JP3713131B2 - Multilayer structure knitting - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は仮撚加工糸からなる多層構造の編物に関し、さらに詳しくは、水に濡れた場合にも表層部表面の濡れ際が見えにくいか見えない多層構造編物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル仮撚加工糸からなる編地は、嵩高性、速乾性、取扱いが容易である、等の理由により古くから種々の用途に使用されてきた。しかし、近年では消費者の要求が多様化し、従来のポリエステル加工糸による編物では、消費者の要求に応えられなくなってきた。例えば、編地が水に濡れた場合にその濡れ際が見えるため、美観が阻害される。従って濡れ際が見えない編物への要求もその1つである。
【0003】
特に、水着等は、着用者が水中から出たときに水着の下部に水が溜り、濡れた部分が斑になって美観を著しく損ねる問題があった。この問題を解決するために仮撚加工糸からなる編物の表面を撥水加工することが試みられたが、依然として水着の内部に溜った水が排水されることなく、水着と肌の間に水が溜り、しかも下部に溜った水を抜くのに時間がかかる問題があった。
【0004】
一方、水着と肌の間に溜まった水を除去する方法として、特開平8ー311751号公報には、水着の表面に部分的に撥水加工を施すことが提案されている。しかしながら、同公報では、競泳用の水着について開示され、濡れ際が見えないような編物の概念は一切認識されていない。このように現状ではポリエステル仮撚加工糸を用いた編地において、濡れ際が見えないようにしたものは未だ提案されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来の問題を解決し、水に濡れても表層部表面がほとんど濡れていないか、若しくは、その濡れ際が見えないような編地を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、仮撚加工糸からなる多層構造編物において、
表層部は、構成フィラメントの外表面に、その繊維軸方向に延在する凹部が存在する中空断面の仮撚加工糸で構成され、且つ表層部の表面には部分的に撥水加工が施され、
裏層部は、構成フィラメントの外表面に、その繊維軸方向に延在する凹部が存在しない仮撚加工糸で構成されている
ことを特徴とする多層構造編物。
が提供される。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、仮撚加工糸からなり、少なくとも表層部と裏層部とを有する多層構造編物を対象とし、それぞれの層を編成する糸を相違させるか、若しくは、組織を相違させて編成して層構造を形成するが、該表層部と裏層部の中間にさらに中間層が介在するものであってもよい。
【0008】
この多層構造編物の表層部には中空部を有するポリエステルマルチフィラメント糸(以下、ポリエステル中空仮撚加工糸の原糸ということもある)を仮撚加工した加工糸(以下、ポリエステル中空仮撚加工糸という)によって編成される。該ポリエステル中空仮撚加工糸の原糸の断面としては、図1に示すように構成フィラメントが円形断面であって、その中に円形の中空部を有するもの(a)、外郭が四辺形の断面であってその中に略四辺形の中空部を有するもの(b)が好ましいが、その他の形状として三角、多角形、偏平等の形状のものも採用できる。この場合、該中空部の形状は外郭の形状と同じであっても異なった形状であっても構わない。
【0009】
この原糸の単糸(構成フィラメント)断面の中空率は、少なくとも20%が必要であり、特に20〜40%の範囲にあることが好ましい。中空率が20%未満の場合には、仮撚加工後のポリエステル中空仮撚加工糸の単糸が中空部を残した異型断面構造とならず、後述する本発明の効果を得ることができない。一方、中空率が40%を超える場合には、仮撚加工での割繊等のトラブルが発生するおそれがあり好ましくない。
【0010】
上述の中空繊維は、複数のスリット状吐出孔のアセンブリーからなる紡糸用ノズルを使用して溶融紡糸することにより得られる。すなわち、該スリットは中空部を形成する部分を取り囲むように配置され、各スリットの間には隙間(キャナルと称せられる)を設けるが、該隙間により各スリットの吐出孔から吐出されるポリマーがバラス効果により接合されて中空繊維が形成される。
【0011】
なお、本発明でいうポリエステルマルチフィラメント糸とは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、少なくとも1種のグリコール、好ましくはエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどから選ばれた少なくとも1種のアルキレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルを常法により溶融紡糸して得られる糸条である。該ポリエステルは、スルホン酸金属塩を含有するイソフタル酸成分、例えば5ーナトリウムスルホイソフタル酸あるいは5ーテトラブチルホスホニウウムスルホイソフタル酸などを公知の方法で共重合したものであってもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で安定剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、蛍光増色剤、触媒、着色剤、無機微粒子などを添加してもよい。
【0012】
次に、上述の原糸は仮撚加工に供されるが、その際ヒーター温度は、120〜170℃と、比較的低温の範囲を採用することが好ましい。仮撚温度が120℃未満では、ポリエステル中空糸の断面変形が少なく、すなわちフィラメン表面に後述するような凹部(溝)が形成されず、本発明の効果を得ることができない。逆に、仮撚加工の温度が、170℃を超えると中空部が潰れ易くなり、中空部の存在による効果を得ることができない。現実の仮撚温度は、原糸の中空率、単糸デニール、フィラメント数を勘案して前記の温度範囲内で適宜設定すればよい。
【0013】
例えば、ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステルマルチフィラメントであって、図1(b)に示す断面を有する中空糸(ポリエステル中空仮撚加工糸の原糸)を表1に示す条件で仮撚加工すると、仮撚温度が110℃では仮撚加工糸としての十分な捲縮を付与することが出来ないし、また、仮撚温度が180℃では、中空断面の中空部分が潰れて断面がまがたま状になるものが多くなる。
【0014】
【表1】
【0015】
このようにして得られポリエステル中空仮撚加工糸の単糸の断面は、中空部が残存し、且つ、異型に変形したものである。例えば、図1(b)に示した断面形状を有する原糸を用いて温度150℃で仮撚加工してえら得れたポリエステル中空仮撚加工糸の単糸の断面は、図2のように断面形状は著しく変形するが、依然として中空部は残存している。
【0016】
さらに、この単糸の側面は、図3に示すように仮撚加工の際に単糸が種々に変形して生じた凹部(溝)Aが形成され、且つ、この凹部Aは繊維軸方向に延在し、しかも単糸には仮撚加工に伴う“ねじれ”がランダムに付与されているので、前記の凹部Aもランダムにねじれた構造となっている。
【0017】
なお、ポリエステル中空仮撚加工糸の原糸の単糸デニールは1〜5デニールの範囲にあるものが好ましい。単糸デニールが1デニール未満の場合には、20%以上の高い中空率の糸を得るのが困難であり、また、単糸デニールが5デニールを超える場合には、編物の表面タッチが粗硬となり好ましくない。
【0018】
このようなポリエステル中空仮撚加工糸を用いて編成される表層部の組織は、均一な凹凸が表面に分布する組織のもの(例えば、鹿の子組織)や、プレーンな組織のもの(例えば、天竺の表組織)が好ましく例示されるが、これに限定されるものではない。但し、裏層部を形成する糸が表層部表面に多く現れるタック編を多く使用した組織は、裏層部にある水が見えるので本発明の目的を達成することができず好ましくない。逆に、表側部を形成する糸が裏側表面に現れるタック編みを用いることは構わない。
【0019】
次に、裏層部に使用するポリエステル仮撚加工糸は、表層部に用いる加工糸とは対照的に、外表面に凹部を有しない限り任意のものが使用でき、特に単糸デニールが1〜5デニールの範囲にあるものが好ましい。単糸デニールが1デニール未満では、裏層部の抱水力が大きくなり、その表面タッチとしてベトツキ感が強くなり、また、乾燥速度も遅くなり好ましくない。一方、単糸デニールが5デニールを超える場合には、編物の表面タッチが粗硬となり好ましくない。
【0020】
このような多層構造の編物にあって、表層部の表面は部分的に撥水加工されていることが必要である。撥水加工が表層部表面の全体に亘るときは、表層部表面の外部からきた水をはじくことは勿論であるが、裏層面から表層部に向かう水もはじくので、編地と肌との間に水が溜まり、しかもこの内部に溜まった水を外部に逃がすことができなくなる。表層部表面に部分的に撥水加工するには、グラビアローラ等を用いて撥水剤を印捺して付与すればよく、その際撥水剤は縞状、水玉模様状、若しくは、格子模様状等の任意のパターンに塗布すればよい。
【0021】
また、撥水剤としては、特に限定されないが、シリコーン系撥水剤、フッ素系撥水剤が好ましい。就中でもシリコーンゴムを溶剤(トルエン)に混合比(シリコーンゴム:溶剤)=40:60〜50:50の範囲で溶解したものが特に好ましい。
【0022】
【発明の作用】
以上の構成からなる本発明の多層構造編物は、水に濡れた場合に表層部にある水は、主として裏層部に移行するので表層部は乾いた状態、若しくは、濡れ際が見えにくくなる。すなわち、表層部を構成するポリエステル中空仮撚加工糸の単糸形状が、図3に例示するような溝Aを有し、且つ該単糸はランダムにねじれた形状をしているために、ポリエステル中空仮撚加工糸の繊維間空隙が裏層部を構成する糸のそれよりはより大きいので相対的に表層部の水は裏層部に移行する。このとき、前記の溝Aは、導水溝の役割を果たし表層部の水は拡散してより乾いた状態になる。
【0023】
これに加えて該表層部には仮撚加工糸には中空部が残存しており、該単糸の断面が種々に変形して且つねじれ状態を形成していることと相俟って、光が乱反射して裏層部の濡れが見えないように作用する。しかも、表層部表面には、撥水加工が部分的に施されているために、表層部表面の水ははじかれるので濡れ際の見えない作用が強調された多層構造編物となる。すなわち、表層部は水の拡散・保水層として機能し、他方裏層部は、表層部に比べて繊維間空隙が小さく、且つ加工糸単糸が1〜5deのものを用いているため、毛管現象による吸水効果を奏するので、ベトツキを感じさせない吸水層として機能する。
【0024】
【発明の効果】
本発明の多層構造編物は、前述のように表層部がより乾いた状態に保たれ、濡れ際の見えないものとすることができるので、水着の素材に好適に使用される。すなわち、最近の水着は、水着としての機能性が要求されるのは勿論であるが、よりファッション性が要求されている。この点、本発明の多層構造編物は、ファッション性の高い濡れ際の見えない水着用の素材として好適である。
【0025】
さらに、従来のように撥水加工した素材からなる水着が有していた水抜け不良の欠点も裏層部からの水を容易に通過させて排水できるので、水着と肌の間に介在する水の除去にも全く問題はなく、快適な水着を可能にする素材である。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例に使用する測定値は次の方法により得られるものである。
(1)中空率
中空繊維断面において、中空部の周囲に存在する中実部分の断面積をS1とし、該中空部分の断面積をS2としたときに、{S2 /(S1 +S2 )}×100で表わされる値であり、中空繊維の断面を500倍で撮影した写真から、20本の繊維の平均値として求められる。
【0027】
(2)濡れ際の評価
多層構造編物に飽和状態以上にたっぷりと水に含ませた状態に濡らして濡れ際を観察して4段階法により評価する。すなわち、▲1▼はほとんど濡れ際が見えない、▲2▼はわずかに濡れ際が見える、▲3▼は濡れ際がはっきり見える、▲4▼は強く濡れ際が見えるの4段階法により判定評価する。
【0028】
[実施例1]
表層部には、断面形状が図1の(b)に示すポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル中空糸(中空率:35%、100de/24fil)をヒーター温度150℃で仮撚加工したポリエステル中空仮撚加工糸を用い、裏層部にはポリエチレンテレフタレートからなる、中実丸断面のポリエステルフィラメント(50de/24fil)ヒーター温度220℃で仮撚加工して得た仮撚加工糸を用い、該表層部と該裏層部との中間にはポリエステル系弾性糸(帝人株式会社製、商標名:レクセ、70de/1fil)を用い、インターロックゲージの両面編機により図4に示す編み方図(ポンチローマ)により多(3)層構造編物を編成した。
【0029】
図4は、本発明の編物を編成する例を示す編成給糸図である。図4において、1、4、7、及び10では前記の中実のポリエステル仮撚加工糸を供給してダイヤル針及びシリンダー針のニット編により編成し、2、及び8ではポリエステル中空仮撚加工糸、及びポリエステル系弾性糸を同口供給してダイヤル針のみの全針のニット編により編成し、3、6、9及び12ではポリエステル仮撚加工糸、及びポリエステル系弾性糸を同口供給してシリンダー針のみの全針ニット編により編成し、5、及び11ではポリエステル中空仮撚加工糸を供給してダイヤル針によりニットとタック編を交互に繰り返す編み方により編成し、このような12給糸を繰り返し単位とする編み方により編成する。
【0030】
編成された編物は、主としてダイヤル針で編成された側部とシリンダー針で編成された側部とからなる多層構造編物として得られるが、ダイヤル針で編成された側部を表層部として使用し、該表層部が鹿の子目風の表面を有する多層構造編物である。
【0031】
この多層構造編物に常法により仕上げ加工を施し、次いで、ジメチルシリコーンゴム(A)とトルエン(B)を混合比:A:B=50:50で溶解して調合した撥水剤を30本/2.54cmのピッチで斜線状ストライプに捺染ローラで印捺して表層部表面に撥水加工を施した。
【0032】
得られた多層構造編物に飽和状態以上にたっぷりと水に含ませた状態に濡らし、該濡れ際を観察して表2の結果を得た。得られた編物では濡れ際が見られず良好な結果が得られた。
【0033】
[比較例1〜2]
比較用の編物として、上記実施例で用いた表層部用のポリエステル中空仮撚加工糸の代わりに仮撚加工の温度として220℃を用いて加工した通常のポリエステル仮撚加工糸(断面形状:中実、100de/24fil)を用いる他は、実施例1と同様に編成し、同様に仕上げ加工、及び撥水加工を施して多層構造編物を得た。実施例1と同様に濡らしたところ、得られた編物は濡れ際が目立って観察された(比較例1)。
【0034】
さらに、他の比較用編物として、実施例で用いた表層部を編成するポリエステル中空仮撚加工糸の代わりに通常のポリエステルフィラメント糸(断面形状:中実、100de/24fil)を用いる他は、実施例1と同様に編成し、同様に仕上加工、及び撥水加工を施して多層構造編物を得た。実施例1と同様に濡らしたところ、得られた編物は濡れ際が強く観察された。
比較例1〜2の結果を表2に併せて示す。
【0035】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の編物に使用するポリエステル中空仮撚加工糸の原糸の単糸(フィラメント)断面形状の例を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の編物に使用するポリエステル中空仮撚加工糸の単糸断面形状の例を示す断面図である。
【図3】本発明の編物に使用するポリエステル中空仮撚加工糸の単糸形状の例を模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明の実施例の編物の編成法を示す編成給糸図である。
【符号の説明】
1、4、7、10:中実・丸断面のポリエステル仮撚加工糸
2、8:ポリエステル中空仮撚加工糸、及びポリエステル系弾性糸
3、6、9、12:前記中実・丸断面のポリエステル仮撚加工糸及びポリエステル系弾性糸
5、11:ポリエステル中空仮撚加工糸[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a knitted fabric having a multilayer structure composed of false twisted yarns, and more particularly to a multilayer knitted fabric which is difficult to see or cannot be seen when the surface of the surface layer is wet even when wet.
[0002]
[Prior art]
A knitted fabric made of polyester false twisted yarn has been used for various purposes for a long time because of its bulkiness, quick drying, and ease of handling. However, in recent years, consumer demands have diversified, and conventional knitted fabrics made of polyester processed yarn have become unable to meet consumer demands. For example, when the knitted fabric gets wet, the appearance of the knitted fabric can be seen, so the aesthetics are hindered. Therefore, one of the requirements is a knitted fabric that cannot be seen when wet.
[0003]
In particular, swimwear and the like have a problem that when the wearer gets out of the water, water accumulates in the lower part of the swimsuit, and the wet part becomes a spot and the aesthetic appearance is remarkably impaired. In order to solve this problem, an attempt was made to water-repellently treat the surface of a knitted fabric made of false twisted yarn, but the water accumulated in the swimsuit was not drained, and water was not removed between the swimsuit and the skin. However, it took a long time to drain the water accumulated in the lower part.
[0004]
On the other hand, as a method for removing water accumulated between the swimsuit and the skin, Japanese Patent Application Laid-Open No. 8-311751 proposes that the surface of the swimsuit is partially water-repellent. However, this publication discloses a swimsuit for swimming and does not recognize the concept of a knitted fabric so that the wetness cannot be seen. As described above, no knitted fabric using polyester false-twisted yarn so that the wetness is not visible has been proposed yet.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to solve such a conventional problem and to provide a knitted fabric in which the surface of the surface layer portion is hardly wet even when wet, or the wetness is not visible.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
According to the present invention, in a multilayered knitted fabric made of false twisted yarn,
The surface layer portion is constituted by a false twisted yarn having a hollow cross section in which a concave portion extending in the fiber axis direction is present on the outer surface of the constituent filament, and the surface of the surface layer portion is partially subjected to water repellent finishing. ,
The multi-layered knitted fabric characterized in that the back layer portion is composed of false twisted yarn that does not have a recess extending in the fiber axis direction on the outer surface of the constituent filament.
Is provided.
[0007]
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
The present invention is made of false twisted yarn, and is intended for a multi-layer structure knitted fabric having at least a surface layer portion and a back layer portion. The yarns for knitting each layer are different, or the yarns are knitted with different structures. Although a layer structure is formed, an intermediate layer may be further interposed between the surface layer portion and the back layer portion.
[0008]
A processed yarn (hereinafter referred to as a polyester hollow false twisted yarn) obtained by false twisting a polyester multifilament yarn having a hollow portion (hereinafter sometimes referred to as an original yarn of a polyester hollow false twisted yarn) in the surface layer portion of the multilayer structure knitted fabric. Are organized). As a cross section of the raw yarn of the polyester hollow false twisted yarn, as shown in FIG. 1, the constituent filament has a circular cross section (a) having a circular hollow portion therein, and the outer shell has a quadrilateral cross section. In this case, (b) having a substantially quadrangular hollow portion is preferable, but other shapes such as a triangle, a polygon, and a flat shape can also be adopted. In this case, the shape of the hollow portion may be the same as or different from the outer shape.
[0009]
The hollow ratio of the cross section of the single yarn (constituent filament) of the raw yarn needs to be at least 20%, and is preferably in the range of 20 to 40%. When the hollow ratio is less than 20%, the single yarn of the polyester hollow false twisted yarn after false twisting does not have an atypical cross-sectional structure leaving a hollow portion, and the effects of the present invention described later cannot be obtained. On the other hand, when the hollow ratio exceeds 40%, troubles such as split fiber in false twisting may occur, which is not preferable.
[0010]
The hollow fiber described above can be obtained by melt spinning using a spinning nozzle composed of an assembly of a plurality of slit-like discharge holes. That is, the slit is arranged so as to surround a portion forming the hollow portion, and a gap (called a canal) is provided between the slits, and the polymer discharged from the discharge holes of the slits varies depending on the gap. The hollow fibers are formed by joining by the effect.
[0011]
The polyester multifilament yarn referred to in the present invention includes terephthalic acid as a main acid component and at least one glycol, preferably at least one alkylene glycol selected from ethylene glycol, trimethylene glycol, tetramethylene glycol and the like. Is a yarn obtained by melt spinning polyester having a main glycol component as a conventional method. The polyester may be one obtained by copolymerizing an isophthalic acid component containing a sulfonic acid metal salt, such as 5-sodium sulfoisophthalic acid or 5-tetrabutylphosphonium sulfoisophthalic acid, by a known method. In addition, a stabilizer, an antioxidant, a flame retardant, an antistatic agent, a fluorescent color enhancer, a catalyst, a colorant, inorganic fine particles and the like may be added as long as the object of the present invention is not impaired.
[0012]
Next, the above-described raw yarn is subjected to false twisting. At that time, the heater temperature is preferably 120 to 170 ° C. and a relatively low temperature range. When the false twisting temperature is less than 120 ° C., there is little cross-sectional deformation of the polyester hollow fiber, that is, a recess (groove) as described later is not formed on the surface of the filament, and the effect of the present invention cannot be obtained. On the contrary, when the temperature of false twisting exceeds 170 ° C., the hollow portion is easily crushed, and the effect due to the presence of the hollow portion cannot be obtained. The actual false twisting temperature may be appropriately set within the above temperature range in consideration of the hollowness of the raw yarn, the single yarn denier, and the number of filaments.
[0013]
For example, a polyester multifilament made of polyethylene terephthalate, which is false twisted under the conditions shown in Table 1 when a hollow fiber having a cross section shown in FIG. When the temperature is 110 ° C., sufficient crimping as a false twisted yarn cannot be imparted, and when the false twist temperature is 180 ° C., the hollow portion of the hollow cross section is crushed and the cross section is in a phantom shape. Will increase.
[0014]
[Table 1]
[0015]
The cross section of the single yarn of the polyester hollow false twisted yarn thus obtained has a hollow portion remaining and is deformed into an irregular shape. For example, the cross section of a single yarn of a polyester hollow false twisted yarn obtained by false twisting at a temperature of 150 ° C. using the yarn having the cross-sectional shape shown in FIG. 1B is as shown in FIG. Although the cross-sectional shape is significantly deformed, the hollow portion still remains.
[0016]
Furthermore, as shown in FIG. 3, the side surface of this single yarn is formed with a recess (groove) A formed by various deformations of the single yarn during false twisting, and this recess A is in the fiber axis direction. In addition, since the single yarn is randomly imparted with “twist” accompanying false twisting, the concave portion A also has a randomly twisted structure.
[0017]
The single yarn denier of the raw yarn of the polyester hollow false twisted yarn is preferably in the range of 1 to 5 denier. When the single yarn denier is less than 1 denier, it is difficult to obtain a yarn having a high hollowness of 20% or more. When the single yarn denier exceeds 5 denier, the surface touch of the knitted fabric is coarse. It is not preferable.
[0018]
The structure of the surface layer part knitted using such a polyester hollow false twisted yarn has a structure in which uniform unevenness is distributed on the surface (for example, a deer structure) or a plain structure (for example, a tengu Table structure) is preferably exemplified, but is not limited thereto. However, a structure using a large amount of tack knitting where many yarns forming the back layer portion appear on the surface of the surface layer portion is not preferable because the water in the back layer portion can be seen and the object of the present invention cannot be achieved. Conversely, it is possible to use tack knitting in which the yarn forming the front side portion appears on the back side surface.
[0019]
Next, in contrast to the processed yarn used for the surface layer portion, any polyester false twisted yarn used for the back layer portion can be used as long as it does not have a concave portion on the outer surface. Those in the range of 5 denier are preferred. When the single yarn denier is less than 1 denier, the water-holding power of the back layer portion is increased, the stickiness to the surface is increased, and the drying speed is also decreased. On the other hand, when the single yarn denier exceeds 5 denier, the surface touch of the knitted fabric becomes coarse and unfavorable.
[0020]
In such a knitted fabric having a multilayer structure, the surface of the surface layer portion needs to be partially water-repellent. When the water repellent finish is applied to the entire surface of the surface layer part, the water from the outside of the surface layer part is naturally repelled, but the water from the back layer surface to the surface layer part is also repelled. In addition, water is accumulated in the water, and the water accumulated in the interior cannot be released to the outside. In order to partially water-repellent the surface of the surface layer portion, a water-repellent agent may be printed and applied using a gravure roller or the like. In this case, the water-repellent agent is striped, polka-dotted, or lattice-patterned What is necessary is just to apply | coat to arbitrary patterns, such as.
[0021]
The water repellent is not particularly limited, but a silicone water repellent and a fluorine water repellent are preferable. In particular, it is particularly preferable to dissolve silicone rubber in a solvent (toluene) in a mixing ratio (silicone rubber: solvent) = 40: 60 to 50:50.
[0022]
[Effects of the Invention]
In the multilayer structure knitted fabric of the present invention having the above-described structure, when the water is wet, the water in the surface layer portion mainly moves to the back layer portion, so that the surface layer portion is in a dry state or is difficult to see when wet. That is, since the single yarn shape of the polyester hollow false twisted yarn constituting the surface layer portion has a groove A as illustrated in FIG. 3 and the single yarn has a randomly twisted shape, Since the inter-fiber gap of the hollow false twisted yarn is larger than that of the yarn constituting the back layer portion, water in the surface layer portion relatively moves to the back layer portion. At this time, the groove A serves as a water guide groove, and water in the surface layer portion diffuses to become a drier state.
[0023]
In addition to this, a hollow portion remains in the false twisted yarn in the surface layer portion, and coupled with the fact that the cross-section of the single yarn is variously deformed and forms a twisted state. Acts so that wetting of the back layer is not visible. In addition, since the surface of the surface layer part is partially water-repellent, water on the surface layer part surface is repelled, resulting in a multilayered knitted fabric that emphasizes the invisible action when wet. That is, the surface layer portion functions as a water diffusion / water retention layer, and the back layer portion has a smaller inter-fiber gap than the surface layer portion and uses a single processed yarn of 1 to 5 de. Since it has a water absorption effect due to the phenomenon, it functions as a water absorption layer that does not feel sticky.
[0024]
【The invention's effect】
The multilayer structure knitted fabric of the present invention is preferably used as a swimsuit material because the surface layer portion is kept in a dry state as described above and can be made invisible when wet. That is, recent swimsuits are required to have functionality as a swimsuit, but more fashionable. In this regard, the multilayer structure knitted fabric of the present invention is suitable as a material for swimwear that is highly fashionable and invisible when wet.
[0025]
In addition, the disadvantages of poor water drainage that a swimsuit made of a water repellent processed material as in the past has also been able to pass water from the back layer easily and drain, so water intervening between the swimsuit and the skin There is no problem in removing water, and it is a material that enables a comfortable swimsuit.
[0026]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to examples.
The measured values used in the examples are obtained by the following method.
(1) When the cross-sectional area of the solid part existing around the hollow part is S1 and the cross-sectional area of the hollow part is S2, in the hollow fiber hollow fiber cross section, {S 2 / (S 1 + S 2 ) } Is a value represented by × 100, and is obtained as an average value of 20 fibers from a photograph of a cross section of the hollow fiber taken at 500 times.
[0027]
(2) Evaluation at the time of wetting The multilayer structure knitted fabric is wetted in a state where it is sufficiently contained in a saturated state or more, and the wetness is observed and evaluated by a four-step method. In other words, (1) is almost invisible when wet, (2) is slightly wet, (3) clearly visible when wet, and (4) is strongly visible when judged by a four-step method. To do.
[0028]
[Example 1]
In the surface layer portion, a polyester hollow false twisted yarn obtained by false twisting a polyester hollow fiber (hollow rate: 35%, 100 de / 24 fil) made of polyethylene terephthalate as shown in FIG. 1 (b) at a heater temperature of 150 ° C. A polyester filament (50 de / 24 fil) made of polyethylene terephthalate is used for the back layer, and false twisted yarn obtained by false twisting at a heater temperature of 220 ° C. is used. Polyester elastic yarn (trade name: Lexe, 70de / 1fil) manufactured by Teijin Ltd. is used in the middle of the layer part, and the knitting method (Ponchiroma) shown in FIG. (3) A layered knitted fabric was knitted.
[0029]
FIG. 4 is a knitting yarn supply diagram showing an example of knitting the knitted fabric of the present invention. In FIG. 4, the solid polyester false twisted yarns are supplied at 1, 4, 7 and 10 and knitted by knitting dial needles and cylinder needles, and the polyester hollow false twisted yarns at 2 and 8 , And knitted with all needle knit knitting with only dial needles, and polyester false twisted yarns and polyester elastic yarns are fed together in 3, 6, 9 and 12 Knitting by all needle knit knitting with cylinder needle only, polyester hollow false twisted yarn is supplied at 5 and 11 and knitting is repeated by knitting and tuck knitting alternately with dial needle, and such 12 yarns are fed Is knitted by the knitting method with the repeating unit.
[0030]
The knitted knitted fabric is obtained as a multi-layered knitted fabric mainly composed of side portions knitted with dial needles and side portions knitted with cylinder needles, but uses the side portions knitted with dial needles as the surface layer portion, The surface layer portion is a multi-layer structure knitted fabric having a surface of a Kanoko style.
[0031]
This multi-layered knitted fabric is finished by a conventional method, and then 30 water / repellent agents prepared by dissolving dimethyl silicone rubber (A) and toluene (B) at a mixing ratio: A: B = 50: 50 / Water-repellent treatment was applied to the surface of the surface layer portion by printing with a printing roller on diagonal stripes at a pitch of 2.54 cm.
[0032]
The obtained multi-layered knitted fabric was wetted in a state where it was sufficiently contained in water more than saturated, and the wet state was observed to obtain the results shown in Table 2. The obtained knitted fabric did not show wetness, and good results were obtained.
[0033]
[Comparative Examples 1-2]
As a comparative knitted fabric, a normal polyester false twisted yarn processed using a temperature of 220 ° C. as a false twisting temperature instead of the polyester hollow false twisted yarn for the surface layer used in the above examples (cross-sectional shape: medium) In fact, except that 100 de / 24 fil) was used, knitting was performed in the same manner as in Example 1, and finishing and water-repellent processing were similarly performed to obtain a multi-layered knitted fabric. When wet in the same manner as in Example 1, the resulting knitted fabric was noticeably observed when wet (Comparative Example 1).
[0034]
Furthermore, as another comparative knitted fabric, a normal polyester filament yarn (cross-sectional shape: solid, 100 de / 24 fil) was used instead of the polyester hollow false twisted yarn for knitting the surface layer portion used in the examples. Knitting was performed in the same manner as in Example 1, and finishing and water-repellent finishing were performed in the same manner to obtain a multi-layered knitted fabric. When wet as in Example 1, the resulting knitted fabric was strongly observed when wet.
The results of Comparative Examples 1 and 2 are also shown in Table 2.
[0035]
[Table 2]
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view showing an example of a single yarn (filament) cross-sectional shape of a raw yarn of a polyester hollow false twisted yarn used in the knitted fabric of the present invention.
FIG. 2 is a cross-sectional view showing an example of a single yarn cross-sectional shape of a polyester hollow false twisted yarn used in the knitted fabric of the present invention.
FIG. 3 is a perspective view schematically showing an example of a single yarn shape of a polyester hollow false twisted yarn used in the knitted fabric of the present invention.
FIG. 4 is a knitting yarn supply diagram showing a knitting method of a knitted fabric according to an embodiment of the present invention.
[Explanation of symbols]
1, 4, 7, 10: Polyester false
Claims (2)
表層部は、構成フィラメントの外表面に、その繊維軸方向に延在する凹部が存在する中空断面の仮撚加工糸で構成され、且つ表層部の表面には部分的に撥水加工が施され、
裏層部は、構成フィラメントの外表面に、その繊維軸方向に延在する凹部が存在しない仮撚加工糸で構成されている
ことを特徴とする多層構造編物。In the multi-layer structure knitted fabric made of false twisted yarn,
The surface layer portion is constituted by a false twisted yarn having a hollow cross section in which a concave portion extending in the fiber axis direction is present on the outer surface of the constituent filament, and the surface of the surface layer portion is partially subjected to water repellent finishing. ,
The multi-layered knitted fabric characterized in that the back layer portion is composed of false twisted yarn that does not have a recess extending in the fiber axis direction on the outer surface of the constituent filament.
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