JP3704963B2 - 昇降収納装置および昇降収納キャビネット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、上下に配列した2つの収納部を必要に応じてその上下位置をそれぞれの昇降により入れ換えられる昇降収納装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
吊り戸棚は元来、デッドスペースとなりがちな高所空間を有効に利用するのに利用されてきた。しかし、収納部が高所であるため踏み台等を用いないと物を自由に出し入れできない。近時では、吊り戸棚などの高所に設置される収納部を昇降できるように支持し、物の出し入れは下部位置で行い、収納は上部位置で行う昇降収納装置が提案され、実用されている。すなわち図11に示すように、収納部101を平行リンクに構成された支持アーム102に支持させ、収納キャビネット103に内装させたものである。図中104は厨房装置等の作業台である。参考文献としては特開平7−148029号公報、特開平7−148031公報他があげられる。
【0003】
しかし、このような昇降収納装置では、昇降する高さ距離が小さいためキャビネット103をあまり高い位置に配置することができないという問題点があった。また、収納物により収納部101の重量が増したときに、上昇させるための操作に大きな力を加える必要があり、非力な女性や子供が使用するのに難があった。そして、このような昇降収納装置を図11のように厨房装置等の作業台上部に設置した場合では、収納部101はキャビネット103の手前側が下降位置となるので、収納部101を下降させた状態では流し台等の作業台104での作業ができなくなるという課題があった。
【0004】
そこで、本出願人は新たに図12、図13のような昇降収納装置を提案した。すなわち本提案の昇降収納装置は、互いに連携する連携手段を設けた2つの収納部を上下に配置することにより、上方の収納部を約180度の回動により降下させると、その勢いで下方の収納部を上昇させて上下位置を入れ換えることができるというものである。具体的には、上下に配列した第1の収納部111と第2の収納部112と、各収納部を支持支点113、114で回転自在に支持して各収納部を連結し、支持支点113、114の間に設定した回転支点115を中心として回転する支持部材116と、回転支点115をその軸線と直角な向きに水平方向に移動できるように支持する摺動支持部117と、第1の収納部111の背部にローラー118を設け、キャビネット119の背板119aにローラー118を当接させる構成としたものである。120は収納部112に設けられた把手である。
【0005】
この昇降収納装置は、使用者が把手120を握り、収納部112を前方に引き出すと、収納部112を支持し、収納部111と連結させている支持部材116が回転支点115を中心として回転するので、収納部112は上昇方向へ移動すると同時に収納部111を下降方向へと移動させる。収納部111の背部に設けられたローラー118は背板119aに当接し、移動時における収納部111の後方への突出を許さない構成としているので、支持部材116は回転支点115を摺動支持部117を介して前方へ移動させ、収納部111、112の干渉を最小限に抑えながら入れ換え動作を完了する。
【0006】
このように、本提案による昇降収納装置により、昇降する高さ距離を従来より大きく取ることが可能となり、より高い位置への設置が実現できると共に、各収納部の重量が増したときでも、一方の収納部の下降の勢いによりもう一方の収納部の上昇方向への力を軽減することができ、非力な女性や子供や高齢者にとっても使いやすい昇降収納装置を実現することが可能となった。加えて180度の回動により下降時における収納部の収納箱体前方への突出分がなくなるので、収納部を下降させた状態での流し台等の作業台での作業が可能となるという効果があった。
【0007】
また、第1と第2の収納部の重量がほぼ均等に釣り合った状態で使用すると、各収納部の上下入替え操作も極めてスムーズに行えるという効果がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような昇降収納装置であっても、第1と第2の収納部の重量差が大きい場合、重量の大きい収納部側が急激に降下するため、安全上の配慮が求められた。また重量の大きい収納部側が降下して最下位置で急停止する時、その慣性力で大きな衝撃が加わるため、各部に破損が生じやすく、耐久性の向上が求められた。
【0009】
本発明の目的は、上下入れ換え昇降操作がいつもスムーズで、かつ安全性や耐久性の高い昇降収納装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の昇降収納装置は、上下に配列した第1、第2の各収納部と、前記第1、第2の各収納部を収容するキャビネットと、前記第1、第2の各収納部の上下位置を入れ換え可能に支持する収納部支持手段と、前記第1、第2の各収納部の上下位置入れ換え時の各収納部の荷重差で生じる偏荷重を緩衝する荷重緩衝手段とからなる構成としてある。
【0011】
上記発明によれば、各収納部の上下入れ替わり運動が急激に動作しないよう、荷重緩衝手段がその動作速度を抑制するので、仕様項操作がいつでもスムーズに行え、安全である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1にかかる昇降収納装置は、上下配列位置に配列した第1、第2の各収納部と、前記第1、第2の各収納部を支持アームの両端部に回動自在に支持して第1の収納部と第2の収納部とを連結し、支持アームの中間部に設けた回転支点で回転することにより前記第1、第2の各収納部の上下位置を入れ換え可能に支持する収納部支持手段と、前記回転支点をその軸線と直角な向きに水平移動できるように支持する摺動支持部と、一方の収納部をほぼ鉛直方向に移動させる案内手段と、動作速度を抑制する荷重緩衝手段を備えた構成としてある。
【0013】
従って、各収納部の上下入れ替わり運動が急激に動作しないよう、荷重緩衝手段がその動作速度を抑制するので、昇降操作がいつでもスムーズに行え、安全であるうえに、各収納部は支持アームによって回転自在に支持されているから上下位置の入れ換えが円滑なものとなるのに加え、収納部の一方はほぼ鉛直方向に移動するので、両方の収納部が水平方向に突出移動する場合に比べ少スペースでの入れ換えが可能となる。
【0014】
本発明の請求項2にかかる昇降収納装置は、上下配列位置において、第1、第2の収納部の上下位置を入れ換えても、支持支点の軸がほぼ垂直位置に配列する構成であり、これにより収納部を上下入れ換えても収納部が収納箱体より前方への突出することがない。
【0015】
本発明の請求項3にかかる昇降装置は、第1、第2の各収納部を所定の姿勢に規制する姿勢規制手段を備えた構成としてあり、各収納部は上下入れ換えに際してその姿勢が安定したものとなり、内部に収納した収納物が脱落することが無くて安全である。
【0016】
本発明の請求項4にかかる昇降装置は、荷重緩衝手段を直動型ダンパー装置で構成してあり、直動型であるから設置スペースも少なくて済みコンパクト化できる。
【0017】
本発明の請求項5にかかる昇降装置は、緩衝手段を鉛直方向に移動する収納部側の昇降運動に連動しその昇降ストロークを減幅させるてこ機構と、前記てこ機構の減幅作用点に配置したダンパー装置とで構成してあり、鉛直方向に移動する収納部には、てこ機構を介してダンパー装置が働き上下入替え動作が急速度になるのを抑制しているため、安全な動作速度での使用が可能となる。
【0018】
本発明の請求項6にかかる昇降収納装置の直動型ダンパー装置は、シリンダーとピストンで構成され、ピストンの押し込み方向にダンパー力が働くオイル圧縮タイプで、てこ機構の減幅作用点の上方と下方に、直動型ダンパー装置をピストンの往復駆動シャフト側を上向きにして直列配置したものであり、てこ機構の減幅作用点が上方に移動するとき、直列配置された上方側のダンパー装置が圧縮されてダンパー力が働き、反対にてこ機構の減幅作用点が下方に移動するとき、直列配置された下方側のダンパー装置が圧縮されてダンパー力が働くので、各収納部の上下入替え動作の往復動作間共に、ダンパーによる動作速度抑制効果を得ることができる。また直列配置したダンパーは双方共、ピストンの往復駆動シャフト側を上向きにして取り付けているので、シャフトの摺動部からオイルが漏れにくく、安定したダンパー機構を構成することができる。
【0019】
本発明の請求項7にかかる昇降収納装置は、てこ機構の増幅側作用点を支持アーム上に係止し、減幅作用点を鉛直方向に移動する収納部の側面と背面のコーナー部近傍に配置してあり、減幅作用点に取り付けた直動型ダンパーは各収納部の上下動作や各収納部を支持する支持アームの回転動作に干渉しにくい余空間に配置されているため、収納容積効率の高い昇降収納装置が可能となる。
【0020】
本発明の請求項8にかかる昇降収納装置は、てこ機構の増幅側作用点を鉛直方向に移動する収納部の背面に係止し、減幅作用点を鉛直方向に移動する収納部の側面と背面のコーナー部近傍に配置してあり、減幅作用点に取り付けた直動型ダンパーは各収納部の上下動作や各収納部を支持する支持アームの回転動作に干渉しにくい余空間に配置されているため、収納容積効率の高い昇降収納装置が可能となる。
【0021】
本発明の請求項9にかかる昇降収納キャビネットは、本願請求項1〜8のいずれか1項に記載の昇降収納装置を、前面が開口したキャビネットの内部に配設することにより、第1、第2の各収納部の上下入れ換わり時に荷重緩衝手段がその動作速度を抑制するので、昇降操作がいつでもスムーズに行え、安全である。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0023】
(実施例1)
図1〜図8は本発明の実施例1を示す。
【0024】
まず、実施例1が採用している昇降機構を、図1〜図5を用いて説明する。
【0025】
図1は本発明の実施例1における昇降機構の説明のための側方断面図である。図2は同実施例における昇降機構の正面要部断面図である。図3は同実施例における昇降機構のキャビネットを除いた状態における斜視図である。図4は一方の昇降機構を正面から見た要部断面図である。図5(a)〜(g)は同実施例における昇降機構の入れ換え動作順序を説明する側面図である。
【0026】
まず、実施例1が採用している昇降機構から説明する。図1が示すように、昇降機構1は、第1の収納部2の支持支点P1と第2の収納部3の支持支点P2との間を連結する支持アーム4からなる収納部支持手段(以下支持アームという)と、収納部2、3をその上下配置位置において収容し前面を開口したキャビネット5の両側板に取り付けられて前記支持アーム4の回転支点Oを水平方向に移動自在に支持する摺動支持部6と、第1の収納部2を回転角度にかかわらず一定の水平姿勢に維持する第1の姿勢規制手段7aと、第2の収納部3の水平姿勢を維持する第2の姿勢規制手段7bと、その昇降時の移動経路を規制する案内手段8とを備えている。そして上記案内手段8を構成するガイド9aはキャビネット5の背面に取り付けられ、ガイド9aは第2の収納部3の背部の上下に設けられたガイドローラー9bを受け入れて前後の移動を阻止し、収納部3を垂直方向にだけ動くように案内する。
【0027】
以上の昇降機構1は図2に示すように、左右対称位置に昇降機構1L、1Rとして配備され、各支持アーム4L、4Rの各回転支点O間は連結軸10で連結され、左右の昇降機構1L、1Rが同期して動作するように構成されている。これにより第1、第2の各収納部2、3は左右が一体に支持され、収納物の片寄りにより荷重が左右でアンバランスな状態でも、ねじれたり傾くようなことがなく、左右の動きに差が生じるようなことが解消される。
【0028】
図4に示す昇降機構1Lを例にしてさらに説明すると、支持アーム4Lはその回転支点Oに対応する中間部で連結軸10で連結され、水平移動軸11Lによりキャビネットの側板内面12に回動自在に支持され、水平移動軸11Lはその上下に配したローラ13a,13bを摺動支持部6Lの上下にコの字状の断面形状に形成された凹部に装入させ、摺動支持部6Lを水平方向に円滑に移動できるようにされている。また、水平移動軸11Lの先端には固定プーリ14Lが回転支点Oと同心で固定されている。
【0029】
支持アーム4Lの両端部の支持支点P1,P2位置に固定された軸15La、15Lbにはそれぞれ回転プーリ16Lと回転輪17Lが同心で回動自在に装着され、この回転プーリ16Lには第1の収納部2が、回転輪17Lには第2の収納部3が、それぞれ側板2L、3Lのほぼ中央部で固定支持されている。
【0030】
上記の固定プーリ14Lと回転プーリ16Lは同径寸法に設定され、両者間にはタイミングベルト18が掛け渡され、第1の姿勢規制手段7aを構成している。
【0031】
ここで、昇降機構1による各収納部2、3の昇降動作について図5の(a)〜(g)に基づき説明する。
【0032】
図5の(a)に示すようにキャビネット5に収納された第1の収納部2と第2の収納部3との上下位置を入れ換えるときには、ガイドローラー9bを持たない第1の収納部2の操作ハンドルAを手前に引き出す。すると第1の収納部2は支持支点P1が支持アーム4の回転支点Oを中心として前方に回動されるので、第2の収納部3は支持支点P2が後方に回動しようとするが、第2の収納部3側はガイドローラー9bをガイド9a押し付けて受け止められていることにより垂直方向の案内を受けるので、支持アーム4が回動する動作でその回転支点Oを摺動支持部6内で水平方向に押し出しながら、図5(b)〜(d)に示すように第2の収納部3は第1の収納部2の回動に伴って垂直方向に上昇する。
【0033】
図5(d)に示す状態からさらに第1の収納部2を回動させると、前記と反対に支持アーム4の回動支点Oは元の位置に戻る方向に引き寄せられ、図5の(e)〜(f)に示すように、第1の収納部2は回動しつつキャビネット5内の下方に進入して行くのに連動して、第2の収納部3は垂直方向にさらに上昇し、図5の(g)に示すように第1の収納部2が第2の収納部3が元配列されていた下方位置に入ったとき、第2の収納部3は第1の収納部2が元配列されていた上方位置に上昇して、第1の収納部2と第2の収納部3との配列位置が上下入れ替わる。
【0034】
図5の(g)に示す状態から第1の収納部2を引き出し、上記操作と逆方向に回動させると、第2の収納部3は垂直方向に下降し、図5の(f)〜(a)の逆動作でそれぞれ元の配列位置に復帰させることができる。
【0035】
このような各収納部2、3の上下入れ換え動作において、第1の収納部2は支持アーム4によって支持支点P1に1軸で回動自在に支持されているので、支持支点P1に対する第1の収納部2の重心のずれや第1の収納部2の回動操作により水平姿勢が傾こうとする。ここで第1の収納部2に固定支持されている回転プーリ16は回転支点Oにある固定プーリ14との間でタイミングベルト18が掛け渡され、滑りのない形で回転連動している。今、回転プーリ16と固定プーリ14は同径に設定しており、タイミングベルト18は第1の収納部2が回動して支持アーム4の支持角度が変化する方向と逆の方向に同角度だけ第1の収納部2を回転させる働きを営み、結果として第1の収納部2は常にその水平姿勢を維持することができる。
【0036】
次に前記の昇降機構をベースに、図6、図7、図8を用いて、荷重緩衝手段となるてこ機構19と直動型ダンパー装置20を付加した構成を説明する。
【0037】
なお、図6は本実施例における昇降収納装置の側方断面図である。図7は同実施例における昇降収納装置の引出し状態における平面断面図である。図8は入れ換え動作順序を説明する側方断面図である。
【0038】
前記の支持アーム4には、レバー係止ピン21が回転支点Oと支持支点P2との間に設けられ、またキャビネットの側板12に取り付けられた保持金具22上には、レバー支持ピン23が設けられている。24はレバーアームで、支点がレバー支持ピン23に回転自在に締結され、レバーアーム24の増幅作用点25には長円が形成され、ここにレバー係止ピン21が摺動自在に嵌合し、またレバーアーム24の他端の減幅作用点26にはダンパー支持穴27が形成されている。
【0039】
20a、20bは、キャビネット5の側面12と背面28のコーナー部に配置された直動型のダンパー装置で、シリンダー内に封入されたオイルをピストンが圧縮する際にピストンに設けられたオリフィス穴からオイルが流出する抵抗によりダンパー力が働くようにしたものであり、ピストンの往復駆動シャフト29a、29bを上方にして上下2個直列に接続ピン30で連結され、接続ピン30はダンパー支持穴27に回転自在に締結されている。また直列配置されたダンパー装置20の各端部31a,31bはそれぞれ保持金具22に回転自在に保持されている。
【0040】
ここで図8の各収納部2、3の昇降動作において、てこ機構19とダンパー装置20の動作と作用について説明すると、第1の収納部2を手前に引き出して回動降下させる動作に伴って、第2の収納部3は垂直方向に上昇する。このとき支持アーム4に固定されたレバー係止ピン21はレバーアーム24の増幅作用点25を図8の(a)から(d)(g)へと上方に押し上げていき、その結果レバーアーム24はレバー支持ピン23を支点に回転し、他端の減幅作用点26を押し下げる。ここで、減幅作用点26に連結された下側のダンパー装置20bは圧縮され、ダンパー制動力が働く。
【0041】
一般に、オイル式の直動型ダンパーはダンパーを圧縮する動作が速くなるほど大きなダンパー制動力が働く特性があり、各収納部2、3の昇降動作が危険なほど速くなろうとするとき、これを効果的に抑制することができる。
【0042】
また図8の(g)に示す状態から第1の収納部2を手前に引き出し、上記と逆方向に動作させるときには、減幅作用点26に連結された上側のダンパー装置20aが圧縮され、同様のダンパー制動力を発生させることができる。
【0043】
またこの実施例では、ダンパー装置は直動型のオイル圧縮タイプを直列に連結配置し、各収納部の昇降往復動作においてダンパー制動力を働かせる方法としている。一般に直動型ダンパー装置は圧縮方向にのみダンパー力が働くタイプと圧縮伸張の方向共に働く双方向タイプとがあるが、双方向タイプは伸張時においてピストン駆動シャフト部にオイル圧が加わるため、シャフト摺動部のオイルシール安定化が難しく、またコスト的に高価なものとなる。本実施例では双方向ダンパーを使用せず圧縮方向タイプを直列配備することにより双方向にダンパー制動力を働かせるようにしているので、オイル漏れなどに対する信頼性や耐久性が極めて高く、低コストなものにできるという効果がある。加えて、ダンパー装置は上下共、駆動シャフト側を上方にして直列配備させているため、駆動シャフトの摺動部が摩耗してもここからオイルが滴下しにくく、より安定性の高いものとなっている。
【0044】
このようにこの実施例1によれば、収納物品の出し入れし易い高さに各収納部の上下配置を簡単に入れ換えすることができ、これにより高所収納部や低所収納部の収納品出し入れ性が大きく向上し、空間の有効活用が促進される。また、各収納部の重量差が大きくアンバランスとなって上下入れ換え昇降動作が急激なものとなり危険な状態になるのをダンパー装置による制動力で防止するため、使用上の安全が確保できる。また、ダンパー装置はてこ機構により、その動作寸法が減幅されるため小ストロークのものをコンパクトに組み込めると共に、てこ機構は各収納部のうち、鉛直方向に移動する収納部側に連動するようにしているので、てこ機構の作用点が収納部の昇降動作中にキャビネットの外方に突出することがなく、外観上も安全上も良好なものにすることができる。
【0045】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2の昇降収納装置を図9、10を用いて説明する。
【0046】
なお、図9、10は本発明の実施例2の昇降収納装置を示す正面図と平面図である。
【0047】
また、実施例1と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0048】
本実施例2において実施例1と異なる点は、てこ機構19の配置方法であり、レバーアーム24の一方はその増幅作用点25側に形成された長円を、鉛直方向に移動する第2の収納部3の本体背面に設けられたレバー係止ピン21に係合させ、保持金具22のレバー支持ピン23を回転支点として、他方の減幅作用点26にダンパー装置20a、20bを連結し、ダンパー装置20a、20bはキャビネット5の側面12と背面28のコーナー部の余空間に配置されている。なお、第2の収納部3の鉛直移動を案内するガイド9aはレバーアーム24の回動範囲においてそれと干渉しないよう、逃げ穴32を設けてある。
【0049】
ここで、鉛直動作側の第2の収納部3の昇降に連動して、てこ機構19はダンパー装置20a、20bを交互に圧縮させて第1の実施例と同様にダンパー制動力を発揮する。
【0050】
なお、以上の各実施例においては、ダンパー装置を直動式オイルダンパーとして実施しているが、上下動にかかる荷重を軽減することが可能なものであれば、エアダンパー、ロータリーダンパー、ガススプリング等どのようなものを採用しても本願目的を達成することが出来るものである。また、キャビネット5は前面が開口し、各収納部は一方がほぼ鉛直に、他方が前方に突出して回動するようにしたが、これに限られるものではなく、例えばキャビネットは前後両面が開口していて各収納部は前後の開口から突出しながら回動して上下の位置を入れ換えるように構成してもよいものである。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1に係る昇降収納装置は、第1、第2の各収納部の上下入れ換わり時に荷重緩衝手段がその動作速度を抑制するので、昇降操作がいつでもスムーズに行え、安全であるうえに、各収納部は支持アームによって回転自在に支持されているから上下位置の入れ換えが円滑なものとなり、収納部の一方はほぼ鉛直方向に移動するので、両方の収納部が水平方向に突出移動する場合に比べ少スペースでの入れ換えが可能となる。
【0052】
本発明の請求項2にかかる昇降装置は、収納部の上下位置を入れ換えても、支持支点の軸がほぼ垂直位置に配列する構成であり、これにより収納部を上下入れ換えても収納部が収納箱体より前方への突出することがない。
【0053】
本発明の請求項3にかかる昇降装置は、各収納部が上下入れ換えに際してその姿勢が安定したものとなり、内部に収納した収納物が脱落することが無くて安全である。
【0054】
本発明の請求項4にかかる昇降装置は、設置スペースも少なくて済みコンパクト化できる。
【0055】
本発明の請求項5にかかる昇降装置は、鉛直方向に移動する収納部にてこ機構を介してダンパー装置が働き上下入替え動作が急速度になるのを抑制しているため、安全な動作速度での使用が可能となる。
【0056】
本発明の請求項6にかかる昇降収納装置の直動型ダンパー装置は、各収納部の上下入替え動作の往復動作間共に、ダンパーによる動作速度抑制効果を得ることができる。
【0057】
本発明の請求項7にかかる昇降収納装置は、減幅作用点に取り付けた直動型ダンパーは各収納部の上下動作や各収納部を支持する支持アームの回転動作に干渉しにくい余空間に配置されているため、収納容積効率の高い昇降収納装置が可能となる。
【0058】
本発明の請求項8にかかる昇降収納装置は、減幅作用点に取り付けた直動型ダンパーは各収納部の上下動作や各収納部を支持する支持アームの回転動作に干渉しにくい余空間に配置されているため、収納容積効率の高い昇降収納装置が可能となる。
【0059】
本発明の請求項9にかかる昇降収納キャビネットは、第1、第2の各収納部の上下入れ換わり時に荷重緩衝手段がその動作速度を抑制するので、昇降操作がいつでもスムーズに行え、安全である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における昇降収納装置の側方断面図
【図2】 図1の昇降収納装置の正面要部断面図
【図3】 図1の昇降収納装置の斜視図
【図4】 図2の一方の昇降機構を正面から見た要部断面図
【図5】 (a)〜(g)は図1の昇降収納装置の入れ換え動作順序を説明する側方断面図
【図6】 同実施例1における昇降収納装置の側方断面図
【図7】 同実施例1における昇降収納装置の引出し状態の平面断面図
【図8】 (a)、(d)、(g)同実施例1における入れ換え動作順序を説明する側方断面図
【図9】 本発明の実施例2における昇降収納装置を示す。左半面は昇降機構部だけの断面図で、右半面は昇降機構部の奥にある、てこ機構とダンパー装置の構造を示す正面図
【図10】 同実施例における昇降収納装置の引出し状態の平面断面図
【図11】 従来の昇降収納装置を示す側方断面図
【図12】 本出願人の提案する昇降収納装置を示す側方断面図
【図13】 (a)〜(g)は同昇降収納装置の入れ換え動作順序を説明する側方断面図
【符号の説明】
1 昇降機構
2 第1の収納部
3 第2の収納部
4 支持アーム(収納部支持手段)
5 キャビネット
6 摺動支持部
7a、7b 姿勢規制手段
8 案内手段
19 てこ機構
25 減幅作用点
26 増幅作用点
20a、20b 直動型ダンパー装置(荷重緩衝手段)
29a、29b 駆動シャフト
O 回転支点
P1 第1の収納部の支持支点
P2 第2の収納部の支持支点
Claims (9)
- 上下配列位置に配列した第1、第2の各収納部と、前記第1、第2の各収納部を支持アームの両端部に回動自在に支持して第1の収納部と第2の収納部とを連結し、支持アームの中間部に設けた回転支点で回転することにより前記第1、第2の各収納部の上下位置を入れ換え可能に支持する収納部支持手段と、前記回転支点をその軸線と直角な向きに水平移動できるように支持する摺動支持部と、一方の収納部をほぼ鉛直方向に移動させる案内手段と、動作速度を抑制する荷重緩衝手段を備えた昇降収納装置。
- 上下配列位置において、第1、第2の収納部の上下位置を入れ換えても、支持支点の軸がほぼ垂直位置に配列する請求項1に記載の昇降収納装置。
- 第1、第2の各収納部を所定の姿勢に規制する姿勢規制手段を備えた請求項1または2に記載の昇降収納装置。
- 荷重緩衝手段は、直動型ダンパー装置で構成した請求項1ないし3のいずれか1項記載の昇降収納装置。
- 緩衝手段は鉛直方向に移動する収納部側の昇降運動に連動しその昇降ストロークを減幅させるてこ機構と、前記てこ機構の減幅作用点に配置したダンパー装置とからなる請求項1ないし4のいずれか1項記載の昇降収納装置。
- 直動型ダンパー装置はシリンダーとピストンで構成され、ピストンの押し込み方向にダンパー力が働くオイル圧縮タイプで、てこ機構の減幅作用点の上方と下方に、直動型ダンパー装置をピストンの往復駆動シャフト側を上向きに直列配置した請求項5に記載の昇降収納装置。
- てこ機構の増幅側作用点を支持アーム上に係止し、減幅作用点を鉛直方向に移動する収納部の側面と背面のコーナー部近傍に配置した請求項5または6に記載の昇降収納装置。
- てこ機構の増幅側作用点を鉛直方向に移動する収納部の背面に係止し、減幅作用点を鉛直方向に移動する収納部の側面と背面のコーナー部近傍に配置した請求項5または6に記載の昇降収納装置。
- 前記請求項1〜8のいずれか1項に記載の昇降収納装置を、前面が開口したキャビネットの内部に配設した昇降収納キャビネット。
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