JP3706898B2 - 情報記録装置における位相情報信号の再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記録装置において、情報記録媒体からヘッドによって読み取られる畳み込み状態の位相情報のデータ列に基づいて元の位相情報データ列を復元する位相情報信号の再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、磁気記録再生装置は、小型かつ大容量を実現するために、高記録密度化の傾向にある。代表的な磁気記録再生装置であるハードディスクドライブの分野においては、すでに面記録密度が15Gbits/in2(23.3Mbits/mm2)を超える装置が商品化されており、さらには40Gbits/in2(62.0Mbits/mm2)の実用化に向けて急速な技術進歩が認められる。近い将来、トラックピッチがサブミクロン領域に達するものと予想されている。
【0003】
このような狭トラック化に際しては、ヘッドのトラッキングサーボ技術が重要となる。現在の磁気記録再生装置では、ディスク状の情報記録媒体に一定の角度間隔でトラッキング用サーボ信号やアドレス情報信号、再生クロック信号等のプリフォーマット情報信号が記録されている。ヘッドは、一定間隔でこれらの信号を再生することにより、ヘッドの位置を確認し、修正しながら正確に目標トラック上を走査する。
【0004】
このようなトラッキングサーボの技術の1つに、再生信号パルスの時間情報すなわち位相情報をヘッドの位置情報とする位相サーボ方式が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−83640号公報(第5頁、図6)
【特許文献2】
特開平11−144218号公報(第8−10頁、図7)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このようにプリフォーマットされた情報記録媒体を情報記録装置に組み込んだ場合、情報記録媒体に書き込まれている位相パターンが情報記録媒体の回転中心に対して偏心することがある。この場合、ヘッドが静止していても、ヘッドがピックアップしたヘッドの位置情報である位相信号は一定ではなく、正弦波状に変動してしまう。そうなると、トラッキング制御を正しく遂行することができない。
【0007】
したがって、情報記録媒体における位相パターンが偏心していることにより、回転中心に対するヘッドの相対的な位置関係に対して与える影響を補償する必要がある。
【0008】
本発明は上記した課題の解決を図るべく創作したものであって、トラック密度に対する位相パターンの偏心量が大きくても、偏心に対する補償を高精度に行えるようにすることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
情報記録装置における位相情報信号の再生方法について、本発明は次のような手段を講じることにより、上記の課題を解決する。
【0010】
情報記録媒体には、トラック位置検出のための位相パターンがあらかじめ記録されている。その位相パターンは半径方向での繰り返しパターンとなっている。この位相パターンの繰り返しがデータの畳み込みの原因となっている。
【0011】
第1のステップにおいて、情報記録媒体上の位相パターンをヘッドによって読み取って位相情報のデータ列を取得する。この位相情報のデータ列は、復元されるべき位相情報データ列の各データを所定値(例えば2π)で除した余りの値である畳み込み状態のデータ列となっている。
【0012】
次いで、第2のステップにおいて、前記読み取った畳み込み状態の位相情報のデータ列における隣接データの差分値をデータ列とする差分データ列を生成する。さらに、第3のステップにおいて、前記差分データ列における隣接データの差分値をデータ列とする2階差分データ列を生成する。そして、第4のステップにおいて、前記2階差分データ列において、各データがいずれの区分領域に属するかに応じて積上げ係数を算出した上で、畳み込みを元に戻す復元処理を行って復元された差分データ列を生成する。最後に、第5のステップにおいて、前記復元された差分データ列に対して積分処理を行って復元された位相情報データ列を取得する。
【0013】
上記構成を、記号を用いて分かりやすく記述すると、次のように表現できる。
【0014】
第1のステップで読み取った畳み込み状態の位相情報のデータ列をPw(i)とする(i=1,2…N)。最終的に復元されるべき位相情報データ列をPu(i)、積上げ係数をk(i)、畳み込みの所定値をαとすると、
Pu(i)=Pw(i)+α×k(i) …………………………(1)
と表すことができる。また、畳み込みは繰り返しを伴う。繰り返しの周期は2πで代表されるのが一般的である。そこで、α=2πとすれば、
Pu(i)=Pw(i)+2π×k(i) ………………………(2)
である。
【0015】
第2のステップで生成する差分データ列をdPw(i)とすると、
dPw(i)=Pw(i)−Pw(i−1) ………………………(3)
である。第3のステップで生成する2階差分データ列をδPw(i)とすると、
δPw(i)=dPw(i)−dPw(i−1) …………………(4)
である。第4のステップでは、2階差分データ列δPw(i)の各データがいずれの区分領域に属しているかを判断し、属する区分領域に応じて積上げ係数k(i)を調整する。例えば、第1の区分領域であれば、デクリメントし、第2の区分領域であれば現在値を保持し、第3の区分領域であればインクリメントするといった具合である。そして、求めた積上げ係数k(i)を用いて畳み込みを元に戻す復元処理を行う。これで得られる復元された差分データ列をdPu(i)とすると、
dPu(i)=δPw(i)+2π×k(i) …………………(5)
である。最後の第5のステップで復元された差分データ列dPu(i)を積分して復元された位相情報データ列Pu(i)を得る。積分定数をγとして、
Pu(i)=ΣdPu(i)+γ ……………………………………(6)
となる。
【0016】
このように、2階差分データ列δPw(i)を用いて区分領域を判別し、積上げ係数k(i)を求めて差分データ列dPu(i)を復元し、さらに積分して位相情報データ列Pu(i)を復元するので、情報記録媒体上の位相パターンの偏心量が大きくても、畳み込み状態で測定された位相信号波形から本来のトラック位置を表す位相信号波形を正確に復元することができる。
【0017】
そして、この結果を用いれば、その偏心量と位相との関係を正確に検出できる。したがって、その関係を用いて偏心補償を行いながらヘッドのトラッキング制御を行えば、高精度なトラッキング制御が可能になる。
【0018】
上記において、前記区分領域の境界値については、これを“−π”および“π”とするモードが考えられる。また、別のモードとして、前記境界値を“−3π”,“−π”,“π”および“3π”とすることが考えられる。前者のモードでは復元された位相信号波形に一部滑らかさが失われる特異点が生じる場合があるが、後者のモードではそのような特異点の発生を抑制し、トラック位置を表す位相信号波形を高精度に復元することができる。
【0019】
上記第5のステップにおける積分処理は、復元された差分データ列dPu(i)の平均値Eaを用い、復元された差分データ列dPu(i)から平均値Eaを減じたデータ列を数値積分することが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかわる情報記録装置における位相情報信号の再生方法の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図5は位相サーボ方式を適用するために磁気ディスクなどの情報記録媒体1に描かれたパターンを模式的に示す。ディスク状の情報記録媒体1の情報記録面には、トラック位置の検出を行うための位相パターンが書き込まれた第1の領域2aと第2の領域2bが設けられている。第1の領域2aの位相パターンと第2の領域2bの位相パターンとは区別されている。第1の領域2aと第2の領域2bの組が1つのウェッジ3を形成している。そのようなウェッジ3の多数が情報記録媒体1の中心を中心とする円周方向で等間隔に配列されている。4は記録/再生用のヘッド(図4のヘッド18参照)が情報記録媒体1上を走査する軌跡の1つを表している。
【0022】
図6は2種類の位相パターンを具体的に説明するものである。図6において、5は第1の領域2aに記録されている第1の位相パターン、6は第2の領域2bに記録されている第2の位相パターンである。第1の位相パターン5と第2の位相パターン6とは、情報記録媒体1の半径方向に対して平行ではなく、所定の角度をもって傾斜している。第1の位相パターン5の傾斜の方向と第2の位相パターン6の傾斜の方向とは互いに逆となっている。情報記録媒体1が磁気ディスクの場合、図6に示すような磁気的位相パターンは、その位相パターンに対応した強磁性薄膜の配列パターンを有するマスター情報担体を用いて、磁気ディスクに磁気転写することによって容易に得ることができる。
【0023】
図5においてヘッドが走査軌跡4上を走査すると、図6における第1の位相パターン5に対応した第1の再生信号波形7aと第2の位相パターン6に対応した第2の再生信号波形7bとが得られる。第1の再生信号波形7aも第2の再生信号波形7bもともに複数生成され、パルスが繰り返されることで検波が可能となっている。
【0024】
ヘッドの走査軌跡4が半径方向で変化すると、第1の再生信号波形7aおよび第2の再生信号波形7bは時間軸方向での位相が変化する。例えば、ヘッドが図6中の中央の走査軌跡4b上を走査しているときの両再生信号7a,7bの位相は図示の状態である。ヘッドが半径方向外方の走査軌跡4aを走査するときは、第1の再生信号波形7aの位相は進み(左側にシフト)、第2の再生信号波形7bの位相は遅れる(右側にシフト)。そして、両再生信号波形7a,7bのパルス間隔βが大きくなる。逆に、ヘッドが半径方向内方の走査軌跡4cを走査するときは、第1の再生信号波形7aの位相は遅れ(右側にシフト)、第2の再生信号波形7bの位相は進む(左側にシフト)。そして、パルス間隔βが小さくなる。
【0025】
このように情報記録媒体1の半径方向におけるヘッドの位置変化に伴って、両再生信号波形7a,7bの位相が変化し、パルス間隔βも変化する。これに基づいて、ヘッドのオフトラック量を検知することができる。
【0026】
ここで、本発明の実施の形態1の具体的な技術内容の説明に入る前に、理解を助けるために、基礎的技術について図9および図10を用いて説明しておく。
【0027】
図5に示す各ウェッジ3ごとにヘッドの位置に対応した位相を求める手順の基礎的技術を図9のフローチャートで説明する。
【0028】
ステップS61において、ウェッジ番号iに対応する再生信号の信号配列V(i)を入力し、ステップS62において、入力した信号配列V(i)に基づいて第1の位相パターン5に対応する第1の再生信号波形7aの信号配列を検波し、ステップS63において、第1の再生信号波形7aに対して位相復調を行い、ステップS64において、第1の再生信号波形7aに対応した位相値配列φa(i)を取得する。一方、ステップS65において、入力した信号配列V(i)に基づいて第2の位相パターン6に対応する第2の再生信号波形7bの信号配列を検波し、ステップS66において、第2の再生信号波形7bに対して位相復調を行い、ステップS67において、第2の再生信号波形7bに対応した位相値配列φb(i)を取得する。そして、ステップS68において、2つの位相値配列φa(i),φb(i)の差分をとって、ウェッジ番号iにおける位相値配列φ(i)を求める。すなわち、
φ(i)=φa(i)−φb(i) …………………………………(7)
である。この位相値配列φ(i)が図6のパルス間隔βに対応する。この位相値配列φ(i)に基づいて、ヘッドのオフトラック量を検知し、それに基づいて、トラックフォローイングの自動制御を実行する。
【0029】
なお、図9の差分としての位相値配列φ(i)は図6のβに対応するが、トラッキング制御には、差分としての位相値配列φ(i)を用いることに代えて、位相値配列φa(i),φb(i)のいずれか一方のみを用いるのでもよい。差分としての位相値配列φ(i)を用いれば、感度は2倍となる。
【0030】
位相サーボ技術を用いるハードディスク装置では、磁気ディスクをハードディスク装置に組み込む前に、磁気ディスクに位相パターンが書き込まれている。
【0031】
このようにプリフォーマットされた情報記録媒体を情報記録装置に組み込んだ場合、情報記録媒体に書き込まれている位相パターンが情報記録媒体の回転中心に対して偏心することがある。モータの回転中心からの半径方向においてヘッドが静止していても、偏心があると、トラック位置の情報である位相信号は一定ではなく、正弦波状に変動してしまう。
【0032】
近時の情報記録媒体ではトラック密度の増大が著しく、この密度増大に伴って、同じ偏心量でも、偏心に伴う位相信号の変動量は相対的に大きくなる。また、同じトラック密度でも、偏心量が大きいほど位相信号の変動量も大きくなる。
【0033】
偏心に伴う位相信号の変動が生じると、トラッキング制御を正しく遂行することができなくなる。したがって、位相パターンの偏心に起因して生じる位相値配列φ(i)の変動を補償する必要がある。その対策として、次のような方式がある。
【0034】
あらかじめ、偏心に起因する位相パターンの変動量を計測し、偏心量との関係を特定する。そのために、情報記録媒体を情報記録装置に組み込んだ後、ヘッドを機械的に固定して位相値配列を求める。
【0035】
図10(a)は復元されるべき位相信号波形Su′が偏心に起因して正弦波状に変動している様子を示す。変動が静止しているときは、偏心がなければ、この復元されるべき位相信号波形Su′は一定値に保たれるはずのものである。しかし、偏心のため正弦波状に変動している。図10(b)はヘッドが情報記録媒体から再生した位相信号波形Swを示す。図6に示すような位相パターンの性質上、ヘッドが再生する位相信号波形は図10(b)のSwとなり、Su′は直接には検出できない。しかし、偏心補償に必要なのは、図10(a)に示す位相信号波形Su′の方である。そこで、検出した位相信号波形Swから元の位相信号波形Su′を復元する。この位相信号波形Su′を正しく復元できれば、偏心に対する補償が正確に行える。
【0036】
測定された位相信号波形Swは復元されるべき位相信号波形Su′を畳み込んだ状態となっている。位相信号波形Su′のデータ配列の各値を2πで除した余りの値の配列が、測定で実際に得られる畳み込み状態の位相信号波形Swとなっている。
【0037】
ここで、畳み込みについて補足する。図6に示す両位相パターン5,6は情報記録媒体1の半径方向における繰り返しパターンとなっている。その詳しい様子を図7に示す。ヘッドが走査軌跡4pを通過するときの両再生信号7a,7bの位相パターン9pと、ヘッドが走査軌跡4rを通過するときの両再生信号7a,7bの位相パターン9rとは、パターンとしては同一のものである。その理由は、走査軌跡4pと両位相パターン5,6との交点(例えば点P1)の周方向における位置と、走査軌跡4rと両位相パターン5,6との交点(例えば点R1)の周方向における位置とが同じになっているからである。走査軌跡4pと走査軌跡4rとの中間の走査軌跡4qに対応する両再生信号7a,7bの位相パターン9qは、上記両位相パターン9p,9rの中間に位置する。このように、位相パターンは繰り返される。
【0038】
両位相パターン5,6の周方向におけるピッチをS、位相パターン5の半径方向に対する傾斜角度をθとする。再生信号が同一パターンとなる半径方向のピッチをRとすると、
R=S/tanθ ………………………………………………………(8)
情報記録媒体1の基準位置から半径方向に沿ってピッチRごとに区切った位置の順位に積上げ係数kを与える。すると、k番目の区切り位置は、k×Rである。
【0039】
いま、図11に示すように、k番目の区切り位置と(k+1)番目の区切り位置との間にある走査軌跡位置をU(i)とし、この走査軌跡位置U(i)のk番目区切り位置から半径方向外方への変位量をW(i)とすると、
U(i)=k×R+W(i) ………………………………………(9)
で表すことができる。同様に、
U(i−1)=(k−1)×R+W(i−1) ………………(10)
U(i+1)=(k+1)×R+W(i+1) ………………(11)
であると仮定する。ヘッドによって検出するのは、W(i−1),W(i),W(i+1)であり、実際の走査軌跡位置U(i−1)は検出値W(i−1)から演算によって求められ、走査軌跡位置U(i),U(i+1)もそれぞれ検出値W(i),W(i+1)から求められる。W(i−1),W(i),W(i+1)はいずれも、0以上でR未満の範囲にある。
【0040】
ここで、繰り返しの周期性をもつことから、Rを2πに換算する。これには、Rで除するとともに、2πを掛ける。つまり、
2π=R×2π/R ………………………………………………(12)
Pu(i)=U(i)×2π/R ………………………………(13)
Pw(i)=W(i)×2π/R ………………………………(14)
で置き換える。すると、上式は、
Pu(i−1)=2π×(k−1)+Pw(i−1) ………(15)
Pu(i)=2π×k+Pw(i) ……………………………(16)
Pu(i+1)=2π×(k+1)+Pw(i+1) ………(17)
となる。その様子を図12に示す。Pw(i−1),Pw(i),Pw(i+1)が検出される値である。Pw(i−1),Pw(i),Pw(i+1)はいずれも、0以上で2π未満の範囲にある。
【0041】
図10(b)に示す測定された位相信号波形Swは、検出値Pw(i−1),Pw(i),Pw(i+1)等の集合である。
【0042】
測定された位相信号波形Swから元の滑らかな位相信号波形Su′を復元する処理を「アンラップ」ともいう。本明細書では、アンラップのことを端的に“復元”と称することにする。具体的には、一般的に図13に示すような操作を行う。
【0043】
Pw(i)は、測定された位相信号波形Swのデータ配列である。Pu(i)は、復元されるべき位相信号波形Suのデータ配列である。
【0044】
図13に示すステップS71において、測定で得られた畳み込み状態のデータ列Pw(i)を入力する。ウェッジの数をNとし、ウェッジをカウントするのに変数iを用意する。測定によるデータ列Pw(i)は、すべてのウェッジについてのものであり、これは、i=1からi=Nで表される。
【0045】
次に、ステップS72において、変数iと積上げ係数k(i)を初期化する。ここで、積上げ係数k(i)は位相を2πずつ加減算するためのカウント値であり、その初期値をk0とする。積上げ係数k(i)は整数(自然数)である。
【0046】
次に、ステップS73において、上記の測定によるデータ列Pw(i)に対して、隣接する位相データについて差分処理を行い、差分データ列dPw(i)を生成する。すなわち、
dPw(i)=Pw(i)−Pw(i−1) ……………………(18)
の演算を、変数i=1からi=Nまでのすべてのウェッジについて実行し、差分データ列dPw(i)を生成する。
【0047】
次に、ステップS74において、差分データ列dPw(i)の各データが“π”よりも大きい区分領域に属するか否かを判断する。差分データ列dPw(i)の値が“π”より大きい区分領域に属するならば、ステップS75に進んで、積上げ係数k(i)を1減じるデクリメント(k(i)=k(i−1)−1)を行った上で、ステップS78に進む。
【0048】
ステップS74の判断が否定的となるときはステップS76に進んで、差分データ列dPw(i)の各データが“−π”よりも小さい区分領域に属するか否かを判断する。そして、“−π”より小さい区分領域に属するならば、ステップS77に進んで、積上げ係数k(i)を1増やすインクリメント(k(i)=k(i−1)+1)を行った上で、ステップS78に進む。
【0049】
差分データ列dPw(i)の各データが“−π”以上で“π”以下の区分領域に属するときは、積上げ係数k(i)は変更することなく、k(i)=k(i−1)のままステップS78に進む。
【0050】
次に、ステップS78において、現在の処理対象の測定された畳み込み状態のデータ列Pw(i)に2π×k(i)を加えた値を復元された位相情報データ列Pu(i)とする。
【0051】
Pu(i)=Pw(i)+2π×k(i) ……………………(19)
次に、ステップS79において、処理対象を1つ進めるために、変数iをインクリメントする。そして、ステップS80において、インクリメント後の変数iの値がNに達していないか、つまりまだ処理対象が残っているかを判断する。残っているときは、ステップS73に戻って、次の対象について同様の処理を実行する。すべての測定によるデータ列Pw(i)について処理を終えると、ステップS81に進み、最終的に復元された位相情報データ列Pu(i)を取得する。
【0052】
以上によって、測定によるデータ列Pw(i)から本来のトラック位置を表す位相情報データ列Pu(i)を復元することができる。
【0053】
図13の動作を視覚的に分かりやすくするために、図14、図15を示す。
【0054】
図14は復元すべき元の位相情報データ列Pu(i)が減少する場合を説明する。データ列Pu(i)が図14(a)のようにウェッジ番号iの増加とともに漸減するとする。k番目の区分領域A(k)にあった状態からk番目の区切り位置を越えて、(k−1)番目の区分領域A(k−1)まで減少したとする。
【0055】
図14(b)は測定によるデータ列Pw(i)を示す。Pw(i)は0〜2πの範囲内で変化する。データ列Pu(i)が減少するのに伴ってデータ列Pw(i)も減少するが、データ列Pu(i)が区切り位置kを越えると、データ列Pw(i)は一気に立ち上がり、そこから再び減少する。このように、データ列Pu(i)とデータ列Pw(i)とはリニアな関係ではない。
【0056】
図14(c)はデータ列Pw(i)における差分dPw(i)=Pw(i)−Pw(i−1)を示している。データ列Pu(i)が漸減であるので、差分dPw(i)は基本的にはマイナス値をとるが、区切り位置kを越えるときにはプラス値に転換する。そのとき、一般的傾向として、差分dPw(i)は“π”よりも大きくなる。差分dPw(i)=Pw(i)−Pw(i−1)>πは、原則として、区切り位置を上から下へ横切ったことと等価である。したがって、図13のステップS74からステップS75のように、積上げ係数k(i)をデクリメントする必要がある。
【0057】
図15は復元すべき元の位相情報データ列Pu(i)が増加する場合を説明する。データ列Pu(i)が図15(a)のようにウェッジ番号iの増加とともに漸増するとする。k番目の区分領域A(k)にあった状態からk番目の区切り位置を越えて、(k+1)番目の区分領域A(k+1)まで増加したとする。
【0058】
データ列Pu(i)が増加するのに伴って、図15(b)に示すように、データ列Pw(i)も増加するが、データ列Pu(i)が区切り位置kを越えると、データ列Pw(i)は一気に立ち下がり、そこから再び増加する。この場合も、データ列Pu(i)とデータ列Pw(i)とはリニアな関係ではない。Pw(i)は0〜2πの範囲内で変化する。
【0059】
データ列Pw(i)における差分dPw(i)=Pw(i)−Pw(i−1)は、図15(c)に示すように、データ列Pu(i)が漸増であるので、基本的にはプラス値をとるが、区切り位置kを越えるときにはマイナス値に転換する。そのとき、一般的傾向として、差分dPw(i)は“−π”よりも小さくなる(絶対値は大きくなる)。差分dPw(i)=Pw(i)−Pw(i−1)<−πは、原則として、区切り位置を下から上へ横切ったことと等価である。したがって、図13のステップS76からステップS77のように、積上げ係数k(i)をインクリメントする必要がある。
【0060】
ところで、図13に示すような一般的な位相復元手順では、トラック密度に対する位相パターンの偏心量が相対的に大きく、復元されるべき位相信号波形Su′の振幅が大きい場合、位相の復元を正しく行うことができないという問題が生じる。それは次の理由による。振幅が小さいと、ある区分領域A(k)から区切り位置を越えるときに、1つ上または下の区分領域A(k+1),A(k−1)へ移行する。一方、振幅が大きいと、2つ上または2つ下の区分領域A(k+2),A(k−2)へ移行する可能性がある。しかしながら、図13の処理は、そのことに対応していない。偏心量が大きくなるに従って、積上げ係数k(i)がインクリメントまたはデクリメントの1方向で偏ってしまう傾向がある。
【0061】
図16は、そのことを示すシミュレーション結果である。図16(a)は復元されるべき正弦波状の位相信号波形Su′として振幅170radのものを示し、図16(b)はヘッドによって測定される2πで畳み込まれた位相信号波形Swを示す。そして、図16(c)は図13に示した一般的な手順によって復元された位相信号波形Suを示す。図16(c)に示すように、復元された位相信号波形Suは滑らかでなく、また振幅も復元されるべき位相信号波形Su′に比べて小さい。このように、図13の方式の復元手順では、位相パターンの偏心量が大きい場合には、位相信号波形Su′を正しく復元できない。
【0062】
そこで、位相パターンの偏心量が大きくても、測定された位相信号波形から元の位相信号波形を正しく復元することが重要となる。これを実現する本発明の実施の形態1について以下に説明する。
【0063】
図1は本発明の実施の形態1の情報記録装置における位相情報信号の再生方法の手順を示すフローチャート、図2は図1のフローチャートのステップS13の位相復元処理の詳しい手順を示すフローチャート、図3は動作説明に用いる波形図、図4は本実施の形態の位相情報信号の再生方法が適用される情報記録装置の概略構成を示す平面図である。本実施の形態において、図5〜図7および図9も適用される。
【0064】
図4において、1は情報記録媒体(磁気ディスク)、8は情報記録媒体1をその中心で軸支して高速回転で駆動するスピンドルモータ、10はヘッドアクチュエータである。ヘッドアクチュエータ10は、回動軸11に軸支されたアクチュエータアーム12と、アクチュエータアーム12に連設されて回動軸11の反対側に位置するコイルアーム14と、コイルアーム14に取り付けられたコイル13と、アクチュエータアーム12の遊端側に基端部が取り付けられたスライダ支持ビーム15と、スライダ支持ビーム15の遊端側に取り付けられた薄膜圧電体を利用した微動アクチュエータ16と、スライダ支持ビーム15の先端部に取り付けられ、微動アクチュエータ16によって微小変位の駆動制御を受けるスライダ17と、スライダ17に搭載された記録/再生ヘッド18などを備えている。19はコイル13に対向して筐体に取り付けられた永久磁石、20はヘッド位置決め制御部である。
【0065】
ヘッド位置決め制御部20は、コイル13に駆動電流を供給することにより、ヘッドアクチュエータ10を回動軸11周りに揺動し、シーク動作を行う。ヘッドアクチュエータ10の先端のスライダ17は、高速回転する情報記録媒体1に微小間隔を隔てて対向し、ヘッド18は情報記録媒体1からプリフォーマット情報信号を再生し、ヘッド位置決め制御部20に送出する。再生するプリフォーマット情報信号には、トラッキングサーボのための位相パターンによる再生信号が含まれる(図6、図7参照)。目標トラックに対してヘッド18を位置決めするトラックフォローイング動作およびオフトラックしたときのトラッキング補正動作において、ヘッド位置決め制御部20は、トラッキングサーボ用の再生信号に基づいて所定の演算を行って駆動信号を生成し、その駆動信号を微動アクチュエータ16における薄膜圧電体素子に送出する。微動アクチュエータ16の動作により、スライダ17とともにヘッド18を目標トラックに位置決め制御する。
【0066】
図3(a)は復元されるべき位相信号波形Su′を示し、図3(b)はそれを2πで畳み込んだ状態で測定された位相信号波形Swを示す。図3(c)は測定された位相信号波形Swに対して図1のステップS12の差分処理を実行して得られる位相信号波形Sdwを示し、図3(d)は図1のステップS13の位相復元処理を実行して得られる復元された差分の位相信号波形Sduを示し、図3(e)は図1のステップS14の積分処理を実行して得られる位相信号波形Suを示す。
【0067】
以下、図1および図2のフローチャートに従って、本実施の形態の情報記録装置における位相情報信号の再生方法を説明する。以下の動作は、ヘッド位置決め制御部20によって実行される。
【0068】
ステップS11において、高速回転する情報記録媒体1におけるプリフォーマット情報信号をヘッド18によってピックアップし、ヘッド位置決め制御部20に入力する。ピックアップした信号には位相信号波形Swに対応した畳み込み状態のデータ列Pw(i)が含まれている。このデータ列Pw(i)は、i=1〜Nのすべてのウェッジについてのものである。
【0069】
次に、ステップS12において、上記の測定で得られたデータ列Pw(i)に対して、隣接する位相データについて差分処理を行い、差分データ列dPw(i)を生成する。すなわち、
dPw(i)=Pw(i)−Pw(i−1) ……………………(20)
の演算を、変数i=1からi=Nまでのすべてのウェッジについて実行し、差分データ列dPw(i)を生成する。
【0070】
次に、ステップS13において、差分データ列dPw(i)に対して位相復元処理を実施し、復元された差分データ列dPu(i)を得る。図3(c)は差分データ列dPw(i)に対応した位相信号波形Sdwを示す。
【0071】
以下、ステップS13の詳しい動作を図2のフローチャートに基づいて説明する。図2の処理の方式は図13の処理の方式と同じである。ただし、処理の対象が、図13の場合はデータ列Pw(i)であるのに対して、図2の場合は差分データ列dPw(i)となっている。
【0072】
図2のステップS21において、差分データ列dPw(i)を入力する。
【0073】
次に、ステップS22において、変数iと積上げ係数k(i)を初期化する。ここで、積上げ係数k(i)は位相を2πずつ加減算するためのカウント値であり、その初期値は条件に応じて適当な値k0に設定される。
【0074】
次に、ステップS23において、差分データ列dPw(i)に対して、さらに隣接する位相データの差分δPw(i)をとる。このδPw(i)のことを2階差分と呼ぶことにする。
【0075】
δPw(i)=dPw(i)−dPw(i−1) ………………(21)
である。
【0076】
ステップS24において、2階差分データ列δPw(i)の各データが“π”よりも大きい区分領域に属するか否かを判断する。2階差分データ列δPw(i)の各データが“π”より大きい区分領域に属するならば、ステップS25に進んで、積上げ係数k(i)を1減じるデクリメント(k(i)=k(i−1)−1)を行った上で、ステップS28に進む。
【0077】
ステップS24の判断が否定的となるときはステップS26に進んで、2階差分データ列δPw(i)の各データが“−π”よりも小さい区分領域に属するか否かを判断する。2階差分データ列δPw(i)の各データが“−π”より小さい区分領域に属するならば、ステップS27に進んで、積上げ係数k(i)を1増やすインクリメント(k(i)=k(i−1)+1)を行った上で、ステップS28に進む。
【0078】
2階差分データ列δPw(i)の各データが“−π”以上で“π”以下の区分領域に属するときは、積上げ係数k(i)は変更することなく、k(i)=k(i−1)のままステップS28に進む。
【0079】
なお、2階差分データ列δPw(i)の範囲を、−2π<δPw(i)<2πと想定している。
【0080】
次に、ステップS28において、現在の処理対象の2階差分データ列δPw(i)に2π×k(i)を加えた値を復元された差分データ列dPu(i)とする。
【0081】
dPu(i)=δPw(i)+2π×k(i) ………………(22)
次に、ステップS29において、処理対象を1つ進めるために、変数iをインクリメントする。そして、ステップS30において、インクリメント後の変数iの値がNに達していないか、つまりまだ処理対象が残っているかを判断する。残っているときは、ステップS23に戻って、次の対象について同様の処理を実行する。すべての差分データ列dPw(i)について処理を終えると、ステップS31に進み、最終的に復元された差分データ列dPu(i)を取得する。図3(d)は復元された差分データ列dPu(i)に対応した差分の位相信号波形Sduを示す。この位相信号波形Sduは、図3(a)の復元されるべき位相信号波形Su′を微分したものに相当している。
【0082】
図2のステップS31の次に図1のステップS14に進む。ステップS14において、復元された差分データ列dPu(i)に対して積分処理を実施する。積分処理は、平均値を減じたデータを積算するものである。すなわち、復元された差分データ列dPu(i)の平均値をEaとし、差分(dPu(i)−Ea)を、変数iについて積分することにより、積分結果のデータ列Pu(i)を得る。
【0083】
Pu(i)=Σ(dPu(i)−Ea) …………………………(23)
図3(e)は積分結果のデータ列Pu(i)に対応した位相信号波形Suを示す。
【0084】
以上において、図3(d)に示す差分の位相信号波形Sduは図3(a)の復元されるべき位相信号波形Su′の微分波形になっている。そして、図3(e)に示す積分された位相信号波形Suは復元されるべき位相信号波形Su′に充分に近似した波形となっている。位相信号波形Su′は本来のトラック位置を表すものである。
【0085】
以上のように、本発明の実施の形態1の情報記録装置における位相情報信号の再生方法によれば、情報記録媒体上の位相パターンの偏心量が大きくても、測定された畳み込み状態の位相信号波形Swから本来のトラック位置を表す位相信号波形Su′を正確に復元することができる。その結果、その偏心量と位相との関係を正確に検出でき、その関係を用いて偏心補償を行った上で、ヘッドのトラッキング制御を高精度に行うことができる。
【0086】
(実施の形態2)
上記の実施の形態1では、図13の方式に比べて、復元の精度が大幅に改善されている。しかし、少数ながら複数のポイントで復元された位相信号波形Suに特異点が生じることも分かった。そこで、本発明の実施の形態2は、さらに復元の精度向上を図る。実施の形態2は、実施の形態1における図1のフローチャートを用い、さらに図2に代えて図8のフローチャートを用いるものである。
【0087】
以下、図8のフローチャートに基づいて実施の形態2の情報記録装置における位相情報信号の再生方法を説明する。図8の処理の方式は図2の処理の方式に比べて、2階差分データ列δPw(i)の判断区分をより細かくしたものである。
【0088】
ステップS41〜S43は図2のステップS21〜S23と同様である。
【0089】
ステップS44において、2階差分データ列δPw(i)の各データが“3π”以上の区分領域に属するか否かを判断する。2階差分データ列δPw(i)の各データが“3π”以上の区分領域に属するならば、ステップS45に進んで、積上げ係数k(i)を2減じるデクリメント(k(i)=k(i−1)−2)を行った上で、ステップS52に進む。
【0090】
また、ステップS46において、2階差分データ列δPw(i)の各データが“π”を超えて“3π”未満の区分領域に属するか否かを判断し、そうであれば、ステップS47に進んで、積上げ係数k(i)を1減じるデクリメント(k(i)=k(i−1)−1)を行った上で、ステップS52に進む。
【0091】
また、ステップS48において、2階差分データ列δPw(i)の各データが“−3π”以上で“−π”未満の区分領域に属するか否かを判断し、そうであれば、ステップS49に進んで、積上げ係数k(i)を1増やすインクリメント(k(i)=k(i−1)+1)を行った上で、ステップS52に進む。
【0092】
また、ステップS50において、2階差分データ列δPw(i)の各データが“−3π”未満の区分領域に属するか否かを判断し、そうであれば、ステップS51に進んで、積上げ係数k(i)を2増やすインクリメント(k(i)=k(i−1)+2)を行った上で、ステップS52に進む。
【0093】
2階差分データ列δPw(i)の各データが“−π”以上で“π”以下の区分領域に属するときは、積上げ係数k(i)は変更することなく、k(i)=k(i−1)のままステップS52に進む。
【0094】
なお、2階差分データ列δPw(i)の範囲は原理上、−4π<δPw(i)<4πである。
【0095】
ステップS52〜S55は図2のステップS28〜S31と同様である。ステップS55に続いて図1のステップS14の積分処理へ進む。
【0096】
図13の方式と図1、図8の処理を行う実施の形態2の方式との比較をシミュレートした。例えばウェッジ数N=50の場合に、図13の方式では復元されるべき位相信号波形Su′の振幅が25radまでは良好に復元できたが、26radでは復元された位相信号波形Suに波形乱れが生じた。これに対して、実施の形態2では復元されるべき位相信号波形Su′の振幅が199radまでは良好に復元できた。
【0097】
一般的に、復元可能な振幅は、図13の方式の場合はウェッジ数Nに比例するのに対して、本実施の形態の方式によれば、N2に比例する。
【0098】
また、例えばウェッジ数N=100の場合に、図13の方式では復元されるべき位相信号波形Su′の振幅が50radまでは良好に復元できたが、51radでは復元された位相信号波形Suに波形乱れが生じた。これに対して、実施の形態2では復元されるべき位相信号波形Su′の振幅が796radまでは良好に復元できた。
【0099】
本発明の実施の形態2の方式によれば、トラック密度に対する位相パターンの偏心量がさらに大きくなっても、特異点を生じさせることなく、測定された畳み込み状態の位相信号波形Swから本来のトラック位置を表す位相信号波形Su′をさらに高精度に復元することができる。
【0100】
なお、上記のいずれの実施の形態においても、積分処理は、平均値を減じたデータを積算するものであったが、これ以外に、シンプソンの公式を用いて数値積分する方法や、復元された差分位相信号波形を近似の関数として推定し、そのパラメータから理論的な積分関数を求める方法も適用できる。
【0101】
【発明の効果】
本発明によれば、位相サーボ方式を用いる情報記録装置において、2階差分データ列を用いて区分領域を判別し、積上げ係数を求めて差分データ列を復元し、さらに積分して位相情報データ列を復元するので、情報記録媒体上の位相パターンの偏心量が大きくても、畳み込み状態で測定された位相信号波形から本来のトラック位置を表す位相信号波形を正確に復元することができる。
【0102】
そして、この結果を用いれば、その偏心量と位相との関係を正確に検出できる。したがって、その関係を用いて偏心補償を行いながらヘッドのトラッキング制御を行えば、高精度なトラッキング制御が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1,2の情報記録装置における位相情報信号の再生方法の手順を示すフローチャート
【図2】本発明の実施の形態1における位相復元処理の詳しい手順を示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態の情報記録装置における位相情報信号の再生方法の動作説明に用いる波形図
【図4】本発明の実施の形態の位相情報信号の再生方法が適用される情報記録装置の概略構成を示す平面図
【図5】本発明が適用される一例としてのプリフォーマット情報信号が書き込まれたディスク状の情報記録媒体を説明する平面図
【図6】位相サーボ方式を適用するためにディスク状の情報記録媒体に描かれた位相パターンを模式的に示す図
【図7】図6の位相パターンが繰り返しパターンとなっていることの詳しい様子を示す図
【図8】本発明の実施の形態2における位相復元処理の詳しい手順を示すフローチャート
【図9】位相情報信号の復調過程を示すフロー図
【図10】復元されるべき位相信号波形と畳み込まれた位相信号波形との関係を示す波形図
【図11】走査軌跡位置と変位量の関係を説明する図
【図12】図11を変換した図
【図13】基礎的技術における位相信号復元方法の手順を示すフローチャート
【図14】図13の動作を分かりやすく示す図(減少時)
【図15】図13の動作を分かりやすく示す図(増加時)
【図16】基礎的技術における情報記録装置における位相情報信号の再生方法の動作説明に用いる波形図
【符号の説明】
1 情報記録媒体
2a 位相パターンが形成された第1の領域
2b 位相パターンが形成された第2の領域
3 ウェッジ
4 記録/再生ヘッドの走査軌跡
5 第1の位相パターン
6 第2の位相パターン
7a 第1の再生信号波形
7b 第2の再生信号波形
8 スピンドルモータ
9p〜9r 位相パターン
10 ヘッドアクチュエータ
11 回動軸
12 アクチュエータアーム
13 コイル
14 コイルアーム
15 スライダ支持ビーム
16 微動アクチュエータ
17 スライダ
18 記録/再生ヘッド
19 永久磁石
20 ヘッド位置決め制御部
Sw 測定した位相信号波形
Su′ 復元されるべき位相信号波形
Sdw 差分処理で得られる位相信号波形
Sdu 位相復元処理で得られる差分の位相信号波形
Su 積分処理で得られる位相信号波形
Pw(i) 測定した畳み込み状態の位相情報のデータ列
dPw(i) 差分データ列
δPw(i) 2階差分データ列
dPu(i) 復元された差分データ列
Pu(i) 積分で復元された位相情報データ列
Ea 復元された差分データ列の平均値
Claims (5)
- 情報記録媒体において半径方向での繰り返しパターンとしてあらかじめ記録されている位相パターンをヘッドによって読み取って位相情報のデータ列を取得する第1のステップと、
前記読み取った位相情報のデータ列における隣接データの差分値をデータ列とする差分データ列を生成する第2のステップと、
前記差分データ列における隣接データの差分値をデータ列とする2階差分データ列を生成する第3のステップと、
前記2階差分データ列において、各データがいずれの区分領域に属するかに応じて積上げ係数を算出した上で、畳み込みを元に戻す復元処理を行って復元された差分データ列を生成する第4のステップと、
前記復元された差分データ列に対して積分処理を行って復元された位相情報データ列を取得する第5のステップとを含む情報記録装置における位相情報信号の再生方法。 - 前記第1のステップにおける前記位相情報のデータ列は、復元されるべき位相情報データ列の各データを2πで除した余りの値である畳み込み状態のデータ列である請求項1に記載の情報記録装置における位相情報信号の再生方法。
- 前記第4のステップにおいて、前記区分領域の境界値を“−π”および“π”とする請求項2に記載の情報記録装置における位相情報信号の再生方法。
- 前記第4のステップにおいて、前記区分領域の境界値を“−3π”,“−π”,“π”および“3π”とする請求項2に記載の情報記録装置における位相情報信号の再生方法。
- 前記積分処理は、前記復元された位相情報データ列の各データから前記復元された位相情報データ列の平均値を減じたデータ列を生成し、前記生成したデータ列を数値積分することにより行う請求項1から請求項4までのいずれかに記載の情報記録装置における位相情報信号の再生方法。
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