JP3717463B2 - 移動通信システム及び移動通信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、IPネットワークを利用した移動通信装置及び移動通信装置対応ルータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
IPネットワークは、それぞれ固有のネットワーク識別子を有しておりサブネットと呼ばれる小さなネットワークの集合である。移動通信に対応したサブネットには1つ以上の移動通信装置対応ルータが存在し、サブネット同士の接続及び該サブネットと移動通信装置との接続を可能にしている。従来の移動通信装置は、あるサブネットと繋がっている状態において、別のサブネットと繋がる位置に移動したとき、初めて該別のサブネットとの通信を開始するのに必要な資源(回線、アドレス等)や通信品質を維持するのに必要な資源の取得のため、該別のサブネットの移動通信装置対応ルータ装置とネゴシエーションを行うように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、移動先のサブネットのネットワーク資源に余裕がない場合、移動後にネゴシエーションを行っても必要な資源が得られず、通信品質が劣化したり、通信が途切れるという問題があった。
【0004】
本発明は上記の問題に鑑みなされたものであり、IPネットワークを利用した移動通信において、ハンドオーバの際にネットワーク資源を確実に取得できるようにし、それにより通話品質の劣化や通信の切断を防止することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の本発明の移動通信システムは、移動通信装置がネットワークを介して通信を行うことを可能にするために前記ネットワークと接続されるサブネットを有する複数の移動通信装置対応ルータ装置と、該各移動通信装置対応ルータ装置の前記サブネットを利用して通信を行う移動通信装置とから構成される移動通信システムにおいて、
前記移動通信装置は、
現在位置から目的地への移動に先立ち、目的地情報(前記目的地のアドレス及びサブネット情報を含む)と、現在位置情報(前記現在位置のアドレス及び接続中のサブネットを特定する情報)が入力される入力手段と、
入力された前記目的地情報と前記現在位置情報とから、予め登録されている前記サブネットの中から、前記現在位置から前記目的地に至る経路上にあり、ハンドオーバする可能性のある複数の前記サブネットのアドレスを予測する予測手段(経路情報データベース)と、
予測された前記サブネットのアドレスに基づき、これらのアドレスの前記サブネットの移動通信装置対応ルータに、前記移動通信装置とハンドオーバするためのアドレス及び帯域を含むネットワーク資源を予め予約するためのメッセージを送る出力手段(資源確保実行部)と
を備え、
前記予測されたアドレスのサブネットの前記移動通信装置対応ルータ装置は、前記移動通信装置からのメッセージを受信することにより、前記移動通信装置とハンドオーバするためのネットワーク資源を確保する
ことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明の移動通信システムは、請求項1に記載の発明において、前記予測手段は、各前記サブネットのアドレス及び緯度・経度情報を格納したデータベースを有する
ことを特徴とする。
請求項3に記載の本発明の移動通信システムは、請求項2に記載の発明において、前記データベースは、更に各前記サブネットの通信方式と各通信方式が必要とする電波品質とを格納し、該データベースを参照することによりハンドオーバの開始のタイミング及び通信方式の切替えを制御する制御手段(通信方式/電波強度管理部)を備える
ことを特徴とする。
請求項4に記載の本発明の移動通信システムは、請求項3に記載の発明において、前記制御手段は、少なくとも受信電波の強度が現在の通信方式が必要とする値を下回ったときにハンドオーバを開始することを特徴とする。
請求項5に記載の本発明の移動通信システムは、請求項3に記載の発明において、前記制御手段は、ノイズのレベルまたは通信の瞬断の回数が所定値を超えたときにハンドオーバを開始することを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成すべく、請求項6に記載の本発明の移動通信装置は、移動通信装置対応ルータ装置を備えるサブネットを複数含んで構成されるネットワークを利用して通信を行う移動通信装置及び前記各移動通信装置対応ルータ装置から構成される移動通信システムにおける移動通信装置であって、
現在位置から目的地への移動に先立ち、目的地情報(前記目的地のアドレス及びサブネット情報を含む)と、現在位置情報(前記現在位置のアドレス及び接続中のサブネットを特定する情報)が入力される入力手段と、
入力された前記目的地情報と前記現在位置情報とから、予め登録されている前記サブネットの中から、前記現在位置から前記目的地に至る経路上にあり、ハンドオーバする可能性のある1つまたは複数の前記サブネットのアドレスを予測する予測手段(経路情報データベース)と、
予測された前記サブネットのアドレスに基づき、これらのアドレスの前記サブネットの移動通信装置対応ルータに、前記移動通信装置とハンドオーバするためのアドレス及び帯域を含むネットワーク資源を予め予約するためのメッセージを送る出力手段(資源確保実行部)と
を備え、
前記予測されたアドレスのサブネットの前記移動通信装置対応ルータ装置に、前記移動通信装置からのメッセージにより、前記移動通信装置とハンドオーバするためのネットワーク資源を確保させる
ことを特徴とする。
【0008】
請求項7に記載の本発明の移動通信装置は、請求項6に記載の発明において、前記予測手段は、各前記サブネットのアドレス及び緯度・経度情報を格納したデータベースを有することを特徴とする。
請求項8に記載の本発明の移動通信装置は、請求項7に記載の発明において、前記データベースは、更に各前記サブネットの通信方式と各通信方式が必要とする電波品質とを格納し、該データベースを参照することによりハンドオーバの開始のタイミング及び通信方式の切替えを制御する制御手段(通信方式/電波強度管理部)を備えることを特徴とする。
請求項9に記載の本発明の移動通信装置は、請求項8に記載の発明において、前記制御手段は、少なくとも受信電波の強度が現在の通信方式が必要とする値を下回ったときにハンドオーバを開始することを特徴とする。
請求項10に記載の本発明の移動通信装置は、請求項8に記載の発明において、前記制御手段は、ノイズのレベルまたは通信の瞬断の回数が所定値を超えたときにハンドオーバを開始することを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成すべく、請求項11に記載の本発明の移動通信システムは、移動通信装置がネットワークを介して通信を行うことを可能にするために前記ネットワークと接続されるサブネットを有する複数の移動通信装置対応ルータ装置と、該各移動通信装置対応ルータ装置の前記サブネットを利用して通信を行う移動通信装置とから構成される移動通信システムにおいて、
前記移動通信装置は、
現在位置から目的地への移動に先立ち、目的地情報(前記目的地のアドレス及びサブネット情報を含む)と、現在位置情報(前記現在位置のアドレス及び接続中のサブネットを特定する情報)が入力され、ネットワークとの間でメッセージを送受信するネットワーク入出力手段と、
前記移動通信装置対応ルータ装置から経路情報を受け取ると、少なくとも前記現在位置情報及び受信電波の強度に基づいてハンドオーバを開始するタイミングを見計らい、ハンドオーバを開始すべきタイミングと判断した時点で経路情報を資源確保実行部に送って、ハンドオーバの実行を管理するハンドオーバ管理部と、
前記各移動通信装置対応ルータに、前記移動通信装置とハンドオーバするためのアドレス及び帯域を含むネットワーク資源を予め予約するために前記目的地情報と前記現在位置情報を送り、経路情報を受け取ると、アドレス及び帯域を含む資源確保を要求するメッセージを経路情報のリストに含まれる各ルータに送る出力手段(資源確保実行部)と
を備え、
前記移動通信装置対応ルータ装置は、
移動通信装置から、移動通信装置の前記目的地情報と前記現在位置情報が入力され、予測された複数のルータのアドレスを含む経路を、経路情報として出力する移動通信装置側入出力端子と、
受け取った前記目的地情報と及び前記現在位置情報から移動経路を予測し、前記目的地の方向に地理的に隣接する複数の他のルータのアドレスを含むルータのリストを、経路予測情報として移動通信装置に送る経路予測部と、
受け取った前記目的地情報に対応付けて、登録されている地理的に隣接するルータを経路予測部に通知する隣接ルータリスト保持部と
を備えことを特徴とする移動通信システム。
【0010】
請求項12に記載の本発明の移動通信システムは、請求項11に記載の発明において、前記目的地情報は、少なくとも前記目的地の緯度・経度を示す場所情報であり、
入力された場所情報及び前記現在位置情報を、前記目的地のネットワークアドレスを示す目的地ネットワークアドレス情報及び前記現在地のネットワークアドレスを示す現在位置ネットワークアドレス情報にそれぞれ変換する目的地変換部を備え、
前記経路予測部は、受け取った目的地ネットワークアドレス情報及び現在位置ネットワークアドレス情報から移動経路を予測し、
前記隣接ルータリスト保持部は、登録されている地理的に隣接するルータを目的地ネットワークアドレス情報に対応付けることを特徴とする。
請求項13に記載の本発明の移動通信システムは、請求項11又は12に記載の発明において、前記ネットワークとの間でメッセージを送受信するネットワーク側入出力端子を備え、
前記経路予測部は、前記目的地の方向に地理的に隣接する他のルータが隣接するルータのリストを有する場合には、該隣接ルータに対し、該隣接ルータの前記目的地方向に更に隣接するルータについての情報を送るよう要求することを特徴とする。
請求項14に記載の本発明の移動通信システムは、請求項11又は12に記載の発明において、前記ネットワークとの間でメッセージを送受信するネットワーク側入出力端子を備え、
前記経路予測部は、前記目的地の方向に地理的に隣接する他のルータが経路を予測する機能を有する場合には、該隣接ルータに対し、該隣接ルータの前記目的地方向に更に隣接するルータについての情報を送るよう要求することを特徴とする。
【0011】
請求項15に記載の本発明の移動通信システムは、請求項11又は12に記載の発明において、前記経路予測部は、前記目的地の方向に地理的に隣接する他のルータが隣接するルータのリストを有するか、あるいは、経路を予測する機能を有する場合には、該隣接ルータに対し、該隣接ルータの前記目的地方向に更に隣接するルータについての情報を送るよう要求する処理を繰り返すことを特徴とする。
請求項16に記載の本発明の移動通信システムは、請求項11〜15の何れか1項に記載の発明において、前記移動通信装置対応ルータ装置は、自らの前記サブネットに地理的に隣接する前記サブネットのルータ装置のアドレスのリストを格納したデータベースを有し、複数のルータのアドレスを含むルータのリストを出力する隣接ルータリスト保持部を備え、
前記経路予測部は、前記目的地ネットワークアドレス情報及び現在位置ネットワークアドレス情報により、前記隣接ルータリスト保持部から前記目的地の方向に地理的に隣接する複数の他のルータのアドレスを含むルータのリストを受け取ることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の第1の実施形態に係る移動通信装置の構成を示す。同図に示すように、この移動通信装置は入力端子101、目的地のアドレスを保存する目的地管理部102、現在位置に関する情報を保存する現在位置管理部103、ハンドオーバの実行を管理するハンドオーバ管理部104、サブネットの緯度経度情報・アドレス等が登録されている経路情報データベース部105、ハンドオーバ先のサブネットの資源確保を行う資源確保実行部106、出力端子107を含む。以下にこの装置の動作を説明する。
【0013】
ユーザが目的地への移動に先立ち、入力端子101から目的地情報(目的地のアドレスやサブネット情報等)を入力すると、該情報は目的地管理部102に送られる(処理108S)。入力端子101にはまた、現在位置情報(現在位置のアドレスや接続中のサブネットを特定する情報)が随時ユーザや不図示のGPS受信装置等から入力され、該情報は現在位置管理部103に送られる(処理109S)。
目的地管理部102はハンドオーバ管理部104に目的地情報を送り(処理110)、現在位置管理部103はハンドオーバ管理部104に現在位置情報を送る(処理111S)。
【0014】
ハンドオーバ管理部104は現在位置情報と目的地情報とを経路情報データベース105に送る(処理112S)。
【0015】
経路情報データベース105は、現在位置情報と目的地情報とに基づき、予め登録されているサブネットの中から、現在位置から目的地に至る経路上にあり、ハンドオーバする可能性のある1つまたは複数のサブネットのアドレスをハンドオーバ管理部104に送る(処理113S)。
【0016】
ハンドオーバ管理部104は、経路情報データベース105から送られたハンドオーバする可能性のある1つまたは複数のサブネットのアドレスを、資源確保実行部106に送る(処理114S)。
【0017】
資源確保実行部106は、ハンドオーバ管理部104から送られたサブネットのアドレスに基づき、アドレスや帯域等のネットワーク資源を予め確保するため、ネットワークに接続された出力端子107を介し、これらのアドレスのサブネットの移動通信装置対応ルータにメッセージを送る(処理115S)。
【0018】
以上の処理により、図2に示すように、ユーザが現在位置から目的地まで移動する際、その経路上にありハンドオーバが予測されるサブネットの資源が予約されるので、現在位置から目的地に移動する間、ハンドオーバの際の通信品質の劣化や通信の切断は起こらず、高品質の通信を維持することができる。
【0019】
図3に本発明の第2の実施形態に係る移動通信装置の構成を示す。同図に示すように、この装置は入力端子201、目的地のアドレスを保存する目的地管理部202、現在位置に関する情報を保存する現在位置管理部203、ハンドオーバの実行を管理するハンドオーバ管理部204、サブネットの緯度経度情報・アドレス等が登録されている経路情報データベース部205、通信方式の切替え及びハンドオーバの開始を管理する通信方式/電波強度管理部206、ハンドオーバ先のサブネットの資源確保を行う資源確保実行部207、出力端子208を含む。
【0020】
第2の実施形態は、通信方式/電波強度管理部が追加され、経路情報データベース部205が更に各サブネットの通信方式及び無線LAN、Buletooth等の各種通信方式が必要とする電波強度を格納している点で第1の実施形態と異なる。以下に第2の実施形態の装置の動作を説明する。
【0021】
ユーザが目的地への移動に先立ち、入力端子201から目的地情報(目的地のアドレスやサブネットを特定する情報等)を入力すると、該情報は目的地管理部202に送られる(処理209S)。入力端子201にはまた、現在位置情報(現在位置のアドレスや接続中のサブネット情報、電波強度、通信方式)が随時ユーザや不図示のGPS受信装置等から入力され、該情報は現在位置管理部203に送られる(処理210S)。
【0022】
目的地管理部202はハンドオーバ管理部204に目的地情報を送り(処理211)、現在位置管理部203はハンドオーバ管理部204に現在位置情報を送る(処理212S)。
ハンドオーバ管理部204は現在位置情報と目的地情報とを経路情報データベース205に送る(処理213S)。
【0023】
経路情報データベース205は、現在位置情報と目的地情報とに基づき、予め登録されているサブネットの中から、現在位置から目的地に至る経路上にあり、ハンドオーバする可能性がある1つまたは複数のサブネットのアドレスをハンドオーバ管理部204に送る(処理214S)。
【0024】
ハンドオーバ管理部204は随時、受信電波の強度、現在の通信方式、経路情報データベース205から通知されたハンドオーバの可能性があるサブネットの通信方式を随時、通信方式/電波強度管理部206に送る(処理215S)。
【0025】
通信方式/電波強度管理部206は、受信電波の強度が現在の通信方式の所要電波強度以下になると、ハンドオーバ管理部204に対し、ハンドオーバの開始の準備を行うよう指示し、また必要に応じて通信方式の切替えの準備を行うよう指示する(処理216S)。
【0026】
ハンドオーバ管理部204は、この指示を受け取ると、処理214Sで受け取ったハンドオーバの可能性がある1つまたは複数のサブネットのアドレスを資源確保実行部207に伝える。資源確保実行部207はこれに応答し、アドレスや帯域等の資源確保を要求するメッセージを出力端子207から送出し、ネットワークを介してこれらのサブネットの移動通信装置対応ルータに送る。
【0027】
以上説明したように第2の実施形態の移動通信装置は、受信中の電波の強度が現在使用中の通信方式の所要電波強度を下回った時にはハンドオーバを行い、また、そのとき必要に応じて通信方式も変更するので、移動手段の電波の遮蔽特性に依らず、ユーザは電波強度の低下に伴う通信品質の低下を被ることなく現在地から目的地まで高品質の通信を維持することができる。
【0028】
次に、本発明の第3の実施形態に係る移動通信装置対応ルータ及び移動通信装置について説明する。図4に第3の実施形態に係る移動通信装置対応ルータの構成を示し、図5に第3の実施形態に係る移動通信装置の構成を示す。
【0029】
第3の実施形態に係る移動通信装置対応ルータは、移動通信装置との間でメッセージを送受信する移動通信装置側入出力端子301、目的地の地理的位置を対応のアドレスに変換する機能を有する目的地変換部302、目的地情報と現在位置情報とに基づき移動経路を予測する経路予測部303、自らのサブネットに地理的に隣接するサブネットのルータのリストを保持する隣接ルータリスト保持部304、ネットワークとの間でメッセージを送受信するネットワーク側入出力端子305を備える。
【0030】
第3の実施形態に係る移動通信装置は、ネットワークとの間でメッセージを送受信するネットワーク入出力端子401、ハンドオーバの実行を管理するハンドオーバ管理部402、ハンドオーバ先のサブネットの資源確保を行う資源確保実行部403を備える。以下に、第3の実施形態の動作を説明する。
【0031】
移動通信装置対応ルータにおいて、移動通信装置側入出力端子301から、移動通信装置の目的地の緯度・経度等を示す場所情報と移動通信装置の現在位置のアドレスや接続中のサブネット情報等の現在位置情報が入力されると、これらの情報は目的地変換部302に送られる(処理306S)。
【0032】
目的地変換部302は、場所情報及び現在位置情報を、目的地のネットワークアドレスを示す目的地ネットワークアドレス情報及び現在のネットワークアドレスを示す現在位置ネットワークアドレス情報にそれぞれ変換し、経路予測部303に送る(処理307S)。
【0033】
経路予測部303は、目的地ネットワークアドレス情報と現在位置ネットワークアドレス情報を受け取ると、目的地の方向に地理的に隣接する他のルータのアドレス等の情報を得るためにこの目的地ネットワークアドレス情報を隣接ルータリスト保持部304に送る(処理308S)。
【0034】
隣接ルータリスト保持部304は、受け取った目的地ネットワークアドレス情報に対応付けて登録されている、地理的に隣接するルータを経路予測部303に通知する(処理309S)。
【0035】
経路予測部303は、通知されたルータを移動経路上のルータと判断する。もし、このルータが上に説明した隣接ルータリスト保持機能や経路予測機能を有する移動通信装置対応ルータである場合には、この隣接ルータに更に隣接するルータを知るために、ネットワーク側入出力端子305から該隣接ルータにメッセージを送り、該隣接ルータに対し目的地方向に隣接するルータについての情報を送るよう要求する(処理310S)。
【0036】
上記の処理により得られたルータのリストは、ネットワーク側入出力端子305を介し経路予測部303に入力される(処理311S)。経路予測部303は必要に応じて処理310及び処理311を繰り返し、複数のルータのアドレスを含む経路を予測し、経路情報として移動通信装置側入出力端子301を介して移動通信装置に送る(処理312S)。
【0037】
この経路情報は、移動通信装置のネットワーク入出力端子401を介してハンドオーバ管理部402に入力される(処理404S)。ハンドオーバ管理部402は、経路情報を受け取ると、現在位置情報や受信電波の強度等に基づいてハンドオーバを開始するタイミングを見計らい、ハンドオーバを開始すべきタイミングと判断した時点で経路情報を資源確保実行部403に送る(処理405)。
【0038】
資源確保実行部403は、経路情報を受け取ると、アドレスや帯域等の資源確保を要求するメッセージをネットワーク入出力端子401を介し、経路情報のリストに含まれる各ルータに送る(処理406S)。
【0039】
以上説明したように、本発明の第3の実施形態においては、移動通信装置対応ルータが移動通信装置からその現在位置情報と目的地の場所情報とを受け取ると、隣接ルータリストを参照して移動経路を予測し、目的地方向に存在するルータのリストを作成し、該リストを移動通信装置に送る。移動通信装置は、必要に応じて該リストに含まれるルータにメッセージを送り、ハンドオーバのための資源を予約することができる。
【0040】
第3の実施形態は、経路の予測は処理能力とネットワークスピードの乏しい移動通信装置ではなく、移動通信装置対応ルータで行うことにより処理が迅速に行われるという利点を有する。また、実際に予約を行うか否かは最終的に移動通信装置が判断するので、資源が無駄に確保されることを防止できるという利点もある。
【0041】
第1の実施形態では、経路情報データベースを移動通信装置に設けたが、経路情報データベースをネットワーク側に設け、移動通信装置からの問い合わせに回答するようにしてもよい。
【0042】
第3の実施形態では、目的地変換部、経路予測部、隣接ルータリスト保持部を移動通信装置対応ルータに持たせたが、移動通信装置側の負荷が増加しても支障がない場合にはこれらを移動通信装置に持たせてもよい。
【0043】
また、第1及び第2の実施形態の移動通信装置は、目的地管理部、即ち、音声入力や手入力によるナビゲータへのユーザの設定を緯度経度のような座標情報に変換して目的地の場所情報として管理する部分と、現在位置管理部、即ち、GPS受信装置のような高精度の入力により移動通信装置が位置する緯度・経度等を現在位置情報として管理する(GPSより精度の劣る位置情報システムの入力を用い、緯度・経度等の情報を修正しながら管理するようにしてもよい)部分とを有するが、これらは、外部からハンドオーバ管理部に正確な情報が入力されるのであれば不要である。
【0044】
また、第1及び第2の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせ、移動通信装置の持つ経路情報データベースを、移動通信装置対応ルータの経路予測に従って適宜更新するようにしてもよい。それにより、移動通信装置の持つ経路情報データベースを常に最新の内容に維持することができる。
【0045】
尚、第2の実施形態の移動通信装置は通信方式/電波強度管理部を備えているが、電波強度ではなく電波品質(ノイズや通信の瞬断の回数)を管理し、電波品質に基づいてハンドオーバを行うようにしてもよい。それにより、受信電波の強度は大であるが受信電波の品質が悪い状態でも、通信品質を良好に維持することができる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、IPネットワークを利用した移動通信において、移動通信装置で設定された目的地の情報と現在位置の情報とから、現在地から目的地に至る移動経路を予測し、予測された移動経路上にある複数のサブネットの前記移動通信装置対応ルータ装置に、メッセージを送ることで前記移動通信装置とハンドオーバするためのアドレス及び帯域を含むネットワーク資源を予め予約するので、ハンドオーバの際のネットワーク資源の取得を確実にし、それにより通話品質の劣化や通信の切断を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る移動通信装置の構成を示す図である。
【図2】 ユーザが現在位置から目的地まで移動する際、その経路上にありハンドオーバが予測されるサブネットの資源が予約される状況を説明する図である。
【図3】 本発明の第2の実施形態に係る移動通信装置の構成を示す図である。
【図4】 本発明の第3の実施形態に係る移動通信装置対応ルータの構成を示す図である。
【図5】 本発明の第3の実施形態に係る移動通信装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
101,201 入力端子、 102,202 目的地管理部、 103,203 現在位置管理部、 104,204,402 ハンドオーバ管理部、 105,205 経路情報データベース部、 106,207,403 資源確保実行部、 107,208 出力端子、 206 通信方式/電波強度管理部、301 移動通信装置側入出力端子、 302 目的地変換部、 303 経路予測部、 304 隣接ルータリスト保持部、 305 ネットワーク側入出力端子、 401 ネットワーク入出力端子。

Claims (16)

  1. 移動通信装置がネットワークを介して通信を行うことを可能にするために前記ネットワークと接続されるサブネットを有する複数の移動通信装置対応ルータ装置と、該各移動通信装置対応ルータ装置の前記サブネットを利用して通信を行う移動通信装置とから構成される移動通信システムにおいて、
    前記移動通信装置は、
    現在位置から目的地への移動に先立ち、目的地情報と、現在位置情報が入力される入力手段と、
    入力された前記目的地情報と前記現在位置情報とから、予め登録されている前記サブネットの中から、前記現在位置から前記目的地に至る経路上にあり、ハンドオーバする可能性のある複数の前記サブネットのアドレスを予測する予測手段と、
    予測された前記サブネットのアドレスに基づき、これらのアドレスの前記サブネットの移動通信装置対応ルータに、前記移動通信装置とハンドオーバするためのアドレス及び帯域を含むネットワーク資源を予め予約するためのメッセージを送る出力手段と
    を備え、
    前記予測されたアドレスのサブネットの前記移動通信装置対応ルータ装置は、前記移動通信装置からのメッセージを受信することにより、前記移動通信装置とハンドオーバするためのネットワーク資源を確保する
    ことを特徴とする移動通信システム。
  2. 前記予測手段は、各前記サブネットのアドレス及び緯度・経度情報を格納したデータベースを有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
  3. 前記データベースは、更に各前記サブネットの通信方式と各通信方式が必要とする電波品質とを格納し、該データベースを参照することによりハンドオーバの開始のタイミング及び通信方式の切替えを制御する制御手段を備える
    ことを特徴とする請求項2に記載の移動通信システム。
  4. 前記制御手段は、少なくとも受信電波の強度が現在の通信方式が必要とする値を下回ったときにハンドオーバを開始する
    ことを特徴とする請求項3に記載の移動通信システム。
  5. 前記制御手段は、ノイズのレベルまたは通信の瞬断の回数が所定値を超えたときにハンドオーバを開始する
    ことを特徴とする請求項3に記載の移動通信システム。
  6. 移動通信装置対応ルータ装置を備えるサブネットを複数含んで構成されるネットワークを利用して通信を行う移動通信装置及び前記各移動通信装置対応ルータ装置から構成される移動通信システムにおける移動通信装置であって、
    現在位置から目的地への移動に先立ち、目的地情報と、現在位置情報が入力される入力手段と、
    入力された前記目的地情報と前記現在位置情報とから、予め登録されている前記サブネットの中から、前記現在位置から前記目的地に至る経路上にあり、ハンドオーバする可能性のある複数の前記サブネットのアドレスを予測する予測手段と、
    予測された前記サブネットのアドレスに基づき、これらのアドレスの前記サブネットの移動通信装置対応ルータに、前記移動通信装置とハンドオーバするためのアドレス及び帯域を含むネットワーク資源を予め予約するためのメッセージを送る出力手段と
    を備え、
    前記予測されたアドレスのサブネットの前記移動通信装置対応ルータ装置に、前記移動通信装置からのメッセージにより、前記移動通信装置とハンドオーバするためのネットワーク資源を確保させる
    ことを特徴とする移動通信装置。
  7. 前記予測手段は、各前記サブネットのアドレス及び緯度・経度情報を格納したデータベースを有することを特徴とする請求項6に記載の移動通信装置。
  8. 前記データベースは、更に各前記サブネットの通信方式と各通信方式が必要とする電波品質とを格納し、該データベースを参照することによりハンドオーバの開始のタイミング及び通信方式の切替えを制御する制御手段を備える
    ことを特徴とする請求項7に記載の移動通信装置。
  9. 前記制御手段は、少なくとも受信電波の強度が現在の通信方式が必要とする値を下回ったときにハンドオーバを開始する
    ことを特徴とする請求項8に記載の移動通信装置。
  10. 前記制御手段は、ノイズのレベルまたは通信の瞬断の回数が所定値を超えたときにハンドオーバを開始する
    ことを特徴とする請求項8に記載の移動通信装置。
  11. 移動通信装置がネットワークを介して通信を行うことを可能にするために前記ネットワークと接続されるサブネットを有する複数の移動通信装置対応ルータ装置と、該各移動通信装置対応ルータ装置の前記サブネットを利用して通信を行う移動通信装置とから構成される移動通信システムにおいて、
    前記移動通信装置は、
    現在位置から目的地への移動に先立ち、目的地情報と、現在位置情報が入力され、ネットワークとの間でメッセージを送受信するネットワーク入出力手段と、
    前記移動通信装置対応ルータ装置から経路情報を受け取ると、少なくとも前記現在位置情報及び受信電波の強度に基づいてハンドオーバを開始するタイミングを見計らい、ハンドオーバを開始すべきタイミングと判断した時点で経路情報を資源確保実行部に送って、ハンドオーバの実行を管理するハンドオーバ管理部と、
    前記各移動通信装置対応ルータに、前記移動通信装置とハンドオーバするためのアドレス及び帯域を含むネットワーク資源を予め予約するために前記目的地情報と前記現在位置情報を送り、経路情報を受け取ると、アドレス及び帯域を含む資源確保を要求するメッセージを経路情報のリストに含まれる各ルータに送る出力手段と
    を備え、
    前記移動通信装置対応ルータ装置は、
    移動通信装置から、移動通信装置の前記目的地情報と前記現在位置情報が入力され、予測された複数のルータのアドレスを含む経路を、経路情報として出力する移動通信装置側入出力端子と、
    受け取った前記目的地情報と及び前記現在位置情報から移動経路を予測し、前記目的地の方向に地理的に隣接する複数の他のルータのアドレスを含むルータのリストを、経路予測情報として移動通信装置に送る経路予測部と、
    受け取った前記目的地情報に対応付けて、登録されている地理的に隣接するルータを経路予測部に通知する隣接ルータリスト保持部と
    を備えことを特徴とする移動通信システム。
  12. 前記目的地情報は、少なくとも前記目的地の緯度・経度を示す場所情報であり、
    入力された場所情報及び前記現在位置情報を、前記目的地のネットワークアドレスを示す目的地ネットワークアドレス情報及び前記現在地のネットワークアドレスを示す現在位置ネットワークアドレス情報にそれぞれ変換する目的地変換部を備え、
    前記経路予測部は、受け取った目的地ネットワークアドレス情報及び現在位置ネットワークアドレス情報から移動経路を予測し、
    前記隣接ルータリスト保持部は、登録されている地理的に隣接するルータを目的地ネットワークアドレス情報に対応付ける
    ことを特徴とする請求項11に記載の移動通信システム。
  13. 前記ネットワークとの間でメッセージを送受信するネットワーク側入出力端子を備え、
    前記経路予測部は、前記目的地の方向に地理的に隣接する他のルータが隣接するルータのリストを有する場合には、該隣接ルータに対し、該隣接ルータの前記目的地方向に更に隣接するルータについての情報を送るよう要求する
    ことを特徴とする請求項11又は12に記載の移動通信システム。
  14. 前記ネットワークとの間でメッセージを送受信するネットワーク側入出力端子を備え、
    前記経路予測部は、前記目的地の方向に地理的に隣接する他のルータが経路を予測する機能を有する場合には、該隣接ルータに対し、該隣接ルータの前記目的地方向に更に隣接するルータについての情報を送るよう要求する
    ことを特徴とする請求項11又は12に記載の移動通信システム。
  15. 前記経路予測部は、前記目的地の方向に地理的に隣接する他のルータが隣接するルータのリストを有するか、あるいは、経路を予測する機能を有する場合には、該隣接ルータに対し、該隣接ルータの前記目的地方向に更に隣接するルータについての情報を送るよう要求する処理を繰り返す
    ことを特徴とする請求項11又は12に記載の移動通信システム。
  16. 前記移動通信装置対応ルータ装置は、自らの前記サブネットに地理的に隣接する前記サブネットのルータ装置のアドレスのリストを格納したデータベースを有し、複数のルータのアドレスを含むルータのリストを出力する隣接ルータリスト保持部を備え、
    前記経路予測部は、前記目的地ネットワークアドレス情報及び現在位置ネットワークアドレス情報により、前記隣接ルータリスト保持部から前記目的地の方向に地理的に隣接する複数の他のルータのアドレスを含むルータのリストを受け取る
    ことを特徴とする請求項11〜15の何れか1項に記載の移動通信システム。
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