JP3704652B2 - 3次元画像処理方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は3次元画像処理方法に関し、特に、X線CT装置などから得られたボクセルデータから成る3次元データから、3次元形状を2次元平面に投影した画像を計算して表示する3次元画像処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ボクセルから成る3次元データから2次元平面に投影した3次元画像を生成する方法は、高画質な画像を得られるボリュームレンダリング手法が医療分野を始めとして、広く用いられている。また、このような3次元画像を表示し、診療やデータの解析に利用するために、単に表示するだけではなく局所について特別な画像処理を行う技術が知られている。
例えば、「ヘリカルスキャンCT(HES-CT)による小脳橋角部腫瘍の術前シミュレーション」(第2回コンピュータ外科研究会論文集、pp.49〜50(1993))においては、術前の治療計画のために、3次元画像上で指定した領域ついて、指定した奥行きの位置の断面画像を表示する、シンセサイズド・オブリーク表示という方法が述べられている。
また、特開平3-219377号公報には、計測された3次元ボクセルデータを表示するとき、その3次元的なマスクによって、指定した領域の3次元データを切り出して合成表示する方法が開示されている。
更に、あらかじめセグメンテーションされた3次元データを表示する場合に、特定の領域について特定の組織を表示することにより、内部の状態を表示する方法が知られており、"Surface Rendering",IEEE CG & A,vol.10,pp.41-53(March,1990)に、表示例が示されている。
また、”Clinical Planning Support System - CliPSS”,IEEE
CG & A,vol.13, No.6,pp.76-84(Nov.,1993)には、頭部腫瘍にガイドチューブを挿入したときの様子を合成した3次元画像を表示した例が述べられている。これは、予め腫瘍と頭蓋骨を抽出した表面データに対して処理を行っているものであり、ガイドチューブの挿入方向は、パラメータの数値入力により決定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記各従来技術には、それぞれ、下記の如き問題があった。
まず、上述のシンセサイズド・オブリーク法では、断面表示しか行えないため立体的な形状を把握することが困難である。
また、上述の、ある領域に対してマスクをかけてデータを切り出す方法では、表示対象を回転させることにより、領域を切り出して穴を開けた深さ方向と、視線方向が一致しなくなると、穴の底にある領域を表示できなくなってしまう。これでは、データを取り除き、その奥にある注目領域を観察しようとしても目的が果たせなくなる。
そこで、本発明の基本的な目的は、注目領域の立体的な形状の把握や、3次元データ全体と注目領域との位置関係をあらゆる角度から把握することを可能とする3次元画像処理方法を提供することである。
【0004】
本発明の他の目的は、内部表示のために3次元データをセグメンテーションして表示する方法では、セグメンテーションに非常に時間がかかるため、セグメンテーションを行わずに、あるいは、高速かつ容易にセグメンテーションを行うことによって、内部の注目領域を表示することを可能とする3次元画像処理方法を提供することである。なお、この場合、注目領域の指定をどのように行うかが重要となる。
本発明の更に他の目的は、上述の腫瘍へのアプローチを表示する方法では、表面データを定義する必要があり、前処理の時間がかかることに鑑みて、この問題を解決可能な3次元画像処理方法を提供することである。また、表面の定義が難しい計測データにおいては、画質が問題となること、アプローチの方向を指定する方法が直観的でないという問題を解決可能な3次元画像処理方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下に述べる如き構成によって達成される。
すなわち、まず、ボリュームレンダリングにより表示を行う手段によって立体的な形状を把握できるようにする。また、注目点を3次元空間上で設定し、回転後の注目点の位置を計算し、投影面上で注目点を中心とする関心領域であるROI(Region of Interest)を自動的に計算して設定する手段を実現し、更に、視線方向に沿ったROI内について、その他の領域とは別にボリュームレンダリング計算のパラメータを設定し、計算して表示する手段を実現することにより、視線方向とROIの深さ方向を一致させる。
また、ROI内のレンダリングについて、サンプリング数をその他の領域よりも多くして、注目領域を高精細に表示する手段を実現する。
更に、希望する深さの領域を削除するために、ROI内のレンダリングの開始点の深さを指定する手段を実現する。
また、ROIの大きさや、形状を指定できる手段を実現する。
更に、注目点と投影面との間に表示対象が存在しない場合に注目点の位置を3次元画像に重ねて表示する手段を実現する。
また、この注目点の位置を指定する方法として、仮の注目点を指定した後、仮の注目点を通り投影面に平行な断面画像を表示する手段と、断面の切断位置を平行に移動する手段と、断面画像上で真の注目点を指定する手段を実現する。
更に、注目点を通る視線方向に平行なアプローチ方向を設定する手段と、3次元画像と注目点、アプローチ方向を重ねて表示する手段を実現する。
【0006】
【作用】
上述の手段により、常に注目点の周囲をROIとし、かつ、ROIの奥行きが視線方向に一致するため、回転中心と注目点が異なっていても、あらゆる角度から注目領域の観察が可能となる。
また、ROI部分のみをその他の領域とは異なったパラメータで表示する手段を実現したことにより、以下の作用が提供できる。まず、多くの場合、簡易的なセグメンテーションはしきい値により可能であり、抽出を行わずに、パラメータであるしきい値を変更するだけで、注目している対象を表示することができる。更にサンプリング数を増やせば詳細な画像が得られるが、計算量は基本的に3乗のオーダーで増加するので、従来の技術では全体を高精細に計算するには問題があったが、上述の手段により、ROI部分についてのみ高精細な表示をすることが可能となり、計算領域が小さいため、少ない計算時間で注目している領域について詳細に観察できる。
【0007】
更に、ROIのレンダリング開始点を指定する手段を実現したことにより、不透明度の高いボクセル領域の内側にある不透明度の低いボクセル領域を表示することができ、ROIについて指定された深さの穴をあけていくような操作を行うことができる。
また、ROIの大きさと形状を入力する手段を実現したことにより、注目領域の大きさや形状あわせたROIの視野を確保できる。
更に、注目点の手前に表示対象がないときに注目点を3次元画像に重ねて表示する手段を実現したことにより、注目点が3次元データに書き込まれたような効果になり、注目点の3次元的な位置を3次元データと同じ感覚で確認できる。
また、仮の注目点と断面画像を用いた注目点の位置の指定手段により、注目点をある物体の表面だけでなく、その中心にも設定することが可能となる。これにより、常に注目物体をROIの中心において回転して表示することができる。
更に、アプローチ方向を視線方向に一致させて設定することにより、直観的にアプローチ方向を指定できる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の実施例を、図1〜図5を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施例に係る3次元画像処理方法を示すフローチャート、図2は、本実施例のボリュームレンダリング法を説明する図である。
図2において、1は3次元データ、2は投影面、3は投影面2上でいま投影される値を求めようとするピクセル、4は該ピクセル3から投影面に垂直な線7上に存在する、再サンプリングされたボクセル集合、5は3次元データの座標系Aで、座標値は(x,y,z)で表わされ、また、6は投影を行う座標系Vで、座標値は(X,Y,Z)で表わされる。
図3は、本実施例に係る3次元画像処理方法において、3次元データ1のボクセルを再サンプリングするときの例であり、右側の図は左側の図の一部を拡大したものである。図3中、11は3次元データ1のボクセルの中心点、12は再サンプリングするボクセルの中心位置、13は再サンプリングするボクセル12を囲む8つのボクセル中心からなるセルである。
【0009】
図4は、本実施例におけるボクセル値と不透明度との対応を示した図で、21は不透明度を0とするしきい値、22は比例定数である。
図5は、本実施例により表示された頭部3次元画像の例である。図5中、31は表示対象である頭部表面、32は注目点、33は注目点32を中心とするROI、34は表示パラメータにより表示対象となった脳表面である。
以下、図1〜図5に従って、本実施例に係る3次元画像処理方法の動作を説明する。
まず、ボリュームレンダリングにより、3次元データ全体の3次元画像を表示する(ステップ101)。このボリュームレンダリング法について、図2を用いて説明する。投影面2は、図のように3次元データ1に対して配置され、視線方向は投影面に垂直であるとする。
【0010】
投影する座標系V系に再サンプリングされたボクセル4の各ボクセルは、それぞれ、不透明度αと影付けされたカラーCという値を持っている。再サンプリングについては、後で説明する。不透明度αは、そのボクセルが完全に透明で光が透過するならば「0」、完全に不透明で光が透過しないならば「1」の値をとるものとする。
また、カラーというのはボクセルの発する色のことであり、ボクセル自体が持つ色に対して、ボクセル位置での仮想表面における光の反射を、ボクセルデータ値(以下、「ボクセル値」と呼ぶ)の傾斜ベクトルを仮想表面の向きであると考えることにより考慮し、光源の向きや投影面の方向などにより影付けを行ったものである。このとき、ボクセル集合4の各ボクセルに対して、投影面から近い順に番号を付け、各ボクセルの不透明度,カラーをそれぞれ、α(1),C(1)、・・・・、α(n),C(n)とする。
【0011】
ここで、簡略化のため光は平行光とし、光線は投影面と垂直方向に、投影面側から3次元データへ入射するものとする。
以上のような場合に、光を投影面から最も近いボクセルから遠いボクセルへと透過させ、各ボクセルでの反射量を加算する方法で、式(1)によってピクセル3に投影される値Pを計算する。本実施例では、説明の簡略化と扱うデータの性質を考慮して拡散反射のみを扱い、光は平行光で投影面に垂直であるとする。
【数1】
なお、式(1)中のA(i)はi番目のボクセルに入射する光の透過率を表わしている。
【0012】
ここで、再サンプリングについて、図3を用いて説明する。
図3の左側の図のように、あるボクセルについて再サンプリングしようとするとき、右側の図のような座標系Aの8つのボクセル中心に囲まれたセルの中で、それらのボクセル中心と再サンプリングするボクセル中心12との距離の比が、図のように、s:(1-s),t:(1-t),u:(1-u)となっているとする。このとき、再サンプリングしたボクセルの不透明度やカラーなどの値は、次の式(2)のtrilinear法によって 求める。ここで、不透明度やカラーなどの値を代表してQを用いて表わす。
【数2】
【0013】
再サンプリングを行う方法は、再サンプリングするボクセルに最も近い位置にある元のボクセルの値を用いる最近傍法など、別の方法を用いてもよい。
以上のような方法で計算を行うとき、ボリュームレンダリング計算におけるパラメータを定義する。
まず、不透明度αはボクセル値から定義されるが、この対応付けを変化させることで様々な表示が可能となる。そこで、本実施例ではボクセル値に比例して不透明度を決めることにする。図4のように、ボクセル値fと不透明度αを対応付け、不透明度を0とするボクセル値のしきい値fthと、比例定数kをパラメータとすることにする。これは、不透明度を簡単に設定できるようにするためと、X線CTなどで計測された人体のような3次元データを表示する場合には、ボクセル値の高いものほど不透明度が高いように設定すると、自然な表示が行えるためである。
【0014】
上記実施例によれば、レンダリングパラメータであるしきい値fthと比例定数kを変化させることで、表示対象を変更することができる。
また、3次元データと投影面の位置関係を変えることで、様々な方向からの3次元画像表示が可能となる。そこで、3次元データ空間の座標系Aと投影空間の座標系Vとの座標変換を行う行列、特に本実施例では回転のみを考え、回転行列をパラメータとする。
本実施例では簡略化のため、以上の要素のみをパラメータとし、ボクセルの色はモノクロとし、光源の方向などについては固定とするが、もちろん、これらをパラメータに加え、可変にしても良いことは言うまでもない。
さて、上述の方法で、ステップ101でボリュームレンダリングを行うとき、各ピクセルの投影値を求めるときのライン上にあるボクセルで、しきい値fthを超える、最も投影面に近いボクセルの投影面からの距離をZバッファとして記憶する(ステップ102)。
【0015】
次に、上のように計算され、表示された3次元画像上で着目する点をマウスで指定し、表示する(ステップ103)。
指定された着目点のZバッファを参照し、回転後の座標系Vにおける着目点の座標値を得る(ステップ104)。
ステップ105では、3次元画像上のROIとして、着目点を中心とするあらかじめ定めた初期値の半径を持つ円を設定し、3次元画像上にROIの範囲を表示する。
座標系Vにおける着目点の座標を変換し、オリジナルの座標系Aにおける着目点の座標を求めて記憶する(ステップ106)。
以上で着目点の設定とROIの設定が終了し、表示パラメータの変更・入力待ち状態となり、この時点で表示されている3次元画像は、図5(a)に示すようになる。
【0016】
続いて、回転を行い、表示方向を変化させる場合について説明する。ここで、回転を指示するときにレンダリング処理部に与えられるパラメータは、座標系Aと座標系Vの座標値を変換する回転行列であるとする。
パラメータが入力され(ステップ107)、ステップ108で回転のパラメータかどうかチェックする。ここでは、回転パラメータが入力されたため、ステップ109へ進む。
ステップ109では、入力された回転行列を用い、記憶した座標系Aにおける着目点の座標から座標系Vにおける座標値を求める。
求めた座標系Vにおける着目点の投影面上の座標を中心とする、円形のROIを設定し、表示する(ステップ110)。
この後は、ステップ111で、投影面全体についてボリュームレンダリングを行う。このとき、計算中のピクセル位置が、設定されたROIの領域内かどうか判定し(ステップ112)、ROI内についてはROI用の表示パラメータで、それ以外の領域は通常の表示パラメータでボリュームレンダリングをして、表示を行う(ステップ113,114)。このとき表示される画像は、図5(b)のようになり、注目点32を中心としたROI33が注目点とともに回転する。
【0017】
次に、回転以外の表示パラメータが変更された場合には、ステップ114でROI用の表示パラメータの変更か判定する。ROI用のパラメータの場合はROI内のピクセルについてのみ、ROI用のパラメータでボリュームレンダリングを行い、ROIの部分のみ表示し直す(ステップ116)。このとき表示される画像は図5(c)のようになり、ROIについてのみ別の部位を表示できる。
また、通常のパラメータが変更されたときは、ROI以外のピクセルについてのみ、通常のパラメータでボリュームレンダリングを行い、ROI以外の部分のみ表示し直す(ステップ117)。このとき表示される画像は図5(d)のように、ROI以外の部分について表示部位を変更できる。
表示が終れば、次の入力待ち状態となり、レンダリングパラメータが入力されればステップ107へ戻る。
上記実施例によれば、注目点を中心としてROIが設定でき、回転を行った場合にも注目点を特別の表示パラメータで表示することが可能となる。更に、ROIの深さ方向は視線方向と一致するため、関心領域が奥まで隠れることなしに表示できる。
【0018】
本実施例の応用として、例えば、全体としては体の表面を表示しておいて、関心領域については内臓を表示することができるようになり、内部の状態と外部の位置関係を把握しやすい表示ができる。
また、上記実施例では、投影画像計算方法としてボリュームレンダリング法を用いたが、他の方法でも良い。例えば、しきい値を超えたボクセル位置に表面があると考えて、表面ボクセルの位置から、表面の傾きを求めて、表面における反射を計算して投影画像を生成する、ボクセル法と呼ばれる方法などでも良い。
更に、前記実施例では注目点を設定するのにマウスを用いていたが、キーボードや、ペン入力装置など、他の座標指示装置を用いても良い。
また、Zバッファの位置を決めるとき、最も投影面に近いしきい値を超えたボクセルの位置をとっていたが、その視線上にあるボクセルの反射光量が最も多いボクセルの位置をとっても良い。これは、仮想的な表面をどう定義するかということであり、このようなデータでは実際の表面が曖昧であるため、どちらでも問題ではない。
【0019】
更に、一度注目点を設定した後にステップ103へ戻り、着目点を設定し直しても構わないし、着目点の設定を取り消して、通常の3次元表示を行っても構わない。
また、上記実施例において、表示パラメータとして、ROIのサンプリング数を増やすことによって高精細なレンダリングを行うことができる。
図6に、この実施例を示す。簡略化のため、3次元データ1は投影面2と平行であるとする。41は3次元データ中に存在する線上の物体、42は投影面上におけるROI、43はROIに対応した3次元データ上の領域、44はROI以外の領域と同じサンプリング間隔で表示したときのROIの画像、45はROI以外の領域の半分のサンプリング間隔で表示したときのROIの画像であり、46は物体41を投影した領域である。
図6のようにサンプリング間隔を細かくとった方が、より細かく正確な画像をことができる。サンプリング数が増えるため、計算時間は増えるが、注目している限定されたROIのみについて計算するため、全体を細かく計算するより圧倒的に計算量は少なくて済む。
【0020】
上記実施例によれば、例えば、高エネルギーのX線CTを用いて、荷物の検査を3次元画像により行っていた場合に、全体の表示は処理時間を考慮し、ある程度サンプリング間隔を広くとって計算しておき、何か異常な物体、例えば、拳銃らしいものが見つかった場合に、その領域をマークし、その周囲のROIのみ細かくサンプリングを行って正確な観察を行い、更に回転して表示することで3次元形状を把握する、ということが可能となる。
ここで、図7に示すようなデータについて、ROIの深さをレンダリングパラメータとして指定する実施例について説明する。図7では、説明を簡略化するため、3次元データ中のある1断面のレンダリングについて考える。図中51は、今着目する3次元データの1断面、52は3次元データ中に存在する物体で、内部に丸い形状の53、四角い形状の54、三角の形状の55の構造を持ち、それぞれの領域のボクセル値は丸囲みの数字で示された10,50,100,30である。
【0021】
56は断面51が投影面に投影される領域、57は53の領域のうちROIにあたる領域を示す。また、58,59,60はROI領域のレンダリング計算の開始点の位置を示している。
まず、通常のレンダリング計算開始位置58から計算を行うと、しきい値が10より小さければ四角い物体の表面が表示され、10〜50では丸い物体が、50〜100では棒状の物体が表示される。このように、しきい値を変更することでROI内の物体の内部を表示できる。
次に、レンダリング計算開始位置59から計算を行うと、しきい値が30より小さければ三角の物体の表面と丸い物体の内部が表示され、30〜50では丸い物体の内部が、50〜100では棒状の物体が表示される。
更に、レンダリング計算開始位置60から計算を行うと、しきい値が50より小さければ丸い物体の内部が表示され、50〜100では棒状の物体が表示される。
【0022】
上述の実施例のように、レンダリング開始位置を奥にすることで、物体に穴をあけて内部の表示を行うことができる。更に、通常のレンダリング位置からでは表示できなかった、高いボクセル値の物体の中にある低いボクセル値の三角の物体を表示することもできるようになる。
以上の実施例では、レンダリング開始位置を投影面からの距離で設定したが、他の設定法でもよく、例えば、ボクセル値10の物体の表面からの奥行きで設定したりすることもできる。
次に、ROIの形状と大きさを変更する実施例について、図8を用いて説明する。図中、35は変更後のROIである。
まず、ROIの初期状態が、例えば、注目点32を中心とする正方形で1辺が20の長さだとする。このとき、マウスを用いて正方形ROIの頂点をドラッグすることで、ROIの大きさを変更する。ROIは注目点を中心として変化し、変更後のROI35は1辺が30となったとする。ここで、例えば、ポップアップメニューからROIの形状を選択し、円形に変更したとすると、ROIは直径30の円になる。マウスでこの円周をドラッグをすることで、ROIの大きさを変更する。
【0023】
以上の実施例では、大きさを直観的に変更するために、マウスを用いていたが、1辺の長さや、直径、半径などの数値をキーボードから入力するようにしても良い。また、ROIの形状は長方形や三角形であってもよく、マウスでなぞった自由形状としてもよい(ただし、注目点をROI内部に含む)。更にROI形状の指定は、メニューで選択しないで、例えば、マウスの中ボタンを押すたびに、形状が切り替わるようにしてもよい。
次に、注目点の位置を表示する実施例を図9に示す。図中、61は表示対象物である。
まず、(a)の角度で表示したときに注目点32を設定する。これを回転して別の角度から表示したものが、(b),(c),(d)である。
(b)は、回転後、座標系Vにおいて、注目点の手前側、すなわち注目点と投影面との間に表示対象物61が存在する場合で、このような場合には、注目点の位置を表示しない。このようにすることで、注目点を3次元データに書き込んだような効果を得ることができ、自然な前後関係で表示が行える。
【0024】
しかし、(b)の方法では、物体の影にある注目点の位置がわからなくなってしまうため、(c)ではどのような場合にも注目点の位置を表示する。ただし、この方法では、注目点の奥行き感覚はわからなくなる場合がある。
また、(d)では、注目点と投影面との間に物体が存在するときには、注目点と物体の色を平均した色で表示を行い、半透明に表示する。これは、(b),(c)両方の長所と欠点を持つ。
そこで、上の(b),(c),(d)の方法を場合によって使いわけるようにする。注目点位置の表示は、図1におけるステップ111または116の終了後に、ステップ109で求めたV系での注目点座標と3次元画像のZバッファを用いて上記の方法により行う。
以上の実施例では、注目点は物体の表面にしか設定ができなかったので、物体の内部にも設定できる実施例について、図10,図11を用いて説明する。
【0025】
図10は、本実施例のフローチャート、また、図11は、図10に示したフローチャートに対応した操作と画像の例を示している。65は表示対象となっている物体、66は物体表面の仮の注目点、67は物体65を投影した3次元画像、68は3次元画像上における注目点の位置、69は仮の注目点の周りに設定されたROIの断面画像、70は断面上で指定した真の注目点である。
このとき、3次元データ1中の表示対象は、図11(a)に示す65のような球状の中身の詰まった物体であるとする。以下、フローチャートを用いて注目点の設定方法を説明する。
まず、ステップ201では、物体65が投影された3次元画像67上で仮の注目点68を指定する。すると、3次元空間上では物体の表面位置66に注目点が設定される(図11(a)参照)。
次のステップ202では、ステップ201で設定した仮の注目点66を通り、投影面2に平行な断面の画像69を計算し、ステップ203で表示する。この段階では、断面は物体の表面に接するような位置なので、図11(b)のように点として表示されている。
【0026】
続いて、真の注目点として指定する断面位置を探すためにステップ205で断面の位置を平行移動させ、図11(c)のような表示を行う。
平行移動を行いながら注目点を設定する位置が決まったら、ステップ204で注目点を設定するステップ206へ進み、図11(d)のように真の注目点の位置を指定する。断面画像上で指定された注目点の3次元位置を求めて記憶し、図1に示した実施例のステップ107以降の処理に用いることができる。
以上の実施例により、物体の内部に注目点を指定することができる。これにより、例えば腫瘍の中心を常に関心領域の中心とした表示が可能となり、腫瘍が関心領域をはみ出さないように回転することができる。
さて、次に、注目点へのアプローチ方向を設定し、表示するための実施例について図12のフローチャートと図13を用いて説明する。本実施例は、例えば、腫瘍のある患者を撮影した3次元データに対して、注目点として腫瘍を指定し、手術する際のアプローチを事前に検討するような場合に利用できる。
【0027】
本実施例は、図1に示した注目点を中心としたROIを設定する方法などの上記実施例と併用することもできるが、ここでは説明簡略化のため、単独でアプローチの設定と表示を行う例を示す。アプローチは指定した注目点を通り、投影面に垂直な方向に設定する。図13中、71はアプローチ方向、72はアプローチ方向単位ベクトル、73は物体65の投影画像、74は注目点を投影したもの、75はアプローチを投影したものである。
まず、注目点を設定するところに関しては、図1に示した実施例と同じである(ステップ101,102,103,104,106)。
注目点を設定した後、回転を行って、表示対象を様々な角度から観察を行い、注目点へアプローチするために最適な方向を探して、アプローチ方向を決定する(ステップ301)。
回転後座標系V系における、Z軸向きの(投影面に垂直方向の)単位ベクトルのオリジナル座標系A系における値を求めて、アプローチ方向単位ベクトルとして記憶する(ステップ302)。
【0028】
以上のステップにより、アプローチ方向が設定できる。次に、設定されたアプローチを表示する。
アプローチが設定されたときには、アプローチ方向は投影面と垂直であるため投影面上では注目点と重なる位置に点として表示される(図13(a))。回転をして、アプローチ方向と視線方向が一致しない場合には、アプローチは直線として表示されるが、このとき、アプローチを示す直線と投影面との間に物体が存在すれば、アプローチは表示しないようにする(図13(b))。また、アプローチは注目点から、アプローチ方向単位ベクトルの向きに、ある長さだけ表示することにする。この長さは初期設定されているものとする。
アプローチが設定された、または、回転などのパラメータが入力された場合には(ステップ311)、ステップ312で、回転後のV系における注目点の座標を求める。
【0029】
次に、V系におけるアプローチ方向単位ベクトルを求める(ステップ313)。
また、すでに指定されているアプローチの長さとアプローチ方向単位ベクトルと注目点の座標から、アプローチを表示する際の注目点ではない方の端点を求める(ステップ314)。そこで、注目点と端点を結ぶ直線を投影面に投影し、そのときのV系でのZバッファを記憶する(ステップ315)。ボリュームレンダリングを行い、3次元画像を求め(ステップ316)、そのとき求めた画像のZバッファ(ステップ317)とアプローチのZバッファとを比較し、画像のZバッファの方が投影面に近い場合には3次元画像を表示し、そうでなければアプローチを表示する。(ステップ318)。
その後、注目点は、例えば、図9の実施例のように表示する。
本実施例により、前後関係を考慮した自然な合成表示を行うことができるが、アプローチと3次元画像を合成表示するならば、他の方法でも良い。
また、アプローチの長さや太さは変更できるようにしてもよい。
【0030】
上記実施例により、アプローチ方向を決めた後、回転を行い、様々な角度から観察してアプローチの検討を行うことができる。ここで、設定したアプローチ方向と視線方向が一致した表示をすることにより、術中にアプローチする方向から観察するような状態をシミュレーションできる。そこで、図14にアプローチビューを表示するための実施例を示す。
図12におけるフローチャートに次の処理を加える。
ステップ302によりアプローチ方向が決定された後、現在の表示角度での座標系Aから座標系Vへの回転行列を記憶する(ステップ401)。これにより、アプローチビュー方向が記憶される。
ここで、アプローチビュー表示を行う指示が入力されると(ステップ411)、ステップ401で記憶した回転行列をパラメータに入力する(ステップ412)。
すると、図12のステップ311へ進み、上記の図12の実施例により、アプローチ方向と視線方向が一致したアプローチビューが表示される。
【0031】
上述の実施例により、手術のアプローチを計画できるが、そのとき、体の表面のどこからアプローチすればよいかを求めることにより、更に手術計画を支援できる。
図15にアプローチ表面位置を求めるための実施例を示す。
まず、注目点やアプローチを設定する前に、ボリュームレンダリングを行い、体表面を表示するようなパラメータを設定し、記憶する(ステップ501)。本実施例ではしきい値を記憶する。
ここで、図12の実施例のステップ301,302によりアプローチ方向が設定されたあと、ステップ501で記憶したパラメータ(しきい値)を呼び出し、レンダリングパラメータに入力する(ステップ511)。
すると、図12に示した実施例(ステップ311〜318)により、体表面の3次元画像とアプローチと注目点とを合成表示する。このとき、アプローチは投影面と垂直のため点となり、アプローチと注目点は重なり、図13(a)のようになる。
【0032】
すると、体表面とアプローチ方向の交わる位置はステップ317で得られたZバッファにより求められる(ステップ512)。得られたアプローチ表面位置はV系の座標なので、A系の座標に変換し、記憶する(ステップ513)。
以降、記憶されたアプローチ表面位置は、注目点を表示するときに、記憶していた座標系Aから、座標系Vに変換し、図9の実施例と同様に表示を行う。
以上の実施例により、術前にアプローチ方向と、アプローチ表面位置の検討を行うことができる。
なお、上記各実施例は本発明の一例を示したものであり、本発明はこれに限定されるべきものではないことは言うまでもないことである。
【0033】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、観察方向によらず、常に注目する部分を中心として関心領域が設定され、関心領域とそれ以外の領域との関係を、表示パラメータをインタラクティブに変更することにより、立体的に把握できるようになる。また、関心領域についてのみレンダリングすることで、高速な処理が可能となったり、高精細な画像を得ることができるようになる。
更に、表示対象について穴をあけるような表示や、アプローチ方向を表示することにより、手術の計画などを行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る、注目点を中心とした関心領域の設定とレンダリング法を示すフローチャートである。
【図2】ボリュームレンダリングの実施例を説明する図である。
【図3】再サンプリングの実施例を説明する図である。
【図4】不透明度とボクセル値の対応例を示す図である。
【図5】注目点と関心領域とが設定されたときのレンダリング結果の例を説明する図である。
【図6】高精細な表示を行うときの例を示す図である。
【図7】レンダリング計算開始位置を変更する実施例を説明する図である。
【図8】関心領域の大きさと形状を変更する例を示す図である。
【図9】注目点を表示する例を示す図である。
【図10】注目点を物体内部に指定する例を示す図である。
【図11】注目点を物体内部に指定する例を示す図である。
【図12】アプローチ方向の設定とレンダリングの例を示すフローチャートである。
【図13】アプローチ方向の表示例を示す図である。
【図14】アプローチビューへの復帰の例を示すフローチャートである。
【図15】アプローチ上の表面位置を求める実施例を示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 3次元データ
2 投影面
5 3次元データのオリジナル座標系
6 回転後の投影座標系
21 しきい値
22 不透明度を定義する比例定数
32 注目点
33 関心領域
66 仮の注目点
70 真の注目点
71 アプローチ方向
【産業上の利用分野】
本発明は3次元画像処理方法に関し、特に、X線CT装置などから得られたボクセルデータから成る3次元データから、3次元形状を2次元平面に投影した画像を計算して表示する3次元画像処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ボクセルから成る3次元データから2次元平面に投影した3次元画像を生成する方法は、高画質な画像を得られるボリュームレンダリング手法が医療分野を始めとして、広く用いられている。また、このような3次元画像を表示し、診療やデータの解析に利用するために、単に表示するだけではなく局所について特別な画像処理を行う技術が知られている。
例えば、「ヘリカルスキャンCT(HES-CT)による小脳橋角部腫瘍の術前シミュレーション」(第2回コンピュータ外科研究会論文集、pp.49〜50(1993))においては、術前の治療計画のために、3次元画像上で指定した領域ついて、指定した奥行きの位置の断面画像を表示する、シンセサイズド・オブリーク表示という方法が述べられている。
また、特開平3-219377号公報には、計測された3次元ボクセルデータを表示するとき、その3次元的なマスクによって、指定した領域の3次元データを切り出して合成表示する方法が開示されている。
更に、あらかじめセグメンテーションされた3次元データを表示する場合に、特定の領域について特定の組織を表示することにより、内部の状態を表示する方法が知られており、"Surface Rendering",IEEE CG & A,vol.10,pp.41-53(March,1990)に、表示例が示されている。
また、”Clinical Planning Support System - CliPSS”,IEEE
CG & A,vol.13, No.6,pp.76-84(Nov.,1993)には、頭部腫瘍にガイドチューブを挿入したときの様子を合成した3次元画像を表示した例が述べられている。これは、予め腫瘍と頭蓋骨を抽出した表面データに対して処理を行っているものであり、ガイドチューブの挿入方向は、パラメータの数値入力により決定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記各従来技術には、それぞれ、下記の如き問題があった。
まず、上述のシンセサイズド・オブリーク法では、断面表示しか行えないため立体的な形状を把握することが困難である。
また、上述の、ある領域に対してマスクをかけてデータを切り出す方法では、表示対象を回転させることにより、領域を切り出して穴を開けた深さ方向と、視線方向が一致しなくなると、穴の底にある領域を表示できなくなってしまう。これでは、データを取り除き、その奥にある注目領域を観察しようとしても目的が果たせなくなる。
そこで、本発明の基本的な目的は、注目領域の立体的な形状の把握や、3次元データ全体と注目領域との位置関係をあらゆる角度から把握することを可能とする3次元画像処理方法を提供することである。
【0004】
本発明の他の目的は、内部表示のために3次元データをセグメンテーションして表示する方法では、セグメンテーションに非常に時間がかかるため、セグメンテーションを行わずに、あるいは、高速かつ容易にセグメンテーションを行うことによって、内部の注目領域を表示することを可能とする3次元画像処理方法を提供することである。なお、この場合、注目領域の指定をどのように行うかが重要となる。
本発明の更に他の目的は、上述の腫瘍へのアプローチを表示する方法では、表面データを定義する必要があり、前処理の時間がかかることに鑑みて、この問題を解決可能な3次元画像処理方法を提供することである。また、表面の定義が難しい計測データにおいては、画質が問題となること、アプローチの方向を指定する方法が直観的でないという問題を解決可能な3次元画像処理方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下に述べる如き構成によって達成される。
すなわち、まず、ボリュームレンダリングにより表示を行う手段によって立体的な形状を把握できるようにする。また、注目点を3次元空間上で設定し、回転後の注目点の位置を計算し、投影面上で注目点を中心とする関心領域であるROI(Region of Interest)を自動的に計算して設定する手段を実現し、更に、視線方向に沿ったROI内について、その他の領域とは別にボリュームレンダリング計算のパラメータを設定し、計算して表示する手段を実現することにより、視線方向とROIの深さ方向を一致させる。
また、ROI内のレンダリングについて、サンプリング数をその他の領域よりも多くして、注目領域を高精細に表示する手段を実現する。
更に、希望する深さの領域を削除するために、ROI内のレンダリングの開始点の深さを指定する手段を実現する。
また、ROIの大きさや、形状を指定できる手段を実現する。
更に、注目点と投影面との間に表示対象が存在しない場合に注目点の位置を3次元画像に重ねて表示する手段を実現する。
また、この注目点の位置を指定する方法として、仮の注目点を指定した後、仮の注目点を通り投影面に平行な断面画像を表示する手段と、断面の切断位置を平行に移動する手段と、断面画像上で真の注目点を指定する手段を実現する。
更に、注目点を通る視線方向に平行なアプローチ方向を設定する手段と、3次元画像と注目点、アプローチ方向を重ねて表示する手段を実現する。
【0006】
【作用】
上述の手段により、常に注目点の周囲をROIとし、かつ、ROIの奥行きが視線方向に一致するため、回転中心と注目点が異なっていても、あらゆる角度から注目領域の観察が可能となる。
また、ROI部分のみをその他の領域とは異なったパラメータで表示する手段を実現したことにより、以下の作用が提供できる。まず、多くの場合、簡易的なセグメンテーションはしきい値により可能であり、抽出を行わずに、パラメータであるしきい値を変更するだけで、注目している対象を表示することができる。更にサンプリング数を増やせば詳細な画像が得られるが、計算量は基本的に3乗のオーダーで増加するので、従来の技術では全体を高精細に計算するには問題があったが、上述の手段により、ROI部分についてのみ高精細な表示をすることが可能となり、計算領域が小さいため、少ない計算時間で注目している領域について詳細に観察できる。
【0007】
更に、ROIのレンダリング開始点を指定する手段を実現したことにより、不透明度の高いボクセル領域の内側にある不透明度の低いボクセル領域を表示することができ、ROIについて指定された深さの穴をあけていくような操作を行うことができる。
また、ROIの大きさと形状を入力する手段を実現したことにより、注目領域の大きさや形状あわせたROIの視野を確保できる。
更に、注目点の手前に表示対象がないときに注目点を3次元画像に重ねて表示する手段を実現したことにより、注目点が3次元データに書き込まれたような効果になり、注目点の3次元的な位置を3次元データと同じ感覚で確認できる。
また、仮の注目点と断面画像を用いた注目点の位置の指定手段により、注目点をある物体の表面だけでなく、その中心にも設定することが可能となる。これにより、常に注目物体をROIの中心において回転して表示することができる。
更に、アプローチ方向を視線方向に一致させて設定することにより、直観的にアプローチ方向を指定できる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の実施例を、図1〜図5を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施例に係る3次元画像処理方法を示すフローチャート、図2は、本実施例のボリュームレンダリング法を説明する図である。
図2において、1は3次元データ、2は投影面、3は投影面2上でいま投影される値を求めようとするピクセル、4は該ピクセル3から投影面に垂直な線7上に存在する、再サンプリングされたボクセル集合、5は3次元データの座標系Aで、座標値は(x,y,z)で表わされ、また、6は投影を行う座標系Vで、座標値は(X,Y,Z)で表わされる。
図3は、本実施例に係る3次元画像処理方法において、3次元データ1のボクセルを再サンプリングするときの例であり、右側の図は左側の図の一部を拡大したものである。図3中、11は3次元データ1のボクセルの中心点、12は再サンプリングするボクセルの中心位置、13は再サンプリングするボクセル12を囲む8つのボクセル中心からなるセルである。
【0009】
図4は、本実施例におけるボクセル値と不透明度との対応を示した図で、21は不透明度を0とするしきい値、22は比例定数である。
図5は、本実施例により表示された頭部3次元画像の例である。図5中、31は表示対象である頭部表面、32は注目点、33は注目点32を中心とするROI、34は表示パラメータにより表示対象となった脳表面である。
以下、図1〜図5に従って、本実施例に係る3次元画像処理方法の動作を説明する。
まず、ボリュームレンダリングにより、3次元データ全体の3次元画像を表示する(ステップ101)。このボリュームレンダリング法について、図2を用いて説明する。投影面2は、図のように3次元データ1に対して配置され、視線方向は投影面に垂直であるとする。
【0010】
投影する座標系V系に再サンプリングされたボクセル4の各ボクセルは、それぞれ、不透明度αと影付けされたカラーCという値を持っている。再サンプリングについては、後で説明する。不透明度αは、そのボクセルが完全に透明で光が透過するならば「0」、完全に不透明で光が透過しないならば「1」の値をとるものとする。
また、カラーというのはボクセルの発する色のことであり、ボクセル自体が持つ色に対して、ボクセル位置での仮想表面における光の反射を、ボクセルデータ値(以下、「ボクセル値」と呼ぶ)の傾斜ベクトルを仮想表面の向きであると考えることにより考慮し、光源の向きや投影面の方向などにより影付けを行ったものである。このとき、ボクセル集合4の各ボクセルに対して、投影面から近い順に番号を付け、各ボクセルの不透明度,カラーをそれぞれ、α(1),C(1)、・・・・、α(n),C(n)とする。
【0011】
ここで、簡略化のため光は平行光とし、光線は投影面と垂直方向に、投影面側から3次元データへ入射するものとする。
以上のような場合に、光を投影面から最も近いボクセルから遠いボクセルへと透過させ、各ボクセルでの反射量を加算する方法で、式(1)によってピクセル3に投影される値Pを計算する。本実施例では、説明の簡略化と扱うデータの性質を考慮して拡散反射のみを扱い、光は平行光で投影面に垂直であるとする。
【数1】
なお、式(1)中のA(i)はi番目のボクセルに入射する光の透過率を表わしている。
【0012】
ここで、再サンプリングについて、図3を用いて説明する。
図3の左側の図のように、あるボクセルについて再サンプリングしようとするとき、右側の図のような座標系Aの8つのボクセル中心に囲まれたセルの中で、それらのボクセル中心と再サンプリングするボクセル中心12との距離の比が、図のように、s:(1-s),t:(1-t),u:(1-u)となっているとする。このとき、再サンプリングしたボクセルの不透明度やカラーなどの値は、次の式(2)のtrilinear法によって 求める。ここで、不透明度やカラーなどの値を代表してQを用いて表わす。
【数2】
【0013】
再サンプリングを行う方法は、再サンプリングするボクセルに最も近い位置にある元のボクセルの値を用いる最近傍法など、別の方法を用いてもよい。
以上のような方法で計算を行うとき、ボリュームレンダリング計算におけるパラメータを定義する。
まず、不透明度αはボクセル値から定義されるが、この対応付けを変化させることで様々な表示が可能となる。そこで、本実施例ではボクセル値に比例して不透明度を決めることにする。図4のように、ボクセル値fと不透明度αを対応付け、不透明度を0とするボクセル値のしきい値fthと、比例定数kをパラメータとすることにする。これは、不透明度を簡単に設定できるようにするためと、X線CTなどで計測された人体のような3次元データを表示する場合には、ボクセル値の高いものほど不透明度が高いように設定すると、自然な表示が行えるためである。
【0014】
上記実施例によれば、レンダリングパラメータであるしきい値fthと比例定数kを変化させることで、表示対象を変更することができる。
また、3次元データと投影面の位置関係を変えることで、様々な方向からの3次元画像表示が可能となる。そこで、3次元データ空間の座標系Aと投影空間の座標系Vとの座標変換を行う行列、特に本実施例では回転のみを考え、回転行列をパラメータとする。
本実施例では簡略化のため、以上の要素のみをパラメータとし、ボクセルの色はモノクロとし、光源の方向などについては固定とするが、もちろん、これらをパラメータに加え、可変にしても良いことは言うまでもない。
さて、上述の方法で、ステップ101でボリュームレンダリングを行うとき、各ピクセルの投影値を求めるときのライン上にあるボクセルで、しきい値fthを超える、最も投影面に近いボクセルの投影面からの距離をZバッファとして記憶する(ステップ102)。
【0015】
次に、上のように計算され、表示された3次元画像上で着目する点をマウスで指定し、表示する(ステップ103)。
指定された着目点のZバッファを参照し、回転後の座標系Vにおける着目点の座標値を得る(ステップ104)。
ステップ105では、3次元画像上のROIとして、着目点を中心とするあらかじめ定めた初期値の半径を持つ円を設定し、3次元画像上にROIの範囲を表示する。
座標系Vにおける着目点の座標を変換し、オリジナルの座標系Aにおける着目点の座標を求めて記憶する(ステップ106)。
以上で着目点の設定とROIの設定が終了し、表示パラメータの変更・入力待ち状態となり、この時点で表示されている3次元画像は、図5(a)に示すようになる。
【0016】
続いて、回転を行い、表示方向を変化させる場合について説明する。ここで、回転を指示するときにレンダリング処理部に与えられるパラメータは、座標系Aと座標系Vの座標値を変換する回転行列であるとする。
パラメータが入力され(ステップ107)、ステップ108で回転のパラメータかどうかチェックする。ここでは、回転パラメータが入力されたため、ステップ109へ進む。
ステップ109では、入力された回転行列を用い、記憶した座標系Aにおける着目点の座標から座標系Vにおける座標値を求める。
求めた座標系Vにおける着目点の投影面上の座標を中心とする、円形のROIを設定し、表示する(ステップ110)。
この後は、ステップ111で、投影面全体についてボリュームレンダリングを行う。このとき、計算中のピクセル位置が、設定されたROIの領域内かどうか判定し(ステップ112)、ROI内についてはROI用の表示パラメータで、それ以外の領域は通常の表示パラメータでボリュームレンダリングをして、表示を行う(ステップ113,114)。このとき表示される画像は、図5(b)のようになり、注目点32を中心としたROI33が注目点とともに回転する。
【0017】
次に、回転以外の表示パラメータが変更された場合には、ステップ114でROI用の表示パラメータの変更か判定する。ROI用のパラメータの場合はROI内のピクセルについてのみ、ROI用のパラメータでボリュームレンダリングを行い、ROIの部分のみ表示し直す(ステップ116)。このとき表示される画像は図5(c)のようになり、ROIについてのみ別の部位を表示できる。
また、通常のパラメータが変更されたときは、ROI以外のピクセルについてのみ、通常のパラメータでボリュームレンダリングを行い、ROI以外の部分のみ表示し直す(ステップ117)。このとき表示される画像は図5(d)のように、ROI以外の部分について表示部位を変更できる。
表示が終れば、次の入力待ち状態となり、レンダリングパラメータが入力されればステップ107へ戻る。
上記実施例によれば、注目点を中心としてROIが設定でき、回転を行った場合にも注目点を特別の表示パラメータで表示することが可能となる。更に、ROIの深さ方向は視線方向と一致するため、関心領域が奥まで隠れることなしに表示できる。
【0018】
本実施例の応用として、例えば、全体としては体の表面を表示しておいて、関心領域については内臓を表示することができるようになり、内部の状態と外部の位置関係を把握しやすい表示ができる。
また、上記実施例では、投影画像計算方法としてボリュームレンダリング法を用いたが、他の方法でも良い。例えば、しきい値を超えたボクセル位置に表面があると考えて、表面ボクセルの位置から、表面の傾きを求めて、表面における反射を計算して投影画像を生成する、ボクセル法と呼ばれる方法などでも良い。
更に、前記実施例では注目点を設定するのにマウスを用いていたが、キーボードや、ペン入力装置など、他の座標指示装置を用いても良い。
また、Zバッファの位置を決めるとき、最も投影面に近いしきい値を超えたボクセルの位置をとっていたが、その視線上にあるボクセルの反射光量が最も多いボクセルの位置をとっても良い。これは、仮想的な表面をどう定義するかということであり、このようなデータでは実際の表面が曖昧であるため、どちらでも問題ではない。
【0019】
更に、一度注目点を設定した後にステップ103へ戻り、着目点を設定し直しても構わないし、着目点の設定を取り消して、通常の3次元表示を行っても構わない。
また、上記実施例において、表示パラメータとして、ROIのサンプリング数を増やすことによって高精細なレンダリングを行うことができる。
図6に、この実施例を示す。簡略化のため、3次元データ1は投影面2と平行であるとする。41は3次元データ中に存在する線上の物体、42は投影面上におけるROI、43はROIに対応した3次元データ上の領域、44はROI以外の領域と同じサンプリング間隔で表示したときのROIの画像、45はROI以外の領域の半分のサンプリング間隔で表示したときのROIの画像であり、46は物体41を投影した領域である。
図6のようにサンプリング間隔を細かくとった方が、より細かく正確な画像をことができる。サンプリング数が増えるため、計算時間は増えるが、注目している限定されたROIのみについて計算するため、全体を細かく計算するより圧倒的に計算量は少なくて済む。
【0020】
上記実施例によれば、例えば、高エネルギーのX線CTを用いて、荷物の検査を3次元画像により行っていた場合に、全体の表示は処理時間を考慮し、ある程度サンプリング間隔を広くとって計算しておき、何か異常な物体、例えば、拳銃らしいものが見つかった場合に、その領域をマークし、その周囲のROIのみ細かくサンプリングを行って正確な観察を行い、更に回転して表示することで3次元形状を把握する、ということが可能となる。
ここで、図7に示すようなデータについて、ROIの深さをレンダリングパラメータとして指定する実施例について説明する。図7では、説明を簡略化するため、3次元データ中のある1断面のレンダリングについて考える。図中51は、今着目する3次元データの1断面、52は3次元データ中に存在する物体で、内部に丸い形状の53、四角い形状の54、三角の形状の55の構造を持ち、それぞれの領域のボクセル値は丸囲みの数字で示された10,50,100,30である。
【0021】
56は断面51が投影面に投影される領域、57は53の領域のうちROIにあたる領域を示す。また、58,59,60はROI領域のレンダリング計算の開始点の位置を示している。
まず、通常のレンダリング計算開始位置58から計算を行うと、しきい値が10より小さければ四角い物体の表面が表示され、10〜50では丸い物体が、50〜100では棒状の物体が表示される。このように、しきい値を変更することでROI内の物体の内部を表示できる。
次に、レンダリング計算開始位置59から計算を行うと、しきい値が30より小さければ三角の物体の表面と丸い物体の内部が表示され、30〜50では丸い物体の内部が、50〜100では棒状の物体が表示される。
更に、レンダリング計算開始位置60から計算を行うと、しきい値が50より小さければ丸い物体の内部が表示され、50〜100では棒状の物体が表示される。
【0022】
上述の実施例のように、レンダリング開始位置を奥にすることで、物体に穴をあけて内部の表示を行うことができる。更に、通常のレンダリング位置からでは表示できなかった、高いボクセル値の物体の中にある低いボクセル値の三角の物体を表示することもできるようになる。
以上の実施例では、レンダリング開始位置を投影面からの距離で設定したが、他の設定法でもよく、例えば、ボクセル値10の物体の表面からの奥行きで設定したりすることもできる。
次に、ROIの形状と大きさを変更する実施例について、図8を用いて説明する。図中、35は変更後のROIである。
まず、ROIの初期状態が、例えば、注目点32を中心とする正方形で1辺が20の長さだとする。このとき、マウスを用いて正方形ROIの頂点をドラッグすることで、ROIの大きさを変更する。ROIは注目点を中心として変化し、変更後のROI35は1辺が30となったとする。ここで、例えば、ポップアップメニューからROIの形状を選択し、円形に変更したとすると、ROIは直径30の円になる。マウスでこの円周をドラッグをすることで、ROIの大きさを変更する。
【0023】
以上の実施例では、大きさを直観的に変更するために、マウスを用いていたが、1辺の長さや、直径、半径などの数値をキーボードから入力するようにしても良い。また、ROIの形状は長方形や三角形であってもよく、マウスでなぞった自由形状としてもよい(ただし、注目点をROI内部に含む)。更にROI形状の指定は、メニューで選択しないで、例えば、マウスの中ボタンを押すたびに、形状が切り替わるようにしてもよい。
次に、注目点の位置を表示する実施例を図9に示す。図中、61は表示対象物である。
まず、(a)の角度で表示したときに注目点32を設定する。これを回転して別の角度から表示したものが、(b),(c),(d)である。
(b)は、回転後、座標系Vにおいて、注目点の手前側、すなわち注目点と投影面との間に表示対象物61が存在する場合で、このような場合には、注目点の位置を表示しない。このようにすることで、注目点を3次元データに書き込んだような効果を得ることができ、自然な前後関係で表示が行える。
【0024】
しかし、(b)の方法では、物体の影にある注目点の位置がわからなくなってしまうため、(c)ではどのような場合にも注目点の位置を表示する。ただし、この方法では、注目点の奥行き感覚はわからなくなる場合がある。
また、(d)では、注目点と投影面との間に物体が存在するときには、注目点と物体の色を平均した色で表示を行い、半透明に表示する。これは、(b),(c)両方の長所と欠点を持つ。
そこで、上の(b),(c),(d)の方法を場合によって使いわけるようにする。注目点位置の表示は、図1におけるステップ111または116の終了後に、ステップ109で求めたV系での注目点座標と3次元画像のZバッファを用いて上記の方法により行う。
以上の実施例では、注目点は物体の表面にしか設定ができなかったので、物体の内部にも設定できる実施例について、図10,図11を用いて説明する。
【0025】
図10は、本実施例のフローチャート、また、図11は、図10に示したフローチャートに対応した操作と画像の例を示している。65は表示対象となっている物体、66は物体表面の仮の注目点、67は物体65を投影した3次元画像、68は3次元画像上における注目点の位置、69は仮の注目点の周りに設定されたROIの断面画像、70は断面上で指定した真の注目点である。
このとき、3次元データ1中の表示対象は、図11(a)に示す65のような球状の中身の詰まった物体であるとする。以下、フローチャートを用いて注目点の設定方法を説明する。
まず、ステップ201では、物体65が投影された3次元画像67上で仮の注目点68を指定する。すると、3次元空間上では物体の表面位置66に注目点が設定される(図11(a)参照)。
次のステップ202では、ステップ201で設定した仮の注目点66を通り、投影面2に平行な断面の画像69を計算し、ステップ203で表示する。この段階では、断面は物体の表面に接するような位置なので、図11(b)のように点として表示されている。
【0026】
続いて、真の注目点として指定する断面位置を探すためにステップ205で断面の位置を平行移動させ、図11(c)のような表示を行う。
平行移動を行いながら注目点を設定する位置が決まったら、ステップ204で注目点を設定するステップ206へ進み、図11(d)のように真の注目点の位置を指定する。断面画像上で指定された注目点の3次元位置を求めて記憶し、図1に示した実施例のステップ107以降の処理に用いることができる。
以上の実施例により、物体の内部に注目点を指定することができる。これにより、例えば腫瘍の中心を常に関心領域の中心とした表示が可能となり、腫瘍が関心領域をはみ出さないように回転することができる。
さて、次に、注目点へのアプローチ方向を設定し、表示するための実施例について図12のフローチャートと図13を用いて説明する。本実施例は、例えば、腫瘍のある患者を撮影した3次元データに対して、注目点として腫瘍を指定し、手術する際のアプローチを事前に検討するような場合に利用できる。
【0027】
本実施例は、図1に示した注目点を中心としたROIを設定する方法などの上記実施例と併用することもできるが、ここでは説明簡略化のため、単独でアプローチの設定と表示を行う例を示す。アプローチは指定した注目点を通り、投影面に垂直な方向に設定する。図13中、71はアプローチ方向、72はアプローチ方向単位ベクトル、73は物体65の投影画像、74は注目点を投影したもの、75はアプローチを投影したものである。
まず、注目点を設定するところに関しては、図1に示した実施例と同じである(ステップ101,102,103,104,106)。
注目点を設定した後、回転を行って、表示対象を様々な角度から観察を行い、注目点へアプローチするために最適な方向を探して、アプローチ方向を決定する(ステップ301)。
回転後座標系V系における、Z軸向きの(投影面に垂直方向の)単位ベクトルのオリジナル座標系A系における値を求めて、アプローチ方向単位ベクトルとして記憶する(ステップ302)。
【0028】
以上のステップにより、アプローチ方向が設定できる。次に、設定されたアプローチを表示する。
アプローチが設定されたときには、アプローチ方向は投影面と垂直であるため投影面上では注目点と重なる位置に点として表示される(図13(a))。回転をして、アプローチ方向と視線方向が一致しない場合には、アプローチは直線として表示されるが、このとき、アプローチを示す直線と投影面との間に物体が存在すれば、アプローチは表示しないようにする(図13(b))。また、アプローチは注目点から、アプローチ方向単位ベクトルの向きに、ある長さだけ表示することにする。この長さは初期設定されているものとする。
アプローチが設定された、または、回転などのパラメータが入力された場合には(ステップ311)、ステップ312で、回転後のV系における注目点の座標を求める。
【0029】
次に、V系におけるアプローチ方向単位ベクトルを求める(ステップ313)。
また、すでに指定されているアプローチの長さとアプローチ方向単位ベクトルと注目点の座標から、アプローチを表示する際の注目点ではない方の端点を求める(ステップ314)。そこで、注目点と端点を結ぶ直線を投影面に投影し、そのときのV系でのZバッファを記憶する(ステップ315)。ボリュームレンダリングを行い、3次元画像を求め(ステップ316)、そのとき求めた画像のZバッファ(ステップ317)とアプローチのZバッファとを比較し、画像のZバッファの方が投影面に近い場合には3次元画像を表示し、そうでなければアプローチを表示する。(ステップ318)。
その後、注目点は、例えば、図9の実施例のように表示する。
本実施例により、前後関係を考慮した自然な合成表示を行うことができるが、アプローチと3次元画像を合成表示するならば、他の方法でも良い。
また、アプローチの長さや太さは変更できるようにしてもよい。
【0030】
上記実施例により、アプローチ方向を決めた後、回転を行い、様々な角度から観察してアプローチの検討を行うことができる。ここで、設定したアプローチ方向と視線方向が一致した表示をすることにより、術中にアプローチする方向から観察するような状態をシミュレーションできる。そこで、図14にアプローチビューを表示するための実施例を示す。
図12におけるフローチャートに次の処理を加える。
ステップ302によりアプローチ方向が決定された後、現在の表示角度での座標系Aから座標系Vへの回転行列を記憶する(ステップ401)。これにより、アプローチビュー方向が記憶される。
ここで、アプローチビュー表示を行う指示が入力されると(ステップ411)、ステップ401で記憶した回転行列をパラメータに入力する(ステップ412)。
すると、図12のステップ311へ進み、上記の図12の実施例により、アプローチ方向と視線方向が一致したアプローチビューが表示される。
【0031】
上述の実施例により、手術のアプローチを計画できるが、そのとき、体の表面のどこからアプローチすればよいかを求めることにより、更に手術計画を支援できる。
図15にアプローチ表面位置を求めるための実施例を示す。
まず、注目点やアプローチを設定する前に、ボリュームレンダリングを行い、体表面を表示するようなパラメータを設定し、記憶する(ステップ501)。本実施例ではしきい値を記憶する。
ここで、図12の実施例のステップ301,302によりアプローチ方向が設定されたあと、ステップ501で記憶したパラメータ(しきい値)を呼び出し、レンダリングパラメータに入力する(ステップ511)。
すると、図12に示した実施例(ステップ311〜318)により、体表面の3次元画像とアプローチと注目点とを合成表示する。このとき、アプローチは投影面と垂直のため点となり、アプローチと注目点は重なり、図13(a)のようになる。
【0032】
すると、体表面とアプローチ方向の交わる位置はステップ317で得られたZバッファにより求められる(ステップ512)。得られたアプローチ表面位置はV系の座標なので、A系の座標に変換し、記憶する(ステップ513)。
以降、記憶されたアプローチ表面位置は、注目点を表示するときに、記憶していた座標系Aから、座標系Vに変換し、図9の実施例と同様に表示を行う。
以上の実施例により、術前にアプローチ方向と、アプローチ表面位置の検討を行うことができる。
なお、上記各実施例は本発明の一例を示したものであり、本発明はこれに限定されるべきものではないことは言うまでもないことである。
【0033】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、観察方向によらず、常に注目する部分を中心として関心領域が設定され、関心領域とそれ以外の領域との関係を、表示パラメータをインタラクティブに変更することにより、立体的に把握できるようになる。また、関心領域についてのみレンダリングすることで、高速な処理が可能となったり、高精細な画像を得ることができるようになる。
更に、表示対象について穴をあけるような表示や、アプローチ方向を表示することにより、手術の計画などを行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る、注目点を中心とした関心領域の設定とレンダリング法を示すフローチャートである。
【図2】ボリュームレンダリングの実施例を説明する図である。
【図3】再サンプリングの実施例を説明する図である。
【図4】不透明度とボクセル値の対応例を示す図である。
【図5】注目点と関心領域とが設定されたときのレンダリング結果の例を説明する図である。
【図6】高精細な表示を行うときの例を示す図である。
【図7】レンダリング計算開始位置を変更する実施例を説明する図である。
【図8】関心領域の大きさと形状を変更する例を示す図である。
【図9】注目点を表示する例を示す図である。
【図10】注目点を物体内部に指定する例を示す図である。
【図11】注目点を物体内部に指定する例を示す図である。
【図12】アプローチ方向の設定とレンダリングの例を示すフローチャートである。
【図13】アプローチ方向の表示例を示す図である。
【図14】アプローチビューへの復帰の例を示すフローチャートである。
【図15】アプローチ上の表面位置を求める実施例を示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 3次元データ
2 投影面
5 3次元データのオリジナル座標系
6 回転後の投影座標系
21 しきい値
22 不透明度を定義する比例定数
32 注目点
33 関心領域
66 仮の注目点
70 真の注目点
71 アプローチ方向
Claims (5)
- ボクセルデータの3次元配列からなる3次元データを用いて該3次元データ中の表示対象物体を2次元平面上に投影した画像を生成し、表示を行う3次元画像処理方法であって、少なくとも、前記3次元画像上で、注目点を指定するステップと、指定した3次元画像上の注目点の奥行き座標値を求めるステップと、注目点の3次元座標値を記憶するステップと、投影面上において注目点を内部に含む関心領域を設定するステップと、該関心領域について、その他の領域とは別に、投影画像生成計算のパラメータを設定するステップを有する3次元画像処理方法において、
前記パラメータにより3次元データと投影面との位置関係が変更されたとき、表示方法が変わることにより投影面上で移動する注目点に追従して該関心領域を移動させるステップと、
該関心領域とその他の領域とのそれぞれのパラメータにより両者の領域について投影画像生成計算を行い、表示するステップと
を有することを特徴とする3次元画像処理方法。 - 前記各ステップに加え、関心領域については、投影画像生成計算のパラメータのうちサンプリング間隔をその他の領域より細かくして投影画像生成計算を行うステップを有することを特徴とする請求項1記載の3次元画像処理方法。
- 前記各ステップに加え、関心領域については、投影画像生成計算のパラメータのうち投影画像生成計算の開始点の位置を指定するステップを有することを特徴とする請求項1記載の3次元画像処理方法。
- 前記各ステップに加え、関心領域の大きさを入力するステップと、該関心領域の形状を入力するステップを有することを特徴とする請求項1記載の3次元画像処理方法。
- 前記注目点を指定するステップは、仮の注目点を指定するステップと、仮の注目点を通り投影面と垂直な平面による3次元データの断面画像を表示するステップと、前記断面の位置を平行に移動し表示するステップと、断面画像上で真の注目点を指定するステップから成ることを特徴とする請求項1記載の3次元画像処理方法。
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