JP3717802B2 - ネットワーク中継装置およびリングネットワークシステム - Google Patents

ネットワーク中継装置およびリングネットワークシステム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、監視用パケットの送受信に基づいて回線障害の有無を検出可能なブリッジネットワークと所定のリングネットワークとの間に設置されるネットワーク中継装置およびこのネットワーク中継装置を用いたリングネットワークシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、リングネットワークにおいて回線障害が発生した場合の復旧方式としては、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.1dで標準化されているスパニングツリープロトコル(STP)や、IETF(Internet Engineering Task Force)でRFC2328として標準化されているOSPF(Open Shortest Path First)のようなルーティングプロトコルによるネットワークの再構成が一般的である。
【0003】
しかしながら、これらのプロトコルは、本来リングトポロジーに特化したプロトコルではないため、いくつかの不都合がある。例えば、レイヤ2スイッチであるブリッジを用いてリングネットワークを構築する場合には、スパニングツリープロトコルの規定により、ブリッジ接続が最大7台までに制限される。このため、8台以上のブリッジによるリングネットワークシステムを構築することができない。また、レイヤ3スイッチであるルータを用いてリングネットワークを構築する場合には、TTL(Time to Live:パケット生存時間)を64程度に設定してパケットを送信する端末が存在するため、ルータが64台以上となるリングネットワークシステムを構築することができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、図9に示すように、ルータA,EおよびブリッジB,C,Dの混在したリングネットワークシステムを構築することにより、該リングネットワークシステム上のルータA,Eの台数を減らすとともに、ブリッジB,C,Dの接続段数を7台以下とし、上記の問題を解決することが考えられる。
【0005】
しかしながら、上記のようなリングネットワークシステムにあっては、以下のような新たな問題を招来する虞れがある。例えば、図10に示すように、リングネットワークの一部であるブリッジネットワークに回線障害が発生した場合、当該回線障害により同一のIPサブネットワーク(10.20.0.0/16)が2つに分割されることになり、これら分割されたネットワークにおいて相互の通信が不可能となる。また、当該回線障害が発生したIPサブネットワーク(10.20.0.0/16)に対してルータAの支線に接続された端末からデータを送信した場合には、ルータAによりすべてブリッジBへ中継されることになり、ブリッジCやブリッジDをネットワーク中継装置とするそれぞれの支線ネットワークには伝送することができない虞れがある。
【0006】
この発明は上記実情に鑑みてなされたもので、ブリッジネットワーク内で回線障害が発生した場合にも、復旧可能なネットワーク中継装置およびリングネットワークシステムを得ることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためこの発明にかかるネットワーク中継装置は、監視用パケットの送受信に基づいて回線障害の有無を検出可能なブリッジネットワークと所定のリングネットワークとの間に設置されるネットワーク中継装置であって、レイヤ2プロトコルによりブリッジ中継処理を行うブリッジ中継部と、レイヤ3プロトコルによりルータ中継処理を行うルータ中継部と、前記ブリッジ中継部がブリッジ中継処理を実施している間において前記ブリッジネットワークに回線障害が発生した場合に前記リングネットワーク上に障害通知メッセージを送信する障害通知送信部と、前記障害通知送信部が障害通知メッセージを送信した場合に予め設定した回線障害時用ネットワーク情報に基づいて前記ルータ中継部によるルータ中継処理を開始するルータ中継処理制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、ブリッジネットワークに回線障害が発生すると、ルータ中継処理制御部によってルータ中継部によるルータ中継処理が開始される。
【0009】
つぎの発明にかかるリングネットワークシステムは、監視用パケットの送受信に基づいて回線障害の有無を検出可能なブリッジネットワークと所定のリングネットワークとの間にネットワーク中継装置を設置して構成されるリングネットワークシステムであって、前記ネットワーク中継装置が、レイヤ2プロトコルによりブリッジ中継処理を行うブリッジ中継部と、レイヤ3プロトコルによりルータ中継処理を行うルータ中継部と、前記ブリッジ中継部がブリッジ中継処理を実施している間において前記ブリッジネットワークに回線障害が発生した場合に前記リングネットワーク上に障害通知メッセージを送信する障害通知送信部と、前記障害通知送信部が障害通知メッセージを送信した場合に予め設定した回線障害時用ネットワーク情報に基づいて前記ルータ中継部によるルータ中継処理を開始するルータ中継処理制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、ブリッジネットワークに回線障害が発生すると、ルータ中継処理制御部によってルータ中継部によるルータ中継処理が開始される。
【0011】
つぎの発明にかかるリングネットワークシステムは、監視用パケットの送受信に基づいて回線障害の有無を検出可能なブリッジネットワークと所定のリングネットワークとの間に第1のネットワーク中継装置を設置するとともに、前記リングネットワーク上に第2のネットワーク中継装置を設置して構成されるリングネットワークシステムであって、前記第1のネットワーク中継装置が、レイヤ2プロトコルによりブリッジ中継処理を行うブリッジ中継部と、前記ブリッジ中継部がブリッジ中継処理を実施している間において前記ブリッジネットワークに回線障害が発生した場合に前記リングネットワーク上に障害通知メッセージを送信し、かつ前記ブリッジ中継部によるブリッジ中継処理を継続させるブリッジ中継処理制御部を備える一方、前記第2のネットワーク中継装置が、レイヤ3プロトコルによりルータ中継処理を行うルータ中継部と、前記ルータ中継部がルータ中継処理を実施している間において前記第1のネットワーク中継装置のブリッジ中継処理制御部が障害通知メッセージを送信した場合に予め設定した回線障害時用ネットワーク情報から当該障害通知メッセージに対応したものを選択し、該選択した回線障害時用ネットワーク情報に基づいて前記回線障害が発生したブリッジネットワークのIPサブネットワークをマルチアサインして前記ルータ中継部によるルータ中継処理を継続するルータ中継処理制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、第1のネットワーク中継装置のブリッジ中継処理制御部から障害通知メッセージが送信されると、第2のネットワーク中継装置のルータ中継処理制御部により、前記回線障害に対応したネットワーク情報に基づいてブリッジネットワークのIPサブネットワークがマルチアサインされてルータ中継部によるルータ中継処理が継続される。
【0013】
つぎの発明にかかるリングネットワークシステムは、上記の発明において、前記監視用パケットが、BPDUパケットであり、スパニングツリー機能により回線障害の有無を検出することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、スパニングツリー機能により回線障害の有無を検出することができる。
【0015】
つぎの発明にかかるリングネットワークシステムは、前記監視用パケットが、ICMPパケットであり、ping機能により回線障害の有無を検出することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、ping機能により回線障害の有無を検出することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるネットワーク中継装置およびリングネットワークシステムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1であるネットワーク中継装置の構成を示すブロック図である。図1において、1はネットワーク中継装置、2はレイヤ3プロトコルによるルータ中継処理を実施するルータ中継部、3はレイヤ2プロトコルによるブリッジ中継処理を実施するブリッジ中継部、4はルータ中継部2の動作を制御するルータ制御部、5はブリッジ中継部3の動作を制御するブリッジ制御部である。6および7は幹線リング用インタフェース、8は支線用インタフェースである。なお、この実施の形態1では、支線用インタフェース8に繋がる支線ネットワークを1つとしているが、複数でも構わない。
【0019】
図2は、図1に示したネットワーク中継装置1を用いて構成したリングネットワークシステムの構成図である。図2において、(R)は上述したネットワーク中継装置1をルータとして動作させていることを示し、(B)は上述したネットワーク中継装置1をブリッジとして動作させていることを示す。つまり、ネットワーク中継装置1−(R)においては、ルータ制御部4によってルータ中継部2が動作し、該ルータ中継部2がルータ中継処理を実施する一方、ブリッジ制御部5によってブリッジ中継部3の動作が停止した状態にある。逆に、ネットワーク中継装置1−(B)においては、ブリッジ制御部5によってブリッジ中継部3が動作し、該ブリッジ中継部3がブリッジ中継処理を実施する一方、ルータ制御部4によってルータ中継部2の動作が停止した状態にある。図2において、13は幹線リングネットワーク、14は支線ネットワークを示す。これら幹線リングネットワーク13および支線ネットワーク14は、いずれもイーサネット(Ethernet)としてあるが、他のネットワークでもよい。
【0020】
図3は、図2に示したリングネットワークシステムに対してIPネットワークを定義した図である。IPネットワーク番号/マスク長により、各IPサブネットワークが定義される。例えば、ルータとして動作しているネットワーク中継装置1A−(R)の支線ネットワーク14は、「10.10.0.0/16」と定義される。この場合、IPネットワーク番号が10.10.0.0のIPサブネットワークで、マスク長が16ビットであることを示す。実施の形態1では、図3に示すように、4つのIPサブネットワーク「10.10.0.0/16」、「10.20.0.0/16」、「10.30.0.0/16」、「10.40.0.0/16」を定義している。
【0021】
図4は、図3に示したIPサブネットワーク「10.20.0.0/16」をさらに細分化した時のIPサブネットワークを定義した図である。本実施の形態1では、それぞれのマスク長を24ビットとしている。通常のブリッジネットワークでは、内部をさらに細分化する必要はないが、本実施の形態1の場合、ブリッジネットワーク内で発生した回線障害にも対応できるように、予め細分化してネットワークを運用している。
【0022】
ネットワーク中継装置1A−(R)のルータ制御部4には、IPサブネットワーク「10.20.0.0/16」のブリッジネットワークに回線障害が発生した場合に使用する回線障害時用ネットワーク情報として、「10.20.10.0/24」を登録してある。同様にネットワーク中継装置1E−(R)のルータ制御部4には、「10.20.70.0/24」の回線障害時用ネットワーク情報を登録し、ネットワーク中継装置1B−(B)のルータ制御部4には、「10.20.10.0/24」、「10.20.20.0/24」、「10.20.30.0/24」の回線障害時用ネットワーク情報を登録し、ネットワーク中継装置1C−(B)のルータ制御部4には、「10.20.30.0/24」、「10.20.40.0/24」、「10.20.50.0/24」の回線障害時用ネットワーク情報を登録し、ネットワーク中継装置1D−(B)のルータ制御部4には、「10.20.50.0/24」、「10.20.60.0/24」、「10.20.70.0/24」の回線障害時用ネットワーク情報を登録してある。
【0023】
次に、図5を用いて上記リングネットワークシステムの動作について説明する。ネットワーク中継装置1B−(B)、ネットワーク中継装置1C−(B)、ネットワーク中継装置1D−(B)の各ブリッジ制御部5においては、それぞれスパニングツリープロトコルが動作して、ブリッジネットワークの状態を監視しているものとする。つまり、ネットワーク中継装置1B−(B)、およびネットワーク中継装置1C−(B)のブリッジ制御部5は、ネットワーク監視用パケットであるBPDU(Bridge Protocol Data Unit)パケットを、一定時間間隔でリングネットワーク上へ送信し、所定の時間、たとえば一定時間の3倍の時間がたっても、相手からのBPDUパケットを受信できない場合は、該当するブリッジネットワークに、回線障害が発生したと認識する。
【0024】
まず、ネットワーク中継装置1B−(B)とネットワーク中継装置1C−(B)との間のリンクが切断すると、ネットワーク中継装置1B−(B)のブリッジ制御部5およびネットワーク中継装置1C−(B)のブリッジ制御部5は、上述したスパニングツリープロトコルにより、ネットワーク中継装置1B−(B)とネットワーク中継装置1C−(B)との間に回線障害が発生したことを認識する。
【0025】
回線障害が発生したことを認識したネットワーク中継装置1B−(B)のブリッジ制御部5およびネットワーク中継装置1C−(B)のブリッジ制御部5は、それぞれ障害が発生していない幹線リングネットワーク13に対して障害通知メッセージを送信する。この時の障害通知メッセージは、幹線リングネットワーク13内ブロードキャスト、つまり宛先MACアドレスをブロードキャストとすることにより、ネットワーク中継装置1A−(R)、ネットワーク中継装置1D−(B)、ネットワーク中継装置1E−(R)の各ブリッジ制御部5において受信することができる。
【0026】
また、ネットワーク中継装置1B−(B)のブリッジ制御部5およびネットワーク中継装置1C−(B)のブリッジ制御部5は、それぞれ自身のルータ制御部4にルータとして動作するように通知する。さらに、ネットワーク中継装置1D−(B)のブリッジ制御部5は、自身のルータ制御部4にルータとして動作するように通知する。つまり、ネットワーク中継装置1B−(B)がネットワーク中継装置1B−(R)となり、ネットワーク中継装置1C−(B)がネットワーク中継装置1C−(R)となり、さらにネットワーク中継装置1D−(B)が、ネットワーク中継装置1D−(R)となる。これらの結果、ネットワーク中継装置1B−(R)、ネットワーク中継装置1C−(R)およびネットワーク中継装置1D−(R)の各ルータ制御部4が、それぞれ予め登録してある回線障害時用ネットワーク情報に基づいて、個々のルータ中継部2によるルータ中継処理を開始する。
【0027】
一方、障害通知メッセージを受信したネットワーク中継装置1A−(R)のブリッジ制御部5およびネットワーク中継装置1E−(R)のブリッジ制御部5は、IPサブネットワーク「10.20.0.0/16」のブリッジネットワークに回線障害が発生したことをそれぞれのルータ制御部4へ通知する。この結果、これらネットワーク中継装置1A−(R)のルータ制御部4およびネットワーク中継装置1E−(R)のルータ制御部4は、予め登録してある回線障害時用ネットワーク情報に基づいて、個々のルータ中継部2によるルータ中継処理を開始する。
【0028】
以上の動作により、リングネットワークシステムが、図6に示すような構成となり、各ネットワーク中継装置のルータ制御部4によるルーティングプロトコルにより、支線ネットワーク14の各ネットワーク情報(「10.20.20.0/24」、「10.20.40.0/24」、「10.20.60.0/24」)および幹線リングネットワーク13においてIPサブネットワーク「10.20.0.0/16」に含まれるネットワーク情報(「10.20.10.0/24」、「10.20.30.0/24」、「10.20.50.0/24」、「10.20.70.0/24」)が幹線リングネットワーク13全体に通知されるため、ブリッジネットワークの障害による矛盾が発生せず、リングネットワークシステムを復旧することができる。
【0029】
しかも、上記リングネットワークシステムにおいては、スパニングツリープロトコルによりブリッジネットワークに回線障害があるか否かを検出するようにしているため、支線ネットワーク14が相互接続してループを形成する場合であっても確実に復旧させることが可能になる。
【0030】
実施の形態2.
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、スパニングツリープロトコルによりブリッジネットワークの監視を行うようにしているため、ブリッジ接続数が最大7台に制限される。しかしながら、支線ネットワーク14内にループが発生しないこと、つまり支線ネットワーク14が相互接続しないことが保証されれば、スパニングツリープロトコルによるブリッジネットワークの監視が必要なくなり、ブリッジ接続数を8台以上とすることが可能になる。
【0031】
以下、スパニングツリープロトコルによらないブリッジネットワークの監視方法を適用した実施の形態2について説明する。図7は、本発明の実施の形態2であるネットワーク中継装置の構成を示すブロック図である。図7において、図1と同様の構成に関しては同一の符号を付している。9はブリッジネットワークの状態を監視するネットワーク監視部9である。このネットワーク監視部9は、ブリッジネットワーク上において隣設するネットワーク中継装置1に対して定期的にICMP(Internet Control Message Protocol)パケットを送信する一方、そのpingレスポンスを受信する部分であり、規定回数以上のpingレスポンスを受信できなければ、回線障害が発生したものと認識する。回線障害が発生したものと認識した場合、上記ネットワーク監視部9は、回線障害が発生したことを自身のブリッジ制御部5およびルータ制御部4にルータとして動作するように通知するとともに、幹線リングネットワーク13に設置された他のネットワーク中継装置に対して障害通知メッセージを送信する。
【0032】
例えば、図5に示したものと同様に、ネットワーク中継装置1B−(B)とネットワーク中継装置1C−(B)との間のリンクが切断すると、ネットワーク中継装置1B−(B)のネットワーク監視部9およびネットワーク中継装置1C−(B)のネットワーク監視部9は、上述したping機能により、ネットワーク中継装置1B−(B)とネットワーク中継装置1C−(B)との間に回線障害が発生したことを認識し、幹線リングネットワーク13上に設置されたネットワーク中継装置1A−(R)、ネットワーク中継装置1D−(B)、ネットワーク中継装置1E−(R)の各ネットワーク監視部9に対して障害通知メッセージを送信する。
【0033】
また、ネットワーク中継装置1B−(B)およびネットワーク中継装置1C−(B)の各ネットワーク監視部9は、それぞれ自身のルータ制御部4にルータとして動作するように通知する。さらに、ネットワーク中継装置1D−(B)のネットワーク監視部9は、自身のルータ制御部4にルータとして動作するように通知する。つまり、ネットワーク中継装置1B−(B)がネットワーク中継装置1B−(R)となり、ネットワーク中継装置1C−(B)がネットワーク中継装置1C−(R)となり、さらに、ネットワーク中継装置1D−(B)が、ネットワーク中継装置1D−(R)となる。これらの結果、ネットワーク中継装置1B−(R)、ネットワーク中継装置1C−(R)およびネットワーク中継装置1D−(R)の各ルータ制御部4が、それぞれ予め登録してある回線障害時用ネットワーク情報に基づいて、個々のルータ中継部2によるルータ中継処理を開始する。
【0034】
一方、障害通知メッセージを受信したネットワーク中継装置1A−(R)のネットワーク監視部9およびネットワーク中継装置1E−(R)のネットワーク監視部9は、IPサブネットワーク「10.20.0.0/16」のブリッジネットワークに回線障害が発生したことをそれぞれのルータ制御部4へ通知する。この結果、これらネットワーク中継装置1A−(R)のルータ制御部4およびネットワーク中継装置1E−(R)のルータ制御部4は、予め登録してある回線障害時用ネットワーク情報に基づいて、個々のルータ中継部2によるルータ中継処理を開始する。
【0035】
以上の動作により、リングネットワークシステムが、図6に示すような構成となり、各ネットワーク中継装置のルータ制御部4によるルーティングプロトコルにより、支線ネットワーク14の各ネットワーク情報および幹線リングネットワーク13においてIPサブネットワーク「10.20.0.0/16」に含まれるネットワーク情報が幹線リングネットワーク13全体に通知されるため、ブリッジネットワークの障害による矛盾が発生せず、リングネットワークシステムを復旧することができる。
【0036】
しかも、上記リングネットワークシステムにおいては、スパニングツリープロトコルを用いていないため、ブリッジネットワーク内のブリッジ接続数を8台以上とすることができ、より大規模なシステムを構成することが可能となる。
【0037】
実施の形態3.
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1および2では、回線障害が発生した場合に、リングネットワーク上においてブリッジとして動作しているネットワーク中継装置を、ルータとして動作させるようにしている。これに対して実施の形態3では、回線障害が発生した場合にも、ブリッジとして動作しているネットワーク中継装置を、ブリッジのまま動作させるようにしたリングネットワークシステムについて説明する。
【0038】
この実施の形態3で適用するネットワーク中継装置としては、実施の形態1で示したものでも実施の形態2で示したものでも構わない。また、リングネットワークおよびブリッジネットワークの構成は、図3および図4に示すものと同様である。但し、ネットワーク中継装置1A−(R)のルータ制御部4には、障害通知メッセージを受信した時に使用する回線障害時用ネットワーク情報を、障害通知メッセージの送信元毎に登録してある。例えば、ネットワーク中継装置1B−(B)から障害通知メッセージが送信された場合の回線障害時用ネットワーク情報として「10.20.10.0/24」と「10.20.20.0/24」とを登録し、ネットワーク中継装置1C−(B)から障害通知メッセージが送信された場合の回線障害時用ネットワーク情報として「10.20.10.0/24」と「10.20.20.0/24」と「10.20.30.0/24」と「10.20.40.0/24」とを登録し、ネットワーク中継装置1D−(B)から障害通知メッセージが送信された場合の回線障害時用ネットワーク情報として「10.20.10.0/24」と「10.20.20.0/24」と「10.20.30.0/24」と「10.20.40.0/24」と「10.20.50.0/24」と「10.20.60.0/24」とを登録してある。同様に、ネットワーク中継装置1E−(R)のルータ制御部4にも、回線障害時用ネットワーク情報を、障害通知メッセージの送信元毎に登録してある。
【0039】
次に、図5を用いてリングネットワークシステムの動作について説明する。なお、ネットワーク状態の監視は、ネットワーク中継装置として実施の形態1で示したものを適用した場合、スパニングツリープロトコルを適用し、実施の形態2のネットワーク中継装置を適用した場合、ping機能を適用すればよい。
【0040】
まず、ネットワーク中継装置1B−(B)とネットワーク中継装置1C−(B)との間のリンクが切断すると、ネットワーク中継装置1B−(B)のブリッジ制御部5およびネットワーク中継装置1C−(B)のブリッジ制御部5は、上述したスパニングツリープロトコル、もしくはping機能により、ネットワーク中継装置1B−(B)とネットワーク中継装置1C−(B)との間に回線障害が発生したことを認識する。
【0041】
回線障害が発生したことを認識したネットワーク中継装置1B−(B)のブリッジ制御部5およびネットワーク中継装置1C−(B)のブリッジ制御部5は、実施の形態1と同様に、それぞれ障害が発生していない幹線リングネットワーク13に対して障害通知メッセージを送信するものの、そのままブリッジ中継部3によるブリッジ中継処理を継続する。また、ネットワーク中継装置1D−(B)のブリッジ制御部5も、そのままブリッジ中継部3によるブリッジ中継処理を継続する。つまり、回線障害が発生した後においても、ネットワーク中継装置1B−(B)、ネットワーク中継装置1C−(B)、ネットワーク中継装置1D−(B)がそのままの状態を維持する。
【0042】
一方、障害通知メッセージを受信したネットワーク中継装置1A−(R)のブリッジ制御部5およびネットワーク中継装置1E−(R)のブリッジ制御部5は、IPサブネットワーク「10.20.0.0/16」に回線障害が発生したことをそれぞれのルータ制御部4へ通知する。回線障害を通知されたルータ制御部4は、予め登録した回線障害時用ネットワーク情報の中から障害通知メッセージの送信元に応じたものを選択し、この選択した回線障害時用ネットワーク情報に基づいて、個々のルータ中継部2によるルータ中継処理を開始する。例えば、ネットワーク中継装置1A−(R)のルータ制御部4は、ネットワーク中継装置1B−(B)から障害通知メッセージを受信すると、上述した回線障害時用ネットワーク情報の中から「10.20.10.0/24」と「10.20.20.0/24」とを選択し、これら2つのIPサブネットワークを1つの幹線リング用インタフェース6,7にマルチアサインしたルータとして動作する。同様に、ネットワーク中継装置1E−(R)のルータ制御部4は、ネットワーク中継装置1C−(B)から障害通知メッセージを受信すると、「10.20.40.0/24」と「10.20.50.0/24」と「10.20.60.0/24」と「10.20.70.0/24」とを選択し、これら4つのIPサブネットワークを1つの幹線リング用インタフェース6,7にマルチアサインしたルータとして動作する。
【0043】
以上の動作により、リングネットワークシステムが、図8に示すような構成となる。この場合においても、ネットワーク中継装置1A−(R)およびネットワーク中継装置1E−(R)の各ルータ制御部4によるルーティングプロトコルにより、支線ネットワーク14の各ネットワーク情報および幹線リングネットワーク13においてIPサブネットワーク「10.20.0.0/16」に含まれるネットワーク情報が幹線リングネットワーク13全体に通知されるため、ブリッジネットワークの障害による矛盾が発生せず、リングネットワークシステムを復旧することができる。なお、実施の形態3においては、ネットワーク中継装置1A−(R)およびネットワーク中継装置1E−(R)が必ずしもブリッジ中継部3およびブリッジ制御部5を備えている必要はなく、一方、ネットワーク中継装置1B−(B)、ネットワーク中継装置1C−(B)、ネットワーク中継装置1D−(B)が必ずしもルータ中継部2およびルータ制御部4を備えている必要はない。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、ブリッジネットワークに回線障害が発生すると、ルータ中継処理制御部によってルータ中継部によるルータ中継処理が開始されるため、そのルーティングプロトコルにより回線障害が発生したブリッジネットワークのネットワーク情報がリングネットワーク全体に通知されることになり、ネットワークを復旧させることが可能になる。
【0045】
つぎの発明によれば、ブリッジネットワークに回線障害が発生すると、ルータ中継処理制御部によってルータ中継部によるルータ中継処理が開始されるため、そのルーティングプロトコルにより回線障害が発生したブリッジネットワークのネットワーク情報がリングネットワーク全体に通知され、復旧が可能となる。
【0046】
つぎの発明によれば、第1のネットワーク中継装置のブリッジ中継処理制御部から障害通知メッセージが送信されると、第2のネットワーク中継装置のルータ中継処理制御部により、前記回線障害に対応したネットワーク情報に基づいてブリッジネットワークのIPサブネットワークがマルチアサインされてルータ中継部によるルータ中継処理が継続されるため、そのルーティングプロトコルにより回線障害が発生したブリッジネットワークのネットワーク情報がリングネットワーク全体に通知され、復旧が可能となる。
【0047】
この発明によれば、スパニングツリー機能により回線障害の有無を検出することができるため、ブリッジネットワークがリングネットワークである場合に好適となる。
【0048】
この発明によれば、ping機能により回線障害の有無を検出することができるため、ブリッジネットワークがリングネットワークでない場合に好適となる。この場合、ブリッジネットワーク内のブリッジ接続数を8台以上とすることができ、大規模なリングネットワークシステムを構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1であるネットワーク中継装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1に示したネットワーク中継装置1を用いて構成したリングネットワークシステムの構成図である。
【図3】 図2に示したリングネットワークシステムに対してIPネットワークを定義した図である。
【図4】 図3に示したIPサブネットワークをさらに細分化した時のIPサブネットワークを定義した図である。
【図5】 リングネットワークシステムの動作を説明するための図である。
【図6】 実施の形態1において回線障害発生後のリングネットワークシステムを示す図である。
【図7】 本発明の実施の形態2であるネットワーク中継装置の構成を示すブロック図である。
【図8】 実施の形態3において回線障害発生後のリングネットワークシステムを示す図である。
【図9】 従来のリングネットワークシステムを示す図である。
【図10】 図9のリングネットワークシステムにおいて回線障害が発生した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 ネットワーク中継装置、2 ルータ中継部、3 ブリッジ中継部、4 ルータ制御部、5 ブリッジ制御部、6,7 幹線リング用インタフェース、8 支線用インタフェース、9 ネットワーク監視部、13 幹線リングネットワーク、14 支線ネットワーク。

Claims (5)

  1. 監視用パケットの送受信に基づいて回線障害の有無を検出可能なブリッジネットワークと所定のリングネットワークとの間に設置されるネットワーク中継装置であって、
    レイヤ2プロトコルによりブリッジ中継処理を行うブリッジ中継部と、
    レイヤ3プロトコルによりルータ中継処理を行うルータ中継部と、
    前記ブリッジ中継部がブリッジ中継処理を実施している間において前記ブリッジネットワークに回線障害が発生した場合に前記リングネットワーク上に障害通知メッセージを送信する障害通知送信部と、
    前記障害通知送信部が障害通知メッセージを送信した場合に予め設定した回線障害時用ネットワーク情報に基づいて前記ルータ中継部によるルータ中継処理を開始するルータ中継処理制御部と、
    を備えたことを特徴とするネットワーク中継装置。
  2. 監視用パケットの送受信に基づいて回線障害の有無を検出可能なブリッジネットワークと所定のリングネットワークとの間にネットワーク中継装置を設置して構成されるリングネットワークシステムであって、
    前記ネットワーク中継装置が、
    レイヤ2プロトコルによりブリッジ中継処理を行うブリッジ中継部と、
    レイヤ3プロトコルによりルータ中継処理を行うルータ中継部と、
    前記ブリッジ中継部がブリッジ中継処理を実施している間において前記ブリッジネットワークに回線障害が発生した場合に前記リングネットワーク上に障害通知メッセージを送信する障害通知送信部と、
    前記障害通知送信部が障害通知メッセージを送信した場合に予め設定した回線障害時用ネットワーク情報に基づいて前記ルータ中継部によるルータ中継処理を開始するルータ中継処理制御部と、
    を備えたことを特徴とするリングネットワークシステム。
  3. 監視用パケットの送受信に基づいて回線障害の有無を検出可能なブリッジネットワークと所定のリングネットワークとの間に第1のネットワーク中継装置を設置するとともに、前記リングネットワーク上に第2のネットワーク中継装置を設置して構成されるリングネットワークシステムであって、
    前記第1のネットワーク中継装置が、
    レイヤ2プロトコルによりブリッジ中継処理を行うブリッジ中継部と、
    前記ブリッジ中継部がブリッジ中継処理を実施している間において前記ブリッジネットワークに回線障害が発生した場合に前記リングネットワーク上に障害通知メッセージを送信し、かつ前記ブリッジ中継部によるブリッジ中継処理を継続させるブリッジ中継処理制御部を備える一方、
    前記第2のネットワーク中継装置が、
    レイヤ3プロトコルによりルータ中継処理を行うルータ中継部と、
    前記ルータ中継部がルータ中継処理を実施している間において前記第1のネットワーク中継装置のブリッジ中継処理制御部が障害通知メッセージを送信した場合に予め設定した回線障害時用ネットワーク情報から当該障害通知メッセージに対応したものを選択し、該選択した回線障害時用ネットワーク情報に基づいて前記回線障害が発生したブリッジネットワークのIPサブネットワークをマルチアサインして前記ルータ中継部によるルータ中継処理を継続するルータ中継処理制御部と、
    を備えたことを特徴とするリングネットワークシステム。
  4. 前記監視用パケットは、BPDUパケットであり、スパニングツリー機能により回線障害の有無を検出することを特徴とする請求項2または3に記載のリングネットワークシステム。
  5. 前記監視用パケットは、ICMPパケットであり、ping機能により回線障害の有無を検出することを特徴とする請求項2または3に記載のリングネットワークシステム。
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