JP3710347B2 - 高張力鋼板のスポット溶接部における疲労強度向上方法 - Google Patents
高張力鋼板のスポット溶接部における疲労強度向上方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3710347B2 JP3710347B2 JP35479999A JP35479999A JP3710347B2 JP 3710347 B2 JP3710347 B2 JP 3710347B2 JP 35479999 A JP35479999 A JP 35479999A JP 35479999 A JP35479999 A JP 35479999A JP 3710347 B2 JP3710347 B2 JP 3710347B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- spot
- fatigue strength
- spot welding
- steel plates
- spot welds
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
Landscapes
- Resistance Welding (AREA)
- Arc Welding In General (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高張力鋼板のスポット溶接部周囲の引張り残留応力を減少させて疲労強度を増大させるようにしたスポット溶接部の疲労強度向上方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼板同士のスポット溶接は、図2に示すように鋼板1同士の重ね合わせ部分を一対の電極2で挟み、この電極2に矢印方向に数kNの力を作用させて鋼板1同士を加圧し、この加圧状態で数kAの電流を電極2に通電して鋼板1同士の圧着部分をジュール発熱にて瞬間溶融し、ナゲット3と呼ばれる所定径φ1の溶融塊を形成することにより行われる。またこのナゲット3の周囲φ2は完全な溶融領域ではないが、電極2による加圧力で加圧接合の状態となっている。ナゲット3自体は溶融状態からの冷却固化に伴って収縮するため、ナゲット3周囲の接合径φ2領域は電極2による加圧にも拘わらず通常鋼板で150Pa程度の図2(B)矢印にて示すように引張り残留応力Tが発生することが知られている。この引張り残留応力Tは疲労強度の低下要因となるため、従来から電極2に対する通電によるテンパ処理(焼戻し)が行われている。このテンパ処理は詳しくは図3(A)のように溶接時の電極2の加圧状態(図示例では3.4kN)を溶接後も持続し、溶接用通電から例えば100サイクル程度(60サイクル=1秒)の無通電期間を置いて、溶接時電流を8kAとした場合これよりも若干少ない例えば6kAの電流を溶接時(16サイクル)よりも若干長い例えば32サイクルだけ流し、この通電によるジュール発熱を利用して行われる。なお、図3で電極加圧パターンの立上がりが傾斜しているが、これは鋼板1同士の圧着なじみをよくするためのものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、近年、自動車ボデーの軽量化や高剛性化の要求に対応するため、従来の高張力鋼板としての析出鋼板に加えて、TRIP(Transformation Induced Plasticity )鋼板やDP(Dual Phase)鋼板などの新しい高張力鋼板が自動車ボデーに採用される傾向にあるが、このような高張力鋼板は今までの析出鋼板とは異なる添加元素を多く含んでおり、この新たな添加元素の影響で溶接部硬さが増大して溶接部における切欠き感受性が増加し、かつ、この溶接部硬さの増大に伴い溶接ナゲット周囲の引張り残留応力も増大する影響もあって、溶接部の疲労強度がかえって低下するという懸念が指摘されている。
【0004】
本発明はかかる課題に鑑み創案するに至ったものであって、テンパ処理にて硬さ勾配を緩やかにし、かつ、溶接部周囲の引張り残留応力を減少させることによりスポット溶接部の疲労強度を増大させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る高張力鋼板のスポット溶接部における疲労強度向上方法は、電極による加圧下で鋼板同士をスポット溶接すると共にスポット溶接後の前記電極に対するスポット溶接時電流よりも少ない電流の一時的通電にてスポット溶接部を発熱させて焼戻しし、かつ、焼戻し通電終了から一定時間後に前記電極の加圧力をスポット溶接時の加圧力よりも増大させた冷間加圧工程をおこなって、前記スポット溶接部の周囲の引張り残留応力を減少させるようにしたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態を図1(A)(B)に基づき説明する。図1(A)に示すように、本発明に係る疲労強度向上方法は、従来と全く同じスポット溶接工程の後に、新たに冷間加圧工程を設けたものである。この冷間加圧工程は、スポット溶接の電極を利用してその加圧力を例えば溶接時の3.4kNからその約10倍に相当する35kNまで高めることにより行なう。この加圧力の上限は電極の機械的強度によって制約されることは勿論であるが、同時に、電極寿命を過度に損なわない範囲に設定する必要がある。
【0007】
なお、加圧時間としては100サイクル(約1.67秒)程度もあれば十分であるが、溶接対象鋼板の種類や板厚によって適宜増減するとよい。本実施形態では1.4mm厚のTRIP鋼板やDP鋼板同士のスポット溶接を想定して前記加圧時間を設定した。冷間加圧開始時期は、テンパ処理の効果を完全ならしめるためテンパ処理通電終了から100サイクル以上の時間を空けて行なうのが望ましいが、この空白時間はテンパリングの通電電流の大きさ乃至時間や生産効率などとの相関関係から適宜増減してよい。
【0008】
本発明者らが行なった試験によれば、板厚1.4mmのDP鋼板同士を従来法によりスポット溶接しテンパ処理した場合、溶接部周囲の引張り残留応力は平均で約130MPaであったが、35kNの冷間加圧処理を施すことにより前記引張り残留応力はほぼ解消されて実質的に応力ゼロの状態にすることができた。また、冷間加圧力をさらに増加させると、それにほぼ比例して溶接部周囲に圧縮残留応力が発生することも確認された。この圧縮残留応力は疲れ限度を増大させる上で好ましいことはいうまでもない。
【0009】
スポット溶接後に前記方法で冷間加圧処理したDP鋼板を疲労強度試験したところ、図1(B)のS−N線図が得られた。この結果から明らかなように、DP鋼板のスポット溶接部の疲れ限度は1E+7回(107 回)の繰返し数において約120MPaとなることが確認された。比較例としてスポット溶接のみでテンパ処理なしのDP鋼板スポット溶接部の疲れ限度を測定した結果、約100MPaであることも確認された(図1(B)◇印)。また、図3(B)のS−N線図に示すように、スポット溶接にテンパ処理を組合わせた場合でも疲れ限度は約105MPaであった(図3(B)◆印)。なお、図1(B)のスポットのみプロット点(◇印)と図3(B)テンパなしのプロット点(△印)は同じである。
【0010】
従って、本発明方法によれば従来のスポット溶接+テンパ処理の疲労強度(105MPa)よりも、約15%近く疲れ限度を増大させ得ることが分かった。なお、疲れ限度120MPaという値は、従来型自動車ボデーに多く採用されている軟鋼板のスポット溶接部の一般的疲れ限度の95MPaに比べると約25%の増大となっており、これは板厚を基準とした場合の軟鋼板に対する高張力鋼板の衝撃吸収エネルギの優位性と同等なものであり、従ってスポット溶接部の疲労強度を増大させつつボデー鋼板の薄板化ないし軽量化を十分達成可能であることが分かる。
【0011】
以上本発明の一実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であり、例えば生産効率を向上させるために冷間加圧処理の開始時期をテンパ処理に可及的に近接させるようにしてもよい。
【0012】
本発明は前述の如く、スポット溶接後のスポット溶接時電流よりも少ない電流によるテンパ処理に加えて、テンパ処理の通電終了から一定時間後に電極の加圧力をスポット溶接時の加圧力よりも増大させた冷間加圧処理を行なうようにしたものであるから、冷間加圧処理により溶接部周囲の引張り残留応力が低減されて疲労強度を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の疲労強度向上方法の一実施形態を示す加圧力と電流の付与パターンを示す図、(B)は同実施形態による疲労強度増大効果を示すS−N線図。
【図2】(A)はスポット溶接部の断面図、(B)はスポット溶接部の一部拡大断面図。
【図3】(A)は従来の疲労強度向上方法を示す加圧力と電流の付与パターンを示す図、(B)は従来の疲労強度増大効果を示すS−N線図。
【符号の説明】
1 鋼板
2 電極
3 ナゲット
Claims (1)
- 電極による加圧下で鋼板同士をスポット溶接すると共にスポット溶接後の前記電極に対するスポット溶接時電流よりも少ない電流の一時的通電にてスポット溶接部を発熱させて焼戻しし、かつ、焼戻し通電終了から一定時間後に前記電極の加圧力をスポット溶接時の加圧力よりも増大させた冷間加圧工程をおこなって、前記スポット溶接部の周囲の引張り残留応力を減少させるようにしたことを特徴とする高張力鋼板のスポット溶接部における疲労強度向上方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35479999A JP3710347B2 (ja) | 1999-12-14 | 1999-12-14 | 高張力鋼板のスポット溶接部における疲労強度向上方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35479999A JP3710347B2 (ja) | 1999-12-14 | 1999-12-14 | 高張力鋼板のスポット溶接部における疲労強度向上方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001170776A JP2001170776A (ja) | 2001-06-26 |
JP3710347B2 true JP3710347B2 (ja) | 2005-10-26 |
Family
ID=18439992
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35479999A Expired - Fee Related JP3710347B2 (ja) | 1999-12-14 | 1999-12-14 | 高張力鋼板のスポット溶接部における疲労強度向上方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3710347B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
IN2012DN01208A (ja) * | 2009-08-31 | 2015-04-10 | Nippon Steel Corp |
-
1999
- 1999-12-14 JP JP35479999A patent/JP3710347B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001170776A (ja) | 2001-06-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5713147B2 (ja) | 重ね合せ溶接部材、自動車用部品、重ね合せ部の溶接方法、及び、重ね合せ溶接部材の製造方法 | |
JP6558443B2 (ja) | 抵抗スポット溶接方法 | |
KR101892828B1 (ko) | 저항 스폿 용접 방법 | |
JP5293227B2 (ja) | 高強度薄鋼板の抵抗スポット溶接方法 | |
JP2010115706A (ja) | 高強度鋼板の抵抗スポット溶接方法 | |
WO2019124464A1 (ja) | 抵抗スポット溶接継手の製造方法 | |
JP2009241112A (ja) | 抵抗スポット溶接方法 | |
JP5573128B2 (ja) | 抵抗スポット溶接方法 | |
WO2021177254A1 (ja) | 抵抗スポット溶接方法および抵抗スポット溶接継手の製造方法 | |
KR20190089192A (ko) | 저항 스폿 용접 방법 | |
JP6313921B2 (ja) | 抵抗スポット溶接方法 | |
JP7059572B2 (ja) | 溶接継手の製造方法及び溶接継手 | |
JP3710347B2 (ja) | 高張力鋼板のスポット溶接部における疲労強度向上方法 | |
JP2002103048A (ja) | 高強度鋼板のスポット溶接方法 | |
WO2019124465A1 (ja) | 抵抗スポット溶接継手の製造方法 | |
US20220152726A1 (en) | Spot welding method for aluminum material and aluminum material | |
JP5907122B2 (ja) | 抵抗スポット溶接方法 | |
CN107848061A (zh) | 电阻点焊方法 | |
JP7247768B2 (ja) | 高強度鋼板の抵抗溶接方法 | |
JP4176590B2 (ja) | 閉ループ型せん断補強筋 | |
JPS58387A (ja) | 複合ロ−ルの製造方法 | |
KR100482222B1 (ko) | 고탄소강의 플래쉬 버트 용접방법 | |
JP2019089077A (ja) | 抵抗スポット溶接装置 | |
JP7335196B2 (ja) | 抵抗溶接部材の製造方法 | |
JP5995162B2 (ja) | 焼入れ硬化性金属板の溶接方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050228 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050315 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050509 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050628 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050715 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050808 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050809 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080819 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100819 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120819 Year of fee payment: 7 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |