JP3709170B2 - 連続溶融メッキ設備におけるワイピング用圧縮機の切替方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続溶融メッキ設備におけるワイピング用圧縮機の制御方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
通常一貫製鉄所等においては、ユウティリティ設備により常に圧縮空気を供給できる環境を備えているが、設備が分散化されているような場合において、連続溶融メッキ設備のワイピングノズルに圧縮空気を供給するような場合、必要最小限の圧縮機台数を設置し、連続的にロード運転を行わなければならない。
【０００３】
図３はワイピング用圧縮機を備えた従来の連続溶融メッキ設備の概略図である。図３において、鋼板１は溶融亜鉛メッキ浴でメッキされ、ワイピングノズル２で圧縮空気を吹き付けてメッキ厚を調整している。圧縮空気は圧力計４で測定され、圧力調整弁３，５で調整される。圧縮空気は圧縮機６で供給されるが、連続溶融メッキラインでは、圧縮機６の故障による生産不良を回避するため、スタンバイの圧縮機６が設置されている。
【０００４】
この圧縮機６は保守の制約上、継続して長期間停止状態にしておくことができないので、圧縮機６を切り替える必要がある。負荷系と圧縮機６をダイレクトに配管接合し、複数台の圧縮機６のうち、少なくとも１台を常時運転し、その他を代わる代わるスタンバイさせるにあたって、メッキ鋼板の歩留まり向上させるために、圧縮空気の供給が不安定となる圧縮機の切替を連続する鋼板の溶接点近傍でタイミングよく行う必要がある。
【０００５】
なお、圧縮機の制御については、例えば、特開平８−２９６５６６号公報には、圧縮機から負荷までの容量とは個別に、負荷量に応じて、圧縮機ロード／アンロード運転の適切な切り替えによる運転効率の向上を可能とした圧縮機の台数制御することが記載されているが、レシーバタンクを設けず、負荷量に応じたロード／アンロード運転が必要でない分散化された設備構成の制御について言及されていない。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
溶融メッキ設備における従来の圧縮機の切り替えのタイミングは、特に制御されていないので、連続する鋼板の溶接点近傍でタイミングよく行うことができず、メッキ不良部分が発生し、メッキ鋼板の歩留まりを向上させることが困難であった。
【０００７】
そこで、本発明は、溶融メッキ設備における圧縮機の切り替えのタイミングを制御してメッキ不良部分を低減させ、メッキ鋼板の歩留まりを向上させることを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明は、連続溶融メッキ設備におけるワイピングノズルに圧縮空気を供給するワイピング用圧縮機のうち運転中のワイピング用圧縮機を停止し休止中のワイピング用圧縮機を起動させて切り替えるワイピング用圧縮機の切替方法において、運転中のワイピング用圧縮機と休止中のワイピング用圧縮機の切替タイミングを鋼板の溶接点近傍とし、該溶接点近傍における任意の点を切替点（Ｐ）として設定し、該切替点を基準として、運転中のワイピング用圧縮機が停止するまでの時間（ｔ１）、休止中のワイピング用圧縮機が立ち上がるまでの時間（ｔｎ）、トラッキング情報、ラインスピードに基づいて、ワイピング用圧縮機の停止タイミング（ａ）及び起動タイミング（ｂ）の設定を行うことを特徴とする。
【０００９】
【発明の実施の形態】
図１は本発明のワイピング用圧縮機を備えた連続溶融メッキ設備の概略図である。鋼板１は溶融亜鉛メッキ浴でメッキされ、ワイピングノズル２で圧縮空気を吹き付けてメッキ厚を調整している。圧縮空気は圧力計４で測定され、圧力調整弁３，５で調整される。圧縮空気は圧縮機６で供給される。圧縮機６にはスタンバイの圧縮機６が設置されている。７は圧縮機用圧力計である。
【００１０】
スタンバイの圧縮機６は制御装置８により切り替えられる。制御装置８には、運転中圧縮機の停止するまでの時間（ｔ１）、休止中圧縮機が立ち上がるまでの時間（ｔｎ）、トラッキング情報、ラインスピードが入力され、これに基づいて、圧縮機の停止タイミング（ａ）及び起動タイミング（ｂ）が設定される。
【００１１】
図２（ａ）は本発明の制御の説明図、（ｂ）は溶接点の説明図である。図２において、切替の基準となる任意の切替点（Ｐ）を、溶接点ＷＰの近傍Ｐ＝ＷＰ±αに設定する。溶接点ＷＰの位置はトラッキング情報及びラインスピードから制御装置で演算される。±αは圧縮機の切替による製品とならない不良部分の切り捨て長さを溶接点ＷＰ近傍で前後にずらす設定値で、ユーザの要求により決定される。
【００１２】
Ｎｏ．１圧縮機が停止する時間ｔ１とＮｏ．ｎ圧縮機が立ち上がるまでの時間ｔｎからＮｏ．１圧縮機の停止タイミングａ及びＮｏ．ｎの立ち上がるまでの時間ｔｎで圧縮機の起動タイミングｂの設定を行い、切り替え時間Ｔの間に切替点（Ｐ）が来るようにする。
【００１３】
【発明の効果】
本発明の効果は次のとおりである。
【００１４】
（１）製品とならない溶接点前後のメッキ不良となる範囲で圧縮機の切替を行うので、生産歩留まりが向上する。また、溶接点近傍で圧縮機を切り替えることにより、メッキ不良部分を最小とすることができる。
【００１５】
（２）切替の基準となる任意の切替点（Ｐ）を溶接点の近傍に設定することにより、生産者のニーズにより圧縮機の切り替えによる溶接点前後のメッキ不良部を、溶接点近傍で任意位置に設定できる。
【００１６】
（３）複数台の圧縮機をロード／アンロード運転する必要がない設備規模ながら、連続操業をしなければならない連続鋼板メッキ設備用圧縮機において、圧縮機の故障時にも備えた連続供給が可能となるため、信頼性向上を達成することが可能となる。
【００１７】
（４）設備規模に応じて必要最小限の圧縮機を設置する分散化が達成できる。
【００１８】
スタンバイの圧縮機を設置し、これを切り替えてローテションすることにより、常に安定した圧縮空気を供給できる環境が整い、圧縮機の故障による生産不能を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明のワイピング用圧縮機を備えた連続溶融メッキ設備の概略図である。
【図２】 （ａ）は本発明の制御の説明図、（ｂ）は溶接点の説明図である。
【図３】 ワイピング用圧縮機を備えた従来の連続溶融メッキ設備の概略図である。
【符号の説明】
１：鋼板
２：ワイピングノズル
３：圧力調整弁
４：圧力計
５：圧力調整弁
６：圧縮機
７：圧縮機用圧力計
８：制御装置

Claims (1)

1. 連続溶融メッキ設備におけるワイピングノズルに圧縮空気を供給するワイピング用圧縮機のうち運転中のワイピング用圧縮機を停止し休止中のワイピング用圧縮機を起動させて切り替えるワイピング用圧縮機の切替方法において、
   運転中のワイピング用圧縮機と休止中のワイピング用圧縮機の切替タイミングを鋼板の溶接点近傍とし、
   該溶接点近傍における任意の点を切替点（Ｐ）として設定し、
   該切替点を基準として、運転中のワイピング用圧縮機が停止するまでの時間（ｔ１）、休止中のワイピング用圧縮機が立ち上がるまでの時間（ｔｎ）、トラッキング情報、ラインスピードに基づいて、ワイピング用圧縮機の停止タイミング（ａ）及び起動タイミング（ｂ）の設定を行うことを特徴とする連続溶融メッキ設備におけるワイピング用圧縮機の切替方法。

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