕込み、沸点還流温度まで昇温した。次いで、攪拌下、SAの37%水溶液366.3gと、AA18.5gとの混合液384.8gと、HAPSの25%水溶液358.8gと、NaPSの20%水溶液31.9gと、HPの12.5%水溶液16.5gとを、それぞれ別々に、SA水溶液とAA水溶液との混合液は120分、HAPS水溶液は120分、NaPS水溶液は140分、HP水溶液は120分かけて、滴下した。滴下終了後、30分間にわたって沸点還流温度を維持して重合を完結させ、淡黄色透明な水溶性の共重合体水溶液を得た。
【0036】
得られた共重合体水溶液中を分析したところ、
Figure 0003718414
であった。
【0037】
〔実施例3〕
実施例2と同様のガラス製セパラブルフラスコに、脱イオン水186.4gを仕込み、沸点還流温度まで昇温した。次いで、攪拌下、SAの37%水溶液445.1gと、AA14.0gとの混合液459.1gと、HAPSの25%水溶液299.5gと、NaPSの20%水溶液33.7gと、HPの12.5%水溶液18.3gとを、それぞれ別々に、SA水溶液とAA水溶液との混合液は120分、HAPS水溶液は120分、NaPS水溶液は140分、HP水溶液は120分かけて、滴下した。滴下終了後、30分間にわたって沸点還流温度を維持して重合を完結させ、淡黄色透明な水溶性の共重合体水溶液を得た。
【0038】
得られた共重合体水溶液中を分析したところ、
Figure 0003718414
であった。
【0039】
〔比較例1〕
バドル翼(SUS316製バドル型回転翼)攪拌機、還流冷却管、4つの滴下装置等を備えた内容積500mlのステンレス製(SUS304製)セパラブルフラスコに、脱イオン水(初期仕込み液)41.7gを仕込んだ。一方、前記4つの滴下装置に、SAの37%水溶液177.84gと、AAの80%水溶液8.92gと、HAPSの25%水溶液174.19gと、NaPSの7.5%水溶液22.18gとを、それぞれ別々に滴下液として仕込んだ。次いで、バドル翼を回転数150rpmで回転させて脱イオン水を攪拌しながら加熱し、沸点まで昇温させた後、前記の各滴下液をフラスコ内へ同時に滴下し、共重合反応を開始した。このとき、SA水溶液は120分、AA水溶液は120分、HAPS水溶液は110分、NaPS水溶液は125分かけて各々滴下し、反応温度(滴下時の反応系の温度)は、沸点還流温度となるように調整した。滴下終了後、30分間にわたって沸点還流温度で攪拌して重合を完結させ、淡黄色透明な水溶性の共重合体水溶液を得た。
【0040】
得られた共重合体水溶液中を分析したところ、
Figure 0003718414
であった。
【0041】
〔比較例2〕
バドル翼(SUS316製バドル型回転翼)攪拌機、還流冷却管、3つの滴下装置等を備えた内容積500mlのガラス製セパラブルフラスコに、脱イオン水99.6gを仕込み、90℃にて攪拌しながら、SAの35%水溶液162.4gと、HAPSの40%水溶液58gと、過硫酸アンモニウム(以下、APSと略す)の5%水溶液80gとを、それぞれ別々に、3.5時間かけて滴下し、共重合反応を開始した。滴下終了後、30分間にわたって90℃を維持して重合を完結させ、淡黄色透明な水溶性の共重合体水溶液を得た。
【0042】
得られた共重合体水溶液中を分析したところ、
Figure 0003718414
であった。
【0043】
〔比較例3〕
比較例2と同様のガラス製セパラブルフラスコに、脱イオン水80gを仕込み、95℃にて攪拌しながら、SAの35%水溶液161.2gと、HAPSの30%水溶液130.8gと、重合開始剤としてNaPSの15%水溶液28.8gとを、それぞれ別々に、2時間かけて滴下し、共重合反応を開始した。滴下終了後、30分間にわたって95℃を維持して重合を完結させ、淡黄色透明な水溶性の共重合体水溶液を得た。
得られた共重合体水溶液中を分析したところ、
Figure 0003718414
であった。
【0044】
〔比較例4〕
バドル翼(SUS316製バドル型回転翼)攪拌機、還流冷却管、ガス導入管、3つの滴下装置等を備えた内容積500mlのガラス製セパラブルフラスコに、SAの18.4%水溶液688gと、HAPS73.4gとの混合液のうちの20重量%、および、APSの5%水溶液40gのうちの20重量%をそれぞれ仕込み、攪拌下、フラスコ内を窒素置換し、窒素雰囲気下で95℃に加熱した。その後、前記SAとHAPSとの混合液の残り、および、APS水溶液の残りを、それぞれ別々に、120分かけて滴下した。滴下終了後、さらに、APSの5%水溶液8gを20分かけて滴下するとともに、120分間にわたって95℃を維持して重合を完結させ、淡黄色透明な水溶性の共重合体水溶液を得た。
【0045】
得られた共重合体水溶液中を分析したところ、
Figure 0003718414
であった。
【0046】
〔比較例5〕
比較例4と同様のガラス製セパラブルフラスコに、脱イオン水200gとイソプロピルアルコール26gとを仕込み、窒素気流下で加熱還流させた。これとは別に、脱イオン水中に27.3%のNaPSを含有する重合開始剤溶液を調製し、窒素ガスを吹き込んだ。この重合開始剤溶液20mlと、AA72gと、HAPSの40%水溶液136gとを、前記フラスコ内に、それぞれ別々に、2時間かけて滴下し、共重合反応を開始した。滴下終了後、2時間にわたって85℃を維持して重合を完結させ、その後、イソプロピルアルコール/水混合溶液66.4gを加熱留去した。得られた反応混合物を40℃以下に冷却し、48%水酸化ナトリウム(以下、NaOHと略す)62.5gを加え、淡黄色透明な水溶性の共重合体水溶液を得た。
【0047】
得られた共重合体水溶液中を分析したところ、
Figure 0003718414
であった。
【0048】
〔比較例6〕
バドル翼(SUS316製バドル型回転翼)攪拌機、還流冷却管、ガス導入管、2つの滴下装置等を備えた内容積500mlのガラス製セパラブルフラスコに、脱イオン水228gと、イソプロピルアルコール15gと、HAPSの40%水溶液180gとを仕込み、窒素気流下で加熱還流させた。これとは別に、脱イオン水中に27.3%のNaPSを含有する重合開始剤溶液を調製し、窒素ガスを吹き込んだ。この重合開始剤溶液20mlと、AA72gとを、前記フラスコ内に、それぞれ別々に、2時間かけて滴下し、共重合反応を開始した。滴下終了後、2時間にわたって85℃を維持して重合を完結させ、その後、イソプロピルアルコール/水混合溶液39.5gを加熱留去した。得られた反応混合物を40℃以下に冷却し、48%NaOH62.5gを加え、淡黄色透明な水溶性の共重合体水溶液を得た。
【0049】
得られた共重合体水溶液中を分析したところ、
Figure 0003718414
であった。
【0050】
〔比較例7〕
比較例4と同様のガラス製セパラブルフラスコに、脱イオン水228gとイソプロピルアルコール15gとを仕込み、窒素気流下で加熱還流させた。これとは別に、脱イオン水中に27.3%のNaPSを含有する重合開始剤溶液を調製し、窒素ガスを吹き込んだ。この重合開始剤溶液20mlと、AA72gと、HAPSの40%水溶液180gとを、前記フラスコ内に、それぞれ別々に、2時間かけて滴下し、共重合反応を開始した。滴下終了後、2時間にわたって85℃を維持して重合を完結させ、その後、イソプロピルアルコール/水混合溶液46.5gを加熱留去した。得られた反応混合物を40℃以下に冷却し、48%NaOH62.5gを加え、淡黄色透明な水溶性の共重合体水溶液を得た。
【0051】
得られた共重合体水溶液中を分析したところ、
Figure 0003718414
であった。
【0052】
〔比較例8〕
比較例6と同様のガラス製セパラブルフラスコに、脱イオン水200gと、イソプロピルアルコール26gと、HAPSの40%水溶液90.8gとを仕込み、窒素気流下で加熱還流させた。これとは別に、脱イオン水中に27.3%のNaPSを含有する重合開始剤溶液を調製し、窒素ガスを吹き込んだ。この重合開始剤溶液20mlと、AA72gとを、前記フラスコ内に、それぞれ別々に、2時間かけて滴下し、共重合反応を開始した。滴下終了後、2時間にわたって85℃を維持して重合を完結させ、その後、イソプロピルアルコール/水混合溶液39.5gを加熱留去した。得られた反応混合物を40℃以下に冷却し、48%NaOH62.5gを加え、淡黄色透明な水溶性の共重合体水溶液を得た。
【0053】
得られた共重合体水溶液中を分析したところ、
Figure 0003718414
であった。
【0054】
以上の実施例、比較例で得られた共重合体水溶液について、以下の性能評価を行った。結果を表1に示す。
<BOD(生物化学的酸素消費量)> 共重合体の0.1%水溶液のBODを、JIS−K0102(工場排水試験方法)21に準ずる方法で測定し、固形分1gあたりのBOD値として算出した。なお、植種液としては、標準活性汚泥を用いた。このBOD値が大きいほど、共重合体を含む排水を公共用水域に放流した際に、水中の溶存酸素の欠乏を招き自浄作用を損なう結果となり、環境負荷が大きいことを示す。
【0055】
<耐ゲル化能> 500mlトールビーカーに、脱イオン水、ほう酸−ほう酸ナトリウムpH緩衝液、共重合体の1%水溶液、塩化カルシウム溶液の順に加え、pH8.5、共重合体100mg固形分/L、カルシウム硬度500mgCaCO3 /Lの試験液500mlを調製した。このトールビーカーをポリエチレンフィルムでシールして、90℃の恒温水槽内に1時間静置した。そして、共重合体とカルシウムイオンが結合して生成するゲルによって生じる試験液の濁りを、UV波長380nm、50mmの石英セルで吸光度を測定することにより検出し、得られた吸光度値によって耐ゲル化能を評価した。値が小さいほど耐ゲル化能が優れることを示す。
【0056】
<クレー分散能> グリシン67.56g、塩化ナトリウム52.6g、1モル/LのNaOH水溶液60mlにイオン交換水を加えて600gとしたグリシン緩衝溶液を調製した。次に、このグリシン緩衝溶液60gと、塩化カルシウム2水和物0.0817gとに、イオン交換水を加えて1000gとし、分散液を調製した。また、固形分換算で0.1%の共重合体水溶液を調製した。30mlの実験用試験管に、JIS試験用粉体1.8種(関東ローム、微粒:日本粉体工業技術協会)のクレー0.3gを入れ、分散液27g、共重合体水溶液3gを添加した。この試験管をパラフィルムで密封し、上下に20回振った後、20時間静置し、上澄みをホールピペットで5ml採取した。採取した液についてUV波長380nm、10mmの石英セルで吸光度を測定し、得られた吸光度値によってクレー分散能を評価した。値が大きいほどクレー分散能が優れることを示す。
【0057】
【表1】
Figure 0003718414
【0058】
表1から明らかなように、実施例1〜3の共重合体水溶液はいずれも、BODすなわち環境負荷が小さく、しかも耐ゲル化能およびクレー分散能にも優れるものであった。
一方、比較例1、3〜5および7の共重合体水溶液はいずれも、実施例2と比べて仕込み時の組成におけるスルホン酸基量が同等かそれ以上であるにもかかわらず、固形分に対するHAPSモノマー残存量が本発明の範囲を超えて多いため、結果的に得られた共重合体の組成比〔x〕が小さくなってしまい、いずれも仕込み時の組成から期待されるだけの耐ゲル化能を発揮しえないものであった。同様に、比較例2の共重合体水溶液も、実施例3と比べて仕込み時の組成におけるスルホン酸基量が同等であるにもかかわらず、固形分に対するHAPSモノマー残存量が本発明の範囲を超えて多いため、結果的に得られた共重合体の組成比〔x〕が小さくなってしまい、仕込み時の組成から期待されるだけの耐ゲル化能を発揮しえないものであった。
【0059】
また、固形分に対するHAPSモノマー残存量が本発明の範囲外である比較例1〜5および7の共重合体水溶液はいずれも、BOD値すなわち環境負荷が大きいものであった。
また、重量平均分子量が本発明の範囲を超える比較例1、3、4、6および8の共重合体水溶液はいずれも、クレー分散能が低いものであった。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、(メタ)アリルエーテル系単量体量の含有量が少ない(メタ)アクリル酸系共重合体およびその製造方法を提供することができる。
本発明の(メタ)アクリル酸系共重合体は、例えば、スケール防止剤、分散剤、洗剤ビルダーとして有用であり、分散能に優れると同時に、高濃度水系あるいは高硬度、高塩濃度水系のように水中イオン濃度が非常に高い場合にも良好な耐ゲル性を発揮し、しかも環境負荷を低減することができる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で示す(メタ)アクリル酸系単量体(A)由来の構成単位(a)と、下記一般式(2)で示す(メタ)アリルエーテル系単量体(B)由来の構成単位(b)とを、(b)/(a)=0.08〜0.30(モル比)の割合で含み、かつ重量平均分子量が1,000〜12,000である共重合体であって、
    該共重合体に含まれる(メタ)アリルエーテル系単量体(B)量が、固形分に対して800x%以下(但し、xは、前記構成単位(b)/前記構成単位(a)(モル比)を示す。)である、ことを特徴とする(メタ)アクリル酸系共重合体。
    Figure 0003718414
    (式中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Xは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アミン基を表す。)
    Figure 0003718414
    (式中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、YおよびZは、それぞれ独立に水酸基またはスルホン酸基(但し、1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、もしくは有機アミン基の塩を含む。)を表す。但し、Y、Zの少なくとも一方はスルホン酸基である。)
  2. 硫酸イオン含有量が固形分に対して4重量%以下である、請求項1に記載の(メタ)アクリル酸系共重合体。
  3. 請求項1または2に記載の(メタ)アクリル酸系共重合体を得るための製造方法であって、
    開始剤として、過硫酸塩(P)と過酸化水素(Q)とを、(Q)/(P)=1/50〜10/1(重量比)の割合で併用して、下記一般式(1)で示す(メタ)アクリル酸系単量体(A)と、下記一般式(2)で示す(メタ)アリルエーテル系単量体(B)とを、(B)/(A)=0.08〜0.34(モル比)の割合で含む単量体成分を、重合溶媒の沸点還流温度に維持して共重合させる、
    ことを特徴とする(メタ)アクリル酸系共重合体の製造方法。
    Figure 0003718414
    (式中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Xは、水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アミン基を表す。)
    Figure 0003718414
    (式中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、YおよびZは、それぞれ独立に水酸基またはスルホン酸基(但し、1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、もしくは有機アミン基の塩を含む。)を表す。但し、Y、Zの少なくとも一方はスルホン酸基である。)
  4. 前記(メタ)アクリル酸系単量体(A)と前記(メタ)アリルエーテル系単量体(B)とをそれぞれ別々に投入し、かつ、前記(メタ)アリルエーテル系単量体(B)を、前記(メタ)アクリル酸系単量体(A)の投入時間の80%以内の時間で投入する、請求項3に記載の(メタ)アクリル酸系共重合体の製造方法。
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