JP3713045B2 - P−セレクチンに対する抗体およびそれらの使用 - Google Patents

P−セレクチンに対する抗体およびそれらの使用 Download PDF

Info

Publication number
JP3713045B2
JP3713045B2 JP52465394A JP52465394A JP3713045B2 JP 3713045 B2 JP3713045 B2 JP 3713045B2 JP 52465394 A JP52465394 A JP 52465394A JP 52465394 A JP52465394 A JP 52465394A JP 3713045 B2 JP3713045 B2 JP 3713045B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
humanized
immunoglobulin
selectin
amino acid
variable region
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP52465394A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09500012A (ja
Inventor
ダブリュー. チェスナット,ロバート
ジェイ. ポーリー,マーガレット
シー. ポールソン,ジェームス
ジョーンズ,エス.タラン
ダブリュー. サルダンハ,ホセ
エム. ベンディグ,メアリー
クリーグラー,マイケル
ペレツ,カール
ベイヤー,ロバート
ナン,マイケル
Original Assignee
アエレス バイオメディカル リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from PCT/US1993/004272 external-priority patent/WO1994023317A1/en
Priority claimed from US08/202,047 external-priority patent/US5800815A/en
Application filed by アエレス バイオメディカル リミテッド filed Critical アエレス バイオメディカル リミテッド
Priority claimed from PCT/US1994/004935 external-priority patent/WO1994025067A1/en
Publication of JPH09500012A publication Critical patent/JPH09500012A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3713045B2 publication Critical patent/JP3713045B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • C07K14/7056Lectin superfamily, e.g. CD23, CD72
    • C07K14/70564Selectins, e.g. CD62
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/28Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • C07K16/2851Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against the lectin superfamily, e.g. CD23, CD72
    • C07K16/2854Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against the lectin superfamily, e.g. CD23, CD72 against selectins, e.g. CD62
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/505Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising antibodies
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/20Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin
    • C07K2317/24Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin containing regions, domains or residues from different species, e.g. chimeric, humanized or veneered
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/30Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency
    • C07K2317/34Identification of a linear epitope shorter than 20 amino acid residues or of a conformational epitope defined by amino acid residues

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)

Description

関連出願に関する参考
本出願は、1993年5月5日に提出された第08/057,292号の一部継続出願であり、その継続出願は、1992年5月5日に提出され、現在では放棄されている第07/880,196号の一部継続出願である。これらの出願は、それら全てを全目的のために参考として援用される。
技術分野
本出願は、一般に、細胞表面レセプターP−セレクチン上の機能的なエピトープと反応性である新規な免疫グロブリンに関する。本出願はまた、一般に、その抗体を用いる診断的および治療的方法に関する。
発明の背景
細胞が互いに接着し合うという能力は、発達、正常な生理機能、および炎症のような疾患プロセスに重要な役割を果たす。この能力は、細胞膜上に発現される接着分子(一般的には糖タンパク質である)により仲介される。しばしば、1細胞タイプ上の1接着分子は、異なる細胞タイプ上に発現されている別の接着分子に結合し、レセプター−対抗レセプター対を形成する。接着分子の3つの重要なクラスは、インテグリン(integrin)、セレクチン(selectin)、および免疫グロブリン(immunoglobulin,Ig)スーパーファミリーメンバーである(Springer,Nature 346:425(1990);Osborn,Cell 62:3(1990);Hynes,Cell 69:11(1992)参照。これら全ては、全目的のためにその全体を参考として援用する)。これらの分子は、特に、白血球および血小板とそれら自身との相互作用、ならびに白血球および血小板と細胞外マトリックスおよび血管内皮との相互作用に対して重要である。
P−セレクチンはまた、CD62としても知られており、顆粒膜タンパク質-140(GMP-140)/血小板活性化依存性顆粒外膜(PADGEM)/LECCAM-3は、種々の循環細胞の認識に関連した、血管内皮細胞および血小板上の特殊細胞表面レセプターである。P−セレクチンは、レクチン様のドメインを有する表面糖タンパク質であり、表皮成長因子に相同な領域で、かつ相補的調節タンパク質と相同な領域である(McEver、Blood Cells 16:73-83(1990)参照)。P−セレクチンの構造は、他の2つの血管細胞表面レセプター、すなわち内皮白血球接着分子(ELAM-1)およびリンパ球帰巣レセプター(LHR)の構造と似ている。用語「セレクチン」は、それらのレクチン様ドメインおよびそれらの接着機能の選択的な性質のために、この一般的なクラスのレセプターを示唆した。
P−セレクチンは、種々の刺激に応じて血小板および内皮細胞の表面に存在し、ここで、それは血小板−白血球および内皮−白血球の相互作用を仲介する。対照的に、ELAM-1は、内皮細胞上のみで発現され、LHRは、末梢リンパ節の内皮小静脈内の種々の白血球上で発現される。P−セレクチンの発現は、誘導可能であり、そしてそれは活性化されていない内皮細胞または血小板上では発現されない。P−セレクチンの発現は、P−セレクチンが血小板内および内皮細胞内の両方において分泌性顆粒(またはWeibel-Palade体)内に貯蔵されているため、デノボ合成を必要としない。従って、トロンビン(thrombin)、ヒスタミン(histamine)、あるいはホルボールエステル(phorbol ester)または他の体液性因子のいずれかによって数分のうちに細胞タイプが活性化され、P−セレクチンは急速に細胞表面に再分配され、そこで別の細胞への結合に利用され得る。
P−セレクチンに対する多くのマウス抗体が報告されてきた(例えば、米国特許第4,783,330号、WO 91/06632、PCT出願第FR90/00565号、McEverら、J.Biol.Chem.295:9799-9804(1984);Gengら、Nature 343:757-760;Parmentierら、Blood 77:1734-1739(1991)を参照)。P−セレクチンに対するさらなる抗体は、Scripps Institute、La Jolla Californiaおよび1992年1月16日に開催されたKeystone Colloquiumにおける発表において述べられた。P−セレクチンが仲介する接着をブロックするこれらの抗体のあるものは、Ca++依存性である。
P−セレクチンに対する抗体を用いるインビトロ実験は、このレセプターのリガンド特異性に関して部分的な理解を提供した。P−セレクチンは好中球、単球、およびある種の癌細胞に結合するということが報告された(Bevilacquaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:9238-9242(1987);Gengら、Nature 343:757-760(1990);Larsenら、Cell 63:467-474(1990);およびPolleyら)。P−セレクチンは、高親和性リガンドとしてLexを認識するということもまた報告された(Larsenら、Cell 63:467-474(1990)。しかし、続く実験では、SLex含有オリゴ糖が実際Lexよりも有効なP−セレクチン仲介接着インヒビターであることが示された(Polleyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:6224-6228(1991))。
インビトロの細胞間接着におけるP−セレクチンの関与は、他の接着分子と同様に、P−セレクチンもインビボでの炎症性疾患に貢献する細胞性相互作用に関与することを示唆する。しかし、P−セレクチンが主要な役割を果たす特異的な炎症性疾患は、未だに解明されていない。同様に、特定のP−セレクチン仲介性炎症性疾患を未然に防ぐのに有効な薬剤のエピトープ特異性もまたはっきりしていない。P−セレクチンに対する公知の抗体のうち、いくつかはP−セレクチンに結合するが、それらはP−セレクチン仲介性細胞間相互作用をブロックしない。他の公知の抗体は、高濃度のCa2+存在下、すなわちインビボで必ずしも存在し得ない条件でのみ、P−セレクチン仲介性細胞間結合をブロックする能力を有する。インビボで高濃度のCa2+が存在しないことにより、これらの抗体は治療薬として効果的でなくなる。さらに、現在までに産生されたP−セレクチンに対する全抗体は、マウス起源であり、従って、臨床使用におけるヒト抗マウス抗体応答(HAMA)を誘導する。
上記に基づくと、インビボでの炎症性疾患につながる細胞間相互作用を破壊する適切なエピトープ特異性を有する、P−セレクチンに対して標的された新規な薬剤の必要性が存在することが明らかである。理想的には、そのような薬剤は、ヒトの治療においてHAMA応答を誘導しない。本発明は、これを満足し、そして他の必要性も満足する。
発明の要旨
本発明の1つの局面において、P−セレクチンに特異的に結合するブロック抗体が提供される。そのように例示される抗体の一つは、μMAb PB1.3(ATCC受託番号第HB11041号を有する細胞株により産生される)と称される。他の抗体は、競合的阻害アッセイによって測定されるμMAb PB1.3のP−セレクチンへの結合を競合的に阻害する。好ましい抗体は、Ca++の非存在下でP−セレクチンに結合する。本発明の抗体は、Fab、Fab'、F(ab')2、Fabc、およびFvのようなフラグメントおよび完全な抗体を含む。
本発明の別の局面においては、薬学的な組成物が提供される。この薬学的組成物は、上記のようなP−セレクチンブロック抗体および薬学的に受容可能なキャリアを含有する。
本発明はまた、免疫系の疾患の処置のための治療方法を提供する。この方法は、そのような疾患を有する患者に治療的に有効用量の上記の薬学的組成物を投与することを包含する。急性肺損傷(acute lung injury)、および虚血性再灌流損傷(ischemic reperfusion injury)は、本発明によって処置し得る疾患の例である。
本発明のいくつかの抗体は、ヒト化免疫グロブリンである。ヒト化免疫グロブリンは、ヒト化H鎖およびヒト化L鎖を含む。ヒト化L鎖は、マウスのPB1.3の免疫グロブリンL鎖の相当する相補性決定領域由来のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)、およびヒトκL鎖の可変領域枠組み配列由来の可変領域枠組みを含む。ヒト化H鎖は、マウスのPB1.3の免疫グロブリンL鎖の相当する相補性決定領域由来のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)、およびヒトH鎖の可変領域枠組み配列由来の可変領域枠組みを含む。ヒト化免疫グロブリンは、下限は約107M-1から上限はマウスPB1.3免疫グロブリンの結合親和性の約5倍までの結合親和性で、P−セレクチンに特異的に結合する。
多くのヒト化免疫グロブリンにおいて、ヒトκL鎖の可変領域枠組み配列は、L21、L46、L60、およびL70からなる第1群より選択される少なくとも1カ所で、マウスPB1.3免疫グロブリンL鎖可変領域枠組み配列の同じ位置に存在するアミノ酸によって、置換される。同様に、ヒトH鎖可変領域枠組み配列は、H1、H2、H71、およびH73からなる第2群より選択される少なくとも1カ所で、マウスPB1.3H鎖可変領域枠組み配列の同じ位置に存在するアミノ酸によって、置換される。いくつかのヒト化免疫グロブリンにおいては、ヒト化H鎖可変領域枠組みは21/28'CL H鎖可変領域枠組み配列である。いくつかのヒト化免疫グロブリンにおいては、ヒト化L鎖可変領域枠組みは、DEN L鎖可変領域枠組み配列である。例示的な成熟L鎖可変領域アミノ酸配列を図14〜17に示す。例示的な成熟H鎖可変領域アミノ酸配列を図11〜13に示す。好ましいヒト化免疫グロブリンは、図17に示す成熟L鎖可変領域、および図12に示す成熟H鎖可変領域を含む。
本発明は、完全なヒト化免疫グロブリンならびにFab、Fab'、F(ab')2、Fabc、およびFvのようなヒト化免疫グロブリンフラグメントを含む。いくつかのヒト化免疫グロブリンは、定常領域をさらに含み、それは、エフェクター機能を持ち帰るかまたは持ち得ない。
本発明の別の局面においては、上記のヒト化免疫グロブリンをコードする核酸が提供される。ある核酸は、H鎖をコードし、他の核酸はL鎖をコードする。
本発明はまた、上記の免疫グロブリンの3次元表示をモニター上またはプリンター上で示すようにプログラムされたコンピューターを提供する。
本発明は、上記のヒト化免疫グロブリンおよび薬学的に受容可能なキャリアを含有する薬学的組成物をさらに提供する。
別の局面では、本発明は、上記のヒト化免疫グロブリンを用いてP−セレクチンを検出する方法を提供する。ヒト化免疫グロブリンは、患者または患者由来の組織サンプルに投与される。免疫グロブリンと標的サンプルに存在するP−セレクチンとの間の特異的結合によって形成された複合体が検出されて、P−セレクチンの存在を示す。
本発明はまた、免疫系の疾患にかかっている患者をヒト化免疫グロブリンを用いて処置する方法を提供する。この方法は、治療的に有効用量の上記の薬学的組成物を患者に投与することを包含する。処置に従う疾患は、虚血性再灌流損傷および急性肺損傷を含む。例えば、この組成物は、表皮性、心筋性、腎臓性、大脳性、脾臓性、肝臓性、脊髄性、内臓性、肺性、局部的、または全身的虚血に罹っている患者の処置に有用である。
本発明のさらなる局面においては、ヒト化免疫グロブリンを産生する安定な細胞株が提供される。この安定な細胞株は、2つの核酸セグメントを含む。核酸セグメントの1つは、上記のヒト化免疫グロブリンのH鎖をコードし、このセグメントは、H鎖を発現させるプロモーターに作動可能に連結している。第2の核酸セグメントは、ヒト化免疫グロブリンのL鎖をコードしており、この第2のセグメントは、L鎖を発現させる第2のプロモーターに作動可能に連結している。好ましい細胞株は、1日に106細胞当たり約30μgのヒト化免疫グロブリンを産生する。
本発明の別の局面において、P−セレクチンのフラグメントが提供される。これらのフラグメントは、最大100アミノ酸を有し、この最大100アミノ酸は、図34に示すアミノ酸配列の448番目と467番目との間に由来する少なくとも5つの隣接したアミノ酸を含む。好ましいフラグメントにおいては、この最大100アミノ酸は、448番目と467番目との間のアミノ酸の隣接したセグメント全体を含む。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の抗炎症性免疫グロブリンが、トロンビン活性化血小板の好中球への結合を阻害することを示すデータを示す。
図2Aおよび2Bは、本発明の抗炎症性免疫グロブリンが、コブラ毒因子(cobra venom factor、CVF)の注入により誘導される肺損傷を効果的に防ぐことを、浸透性(図2A)および出血(図2B)の測定により示す。
図3A〜3Hまでは、動物の肺におけるP−セレクチンの発現量が、コブラ毒の注入に応じてアップレギュレートされることをμMab PB1.3の西洋ワサビペルオキシダーゼ染色により視覚化したものを示す。パネル(a)〜(d)は、肺の小静脈におけるCVF注入後の種々の時間でのP−セレクチンの発現を示す;時間0(a);5分、10分、および15分は、それぞれパネル(b)、(c)、および(d)である(図3A)。図3Bは、200μgの非ブロック抗体(μMAb PNB1.6)(フレームa.c)またはP−セレクチンに対するP−セレクチンブロック抗体(μMAb PB1.3)(フレームb.d)を用いて処置されたラットにおけるCVF誘導急性肺損傷の光学顕微鏡写真および透過電子顕微鏡写真である。PNB1.6で処置した動物においては、血管の損傷は、内皮細胞との密接に関連した好中球の血管内凝集(フレームC、矢印)に関連した広汎性の肺胞内出血(フレームa)によって示される。対照的に、μMAb PB1.3で処置した動物では、肺胞内出血はなく(フレームb)、そして血管内好中球は内皮とほとんど関係しない(フレームd、矢印)。(フレームaおよびb、トルイジンブルー(toluidine blue)により染色されたプラスチック包埋切片、X160:フレームcおよびd、酢酸ウラニル、クエン酸鉛染色X2250。)
図4は、モノクローナル抗体μMAb PB1.3のP−セレクチンへの結合を示す:EDTAによる二価カチオンのキレート化の効果。プロット中の符号(下の線)は、Ca++およびMg++存在下での結合を示すのに対し、黒符号(上の線)は、EDTA存在下での結合を示す。抗体は1.6mg/mlでの希釈を示す。
図5は、μMAb PB1.3がP−セレクチンに結合する際にペプチドCQNRYTDLVAIQNKNEが及ぼす影響を示す。黒符号は、0.35mg/mlのペプチドが存在する場合、白符号は、ペプチドが存在しない場合である。μMAb PB1.3の示した希釈は、1.6mg/ml溶液から行った。
図6A、6B、および6Cは、モノクローナル抗体がP−セレクチンへの結合を交差ブロックする能力を示す。ブロック抗体は、50μg/mlで存在した。示されるビチオン化抗体の希釈は、1.6mg/mlのμMAb PB1.3、0.87μMAb mg/ml PNB1.6、および0.59mg/ml μMAb 84/26から行った。
図7は、トロンビンにより誘導される血小板凝集の程度が、抗体が存在しないコントロール条件下と精製μMAb PB1.3抗体の濃度を増加させて(1〜100μg/ml)存在させた条件下とで等しいことを示す。
図8は、危険域のパーセントとして表される心筋性虚血の程度が、抗P−セレクチンブロック抗体(μMAb PB1.3)で処理した動物内の方が、抗P−セレクチン非ブロック抗体で処理した動物内より有意に少ないということを示す。さらに、アセチルコリンに応じて冠状動脈輪を弛緩させる能力は、μMAb PB1.3において、μMAb PNB1.6で処理した動物と比較して有意に高い。これらの現象は心筋の白血球浸潤の低下のために起こることが、μMAb PB1.3処理した動物由来の心筋組織中のPMNの数が、PNB1.6処理した動物と比較して低いことにより示唆される。
図9は、PB1.3のH鎖シグナルペプチドおよび可変領域の配列および翻訳を示す。
図10は、PB1.3のL鎖シグナルペプチドおよび可変領域の配列および翻訳を示す。
図11は、CY1748のH鎖−Aのシグナルペプチドおよび可変領域の配列および翻訳を示す。
図12は、CY1748のH鎖−Bのシグナルペプチドおよび可変領域の配列および翻訳を示す。
図13は、CY1748のH鎖−Cのシグナルペプチドおよび可変領域の配列および翻訳を示す。
図14は、CY1748のL鎖−Aのシグナルペプチドおよび可変領域の配列および翻訳を示す。
図15は、CY1748のL鎖−Bのシグナルペプチドおよび可変領域の配列および翻訳を示す。
図16は、CY1748のL鎖−Cのシグナルペプチドおよび可変領域の配列および翻訳を示す。
図17は、CY1748のL鎖−Dのシグナルペプチドおよび可変領域の配列および翻訳を示す。
図18は、ヒトH鎖(γ−1定常領域)を発現するneoプラスミドの物理的地図を示す。
図19は、ヒトL鎖(κ定常領域)を発現するneoプラスミドの物理的地図を示す。
図20は、キメラPB1.3、およびCY1748の再構成変型とrsP−セレクチンとの結合曲線を示す。
図21は、、キメラPB1.3、およびCY1748の再構成変型とrsP−セレクチンとの結合曲線を示す。
図22は、キメラPB1.3、およびCY1748の再構成変型とrsP−セレクチンとの結合曲線を示す。
図23は、ヒトH鎖(γ−1定常領域)を発現するdhfr-プラスミドの物理的地図を示す。
図24は、ヒトH鎖(γ−4定常領域)を発現するdhfr-プラスミドの物理的地図を示す。
図25は、ビオチン化PB1.3のrsP−セレクチンへの結合がPB1.3およびCY1748 RHA/RLA-IgG1によって阻害されることを示す。
図26は、ビオチン化PB1.3のrsP−セレクチンへの結合がPB1.3およびCY1748 RHB/RLD-IgG4によって阻害されることを示す。
図27は、抗体PB1.3が、ウサギの耳での虚血および再灌流に関連した腫脹を低減させることを示す。
図28は、抗体PB1.3が、ウサギの耳での虚血および再灌流に続く壊死の進行を防ぐことを示す。
図29は、抗体PB1.3が、マスト細胞脱顆粒剤の化合物48/80によって誘導される白血球−内皮細胞の相互作用を阻害することを示す。
図30は、P−セレクチンのドメインの提案される折り畳みパターンを示す。
図31は、PB1.3が認識するエピトープの位置づけに用いられるP−セレクチン欠失変異体の模式図を示す。
図32は、PB1.3およびウサギポリクローナル抗体のP−セレクチン欠失変異体への結合を示す。
図33は、PB1.3およびP6H6のP−セレクチンおよび第5番目のCRPが欠損しているP−セレクチンの欠失変異体であるP−セレクチンΔ5CRPへの結合を示す。
図34は、ヒトP−セレクチンの第5番目のCRPのアミノ酸配列に由来する合成ペプチドの配列およびこれらの固定されたペプチドに対するPB1.3の反応性を示す。アミノ酸は、全長P−セレクチンポリペプチドについてJohnstonら、Cell、56:1033-1044(1989)に従って番号付けされている。
定義
20個の天然に存在するアミノ酸の略号は、従来の使用法に従う(Immunology-A Synthesis(第2版、E.S.GolubおよびD.R.Gren編、Sinauer Associates、Sunderland、MA、1991))。20個の従来アミノ酸の立体異性体(例えばD-アミノ酸)、α,α−二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸のような非天然のアミノ酸、および他の型にはまらないアミノ酸もまた、本発明のポリペプチドの適切な成分であり得る。型にはまらないアミノ酸の例には以下が含まれる:4-ヒドロキシプロリン(4-hydroxyproline)、γ−カルボキシグルタメート(γ-carboxyglutamate)、ε−N,N,N-トリメチルリジン(ε-N,N,N-trimethyllysine)、ε−N−アセチルリジン(ε-N-acetyllysine)、O−ホスホセリン(O-phosphoserine)、N−アセチルセリン(N-acetylserine)、N−ホルミルメチオニン(N-formylmethionine)、3−メチルヒスチジン(3-methylhistidine)、5−ヒドロキシリジン5-hydroxylysine)、ω−N−メチルアルギニン(ω-N-methylarginine)、および他の同様のアミノ酸およびイミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン(4-hydroxyproline))。さらに、アミノ酸は、グルコシル化、リン酸化などにより修飾され得る。
本明細書中で用いられるポリペプチド表記において、左方向がアミノ末端方向であり、そして右方向がカルボキシ末端方向であるのは標準的使用および従来法に従ったものである。同様に、特に言及しない限り、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側の末端は、5’末端であり;二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側の末端は5’とする。新生RNA転写物の5’から3’添加の方向を転写方向とする;そのRNAと同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域で、かつRNA転写物の5’末端の5’側にある領域を「上流配列」;そのRNAと同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域で、かつRNA転写物の3’末端の3’側にある領域を「下流配列」という。
用語「ポリヌクレオチド配列」は、5’から3’末端へと読まれるデオキシリボヌクレオチド塩基またはリボヌクレオチド塩基の一本鎖または二本鎖のポリマーをいう。それは自己複製プラスミド、DNAまたはPNAおよび非機能性DNAまたはRNAの感染性ポリマーを含む。
以下の用語は、2つまたはそれ以上のポリヌクレオチド間の配列関係を述べるために用いられる:「リファレンス配列(reference sequence)」、「比較ウィンドウ(comparison window)」、「配列同一性(sequence identity)」、「配列同一性のパーセント」、および「実質的同一性(substantial identity)」。「リファレンス配列」は、配列比較の基準として用いられる規定の配列である;リファレンス配列は、図9〜17のポリヌクレオチド配列のような、より大きな配列(例えば、配列表に示される全長のcDNAまたは遺伝子配列の1セグメント)のサブセットであり得るか、または完全DNAまたは遺伝子配列を包含し得る。一般に、リファレンス配列は、少なくとも20ヌクレオチド長であり、少なくとも25ヌクレオチド長が高頻度であり、そしてしばしば少なくとも50ヌクレオチド長である。2つのポリヌクレオチドのそれぞれが(1)その2つのポリヌクレオチド間で類似である配列(すなわち、完全ポリヌクレオチド配列の一部)を含み、そして(2)その2つのポリヌクレオチド間で異なる配列を含み得るので、2つ(またはそれ以上)のポリヌクレオチド間の配列の比較は、代表的には、配列類似性の局部領域を同定および比較するための「比較ウィンドウ」にわたって、2つのポリヌクレオチド配列を比較することにより行われる。本明細書中で用いられる「比較ウィンドウ」は、少なくとも20の隣接したヌクレオチド位の概念上のセグメントをいい、ここで、ポリヌクレオチド配列は、少なくとも20の隣接したヌクレオチドのリファレンス配列と比較され得、そしてここで、その比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド配列の1部分は、2つの配列の最適な整合のために、リファレンス配列(付加または欠失を含まない)と比べて20%またはそれ以下の付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。比較ウィンドウの調整のための配列の最適な整合は、SmithおよびWaterman、Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局部的相同性アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch、J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性整合アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)85:2444(1988)の類似性の研究方法によって(これらの各々が全ての目的に関しその全体が参考として援用される)、これらのアルゴリズムのコンピューターによる実行(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)によって、または、監察によって行われ得、そして種々の方法によって生じた最も良い整合性(すなわち比較ウィンドウにわたって配列類似性が最も高いパーセントとなる)を持つものが選択される。用語「配列同一性」は、比較のウィンドウにわたって2つのポリヌクレオチド配列が同一であること(すなわち、1ヌクレオチドずつに関して)を意味する。用語「配列同一性のパーセント」は、比較のウィンドウにわたって2つの最適に整合した配列を比較し、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、U、またはI)が両配列に存在する位置の数を決定して一致している位置の数を得、その一致している位置の数を比較のウィンドウの全位置数(すなわち、ウィンドウサイズ)で割って、そしてその結果に100を掛けて配列同一性のパーセントを得ることにより計算される。本明細書中で用いられる用語「実質的同一性」は、ポリヌクレオチド配列の特徴を示し、ここで、ポリヌクレオチドは、少なくとも20ヌクレオチドの位置の比較ウィンドウにわたって、より高頻度には少なくとも25〜50ヌクレオチドのウィンドウにわたってリファレンス配列と比較したとき、少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90〜95%の配列同一性、より一般的には少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含み、ここで、配列同一性のパーセントは、リファレンス配列と欠失または付加(比較のウィンドウにわたって全体でリファレンス配列の20%以下)を含み得るポリヌクレオチド配列とを比較することにより計算される。リファレンス配列は、より大きな配列のサブセット、例えば図10〜17に示される配列であり得る。
ポリペプチドに適用されるように、用語「配列同一性」は、相当する位置で同一のアミノ酸を有するペプチドを意味する。用語「配列類似性」は、相当する位置で同一または類似のアミノ酸(すなわち、同類置換(conservative substitution))を有するペプチドを意味する。用語「実質的同一性」は、2つのペプチド配列が、例えば、欠失ギャップ荷重(default gap weight)を用いるGAPまたはBESTFITプログラムによって、最適に整合した場合、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%以上の配列同一性(例えば、99%配列同一性)を有することを意味する。好ましくは、同一でない残基の位置は、同類アミノ酸置換によって異なってる。用語「実質的類似性」は、2つのペプチド配列が、相当するパーセントの配列類似性を有することを意味する。
用語「実質的に純粋」は、目的の種が存在する主な種(すなわち、モルベースで、組成物中の他のいかなる個々の種よりも豊富にある)であり、そして好ましくは、実質的に純粋な画分が、目的の種が全ての存在する巨大分子種のうちの少なくとも約50%(モルベースで)を含む組成物であることを意味する。一般に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての巨大分子種の約80〜90%より多くを含む。最も好ましくは、目的の種が本質的に均質(従来の検出方法によって組成物中に混入種が検出され得ない)となるまで精製され、ここで、この組成物は、本質的に単一の巨大分子種からなる。
アミノ酸置換を同類または非同類に分類する目的のため、アミノ酸を以下のようにグループ分けする:グループI(疎水性側鎖):ノルロイシン(norleucine)、Met、Ala、Val、Leu、Ile;グループII(中性親水性側鎖):Cys、Ser、Thr;グループIII(酸性側鎖):Asp、Glu;グループIV(塩基性側鎖):Asn、Gln、His、Lys、Arg;グループV(鎖の方向性に影響を及ぼす残基):Gly、Pro;およびグループVI(芳香族側鎖):Trp、Tyr、Phe。同類置換は、同じクラス内のアミノ酸間の置換を含む。非同類置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスのメンバーと交換するという性質を有する。
免疫グロブリンの成熟したH鎖およびL鎖の可変領域由来のアミノ酸は、それぞれHxおよびLxxと表され、ここで、xは、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health、Bethesda、MD(1987)および(1991))(以後、まとめて「Kabatら」といい、全ての目的のためその全体を参考として援用する)に従って、アミノ酸の位置を表す数字である。Kabatらは、各サブクラスの抗体の多くのアミノ酸配列を示し、そしてそのサブクラスにおいて各残基の位置で最も一般的に存在しているアミノ酸を示している。Kabatらは、示された配列においてそれぞれのアミノ酸に残基番号を指定する方法を用い、そしてこの残基番号の指定方法は、当該分野では標準的なものとなった。Kabatらのスキームは、問題の抗体をKabatらのコンセンサス配列の1つと整合させることにより、大要に含まれない他の抗体にも拡張し得る。Kabatらの番号付けシステムの使用により、異なる抗体中で同じ位置にあるアミノ酸が容易に同定される。例えば、ヒト抗体のL50の位置にあるアミノ酸は、マウス抗体のアミノ酸の位置L50と同じ位置を占める。
「免疫グロブリン」、「抗体」、または「抗体ペプチド」は、完全な抗体、またはP−セレクチンへの特異的な結合に関して完全な抗体と競合するそれらの結合フラグメントをいう。
「実質的な阻害」は、少なくとも約50%の阻害、好ましくは約60%〜約80%、そしてより通常には約85%以上の阻害(インビトロ競合的結合アッセイにおいて測定された場合の)を意味する。
キメラ抗体は、そのL鎖およびH鎖の遺伝子が、代表的には遺伝子工学によって、異なる種に属する免疫グロブリン遺伝子セグメントから構築された抗体である。例えば、マウスモノクローナル抗体由来の遺伝子の可変(V)セグメントは、γ1およびγ4のようなヒト定常(C)セグメントと連結され得る。従って、他の哺乳動物種も用いられ得るが、代表的な治療用キメラ抗体は、マウス抗体由来のVまたは抗原結合ドメインおよびヒト抗体由来のCまたはエフェクタードメインからなるハイブリッドタンパク質である。
好ましい実施態様の説明
本発明は、P−セレクチンによって仲介される免疫系の疾患および状態を防ぐ組成物および方法を提供する。特に、本発明は、インビボにおけるP−セレクチン仲介性細胞接着を阻害する能力を有する免疫グロブリンを提供する。
I.免疫グロブリンの性質
A.一般的性質
基本的な抗体構造ユニットは、4量体を含むことが公知である。各4量体は、2つの同一の対のポリペプチド鎖からなり、各対は1つの「L」鎖(約25kDa)および1つの「H」鎖(約50〜70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識を担当する約100〜110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、主としてエフェクター機能を担当する定常領域を表す。
L鎖は、κまたはλのいずれかに分類される。H鎖は、γ、μ、α、δ、またはεに分類され、そして抗体のイソタイプをそれぞれIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEのように示す。L鎖およびH鎖の内部で、可変領域および定常領域は、約12個またはそれ以上のアミノ酸の「J」領域によって連結され、H鎖にはまた約10個以上のアミノ酸の「D」領域が含まれる(Fundamental Immunology(Paul,W.編、第2版、Raven Press、N.Y.、1989)、Ch.7を一般に参照のこと。全ての目的のためその全体を参考として援用する)。
各L/H鎖対の可変領域は、抗体結合部位を形成する。全ての鎖は、3つの超可変領域によって連結された同一の一般構造の比較的保存された枠組み領域(FR)を示し、それはまた相補性決定領域、すなわちCDRと呼ばれる。各対の2本の鎖に由来するこのCDRは、枠組み領域によって調節され、特異的なエピトープへの結合を可能にする。CDRおよびFR残基は、Kabatら(前出)の標準的配列規定に従って明確にされる。別の構造的な規定は、Chothiaら、J.Mol.Biol.196:901-907(1987);Nature 342:878-883(1989);およびJ.Mol.Biol.186:651-663(1989)によって提案された(以後、まとめて「Chothiaら」といい、全ての目的のためにこれらの全体を参考として援用する)。
B.結合特異性および親和性
本発明の免疫グロブリン(または抗体)は、組織損傷および炎症に対する応答に関連してP−セレクチン上の機能的エピトープに選択的に結合する。通常は、P−セレクチン上の機能的エピトープへの抗体の結合は、インビボにおける活性化血小板および/または活性化血管内皮への白血球の接着を効果的に阻害する。この性質を示す抗体を、「ブロック」抗体という。好ましいブロック抗体は、白血球の活性化血管内皮への接着を損わせ、炎症および/または血栓の状態を妨害するかまたは阻害する。
本発明のブロック抗体の多くは、P−セレクチンへの特異的結合に関して、μMAb PB1.3と表される例示的な抗体と競合する。μMAb PB1.3抗体を産生するハイブリドーマは、ブタペスト条約の下、_にAmerican Type Culture Collection、Rockville、Marylandに寄託され、受託番号HB11041が与えられた。このモノクローナル抗体の産生は、実施例1に記載される。本発明の他のブロック抗体は、84/26と表される第2の例示的抗体と競合する。
競合は、試験される免疫グロブリンがリファレンス抗体(例えば、μMAb PB1.3)とP−セレクチン分子上の抗原決定基との特異的結合を阻害するアッセイによって決定される。多くのタイプの競合結合アッセイが公知である:例えば、固相直接または間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接または間接酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(Stahliら、Methods in Enzymology 9:242-253(1983)参照);固相直接ビチオン−アビジンEIA(Kirklandら、J.Immunol.137:3614-3619(1986)参照);固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(HarlowおよびLane、「Antibodies,A Laboratory Manual」Cold Spring Harbor Press(1988)参照);I-125標識を用いた固相直接標識RIA(Morelら、Molec.Immunol.25(1):7-15(1988)参照);固相直接ビチオン−アビジンEIA(Cheungら、Virology 176:546-552(1990)参照);および直接標識RIA(Moldenhauerら、Scand.J.Immunol.32:77-82(1990)参照)。代表的には、このようなアッセイは、固体表面に結合した精製P−セレクチンまたはP−セレクチンを有する細胞、非標識試験免疫グロブリン、および標識リファレンス免疫グロブリンの使用を含む。競合的阻害は、試験免疫グロブリン存在下で固体表面に結合した標識の量を決定することにより測定される。通常は、試験免疫グロブリンは過剰に存在する。適切な競合的結合アッセイの例を、実施例8に示す。競合アッセイによって同定される抗体(競合抗体)は、リファレンス抗体と同じエピトープに結合する抗体、および立体障害を起こすように、リファレンス抗体によって結合されるエピトープに十分に近接した近接エピトープに結合する抗体を含む。通常、競合抗体が過剰に存在する場合、それはリファレンス抗体がP−セレクチンに特異的に結合することを少なくとも10、25、50、あるいは75%阻害する。
μMAb PB1.3によって結合されるエピトープは、ヒトP−セレクチンの448番目のアミノ酸と467番目のアミノ酸との間のエピトープとして位置づけられる。図34およびJohnsonら、Cell 56:1033-1044(1989)を参照されたい(これによって、全ての目的のためこの全体を参考として援用する)。このエピトープは、P−セレクチンの第5番目のCRPドメイン中に存在する。図30を参照のこと。μMAb PB1.3と競合する抗体は、通常448番目のアミノ酸と467番目のアミノ酸との間のアミノ酸セグメントに結合するかまたは第5番目のCRPドメイン内の別のセグメントに結合する。
本発明の多くのブロック抗体の結合特異性は、Ca++が完全に存在しないかまたは実質的に存在しない(例えば、インビトロアッセイにおいて25mMのEDTA(カルシウムキレーター)が存在し、そしてCa++が存在しない)条件下で、それらがP−セレクチンに結合する能力によってさらに規定される。ブロッキング活性にCa++を補因子として必要とする抗体は、Ca++レベルが変動されると予想されるインビボ条件下では効果的であり得ない。
μMAb PB1.3抗体と競合する抗体は、P−セレクチンに特異的に結合するというそれらの能力が、アミノ酸配列CQNRYTDLVAIQNKNEを有するP−セレクチンのフラグメントによって阻害されるという所見によって、さらに特徴付けられる。1モル過剰のこのフラグメントは、通常、このような抗体の特異的結合を5%未満しか阻害しない。μMAb PB1.3および競合抗体は、それにより、P−セレクチンへの結合が上記のペプチドにより部分的にまたは完全にブロックされるG1、G2、およびG3と称される報告されたマウス抗体(Gengら、The Journal of Biological Chemistry 266:22313-22318(1991))と区別される。
本発明のいくつかの抗体は、それらが他の反応を損なうことなくいくつかのP−セレクチン仲介性応答を選択的に阻害する能力によってさらに特徴付けられる。例えば、いくつかの抗体は、血小板の凝集を阻害することなく、インビボで好中球が活性化内皮細胞に結合することをブロックし得る。このような抗体は、血小板の凝集が望ましい状態(例えば創傷)に対する応答を開始させる患者の能力を損なうことなく、炎症性障害を処置することに特に有用である。
本発明の抗体は、通常、少なくとも107、108、109、または1010M-1のP−セレクチンに対する特異的結合親和性を示す。通常、P−セレクチンに対する抗体の結合親和性の上限は、μMAb PB1.3のそれの約3、5、または10倍のうちにある。しばしば、結合親和性の下限もまた、μMAb PB1.3のそれの約3、5、または10倍のうちにある。この文脈において、用語「約」は、結合親和性の測定時に典型的に起こり得る低度の実験的誤差を含む。
II.免疫グロブリンの産生
A.非ヒト抗体
非ヒトモノクローナル抗体(例えば、ネズミ科、ウサギ目、ウマ科)の産生は、周知であり、例えば、動物をP−セレクチンを有する細胞(例えば、トロンビン活性化血小板)、単離されたP−セレクチン分子またはそのフラグメント(例えば、細胞外ドメイン)を含む調製物で免疫することにより達成され得る。免疫動物から得られた抗体産生細胞を、不死化し、そしてスクリーニングするか、またはP−セレクチンに結合する抗体の産生のために先にスクリーニングし、次いで不死化する。HarlowおよびLane(前出)参照のこと。あるいは、実質的に単一特異性の抗体集団が、ポリクローナル血清のクロマトグラフィー精製によって産生され得る。
B.P−セレクチンに対するヒト抗体
本発明の別の局面では、P−セレクチンに対するヒト抗体が提供される。いくつかのヒト抗体は、競合的結合実験により、またはそうでなければμMAb PB1.3のような特定のマウス抗体と同じエピトープ特異性を有することにより、選択される。このような抗体は特に、μMAb PB1.3に対して示される有用な治療的性質を持つようである。P−セレクチンに対するヒト抗体は、Huseら、Science 246:1275-1281(1989)によって概説された一般的なプロトコルに従って、ヒトB細胞由来のDNAライブラリーをスクリーニングすることにより生成され得る。P−セレクチンに結合する抗体またはそのフラグメントが選択される。次いで、このような抗体(または結合フラグメント)をコードしている配列が、クローニングされ、そして増幅される。Huseらによって記載されたプロトコルは、ファージディスプレイ技術と組み合わせることによりさらに効果的になる。例えば、Dowerら、WO91/17271およびMcCaffertyら、WO92/01047を参照のこと(これらの各々について全ての目的のためそれらの全体を参考として援用する)。これらの方法において、ファージのライブラリーが生成され、ここで、メンバーはそれらの外表面上に異なる抗体を呈示する。抗体は、通常、FvまたはFabフラグメントとして呈示される。所望の特異性を有する抗体を呈示するファージは、P−セレクチンポリペプチドまたはそれらのフラグメントに対する親和性の冨化状態により選択される。
ファージディスプレイ法の変法において、選択されたネズミ抗体の結合特異性を有するヒト抗体が、生成され得る。Winter、WO92/20791参照のこと。この方法では、選択されたネズミ抗体(例えば、μMAb PB1.3)のH鎖またはL鎖のいずれかの可変領域が、出発材料として用いられる。例えば、L鎖可変領域が出発物質として選択される場合、ファージライブラリーが構築され、ここでは、メンバーは同じL鎖可変領域(すなわち、ネズミ出発材料)および異なるH鎖可変領域を呈示する。このH鎖可変領域は、再調整されたヒトH鎖可変領域のライブラリーから得られる。P−セレクチンに対して強い特異的結合(例えば、少なくとも108および好ましくは少なくとも109M-1)を示すファージが選択される。次いで、このファージ由来のヒトH鎖可変領域がさらなるファージライブラリー構築のための出発材料として提供される。このライブラリーでは、各ファージは、同じH鎖可変領域(すなわち、最初のディスプレイライブラリーから同定された領域)および異なるL鎖可変領域を呈示する。L鎖可変領域は再調整されたヒト可変L鎖領域のライブラリーから得られる。再度、L−セレクチンに対して強い特異的結合を示すファージが選択される。これらのファージは、完全なヒト抗セレクチン抗体の可変領域を呈示する。これらの抗体は、通常、ネズミ出発材料(例えば、μMAb PB1.3)と同一または類似のエピトープ特異性を有する。
C.ヒト化抗体
本発明は、実質的にヒト免疫グロブリン(アクセプター免疫グロブリンという)由来の可変枠組み領域および実質的にμMAb PB1.3というマウス免疫グロブリン(ドナー免疫グロブリンという)由来の相補性決定領域を有するヒト化免疫グロブリンを提供する。定常領域が存在する場合には、定常領域もまた実質的にヒト免疫グロブリン由来である。本発明のヒト化抗体は、既に動物モデルにおいて効果的であることが示されているマウスドナー抗体に比べ、いくつかの利点を提供する:
1)ヒトの免疫系は、ヒト化抗体の枠組み領域または定常領域を異物として認識しない。従って、そのような注入された抗体に対する抗体応答は、完全に異物であるマウス抗体または部分的に異物であるキメラ抗体に対する応答より少ないはずである。
2)ヒト化抗体のエフェクター部分がヒト由来なので、ヒト免疫系の他の部分とより良好に相互作用し得る。
3)注入されたマウス抗体は、ヒト体内での循環における半減期が正常なヒト抗体の半減期に比べて非常に短いということが報告された(Shawら、J.Immunol.138:4534-4538(1987))。注入されたヒト化抗体は、天然に存在するヒト抗体と本質的に等しい半減期を有し、より少ない量で頻度も低い投与を可能にする。
1. μMAb PB1.3の可変ドメインのクローニングおよび配列決定
μMAb PB1.3抗体のH鎖およびL鎖の可変領域をコードするcDNAのクローニングおよび配列決定を実施例10に記載し、そしてヌクレオチドおよび推定アミノ酸配列を図11および12に示す。表1および2は、アミノ酸コーディング配列の枠組みおよび相同性決定ドメインへの下位区分(subdivision)を示す。N末端からC末端まで、L鎖およびH鎖はいずれもドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の指定は、Kabatら(前出)の番号付け方式に従う。
(2)枠組み残基を供給するためのヒト抗体の選択
マウスのCDRをヒト可変ドメイン枠組みに置換することにより、ヒト可変ドメイン枠組みがCDRの起源であるマウス可変枠組みと同一かまたは類似したコンホメーションを採る場合に、正確な空間的配向を保持することになりやすい。このことは、ヒト抗体から、その枠組み配列が、CDRが由来するネズミ可変枠組みドメインと高い配列同一性を示すヒト可変ドメインを得ることにより達成される。H鎖およびL鎖の可変枠組み領域は、同一かまたは異なるヒト抗体配列に由来し得る。このヒト抗体配列は、天然に存在するヒト抗体の配列であり得るか、またはいくつかのヒト抗体のコンセンサス配列であり得る。Kettleboroughら、Protein Engineering 4:773(1991);Kolbingerら、Protein engineering 6:971(1993)を参照のこと。
適切なヒト抗体配列は、マウス可変領域のアミノ酸配列と公知のヒト抗体の配列とのコンピューター比較により同定される。比較は、H鎖およびL鎖に関して別々に行われるが、原理はどちらに関しても同じである。この比較により、μMAb PB1.3のL鎖がヒトL鎖のサブタイプであるκ−1と最も高い配列同一性を示すこと、およびμPB1.3のH鎖がヒトH鎖のサブタイプ1(Kabatら(前出)により定義された)と最も高い配列同一性を示すことが明らかになる。従って、L鎖およびH鎖のヒト枠組み領域は、通常、ヒト抗体のこれらのサブタイプに由来するかまたはそのようなサブタイプのコンセンサス配列に由来する。μMAb PB1.3由来の相当する領域と最も高い配列同一性を示す好ましいH鎖およびL鎖ヒト化変領域は、それぞれ抗体21/28'CLおよびDEN由来である。
(3)コンピューターモデリング
ネズミCDR領域とヒト可変枠組み領域との不自然な並列は、不自然なコンホメーションの制限になり得、特定のアミノ酸残基の置換による矯正がなければ、結合親和性の損失につながる。置換に関するアミノ酸残基の選択は、部分的にはコンピューターモデリングによって決定される。免疫グロブリン分子の3次元イメージを生成するためのコンピューターハードウエアおよびソフトウエアは、広く利用され得る。一般に、分子モデルは、免疫グロブリン鎖またはそれらのドメインの解明された構造から始まって作製される。モデリングされる鎖は、解明された3次元構造の鎖またはドメインとアミノ酸配列の類似性に関して比較され、そして最も高い配列類似性を示す鎖またはドメインが、分子モデル構築の出発点として選択される。例えば、μMAb PB1.3のL鎖に関して、モデリングの出発点は、ヒトL鎖DENであった。解明された出発構造は、モデリングされる免疫グロブリン鎖またはドメインの実際のアミノ酸と出発構造のアミノ酸との間に違いを生じるように改変される。次いで、改変された構造は、混成免疫グロブリンに組み立てられる。最後に、このモデルは、エネルギーの最少化によって、および全ての原子が互いに適切な距離内にあり、そして結合の長さおよび角度が化学的に受容可能な限界内にあるということを立証することによって、精密化される。このようなモデルは、ヒト枠組み構造内で置換されるμMAb PB1.3相補性決定領域を含む抗体の3次元構造を推定するための出発点として順番に提供され得る。さらなるモデルが、以下に議論されるさらなるアミノ酸置換が導入される場合の構造を示すように構築され得る。
(4)アミノ酸残基の置換
先に述べたように、本発明のヒト化抗体は、実質的にヒト免疫グロブリン由来の可変枠組み領域および実質的にμMAb PB1.3といわれるマウス免疫グロブリン由来の相補性決定領域を含む。μMAb PB1.3の相補性決定領域および適切なヒトアクセプター免疫グロブリンを同定したならば、次の工程は、得られたヒト化抗体の特性を最適化するために、これらの成分のうち、もしあれば、どの残基を置換するべきかを決定することである。一般に、ヒトアミノ酸残基をネズミのそれで置換することは、最少にとどめられるべきであり、何故ならネズミ残基の導入は、ヒトにおけるHAMA応答を誘起する抗体の危険性を増加させることになるからである。アミノ酸は、それらがCDRコンホメーションおよび/または抗原への結合に及ぼし得る影響に基づいて、置換のために選択される。そのような及ぼし得る影響の研究は、モデリング、特定の位置でのアミノ酸の性質の試験、または特定のアミノ酸の置換または変異の影響の経験的観測による。
μMAb PB1.3可変枠組み領域と、等しいヒト可変枠組み領域との間でアミノ酸が異なる場合、以下のことが穏当に予想されるならば、ヒト枠組みアミノ酸は、通常、等しいマウスアミノ酸によって置換されるべきである:
(1)アミノ酸が非共有結合的に抗原に直接結合する(例えば、μMAb PB1.3の位置H1、H2、およびL60のアミノ酸)
(2)アミノ酸が、CDR領域に近接し、Chothiaら(前出)によって提案された別の定義下ではCDRの一部であり、そうでなければCDR領域と相互作用している(例えば、CDR領域の約3Å以内にある)(例えば、μMAb PB1.3のH73、表1および3)、または
(3)アミノ酸がVL-VH接点に関係している。
置換のための他の候補は、その位置ではヒト免疫グロブリンに通常ではないアクセプターヒト枠組みアミノ酸である。これらのアミノ酸は、より代表的なヒト免疫グロブリンの同じ位置に由来するアミノ酸と置換され得る。あるいは、μMAb PB1.3の同じ位置に由来するアミノ酸が、そのようなアミノ酸が同じ位置のヒト免疫グロブリンの典型である場合にはヒト枠組み領域に導入され得る。
一般に、上記の基準を満たす全てのまたはほとんどのアミノ酸の置換が望ましい。しかし、時折、特定のアミノ酸が上記の基準を満たしているかについて曖昧さがあり、そして別の変異型免疫グロブリンが生成される。それらの一方は、その特定の置換を有するが、他方は置換がない。驚いたことに、再構成MAb PB1.3(HBLD)といわれる例示されるヒト化抗体は、ヒトH鎖可変領域枠組み残基の1置換のみ、およびヒトL鎖可変領域枠組み残基の2置換のみを含み、そしてネズミ抗体またはヒト定常領域に融合された完全なネズミ可変領域を有するキメラ抗体(chi MAb PB1.3という)に対して実質的に同様の(2倍内で)結合親和性を示す。
本発明のいくつかのヒト化抗体は、ヒトL鎖枠組み残基の相当するμMAb PB1.3残基による置換を、以下の位置の少なくとも1、2、または3カ所、および時には4カ所で含む:L21、L46、L60、およびL70(表2および4参照)。いくつかのヒト化抗体は、通常、ヒトH鎖枠組み残基の置換を、以下の位置の少なくとも1、2、または3カ所、および時には4カ所で含む:H1、H2、およびH71およびH73(表1および3参照)。多くのヒト化抗体は、L鎖およびH鎖の両方の可変枠組み領域の置換を含む。好ましい抗体は、ヒトH鎖枠組み残基の少なくとも位置H71での置換およびヒトL鎖の枠組み残基の少なくとも位置21および46での置換を含む。
通常、ヒト化抗体のCDR領域は、μMAb PB1.3抗体内の相当するCDR領域と実質的に同一であり、そしてより通常には同一である。通常は望ましくないが、得られるヒト化免疫グロブリンの結合親和性に目に見えるほどの影響を及ぼさずに、CDR残基の1つまたはそれ以上の同類アミノ酸置換を行うことが、時として可能である。時折り、CDR領域の置換は、結合親和性を高める結果となり得る。
上記で議論した特異的なアミノ酸置換に関する以外に、ヒト化免疫グロブリンの枠組み領域は、それらが由来するヒト抗体の枠組み領域と通常実質的に同一であり、そしてより通常には同一である。もちろん、枠組み領域内の多くのアミノ酸は、抗体の特異性または親和性に直接的にはほとんどあるいは全く寄与しない。従って、枠組み残基の多くの個々の同類置換は、得られるヒト化免疫グロブリンの特異性または親和性に目に見えるほどの変化を与えないならば、許容され得る。しかし、一般にこのような置換は望ましくない。
(5)可変領域の生産
ヒト化免疫グロブリンのCDRおよび枠組み成分を概念的に選択するときに、種々の方法は、このような免疫グロブリンを生産するために利用され得る。コードの縮重のために、種々の核酸配列は、各免疫グロブリンのアミノ酸配列をコードする。所望の核酸配列は、新規固相DNA合成によりまたは初期調製した所望のポリヌクレオチドの変異型のPCR変異誘発により生産され得る。オリゴヌクレオチド仲介変異誘発は、標的ポリペプチドDNAの変異型の置換、欠失、および挿入を調製する好ましい方法である。Adelmanら、DNA 2:183(1983)を参照のこと。簡単に言うと、標的ポリペプチドDNAは、所望の変異をコードするオリゴヌクレオチドを一本鎖DNA鋳型にハイブリダイズすることにより改変される。ハイブリダイゼーション後、DNAポリメラーゼを用いて、オリゴヌクレオチドプライマーを組み込む鋳型に対する完全な第二の相補鎖を合成し、そして標的ポリペプチドDNAで選択した改変をコードする。
(6)定常領域の選択
上記のように生産したヒト化抗体の可変セグメントは、代表的には免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、代表的には、ヒト免疫グロブリンの少なくとも一部に連結される。ヒト定常領域DNA配列を、周知の手順により種々のヒト細胞から、しかし好ましくは不死化B細胞から単離し得る(Kabatら、同上、およびWO87/02671を参照のこと)(それらのそれぞれを、全体として全ての目的について参考として援用する)。通常、抗体は、L鎖およびH鎖定常領域の両方を含有する。H鎖定常領域は、通常、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、およびCH4部を含む。
ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA、およびIgEを包含する全ての型の定常領域、ならびにIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を包含するあらゆるイソタイプの定常領域を有する抗体を含む。ヒト化抗体が細胞障害活性を示すことが所望される場合、定常ドメインは、通常、補体結合定常ドメインであり、そしてそのクラスは代表的にはIgG1である。このような細胞障害活性が所望され得ない場合、定常ドメインは、IgG4クラスであり得る。ヒト化抗体は、1より多くのクラスまたはイソタイプ由来の配列を包含し得る。
(7)発現系
ヒト化L鎖およびH鎖可変領域をコードし、任意に定常領域に連結する核酸は、発現ベクター中に挿入される。L鎖およびH鎖は、同じまたは異なる発現ベクターにクローン化され得る。免疫グロブリン鎖をコードするDNAセグメントは、免疫グロブリンポリペプチドの発現を確実にする1または複数の発現ベクター中の制御配列に作動可能に連結され得る。このような制御配列は、シグナル配列、プロモーター、エンハンサー、および転写終止配列を含む。発現ベクターは、代表的には、エピソームとしてまたは宿主染色体DNAの組込み部分としてのいずれかで宿主生物で複製可能である。通常、発現ベクターは、選択マーカー、例えば、テトラサイクリンまたはネオマイシンを包含し、所望のDNA配列で形質転換したこれらの細胞の検出を可能にする(例えば、米国特許第4,704,362号を参照のこと)。
E.coliは、本発明のポリヌクレオチドのクローニングに特に有用な1つの原核生物宿主である。使用に適するその他の微生物宿主は、Bacillus subtilusのようなバチルス、およびSalmonella、Serratia、および種々のPseudomonas種のような他の腸内細菌を包含する。これらの原核生物宿主においては、1つがまた発現ベクターを作成し得、それは代表的には、宿主細胞と適合可能な発現制御配列を含む(例えば、複製起点)。さらに、かなり多数の種々の周知のプロモーターが存在し得、例えば、ラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、β-ラクタマーゼプロモーター系、またはラムダファージ由来のプロモーター系である。プロモーターは、代表的には転写および翻訳の開始および終了のために、任意にオペレーター配列とともに、発現を制御し、そしてリボソーム結合部位配列などを有する。
酵母のような他の微生物もまた、発現に使用され得る。Saccharomycesは、所望のようにプロモーターのような発現制御配列を有し、3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖酵素、および複製起点、終止配列などを包含する適切なベクターを有する好ましい宿主である。
微生物の他に、哺乳動物組織細胞培養物もまた用いられ、本発明のポリペプチドを発現および生産し得る(Winnacker、From Genes to Clones(VHC Publishers,N.Y.,N.Y.,1987を参照のこと)。完全な免疫グロブリンを分泌し得る多くの適切な宿主細胞株が開発されているため、真核細胞は実際には好ましい。本発明の免疫グロブリンをコードする核酸の発現に好ましい適切な宿主細胞には、以下が挙げられる:SV40で形質転換したサル腎臓CV1株(COS-7,ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293)(Grahamら、J.Gen.Virol.36:59(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞DHFR(CHO,UrlaubおよびChasin,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)77:4216(1980));マウスセルトリ細胞(TM4,Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76,ATCC CRL 1587);ヒト頚部癌腫細胞(HELA,ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK,ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A,ATTC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2,HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562,ATCC CCL51);および、TRI細胞(Matherら、Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-46(1982));バキュロウイルス細胞。
目的のポリヌクレオチド配列を含むベクター(例えば、H鎖およびL鎖をコードする配列および発現制御配列)を周知の方法により宿主細胞に移し得、それは、細胞性宿主の型に依存して変わる。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションは、通常原核細胞に有用であるが、リン酸カルシウム処理またはエレクトロポレーションは、他の細胞性宿主にとって有用であり得る。(Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Press,第2版、1989を一般的に参照のこと)(全体として全ての目的について参考として援用する)。H鎖およびL鎖を別々の発現ベクターにクローニングする場合、ベクターを同時トランスフェクトし、完全な免疫グロブリンの発現および会合を得る。組換えDNAの導入後、免疫グロブリン生成物を発現する細胞株は、選択された細胞である。安定した発現の可能な細胞株が、好ましい(すなわち、細胞株の50継代後、減少していない発現レベル)。
一旦発現すると、本発明の全体の抗体、それらの二量体、個々のL鎖およびH鎖、または他の免疫グロブリンの形態を、硫酸アンモニウム沈澱、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む当該分野の標準手順により精製し得る(Scopes,Protein Purification(Springer-Verlag,N.Y.,1982を一般的に参照のこと)。薬学的使用のために、少なくとも約90〜95%等質な実質的に純粋な免疫グリブリンが好ましく、そして98〜99%またはそれ以上の等質性が最も好ましい。
上記の組換え技術はまた、ヒトまたはネズミ抗体をコードする天然の配列の発現に使用され得る。このアプローチは、特に、不安定な細胞株として単離されるヒト抗体の発現に有用である。
III.抗体フラグメント
本発明の他の実施態様では、上記の完全な抗体のフラグメントが提供される。代表的には、これらのフラグメントは、P−セレクチンへの特異的結合について、それらのフラグメントが由来する完全な抗体と競合し、そして少なくとも107、108、109-1または1010-1の親和性で結合する。抗体フラグメントは、別々のH鎖、L鎖Fab、Fab'、F(ab')2、Fabc、およびFvを包含する。フラグメントは、完全な免疫グロブリンの酵素的または化学的分離により生産され得る。例えば、F(ab')2フラグメントは、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pubs.,N.Y.(1988)に記載のような標準方法を用いて、pH3.0〜3.5でペプシンを用いたタンパク質分解消化によりIgG分子から得られ得る。Fabフラグメントは、限定還元によるF(ab')2フラグメントから、または還元剤の存在下でのパパインを用いる消化による全体の抗体から得られ得る。(同上を参照のこと)。フラグメントはまた、組換えDNA技術により生産され得る。選択したフラグメントをコードする核酸のセグメントは、制限酵素での完全長のコーディング配列の消化により、または新規合成により生産される。通常、フラグメントは、ファージコート融合タンパク質の形態で発現される。この発現の様式は、セクションIVに記載のように抗体の親和性の鋭敏化に有用である。
IV.親和性鋭敏化抗体
上記の多くの免疫グロブリンは、可変領域および定常領域の両方で、結合特異性またはエフェクター機能を失わずに、あるいは結合親和性の過度の減少(すなわち、約107-1を下回る)なしに、非臨界(non-critical)アミノ酸置換、付加、または欠失を被り得る。通常、このような改変を導入している免疫グロブリンは、それらが由来するリファレンス免疫グロブリンに実質的な配列の同一性を示す。時々、変異した免疫グロブリンは、それが由来するリファレンス免疫グロブリンと比較して同じ特異性および増加した親和性を有するように選択され得た。ファージディスプレイ(Phage-display)技術は、このような免疫グロブリンの選択に強力な技術を提供する。例えば、Dowerら、WO 91/17271、McCaffertyら、WO 92/01047;およびHuse、WO 92/06204を参照のこと。
V.ハイブリッド抗体
本発明はまた、P−セレクチンに対するブロック抗体の特異性を共有するが、第二部分の特異的結合も可能であるハイブリッド抗体を提供する。ハイブリッド抗体では、1つのH鎖とL鎖とのペアーが、通常、抗P−セレクチン抗体由来であり、そして他のペアーは他のエピトープに対して生じる抗体由来である。これは、多機能性抗原価の特性、すなわち、少なくとも2つの異なるエピトープと同時に結合する能力を生じ、ここで少なくとも1つのエピトープは、ブロックP−セレクチン抗体が結合するエピトープである。このようなハイブリッドは、各成分の抗体を生産するハイブリドーマの融合により、または組換え技術により形成され得る。
免疫グロブリンはまた、他の遺伝子(例えば、酵素)由来の機能性領域に融合し、新規の特性を有する融合タンパク質(例えば、イムノトキシン)を生産し得る。
VI.核酸
上記の完全な抗体および抗体フラグメントは、核酸の発現により通常生産される。任意の抗体または本明細書中に記載の抗体をコードする全ての核酸は、明白に本発明に包含される。核酸の改変は、部位指向性(site-directed)変異誘発(GillmanおよびSmith,Gene,8:81-97(1979)およびRobertsら、Nature,328:731-734(1987)を参照のこと)のような種々の周知の技術により容易に達成される。本発明の多くの核酸は、μMAb PB1.3のH鎖およびL鎖をコードする核酸、または例示したそれらのヒト化誘導体に実質的な配列の同一性を示す。
VII.コンピューター
本発明の他の局面では、モニターまたはプリンターで抗体の三次元像を示すためにプログラムされたコンピューターが提供される。例えば、UNIXオペレーティングシステムの下で作動し、そして分子モデルパッケージQUANTA(Polygen Corp.USA)を用いるSilicon Graphics IRIS 4Dワークステーションは適切である。コンピューターは、ヒト化抗体の変異型のモデルの可視化に有用である。一般に、本発明の抗体は、十分な結合親和性を既に提供している。しかし、さらにより強い結合親和性を有する抗体が、特定のアミノ酸残基のさらなる変異により同定され得るようである。三次元像はまた、多くの非臨界アミノ酸を同定し、それは、抗体の結合親和性にさほど影響しない保存的置換の目的であり得る。
VIII.抗体の大スケールな生産
抗体の大スケールの生産について、安定な細胞は、それらの染色体に免疫グロブリンのH鎖およびL鎖をコードする遺伝子の複数のコピーを含むように生産される。複数のコピーは、細胞の染色体DNAの1つまたは複数の単離領域の増幅により得られる。増幅は、選択試薬、例えば、特定の増殖条件下で必須の細胞酵素(例えば、DHFR)を不活性化するメトトレキセート(MTX)(methotrexate)を用いて達成される。増殖、すなわち、DHFR遺伝子の複数のコピーの蓄積は、より大量のMTXへの応答で生産される、より大量のDHFRを生じる。増幅圧力は、内因性DHFRの存在にもかかわらず、培養液に絶えずより大量のMTXを添加することにより適応される。所望の遺伝子(ここでは、免疫グロブリンのH鎖およびL鎖をコードする遺伝子)の増幅は、同じまたは別の1つまたは複数のプラスミド上のDHFR遺伝子のコピーに各遺伝子を結合し、そして1つまたは複数のプラスミドを同時トランスフェクトすることにより達成される。MTXへの応答におけるDHFR遺伝子の増幅は、所望の免疫グロブリン遺伝子のコピー数に付随した増加を生じる。所望の遺伝子のコピー数の増加により、所望のヘテロローガスタンパク質の大量発現を生じる。約10〜100、20〜50、または約30μgのヒト化免疫グロブリン/106細胞/日を発現する安定な細胞株が好ましい。
IX.P−セレクチンフラグメント
本発明の他の局面では、P−セレクチンのフラグメントが提供される。このフラグメントは、P−セレクチンの5番目のC3b-C4b調節ドメイン由来のアミノ酸を含む(5番目のCRP)。このフラグメントは、μMAb PB1.3により結合したエピトープおよび/または抗体を競合することにより結合した近接エピトープを含む。このフラグメントは、通常、合計が5、10、20、25、50、75、100、または200までのアミノ酸を含む。ほとんどのフラグメントは、図34に示すヒトP−セレクチン配列の448位と467位との間のいくつかまたは全てのアミノ酸を含む。これらのアミノ酸は、μMAb PB1.3により特異的に結合したエピトープを定義する。多くのフラグメントでは、少なくとも5つの隣接するアミノ酸は、図34に示す448位と467位との間のアミノ酸配列由来である。他のフラグメントは、448位と467位との間のアミノ酸の隣接する完全なセグメントを含む。いくつかのフラグメントは、本質的にアミノ酸のこの隣接するセグメントからなる。これらのフラグメントでは、他のアミノ酸は、フラグメントの結合特異性または親和性に貢献する存在ではない。通常、いかなる記載の他のアミノ酸も存在しない。
本発明のポリペプチドフラグメントは、種々の用途を有する。このフラグメントは、P−セレクチンへの特異的な結合についてμMAb PB1.3と競合する抗体を生じるための免疫原として有用である。免疫原として定義されたフラグメントの使用は、所望の特異性の抗体を単離するために必要なスクリーニングの範囲を縮小する。ポリペプチドフラグメントはまた、上記の診断および治療方法に有用である。いくつかのフラグメントは、活性化好中球への結合について完全長のP−セレクチン分子と競合する。従って、これらのフラグメントは、活性化好中球化でのP−セレクチンとその1つまたは複数のリガンドとの相互作用による免疫系の仲介の疾患および症状の中断に有用である。いくつかのフラグメントはまた、これらの細胞の表面に存在するP−セレクチンとリガンドとの結合により、活性化好中球の存在をモニターするために有用である。小さなサイズのフラグメントは、特に、インビボ投与に続く効果的な送達に適切にする。排他的なヒト起源のフラグメントは、他の薬剤で生じ得る副作用の危険を減少する。
X.治療および診断方法
治療方法は、種々の疾患の処置の治療剤として、上記の抗体(全体および結合フラグメント)、およびP−セレクチンのフラグメントを使用する。治療剤は、広範囲な免疫系の疾患および障害の予防および治療処置に有用である。このような疾患および障害には、移植拒絶反応、移植片対宿主病、インスリン依存性糖尿病、多発性硬化症、スティッフマン症候群、リウマチ様関節炎、重症筋無力症、および全身性エリテマトーデスのような自己免疫疾患、ならびに炎症障害が挙げられる。薬剤はまた、結腸の癌腫および黒色腫のような循環癌細胞の接着を阻害する腫瘍の転移を抑制することに有用である。いくつかの治療剤は、P−セレクション分子の作用をそのリガンドで阻害するか、または中和することにより機能する。他の治療剤は、薬剤が標的するものに対するポリペプチドを有する細胞を殺すことにより機能する。
治療剤は、特に炎症および血栓病症状(外傷性ショック、発作、心筋梗塞、急性移植拒絶反応、凍傷損傷、仕切り症候群、および心肺バイパスに関する病態生理学症状から生じる後虚血性白血球仲介組織傷害(再灌流損傷)を含む)、急性白血球仲介肺損傷(例えば、成人呼吸窮迫症候群)、敗血症性ショック、例えば単純ヘルペスウイルスによる敗血症二次ウイルス感染に関連する創傷、急性期喘息のようなIgE仲介アレルギー反応、および慢性炎症状態(リウマチ様関節炎、アトピー性皮膚炎、および乾癬を含む)の処置に適切である。
虚血/再灌流損傷は、虚血(酸素欠乏)を起こす遮断された供給源を被っている器官へ血流の回復を起こす炎症状態である。再灌流により迅速に再生しない場合、虚血は、周辺細胞の死、および最終的に器官全体または患者の死を引き起こす。しかし、蓄積した証拠は、再灌流が、周辺組織に有害な影響をそれ自体が及ぼし得ることを示唆する。灌流の有害な影響は、回復した血流中の活性化好中球により仲介された炎症応答の少なくとも一部に生じると考えられる。数人の患者は全身虚血を有するが、他の虚血患者では、虚血は身体の特定の部分または器官に限られている。例えば、患者は、表皮、心筋、腎臓、大脳、脾臓、肝臓、棘状突起、内臓、肺、身体の一部、または身体全体の虚血を被り得る。本発明の治療剤は、このようなリンパ球とP−セレクチンとの相互作用を中和することにより機能する。
喘息を含む急性アレルギー症状の1つの主要な構成要素は、被験者が特異的に感受性である抗原で被験体にチャレンジした後のマスト細胞の脱顆粒である。マスト細胞の脱顆粒の結果は気管支収縮応答を包含し、そして白血球の蓄積により一部特徴づけられた炎症応答も包含する。ヒスタミンは、マスト細胞に他の炎症メディエーターとともに含まれ、血管内皮細胞上でP−セレクチンの発現を誘導し得、これはマスト細胞の脱顆粒がまた、P−セレクチンの発現およびそれに続く白血球の蓄積を生じ得ることを示している。マスト細胞の脱顆粒は、アレルギー症状の病原における重要な要素であるので、P−セレクチンに対する抗体の投与は、ヒトアレルギー症状の処置に有用である。
この方法は、特にヒトに有用であるが、家畜の被験体でも実施され得る。治療方法は、通常、生きている被験体の器官に適応される。しかし、虚血再灌流治療のようないくつかの方法は、特に受容体患者へこのような器官の移植を待っている場合、切開した組織に同様に適用し得る。治療方法はまた、エクスビボで実施され得る。
P−セレクチンに対して標的する治療剤および組成物はまた、他の分子に対して標的した抗原とを組合せて、特に異なった接着分子と反応するヒト化またはヒト抗体と組合せて用いられ得る。適切な免疫グロブリンには、CD11a、CD11b、CD18、E−セレクチン、L−セレクチン、およびICAM-1に特異的に免疫グロブリンが挙げられる。免疫グロブリンは、白血球、特に好中球の内皮細胞への結合を阻害するように、これらの接着分子のエピトープに結合すべきである。組合せ治療に用いる他の適切な抗体は、IL-1、IL-2、およびIFN-γのようなリンホカイン、およびそれらのレセプターに特異的な抗体である。このような抗体は、内皮細胞の活性化をブロックするように作用し、そしてそれにより炎症応答でのそれらの好中球との相互作用を抑制する。
本発明のブロックP−セレクチン抗体および薬学的組成物は、特に非経口投与、すなわち、皮下、筋肉、または静脈内の投与に有用である。多くの新規の薬物送達アプローチが開発されており、本発明の薬学的組成物もまた、これらの新規な方法を用いる投与に適切である。Langer,Science,249:1527-1533(1990)を参照のこと。
ブロックP−セレクチン抗体は、化学治療剤に直接的にまたは間接的に結合され得る。結合は、一般に当該分野で公知の手段により実施され得、レセプターを結合する免疫グロブリンの能力を実質的に阻害すべきでなく、または化学治療剤の活性を実質的に減少すべきでない。種々の化学治療は、標的のために結合され得る。例えば、結合され得る抗炎症剤には、免疫モジュレーター、血小板活性因子(PAF)アンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼインヒビター、リポキシゲナーゼインヒビター、およびロイコトリエンアンタゴニストが挙げられる。いくつかの好ましい分子には、シクロスポリンA、インドメタシン、ナプロキセン(naproxen)、FK-506、ミコフェノール酸(mycophenolic acid)などが挙げられる。同様に、抗酸化剤、例えば、スーパーオキシドスムターゼは、再灌流損傷の標的に有用である。同様に、抗癌剤、例えば、ダウノマイシン、ドキソルビシン、ビンブラスチン、ブレオマイシンなどは、標的され得る。
P−セレクチン標的はまた、両親媒性を介して、または水溶液中で集合体として存在する2特性分子(極性:非極性)を介して達成され得る。両親媒性は、非極性脂質、極性脂質、モノおよびジグリセリド、スルファチド、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸および塩を包含する。これらの分子は、乳濁液および泡、ミセル、不溶性単分子層、液晶、リン脂質分散液、およびラメラ層として存在し得る。これらは本明細書中で一般にリポソームと称する。これらの調製では、送達される薬物は、リポソームの一部として抗P−セレクチン免疫グロブリンが含まれるリポソーム中に取り込まれる。この実施態様では、免疫グロブリンがリポソームをP−セレクチン分子に対して効果的に標的する限り、免疫グロブリンは、P−セレクチン分子上の機能性エピトープを結合する必要がない。リポソームが、影響を受けた細胞の近接に運ばれる場合、それらは選択した治療組成物を送達する。
種々の方法は、例えば、本明細書に参考として援用される、Szokaら、Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467(1980)、米国特許第4,235,871号、第4,501,728号、および第4,837,028号に記載のようにリポソームを調製するために有用である。種々の標的剤(例えば、リガンド、レセプター、およびモノクローナル抗体)を用いるリポソームの標的は、当該分野で周知である。(例えば、米国特許第4,957,773号および第4,603,044号を参照のこと、それらの両方は本明細書に参考として援用されている)。標的抗原をリポソームに結合する標準方法が使用され得る。抗体標的したリポソームは、例えば、プロテインAを取り込むリポソームを用いて構築され得る(Renneisenら、J.Biol.Chem.,265:16337-16342(1990)およびLeonettiら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)87:2448-2451(1990)を参照のこと)。
非経口投与のための薬学的組成物は、通常、治療剤(例えば、P−セレクチンに対する抗体(完全または結合フラグメントまたはP−セレクチンフラグメント)の溶液、または受容可能なキャリア、好ましくは水性キャリアに溶解したいくつかのこのような薬剤のカクテルを包含する。種々の水性キャリアは、例えば、水、緩衝化水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシンなどが用いられ得る。これらの溶液は滅菌され、そして一般に粒子物質を含まない。これらの組成物は、従来の周知の滅菌技術により滅菌され得る。組成物は、pH調製剤および緩衝剤、張度調節剤など(例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなど)のような適切な生理学的条件に必要な薬学的に受容可能な補助剤を含み得る。これらの処方物中の抗体の濃度は、選択した投与の特定の様式により、広く、すなわち、約0.5重量%未満、通常または少なくとも約0.1重量%から、1.5重量%または2.0重量%程度までで変化し得、そして液体容量、粘度などに基づき最初に選択される。非経口的に投与可能な組成物を調製する実際の方法は、当業者に公知または明確であり、そして例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences,第17版、Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania(1985)にさらに詳細に記載され、これは、本明細書に参考として援用される。
本発明の抗体は、保存のために凍結乾燥され、そして使用の前に適切なキャリア中で再構成され得る。この技術は、従来の免疫グロブリンに有効であることが示され、そして公知技術の凍結乾燥および再構成技術が使用され得る。凍結乾燥および再構成は、抗体活性の損失程度の変化を導き得(例えば、従来の免疫グロブリンをともなうIgM抗体は、IgG抗体より大きな活性損失を有する傾向にある)、そして用いるレベルは、補正するために調節されなければならない。
本発明の抗体を含む組成物またはそのカクテルは、予防および/または治療処置のために投与され得る。治療の適応では、組成物は治療に十分な量で、または感染またはその合併症を少なくとも部分的に阻止するに十分な量で患者に投与される。これを達成するために十分な量は、「治療的有効投与量」として定義される。この使用の有効量は、疾患の重篤度および患者自身の免疫系の一般的な状態に依存するが、一般的に約0.05mg/kg体重〜約5mg/kg体重の範囲、好ましくは、約0.2mg/kg体重〜約1.5mg/kg体重の間である。
本発明の材料は、一般に重篤な病状、すなわち、生命の危機または潜在的な生命の危機の状態で使用され得る。このような場合、外来物質の最小化および本発明のヒトまたはヒト化抗体の形態により達成される「外来物質」拒絶(例えば、HAMA)の低確率を考慮して、これらの抗体を実質的にに過剰に投与することは、可能であり、処置する医師により所望され得る。
予防薬の適応では、本発明の抗体を包含する組成物またはそのカクテルは、既に病気ではない状態の患者の抵抗性を増強するために患者に投与される。このような量を「予約的有効投与量」と定義する。この使用において、正確な量はまた、患者の健康状態および免疫の一般的なレベルに依存するが、一般的には、上記の範囲にある。
この組成物の単回または複数回の投与は、処置する医師が選択する投与量レベルおよびパターンで実施され得る。いかなる場合においても、薬学的処方物は、患者を効果的に治療するに十分な量の本発明の免疫グロブリンを提供すべきである。
本発明の抗体(全体および結合フラグメント)およびP−セレクチンのフラグメントはまた、診断の目的のために使用され得る。これらの目的に十分な量は、「診断的有効投与量」として定義される。診断での使用において、正確な量は、患者の健康状態、投与の様式などに依存する。抗体は、標識されるかまたは非標識のいずれかであり得る。非標識抗体は、特定の免疫グロブリン定常領域に特異的な抗体のような抗体と反応する他の標識抗体(二次抗体)と組み合わせて用いられ得る。あるいは、抗体は直接標識され得る。多様な標識、例えば、放射性核種、蛍光体(fluorescer)、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素インヒビター、リガンド(特にハプテン)が使用され得る。
抗体(全体および結合フラグメント)は、P−セレクチンレセプターを有する細胞の存在の検出に有用である。このような細胞の存在は、炎症症状または疾患の診断であり、そして上記の治療方法の開始の必要性を合図し得る。診断は、患者から細胞試料を除去することにより達成され得る。次いで、個体の試料の細胞中のP−セレクチンレセプターの発現量を、例えば、固定した細胞の免疫組織化学染色により、または本発明の抗体を用いる細胞抽出物のウエスタンブロッティングにより決定する。P−セレクチンのフラグメントは、活性化好中球の存在、すなわち所望しない免疫応答を指示し得る存在のモニタリングに有用である。
診断はまた、標識抗体(好ましくは、ヒト化またはヒト抗体)のインビボ投与およびインビボイメージングによる検出により達成され得る。投与したMAbの濃度は、標的抗原を有する細胞への結合が、バックグラウンドシグナルと比較して検出可能であるに十分であるべきである。診断試薬は、カメライメージングのために放射性同位元素で、または磁気共鳴または電子スピン共鳴イメージングのために常磁性同位元素で標識され得る。
細胞試料中または個体からのイメージしたP−セレクチンのレベルの変化(代表的には上昇)は、臨床的に確立した正常なレベルの範囲外であり、試料を得た個体での所望しない炎症応答反応の存在を示し得、および/またはこのような反応を発生する(または通じて発達する)個体の素因を指示し得る。P−セレクチンはまた、識別マーカーとして使用されて、特定の系統の細胞および発達した起源を同定および分類し得る。このような細胞型特異的検出は、所望しない免疫応答の組織病理学的診断に用いられ得る。
キットはまた、目的の抗体を用いるために供給され得る。従って、本発明の主題の抗体組成物は、通常、容器に凍結乾燥した形態で、単独でまたは所望の細胞型に特異的な追加の抗体とともにのいずれかで提供され得る。抗体は、標識または毒素に結合され得、あるいは結合得ず、トリス(Tris)、リン酸塩(phosphate)、炭酸塩(carbonate)などのような緩衝剤、安定剤、殺生物剤、不活性タンパク質(例えば、血清アルブミン)など、および使用説明書のセットとともにキットに含まれる。一般に、これらの物質は、活性抗体の量に基づき約5重量%未満で存在し、そして通常、抗体濃度にも基づき少なくとも約0.001重量%の総量で存在する。しばしば、活性成分を希釈するために不活性増量剤または賦形剤を含有することが望ましく、賦形剤は、全組成物の約1〜99重量%で存在し得る。抗P−セレクチン抗体に結合し得る二次抗体をアッセイで使用する場合、二次抗体は、通常、別のバイアル中に存在し得る。二次抗体は、代表的には、標識に結合され、そして上記のように処方される。
以下の実施例を例示として提供するが、これらに限定されない。
実施例1
試薬の調製
この実施例は、実施例2および3の免疫化および実施例4のELISAに用いる試薬の調製または単離を記載する。
A.「古い血小板(outdated platelet)」
「古い血小板」から精製した血小板の調製物を、San Diego Blood Bankから得た。用いた方法は、Mooreら、J.Cell.Biol.112:491-499(1991)に記載の方法の改変であり、これは、本明細書に参考として援用されている。簡単に言えば、25ユニットの古い血小板に富む血漿を1200rpm(300×g)で10分間2回遠心分離し、混入している非血小板血球を取り除いた。次いで、精製した血小板の調製物を、0.1M NaCl、20mMトリス、および5mMベンズアミジン(Benzamidine)を含有する緩衝液で3回洗浄した。それはまた、3.8%クエン酸ナトリウム(sodium citrate)を含有していた。pHを1N HClで7.5に調節した。この精製した血小板を70℃で保存し、そして注射前にPBSで1回洗浄した。
B.精製したP−セレクチン
血小板の分画:洗浄した古い血小板を、本質的にMooreら、1991、同上に従って分画し、25ユニットの洗浄した血小板を、ロイペプシン中に100μMおよび4-(2アミノエチル)-ベンゼンスルホニル-フルオライド(AEBSF)中に1mMとし、ドライアイス/メタノール中で3回凍結−解凍し、そしてDounceホモジナイザーを用いて10ストロークでホモジナイズした。次いで、懸濁液をBeckman Ti 70ローターで4℃にて35,000rpmで60分間遠心分離した。この遠心回転からの上清は、「可溶性」P−セレクチン精製の出発物質であった。ペレットを30mlの1mM MnCl2、1mM CaCl2、5mMベンズアミジン-HCl、0.1M NaCl、20mMトリス、2% Triton X-100、pH7.5に再懸濁し、Dounceホモジナイザーを用いて10ストロークでホモジナイズし、そして4℃で1時間インキュベートした。次いで、懸濁液をBeckman Ti 70ローターで4℃にて35,000rpmで1時間遠心分離した。この遠心回転からの上清は、「膜結合」P−セレクチン単離の出発物質であった。
分画した血小板からのP−セレクチンの単離:次いで、「可溶性」および「膜結合」P−セレクチンを、以下の手順のいくつかまたは全てにより別々にさらに精製した。非イオン性デタージェントRennex 30(Accurate Chemical and Scientific Corp.)を、膜結合形態のP−セレクチンの単離のために全ての緩衝液中に0.1%の濃度で含有した。全ての緩衝液はまた、1mM CaCl2および1mM MnCl2を含有した。P−セレクチンを含有する画分をモノクロナール抗体PNB1.6を用いるウエスタンブロッティングにより検出した。
レンズマメレクチンのクロマトグラフィー:25ユニットの血小板からの「可溶性P−セレクチン」上清または「膜結合P−セレクチン」デタージェント抽出物を、Sepharose 4B(Sigma Chemical Co.,L-0511)に結合したレンズマメ由来のレクチン(レンズマメレクチン)のカラム(1.5×5.5cm)に通した。次いで、カラムを150mlの20mMトリス、0.1M NaCl、pH7.5で洗浄した。次いで、結合した糖タンパク質を、20mMトリス、0.5M NaCl、0.5Mα-メチルD-マンノピラノシド(alpha-methyl D-mannopyranoside)、pH7.5の10×3mlアリコートでカラムから溶出した。P−セレクチン含有画分をAmicon Centriprep 30で1.5〜2mlまで濃縮した。
ゲル濾過クロマトグラフィー:レンズマメレクチンのクロマトグラフィーからの濃縮した画分を、20mMトリス、0.1M NaCl、pH7.5で平衡化したToso Haas G3000 SW HPLCカラム(21.5mm×30cm)に注入した。カラムを0.75ml/分の流速で同じ緩衝液で溶出し、画分(1.5ml)を回収し、そしてウエスタンブロッティングで分析した。P−セレクチン含有画分をプールし、そしてAmicon Centriprep 30で1.5〜2mlまで濃縮し、続いて、20mMトリス、pH7.5で数回緩衝液を交換した。
ヘパリン-アガロースクロマトグラフィー:20mMトリス、pH7.5中の試料を、ヘパリン-アガロースの1mlのカラムにアプライし、カラムを同じ緩衝液で洗浄し、そして20mMトリス、1.5M NaCl、pH7.5で溶出した。
陰イオン交換クロマトグラフィー:画分を、20mMトリス、pH7.5中で透析し、そして20mMトリス、pH7.5で平衡化したToso Haas DEAE-5PWカラム(7.5mm×7.5cm)に注入し、そして1M NaClまでの塩グラジエントで溶出した。P−セレクチン含有画分をプールし、そしてAmicon Centriprep-30で濃縮し、そして-80℃で保存した。
陽イオン交換クロマトグラフィー:試料を10mMリン酸塩、pH7中で透析し、そして同じ緩衝液で平衡化したPoros CM/P(4.6/100)カラムに注入し、そして1M NaClまでの塩グラジエントで溶出した。
C.新鮮なヒト血小板の単離および活性化
血小板単離手順を通じて用いた全ての化学薬品を、Sigma Chemical Company,St.Louis,MOから入手した。
1.42mlの血液を、ヒトボランティア血液ドナーから7mlの酸クエン酸デキストロース抗凝血物質(Acid Citrate Dextrose anticoagulant)(ACD)を含むシリンジに採取した。
ACD抗凝血物質の調製
デキストロース 2.0g
クエン酸ナトリウム 2.49g
クエン酸 1.25g
蒸留水で100mlにする
2.針を取り外し、そして血液を2つの滅菌50mlチューブに移した。
3.チューブを921ヘッドを備えたIECC-6000遠心機(半径=17.2cm)で800rpm(約90×g)にて15分間室温でブレーキをオフにして遠心分離した。
4.上清をプラスチックピペットを用いて除去した。上清をできるだけバフィー層(buffy layer)付近まで除去した。
5.上清を1200rpm(約300×g)で6分間遠心分離した。
6.上清を除去した。
7.上清を2000rpm(約1200×g)で10分間遠心分離した。血小板は、チューブの底に細胞ボタンとして現れた。上清を捨てた。
8.血小板を以下のように洗浄した:プロスタグランジンE1(100nMの最終濃度でPGE1)を含有する2mlのTyrode-Hepes緩衝液pH6.5を添加し、そして血小板を穏やかに再懸濁した。同じ緩衝液のさらに10mlを添加し、そして試料を3000rpmで10分間遠心分離した。
Tyrode-Hepes緩衝液の調製
NaCl 8.0g
KCl 0.2g
NaH2PO4H2O 0.057g
MgCl26H2O 0.184g
NaHCO3 0.1g
デキストロース 1.0g
HEPES 2.383g
蒸留水で1リットルにする。1N NaOHでpH6.5に調節する。
9.工程#8をもう一度繰り返し、そして次いで、血小板を1回PGE1
含まない同じ緩衝液で洗浄した。
10.血小板をCoulter Counterで計数し、そして2×108/mlまで希釈した。
11.血小板懸濁液のpHを7.2に調節し、そして最大活性化に必要なトロンビン(Human thrombin-Sigma)の量を決定した。ドナーのある量の変動があるが、最適の活性化は0.25〜0.5ユニット/mlの範囲で正常に得られる。最大活性化、すなわち、最大トロンビン誘導凝集は、P−セレクチンの最大発現に一致するようである。
12.トロンビンの必要量を、血小板調製物に添加し、そして混合物を室温で20分間、凝集を妨げる撹拌をせずに放置した。
実施例2
ブロックP-セレクチン抗体の調製
この実施例は、μMAb PB1.3、すなわちトロンビン活性化血小板の好中球への結合を阻害するP−セレクチンに対するモノクローナル抗体の調製を記載する。
1匹のRBF/DnJ雄マウスを、Jackson Laboratoriesから得て、抗体生産細胞の供給源として用い、そして以下のスケジュールにより免疫した(全ての注射を、腹腔内に行った):
1.1カ月目−約6×109の血小板を含む200μlのパックした「古い血小板」
2.2カ月目−250μlのパックした「古い血小板」(8×109の血小板)
3.4カ月目−250μlのパックした「古い血小板」(8×109の血小板)
4.5カ月目−レンズマメレクチンで単離したP−セレクチンの「可溶性」画分。
5.6カ月目−レンズマメレクチン、ゲル濾過、ヘパリン−アガロース、およびイオン交換クロマトグラフィーにより精製した「可溶性」P−セレクチン。
免疫に用いた全ての試薬の調製の詳細は、実施例1に示す。
A.骨髄腫融合細胞株
FOX-NYは、アデノシンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)およびヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)を欠失したマウス骨髄腫細胞株であり、アメリカンタイプカルチャーコレクション(CRL 1732)から得られ、そして10%ウシ胎児血清(Hyclone)および1%L-グルタミンを含有するRPMI 1640で維持した。
B.細胞融合手順
最後のブーストの4日後に、脾臓を取り出し、そして1.2×108の脾臓細胞を回収した。これらを、PEG 1500(BMB)を用いて、以下のプロトコルを用いて、FOX-NY骨髄腫細胞と融合した:単離した脾臓細胞を無血清細胞培地で2回洗浄した。脾臓細胞および骨髄腫細胞を1:4.8(骨髄腫細胞:脾臓細胞)の比で合わせた。合わせた細胞ペレットを、無血清培地で2回洗浄し、次いで吸引して乾燥した。細胞ペレットを穏やかにたたいて再懸濁し、そして37℃で1分間水浴で加熱した。ペレットを50mlの円錐形の遠心チューブの側面および底の周辺に分配した。予め37℃まで温めたPEG1500(75mM HEPES中に50%w/v、BMB Lot # 14702800)の1mlを、細胞の薄層を維持するためにチューブを回転しながら60秒にわたり添加した。1mlの無血清培地をゆっくりと60秒にわたり添加した。さらに、1mlの培地を少し速めに添加した。さらに、8mlの培地を添加し、そしてチューブを8分間静置し、そして次いで、300×gで5分間遠心分離した。最終ペレットを、10%ウシ胎児血清(Hyclone)、1%L-グルタミン、1%ピルビン酸ナトリウム、および1×AAT(Sigma)を含むRPMI 1640に再懸濁した。細胞を、10枚の平底96ウエルマイクロタイタープレート(COSTAR)に撒いた。支持細胞は用いなかった。
実施例3
非ブロック抗P−セレクチン抗体の調製
この実施例は、mAB PNB1.6、トロンビン活性化血小板の好中球への結合を阻害しないP−セレクチンに対するモノクローナル抗体の調製を記載する。
1匹のRBF/DnJ雄マウスを、Jackson Laboratoriesから得て、抗体生産細胞の供給源として用い、そして以下のスケジュールにより免疫した(全ての注射を腹腔内に行った):
1.1カ月目−100μlのトロンビン活性化新鮮単離血小板(約3×109の血小板)
2.2カ月目−200μlのトロンビン活性化新鮮血小板(6×109の血小板)
3.4カ月目−100μlのトロンビン活性化新鮮血小板(3×109の血小板)
最後のブーストの4日後に、脾臓を取り出し、そして脾臓細胞を回収した。これらを、Oiら、「免疫グロブリン産生ハイブリッド細胞株」Selected Methods in Cellular Immunology,MishellおよびShiigi編、pp351-372、1980に記載のように、一般的にPEG 1500(Sigma)を用いて、FOX-NY骨髄腫細胞と融合した。この文献は、参考として本明細書中に援用されている。
実施例4
抗体のスクリーニング
この実施例は、実施例2および3で生産した融合細胞由来の上清培地のスクリーニングを記載する。実施例2からの上清を、(a)トロンビン活性化血小板、(b)精製P−セレクチン、および(c)組換えP−セレクチンに対するELISAアッセイでテストした。実施例2からの上清を、トロンビン活性化血小板に対するELISAアッセイでテストした。これらのアッセイのそれぞれを以下に記載する。各アッセイで用いた試薬の調製は、実施例1に記載する。
A.トロンビン活性化血小板
1.96ウエル平底COSTARプレートを、0.1%ゼラチン(2%ゼラチン-Sigma)で100μl/ウエルを添加し、そして37℃で15分間インキュベートすることによりコートした。
2.ゼラチンを除去し、そして100μlのトロンビン活性化血小板(108/ml)を各ウエルに添加した。
3.プレートを37℃で15分間インキュベートした。
4.プレートを800rpm(90×g)で2分間遠心分離した。
5.結合していない血小板を除去し、そしてプレートをPBSで2回洗浄した。
6.1%BSAを含有する100μlのPBSを各ウエルに添加し、そしてプレートを室温で60分間放置した。
7.100μlの上清を各ウエルに添加した。プレートを室温で60分間振とう機に置いた。
8.プレートをPBSで4回洗浄した。
9.1%BSAを含有するPBSで1/1000希釈したペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウスIgGの100μlを各ウエルに添加した。プレートを室温で30分間放置した。
10.プレートをPBSで7回洗浄した。
11.100μlのABTS基質システム(Kirkegaard and Perry,Laboratories,Inc.)を各ウエルに添加した。
12.プレートを室温で30分までの間発色させた。
13.ODをTitertek Multiskan MCC/340で414nmで測定した。
B.精製したP−セレクチン
1.レンズマメレクチンのクロマトグラフィー、ゲル濾過、およびDEAEカラムにより単離した「可溶性」または「膜結合」P−セレクチンを、DPBS(Dulbeccoのリン酸緩衝化生理食塩水はCaCl2(1mM)およびMgSO4(0.5mM)を含有するリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)である)に希釈し、そしてFalcon 96ウエルマイクロタイタープレート上に4℃で一晩コートした。
2.次いで、プレートをDPBS+1%BSAで1時間またはさらに長時間ブロックした。
3.次いで、アッセイする上清をウエルに添加し、そして室温で30〜60分間インキュベートした。
4.プレートをDPBSで洗浄し、そして次いで、ヒツジ抗マウスIgG西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体(Sigma A-6782,DPBS+1%BSA中1:1000)をウエルに添加し、そしてプレートを室温で1時間インキュベートした。
5.次いでプレートをDPBSで洗浄し、そしてTMB Microwell Substrate System(Kitkegaard and Perry Laboratories,Inc.)で発色させた。
C.組換えP−セレクチン
1.96ウエル平底プレートを、組換えP−セレクチン遺伝子でトランスフェクトした293の細胞クローンのプールの無血清培養液中に注いだ100μlのP−セレクチンで4℃にて一晩コートした。この上清は、少なくとも8ng/mlのP−セレクチンを含有し、そして希釈しないまたは培養液で1:8に希釈したいずれかでCOSTARプレートをコートした。
2.プレートをDulbecco's PBS(DPBS)で1回洗浄し、そして1%BSAを含有する200μlのDPBSで30分間室温でブロックした。
3.次いで、プレートを9ページのセクションAの工程7〜13に従ってELISAアッセイを行った。
D.P−セレクチンに対するmABのイソタイプ分析
μMAb PB1.3およびPNB1.6のイソタイプの分析は、両方のモノクロナール抗体が、マウス免疫グロブリンサブクラスのIgG1であることを示した。イソタイプの分類を、Boehringer Mannheim Mouse-Hybridoma-Subtypingキットの捕獲方法を用いて行った。
実施例5
P−セレクチンの検出
この実施例は、ウエスタンブロッティングによるP−セレクチンの検出を記載する。P−セレクチンを含有する試料を等量のSDS-PAGEサンプルバッファー(非還元)と混合し、100℃で加熱し、Novex8〜16%グラジエントゲルに流し、そしてニトロセルロースに電気泳動的に移した。次いで、ニトロセルロースメンブランをリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)+1%ウシ血清アルブミン(BSA)で少なくとも1時間ブロックした。次いで、メンブランを適切なモノクローナル抗体を発現するハイブリドーマ由来の組織培養上清またはPBS+1%BSA中の精製抗体(5μg/ml)のいずれかとともに室温で1時間またはさらに長時間インキュベートした。次いで、メンブランをPBS+1%BSAで数回洗浄し、そしてPBS+1%BSA中のヒツジ抗マウスIgG西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体(Sigma A-6782)の1:1000希釈液とともに1時間インキュベートした。次いで、メンブランを洗浄し、そしてバンドを、テトラメチルベンジジン/メンブランエンハンサー(Kitkegaard and Perry Laboratories,Inc.)で可視化した。
μMAb PB1.3およびPNB1.6の両方の組織培養上清で、140Kdの分子量を有するタンパク質が検出された。これは、精製P−セレクチンと同様に、可溶性血小板膜の調製において示された。
実施例6
ブロックP−セレクチン抗体による急性炎症損傷のインビボ阻害
この実施例は、本発明のブロックP−セレクチン抗体の急性肺損傷の処置能力を示すデータを提供する。この実施例では、全身の補体活性化を、ラットの血管へのコブラ毒因子(CVF)の注入により起こした。このモデルでの損傷は、すぐに発生し、そして好中球から生じた有毒酸素産物に依存することが知られている。
これらの研究のために、実施例2および3に記載の2つのモノクローナル抗体を用いた。この研究で特に重要なことには、ブロックP−セレクチン抗体μMAb PB1.3が、ヒト好中球へのトロンビン活性化ラット血小板の接着も阻害した(図1)。これらのデータは、μMAb PB1.3が、保存した機能性P−セレクチンエピトープを認識すること、およびブロックP−セレクチン抗体が他の炎症性損傷の治療に有用であり得ることを示唆する。
インビボの実験で、20ユニットCVF/kg体重を300gmの成熟雄Long-Evansラットに静脈注入した。これにより、内皮細胞および好中球の物理的な接触位置で間隙性毛細血管の内皮細胞に傷害を生じるとともに、血液好中球の肺内、血管内の迅速な腐骨形成を生じる。用いる場合は、μMAb PB1.3およびPNB1.6を総容量0.5mlでCVFと一緒に示した量で静脈内に注入した。ネガティブコントロール動物は、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を静脈内に0.5ml投与された。全ての場合において、注入物質はまた、痕跡量の(125I)-ウシ血清アルブミンおよび同類の(51Cr)-赤血球(RBC)を含有した。肺損傷のパラメータ(アルブミンの漏出およびRBCの溢出)を、確立された技術Mulliganら、J.Clin Invest.88:1396(1991)により30分で決定した。
これらの実験の結果を図2Aおよび2Bに示す。200μgのPNB1.6(非ブロック抗P−セレクチン抗体)とCVFとの同時注入は、未処理のCVFポジティブコントロールの値と比較した場合、肺損傷のいかなる縮小も起こさなかった。従って、PBS中のCVF PNB1.6を受けた動物を、リファレンスポジティブコントロールの値として用いた。100μgのμMAb PB1.3抗体をCVFとともに注入した場合、浸透率は、19.2%まで減少し(p=0.002)、そして出血は、37.5%まで減少した(p=0.001)(データを示す)。200μgのμMAb PB1.3抗体を添加した場合、浸透率は50.8%まで減少し(p<0.001)(図2A)、そして出血はそれぞれ70.0%(p<0.001)および70.1%(p<0.001)まで減少した(図2B)。
動物の一組のセットの肺をホモジナイズし、ソニケートし、そしてミエロペルオキシダーゼ活性(MPO)を肺の好中球含有量の概算を得るために測定した。MPOを、標準点順(Warrenら、J.Clin.Invest.84:1873(1989))に従って、ο-ジアニシジン(ο-dianisidine)の存在下でH2O2の分解により測定した。図3Aに示すように、100、200、または400μgのμMAb PB1.3での処置により、それぞれ、MPO含有量がリファレンス(未処理)ポジティブコントロール群の値より26%(p=0.024)、41%(p<0.001)、および50%(p<0.001)に減少した。200μgのPNB1.6を注射した動物では、MPO含有量が減少せず(図3A)、この抗体がCVF誘導肺損傷に対し防御する能力がないことに一致した。従って、ブロック抗体μMAb PB1.3の防御効果は、肺組織で好中球の蓄積を妨害するその能力と相関する。肺切片の透過型電子顕微鏡試験により、μMAb PB1.3での処置が、肺間隙性毛細血管内の好中球蓄積の減少、好中球の内皮細胞への接着の減少、および傷害を受けた内皮細胞の証拠の減少を生じることを確認した(図3B)。
CVFの静脈内注射後のP−セレクチンの肺発現を調査するために、さらなるラットの群にCVFを注入し、そして動物を0、5、10、15、20、および60分後に屠殺した。肺をO.C.T.で膨張し、急激に冷凍し、そして切片を得、そしてμMAb PB1.3を用いて免疫組織化学的技術によりP−セレクチンの存在について試験した。肺の血管内で検出し得る反応性は0分では少ししか見られなかったが、染色すると、5分で明確であり、そしてCVF注入後15分および20分で増加した。染色パターンは、肺細静脈および中隔域を、間隙性毛細血管の染色に一致するパターンに包含した。60分では、染色は、十分に現れなかった(データを示さない)。P−セレクチンは、CVF注入の前に、細胞内貯蔵顆粒中におそらく存在するが、内皮の表面へのP−セレクチンの移動は、そのμMAb PB1.3抗体との反応性を劇的に増強することが明白である。
実施例7
競合結合アッセイ
ヒト血液からの血小板の単離、トロンビンでの単離血小板の活性化、およびPMN(好中球)の単離の方法は、上記の実施例1に記載する。
トロンビン活性化血小板のP−セレクチンに対するモノクローナル抗体とのインキュベーション
a.20μlのトロンビン活性化血小板(2×108/ml)を24本の各エッペンドルフチューブ(1.5ml)に2組ずつ分配する。
b.これらのチューブの8本に、PNB1.6から精製した20μlのIgG画分を、1mM CaCl2を含有するTyrode-Hepes緩衝液(pH7.2)中10μg/mlの濃度で添加する。第二列目の8本のチューブに、1μg/mlの濃度で20μlの同じIgG調製物を添加する。第三列目の8本のチューブに、20μlの緩衝液のみを添加する。
c.混合して室温で20分間放置する。
d.各列の8本のチューブに、10μg/ml〜0.03μg/mlの範囲の濃度で、μMAb PB1.3から精製した20μlのIgG画分を添加する。
e.混合して室温で20分間放置する。
f.20μlの好中球を3×106/mlで添加する。
g.混合して室温で20分間放置する。
h.以下のように、顕微鏡で接着を評価する:各試料中の100の好中球を計数する。それが2またはそれ以上の血小板を結合する場合ポジティブとして、そして2未満と結合する場合ネガティブとして細胞を評点をつける。ポジティブ細胞のパーセントを計算する。
図1に示すように、トロンビン活性化血小板のμMAb PNB1.6での前処理は、それらの好中球へのP−セレクチン仲介接着をブロックするμMAb PB1.3の能力に影響しなかった。
実施例8
ブロックP−セレクチン抗体の結合の特徴付け
I(a)モノクローナル抗体の精製:モノクローナル抗体PNB1-6および84/26を、プロテインG Sepharose 4 Fast Flow(Pharmacia)のカラムに通すことにより組織培養上清から単離した。カラムをリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で十分に洗浄し、そして結合した抗体を、0.1Mグリシン-HCl pH2.7で0.2〜0.5容量の1Mトリス、pH8.8を含むチューブに溶出した。μMAb PB1.3の単離に用いた手順は、プロテインGに結合した抗体を、0.1M酢酸-HCl pH2.5で0.3容量の2Mトリス、pH10を含有するチューブに溶出することを除いて同一であった。抗体を含有する画分をプールし、そして4℃でPBSを数回変えて透析した。
(b)μMAb PB1.3アフィニティーカラムの調製:P−セレクチンの精製に使用するために、μMAb PB1.3を、製造会社のアフィニティーの説明書(Schleicher and Schuell)に従ってトレシル(tresyl)活性化アガロースに結合した。
(c)P−セレクチンの精製:上記のように調製した、洗浄した、古いヒト血小板に、1/100容量の5mg/mlロイペプチン、および1/100容量の35mg/ml AEBSF(Calbiochem)を添加した。混合した後、血小板をドライアイス/メタノール浴または液体窒素のいずれか中で、凍結−解凍を3回行い、Dounceホモジナイザーを用いて10ストロークでホモジナイズし、Beckman 70 TIローターで4℃にて35,000rpmで1時間遠心分離した。ペレットをDulbeccoのリン酸緩衝化生理食塩水(DPBS、Whittaker Bioproducts、約0.9μM Ca++および0.5mM Mg++を含有する)に再懸濁し、そして5mMベンズアミジン-HCl、100μMロイペプチン、および2%Triton X-100にした。懸濁液を再懸濁し、Dounceホモジナイザーを用いて10ストロークでホモジナイズした。4℃で1時間インキュベートした後、溶液を、再度Beckman 70TIローターで4℃にて35,000rpmで1時間遠心分離した。この上清をDPBS+0.05%Rennex 30(Accurate Chemical and Scientific Corp.)で平衡化したμMAb PB1.3-アガロースのカラムに通した。カラムを十分にDPBS+0.05%Rennex 30で洗浄し、そして結合したP−セレクチンを、0.1Mトリエチルアミン-HCL、0.05%Rennex 30、pH11.5で、0.1容量の1Mリン酸、pH6.8を含むチューブ中に溶出した。P−セレクチン含有画分をプールし、DPBS+0.05%Rennex 30に対して透析し、Centricon 30またはCentriprep 30スピン濃縮器(Amicon)のいずれかを用いて濃縮し、等分し、そして-80℃で保存した。
(d)ペプチドCQNRYTDLVAIQNKNE(Cys-Gln-Asn-Arg-Tyr-Thr-Asp-Leu-Val-Ala-Ile-Gln-Asn-Lys-Asn-Glu-NH 2 )の調製:ペプチドを、Applied Biosystems(Foster City,CA)430Aペプチド合成機で、アミノ酸活性化のために、Fmoc保護アミノ酸および2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBATU)エステルを用いて合成した。各アミノ酸は、慣例的に二重に結合されていた。Fmoc保護アミノ酸およびヒドロキシベンゾトリアゾールを、Applied Biosystemsから購入した。全ての溶媒を、Burdick and Jacksonから購入した。HBTUをRichelieu Biotechnologies(St.Hyacinthe,Canada)から購入した。ピペリジン(piperidine)およびトリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid)、無水酢酸(acetic anhydride)、チオアニソール(thioanisole)、フェノール(phenol)およびエタンジチオール(ethanedithiol)をSigma Chemical Corporationから購入した。Fmoc-Amide樹脂(Bachem Biosciences)をペプチド合成反応器に流し込み、そしてN-メチルピロリドン(N-methylpyrolidone)(NMP)で1回洗浄した。次いで、以下の操作を連続して行った:
1.Fmoc保護基を、NMP中の25%ピペリジンを用いる樹脂結合アミノ酸の処置により除去した。
2.樹脂をNMPで5回洗浄した。
3.N-α-Fmoc-L-グルタミン酸γ-t-ブチルエステル(N-α-Fmoc-L-Glutamic acid γ-t-butylester)、ジイソプロピルエチルアミン(diisopropylethylamine)、HBTU、およびNMPを含有する混合物を反応器に添加し、そしてボルテックス撹拌下で30分間反応した。
4.溶媒を排出し、そして樹脂をNMPで3回洗浄した。
5.工程(3)および(4)をあと2回繰り返した。
6.樹脂をNMPであと4回洗浄した。
工程1〜6をペプチドの各アミノ酸について繰り返した。最後の結合サイクルに続き、樹脂結合ペプチドをNMP中25%ピペリジンとの反応により脱保護し、NMPで7回洗浄し、そしてジクロロメタン(dichloromethane)で2回洗浄した。樹脂を真空中で24時間乾燥した。ペプチドを、2.5%エタンジチオール、5%チオアニソール、7.5%フェノール、および5%水を含むトリフルオロ酢酸での処理により樹脂から開裂した。ポリスチレン樹脂を、濾過によりトリフルオロ酢酸溶液から分離した。トリフルオロ酢酸を真空中でのエバポレーションにより除去した。粗ペプチドをジエチルエーテルで粉砕(triturate)し、そして水に溶解した。水を凍結乾燥により除去した。次いで、ペプチドを、モディファイアーとして各々0.1%TFAを含むアセトニトリル、水のグラジエントを用いて、C8カラム(VYDAC)の逆相HPLCにより精製した。
(e)モノクローナル抗体のビオチン化:抗体を0.1M重炭酸ナトリウム(sodium bicarbonate)、pH8.5に対し透析した。NHS-LCビチオン(Pierce)を0.3mg/mlになるよう添加した。室温にて2時間後、抗体をPBSに対して数回交換して透析した。
(f)ELISAのためのマイクロタイタープレートのコーティング:96ウエルマイクロタイタープレート(Falcon Microtest III)を、DPBS中で2μg/mlのアフィニティー精製P−セレクチンの50μl/ウエルで4℃にて一晩コートした。
(g)ウエスタンブロッティング:μMAb PB1.3、PNB1.6、および84-26は、血小板をSDS-PAGE泳動緩衝液(非還元)に溶解し、SDS-PAGEに供し、そしてニトロセルロースに移す場合、全て140KDの単一のバンドに結合する(データは示さない)。本発明者らはまた、μMAb PB1.3およびPNB1.6は、試料がβ-メルカプトエタノールで還元された場合、ウエスタンブロットでP−セレクチンをもはや認識しないことを見いだした。
II.モノクローナル抗体のP-セレクチンへの結合に対して2価陽イオンのキレート化の影響:2つのマイクロタイタープレートを、上記のようにアフィニティ精製P-セレクチンでコートした。プレート1を、200μl/ウェルのPBS+1%BSAでブロックし、一方、プレート2を、200μl/ウェルのDPBS+1%BSA(DPBSはCa++およびMg++を含む)でブロックした。1時間後、プレートを洗浄した(全ての洗浄を、プレート1についてはPBSで、プレート2についてはDPBSで行った)。25mM EDTAを含む25μlのPBS+1%BSAをプレート1のウェルに加え、そして25μlのDPBS+1%BSAをプレート2のウェルに加えた。1時間後、25μlの適切な抗体の希釈溶液を両方のプレートのウェルに加えた。プレート1に対する希釈溶液はPBS+1%BSAで、プレート2に対する希釈溶液はDPBS+1%BSAで調製された。1時間後、プレートを洗浄し、そして50μlのヒツジ抗マウスIgG西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体の1対1000倍希釈溶液を加えた(プレート1に対する希釈溶液はPBS+1%BSAで、プレート2に対する希釈溶液はDPBS+1%BSAで調製された)。1時間後、プレートを洗浄し、そして50μlのペルオキシダーゼの基質TMB(3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン、Kirkegaard and Perry Laboratories,Inc.)を加えた。適切なレベルまで発色した後、基質反応を、25μlの1Mリン酸の添加により停止し、そして450nmでの吸光度を読み取った。
図4は、Ca++およびMg++を含む緩衝液DPBSならびにPBS+25mM EDTA(2価金属陽イオンのキレート剤)における抗P-セレクチンモノクローナル抗体のP-セレクチンへの結合を示す。DPBS中に存在する2価陽イオンの濃度は、P-セレクチンへの好中球の接着を維持するに十分以上であり(Gengら、1991)、一方、キレート剤のEDTAは、25mMでP-セレクチンへの好中球の接着をブロックするのに十分以上である。全てのモノクローナル抗体のP-セレクチンへの結合は、EDTAの存在によりほとんど影響されない。このことは、Ca++が、結合を生じさせることに対し存在することを必要とされないことを示す。μMAb PB1.3は、ブロック抗体である。すなわち、これは、好中球の、例えば、活性化血小板上のP-セレクチンへの結合をブロックし得る。PNB1.6は、非ブロック抗体である。好中球のP-セレクチンへの結合をブロックする84/26の能力は、未だに完全には特徴付けされていない。これに対して、Gengらにより記述された抗P-セレクチンモノクローナル抗体の内、非ブロック抗体S12のみが、Ca++の非存在下で結合し得る。
III.μMAb PB1.3のP-セレクチンへの結合に対するペプチドCQNRYTDLVAIQNKNEの影響:マイクロタイタープレートを、上記のようにアフィニティ精製P-セレクチンでコートし、200μl/ウェルのDPBS+1%BSAで1時間ブロックし、そして洗浄した。μMAb PB1.3のDPBS+1%BSAによる希釈溶液を、PBSにおける0.35mg/mlのCQNRYTDLVAIQNKNE、またはコントロールとしてPBSのみのいずれかと混合した。1時間後、50μlの各抗体の希釈溶液をマイクロタイタープレートに加え、そして1時間インキューベートした。プレートをDPBSで洗浄し、そしてDPBS+1%BSAにおけるヒツジ抗マウスIgG西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体の1対1000倍希釈溶液を加えた。1時間後、プレートを洗浄し、基質TMBを加え、そして発色を停止し、そしてプレートを上述のように読み取った。
図5は、P-セレクチンのレクチンドメインの19〜34残基に相同であるペプチドCQNRYTDLVAIQNKNEは、このペプチドが0.35mg/mlの濃度で存在する場合、μMAb PB1.3のP-セレクチンへの結合に対して何の影響も有しないことを示す。このことは、P-セレクチンへの結合がこのペプチドにより部分的または完全にブロックされるモノクローナル抗体G1、G2、およびG3とこの特定のモノクロナール抗体とを区別する。
IV.CytelμMAb PB1.3、PNB1.6、および84/26が、お互いのP-セレクチンへの結合をブロックする能力:上記のようにアフィニティ精製P-セレクチンでコートしたマイクロタイタープレートを、DPBS+1%BSAで1時間ブロックし、そして洗浄した。50μg/mlのμMAb PB1.3、PNB1.6、または84/26のDPBS+1%BSA溶液25μlを、適切なウェルに加え、そして1時間インキュベートした。次いで、25μlのビオチン化抗体の希釈溶液(DPBS+1%BSA中)を加えた。次いで、プレートを、プラットホーム振盪器で1時間インキュベートした。洗浄後、50μlのストレプトアビジン西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体の1対1000倍希釈溶液を加え、そして1時間インキュベートした。DPBSで洗浄後、プレートを上記のように基質TMBで発色させた。
図6は、μMAb PB1.3、PNB1.6、および84/26のお互いのP-セレクチンへの結合を妨げる能力を示す。図6Aは、μMAb PNB1.6のみが、ビオチン化μMAb PNB1.6のP-セレクチンへの結合をブロックし得ることを示し、このことは、μMAb PB1.3および84/26が、μMAb PNB1.6とは異なるエピトープを認識しなければならないことを示す。同様に、図6Bにおいて、μMAb PNB1.6または84/26ではなくμMAb PB1.3が、ビチオン化PB1.3のセレクチンへの結合をブロックし得る。このことは、他の2つのモノクローナル抗体が、異なるエピトープを認識しなければならないことを示す。図6Cにおいて、μMAb PNB1.6ではなくμMAb 84/26およびPB1.3の両方が、ビオチン化μMAb 84/26のP-セレクチンへの結合をブロックし得る。
V.ブロックP-セレクチン抗体は、トロンビン誘発ヒト血小板凝集を阻害しない
この実施例は、P-セレクチン抗体のμMAb PB1.3およびPNB1.6が、トロンビン誘発血小板凝集を阻害しないことを示す。新鮮なヒト血小板を、前述のように単離し、そしてタイロード−ヘペス(Tyrode-Hepes)緩衝液(pH7.2)に2×108/mlの濃度で懸濁した。
血小板凝集測定は、Lumi aggregometer(Chrono-Log Corp.)において行った。アッセイのために、0.45mlの血小板懸濁液を標準シリコン化キュベットに入れた。これに、10μlの抗体またはビヒクルコントロールを加えた。5分後、37℃で、0.1単位のトロンビン(ヒト、Sigma)を加え、そして凝集を記録した。
血小板凝集をコントロール条件下、抗体非存在下で測定した場合、71単位の凝集反応を得た。同程度の凝集をμMAb PB1.3抗体を産生する細胞由来の10μlの非希釈培養上清の存在下に得た(図7)。異なる濃度のμMAb PB1.3(1〜100μg/ml)を、血小板懸濁液に加えた。どの濃度においてもμMAb PB1.3の血小板凝集は抗体非存在下で測定された反応と異ならなかった(図7)。
実施例9
ネコ心筋の虚血および再灌流におけるブロックP-セレクチン抗体、μMAb PB1.3のインビボ保護効果
ネコにおける心筋虚血および再灌流障害のモデルを、Tsaoら(Circulation 82:1402-1412(1990))の方法に従って実施した。簡単に言えば、雄ネコ(2.5〜3.5Kg)をペントバルビタールナトリウム(30mg/Kg,静注)で麻酔した。気管内チューブを正中切開により挿入し、そして全てのネコにHarvardの小動物用人工呼吸装置により断続的に正圧換気を施した。ポリエチレンカテーテルを外頸静脈に挿入し、そして右大腿静脈にカニューレを入れ、そして動脈血圧の測定のためにStathamのP23Ac圧トランスデューサーを接続した。正中開胸術を行い、心膜を切開し、そして心臓を露出した。2-0絹縫合糸を注意深く左前下行動脈(LAD)の起始部から10〜12mmの周りに置いた。30分の安定化期間の後、心筋虚血をLADの完全結紮により開始し1.5時間虚血させ、その後4.5時間再灌流した。ブロック(μMAb PB1.3)および非ブロック(μMAb PNB1.6)抗P-セレクチン抗体を、1mg/kgの用量で再灌流開始の10分前に静脈内投与した。
虚血心筋を、ニトロブルーテトラゾリウムで染色されない組織部分として決定し、そして危険領域の百分率として表現した。危険領域を、再灌流期間の終了時のLADの再閉塞に続く左心房内へのエバンスブルー染料の注入により決定した。従って、危険領域をネガティブ染色により決定した。
冠動脈リングの内皮依存性弛緩を、事前にトロンボキサンA2様物質U46619で収縮させたリングのアセチルコリン誘発弛緩を測定することにより測定した。データは、弛緩の百分率として表現した。
心筋内の好中球の蓄積を、ポリトロン(polytron)でホモジナイズした心筋組織のミエロペルオキシダーゼ活性として測定した。
これらの実験の結果を図8に示した。非ブロック抗P-セレクチン抗体μMAb PNB1.6で処置したネコにおいて、心筋虚血の範囲は、危険領域の33±5%であった。これに対して、PB1.3処置動物における虚血の範囲は、危険領域の15±3%で有意に(P<0.01)小さかった。アセチルコリンに対する内皮依存性弛緩はまた、μMAb PB1.3で処置されたネコから採取した虚血−再灌流冠動脈において、μMAb PNB1.6に比べて有意に保持された(67±6対11±3%、P<0.01)。これらの現象が心筋の白血球浸潤の減少に起因するということは、μMAb PNB1.6処置動物(136±12PMN/mm2)と比較して、μMAb PB1.3処置動物(64±7PMN/mm2)からの心筋組織におけるPMN数の有意な(P<0.1)減少により示唆される。
実施例10
P-セレクチンに対するヒト化抗体の作製
A.μMAb PB1.3の可変領域のクローニングおよび配列決定
μMAb PB1.3の単離は、実施例2に記載されている。全RNAをμMAb PB1.3を産生するハイブリドーマ細胞から単離した。μMAb PB1.3のH鎖およびL鎖の可変領域をコードするcDNAを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。完全なマウスの可変領域を、リーダー配列内でハイブリダイズされる変性プライマーとマウスのV-C結合部(junction)近傍の定常領域にハイブリダイズされる単一プライマーとの混合物を使用して増幅した。JonesおよびBendig、Bio/Technology 9:88-89(1991)ならびにBio/Technology 9:579(1991)を参照。PCR断片をクローニングし、そして配列決定した。μMAb PB1.3のH鎖およびL鎖の可変領域に対するヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列を、図9および10にそれぞれ示す。
B.μMAb PB1.3の可変領域の構造のモデリング
μMAb PB1.3のVLおよびVH領域の分子モデルを構築した。このモデルは、UNIXのオペレーティングシステム下で作動するSilicon Graphics IRIS 4Dワークステイション上に、そして分子モデリングパッケージQUANTA(Polygen Corp.,USA)を使用して構築された。μMAb PB1.3の可変領域のアミノ酸配列を、構造的に解明された免疫グロブリンの可変領域の配列と比較した。表1および2を参照。
C.再構成MAb PB1.3可変領域の設計
μMAb PB1.3の可変領域内に見出される基本骨格(framework)領域に最も類似する基本骨格領域を有するヒトの可変領域を、選択した。ヒトmAb DENのL鎖の可変領域およびヒトmAb 21/28'CLのH鎖の可変領域を基本骨格領域として選択して、μMAb PB1.3の対応する相補性決定領域(CDR)に結合した。Monoclonal Antibodies、2:Applications in Clinical Oncology(編集者 A.Epenetos:Chapman & Hall,1992、これは本明細書中で参考として援用される)に記載の方法を使用して、ヒトの基本骨格領域を改変した;特に、この中に記載のBendigら、CDR-移植によるマウスモノクローナル抗体のヒト化:抗ウイルスおよび抗腫瘍細胞抗体を用いた実施例を参照(これは本明細書中で参考として援用される)。再構成ヒト化PB1.3可変領域の設計図に導く可変領域のアミノ酸のアラインメントを、表1および2に示す。
H鎖可変領域の3種の異型を、モデリングし、そしてCY1748RHA、CY1748RHB、およびCY1748RHCと名付けた。これらの可変領域のおよびシグナルペプチドのヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列を、それぞれ図11、12、および13に示す。CY1748RHBの場合、CY1748RHAに保存された最初の2つのマウス残基(グルタミン酸およびアラニン)を、ドナーのヒトFR1内に見出される元のヒトアミノ酸(グルタミンおよびバリン)に転換して戻した。CY1748RHCの場合、コンピュータモデリングは、73位のネズミのリジンが、CDR2において残基55位(アスパラギン酸)で塩架橋を形成し得ることを示唆した。この場合には、リジンはH2ループの安定化に重要である。この位置のヒトスレオニン残基は、このような塩架橋を形成するためには使用され得ない。従って、異型CY1748RHCは、CY1748RHAの73位でネズミのリジンを置換する。異型CY1748RHBは、最高数のヒトアミノ酸残基を含む。H鎖のこれら3種の異型間のアミノ酸の差異の要約を表3に示す。
L鎖可変領域の4種の異型を、モデリングして、そしてCY1748RLA、CY1748RLB、CY1748RLc、およびCY1748RLDと名付けた。これら可変領域のおよびシグナルペプチドのヌクレオチド配列のおよび対応するアミノ酸配列を、それぞれ図14、15、16および17に示す。コンピュータモデリングは、60位のネズミ残基のグルタミン酸が、P-セレクチン結合において重要であり得ることを示唆した。この残基は、異型CY1748LRAに組み込まれたが、異型CY1748LRBにおいては元のヒト基本骨格残基のセリンで置換された。ネズミのアスパラギン酸残基は、ループ1(L1)において残基24と電荷相互作用を有し、それゆえCY1748LRCは、70位でヒト基本骨格アミノ酸のグルタミン酸についてマウス残基アスパラギン酸の置換を除いて、CY1748LRAと同一である。CY1748LRDは、これらアミノ酸置換の両方を組み込み、そして4種の異型の中で最も多くの数のヒトアミノ酸残基を含む。L鎖のこれら4種の異型間のアミノ酸の差異の要約を表4に示す。
D.H鎖およびL鎖の可変領域をコードするcDNAの発現ベクターへのサブクローニング
(1)発現ベクターの構築
(a)pHCMV-1748RL-KR-neo
発現ベクターは、組換え免疫グロブリンL鎖の転写を駆動するためのヒトサイトメガロウイルス(HCMV)エンハンサーおよびプロモーター、安定な形質転換の間に優性選択可能マーカーとして作用するための細菌のneo遺伝子のコード配列、およびcos細胞において高レベルの一過性発現を与えるための複製のSV40起始部を含む。このベクターを構築するために、HCMVのPstI-m断片を含むpUC8ベクター由来のHindIII-SacII断片(Boshartら、Cell 41:521-530(1985))を、適切なアダプターオリゴヌクレオチドを使用してEcoRI-HindIII断片に変換した。3点連結(three-way ligation)において、HCMVのエンハンサー−プロモーターを含む1.2kbのEcoRI-HindIII断片を、pSV2neo由来の5.05kbのBamH-EcoRI断片(SouthernおよびBerg、J.Mol.Appl.Gener.1:327-341(1982))およびVLlysκL鎖可変領域を含む0.5kbのHindIII-BamHI断片(FooteおよびWinter、J.Mol.Biol.224:487-499(1992))に連結させた。pSV2neoにおけるHindIII部位を、クレノウポリメラーゼを用いる充填(filling-in)により予め取り除き、pHCMV-VLlys-neoと名付けられたベクターを作製した。
ゲノムヒトκ領域の-2.6kbのEcoRI断片を、クローニングし(Rabbittsら、Curr.Top.Microbiol.Immunol.113:166-171(1984))、そしてpUCベクターのpUCKR17内にサブクローニングした(Mengle-Gaw、EMBO J.6:1959-1965(1987))。BamHI部位を、EcoRI-BamHIアダプターを使用して、この断片の両末端に付加した。次いで、この断片を、pHCMV-VLlys-neoのBamHI部位に、適切な方向で挿入し、pHCMV-VLlys-KR-neoを作製した。再構成ヒト可変領域の挿入を容易にするために、ヒトκ定常領域の3'側のBamHI部位を、クレノウポリメラーゼを用いた充填により取り除いた。pHCMV-1748RL-KR-neoと名付けられた、得られたベクターにおいて、VLlysを含むHindIII-BamHI断片を、再構成抗体のVLで容易に置換する。
(b)pHCMV-1748-γ 1C-neo
VLlys κ L鎖を含む0.5kbのHindIII-BamHI断片に代えて、VHlysH鎖可変領域を含む0.7kbのHindIII-BamHI断片(Verhoeyenら、Science 239:1534-1536(1988);FooteおよびWinter、上述)を挿入することを除いて、このベクターの構築を、上記pHCMV-VLlys-neoの作製のための上述と同様な3点連結で始めた。ヒトγ1定常領域をコードするcDNAをBamHI部位に挿入して、pHCMV-VHlys-neoと名付けられたベクターを作製した。ヒトγ1定常領域をコードするcDNAを、PCR増幅により、ヒトγ1抗体を分泌するヒト細胞株からクローニングした。BamHI部位を、cDNAの各末端に生じさせ、そしてスプライシング受容体(splice acceptor)部位および65pbのイントロン配列を、cDNA配列の5-末端に導入した。次いで、スプライシング受容体部位およびイントロン配列に加えてヒトγ1cDNAを含むBamHI断片(1176bp)を、発現ベクター内にクローニングした。L鎖発現ベクターを用いたときのように、ヒトγ1定常領域の3'側のBamHI部位を、クレノウポリメラーゼを用いた充填により取り除いた。pHCMV-1748-γ 1C-neoと名付けられたこのベクターを用いて、不必要なVHlysを含むHindIII-BamHI断片を、再構成抗体のVHで容易に置換する。
(2)免疫グロブリンをコードする配列の挿入
μMAb PB1.3および3種のヒト化異型のH鎖可変領域をコードするcDNAを、標準的な技法により発現ベクターHCMV-γ 1C-neo中に挿入し、発現プラスミドHCMV-1747CH-γ 1C-neo、HCMV-1748RHA-γ 1C-neo、HCMV-1748RHB-γ 1C-neo、およびHCMV-1748RHC-γ 1C-neoを作製した。ヒトIgG1定常領域cDNAのヌクレオチド配列および対応するタンパク質配列は、Ellisonら、Nuc.Acids Res.10:4071-4079(1982)に示されている。CY1747(PB1.3)および4種のヒト化異型のL鎖可変領域をコードするcDNAを、発現ベクターHCMV-KR-neo内に挿入して、プラスミドHCMV-1747CL-KR-neo、HCMV-1748RLA-KR-neoなどを作製した。ヒトκ定常領域遺伝子のヌクレオチド配列および対応するタンパク質配列は、Hieterら、Cell 22:197-207(1980)(これは、そのまま全ての目的のために参考として援用される)に示されている。H鎖およびL鎖発現ベクターの概略地図を、図18および19に示す。H鎖およびL鎖の適切な組合せの同時発現により、数種の抗体が発現され得る。例えば、HCMV-1748RHA-γ 1C-neoおよびHCMV-1748RLA-KR-neoの同時発現は、再構成MAb PB1.3(HA/LA)を生じさせる。HCMV-1747CH-γ 1C-neoおよびHCMV-1747CL-KR-neoの同時発現は、χMAb PB1.3を生じさせる(すなわち、ネズミ可変ドメインおよびヒト定常ドメインを含むキメラ抗体)。
E.COS細胞のエレクトロポレーション
DNA構築を、χMAb PB1.3およびMAb PB1.3抗体の種々の再構成異型の一過性発現についてCOS細胞において試験した。DNAを、Gene Pulser装置(Biorad)を用いたエレクトロポレーションによりCOS細胞中に導入した。COS細胞を、トリプシン処理し、そしてリン酸塩酸緩衝化生理食塩水(PBS)中で1回洗浄した。DNA(H鎖プラスミドおよび適切なL鎖プラスミド各10μg)およびPBS中で1×107細胞/mlのアリコート0.8mlを、滅菌Gene Pulser Cuvette(Biorad、0.4cm間隔)中に置いた。パルスを、1900ボルト、25マイクロファラッド容量で射出した。周囲温度での10分間の回復期間後、エレクトロポレーションされた細胞を、10%のウシ胎児血清を含む20mlのDMEM培地(GIBCO/BRL)に加えた。48時間のインキュベーション後、培地を集め、遠心分離して、細胞性残骸を除き、そして短期間滅菌条件下に4℃で貯蔵した。
実施例11:ヒト化抗体の分析
トランスフェクトされたCOS細胞由来の培地をELISAによりアッセイし、産生されたヒト抗体のレベルを定量し、そして組換え可溶性P-セレクチン(rsP-セレクチン)への結合能を分析した。Immulonマイクロタイタープレート(Dynatech、#011-010-3355)を、100μl/ウェルの最終濃度12.5μg/mlのヤギ抗ヒトIgG(全分子、Sigma #I-1886)の溶液またはDulbeccoリン酸塩緩衝化生理食塩水(DPBS)で希釈したrsP-セレクチン(1.2mg/ml)の溶液でコートした。プレートを、4℃で一晩または37℃で2時間コートした。次いで、プレートをDPBSで3回洗浄した。次いで、プレートを、400μl/ウェルのDPBS+1%ウシ血清アルブミン(BSA、Sigma、#A-7888)で、1時間以上室温でブロックした。次いで、プレートをDPBSで3回洗浄した。
モノクローナル抗体のDPBS+1%BSAによる系列希釈溶液を、プレートに加え(100μl/ウェル)、そしてこのプレートを室温で1時間インキュベートした。次いで、このプレートを、DPBSで3回洗浄した。100μl/ウェルの、DPBS+1%BSAで1対1000に希釈した第2抗体(ヤギ抗ヒトIgGペルオキシダーゼ複合体、Sigma #A-8867)をプレートに加え、そしてこのプレートを室温で1時間インキュベートした。次いで、このプレートを、DPBSで3回洗浄した。100μl/ウェルのテトラメチルベンジジンペルオキシダーゼ基質/H2O2(TMB、Kirkegaard and Perry Laboratories #50-76-00)を、プレートに加え、そして適切な時間(通常3から15分)発色させ、そしてこの反応を100μl/ウェルの1-Mリン酸を添加することにより停止させた。プレートを、Titertek Multiskan MCC/340において450nmで読み取った。
全てのCOS細胞上清において産生された抗体の濃度を、このIgGのELISAの結果と既知の濃度のヒトIgG1抗体(κL鎖、Sigma #I-3889)とを比較することにより決定した。
P-セレクチン結合を、IgG濃度に対する光学密度としてプロットした。χPB1.3および再構成MAb PB1.3の種々の再構成異型の結合曲線を、図20、21、および22に示す。目的は、χMAb PB1.3と実質的に識別不可能な結合特性を示すヒト化抗体を選択することであった。1種より多いヒト化抗体が、そのような特性を示せば、最も多くのヒトアミノ酸残基を含む(すなわち最も少ないネズミのアミノ酸)ヒト化抗体が好ましく、なぜなら、この異型は、臨床使用においてHAMA応答を最も誘発しそうにないからである。H鎖CY1748RHAと同時発現した4種の再構成L鎖の全てが、χMAb PB1.3と同程度にrsP-セレクチンに結合する抗体を生成した。これらの内、L鎖可変領域CY1748LRDを、さらなる実験のために選択した。なぜなら、それは、ヒトアミノ酸残基を最も多く含むからである。H鎖可変領域CY1748RHAおよびCY1748RHBもまた、L鎖可変領域CY1748RLAおよびCY1748RLDと同時発現された場合、rsP-セレクチンをχMAb PB1.3と同程度に結合する抗体を生成した(図22)。これらのH鎖の内、CY1748RHBH鎖が好ましい。なぜなら、それが、ヒトアミノ酸残基を最も多く含むからである。従って、好ましいヒト化抗体が、L鎖DおよびH鎖Bから形成され、そして再構成MAb PB1.3(HB/LD)と名付けられた。
実施例12
CHO細胞における再構成MAb PB1.3(H B /L D )の安定な発現
A.ヒト化免疫グロブリン鎖のCHO細胞への導入
(1)ベクターの構築
(a)pHCMV-1748RH-γ 1C-dhfr
このベクターは、neo遺伝子が、不完全なSV40プロモーター−エンハンサー配列に連結したジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)遺伝子により置換されることを除いて、実施例11に記載したpHCMV-1748RH-γ 1C-neoと同一である。エンハンサー配列をSV40初期プロモーターから取り除くために、プラスミドDNAであるpSV2-dhfr(Subramaniら、Mol.Cell.Biol.1:854-864(1981))を、SphIおよびPvuIIで消化して、クレノウポリメラーゼを用いて充填して、そして自己連結させてpSV2-dhfr-ΔEを作製した。HCMVプロモーター、VHlysH鎖可変領域、およびヒトγ1定常領域のゲノムDNAクローンを含む-3.7kbのEcoRI断片を、プラスミドpHCMV-VHlys-γ 1-neoからEcoRIを用いて切り出した。この断片を、EcoRI消化pSV2-dhfr-ΔEに連結してpHCMV-VHlys-γ 1-dhfrを作製した。γ1定常領域のゲノムクローンを、実施例11に記述したヒトγ1定常領域のcDNAクローンを含むBamHI断片で置換した。次いで、ヒトγ1定常領域の3'側のBamHI部位を、実施例11の様にクレノウポリメラーゼを用いた充填により取り除いた。得られたベクターをpHCMV-174RH-γ C-dhfrと名付けた。不必要なVHlysを含むこのベクターのHindIII-BamHI断片は、再構成抗体のVHで容易に置換される。
(b)pHCMV-1748RH-γ 4-dhfr
このベクターは、ヒトγ4定常領域のゲノムクローンでのヒトγ1定常領域のcDNAクローンの置換を除いて、上記のpHCMV-1748RH-γ 1C-dhfrと同一である。このベクターを構築するために、ヒトγ4定常領域のゲノムクローンを含むDNAの-7.0kbのHindIII断片(Bruggemanら、J.Exp.Med.166:1351-1361(1987))を、pUC19のHindIII部位にサブクローニングして、428Dと呼ばれるプラスミドを作製した。ヒトγ4断片は、すでにその3'-末端近くにBamHI部位を有するので、サブクローンを、pUC19のポリリンカーにおいてBamHI部位の遠方にこの部位を置く方向にpUC19中に挿入した。7.0kbのヒトγ4断片を、BamHIを用いて428Dから切り出し、そしてpHCMV-VHlys-neoに連結して、プラスミドpHCMV-VHlys-γ 4-neoを作製した。
最終プラスミドを、HCMVのエンハンサー−プロモーターおよびpSV2-dhfr-ΔEプラスミド配列を含む5.4kbのBamHI-HindIII断片、再構成ヒト1748抗体VHを含む0.5kbのHindIII-BamHI断片ならびにヒトγ4定常領域のゲノムクローンを含む7.0kbのBamHI-BamHI断片の3点連結により構築した。
(2)免疫グロブリンをコードする配列の挿入
1748RHAH鎖可変領域をコードするcDNAを、発現ベクターHCMV-1C-dhfr中にクローニングし、HCMV-1748RHA-1C-dhfrを作製した。1748RHBをコードするcDNAを、発現ベクターHCMV-1C-dhfrおよびHCMV-4C-dhfr中にクローニングして、それぞれプラスミドHCMV-1748RHB-1C-dhfrおよびHCMV-1748RHB-4C-dhfrを作製した。ヒトIgG4定常領域遺伝子のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列はEllisonら、DNA 1:11-18(1981)により与えられている。ベクターHCMV-1C-dhfrおよびHCMV-γ 4C-dhfrを、各々κL鎖ベクターと同時発現した場合、ベクターHCMV-1C-dhfrは、IgG1のイソタイプ抗体を発現し、そしてベクターHCMV-γ 4C-dhfrは、IgG4のイソタイプ抗体を発現する。dhfr発現ベクターの概略地図を、それぞれ図23および24に示す。
CHO dhfr欠損細胞を、αMEM(+ヌクレオシド、GIBCO/BRL)および10%ウシ胎児血清中で増殖した。プラスミドDNAを、Gene Pulser装置を用いたエレクトロポレーションによりCOS細胞中に導入した。CHO細胞を、トリプシン処理し、そしてリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)中で1回洗浄した。DNA(H鎖プラスミドおよび適切なL鎖プラスミド各10μg)およびPBS中で1×107細胞/mlのアリコート0.8mlを、滅菌Gene Pulser Cuvette(0.4cm間隔)中に置いた。パルスを、1900ボルト、25マイクロファラッド容量で射出した。室温での10分間の回復期間後、エレクトロポレーションされた細胞を、20mlのMEM(+ヌクレオシド)/10%FBSに加えた。24〜48時間のインキュベーション後、細胞をトリプシン処理し、そして500μg/mlのG418(GIBCO/BRL、neoを含むプラスミドの発現を選択するため)を補ったαMEM(-ヌクレオシド)/10%透析FBS(dhfrを含むプラスミドの発現を選択するために)を含む100mmディッシュに置いた。培地を、コロニーが出現するまで3〜4日ごとに交換した。単一クローンを、クローニングシリンダーにより単離し、増殖しそしてELISAによりIgG産生について分析した。
3セットのDNAをCHO dhfr欠損細胞中に導入した:1)IgG1のイソタイプである再構成MAb PB1.3(HA/LA)を発現するHCMV-1748RHA-γ 1C-dhfrおよびHCMV-1748RLA-KR-neo;2)IgG1のイソタイプである再構成MAb PB1.3(HB/LD)を発現するHCMV-1748RHB-γ 1C-dhfrおよびHCMV-1748RLD-KR-neo;およびIgG4のイソタイプである再構成MAb PB1.3(HB/LD)を発現するHCMV-1748RHB-γ 4C-dhfrおよびHCMV-1748RLD-KR-neo。
CHO細胞を増殖し、そして10チェンバー(全表面積6000cm2)のNunc cell factoriesに接種した。培地を、72時間で採取し、そしてprotein-A Sepharose Fast Flow(Pharmacia)カラムに通した。このカラムを洗浄し、そしてウシIgGをpH4.5で溶出した。ヒト化抗体を、pH3.5で溶出し、PBSまたは20mM酢酸塩、0.15M NaCl、pH5.5において透析した。抗体濃度を、分光光度的に測定し、そしてELISAよりヒトIgGについて確かめた。(精製ヒトIgG4抗体(κ、Sigma #I-4639)を、μMAb PB1.3(HB/LD)IgG4イソタイプに対するコントロールとして使用した)。純度を、SDS-PAGEにより確かめた。
B.競合的結合アッセイ
再構成MAb PB1.3の種々の異型のP-セレクチンへの相対的結合アフィニティを、競合的ELISAアッセイにより測定した。このアッセイは、標識μMAb PB1.3のP-セレクチンへの結合を50%阻害する非標識抗体の濃度を測定する。
2mlの精製MAb PB1.3(1mg/ml)を、100.8μlのNHS-LC-ビチオン(1mg/ml、Pierce)と混合し、そして4℃で一晩インキュベートした。2.1mlの試料を、NAP 25カラム(サイズ溶出カラム、Pharmacia)に負荷した。カラムを、PBSを用いて0.3ml画分で溶出した。各画分を、280nmで読んだ。280nmでの光学濃度(O.D.)が最も高い画分をプールした。ビチオン化MAb PB1.3を、rsP-セレクチンに対して滴定して競合的結合アッセイのために使用する適切な濃度を選択した。
96-ウェルプレート(Microtest III、Falcon #3912)を、50μl/ウェルのrsP-セレクチン(DPBSにおいて2μg/mlまで希釈)で、4℃で一晩または37℃で90分間コートした。プレートを、逆さにして、そして残りの液体を軽くたたいて落とした。
コートされたプレートおよび別のブランクプレートを、200μl/ウェルのDPBS+1%ウシ血清アルブミン(BSA、Sigma #A-7888)で、室温で1時間ブロックした。ブランクプレートを、逆さにし、そして残りのブロッキング液を、軽くたたいて落とした。rsP-セレクチンをコートしたプレートは、抗体希釈期間の間ブロッキングを持続させた。系列希釈された試料抗体(DPBS+1%BSA中)を、50μl/ウェルでブランクプレートに加えた。抗体の最初の濃度は、100μg/mlであった。ビチオン化−PB1.3(DPBS+1%BSAにおいて0.3μg/mlまで希釈)を、50μl/ウェルでブランクプレートにおいて試料抗体に加え、そしてピペットで吸引および排出して混合した。rsP-セレクチンをコートしたプレートを、DPBSで3回洗浄した。試料抗体/ビチオン化−PB1.3混合物を、50μl/ウェルでrsP-セレクチンをコートしたプレートにピペッティングし、そして室温で1時間インキュベートさせた。次いで、プレートを、DPBSで3回洗浄した。
DPBS+1%BSAにおいて1:2000に希釈したストレプトアビジン西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体(Pierce #21124)を、50μl/ウェルでプレートに加え、室温で1時間インキュベートさせた。次いでプレートを、DPBSで3回洗浄した。
50μl/ウェルのテトラメチルベンジジンペルオキシダーゼ基質/H2O2(TMB、Kirkegaard and Perry Laboratories #50-76-00)を、プレートに加え、そして適当な時間(通常3から15分)発色させ、そしてこの反応を、50μl/ウェルの1Mリン酸添加により終了させた。プレートを、Titertek Multiskan MCC/340において450nmで読んだ。
見かけの結合アフィニティを、450nmでの最大光学濃度の1/2で、rsP-セレクチンに結合する抗体の濃度として表現する。試料抗体の1/2最大結合時の濃度とコントロール(非標識PB1.3)抗体のそれとの比は、試験抗体のrsP-セレクチンに対する相対的結合的アフィニティの推定値を提供する。
2つの代表的な競合的結合実験の結果を、図25および26に与える。第1の実験において、PB1.3(1.0μg/ml)の2倍量のIgG1イソタイプ、再構成MAb PB1.3(HALA)(2.0μg/ml)が、標識PB1.3の結合を最大値の50%まで阻害するために必要である。したがって、このヒト化抗体は、PB1.3の50%程度でrsP-セレクチンと結合する。同様に、第2の実験において、PB1.3/(HBLD)(IgG4イソタイプ)は、PB1.3の50%程度でraP-セレクチンと結合する。
実施例13
DHFR増幅によるCHO細胞における抗体産生の増大
CHO細胞を、フラスコに入れ、そして培地(T-25cm2フラスコに対しては8ml、またはT-75cm2フラスコに対しては20ml)を交換する前に集密(confluence)に到達させた。細胞を48〜72時間インキュベートした後、培地を採取し、そしてELISAによりIgG産生についてアッセイした。細胞をトリプシン処理し、そして数えた。抗体産生速度を、24時間内に1百万個の細胞により分泌される抗体の量としてマイクログラムで表した。
3から6種の最高産生クローンを、別々に増幅し、そして残存する7種の最良のクローンをプールし、そして増幅した。細胞を1×105細胞/100mmディッシュの密度で選択培地に置いた。第1ラウンドの増幅では、細胞を、500μg/mlのG418およびそれぞれ10、20または50nMメトトレキサート(Sigma #A-6770)を補ったαMEM(-ヌクレオシド)/10%透析FBSを含む3セットのディッシュ中に置いた。培養物は、4日ごとに培地を供給された。10〜14日で単一のコロニーを、クローニングシリンダーで単離し、増殖し、そしてIgG産生についてELISAによりアッセイした。追加のラウンドの増幅を、当初のメトトレキサート濃度の5〜10倍のメトトレキサート濃度で単一クローンあるいはクローンのプールについて行った。
表5は、PB1.3の3種のヒト化異型を発現するCHO細胞についての抗体産生の要約を提供する。再構成MAb PB1.3(HBLD)(IgG4イソタイプ)を発現する1つの増幅されたクローンが、0.2μg/106細胞/日未満で発現するクローンのプールから生じ、第1ラウンドで2.0μg/106細胞/日まで増幅され、そして第3ラウンド後には33.0μg/106細胞/日に達した。このクローンを選択し、再構成MAb PB1.3の大規模産生のために増殖した。
実施例14
バイオリアクター稼働
160gのコラーゲンをコートしたマイクロキャリアービーズ(150〜200ミクロン、JRH Biosciences #60142-100)を、800mlの滅菌水において30分間水和し、そして水を切った。ビーズを、800mlの水に再懸濁し、そして30分間オートクレーブした。室温まで冷却後、ビーズを、血清を含まない滅菌αMEM(-ヌクレオシド)で2回洗浄し、そして1lの完全培地αMEM(-ヌクレオシド)/5%透析FBSに再懸濁した。
細胞株CHO-48B4は、再構成MAb PB1.3(HBLD)(IgG4イソタイプ)を33.0μg/106細胞/日で発現するが、これを、αMEM(-ヌクレオシド)/10%透析FBS/500nMメトトレキサートを含む36個のT-225cm2に増幅した。細胞が集密に達した後、それらを、トリプシン処理し、そして2lの完全培地(メトトレキサートを含まない)に5.0〜8.0×104細胞/mlの最終濃度で再懸濁した。
1lのビーズ、2lの細胞懸濁液、および2lの新鮮な完全培地を、無菌状態でProteus 2000 Bioreactor(Wheaton)のオートクレーブした10l容器に加えた。上部空間を、空気および5%CO2で連続的に灌流した。細胞を、細胞/マイクロキャリアー懸濁液を70rpmで1分間および0rpmで59分間撹拌するようにProteusをプログラミングすることにより、マイクロキャリアーに付着させた。合計48サイクル後、5lの培地をバイオリアクターに加えた。バイオリアクターは、懸濁液を37℃、pH7.0、溶存酸素30%(that of air)および50rpmの連続的な撹拌を維持するようにプログラムされた。
3日後、(マイクロキャリアーをバイオリアクター内に残すために)収穫口(harvest port)に取り付けられた重力フィルターを利用して完全培地を5l/日で置換するようにバイオリアクターをプログラムした。採取した培地を、加工処理まで4℃で貯蔵した。蓄積した細胞残骸が培地収穫物(media harvest)を曇らせるまで(曝気障害に起因する)、バイオリアクターを5〜7日稼働した。
培地収穫物を、Millipak-60 0.45ミクロンフィルター(Millipore)を通過させることにより清澄化した。20lの濾過上清を、protein-A Sepharose Fast Flow(Pharmacia)のカラム(2.5×12cm)に0.55l/時間の流速で通した。全ての上清がカラムを通り抜けた後、カラムを1.5lのPBS(BioWhittaker、#17-516Y)で洗浄した。カラムを8×40mlの0.2M酢酸ナトリウムpH4.5で前溶出し、そして8×40mlの0.2Mグリシン、0.5M NaCl、pH3.5で溶出し、これらは両方とも10mlの2MトリスHCl、pH8.0を含むチューブに溶出した。280nmで最高の吸光度を有する単一画分を、20mM酢酸塩、0.15M NaCl、pH5.5に透析し、そして4℃で貯蔵した。
1日当たり200mgの抗体を、5〜7日間収穫した。精製収率は約50%であった。したがって、1回のバイオリアクター稼働により500〜700mgの精製抗体が得られる。
実施例15
ウサギ耳の再移植に続く虚血再灌流による組織障害に対するμMAb PB1.3の影響
ニュージーランドホワイトウサギを、ケタミンおよびキシラジンの組み合わせ、次いで耳基部へのリドカイン浸潤により麻酔した。左耳を、中心動脈、静脈および軟骨のブリッジをそのままにして部分的に切断した。全ての神経を分断し、耳を完全に麻酔状態にした。次いで耳を再付着させ、そして微小血管クリップを動脈を横切るように置いて、完全な虚血を生じさせた。ウサギを23.5℃に維持した部屋に6時間放置し、次いで微小血管クランプを取り除き、そして耳を再灌流させた。μMAb PB1.3(2mg/kg)か、あるいは生理食塩水またはイソタイプ(IgG1)を合わせたPNB1.6と呼ばれるマウスモノクローナル抗体(2mg/kg)のいずれかでの処置を、再灌流の直前に施した。耳体積を、水置換により7日間毎日測定し、組織浮腫を定量化した。7日目に壊死を全表面積の百分率として評価した。
耳の再灌流に続き、耳体積の有意な増加を、生理食塩水またはPNB1.6を投与されたコントロール動物において測定した(図27)。2種類のコントロール群間に差異を認めなかったので、これらのデータを1つにまとめた。浮腫の増加はまた、MAb PB1.3で処置した動物においても観察され、その増加の大きさは、測定した全ての時点でコントロール群で観察されたものよりも有意に小さかった。7日目に測定された壊死の範囲(図28)はまた、コントロール動物と比較して、μMAb PB1.3処置動物において有意に減少していた。
このように、再移植したウサギの耳の再灌流に続く虚血は、最初に浮腫応答を生じ、次いで広範囲の組織壊死を生じる。組織障害のこれら2種類の徴候は、抗P-セレクチン抗体μMAb PB1.3で前処置した動物において実質的および有意に減少する。
実施例16
イヌ骨格筋の虚血および再灌流後の血管開存性に対するμMAb PB1.3の影響
この実験は、単離イヌ薄股筋の虚血および再灌流モデルを利用する。再灌流障害の1つの様相は、事前に虚血した組織の微小循環を通る血流が、再灌流の後で存在しないかまたはひどく減少している、「無循環(ノー−リフロー)(no-reflow)」現象と呼ばれる現象である。
単離イヌ薄股筋標本を前述(Cardenら、Circ.Res.66:1436-1444(1990))のように利用した。簡潔には、雑種成イヌを、ペントバルビタールナトリウムで麻酔した。薄股筋を覆う皮膚を裂き、そしてブラント(blunt)切開により筋肉を結合組織からはずした。閉鎖神経を切断した。近位尾動脈および静脈をカニューレーションして、そして他の全ての側枝血管を結紮した。大腿動脈カニューレを定常流灌流ポンプに接続し、そして大腿静脈からのアウトフローを再灌流リザーバーに排出した。動脈圧および静脈圧を側分枝よりモニターし、そして血流を調節して灌流圧を100mmHgに維持した。灌流ポンプを停止した時に動脈灌流圧が20mmHg未満まで減少すれば、血管系の単離は完全であると仮定した。
微小血管開存性を、実験プロトコールの終了時に対比基質(インディアンインク)を用いた単離薄股筋の灌流によりアッセイした。コンピューター化ビデオ画像を使用して、4.5時間の連続灌流、4時間の虚血に続く0.5時間の再灌流または灌流液中に40μg/mlの濃度の抗P-セレクチン抗体μMAb PB1.3の存在下で虚血再灌流を受けた単離イヌ薄股筋から得られた組織学的切片における筋線維当たりのインクを含む微小血管(<10μm直径)の数を定量した。
虚血および再灌流プロトコールは、開存微小血管の数をコントロール動物において測定された値の36±3%までに減少させた。μMAb PB1.3が灌流液に含まれる場合、虚血および再灌流後の開存微小血管の数は、コントロールの119±18%であった。
このように、抗P-セレクチン抗体μMAb PB1.3は、虚血および再灌流イヌ薄股筋において、開存微小血管の数により決定した「無循環」現象の進展を完全に妨げた。
実施例17
組織マスト細胞の脱顆粒により誘発される白血球内皮細胞相互作用に対するμMAb PB1.3の影響
I.方法
a)生体顕微鏡
雄性ウィスターラット(200〜250g)を、Harlan Sprague Dawley、Indianapolisより入手し、そして外科的手順の前に12〜24時間絶食した。外科麻酔を、ケタミン/ロンプン(rompun)/アセプロマジンの筋肉内注射により導入した。カテーテルを左頸静脈に留置し、そして気管切開術を施し、自発呼吸を促進した。腹部を剃毛し、そして洗浄した。そして3/4インチの長さの切開を、いかなる出血をも避けることに注意を払いながら腹腔内に正中線に沿って行った。ラットを、生体顕微鏡使用手順用に特別に設計された顕微鏡台座上に置いた。回腸の血管がよく発達している後輪(posterior loop)を体外に取り出し、腸間膜を37℃に温められた視野台(viewing pedestal)に広げた。実験中終始、腸間膜は温められた重炭酸塩緩衝生理食塩水溶液(37℃、pH7.4)を2ml/分で表面灌流(superfuse)した。さらに、回腸をおよび腸間膜の視野領域の周縁領域を湿った状態に保つために、サランラップの小片(事前にアルコールに浸し、そして生理食塩水ですすいだ)を、これらの領域の上に置いた。微小循環床を、10倍の接眼レンズおよび20倍の対物レンズ(水浸、開口数0.4)を取り付けた生体顕微鏡(Mikron Instruments、San Diego)により観察した。顕微鏡に固定されたビデオカメラ(HitachiカラーCCD)、ビデオタイマー(American Video Equipment)、VCR(Sony SVO-9500MD)およびモニター(Sonyトリニトロン)から成る高解像度ビデオシステムにより顕微鏡像のビデオ記録を行った。各腸間膜標本において、3つの長さ約180μmの後毛細血管細静脈セグメントを、以下の基準に従って繰り返し記録用に選択した:(1)直径15〜30μmの融合性毛細血管から血液を受け取る、真の後毛細血管細静脈;(2)個々の赤血球細胞を見分け得ないような、活発な血流;(3)白血球がいくらかベースラインローリング(血管セグメント中任意の所定の時間に8個未満の白血球が存在する)するが、固く付着する白血球は見あたらない。白血球を、それが30分間を超えて血管壁で静止した状態のままである場合、固く付着していると定義した。
b)実験プロトコール
選択した細静脈における基準の白血球相互作用の1分間のビデオ記録を、外科手術の完了20分後および25分後に行った。全ての処置を、2度目の基準記録の前に静脈内に施した。手術30分後、表面灌流緩衝液へのcompound 48/80(Sigma、カタログ#C4257)の注入を始め、そして残りの実験期間中終始継続した。これは、腸間膜で10μg/mlの最終濃度を生じ、そしてマスト細胞の脱顆粒を誘発するために行われた。48/80の投与開始20分後および30分後に、細静脈を再び記録した。白血球−内皮細胞相互作用の程度を、記録したビデオテープを解析することにより、実験終了時に測定した。はっきりと目で見える白血球(すなわち、血管壁と相互作用している細胞)の数を、記録した一連の画面を正確に0、15、30、45、および60秒で停止させた画面より測定し、そしてこれら5つの測定値より平均値を計算した。これ故、数えた白血球は、ローリングする細胞および強固に付着していた細胞を含んでいた。
c)統計学
各実験群には、各動物から2〜3の細動脈を使用した5〜6匹の動物が含まれた。平均値およびその標準誤差を与える。群平均値間の有意差を、分散分析後のチューキー−クラマーのHSD検定により検定した。個々の細動脈における処置前後の差を、対応のあるt検定により検討した。全ての検定は、マッキントッシュIIsi上で動作するJMPソフトウエアを使用して行い、そして有意性をp<0.05で認めた。
II.結果
compound 48/80のラット腸間膜への局所投与は、結果的に90%を超えるマスト細胞の目に見える脱顆粒を導き、これは投与後3分以内に生じた。その後、ローリングおよび付着した白血球の増加が観察された。48/80投与後20分時点と30分時点との間に、白血球集積の有意差は検出されず、それ故これら2時点の平均値を統計学的解析に使用した。このモデルにおける細動脈間の変動性はかなり高く、ベースライン相互作用は、個々の細静脈に存在する白血球0から4.8個の範囲であり、そしてマスト細胞誘発相互作用は、PBS処置群に存在する白血球2.8から25.6個の範囲であった(変動係数、CV、37%)。動物平均値はずっと低い変動性を示した(CV、16%);これ故、各個の細静脈を、統計学的目的には別個の実験的存在として扱った。
図29に見られるように、μMAb PB1.3での静脈内処置は、マスト細胞誘発血管内白血球集積を、製剤緩衝液コントロール群と比較して、90%阻害した。非反応性抗体P6H6は、このモデルにおいていかなる影響も有しなかった。
したがって、抗P-セレクチン抗体μMAb PB1.3のラットへの投与は、白血球の血管内皮との相互作用およびその後のマスト細胞脱顆粒剤48/80の投与により誘発される白血球の組織内への移動を完全に妨げる。
実施例18
μMAb PB1.3のエピトープのマッピング
P-セレクチンは、血小板および内皮細胞の分泌顆粒中に見られる細胞膜内糖タンパク質である。細胞活性後、P-セレクチンは、急速に原形質膜に再分布される。成熟分子は、「レクチン」領域、「EGF」領域、9個の縦列コンセンサス「C3b-C4b調節タンパク質」(CRP)繰り返し、膜貫通領域、および細胞質ドメインを含む複数のドメインを有するタンパク質である。P-セレクチンのクローニングおよび記述についてJohnstonら、Cell 56:1033-1044(1989)(全ての目的のために完全な形で本明細書中で参考として援用)を参照。図30は、提唱したP-セレクチンのドメインの折りたたみパターンを示す。
P-セレクチン欠失分析
μMAb PB1.3により特異的に結合されるエピトープをマッピングするために、組み換えP-セレクチンの変異体を連続的なCRPドメインを欠失することにより構築した(図31)。この部位特異的変異誘発を、各CRPドメイン(表6)に特異的なプライマーを使用したPCR増幅により行った。PCR変異誘発に使用した鋳型は、切形でありそしてDNA配列位置2354(配列位置は、Johnstonら、上述、のP-セレクチンの公開された配列に従う)で変異したP-セレクチンのpUC DNAクローンであった。この鋳型プラスミドpGΔl,Tは、インビトロ変異誘導により最初に得られ、P-セレクチンの膜貫通ドメインおよび細胞質カルボキシ末端を欠き、そして代わりにSV40LargeT抗原のカルボキシル末端の11アミノ酸残基をコードする。このSV40由来C-末端は、モノクローナル抗体KT-3により認識される。(MacArthurら、Journal of Virology 52:483-491(1984)を参照。)PCR増幅後、以下の記述のように、欠失DNA分子を精製し、連結し、細菌に形質転換し、クローン化し、そして配列決定した。CRPのT-抗原標識配列への適切な連結を有するDNAを、pcDNA1発現ベクター(Invitrogen)中にサブクローニングし、そしてCOS細胞にトランスフェクトさせた。
PCR変異誘導を、プラスミドpGMPΔl,T上で行った。5'-末端でのリン酸化後、表6中のプライマーを、T-抗原配列プライマーlys-1と共に個々のPCR反応に、1μMで加えた。PCRを、Perkin Elmer-Cetus machineにおいて30サイクルの間95℃で50秒間、50℃で1分間、そして73℃で4分間、Pfuポリメラーゼ(Stratagene)を製造業者の推奨する条件に従って使用して行った。アガロースゲル電気泳動による精製およびQiaex(Qiagen Corp.)による溶出の後、変異pUC DNAを連結し、そしてE.coli InvF'α細胞(Invitrogen)に形質転換した。所望の変異を有するクローン化DNAを、DNA配列分析により同定し、そして変異P-セレクチン遺伝子を含むSalI-HpaI断片を、発現ベクターpcDNA1(Invitrogen)のXhoI部位およびXbaI部位にクローニングした。pcDNAクローンを、E.coli株MC1061(Invitrogen)およびCOSへのトランスフェクションに使用する精製プラスミドDNAに形質転換した。
DEAE-デキストラントランスフェクション法
この方法は、Kriegler,M.,Gene Transfer and Experssion:A Laboratory Manual,W.H.Freeman and Company(1990)に記述されている。COS細胞を、DMEM(Biowhittaker)、10%ウシ胎児血清(FBS)中に1×106細胞/100mmディッシュで接種した。2日目、プラスミドDNAを、エタノール沈澱させ、そして20μg/mLの濃度で、滅菌TE(10mMトリス,pH8.0、1mM EDTA)に再懸濁した。150μLのDNAを、300μlの滅菌TBS(トリス緩衝生理食塩水、140mM NaCl、5mM KCl、1.4mM Na2HPO4、25mMトリス-ベース,pH7.5、1.0mM CaCl2、および0.5mM MgCl2)および300μlの滅菌DEAEデキストラン(Sigma、#D-9885、TBS中1mg/ml)と混合した。増殖培地を吸引し、そして細胞単層をPBSで1回、そしてTBSで1回洗浄した。750μlのDNA/DEAEデキストラン/TBS混合物を、単層に加えた。ディッシュを、周囲温度でラミナーフラッドフード(laminar flood hood)内部でディッシュを5分ごとに揺り動かしながら1時間インキュベートした。1時間のインキュベーションの後、DNA溶液を吸引し、そして細胞をTBSで1回、そして次いでPBSで1回洗浄した。細胞を、100μMのクロロキン(Sigma、#C-6628)を補った完全培地中、37℃、5% CO2でインキュベートした。4時間後、培地を完全培地で置換し、そして細胞を37℃および5% CO2でインキュベートした。トランスフェクション後24時間後、細胞に、血清を欠くDMEM増殖培地を与えた。24時間後、培地を採取し、細胞残骸を、卓上臨床遠心分離器中1500rpmで5分間の遠心分離により取り除いた。
分泌P-セレクチン変異体タンパク質を分析するための捕獲ELISA
96ウェルのCostarプレートを、40μg/mlのKT-3抗体(腹水中で産生され、そしてProtein G Sepharose,Pharmaciaにより精製された)100μl/ウェルを用いて、4℃で一晩コートした。プレートをDPBSで3回洗浄し、250μl/ウェルのDPBS+1% BSAで周囲温度で1時間ブロッキングした。プレートをDPBSで3回洗浄し、そして100μl/ウェルのCOS細胞上清液と2時間周囲温度でインキュベートした。プレートをDPBSで3回洗浄した後、結合したP-セレクチンを、DPBS/1% BSAに希釈した100μl/ウェルの(a)1ng/mlウサギ抗P-セレクチンポリクローナルIg、または(b)ビオチン化μMAb PB1.3、または(c)ビオチン化P6H6のいずれかを1時間周囲温度で添加することにより検出した。プレートをDPBSで3回洗浄した後、ウサギ抗体を、100μl/ウェルのHRP複合化ヤギ抗ウサギ抗体(Biorad)1:1000希釈溶液を使用して検出し、DPBS/1% BSAにおいてKT-3細胞株由来の組織培養培地(10%)で30分間周囲温度でブロッキングした。ビオチン化抗体を、100μl/ウェルのHRP-ストレプトアビジン(Pierce)1:1000希釈溶液を使用して30分間周囲温度で検出した。結合したHRPをTMBとインキュベートし、そして1Mリン酸で終了させた。図32は、偽のトランスフェクトしたCOS細胞の上清からのシグナルのないバックグランドを示す。「偽(Mock)」カラムは、P-セレクチンの完全長形態でトランスフェクトされた細胞由来の上清である。この形態は、SV40 T-抗原標識を欠き、そしてそれ故このKT-3捕獲ELISAにおいて検出されない。X軸は、種々の異変体P-セレクチンcDNAにより発現されるCRPの数、カラム2における9個全てのCRPからカラム10における1個のCRPを表す。結果は、カルボキシ末端の5個のCRPを欠くP-セレクチン異変体は、ポリクローナルウサギIgにより検出され得るが、これらの分子は、PB1.3と反応しないことを示す。このことは、PB1.3に対する結合部位は5番目のCRP繰り返しドメイン内にあることを示唆する。
エピトープマッピングの結果を確認するために、欠失分析を拡張し、P-セレクチンのカルボキシル末端配列はインタクトのままで、5番目のCRPドメインのみを欠失した(図30を参照)。PCRアンプリマーを、上述と同一のプロトコールを使用してアミノ酸407から468(表6)までをコードするP-セレクチンの領域を取り除くように設計した。細胞上清を、抗体μMAb PB1.3およびP6H6を用いたELISAにより直接分析した(図33)。μMAb PB1.3は、インタクトなP-セレクチンに結合するが、それは、欠失分子には結合しない。P6H6は、両方の分子に等価に結合する。
合成ペプチド分析
μMAb PB1.3エピトープを、P-セレクチンの5番目のCRPの62アミノ酸領域(図34)にまたがるペプチドを合成することおよびELISAによりμMAb PB1.3結合をスクリーニングすることによりさらに特徴付けした。Johnstonらの命名によると、5番目のCRPはアミノ酸配列407から468に広がる。ペプチド配列は、968.01、アミノ酸#408〜426;968.02、アミノ酸#418〜436;968.04、アミノ酸#408〜433;968.04の酸化異型である968.05;968.06、アミノ酸#428〜447;および968.08、アミノ酸#448〜467である。各ペプチドを、ジメチルスルホキシド(DMSO)に2mg/mlまで溶解し、そして96ウェルのマイクロタイタープレートに、100μlのPBS中1マイクログラムの希釈溶液によりコートし、そして37℃で一晩乾燥した。コートされたウェルをPBSで洗浄し、そして250μl/ウェルのPBS/1% BSA溶液で30分間周囲温度でブロッキングした。ウェルをPBSで洗浄し、そしてPBS/1% BSAに1μg/mlまで希釈した、100μl/ウェルのPB1.3と、1時間室温でインキュベートした。結合したμMAb PB1.3を、HRP複合体化ヤギ抗マウス抗体試薬および上述のTMB基質を用いて検出した。図34は、ペプチドとの比較PB1.3反応性を示す。カルボキシ末端ペプチド、968.08番は、PB1.3と強く反応した。したがって、PB1.3により認識されるエピトープは、ヒトP-セレクチンの5番目のCRPにおいてアミノ酸448から467にマッピングされる。
明瞭さおよび理解する目的のために、本発明を、これらの実施例および上記の特定の詳細な開示において記述してきた。しかし、特定の変化および改変が添付の請求の範囲内で実施され得ることが理解される。上記で引用した全ての刊行物および特許出願は、それらの全体が全ての目的のために、各々が個々に意味するのと同程度に、本明細書に参考として援用される。
Figure 0003713045
Figure 0003713045
Figure 0003713045
Figure 0003713045
Figure 0003713045
Figure 0003713045
Figure 0003713045
Figure 0003713045
Figure 0003713045
Figure 0003713045
Figure 0003713045
Figure 0003713045

Claims (28)

  1. ヒト化H鎖およびヒト化L鎖を含むヒト化免疫グロブリンであって、
    (1)該ヒト化L鎖は、マウスPB1.3免疫グロブリンL鎖の相当する相補性決定領域由来のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)、およびヒトκL鎖可変領域枠組み配列由来の可変領域枠組みを含み、マウスPB1.3免疫グロブリンL鎖の相当する相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3はそれぞれ、Lys Ala Ser Gln Asn Val Ala Thr Asn Val Val、Thr Ala Ser Tyr Arg Phe Ser、およびGln Gln Tyr Asn Asn Tyr Pro Tyr Thrであり、:そして
    (2)該ヒト化H鎖は、マウスPB1.3免疫グロブリンH鎖の相当する相補性決定領域由来のアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)、およびヒトH鎖可変領域枠組み配列由来の可変領域枠組みを含み、マウスPB1.3免疫グロブリンH鎖の相当する相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3はそれぞれ、Asn Tyr Val Met His、Phe Ile Asn Pro Ser Asn Asp Gly Pro Lys Tyr Asn Glu Arg Phe Lys Asn、およびAla Arg Pro Gly Phe Asp Trp Tyr Phe Asp Valであり、;
    ここで、該ヒト化免疫グロブリンは、P−セレクチンに特異的に結合し、ヒトκL鎖可変領域枠組み配列は、位置L21またはL46で、マウスPB1.3免疫グロブリンL鎖可変領域枠組み配列の同じ位置に存在するアミノ酸によって置換されており、該アミノ酸はL21ではValでありL46ではAlaであり、そしてヒトH鎖可変領域枠組み配列は、位置H71で、マウスPB1.3H鎖可変領域枠組み配列の同じ位置に存在するアミノ酸によって置換されており、該アミノ酸はSerである、ヒト化免疫グロブリン。
  2. 請求項1に記載のヒト化免疫グロブリンであって、前記ヒトL鎖可変領域が、さらに位置L60またはL70で、マウスPB1.3L鎖可変領域枠組み配列の同じ位置に存在するアミノ酸によって置換されており、該アミノ酸はL60ではGluでありL70ではAspである、ヒト化免疫グロブリン。
  3. 請求項1または2に記載のヒト化免疫グロブリンであって、前記ヒトH鎖可変領域が、さらに位置H1、H2またはH73で、マウスPB1.3H鎖可変領域枠組み配列の同じ位置に存在するアミノ酸によって置換されており、該アミノ酸はH1ではGluでありH2ではAlaでありH73ではLysである、ヒト化免疫グロブリン。
  4. 前記ヒトH鎖可変領域枠組みが、21/28'CL H鎖可変領域枠組み配列である、請求項1から3のいずれか1項に記載のヒト化免疫グロブリン。
  5. 前記ヒトL鎖可変領域枠組みが、DEN L鎖可変領域枠組み配列である、請求項4に記載のヒト化免疫グロブリン。
  6. 前記ヒト化L鎖が、図14に示されるアミノ酸配列の20番目のAspから最後のLysまでの1748RLA成熟L鎖可変領域アミノ酸配列を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のヒト化免疫グロブリン。
  7. 前記ヒト化L鎖が、図15に示されるアミノ酸配列の20番目のAspから最後のLysまでの1748RLB成熟L鎖可変領域アミノ酸配列を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のヒト化免疫グロブリン。
  8. 前記ヒト化L鎖が、図16に示されるアミノ酸配列の20番目のAspから最後のLysまでの1748RLC成熟L鎖可変領域アミノ酸配列を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のヒト化免疫グロブリン。
  9. 前記ヒト化L鎖が、図17に示されるアミノ酸配列の20番目のAspから最後のLysまでの1748RLD成熟L鎖可変領域アミノ酸配列を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のヒト化免疫グロブリン。
  10. 前記ヒト化H鎖が、図11に示されるアミノ酸配列の20番目のGluから最後のSerまでの1748RHA成熟H鎖可変領域アミノ酸配列を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のヒト化免疫グロブリン。
  11. 前記ヒト化H鎖が、図12に示されるアミノ酸配列の20番目のGlnから最後のSerまでの1748RHB H鎖可変領域アミノ酸配列を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のヒト化免疫グロブリン。
  12. 前記ヒト化H鎖が、図13に示されるアミノ酸配列の20番目のGluから最後のSerまでの1748RHC成熟H鎖可変領域アミノ酸配列を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のヒト化免疫グロブリン。
  13. 前記ヒト化H鎖が、図12に示されるアミノ酸配列の20番目のGlnから最後のSerまでの1748RHB成熟H鎖可変領域アミノ酸配列を含む、請求項9に記載のヒト化免疫グロブリン。
  14. 請求項1から13のいずれか1項に記載のヒト化免疫グロブリンのFab、Fab'、F(ab')2、Fabc、またはFvフラグメント。
  15. さらに定常領域ドメインを含む、請求項13に記載のヒト化免疫グロブリン。
  16. 前記定常領域ドメインがエフェクター機能を有する、請求項15に記載のヒト化免疫グロブリン。
  17. 前記定常領域ドメインがエフェクター機能を欠く、請求項15に記載のヒト化免疫グロブリン。
  18. 前記エフェクター機能が、補体結合し得るかまたは抗体依存性細胞毒性である、請求項16に記載のヒト化免疫グロブリン。
  19. 請求項1から18のいずれか1項に記載のヒト化免疫グロブリンのH鎖またはそのFab’、F(ab’)2、FabcまたはFvフラグメントをコードする核酸。
  20. 請求項1から18のいずれか1項に記載のヒト化免疫グロブリンのL鎖またはそのFab’、F(ab’)2、FabcまたはFvフラグメントをコードする核酸。
  21. P−セレクチンを検出するインビトロの方法であって、
    請求項13に記載のヒト化免疫グロブリンを患者由来の組織サンプルに添加する工程;および
    該免疫グロブリンと該標的サンプル内に存在するP−セレクチンとの間の特異的結合により形成された複合体を検出する工程、
    を包含する方法。
  22. 免疫グロブリンとP−セレクチンとの間の特異的結合により形成された複合体を検出するための診断試薬に用いるための、請求項13に記載のヒト化免疫グロブリンおよび薬学的に受容可能な担体を含む薬学的組成物。
  23. 免疫グロブリンとP−セレクチンとの間の特異的結合により形成された複合体を検出するための診断試薬に用いるための、請求項1から12および15から18のいずれか1項に記載のヒト化免疫グロブリンもしくは請求項14に記載のそのFab’、F(ab’)2、FabcまたはFvフラグメントおよび薬学的に受容可能な担体を含む薬学的組成物。
  24. 血栓症または虚血性再灌流損傷の治療のための、請求項13に記載のヒト化免疫グロブリンおよび薬学的に受容可能な担体を含む薬学的組成物。
  25. 血栓症または虚血性再灌流損傷の治療のための、請求項1から12および15から18のいずれか1項に記載のヒト化免疫グロブリンもしくは請求項14に記載のそのFab’、F(ab’)2、FabcまたはFvフラグメントおよび薬学的に受容可能な担体を含む薬学的組成物。
  26. 表皮性、心筋性、腎臓性、大脳性、脾臓性、肝臓性、脊髄性、内臓性、肺性、局部的、または全身的虚血の治療のための請求項24または25に記載の薬学的組成物。
  27. フラグメントがFabフラグメントである、請求項23または25に記載の薬学的組成物。
  28. 以下を含む安定な細胞株:請求項13に記載のヒト化免疫グロブリンのH鎖をコードする核酸セグメントであって、該セグメントは作動可能にプロモーターに連結されて、該H鎖を発現させる;
    請求項13に記載のヒト化免疫グロブリンのL鎖をコードする第2の核酸セグメントであって、該第2のセグメントは作動可能に第2のプロモーターに連結されて、該L鎖を発現させる;
    ここで、該安定な細胞株は請求項13に記載のヒト化免疫グロブリンを産生し得る、安定な細胞株。
JP52465394A 1993-05-04 1994-05-04 P−セレクチンに対する抗体およびそれらの使用 Expired - Fee Related JP3713045B2 (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/US1993/004272 WO1994023317A1 (en) 1993-03-31 1993-05-04 Asymmetrical polarization-maintaining optical waveguide and process for manufacture thereof
US5729293A 1993-05-05 1993-05-05
US08/057,292 1993-05-05
US08/202,047 1994-02-25
US08/202,047 US5800815A (en) 1903-05-05 1994-02-25 Antibodies to P-selectin and their uses
US93/04272 1994-02-25
PCT/US1994/004935 WO1994025067A1 (en) 1993-05-04 1994-05-04 Antibodies to p-selectin and their uses

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09500012A JPH09500012A (ja) 1997-01-07
JP3713045B2 true JP3713045B2 (ja) 2005-11-02

Family

ID=27369212

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP52465394A Expired - Fee Related JP3713045B2 (ja) 1993-05-04 1994-05-04 P−セレクチンに対する抗体およびそれらの使用

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP3713045B2 (ja)
AU (1) AU684084B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2357201B1 (en) * 2004-04-13 2017-08-30 F. Hoffmann-La Roche AG Anti-P-selectin antibodies

Also Published As

Publication number Publication date
AU684084B2 (en) 1997-12-04
AU6906394A (en) 1994-11-21
JPH09500012A (ja) 1997-01-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5800815A (en) Antibodies to P-selectin and their uses
DE69531679T2 (de) Für e-selectin und p-selectin spezifische kreuzreaktive monoklonale antikörper
CA2153692C (en) Recombinant anti-vla4 antibody molecules
AU649645B2 (en) CD3 specific recombinant antibody
US6204007B1 (en) Antibodies against E-selectin
JP2006045234A (ja) P−セレクチンに対する抗体及びその利用
EP0438310A1 (en) Method for producing recombinant immunoglobuline
JPH05507406A (ja) 人体適応化キメラ抗icam―1抗体、製造方法および用途
SK77393A3 (en) Pharmaceutical mixture for treatment of illnesses by inhibition of intercellular adhesion by elam-1
WO1994025067A1 (en) Antibodies to p-selectin and their uses
EP0440351A2 (en) Recombinant human anti-CD18 antibodies
JP3713045B2 (ja) P−セレクチンに対する抗体およびそれらの使用
US6033667A (en) Method for detecting the presence of P-selectin
CA2162149C (en) Antibodies to p-selectin and their uses
EP0462111A1 (en) Homing sequences and their uses

Legal Events

Date Code Title Description
A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20040116

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20040301

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040428

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041207

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20050307

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20050418

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050520

TRDD Decision of grant or rejection written
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A133

Effective date: 20050707

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050707

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050802

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050819

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees