JP3703338B2 - 合成光学素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学素子の光学機能面に対向する成形面を有する成形型によって、加熱軟化されたガラス素材を押圧成形することで得られた光学素子を利用して構成する、合成光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、屈折系のみによって構成される光学系においては、分散特性の異なる硝材を組み合わせることによって、光学上の色収差を減らしている。例えば、望遠鏡などの対物レンズでは、分散の小さい硝材を正レンズ、分散の大きい硝材を負レンズとし、これらを組み合わせて用いることにより、光軸上に現れる色収差を補正している。このため、レンズの構成枚数が制限される場合や、使用できる硝材が限られている場合などでは、色収差が、十分に補正できないことがあった。
【0003】
硝材の組み合わせにより色収差を補正する方法については、SPIE Vol.1354 International Lens Design Conference(1990)などの文献に、光学系の一部に回拆作用を有する回拆光学素子を設けることで、色収差を減らす方法が、既に開示されている。この方法は、図5に示したように、屈折光学素子と回拆光学素子とでは、分散が逆方向に発生するという物理現象を利用したものである。
【0004】
回拆光学素子としては、例えば、所定次数の回拆光に光量を集中できるキノフォーム型の回折光学素子や、このキノフォーム型を階段状に近似したバイナリー型の格子断面形状を有する位相型の回拆光学素子が知られている。このような回拆光学素子において、同心円状の格子周期を素子中心から周辺に向けて変化させることで、屈折光学素子と同様の収斂作用や発散作用を持たせることができる。
【0005】
キノフォーム型やバイナリー型の回拆光学素子において、素子の屈折率がnであったとき、格子高さdを、
d=mλ/(n−1) (1)
と設定することによって、波長λにおけるm次の回拆光の回拆効率を、最も高くすることができる。ここで、回拆効率とは、特定次数の回拆光に配分される光量の割合であり、特定次数の回拆光の光量に対する入射光全体の光量の比で表される。
【0006】
ところで、位相型回拆光学素子の特定次数の回拆光の回拆効率は、例えば、図6のに示すような特性を持っている。図6において、横軸は波長、縦軸は回拆効率を表している。この回拆光学素子は、図6に示すように、特定波長λD(λL≦λD≦λU)において、特定次数の回拆光の回拆効率が最も高くなるように設計されるため、それ以外の波長での回拆効率は、波長λDにおける回拆効率に比して相対的に低くなる。
【0007】
これは、格子高さdが、波長λDにおいて(1)式を用いて最適化されるため、その他の波長において、最適値でなくなるからである。このλDのような格子高さdを決定するのに用いた波長を、設計波長、対象となる回拆光の次数を設計次数と呼ぶことにする。
【0008】
例えば、設計波長を550nm、設計次数を1次とし、回拆光学素子を輪帯状の、8段の階段構造により形成した時、設計波長での回拆効率は約95%になり、波長650nmにおける1次回拆光の回拆効率は約88%、また、波長440nmにおける1次回拆光の回拆効率は約80%になる。そして、回拆効率が100%に満たない分は、設計次数以外の回拆光になる。
【0009】
この内、設計次数から離れた次数の回拆光は、設計次数の回拆光の結像位置に対して大幅にずれるので、結像には寄与しないで、全面にフレアのような状態で付加される。一方、設計次数近傍の次数(具体的には設計次数±1次)の回拆光は、結像性能を評価するような空間周波数領域では解像しないが、完全にぼけた状態でもなく、低い空間周波数領域では結像する。このため、この次数の回拆光の回拆効率が大きいと、設計次数の回拆光の回りに、かなり大きなサイドローブのあるスポットとなり、光学性能が悪化するという問題があった。
【0010】
つまり、回拆光学素子を光学系に利用して、良好な光学性能を得るためには、設計次数の回拆光の回拆効率を、使用全波長帯域にわたって、高く維持すると共に、特に、設計次数近傍の回拆光の回拆効率を低く抑える必要があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、設計次数近傍の回拆光の回拆効率を低く抑え、設計次数の回拆光の回拆効率を、広い波長帯域にわたって、高く維持するため、分散の異なる材質の光学素子を複数重ね合わせた回拆光学素子が、特開平9−127321号公報や特開平9−127322号公報において提唱された。これらは、特に、特開平9−127322号公報においては、対面する2つの光学素子のレリーフパターンの位置関係を、高精度に維持した状態で、張り合わせないと、本来の性能が実現できないものである。しかしながら、上記公報には、位置決め方法や接合方法についての記載はなされていない。
【0012】
仮に、対面する2つの光学素子のレリーフパターンの位置決めを、顕微鏡などにより、読み取って接合するとしても、これでは、非常にコストの高いものとなってしまい、量産性が全く無いものとなってしまう。
【0013】
また、実開平1−101214号公報には、複数の光学素子を接合する方法が開示されている。これは、光学素子の外周全域に形成されたテーパー部同志を接合することで、光学素子間隔および光軸中心を合わせるものである。しかしながら、このような位置決め方法には、以下のような問題点がある。
【0014】
・合わせられるテーパー部の角度が両者(接合される光学素子)共に、完全に一致することは、まず、現実的に不可能である。これは、製造される各光学素子のテーパー部の角度に、若干の誤差が発生するためで、接合される部分は、実際には、線当たりとなり、平行偏芯および傾き偏芯が生じる。
【0015】
・胴型と下型および上型の嵌め合い誤差があるため、それで成形された光学素子単体に、平行偏芯および傾き偏芯が含まれている。それらを接合するために、偏芯成分が2倍に効いてしまう。
【0016】
・光学素子相互は、その光軸周りでの回転方向の位置が決まらない。
【0017】
本発明は、上記のような問題を解決し、回拆格子相互を接合するような、最も接合精度が必要となるものにも、対応できる構成の合成光学素子を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、同じ成形型から成形された同形状の二つの光学素子を張り合わせて構成する合成光学素子において、密接あるいは近接する両光学素子の面には、突起およびこれと嵌合する穴が形成されており、互いの突起を、相手の穴に嵌合することで結合させることで、両光学素子の位置関係が決定されていることを特徴とする。
【0019】
従って、軸中心の合致、光学素子間隔の設定は勿論のこと、素子相互の、光軸に対する回転方向も位置決めできる。
【0020】
なお、本発明の実施の形態として、密接あるいは近接する両光学素子の面に、回拆格子が形成されていること、また、上記突起および穴は、それぞれの光学素子の光学機能面外に位置して、光学機能面が線対称関係になる線上において、かつ、光学中心からそれぞれが等距離に位置して、形成されていることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。なお、図1は本発明の特徴を最も良く表す合成光学素子の断面図であり、ここでは、この合成光学素子は、2枚の光学素子1からなり、これらは、加熱軟化されたガラス素材を一対の成形型で成形したものであって、これら光学素子1を対向させて貼り合わせ、合成光学素子を構成する。
【0022】
各光学素子1の貼り合わせ面には、回拆格子2が形成されている。また、光学有効面外に突起3と穴4も形成されている。貼り合わせる際は、貼り合わせ面に樹脂5が塗布され、上記の突起3と穴4が互いに嵌合されることで、高精度の位置決めがなされ、この状態で接合される。
【0023】
【実施例】
(実施例1)
以上の構成となる合成光学素子については、以下に述べるような、一般撮影系の色消し用合成光学素子に適用した実施例で、更に詳細に説明する。なお、貼り合わせる光学素子1の平面図を図2で示す。ここで、符号3は、光学素子の成形に際して、同時に成形されたピン(突起)、4は、同じく、成形された穴である。ここでの光学素子の硝材は、nd=1.5938、νd=61.4のリン酸系ガラスである。
【0024】
まず、図3を参照して、単体の光学素子1の成形方法を説明する。なお、図3は、光学素子1を成形する成形型の断面図であり、ここで、符号6は上型、7は下型、11は上型および下型を保持するための胴型である。下型7には、格子深さが約9μmの、同心円状の回拆格子8が形成されている。また、下型7には、有効機能面外に位置して、穴9とピン10が設けられている。これら穴9とピン10は、相互に嵌め合い関係にあり、直径:2mm、深さ(長さ):0.5mmの高精度な加工が施され、回拆格子8が線対称の関係になる線上に位置し、かつ、光学中心(回拆格子8の中心)から、それぞれが等距離に位置するように、配置されている(図2を下型の平面図と見た場合、Pの関係)。なお、この成形型は、不活性ガスが充填された成形室にセッティングされている。
【0025】
而して、下型7の上にガラス素材を載置し、加熱源(図示せず)で、成形型およびガラス素材を加熱する。ガラス素材の粘度がlogη=8〜10になり次第に、成形室を真空にする。真空にする理由は、回拆格子部のガス残りによる転写不良を防ぐためである。真空度が0〜20Paでプレスロッド(図示せず)に連結された上型6を下降し、ガラス素材が所定の厚みになるまで、約1000Nでプレス成形する。そして、成形が完了してから、再度、成形室に不活性ガスを充填し、成形品の粘度がlogη=14相当まで冷却し、取り出す。
【0026】
次に、上記のようにして得られた成形品を接合する方法を説明する。一方の成形品をAとし、もう一方の成形品をBとすると、Aの回拆格子が形成された面にUV硬化樹脂を塗布する。この樹脂はnd=1.56、νd=37.33の無色透明樹脂である。次に、Aに形成されたピン3とBに形成された穴4、同じく、Aに形成された穴4とBに形成されたピン3を、それぞれ嵌め合せ、圧着する。
【0027】
なお、この際に、回拆格子相互の山と山の間隔が3μm以下になるように、ピンの長さと穴の深さが予め調整されている。また、このAとBの成形品は、同じ成形型で得られたものであり、従って、ピン3と穴4のピッチ差は、ほとんど0である。しかも、成形品もピン径(型の穴径)に合わせて、成形品の穴径(型のピン径)を調整しているために、嵌め合いガタも、2μm未満に抑えることが可能となる。最後に、上記合成された成形品にUVを照射し、樹脂を硬化させ、合成光学素子の完成となる。
【0028】
このようにして得られた合成光学素子は、対向する格子ピッチの位置ずれが2μm未満であり、設計次数の回拆光の回拆効率を、使用全波長域にわたって高く維持できるものとなった。
【0029】
(実施例2)
次に、実施例2として、図4を参照して、回拆格子2′が直線に形成された光学素子1′について説明する。なお、ピン3や穴4の構成および成形方法や接合方法は、上記実施例1と同様であるから、その説明を省略する。
【0030】
この光学素子1′の貼り合わせでは、特に、光軸中心に対する回転方向の位置決めが重要となるが、2位置でのピンと穴の嵌め合いで、位置決めしているために、回転方向の位置決めも容易に可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、合成光学素子の接合が容易になり、かつ、非常に高精度で位置決めが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の係わる合成光学素子の断面図である。
【図2】実施例1の回拆光学素子の平面図である。
【図3】ここで使用する成形型の断面図である。
【図4】実施例2の回拆光学素子の平面図である。
【図5】屈折光学素子と回折光学素子の相違を説明する図である。
【図6】位相系光学素子の回折特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 回拆光学素子
1′ 回拆光学素子
2 回拆格子
2′ 回拆格子
3 ピン
4 穴
9 型の穴
10 型のピン
Claims (3)
- 同じ成形型から成形された同形状の二つの光学素子を張り合わせて構成する合成光学素子において、密接あるいは近接する両光学素子の面には、突起およびこれと嵌合する穴が形成されており、互いの突起を、相手の穴に嵌合することで結合させることで、両光学素子の位置関係が決定されていることを特徴とする合成光学素子。
- 密接あるいは近接する両光学素子の面には、回拆格子が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の合成光学素子。
- 上記突起および穴は、それぞれの光学素子の光学機能面外に位置して、光学機能面が線対称関係になる線上において、かつ、光学中心からそれぞれが等距離に位置して、形成されていることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の合成光学素子。
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