JP3712849B2 - 分解性モノフィラメント及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた直線的引張強度と柔軟性、適度な分解性を兼ね備え、結紮安定性に優れる分解性モノフィラメント及びその製造方法、並びに該分解性モノフィラメントから作られる医療用具に関する。
【0002】
【従来の技術】
外科等の医用分野においては従来から、合成の吸収性縫合糸が広く使われてきており、その素材としてポリグリコール酸(PGA)やポリ乳酸(PLA)、及びグリコール酸−乳酸共重合体(PLGA)等が用いられている。PGA、PLA、PLGAは、生体内で分解され、その分解生成物である乳酸、グリコール酸が代謝経路により最終的に炭酸ガスと水になり体外へ放出されてしまう生体吸収性重合体である。PGA、PLA、PLGAは、それぞれ、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド(GLD)や乳酸の環状二量体であるラクチド(LTD)の重合、及びGLDとLTDの混合物の開環共重合によって製造されている。しかし、PGA等の生体吸収性ポリエステルは、加工性がよく、高強度のフィラメントとすることができる一方で、フィラメントの剛性が高く、従って釣り糸のような太いモノフィラメント状にした場合、結紮することが極めて困難となるため、縫合糸に適さなくなることが知られている。
【0003】
そのため、通常、PGAやPLGA等を使用して合成吸収性縫合糸とする場合、柔軟性を持たせるために多数の細いフィラメントとし、それらを編組して、所謂マルチフィラメントとして使用されている。しかし、マルチフィラメント状縫合糸は、その表面は粗く、縫合する際に、周囲の生体組織に傷を付ける等の問題があり、また、結紮時のフィラメントを滑り易くするためのコーティング剤等を塗布する必要がある等、製造工程が複雑になり経済的にも不利となる問題もある。
【0004】
近年、上記のような問題点を克服したモノフィラメント状吸収性縫合糸がいくつか開発されている。
例えば、米国特許4700704号には、約20〜35重量%のε−カプロラクトン(CL)と約65〜80重量%のGLDに基づくシーケンスからなり、213℃以下の融点をもつ重合体材料からなり、少なくとも30,000psiの引張強度と350,000psi未満のヤング率を有する殺菌した手術用製品が開示されている。
また、Biomaterials, Vol.16, No.15, pp1141-1148(1995)には、約25モル%のCLと約75モル%のGLDとの共重合体からつくられる手術用モノフィラメント縫合糸が開示されている。
【0005】
これら先行文献に開示されたGLDとCLとの共重合体から成形された手術用製品は、優れた柔軟性と機械的強度を有するため、モノフィラメントの形態で手術用縫合糸として利用できる利点がある。しかし、それらは加水分解速度が早過ぎ、生体内において速やかに分解する。そのため、治癒期間が長い患部の手術用縫合糸や結紮用資材としては満足し得るものではない。
また、該モノフィラメントは、縫合時に外科結びを施して結紮する際、結び目を小さく安定させることが困難で、結び目が大きくなりやすく、縫合がゆるみやすい。このことは、縫合糸の本来の使用目的上、極めて好ましくない。手術者は、縫合の確実性、安全性を期して、結び目を多数つくって安定させる等の技術を要した。
【0006】
特開平1−175855号公報には相対粘度2.0〜8.2のポリカプロラクトン(PCL)からなる延伸された外科用モノフィラメント縫合糸が開示されている。しかし、PCLからなる縫合糸は、生体内での分解吸収が極めて遅く、吸収性縫合糸としては実用的ではない。
【0007】
また、米国特許5252701号には、少なくとも2種の異なるエステル結合をもつ生体吸収性を示すセグメント化コポリマーが開示されている。該公報には、実質的にグリコラート結合からなる高速エステル交換結合と、トリメチレンカーボネート及びカプロエート結合からなる群から選択される低速エステル交換結合とからなるセグメント化コポリマーが開示されており、また、少なくとも2つの段階で少なくとも2種の異なる環状エステルモノマーの逐次添加を用い、コポリマー溶融物生成後、更に加熱してエステル交換させることによる上記セグメント化コポリマーの製造方法が開示されている。該セグメント化コポリマーはランダムもしくはブロックコポリマーとは著しく異なる物性を示すとされている。
【0008】
しかしながら、このセグメント化コポリマーは、該公報にも示されているように、セグメント化が進めば進むほど、ポリマーの融点が低下するとともに、結晶性が低下する。このため、本発明者らの知見によれば、このセグメント化コポリマーは縫合糸としてモノフィラメント化した際に充分な引張強度を示すに至らない。また、同じく本発明者らの知見によれば、このセグメント化コポリマーは、その低い結晶性の為に、体内での加水分解が速すぎ、治癒期間が長い患部の手術用縫合糸や結紮用資材としては満足し得るものではない。
【0009】
一方、特開平6−16792号公報には、CLとGLDの共重合体の製造方法が開示されている。該公報の共重合体の製造方法は、原料供給口、共重合体取り出し口、排気口、及び表面更新性に優れた高粘度溶液攪拌機を備えた重合反応機を使用し、最初にCLの低分子オリゴマーを250℃以下の温度で生成させ、次いでGLDを添加して100℃以上の温度で重合させ、得られた共重合体に溶融状態で酸無水物や酸ハロゲン化物を添加させて重合反応を停止させ、次いで未反応モノマーを減圧下に攪拌除去することを特徴としている。しかし、酸無水物や酸ハロゲン化物は極微量でも、独特の刺激臭がするため、製造現場において設備上の特別な工夫を施す必要がある。また、共重合体から未反応の酸無水物や酸ハロゲン化物を完全に除去することが困難であるため、得られる共重合体や縫合糸が臭う等の欠点がある。また、該公報には、柔軟かつ高強度で適度な加水分解速度を有するモノフィラメント、及びその製造方法についてはなんら開示されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、優れた機械的強度及び柔軟性を有し、結紮安定性に優れ、且つ適度の加水分解性を有する、外科用吸収性縫合糸等の資材として適する分解性モノフィラメント及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を重ねた結果、モノフィラメントの内部構造を、柔軟で分解速度の遅い重合体セグメントを主成分とするマトリックス中に、高強度を示し、分解速度の早い重合体セグメントを主成分とする微小な針状の相を分散させた構造とすることにより、柔軟でかつ強靱で、結紮安定性に優れ、しかも適度な加水分解速度を有するモノフィラメントとすることができることを見出し、本発明に到った。
【0012】
すなわち、本発明は、ε−カプロラクトン及びグリコリドの共重合体からなるモノフィラメントであって、モノフィラメントの内部構造が、
(a)ポリ(ε−カプロラクトン)セグメントを含有するマトリックス相と、
(b)ポリグリコール酸セグメントを含有する微小な分散相
とに分離した構造であり、マトリックス相と分散相のそれぞれの成分の重量比が50:50〜95:5であり、該モノフィラメントの直線的引張強度が200MPa以上、ヤング率が2.1GPa以下、37℃、pH7.3の水中で4週間後の直線的引張強度の残率が30〜70%であり、かつ、分散相が繊維方向に引き延ばされ配向した針状構造を含有することを特徴とするモノフィラメント、その製造方法、及び該モノフィラメントからつくられる生体吸収性医療用具である。
【0013】
本発明でいう「分解性の共重合体」とは、生体内で加水分解又は酵素分解によりおよそ5年以内に分子量が低下し、水溶化や代謝等により体外へ排出される共重合体のことである。具体的には例えば、グリコール酸(GA)、乳酸(LA)、カプロラクトン(CL)、p−ジオキサノン(DS)、トリメチレンカーボネート(TMC)、エチレンカーボネート、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸等の共重合体等が挙げられる。
【0014】
「内部構造」とは、当該業者、高分子研究者間において、モルホロジー(morphology)と呼ばれる概念であって、多相構造における相分散の形態等を論じる際に用いられる概念である。形態構造とも言われる。
【0015】
「針状構造」とは構造の長軸とそれに直交する短軸との軸比が少なくとも3以上である異方性の構造のことであり、例えば円柱状、楕円柱状、柱状、ストランド状、線状、紐状、紡錘状ともいえる。
【0016】
「引張ヤング率が2GPa以下を示し、かつ、37℃、pH7.3の水中2週間後の強度保持率が50%以上である重合体」とは、該重合体を当該業者が適当な条件下で紡糸し、3〜10倍に延伸加工して得られるフィラメントの引張ヤング率が2GPaを超えることがなく、かつ、該フィラメントを37℃、pH7.3の水中2週間後の強度が50%以上保持されているという条件を満たす重合体のことである。
【0017】
また、「少なくとも200MPa以上の引張強度を示し、かつ、37℃、pH7.3の水中での強度低下がマトリックス相よりも速い重合体」とは、該重合体を当該業者が適当な条件下で紡糸し、3〜10倍に延伸加工して得られるフィラメントが、引張強度が少なくとも200MPa以上を示し、かつ、該フィラメントを37℃、pH7.3の水中2週間後の強度の保持率が、上記低速分解性柔軟ポリマーより低いという条件を満たす重合体のことをいう。
【0018】
本発明のモノフィラメントは、その内部構造が、柔軟でかつ分解速度が比較的遅いマトリックス中に強靭でかつ分解速度が比較的速い針状構造を含む分散相とに分離した構造である。マトリックス相は、引張ヤング率が2GPa以下を示し、かつ、37℃、pH7.3の水中2週間後の強度保持率が50%以上である重合体セグメントを主成分としている。また、分散相は、少なくとも200MPa以上の引張強度を示し、かつ、37℃、pH7.3の水中での強度低下がマトリックス相よりも速い重合体セグメントを主成分としている。また、マトリックス相と分散相のそれぞれの成分の重量比が50:50〜95:5である。
【0019】
従って、本発明のモノフィラメントは、この分散相とマトリックス相とからなる独特の構造により、高い引張強度と柔軟性、適度な加水分解速度を兼ね備えるものとなる。すなわち、直線的引張強度は少なくとも200MPa以上、ヤング率(柔軟性の尺度)が2.1GPa以上を示すことができ、かつ、37℃、pH7.3の水中で、4週間後の強度保持率が10〜80%である。
【0020】
本発明に係わる分解性モノフィラメントの内部構造として、好ましくは針状の分散相の繊維方向の長さ(長軸)が、およそ0.05〜8μm程度、分散相の繊維軸の垂直断面の直径(短軸)の長さが、およそ0.01〜0.5μm程度であり、長軸と短軸との長さの比はおよそ3〜20程度である。長軸の長さ、短軸の長さ、及び軸比には分散があってもよい。上記の範囲外の大きさの分散相が存在していてもよいが、分散相の少なくとも5割以上が上記範囲内の大きさであることが好ましく、さらに好ましくは7割以上が上記範囲内である。特に好ましくは、針状の分散相の7割以上が、繊維軸の垂直断面の直径(短軸)が0.01〜0.5μmの長さを有し、軸比が8以上である針状部分を含んでいる相である。
【0021】
マトリックス相の主成分である重合体セグメントは、具体的には、例えばポリカプロラクトン(PCL)、ポリp−ジオキサノン(PDS)、トリメチレンカーボネート重合体(PTMC)及びこれらの共重合体、及びこれらとポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)との共重合体等から選ばれる重合体セグメントである。好ましくはPCLセグメントである。
分散相の主成分である重合体セグメントは、具体的には、例えばPGA、PLA及びこれらの共重合体、及びこれらとPCL、PTMC、PDSとの共重合体から選ばれる重合体セグメントである。好ましくはPGAセグメントである。
マトリックス相の主成分である重合体セグメントと、分散相の主成分である重合体セグメントとは、お互いに相溶性が乏しいことが好ましい。
【0022】
本発明の好適な態様は、ε−カプロラクトン(CL)及びグリコリド(GLD)の共重合体からなるモノフィラメントであって、モノフィラメントの内部構造におけるマトリックス相が、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)セグメントを主成分とするマトリックス相であり、分散相がポリグリコール酸(PGA)セグメントを主成分とする分散相であり、マトリックス相と分散相のそれぞれの成分の重量比が50:50〜95:5であり、分散相が繊維方向に引き延ばされ配向した針状構造を含むことを特徴とする分解性モノフィラメントである。(以降このモノフィラメントを単にCG系モノフィラメントという。)
CG系モノフィラメントは、柔軟なPCLセグメントのマトリックス中に、高い強度を発揮するPGAセグメントが繊維方向に針状に分散、配向して、フィラメントの強度を補強する構造となっているため、柔軟性と強さをあわせもつフィラメントとなる。
【0023】
本発明に係わるモノフィラメントの内部構造は、例えばモノフィラメントの繊維方向断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真撮影等により確認することができる。具体的には例えば、CG系モノフィラメントの場合、モノフィラメントの繊維方向の断面を平滑に面出しし、適当な染色剤(例えば四酸化ルテニウム等)により染色し、TEMにより検鏡することにより、PCLとPGAとの染色度合いに差があるため、明確にマトリックス相と分散相が観察できる。
【0024】
本発明のCG系モノフィラメントにおいて、マトリックスであるPCL相と分散相であるPGA相には少量の他の成分が混合されていても良い。ただし、マトリックス相はPCLが主成分であることが必要であり、マトリックス相中のPCLは少なくともマトリックス相全体の50重量%以上である。同様に分散相は主成分がPGAであることが必要であり、分散相中のPGAは少なくとも分散相全体の50重量%以上である。マトリックス相や分散相中に混合され得る他の成分としては、例えばPLA、ポリジオキサノン(PDS)、ポリトリメチレンカーボネート(PTMC)等の他の生体吸収性ポリマー、可塑剤、色素、加水分解速度調節剤等が挙げられる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。尚、本発明における、PCLやPGAの重量平均分子量(Mw)は、後述する実施例に記載した方法により測定することができる。
【0026】
本明細書中において、ポリ(ε−カプロラクトン)、PCLという場合、特にことわりのない限り、単にε−カプロラクトン(CL)の単独重合体のみを指すのではなく、重合体中にCL単位以外の他の単量体単位が、PCLの特性を大きく損なわない程度共重合されていても良い。その量は、ポリマー中のおよそ15モル%以下である。同様に、本明細書中において、ポリグリコール酸、又はPGAという場合、特にことわりのない限り、単にグリコリド(GLD)の単独重合体のみを指すのではなく、重合体中にGLD単位以外の他の単量体単位が、PGAの特性を大きく損なわない程度共重合されていても良い。その量は、ポリマー中のおよそ15モル%以下である。他の単量体単位としては、例えば1,4−ジオキサノン(DS)、トリメチレンカーボネート(TMC)、ジオキセパノン(DP)、LTD、プロピオラクトン(PL)、ブチロラクトン(BL)、バレロラクトン(VL)等が開環した構造単位が挙げられる。
【0027】
本発明の分解性モノフィラメントは、好適には、特定の条件下で合成したPCL−PGAブロック共重合体を特定の条件下で紡糸・延伸する方法方法により製造される。
本発明に係わる分解性モノフィラメントは、好ましくはPCLセグメント(A)及びPGAセグメント(B)からなるAB型又はBAB型ブロック共重合体(以降、単にPCL−PGAブロック共重合体という)を溶融紡糸した後、3〜10倍に延伸することにより得られた分解性モノフィラメントである。
【0028】
PCL−PGAブロック共重合体は、紡糸時の溶融状態からフィラメント状に固化した時点で、PCLセグメントからなるマトリックス相の中にPGAセグメントからなる相が海島状に分散した内部構造となる。この時点での分散相は、紡糸条件にもよるが、未だ針状とは言い難く、球状又は、繊維方向にわずかに歪んだ楕円球状(長軸と短軸の比が3未満程度)であることが多い。この未延伸糸を特定条件下で延伸することにより、PGAセグメントからなる分散相は延伸・配向し、針状となる。
【0029】
本発明の分解性モノフィラメントにおいて使用するPCL−PGAブロック共重合体は、モノオール化合物又はジオール化合物の存在下で、CL50〜95重量部を開環重合し、残存のCLを少なくとも15重量%以下とし、次いで、GLD5〜50重量部を添加して開環重合することにより製造される。
【0030】
本発明のモノフィラメントにおいて使用するPCL−PGAブロック共重合体中のPCLセグメント、PGAセグメントは、それぞれCL単位及びGLD単位の単独重合体でなっていることが好ましい。また、本発明のモノフィラメントにおいて使用するPCL−PGAブロック共重合体中のPCLセグメント、PGAセグメントにはそれぞれ、CL単位、GLD単位以外の他の単量体単位が共重合されていても良い。ただしその量は、PCL及びPGAの本質的な性質を大きく損なわない程度の量であることが必要で、かかる点を考慮すると、PCLセグメント又はPGAセグメント構成単量体単位のおよそ15モル%以下である。他の単量体単位としては、例えばDS、TMC、DP、LTD、PL、BL、VL等が開環した構造単位が挙げられる。
【0031】
PCL−PGAブロック共重合体を用いてモノフィラメントを製造する場合、PCL−PGAブロック共重合体の分子構造の制御は特に重要である。PCL−PGAブロック共重合体の分子構造として、1)CL単位とGLD単位とのモル組成比(以降、単にPCL/PGA比という)、2)PCLセグメントの分子量(重量平均分子量、Mw)、3)PGAセグメントのMw、4)PCL−PGAブロック共重合体のMw、及び5)ブロック性が、モノフィラメントの内部構造(モルホロジー)に大きく影響し、従ってモノフィラメントの物性(強度、柔軟性、加水分解速度等)へ大きく影響を及ぼすからである。
【0032】
1)PCL/PGA比はモノフィラメントの内部構造において、マトリックス相と分散相とを決定づける。PGA組成がPCL組成より少なくなければ、モノフィラメントの内部構造において、PCLがマトリックス相、PGAが分散相とならず、PGAがマトリックス相、PCLが分散相となるため、柔軟なフィラメントとならない。また、PGA組成がPCL組成に比べて極端に小さい場合は、フィラメントの強度が低くなる上に、フィラメントの加水分解速度が著しく遅くなるため好ましくない。かかる点を考慮すると、PCL/PGA比は、およそ50/50から95/5の間であることが好ましい。さらに好ましくは、55/45から85/15の間である。
【0033】
2)PCLセグメントのMwは、モノフィラメントの強度に大きく影響する。モノフィラメントとして実用上の強度を発揮させる為には、ある程度以上のMwが必要である。一方、Mwが高すぎると、ポリマーの溶融粘度が高くなりすぎるため、加工性が低下し、紡糸・延伸が困難となり、好ましくない。かかる点を考慮すると、好ましいMwの範囲はおよそ2万以上30万以下である。特に好ましくは、およそ4万以上20万以下である。なお、本明細書中で使用するMwの値は、後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いる方法により測定される重量平均分子量をさすものとする。
【0034】
3)PGAセグメントのMwは、モノフィラメントの内部構造の分散相の大きさに影響する。PGAセグメントのMwが大きくなるほど分散相の大きさが増す。分散相の大きさは、モノフィラメントの物性や、加工性に大きく影響する。Mwが高すぎるとPGA相が大きくなりすぎ、特にフィラメントの延伸時に高倍率で延伸することが不可能となるため、かえってフィラメント強度が低下したり、体内での加水分解が速すぎたりして好ましくない。逆に極端にMwが低すぎる場合には、PGAセグメントの分散相によるモノフィラメントの補強効果が期待できない。かかる点を考慮すると、好ましいPGAセグメントのMwはおよそ1000〜30万の間である。特に好ましくは、4000〜15万の間である。
【0035】
4)PCL−PGAブロック共重合体のMwは、モノフィラメントの強度及び加水分解速度に影響を及ぼす。Mwが低すぎるとモノフィラメントが十分な強度を発揮しない上に、体内における加水分解により急速に強度が低下してしまう。また、高すぎると共重合体の溶融粘度が著しく高まるため、紡糸・延伸において不都合が生じ、結果的に良好なフィラメントにはなりにくい。かかる点を考慮すると、好ましいPCL−PGAブロック共重合体のMwはおよそ3万から40万の間である。
【0036】
5)ブロック性とは、PCLセグメントをAブロック、PGAセグメントをBブロックとするAB型又はBAB型ブロック共重合体において、A、Bそれぞれのセグメントがどれだけ単一構造単位で構成されているかを示す指標である。言い替えれば、ポリマー中のCL単位(又はGLD単位)に隣接する構成単位がどれだけCL単位(又はGLD単位)であるかを表す指標である。例えば、AセグメントがCL単独のポリマーセグメントで、BセグメントがGLD単独のポリマーセグメントであるAB型、BAB型ブロック共重合体は、ブロック性が最高であり、ポリマー中のCL単位には、ブロックの結合点(AB型では1点、BAB型では2点)を除けば、必ずCL単位が隣接している。例えばBセグメントのGLDポリマー連鎖中に、CL単位が混入して共重合している場合、CLの混入割合が増すにつれブロック性が低下し、従ってCL単位にGLD単位が隣接する割合が増加する。
【0037】
PCL−PGAブロック共重合体のブロック性は、モノフィラメントの内部構造の相分離構造に大きく影響する。すなわち、ブロック性が高い共重合体は、紡糸した際に、PCLセグメントからなるマトリックス中にPGAセグメントからなる相が明確な海島構造となって分散する。これが延伸により延伸方向に引き延ばされて針状の形態をとることになるため、本発明の目的とする、強度と柔軟性、加水分解性を適度に兼ね備えたモノフィラメントとなる。ブロック性が低下するほど、相分離は不明確となっていくとともに、分散相の内部のポリマー分子間力が低下する。したがって、ブロック性の低いPCL−PGAブロック共重合体を使用して紡糸・延伸しても、PGAセグメントの針状構造が明確に形成されなくなってくるか、形成されたとしても強度の低い相となるため、強度の高いモノフィラメントが得られず、好ましくない。
【0038】
PCL−PGAブロック共重合体のブロック性は、13C−NMRスペクトル測定により評価することができる。例えばブロック性の高いPCL−PGAブロック共重合体を、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFP)と重水素化クロロホルムとの2対1混合溶媒に溶解し、13C−NMRスペクトルを測定すると、169ppm付近にGLD単位のカルボニル炭素に由来するシングレットピーク、178ppm付近にCL単位のカルボニル炭素に由来するシングレットピークがそれぞれシャープに単独に観察される。これらはそれぞれ、GLDのホモポリマー及びCLのホモポリマーを同条件で13C−NMR測定した際に現れるピークと完全に一致する。(以降、これらのピークをホモポリマーピークと呼ぶ。)ブロック性が低い共重合体の場合は、同条件下で13C−NMR測定を行うと、上記169ppmと178ppmのホモポリマーピーク以外に、169〜171ppm付近及び176〜178ppm付近において多数の複雑なピークが現れる。これらは、GCC、CCG、GCGのように隣接するグリコール酸単位(G)により影響を受けてシフトしたカプロラクトン単位(C)のカルボニル炭素に由来するピーク、及びCGG、GGC、CGCのように隣接するカプロラクトン単位により影響を受けてシフトしたグリコール酸単位のカルボニル炭素に由来するピークである。いずれも、ランダム化することにより現れるピークであり、以降、ホモポリマーピーク以外のこれらのピークをランダム化ピークと呼ぶ。
【0039】
本発明の分解性モノフィラメントに使用されるPCL−PGAブロック共重合体は、その13C−NMR測定において、上記ランダム化ピークが実質的に現れないか、現れてもグリコール酸単位に隣接するカプロラクトン単位のカルボニル炭素に由来するピーク強度が、カプロラクトンに隣接するカプロラクトン単位のカルボニル炭素に由来するピーク強度に比べて約1/2程度以下である。さらには1/5以下であることが好ましい。
【0040】
ブロック性の高いPCL−PGAブロック共重合体は、示差走査熱量(DSC)測定により、特徴的な挙動を示す。すなわち、50〜70℃付近及び210〜240℃付近に融解吸熱ピークが観察される。これらの吸熱ピークは、それぞれCLのホモポリマー、及びGLDのホモポリマーの融点とほぼ一致する。PCLセグメントあるいはPGAセグメント内にGLD単位あるいはCL単位が混入し、ブロック性が低下したブロック共重合体では、DSC測定において、上記の2つの吸熱ピークよりもいずれも低温側にシフトした吸熱ピークを示すようになる。例えば、13C−NMR測定において、ランダムピークがホモポリマーピークと同程度現れるほどブロック性の低下したブロック共重合体では、160〜200℃付近にブロードな吸熱ピークを一つ示すのみで、もはや、PCLセグメントに由来する低温側の融解吸熱ピークは観察されない。
【0041】
本発明の分解性モノフィラメントには、DSC測定において少なくとも200〜240℃付近に明確な融解吸熱ピークを示すPCL−PGAブロック共重合体を使用することが好ましい。このようなPCL−PGAブロック共重合体を用いて紡糸・延伸して得られたモノフィラメントは、内部構造において、明確にPGAセグメントからなる針状に配向した分散相を含有する。針状に配向したPGAセグメントは、延伸により配向・結晶化するため、DSC測定においておよそ210〜240℃付近に比較的シャープな融解吸熱ピークを示す。
【0042】
本発明にかかる分解性モノフィラメントの好ましい製造方法について説明する。
本発明の好適な実施態様であるCG系モノフィラメントは、モノオール化合物又はジオール化合物の存在下で、CL50〜95重量部を開環重合し、その残存率が少なくとも15重量%以下とし、次いで、GLD5〜50重量部を添加して開環重合することにより得られた重合体を220〜270℃の温度で溶融紡糸した後、20〜80℃の温度にて3〜10倍に延伸することにより製造することが好ましい。
【0043】
本発明のモノフィラメント製造方法では、まずモノオール化合物又はジオール化合物の存在下で、CL50〜95重量部を重合させてPCLを生成させる。
モノオール化合物又はジオール化合物とは、少なくとも1つないし2つの水酸基をもつ化合物であり、具体的には例えば、炭素数1〜18の脂肪族アルコール、ジオール等が挙げられ、添加量の調節のしやすさや、CLへの溶解性等を考慮するとラウリルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が好ましく用いられる。
モノオール化合物又はジオール化合物の添加量は、所望とするPCLセグメントの分子量によって適宜決定される。PCLのMwはモノオール化合物又はジオール化合物のモル数によってある程度調節できるからである。その調節の方法は、当該業者に公知の方法が用いられる。例えば、特開平7−233246号公報(米国特許5412067号)に開示されている方法を使用することができる。前述したようにPCLセグメントのMwはPCL−PGAブロック共重合体の構造において重要な因子であり、本発明の分解性モノフィラメントの内部構造、及びモノフィラメントの物性に大きな影響を与える。PCLセグメントのMwを上述の範囲内に調節するためには、モノオール化合物又はジオール化合物の使用量はCLに対して、およそ0.01〜0.5モル%程度の範囲から選択されることが好ましい。0.1〜0.2モル%程度が特に好ましい。
【0044】
CLの重合には、触媒を用いるのが好ましい。重合触媒としては、例えば、オクタン酸第一錫、四塩化錫、塩化亜鉛、四塩化チタン、塩化鉄、三フッ化ホウ素エーテル錯体、塩化アルミニウム、三フッ化アンチモン、酸化鉛等の主として多価金属を含む化合物等が挙げられ、中でも錫化合物又は亜鉛化合物が好ましく使用される。オクタン酸第一錫が特に好ましい。重合触媒の使用量は、仕込んだCLの総重量に対して0.001〜0.05重量%程度であることが好ましい。
【0045】
使用するCL中には通常水分が含まれる。水分が多いCLを使用すると、モノオール化合物やジオール化合物の量を調節して生成PCLのMwを制御する場合、制御が困難となる。水分含有量が0.1〜200ppmであることが好ましい。CLは、例えば、モレキュラーシーブス等を用いて乾燥し、さらに蒸留する等して水分を除去するとよい。
【0046】
さらに、CLには通常、ヒドロキシカプロン酸等の遊離のヒドロキシカルボン酸が含まれる。遊離のヒドロキシカルボン酸は得られる共重合体の分子量に影響を及ぼすので、蒸留等、公知の方法により、その含有量を可能な限り低減し、10〜500ppm程度の範囲とすることが好ましい。より好ましくは10〜200ppmである。
【0047】
CLの重合時には、CLと共に、CLと共重合し得る他のモノマーが少量混合されて重合が行われていても、本発明の範囲内である。ただしその量は、CLに対しておよそ15モル%以下である。他のモノマーとしては例えば、DS、TMC、ジオキセパノン、GLD、LTD、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等が挙げられ、好ましくはDS、TMC、LTD、GLDである。
【0048】
CLの重合温度は、短時間で重合を進め、かつ生成するPCLの熱分解を抑制するため、およそ150〜250℃の範囲内であることが好ましい。特に好ましくは、200〜235℃程度である。
【0049】
CLの重合時間には特に制限はないが、少なくとも生成するPCLの分子量が十分量に達するまでの時間、GLDを添加することなしにCLの重合を行うことが重要である。好ましいCLの重合時間範囲は、上記の触媒量で上記温度範囲であれば、およそ0.2〜10時間程度である。
【0050】
本発明の製造方法においては、CLの重合の後、GLDを添加して重合させる前に、少なくとも未反応CLの残存率が15重量%以下としておくことが好ましい。すなわち未反応のCLが15重量%より多く存在する段階で、GLDを添加すると、生成するPGAセグメント中にCL単位が混入共重合する割合が高まり、PGAセグメントのブロック性が低下するので好ましくない。
【0051】
さらに好ましくは、GLD添加前の残存CL量は、添加するGLD量に対して10重量%以下であることが好ましい。GLD添加直前の反応系中の未反応CLを少なくする方法には例えば、1)CLの重合を適切な反応条件で行うことにより、CLの転化率を85%以上に高める方法、2)CLの重合反応の後半から、あるいは重合反応の終了後のGLDの添加の直前において、反応系を減圧条件下に加熱することにより、未反応CLを除去する方法等が挙げられる。上記1)の方法では、触媒量、反応温度、反応時間を適宜調節することにより、転化率を99%程度以上にまで高め、未反応CL量を1%未満程度にまで低減することも可能である。上記2)の方法においても、温度、減圧度、時間を適宜調節することにより、未反応CLの量を1%未満程度にまで低減することができる。
GLD添加前のCL残存率は、反応系内の反応物を少量取り、HFPに溶解し、ガスクロマトグラフィー(GC)等により測定することにより求めることができる。
【0052】
本発明のモノフィラメントの製造方法では、CLの重合に続いて、GLDを添加し、GLDを重合させることにより、PCL−PGAブロック共重合体又は、PCL−PGAブロック共重合体を主成分とする組成物を生成させる。
GLDの使用量は、5〜50重量部である。
GLDを添加して重合させる際、重合触媒を追加することもできる。
【0053】
モノオール化合物やジオール化合物のような水酸基化合物の存在下でCLを重合させると、PCL末端は水酸基を有しており、続いてGLDを添加、重合させることにより、PCL末端水酸基からPGAセグメントが生長し、PCL−PGAブロック共重合体が生成する。CLの重合の際にモノオール化合物を使用した場合には、PCLセグメント(A)、及びPGAセグメント(B)からなるAB型ブロック共重合体が生成する。ジオール化合物を使用した場合にはBAB型ブロック共重合体が生成する。
【0054】
使用するGLD中に含まれる水分量の管理は重要である。なぜならば、GLDの開環重合の段階において、これら水分の存在によって、PCLの末端水酸基以外からGLDが重合生長し、PCLセグメントをもたないGLD単独重合体(PGAホモポリマー)の生成割合が高まってしまうからである。PGAホモポリマーの生成が多くなると、好ましくない物性の変化をもたらす場合がある。したがって、GLDの水分含有量は0.1〜200ppmであることが好ましい。室温〜50℃程度において減圧乾燥したり、GLDを溶解しない親水性非アルコール性有機溶剤中でスラッジングする等してGLDから水分を除去するとよい。
【0055】
さらに、GLDには、通常、グリコール酸やグリコール酸の鎖状オリゴマー等の遊離のヒドロキシカルボン酸が含まれる。遊離のヒドロキシカルボン酸は同じくPGAホモポリマーの生成割合を高めるので好ましくない。GLD中の遊離ヒドロキシカルボン酸含有量を、蒸留、再結晶、スラッジング等により可能な限り低減し、10〜500ppm程度の範囲とすることが好ましい。より好ましくは10〜200ppmである。
【0056】
GLDの重合時には、GLDと共に、GLDと共重合し得る他のモノマーが少量混合されて重合が行われていても、本発明の範囲内である。ただしその量は、GLDに対しておよそ15モル%以下である。他のモノマーとしては例えば、DS、TMC、ジオキセパノン、LTD、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、CL等が挙げられ、好ましくはDS、TMC、LTD、CLである。
【0057】
GLD重合温度は、低すぎると生成するPGAセグメントが結晶化し、反応機内でゴム状に固化してしまう上、反応が不均一に進むため、所望とする物性のモノフィラメントを得ることができない。逆に重合温度が高すぎると、PGAセグメントが熱分解しやすくなるので好ましくない。かかる点を考慮すると、好ましい重合温度範囲は、およそ200〜250℃程度である。通常、窒素等の不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
【0058】
GLD添加前のCLの重合により生成させるPCLのMwは、およそ2万〜20万の範囲内であればよいが、さらに好ましくは、Mwを15万以下に抑えておくことが好ましい。PCLのMwが高すぎると、上記のGLDの重合温度範囲内ではPCLの溶融粘度が高くなりすぎるため、GLDをPCL中に均一に混合分散させることが困難となり、特殊な攪拌装置等を用いる必要が生じるためである。
【0059】
GLDの反応系への添加方法は特に制限されない。しかしながら、CLを重合させて得られる溶融物は高粘度であり、一方、添加したGLDは反応系内で低粘度の溶融液となるため、一時に大量のGLDを系内に添加すると、両者は良好に混合されず、反応が不均一になりやすい。このことは、PCL鎖末端へのPGAセグメントの付加を不均一にし、PGAホモポリマーの生成割合を高めることとなり、好ましい物性の発現が期待できなくなる。したがって好ましいGLDの添加方法は、1分間あたりのGLD添加量が、使用したCLの重量の合計の20%を超えない量となるように、所定量のGLDを少量ずつ連続的にあるいは間欠的に添加する方法である。
【0060】
GLDを重合させて得られた重合体には、未反応のGLDあるいはCLが含まれることがある。これら未反応物は、モノフィラメントとして成形して使用する際、加水分解を所望の速度より速めてしまうことがあるため、できるだけ含有量を低減することが望ましい。GLDあるいはCLの含有量は、好ましくはそれぞれ使用したGLDあるいはCLの5重量%未満となることが好ましい。さらに好ましくは1重量%未満である。
このため、GLDの重合は、転化率が95%以上となるまで行うことが好ましい。
【0061】
GLDの重合時間は、短すぎるとGLDの転化が不十分となり、好ましくない。逆に、長すぎると生成したPGAセグメントとPCLセグメントの間で、エステル交換反応が徐々に進行ため、ブロック性が損なわれ好ましくない。かかる点を考慮すると、上記重合温度範囲においては、好ましい重合時間は、およそ0.2〜5時間程度、さらに好ましくは0.3〜3時間程度である。
GLDの重合を上記重合時間で実施した場合、PGAセグメントとPCLセメントとの間のエステル交換は実質的に殆ど起こらず、ブロック共重合体のブロック性を著しく損なうことはない。
【0062】
GLDの転化率は、例えばCLの転化率の算出と同様に、ガスクロマトグラフィーにより知ることができる。
【0063】
このようにして得られた重合体は、溶融状態のまま減圧して、又は、冷却、粉砕した後、減圧下で加熱することにより未反応モノマーを除去することが好ましい。溶融状態のまま減圧して未反応モノマーを除去する場合、200〜240℃において、0.2〜1時間かけて最終的に13,300Pa以下の圧力において減圧、脱気し、その状態を0.3〜2時間維持する方法が挙げられる。130Pa程度まで減圧すること好ましい。
【0064】
また、重合体を冷却、粉砕した後、減圧下で加熱して、未反応モノマーを除去する場合、共重合体の形状は粉末、ペレット状等のできるだけ細かい形状とすることが好ましい。20〜60℃において、13,300Pa以下の圧力において減圧、脱気し、0.5〜72時間減圧、脱気が維持され続けるのがよい。130Pa程度まで減圧することが好ましい。いずれの方法においても、攪拌下であっても非攪拌下であってもよい。
【0065】
本発明のモノフィラメントの製造方法では、上述のようにして得られた重合体を特定条件下で溶融紡糸してフィラメント状にした後、特定条件下で延伸する。
溶融紡糸は、220〜270℃の温度範囲で行う。紡糸温度が低い場合には、PGAセグメントの融解が十分でなく、したがって紡糸の吐出が不安定になったり、モノフィラメントの内部構造においてPGA分散相の形成が不明確、不適当となったりするため、目的とする高い強度と柔軟性、適度な加水分解性を兼ね備えた、モノフィラメントは得られない。
【0066】
溶融紡糸には、好ましくは二軸押し出し機を使用する。本発明で好適に使用するPCL−PGAブロック共重合体は、60〜200℃程度の温度領域においてゴム状となりやすい。通常、当該業者間でよく使用される単軸押し出し機ではフィード部分にてゴム状となってスクリューに巻き付き、吐出が困難となることがある。二軸押し出し機はニーダー型、スクリュー型等、公知のものを使用することができる。
【0067】
また、溶融紡糸の際、紡糸ノズルから吐出されたフィラメントを、吐出後およそ1〜30秒以内に、−100〜50℃の冷却媒体中に浸漬して冷却することが好ましい。吐出後冷却までに長時間を要すると、フィラメント内でPGA分散相の結晶化が進みすぎ、次工程の延伸が所定の条件下では均一かつ十分に行いにくくなってしまい、結果として本発明の目的とする、高い強度と柔軟性及び適度の加水分解性を兼ね備えた分解性モノフィラメントは得られない。冷却媒体には、水、炭化水素化合物類、アルコール類、空気、窒素ガス、アルゴン等の不活性ガス等公知のものを使用できる。
【0068】
紡糸により得られた未延伸フィラメントは、およそ20〜80℃の温度にて3〜10倍に延伸する。延伸温度が低い場合、フィラメント全体の均一な延伸が不可能となり、特にマトリックス相のみが延伸されて、針状のPGA分散相が形成されにくくなり、したがって良好な物性は期待できない。また、延伸温度が高すぎると、延伸途中でフィラメントが切れてしまったり、良好な繊維配向や分散相の配向が得られなかったりして、逆に強度低下を招きやすいため好ましくない。分散相に良好な延伸をもたらし、かつ、フィラメント切れを防止するためには、上記温度範囲で延伸することが必要である。特に好ましくは、40〜70℃の範囲である。
また、延伸倍率が低すぎる場合には、PCLマトリックス及びPGA分散相ともに十分な配向が得られず、十分な強度が得られない。また、PGA分散相が十分に針状構造とならないため、フィラメントの柔軟性が不足しやすい。一方延伸倍率が極端に高すぎると、延伸切れを起こしたり、内部構造が破壊されたりして、かえって強度低下や柔軟性不足をもたらす。
【0069】
本発明の分解性モノフィラメントの太さには特に制限はないが、通常、直径が0.005〜2mmである。好ましくは0.02〜1mmである。
【0070】
本発明により、優れた機械的強度及び柔軟性を有し、適度の加水分解性を有し、かつ結紮安定性の高い、外科用吸収性縫合糸等の資材として適する分解性モノフィラメント及びその製造方法を提供することができる。
本発明の分解性モノフィラメントは、少なくとも200MPaの直線的引張強度、少なくとも170MPaの結紮引張強度を示し、優れた強度を有する。ヤング率は、2.1GPa以下であり、十分な柔軟性を有する。加水分解性、すなわち、37℃、pH7.3の水中に4週間浸漬した後の直線的引張強度の残率(元の引張強度に対する割合)は、10〜80%であり、さらに好ましい態様においては30〜70%であり、身体の種々の部位に適用するすることが可能である。
【0071】
また、本発明の分解性モノフィラメントは結紮安定性が良好で、一度作った結紮の結び目が緩くなることがない。従来知られているモノフィラメント縫合糸はいずれも結び目が大きくなりやすく、結び目の安定性(結紮安定性)が乏しいため、手術者は縫合糸に多数個の結び目を作る必要があった。本発明のモノフィラメントは、小さく安定し易い結び目を作ることが容易であり、1回の結び目を作るだけで十分結紮は安定する。
【0072】
さらに、一般的に、結び目を作ったフィラメントは、結び目を作る前よりも引張強度が低下する。従来知られているモノフィラメントは、結び目を作らない時の引張強度(直線的引張強度)に比べて、結び目を作った時の引張強度(結紮引張強度)は約5〜6割程度に低下することが知られている。この傾向は結び目の回数が多くなるほど顕著になる。
これに対し、本発明のモノフィラメントの結紮強度は、直線的引張強度の7〜8割程度の低下に過ぎない上、上述のとおり、従来のモノフィラメントに比べて少ない結び目で、結紮を安定させることが可能なので、実際の手術に使用した場合、十分な結紮強度を保証することができ、手術の安全保証の点から、極めて有効である。
【0073】
本発明の分解性モノフィラメントの用途は特に限定されることはない。例えば釣り糸等のような資材としても使用できる。好ましくは医療用成形物として利用できる。
本発明の分解性モノフィラメントは、公知の方法により医療用成形物に成形加工される。医療用成形物として、モノフィラメント状縫合糸、骨補強用板、外科用網状体、徐放性薬剤等が挙げられる。
モノフィラメント状縫合糸の製造方法は、特に制限はなく公知の方法が適用できる。必要に応じて、染色、コーティング、針つけ、滅菌、包装等を施す。
【0074】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明についてさらに詳細に説明する。尚、実施例に示したPGA、PCL及びPCL−PGAブロック共重合体等の分子量、CL、GLDの転化率、共重合体組成、ブロック性、共重合体融点、直線的引張強度、ヤング率、加水分解後の直線的引張強度の残率、結紮安定性は下記方法により測定・評価した。
【0075】
(1)PGA、PCL及びブロック共重合体の分子量Mw
重合体をHFPに溶解して濃度が約0.2重量%の溶液を調製し、該溶液をゲルパーミエーションクロマトクラフィー(昭和電工(株)製、形式:GPC−SYSTEM21、以下、GPCという)を用いて測定した。ポリメチルメタクリレートを標準物質として重量平均分子量(Mw)を算出した。
【0076】
(2)CL、GLDの転化率
生成した重合体をHFPに溶解し、キャピラリーガスクロマトグラフィによりポリマー中のCL、GLDの含有量(残存モノマー量)を測定することにより、算出する。
【0077】
(3)共重合体のPCL/PGA組成(重量部)
溶媒としてHFPと重水素化クロロホルム(CDCl3 )の混合溶媒(容積混合比:HFP/CDCl3 =2/1)を使用して重合体を溶解した(濃度5重量%)。核磁気共鳴装置(日本電子(株)製、形式:FX−90Q)を用いて、H核について1〜9ppmの範囲でスペクトルを測定した。CL単位に基づくメチレン基(2.4ppm)、GLD単位に基づくメチレン基(4.8ppm)の各共鳴強度から、試料中の各組成比(重量部)を求める。以下、1H−NMR分析という。
【0078】
(4)ブロック性の評価
上記(3)と同様に、重合体のHFP/CDCl3 溶液を調製し、核磁気共鳴装置を用いて、C核について160〜190ppmの範囲でスペクトルを測定した。以下、13C−NMR分析という。
(5)共重合体融点(℃)
毎分10℃の加熱割合で作動する示差走査熱量計(DSC)〔(株)RIGAKU製、型式:DSC−8230〕を用いて、重合体の融点を測定する。
【0079】
(6)TEM観察
フィラメントを、6時間硬化型2液エポキシ接着剤に包埋硬化後、ウルトラミクロトームを用い、ガラスナイフにより試料断面を平滑に面出しし、四酸化ルテニウムで約15時間染色した。洗浄後、ウルトラミクロトームを用い、ダイヤモンドナイフにより厚さ約70nmの超薄切片を切り出し、日立製、H7000型TEMを使用し、加速電圧75kvで検鏡した。
なお、ポリグリコール酸及びPCLのそれぞれの単体試料のTEM観察結果から、PCLの方がポリグリコール酸よりも四酸化ルテニウムにより強く染色されることを確認した。
【0080】
(7)直線的引張強度(MPa)、ヤング率(GPa)
JIS L−1069に規定される方法により、引張試験機のチャック幅40mm、引張速度100mm/minで測定する。直線的引張強度は、試料が破断するまでの最大荷重(N)から算出する。ヤング率は、応力(荷重)−歪み曲線の初期直線的弾性領域の勾配から次式(数1)により算出する。
【数1】
〔式中、θ:応力(荷重)−歪み曲線の初期直線部と歪み軸(X軸)との角度(°)、L:チャック幅(mm)、C:チャート速度(mm/min)、S:応力軸1目盛り当たりの荷重(N/mm)、H:引張速度(mm/min)、A:試料断面積(mm2 )〕
【0081】
(8)結紮引張強度(MPa)
試料(モノフィラメント)に外科結びを2回施し、(7)直線的引張強度と同様に引張試験を行い、破断するまでの最大荷重から算出する。
(9)加水分解後の直線的引張強度の残率(%)
pH7.27、温度37℃の燐酸塩緩衝溶液中に試料(モノフィラメント)を所定期間浸漬し、乾燥した後、第(7)項に記載した方法により直線的引張強度を測定して、未浸漬時の値に対する百分率(%)で示す。
【0082】
(10)結紮安定性
試料(モノフィラメント)を直径20mmのガラス管に密着するように2回巻き付けて外科結びを施した後、温度23℃、相対湿度50%において24時間放置し、その結び目の緩み具合の経時変化を目視にて観察する。ガラス管上の試料の結紮の結び目の緩み具合の程度により、試料の結紮安定性を評価する。評価基準は次の通りとする。
ランクA:結び目に緩みが無くガラス管に密着している状態。
ランクB:結び目に緩みがあるがガラス管に付着している状態。
ランクC:結び目の緩みが大きく、ガラス管から結び目が離れている状態。
【0083】
参考例1
Mw6万のポリε−カプロラクトン(PCL)を110℃で紡糸し、50℃の熱板上で7倍に延伸し、直径約0.4mmのPCLモノフィラメントを得た。直線的引張強度380MPa、ヤング率0.9GPaであった。加水分解2週間後の引張強度の残率は93%、4週間後の残率は87%であった。
【0084】
参考例2
Mw5万のポリグリコール酸(PGA)を250℃で紡糸し、50℃の熱板上で最高延伸倍率(4.5倍)まで延伸し、直径約0.5mmのPCLモノフィラメントを得た。直線的引張強度970MPa、ヤング率14.7GPaであった。加水分解2週間後の引張強度の残率は76%、4週間後の残率は17%であった。フィラメントが硬く、結び目を作ることが困難であった。
【0085】
実施例1
使用したCLは、3Aタイプのモレキュラーシーブで3日間乾燥した後、蒸留したものを用いた。CL中の水分は75ppmであった。
また、使用したGLDは、酢酸エチルで再結晶を繰り返したものを、減圧下に40℃で1晩乾燥したものを使用した。GLDの水分は、30ppmであった。
機械的攪拌装置、加熱装置付き滴下ロート、及び減圧脱気装置を取り付け、加熱減圧乾燥した5Lの反応機に、CL60重量部、オクタン酸第一錫をCLに対して0.015重量%、及びラウリルアルコールをCLに対して0.132モル%となる量装入した。
反応機内を約5分間窒素を通気した後、窒素雰囲気のままで反応混合物を約20分間かけて220℃まで加熱し、2時間この温度を保持した。このとき、CLの共重合体への転化率は約98%であり、生成したPCLのMwは56,000であった。
次いで、滴下ロートにGLD40重量部を入れ、約110℃に加熱して溶融させ、反応機内に約10分間かけて連続的に添加し、5分間激しく攪拌した。その後、攪拌は緩やかに行いながら反応温度を235℃まで上げ、その状態を約1時間保持した。GLDの共重合体への転化率は約99重量%であった。反応機内を徐々に減圧にして、未反応残存モノマーを除去した。得られた共重合体のPCL/PGA組成は61/39であり、Mwは98000であった。
【0086】
得られた共重合体の13C−NMRスペクトルを160〜190ppmの範囲で測定したところ、168.7ppmにGLD単位のカルボニル炭素に由来するピーク、及び177.8ppmにCL単位のカルボニル炭素に由来するピークがそれぞれ単独にシャープに現れ、それ以外のランダム化ピークは観察されなかった。
また、得られた共重合体の融点を、示差走査型熱量計にて測定したところ、56℃と219℃とにピークを示す明確な吸熱による融点が認められた。
次に、得られた共重合体を、内径2.5mmの単穴ノズルを付けた二軸押出し機を用いて最高温度250℃で紡糸した。押出し機のノズルの下部15cmのところにおよそ0℃の氷水浴を設け、押出し機から出たフィラメントが約3秒後に氷水浴に浸漬されるようにした。フィラメントを氷水浴中を約20秒間通過させた後巻き取った。得られたフィラメントを63℃の熱板上をすべらせながら7.4倍に延伸し、直径約0.45mmのモノフィラメントを得た。
【0087】
得られたモノフィラメントの繊維方向に平行な断面と繊維方向に垂直な断面のTEM写真を図1(図1)及び図2(図2)に示す。染色剤に黒く染まったPCLマトリックスの中に染色剤に染まりにくいPGA相が繊維方向に針状配向した状態で分散しているのが確認された。TEM写真の画像解析により、PCL相とPGA相の面積比率はおよそ65/35であった。PGA分散相の長軸の長さはおよそ0.1〜5μm、短軸の長さはおよそ0.01〜0.3μm、軸比はおよそ5〜20であった。針状分散相のおよそ9割以上が軸比8以上の分散相を有していた。
【0088】
得られたモノフィラメントの直線的引張強度は480MPa、ヤング率は1.3GPa、結紮引張強度は380MPaであった。加水分解4週間後の強度残存率は55%であった。また、結紮安定性評価はランクAであった。
【0089】
実施例2
ラウリルアルコールのかわりにジエチレングリコールをCLに対して0.132モル%となるような量を使用した以外は実施例1と同様にCL60重量部を重合させた。
CLの共重合体への転化率は約98%であり、生成したPCLのMwは59000であった。
次いで、実施例1と同様にGLD40重量部を添加して重合させた。GLDの共重合体への転化率は約99重量%であった。
得られた共重合体のPCL/PGA組成は59/41であり、Mwは101000であった。
【0090】
得られた共重合体の13C−NMRスペクトルを160〜190ppmの範囲で測定したところ、168.7ppmにGLD単位のカルボニル炭素に由来するピーク、及び177.8ppmにCL単位のカルボニル炭素に由来するピークがそれぞれ単独にシャープに現れ、それ以外のランダム化ピークは観察されなかった。
また、得られた共重合体の融点を、示差走査型熱量計にて測定したところ、56℃と219℃とにピークを示す明確な吸熱による融点が認められた。
次に、得られた共重合体を、実施例1と同様に単穴ノズルを付けた二軸押出し機を用いて最高温度250℃で紡糸した。押出し機のノズルの下部15cmのところにおよそ0℃の氷水浴を設け、押出し機から出たフィラメントが約4秒後に氷水浴に浸漬されるようにした。フィラメントを氷水浴中を約20秒間通過させた後巻き取った。得られたフィラメントを63℃の熱板上をすべらせながら6.9倍に延伸し、直径約0.49mmのモノフィラメントを得た。
【0091】
得られたモノフィラメントの繊維方向の平行断面と繊維方向の垂直断面をTEMで観察した。染色剤に黒く染まったPCLマトリックスの中に染色剤に染まりにくいPGA相が繊維方向に針状配向した状態で分散しているのが確認された。TEM写真の画像解析により、PCL相とPGA相の面積比率はおよそ65/35であった。PGA分散相の長軸の長さはおよそ0.05〜5μm、短軸の長さはおよそ0.01〜0.3μm、軸比はおよそ5〜20であった。針状分散相のおよそ9割以上が軸比8以上の分散相を有していた。
【0092】
得られたモノフィラメントの直線的引張強度は520MPa、ヤング率は1.1GPa、結紮引張強度は370MPaであった。加水分解4週間後の強度残存率は48%であった。また、結紮安定性評価はランクAであった。
【0093】
実施例3
CLを75重量部、GLDを25重量部使用した以外は、実施例1と同様にCLの重合、GLDの重合を行って共重合体を得た。
CLの共重合体への転化率は約98%であり、生成したPCLのMwは83000であった。GLDの共重合体への転化率は約99重量%であった。
得られた共重合体のPCL/PGA組成は75/25であり、Mwは111000であった。
【0094】
得られた共重合体の13C−NMRスペクトルを160〜190ppmの範囲で測定したところ、168.7ppmにGLD単位のカルボニル炭素に由来するピーク、及び177.8ppmにCL単位のカルボニル炭素に由来するピークがそれぞれ単独にシャープに現れ、それ以外のランダム化ピークは観察されなかった。
また、得られた共重合体の融点を、示差走査型熱量計にて測定したところ、55℃と216℃とにピークを示す明確な吸熱による融点が認められた。
【0095】
次に、得られた共重合体を、実施例1と同様に内径2.5mmの単穴ノズルを付けた二軸押出し機を用いて最高温度250℃で紡糸した。押出し機のノズルの下部15cmのところにおよそ0℃の氷水浴を設け、押出し機から出たフィラメントが約7秒後に氷水浴に浸漬されるようにした。フィラメントを氷水浴中を約20秒間通過させた後巻き取った。得られたフィラメントを60℃の熱板上をすべらせながら7.8倍に延伸し、直径約0.41mmのモノフィラメントを得た。
【0096】
得られたモノフィラメントの繊維方向の平行断面と繊維方向の垂直断面をTEMで観察した。染色剤に黒く染まったPCLマトリックスの中に染色剤に染まりにくいPGA相が繊維方向に針状配向した状態で分散しているのが確認された。TEM写真の画像解析により、PCL相とPGA相の面積比率はおよそ78/22であった。PGA分散相の長軸の長さはおよそ0.1〜5μm、短軸の長さはおよそ0.01〜0.3μm、軸比はおよそ5〜20であった。針状分散相のおよそ9割以上が軸比8以上の分散相を有していた。
【0097】
得られたモノフィラメントの直線的引張強度は460MPa、ヤング率は1.0GPa、結紮引張強度は360MPaであった。加水分解4週間後の強度残存率は65%であった。また、結紮安定性評価はランクAであった。
【0098】
比較例1
CLを40重量部、GLDを60重量部使用した以外は、実施例1と同様にCLの重合、GLDの重合を行って共重合体を得た。
CLの共重合体への転化率は約95%であり、生成したPCLのMwは51000であった。GLDの共重合体への転化率は約99重量%であった。
得られた共重合体のPCL/PGA組成は41/59であり、Mwは109000であった。
【0099】
得られた共重合体の13C−NMRスペクトルを160〜190ppmの範囲で測定したところ、168.7ppmにGLD単位のカルボニル炭素に由来するピーク、及び177.8ppmにCL単位のカルボニル炭素に由来するピークがそれぞれ単独にシャープに現れ、それ以外のランダム化ピークは観察されなかった。
また、得られた共重合体の融点を、示差走査型熱量計にて測定したところ、55℃と220℃とにピークを示す明確な吸熱による融点が認められた。
次に、得られた共重合体を、実施例1と同様に内径2.5mmの単穴ノズルを付けた二軸押出し機を用いて紡糸した。得られたフィラメントは硬く、40〜80℃の温度で延伸を各種試みたが、最高延伸倍率は4.5倍にとどまった。それ以上の延伸倍率ではフィラメント切れが多発した。
【0100】
得られたモノフィラメントの断面をTEMで観察したところ、マトリックスが染色剤に染まりにくいPGA相となっており、PCL相が不規則にPGAマトリックス中に分散していた。
得られたモノフィラメントの直線的引張強度は410MPa、ヤング率は4.4GPa、結紮引張強度は260MPaであった。加水分解4週間後の強度残存率は5%であった。また、糸が硬く、結紮安定性評価はランクCであった。
【0101】
比較例2
CLを60重量部、GLDを40重量部をあらかじめよく混合し、該混合物にオクタン酸第一錫及びラウリルアルコールを実施例1と同じ量添加し、実施例1と同様に加熱して重合させた。重合の進行が遅く、重合がほぼ完結するまでに7時間を要した。重合終了後、反応機内を徐々に減圧にして、未反応残存モノマーを除去した。得られた共重合体のPCL/PGA組成は62/38であり、Mwは97000であった。
【0102】
得られた共重合体の13C−NMRスペクトルを160〜190ppmの範囲で測定したところ、168.7ppmにGLD単位のカルボニル炭素に由来するピーク、及び177.8ppmにCL単位のカルボニル炭素に由来するピークが現れたが、それ以外に168.8、168.9、169.6、169.8、169.9、170.8、176.4、176.5、177.6ppm等にランダム化ピークが現れた。CL単位のランダム化ピークのピーク強度は、ホモポリマーピークの強度のおよそ3倍程度であった。
また、得られた共重合体の融点を、示差走査型熱量計にて測定したところ、170〜200℃にブロードな吸熱ピークを示すのみで、50〜70℃付近、及び210〜240℃付近には吸熱ピークは認められなかった。
【0103】
次に、得られた共重合体を、実施例1と同様に内径2.5mmの単穴ノズルを付けた二軸押出し機を用いて紡糸した。
得られたフィラメントを63℃の熱板上をすべらせながら7.0倍に延伸し、直径約0.45mmのモノフィラメントを得た。
得られたモノフィラメントの繊維方向の平行断面と繊維方向の垂直断面をTEMで観察したが、いずれも全体が薄く均一に着色しており、相分離構造は認められなかった。
得られたモノフィラメントの直線的引張強度は150MPa、ヤング率は1.0GPa、結紮引張強度は100MPaであった。加水分解4週間後の強度残存率は5%であった。柔軟ではあるが、引張強度が低く、加水分解も速いため、手術用縫合糸等の用途としては実用的ではなかった。また、結紮安定性評価はランクBであった。
【0104】
比較例3
CLの重合に続くGLDの添加を早め、CLの重合転化率が70%に達した時点で、未反応CLを系外に除去することなくGLDの添加を行った以外は実施例1と同様に重合を行った。GLD添加前の生成PCLのMwは42000であった。
GLDの重合終了後、反応機内を徐々に減圧にして、未反応残存モノマーを除去した。得られた共重合体のPCL/PGA組成は63/37であり、Mwは102000であった。
【0105】
得られた共重合体の13C−NMRスペクトルを160〜190ppmの範囲で測定したところ、168.7ppmにGLD単位のカルボニル炭素に由来するピーク、及び177.8ppmにCL単位のカルボニル炭素に由来するピークが現れたが、それ以外に168.8、168.9、169.6、169.8、169.9、170.8、176.4、176.5、177.6ppmにランダム化ピークが現れた。CL単位のランダム化ピークのピーク強度は、ホモポリマーピークの強度とほぼ同程度であった。
また、得られた共重合体の融点を、示差走査型熱量計にて測定したところ、170〜200℃にブロードな吸熱ピークが現れた。210〜240℃付近には吸熱ピークは認められなかった。
【0106】
次に、得られた共重合体を、実施例1と同様に内径2.5mmの単穴ノズルを付けた二軸押出し機を用いて紡糸した。
得られたフィラメントを63℃の熱板上をすべらせながら7.0倍に延伸し、直径約0.46mmのモノフィラメントを得た。
得られたモノフィラメントの繊維方向の平行断面と繊維方向の垂直断面をTEMで観察したが、いずれも全体が薄く均一に着色しており、相分離構造は認められなかった。
得られたモノフィラメントの直線的引張強度は220MPa、ヤング率は1.3GPa、結紮引張強度は160MPaであった。加水分解4週間後の強度残存率は15%であった。柔軟ではあるが、引張強度が低く、加水分解も速いため、手術用縫合糸等の用途としては実用的ではなかった。また、結紮安定性評価はランクBであった。
【0107】
実施例4
延伸を、室温(15℃)で行ったこと以外は、実施例1と同様にPCL−PGAブロック共重合体を合成し、紡糸、延伸してモノフィラメントを得た。延伸倍率は、最高で4.4倍であった。
【0108】
得られたモノフィラメントの繊維方向に平行な断面のTEM写真を図3(図3)に示す。染色剤に黒く染まったPCLマトリックスの中に染色剤に染まりにくいPGA相が分散していたが、針状になっている分散相と、島(球状)の分散相とが存在し、不均一に延伸されているのが確認された。TEM写真の画像解析により、分散相のうち、軸比が3以上である針状の分散相の占める割合は40%であった。
【0109】
得られたモノフィラメントの直線的引張強度は330MPa、ヤング率は1.6GPa、結紮引張強度は220MPaであった。加水分解4週間後の強度残存率は45%であった。また、結紮安定性評価はランクAであった。
【0110】
比較例4
比較のため、米国特許4,700,704に開示されている方法によりGLDとCLとの共重合体を合成した。
機械的攪拌装置、加熱装置付き滴下ロート、及び減圧脱気装置を取り付け、加熱減圧乾燥した5Lの反応機に、CL856g、GLD508g、0.033mol/リットルのオクタン酸第一錫トルエン溶液を12.5ミリリットル及びヘキサンジオールを5.9g装入した。
反応機内を約5分間窒素を通気した後、窒素雰囲気のままで反応混合物を約20分間かけて190℃まで加熱し、1時間この温度を保持した。
次いで、滴下ロートにGLD1524gを入れ、約110℃に加熱して溶融させ、190℃に保温した反応機内に添加し、攪拌した。その後、反応機内を205℃にして、6時間攪拌した。転化率は約95重量%であった。
得られた共重合体のPCL/PGA組成は、25/75であり、Mwは94000であった。
【0111】
得られた共重合体の13C−NMRスペクトルを160〜190ppmの範囲で測定したところ、168.7ppmにGLD単位のカルボニル炭素に由来するピーク、及び177.8ppmにCL単位のカルボニル炭素に由来するピークが現れたが、それ以外に168.8、168.9、169.6、169.8、169.9、170.8、176.4、176.5、177.6ppm等にランダム化ピークが現れた。CL単位のランダム化ピークのピーク強度は、ホモポリマーピークの強度のおよそ6倍程度であった。
【0112】
また、得られた共重合体の融点を、示差走査型熱量計にて測定したところ、155〜206℃にブロードな吸熱を示す融点が認められた。
次に、得られた共重合体を、内径2.5mmの単穴ノズルを付けた二軸押出し機(東洋整機製、プラストミル)を用いて最高温度230℃で紡糸した。押出し機のノズルの下部15cmのところにおよそ0℃の氷水浴を設け、押出し機から出たフィラメントが約7秒後に氷水浴に浸漬されるようにした。フィラメントを氷水浴中を約20秒間通過させた後巻き取った。得られたフィラメントを63℃の熱板上をすべらせながら最大延伸倍率(約6倍)に延伸し、直径約0.55mmのモノフィラメントを得た。
【0113】
得られたモノフィラメントの繊維方向の平行断面と繊維方向の垂直断面をTEMで観察したが、いずれも全体が薄く均一に着色しており、相分離構造は認められなかった。
得られたモノフィラメントの直線的引張強度は400MPa、ヤング率は1.1GPa、加水分解4週間後の強度残存率は0%であった。結紮引張強度は220MPaであった。柔軟で、直線的引張強度が高いが、加水分解が速いため、手術用縫合糸等の用途としては、縫合期間が短くてもよい場合に限定される。また、結紮安定性評価はランクBであり、結紮安定性に劣っていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1で得られたモノフィラメントの繊維方向に平行な断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真図である。
【図2】図2は実施例1で得られたモノフィラメントの繊維方向に垂直な断面のTEM写真図である。
【図3】図3は実施例4で得られたモノフィラメントの繊維方向に平行な断面のTEM写真図である。
Claims (15)
- ε−カプロラクトン及びグリコリドの共重合体からなるモノフィラメントであって、モノフィラメントの内部構造が、
(a)ポリ(ε−カプロラクトン)セグメントを含有するマトリックス相と、
(b)ポリグリコール酸セグメントを含有する微小な分散相
とに分離した構造であり、マトリックス相と分散相のそれぞれの成分の重量比が50:50〜95:5であり、該モノフィラメントの直線的引張強度が200MPa以上、ヤング率が2.1GPa以下、37℃、pH7.3の水中で4週間後の直線的引張強度の残率が30〜70%であり、かつ、分散相が繊維方向に引き延ばされ配向した針状構造を含有することを特徴とするモノフィラメント。 - 分散相の少なくとも70%が繊維方向に配向した針状構造であり、その繊維軸の垂直断面の直径が0.01μm〜0.5μmであり、長軸と短軸との比が8以上である、請求項1記載のモノフィラメント。
- 示差走査熱量計にて、少なくとも210〜240℃付近において明確な吸熱を示す、請求項1記載のモノフィラメント。
- モノオール化合物又はジオール化合物の存在下、ε−カプロラクトン50〜95重量部を開環重合し、残存のカプロラクトンを少なくとも15重量%以下とし、次いで、グリコリド5〜50重量部を添加して開環重合することにより、ポリ(ε−カプロラクトン)セグメント(A)及びポリグリコール酸セグメント(B)からなるAB型又はBAB型ブロック共重合体を製造し、該ブロック共重合体を溶融紡糸した後、3〜10倍に延伸して得られる請求項1記載のモノフィラメント。
- ポリ(ε−カプロラクトン)セグメントの重量平均分子量が40,000〜150,000である、請求項4記載のモノフィラメント。
- ポリグリコール酸セグメントの重量平均分子量が1,000〜200,000である請求項4記載のモノフィラメント。
- ブロック共重合体の重量平均分子量が30,000〜400,000である、請求項4記載のモノフィラメント。
- ブロック共重合体が、13C−NMRスペクトル測定において、グリコール酸単位に隣接するカプロラクトン単位のカルボニル炭素に由来するピークの強度が、カプロラクトン単位に隣接するカプロラクトン単位のカルボニル炭素に由来するピーク強度に比べて1/2以下であるブロック性の高い共重合体である請求項4記載のモノフィラメント。
- モノオール化合物又はジオール化合物の存在下、ε−カプロラクトン50〜95重量部を、生成ポリ(ε−カプロラクトン)の重量平均分子量が20,000〜200,000に到達するまで開環重合し、残存のカプロラクトンが少なくとも15重量%以下とし、次いで、グリコリド5〜50重量部を添加して開環重合することにより得られた共重合体を220〜270℃の温度で溶融紡糸した後、3〜10倍に延伸することからなる請求項1記載のモノフィラメントの製造方法。
- 1分間あたりのグリコリド添加量が、使用するε−カプロラクトンの重量の20%を超えない量となるように、グリコリドを連続的あるいは間欠的に添加することを特徴とする、請求項9記載のモノフィラメントの製造方法。
- ε−カプロラクトンを重合させて得られるポリ(ε−カプロラクトン)の重量平均分子量が40,000〜150,000に到達した時点で、グリコリドを添加することを特徴とする、請求項9記載のモノフィラメントの製造方法。
- 溶融紡糸の際、紡糸ノズルから吐出されたフィラメントを吐出後1〜30秒以内に、−100〜50℃の冷却媒体中に浸漬することを特徴とする、請求項9記載のモノフィラメントの製造方法。
- 延伸温度が20〜80℃である請求項9記載のモノフィラメントの製造方法。
- 請求項1記載のモノフィラメントから製造される生体吸収性医療用具。
- 生体吸収性医療用具が、モノフィラメント状縫合糸である請求項14記載の生体吸収性医療用具。
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