JP3718259B2 - カートリッジ型フィルタ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、カートリッジ型フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の代表的なカートリッジ型フィルタについて、図面に基づいて説明する。図6は、その縦断面図である。図において、04は大径円筒形状のケーシングであり、小径円筒状の濾過体であるエレメント03の複数本が、その内部に平行に装着される。012はエレメント03の上端に突設される固定管であり、その外周に取り付けられる小径円盤状の固定板013を、ケーシングの上部に水平に液密に固着される仕切板014の上面にパッキン015を介して圧接することにより、原液が仕切板の下方から上方にリークすることを防止している。
【0003】
011は仕切板の上方に、水平且つ、放射状に設けられる複数本のリブ06に螺着されるエレメント固定用のハンドルであり、固定管012の頂部を下方に締着することで、前記固定板013を仕切板014の上面に圧接する。05はケーシング04の上部開口のトップカバーであり、ケーシングの本体フランジ07に、複数のボルトナット08により液密に締着される。01はケーシング04の側面下方に設けられる原液入口、02はケーシング04の仕切板の上方に設けられる濾液出口である。
【0004】
この種のカートリッジ型フィルタにおいては、フィルタエレメント03は一般的に不織布,濾紙,無機系多孔質などで成形された小径円筒体からなる。従って、フィルタの構造が簡単でコストが低廉であること、原液側を容易に加圧できること等のため、多くの産業分野で広く使用され、特に濾過面積が小さいので、原液中の固形分の含有濃度が少なく、処理液量の少ない場合に特に適している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこの種のカートリッジ型フィルタでは、上記のような長所がある反面、次のような問題がある。すなわち個々のフィルタエレメント03をケーシング04の仕切板014に固定ハンドル011で締着するとともに、多数のボルトナット08でトップカバー05をケーシング04の上端フランジ07に締着する構造であるため、所定の液量を処理してフィルタエレメントが夾雑物で目詰まりして、その圧力損失が増加し、交換が必要になった場合に、フィルタエレメント03の交換作業に多くの労力及び時間がかかり、稼動率が低下することである。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みて提案されたもので、フィルタエレメントの交換,フィルタ全体のオーバホール及び組立を迅速かつ省力的に行うことができる経済的なカートリッジ型フィルタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、請求項1の発明は、上面に凹設された円形リセスに気密に張られたダイヤフラムを有し内部に供給される空気圧により上方へ膨張する下部加圧室を有する円盤状の下部底板と、前記下部底板の上方に同心的に重畳され上面の同心円上にそれぞれ凹設された複数の濾液穴を有するとともに、外周面から中心部開口に連通する原液導入孔及び前記各濾液穴を連通するとともに外周面に連通する濾液排出孔を有する円盤状の上部底板とからなる二重底板と、前記上部底板上に環状のケーシングパッキンを介して同心的に立設され上端が頂板で閉塞された下端開口の大径円筒状のケーシングと、前記ケーシングの下端外周に周設された外歯状の凹凸部を有するケーシングフランジと、内方に開くコ字状断面を有し前記二重底板の外周部と前記ケーシングフランジの外周部を囲繞する形でこれに緩く外挿され、上端の内向きフランジに形成された内歯状の凹凸部を有する円環状のクランプと、前記上部底板の各濾液穴の上端部に嵌着される環状のエレメントパッキンを介して立設された複数の円筒状フィルタエレメントと、前記ケーシングの上端部の内部を水平ダイヤフラムにて気密に仕切り内部に供給される空気圧により下方へ膨張して前記各フィルタエレメントの上端を一斉に下方へ付勢して固定する上部加圧室とを具えたことを特徴とするカートリッジ型フィルタである。
【0008】
そして請求項2の発明は、クランプの内歯状の凹凸部とケーシングフランジの外歯状の凹凸部の同一位相,反対位相の関係を利用して前記クランプを若干回動して前記ケーシングを下位置から上位置へ移動可能とするために、前記クランプの外周に周設された外歯ギヤ及び駆動機に軸支されたピニオンとからなるクランプの回動手段とを具えたことを特徴とする請求項1記載のカートリッジ型フィルタである。
【0009】
【作用】
このような構成によれば、下記の作用が行われる。
通常運転時;ケーシング下端外周に周設されたケーシングフランジを二重底板部の外周部に円環状クランプで固定し、同時に下部底板上面に設けられる下部加圧室に圧力空気を導入して、ダイヤフラムを上方に膨張させることで、上部底板を上方向に移動して、ケーシングフランジ下面に装着されるケーシングパッキンを圧接してシールしている。またケーシングの上部圧力室にも加圧空気を導入してそのダイヤフラムにより、フィルタエレメントを下方に付勢してフィルタエレメント下端のエレメントパッキンを圧接することにより、原液が濾液側にリークすることを防止する。
このような状態において、原液導入口12から圧入された原液は上部底板9の中心孔からケ−シング1の内部に入り各フイルタエレメント15をそれぞれ内向半径方向に透過することで濾過され濾液となって、各フイルタエレメントの中空部から濾液穴10及び濾液排出孔11を径て外部へ取出される。
【0010】
エレメント交換;上部底板上昇用の下部加圧室及びフィルタエレメント締着用の上部加圧室の圧力空気を抜くことにより、上部底板は下方に下降して、環状クランプは回転自在になるので、環状クランプ回動駆動機により、同クランプをその凹凸がケーシングフランジの凹凸と同一位相になるよう必要角度回転する。次いで、昇降用エアシリンダを作動して、ケーシングを上昇する。その際、複数本の並立フィルタエレメントからなるバンドルは、上部底板のパッキンの上に、単に上載されている状態であるので、これを外し、新しいフィルタエレメントのバンドルをエレメントパッキンの上に載置する。
【0011】
エレメントの固定;昇降用エアシリンダを作動して、ケーシングを通常位置に下降する。環状クランプ回動駆動機を作動して、同クランプをケーシングフランジの保持位置に回転する。下部加圧室及び上部加圧室にそれぞれ圧力空気を導入して各加圧室を加圧する。その際、それぞれ合成ゴムからなるダイヤフラムは、膨張して上部底板を上昇してケーシングフランジの環状パッキンを締着してシールを完全にするとともに、フィルタエレメントを下向きに締着してエレメントパッキンのシールを完全にする。
【0012】
【実施例】
本発明の一実施例を図面について説明すると、図1はその全体縦断面図、図2,図3,図4,図5はそれぞれ図1のII−II矢視水平断面図,そのIII 部を示す拡大図,そのIV部を示す拡大図, そのフィルタエレメントのバンドルを示すV−V矢視水平断面図である。
【0013】
図において、1は大径竪円筒状のケーシングであり、その上端には頂板2が一体的に溶接され、そして下端外周には外歯状の凹凸部14を有するケーシングフランジ13が固着される。3はベースプレート16に複数本の脚5を介して水平に固着される円盤状の下部底板であり、その上面には浅い円形のリセス6が凹設される。そして、合成ゴム等からなる伸縮性のあるダイヤフラム7が、適宜間隔を存して覆蓋して下部加圧室4を形成し、その周縁部をダイヤフラム固定リング8を介して下部底板3にネジにて締着することにより、気密を保持している。
【0014】
9は前記下部底板3の上方に同心的に重畳される下部底板と略同じ径の上部底板であり、その上面にはフイルタエレメント15と略同じ径の円形の浅い穴からなる濾液穴10が、フィルタエレメントと同数で同心円上に凹設される。そしてこれらの濾液穴10は上部底板内に水平に穿設される濾液排出孔11にて相互に連通されると同時に、上部底板の外周面から外部に連通している。また原液をケーシング1内に導入するため、上部底板9には外周面から中心部に向かって水平に原液導入孔12が穿設され、中心部にてケーシング内に開口している。
【0015】
15は上部底板9の各濾液穴10の上端部に嵌着される環状のエレメントパッキン15Aを介して立設される6本のフィルタエレメントであり、角部に円弧状の切欠を有する六角形状の平板からなる上下二枚の固定プレート17と外周を拘束する固定バンド18により、一体的バンドルとして形成される。
【0016】
19は内方に開くコ字状断面を有し、下部底板3及び上部底板9の外周部とケーシングフランジ13の外周部を囲繞する形でこれに緩く外挿される円環状のクランプであり、その上端の内向きフランジ部には内歯状の凹凸部20が形成される。そしてこの凹凸部20のピッチは、前記ケーシングフランジの外歯状凹凸部14のピッチと同じであり、クランプの凹部の円弧長さがケーシングフランジの凸部の円弧長さより大きくなるよう形成される。
【0017】
21はクランプ19の外周の一部に円弧状に周設される外歯ギヤであり、ベースプレート16上に設置される駆動機22に軸支されるピニオン23と噛合している。そしてケーシングフランジ13を鉛直に上昇できるように、これらの回動手段によりクランプ19が必要角度回動される。
【0018】
24はケーシング1の上端部内面の適宜レベルに、外周が周溶接された水平円板状の仕切板であり、上部加圧室25を形成する。仕切板24には、6個の中径円孔26が、上部底板9の6個の濾液穴10のそれぞれ中心線上にそれぞれ開口し、各中径円孔26はその下面でゴム製のダイヤフラム26Aにより閉塞され、空気圧の導入により央部は下方へ膨張して張り出し、フィルタエレメント15の上端を下方へ付勢することで、全フィルタエレメントを定位置に固定すると同時にエレメントパッキン15Aを圧接して、原液の濾液側へのリークを防止する。
【0019】
27はベースプレート16の一端に立設された支柱であり、支柱27に沿って付設されたエアシリンダ28により連結部材29を介してケーシング1を昇降する。この昇降手段により、ケーシング1の昇降を必要に応じて、自動的に行うことができる。
【0020】
以上の実施例の説明から分かるように、次の様な作用を奏する。すなわち、頂板をケーシングに固着するためのボルトナットを省略して、頂板とケーシングとを溶接にて一体化するとともに、各フィルタエレメントはその上下端をそれぞれ上部加圧室の下面ゴムダイヤフラムと、底板部上面の環板状パッキンを介して液密に押しつけるようにしたことにある。
【0021】
また、ケーシングについては、ベースプレートに脚を介して固着される下部底板と、ケーシングの外歯状凹凸を有する下端フランジを内歯状の凹凸を有するクランプにより、その凹凸の位相関係を利用して保持または上昇可能な構造になっている。そして支柱に沿って付設される昇降自在のエアシリンダを採用することにより、ケーシングの昇降を自動化して、フィルタの各構成部材のオーバホール及び組立を容易にしている。
【0022】
【発明の効果】
以上の構成と作用を有する本発明によれば、フィルタエレメントの交換,フィルタ全体のオーバホール及び組立を迅速かつ省力的に行うことができるので、本発明は産業上極めて有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す全体縦断面図。
【図2】図1のII−II矢視水平断面図。
【図3】図1の III部を示す部分拡大図。
【図4】図1のIV部を示す拡大図。
【図5】図1のV−V矢視水平断面図。
【図6】従来のカートリッジ型フィルタの縦断面図。
【符号の説明】
1;ケーシング、2;頂板、3;下部底板、4;下部加圧室、5:脚、6;リセス、7;ダイヤフラム、8;固定リング、9;上部底板、10;濾液穴、11;濾液排出孔、12;原液導入孔、13;ケーシングフランジ、13A;パッキン、14;外歯状凹凸部、15;フィルタエレメント、15A;パッキン、16;ベースプレート、17;固定プレート、18;固定バンド、19;クランプ、
20;内歯状凹凸部、21;外歯ギヤ、22;駆動機、23;ピニオン、24;仕切板、25;上部加圧室、26;円孔、26A;ダイヤフラム、27;支柱、
28;エアシリンダ、29;連結部材。
Claims (2)
- 上面に凹設された円形リセスに気密に張られたダイヤフラムを有し内部に供給される空気圧により上方へ膨張する下部加圧室を有する円盤状の下部底板と、前記下部底板の上方に同心的に重畳され上面の同心円上にそれぞれ凹設された複数の濾液穴を有するとともに、外周面から中心部開口に連通する原液導入孔及び前記各濾液穴を連通するとともに外周面に連通する濾液排出孔を有する円盤状の上部底板とからなる二重底板と、前記上部底板上に環状のケーシングパッキンを介して同心的に立設され上端が頂板で閉塞された下端開口の大径円筒状のケーシングと、前記ケーシングの下端外周に周設された外歯状の凹凸部を有するケーシングフランジと、内方に開くコ字状断面を有し前記二重底板の外周部と前記ケーシングフランジの外周部を囲繞する形でこれに緩く外挿され、上端の内向きフランジに形成された内歯状の凹凸部を有する円環状のクランプと、前記上部底板の各濾液穴の上端部に嵌着される環状のエレメントパッキンを介して立設された複数の円筒状フィルタエレメントと、前記ケーシングの上端部の内部を水平ダイヤフラムにて気密に仕切り内部に供給される空気圧により下方へ膨張して前記各フィルタエレメントの上端を一斉に下方へ付勢して固定する上部加圧室とを具えたことを特徴とするカートリッジ型フィルタ。
- クランプの内歯状の凹凸部とケーシングフランジの外歯状の凹凸部の同一位相,反対位相の関係を利用して前記クランプを若干回動して前記ケーシングを下位置から上位置へ移動可能とするために、前記クランプの外周に周設された外歯ギヤ及び駆動機に軸支されたピニオンとからなるクランプの回動手段とを具えたことを特徴とする請求項1記載のカートリッジ型フィルタ。
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