JP3718171B2 - 非接触idタグシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、質問データを送信する質問器及び前記質問データに対して応答データを返送する非接触IDタグからなる非接触IDタグシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、商品や物品等に非接触IDタグ(応答器)を取り付け、このIDタグに予め設定されている固有の識別データを非接触で読取る非接触IDタグシステムが考えられている。この非接触IDタグシステムは、ホスト側に接続される質問器と物品等に取り付けられるIDタグとからなり、質問器から送信される電波をIDタグが受信して応答するもので、従来では図3に示すように構成されている。
【0003】
図3において、10は質問器で、発振器11から出力される例えば100kHzの送信搬送波が変調器12に入力される。この変調器12に入力された送信搬送波は、制御回路26から与えられる質問データ及びクロックで振幅変調され、送信アンプ13で増幅された後、サーキュレータ14を介してアンテナ15から非接触IDタグ(応答器)30へ送信される。
【0004】
上記非接触IDタグ30は、アンテナ31、変復調器32、制御器33、メモリ34からなり、このメモリ34には予め固有のIDデータが書込まれている。非接触IDタグ30は、質問器10から送られてくる送信搬送波をアンテナ31で受信し、変復調器32に入力する。変復調器32は、質問器10からの送信搬送波を検波及び平滑して直流電圧とし、制御器33及びメモリ34へ動作電源として供給する。また、変復調器32は、上記受信した搬送波からクロック及び質問データを取出し、制御器33へ入力する。制御器33は、質問器10からの質問データに応じてメモリ34の記憶内容を読出し、応答データとして変復調器32へ出力する。変復調器32は、制御器33からの応答データに応じて、質問器10からの送信搬送波を振幅変調し、質問器10へ反射波として返送する。
【0005】
質問器10は、非接触IDタグ30からの返送波をアンテナ15で受信し、サーキュレータ14より分配器16に入力して2分配する。分配器16で2分配された受信波の一方は位相シフタ17で90°位相シフトされて第1の受信系18aへ入力され、受信波の他方はそのまま第2の受信系18bへ入力される。
【0006】
第1及び第2の受信系18a、18bは、分配器16で分配され、位相シフタ17を介して、あるいは直接入力される受信波と送信アンプ13からの搬送波とをミキサ21a、21bで混合し、ベースバンド成分をローパスフィルタ(LPF)22a、22bを介して取出し、受信アンプ23a、23bで増幅した後、合成アンプ24で加算合成する。
【0007】
上記復調系で第1の受信系18a及び第2の受信系18bを設けているのは、1つの受信系の場合、もし送信搬送波と受信搬送波が直交していると応答データを復調できないためである。分配器16で2分された受信搬送波の一方を位相シフタ17で80°位相シフトすることで、受信搬送波に対して位相同期をとらなくとも、第1の受信系18aと第2の受信系18bの出力を合成することで応答データを安定して取出すことができる。
【0008】
そして、上記合成アンプ24から出力される復調された応答データは、レベル変換器25によりデジタルデータに変換されて制御回路26へ送られ、更に、この制御回路26からホスト側の機器(図示せず)へ送られる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の非接触IDタグシステムでは、ローパスフィルタ(LPF)22a、22bの周波数特性の影響を受け、また、ミキサ21a、21bで復調されたデータをローパスフィルタ(LPF)22a、22bを介して取出す際、データの立上り時、直流分の変動により受信アンプ23a、23bが飽和し、データの最初の数ビットが判別できないという問題がある。
【0010】
上記問題について更に図4(a)〜(d)に示す各部の波形を参照して説明する。図4の(a)は変調器12による変調波形、(b)はミキサ21a(又は21b)から出力される復調波形、(c)はローパスフィルタ(LPF)22a(又は22b)の出力波形、(d)は受信アンプ23a(又は23b)の出力波形を示したものである。
【0011】
変調器12から出力される信号波形は、図4(a)に示すように最初の一定期間、例えば2msecの間は100kHzの搬送波のみであり、その後、質問データにより変調される。上記搬送波のみの期間は、非接触IDタグ30が動作電圧を生成するために設けられる。上記変調器12で変調された信号が送信アンプ13で増幅された後、サーキュレータ14を介してアンテナ15から非接触IDタグ30へ送信される。
【0012】
ミキサ21a(21b)により復調された信号の波形は、図4(b)に示すように図4(a)に示す変調波形に対応したもので、最初の一定期間は100kHzの搬送波成分のみで、その後にクロックを含むデータ成分が出力される。この場合、例えば搬送波のレベルは3V、データ成分は3mv程度である。
【0013】
上記ミキサ21a(21b)により復調された信号は、ローパスフィルタ(LPF)22a(22b)を介して取出されるが、図4(c)に示すようにデータの立ち上がり時に直流成分が低下する。
【0014】
上記ローパスフィルタ(LPF)22a(22b)の出力信号は、受信アンプ23a(23b)で増幅されるが、図4(d)に示すように直流成分の変動により受信アンプ23a(23b)が飽和し、データの最初の数ビットが判別できなくなる。
【0015】
上記のように従来の非接触IDタグシステムでは、非接触IDタグ30からの応答データを質問器10が受信しても、最初の数ビットを判別できないという問題がある。しかも、ローパスフィルタ(LPF)22a、22bの周波数特性が悪いと、それを補うことができない。
【0016】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、非接触IDタグからの応答データに対し、データ開始部分の直流変動をなくし、最初のビット抜けを防止でき、かつ、ローパスフィルタの負担を軽減し得る非接触IDタグシステムを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、質問データ及びクロックにより変調された電波を送信する質問器と、前記質問器からの送信波を受信し、前記質問データに対する応答データにより前記送信波を変調し、返送波として再放射する非接触IDタグとからなる非接触IDタグシステムにおいて、
前記非接触IDタグから質問器への返送波を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された返送波を復調する復調手段と、前記復調手段により復調されたデータを該データ中のクロックに同期したパルス信号によりスイッチングして取出すアナログスイッチと、前記アナログスイッチの出力信号中の低周波成分を選択して出力するローパスフィルタと、前記ローパスフィルタの出力信号を増幅する受信アンプと、前記受信アンプにより増幅された信号を応答データとして出力する出力手段とを具備したことを特徴とする。
【0018】
上記のように非接触IDタグからの返送波を質問器で受信して処理する際、復調したデータを該復調データ中のクロックに同期したパルス信号により動作するアナログスイッチを介して取出し、ローパスフィルタを介して受信アンプに入力することにより、返送波における搬送波のみのエリアにおいてもデータエリアと同じクロック成分が含まれるので、ローパスフィルタを介して取出しても、データの立上り部分における直流成分の変動をなくすことができる。この結果、受信アンプが飽和することなく正常に動作し、データ立上り時のビット抜けの発生を防止することができる。また、上記アナログスイッチのスイッチング動作により搬送波成分を除去できるので、ローパスフィルタの負担を軽減してその周波数特性を補うことができ、システムのIC化に備えることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る非接触IDタグシステムの構成を示すブロック図である。本発明に係る非接触IDタグシステムは、図3に示した従来の非接触IDタグシステムにおいて、2つの受信系18a、18bのミキサ21a、21bとローパスフィルタ(LPF)22a、22bとの間にアナログスイッチ(アナログSW)41a、41bを設け、このアナログスイッチ41a、41bに制御回路26からスイッチング用パルス信号を入力するようにしたものである。その他の構成は、図1に示した非接触IDタグシステムと同じであるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0020】
上記制御回路26は、図2(a)に示す復調波形中のクロックに同期した図2(b)に示すパルス信号を発生し、アナログスイッチ41a、41bに入力する。
【0021】
アナログスイッチ41a、41bは、ミキサ21a、21bにより復調された信号を制御回路26から与えられるパルス信号によりスイッチングして取出し、ローパスフィルタ(LPF)22a、22bに入力する。このためアナログスイッチ41a、41bから出力される信号は、図2(c)に示すように搬送波のみのエリアにおいてもデータエリアと同じクロック成分が含まれたものとなる。また、上記復調された信号をアナログスイッチ41a、41bでスイッチングすることにより、100kHzの搬送波成分を除去することができる。
【0022】
上記のようにアナログスイッチ41a、41bから出力される信号は、搬送波のみのエリアにおいてもデータエリアと同じクロック成分が含まれるので、ローパスフィルタ(LPF)22a、22bを介して取出しても、図2(d)に示すようにデータの立上り部分における直流成分の変動がなくなる。この結果、受信アンプ23a、23bが飽和することなく正常に動作し、データ立上り時のビット抜けの発生を防止することができる。
【0023】
また、アナログスイッチ41a、41bのスイッチング動作により搬送波成分を除去できるので、ローパスフィルタ(LPF)22a、22bの負担を軽減でき、その周波数特性を補うことができる。従って、システムのIC化によりローパスフィルタ(LPF)22a、22bの周波数特性が劣化したとしても、その特性の劣化を補って目的とする周波数特性を得ることができる。
【0024】
上記実施形態では、質問器10が第1及び第2の受信系18a、18bを備えている場合について示したが、1つの受信系により構成している場合であっても同様にして実施し得るものである。
【0025】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明によれば、質問器及びこの質問器からの質問データに対して応答する非接触IDタグからなる非接触IDタグシステムにおいて、非接触IDタグからの応答データを質問器で受信して処理する際、復調したデータを所定周波数でスイッチング動作するアナログスイッチにより取出し、ローパスフィルタを介して受信アンプに入力するようにしたので、データの立上り部分における直流成分の変動をなくすことができる。この結果、受信アンプの飽和を防止し、データ立上り時のビット抜けの発生を確実に防止することができる。また、上記アナログスイッチのスイッチング動作により搬送波成分を除去できるので、ローパスフィルタの負担を軽減してその周波数特性を補うことができ、システムのIC化に備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る非接触IDタグシステムの構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態における動作を説明するための各部の信号波形図。
【図3】従来の非接触IDタグシステムの構成を示すブロック図。
【図4】従来の非接触IDタグシステムの動作を説明するための各部の信号波形図。
【符号の説明】
10…質問器
11…発振器
12…変調器
13…送信アンプ
14…サーキュレータ
15…アンテナ
16…分配器
17…位相シフタ
18a…第1の受信系
18b…第2の受信系
21a.21b…ミキサ
22a.22b…ローパスフィルタ(LPF)
23a.23b…受信アンプ
24…合成アンプ
25…レベル変換器
26…制御回路
30…IDタグ
31…アンテナ
32…変復調器
33…制御器
34…メモリ
41a.41b…アナログスイッチ

Claims (2)

  1. 質問データ及びクロックにより変調された電波を送信する質問器と、前記質問器からの送信波を受信し、前記質問データに対する応答データにより前記送信波を変調し、返送波として再放射する非接触IDタグとからなる非接触IDタグシステムにおいて、
    前記非接触IDタグから質問器への返送波を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された返送波を復調する復調手段と、前記復調手段により復調されたデータを該データ中のクロックに同期したパルス信号によりスイッチングして取出すアナログスイッチと、前記アナログスイッチの出力信号中の低周波成分を選択して出力するローパスフィルタと、前記ローパスフィルタの出力信号を増幅する受信アンプと、前記受信アンプにより増幅された信号を応答データとして出力する出力手段とを具備したことを特徴とする非接触IDタグシステム。
  2. 質問データ及びクロックにより変調された電波を送信する質問器と、前記質問器からの送信波を受信し、前記質問データに対する応答データにより前記送信波を変調し、返送波として再放射する非接触IDタグとからなる非接触IDタグシステムにおいて、
    前記非接触IDタグから質問器への返送波を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された返送波を2分配する分配器と、前記分配器により分配された一方の信号を90°位相シフトする位相シフタと、前記位相シフタで位相シフトした信号と前記送信波とを混合する第1のミキサと、前記分配器により分配された他方の信号と前記送信波とを混合する第2のミキサと、前記第1及び第2のミキサから出力されるデータを該データ中のクロックに同期したパルス信号によりスイッチングして取出す第1及び第2のアナログスイッチと、前記第1及び第2のアナログスイッチの出力信号中の低周波成分を選択して出力する第1及び第2のローパスフィルタと、前記第1及び第2のローパスフィルタの出力信号を増幅する第1及び第2の受信アンプと、前記第1及び第2の受信アンプにより増幅された信号を混合する合成アンプと、前記合成アンプの出力信号をレベル変換して応答データとして出力するレベル変換手段とを具備したことを特徴とする非接触IDタグシステム。
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