JP3702047B2 - 勾配磁場コイル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、頭部を撮影するための磁気共鳴映像装置に係り、特に、駆動時に発生するトルクが十分に小さく、かつ、頭部全体にわたって良好な勾配磁場線形性を有する勾配磁場コイルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医用診断装置の開発が進められるなかで、磁気共鳴映像装置(MRI)の研究開発が活発に行われている。磁気共鳴映像法はよく知られているように、固有の磁気モーメントを持つ核スピンの集団が一様な静磁場中に置かれた時に、特定の周波数で回転する高周波磁場のエネルギーを共鳴的に吸収する現象を利用して、物質の化学的および物理的な微視的情報を映像化する方法である。同方法は、生体の形態情報をハイコントラストで画像化できるばかりではなく、血液等の流れ情報、拡散情報、化学シフト情報、酸化/還元ヘモグロビンの磁化率の差を利用した脳機能情報等のさまざまな機能情報も画像化できる方法として、大きな注目を集めている。
【0003】
特に、エコープラナー法(EPI)に代表される超高速MRI、FastSE(Spin Echo) やGRASE(Gradient Echo And Spin Echo) などの高速撮像法の発展かめざましい。これらの撮像法の画質向上と撮像時間短縮のためには、勾配磁場性能の大幅な向上(磁場勾配強度の大幅アップとスイッチング時間の大幅短縮)が要求される。最近になって、アクセラレータ等の勾配磁場電源技術の進歩によって、勾配磁場性能の大幅な向上が実現されつつある。
【0004】
ただし、超高速スキャンを実施するにあたっては、騒音レベルの大幅アップ、勾配磁場時間変化率(dB/dt)の増大による磁気刺激の発生、抵抗発熱の大幅アップによるリアルタイム性の制約、などの深刻な問題が生じる。これらの問題の抜本的な解決なしには、臨床の場のルーチン検査として超高速スキャンなどが広く普及する可能性は少ない。
【0005】
近年、頭部撮像に限って上記の問題を打開する方法として、全身用MRIシステムに搭載可能な各種の頭部用小型勾配磁場コイルが提案されている。これは、口径を小さくすることで単位電流の生成する磁場の大きさが大きくなり、全身用勾配磁場コイルと比較してインダクタンスや抵抗が数分のーであり、より大きな勾配磁場強度が得られるためである。また、撮像領域(頭部)以外に大きな強度の勾配磁場が患者にかからないので、dB/dtも全身用の勾配磁場コイルと比べて(同一磁場勾配強度のとき)小さくなり、磁気刺激が問題にならないレベルが実現できる。
【0006】
しかし、従来の小型勾配磁場コイルには以下に述ベるような問題があった。 まず、短軸型ASGC(アクティブシールド型勾配磁場コイル)は主コイルとシールドコイルの2重円筒からなり、従来問題であった渦電流磁場強度が大幅に抑制される特長を持つ。同Gコイルは所望の勾配磁場を形成するための磁場形成電流部分と単にそれらの電流を帰すだけのリターン電流部分とから構成されており、頭部のように肩までの軸長(20cm以下)が制限されている場合には、リターン電流部の影響が深刻で頭部撮像領域が大幅に制限(大脳がやっとで小脳や脳幹までは撮像不可)されてしまうという問題があった。
【0007】
また、他の従来例として、Gコイルの頭部挿入側の電流リターン部をもう一方の電流リターンの方へ集中配置した非対称型勾配磁場コイルが提案されている。図9はレーマーによって提案された横方向勾配磁場コイルの図であり、特開平5−269099号にて開示されている。この非対称型勾配磁場コイルの採用により、撮像視野が軸長に対して占める割合が大きくなり、肩までの軸長が制限されたGコイルの場合に必要な頭部撮像領域を得ることが可能になった。しかし、同コイルは、非対称な電流バターンに働くローレンツ力によってトルクが発生するという深刻な問題があった。また、アクティブシールド型でないため漏洩磁場が全く抑制されておらず、残留渦電流磁場も問題となる。
【0008】
さらに他の従来例として、非対称&トルクキャンセルGコイルが提案されている。この方法の公知例として、AbduljalilらとPetropoulostらがそれぞれ提案しているコイルがある(いずれも1993年のSociety of Magnetic Resonance in Medicineで発表されている)。前者は、非対称Gコイルと同一の半径の円筒上にトルクキャンセルコイル部を付加したもので、電流パターンを図10に示す。図10に示されるように、付加されたトルクキャンセルコイル部のパターンは基本的には非対称Gコイル側のパターンとほぼ同じ数・サイズを有するので、トルクキャンセルコイル部のインダクタンスは、非対称Gコイル部のそれと同じであり、したがつて(それらの相互インダクタンスは小さいので)合計のインダクタンスは、本来の磁場コイルのほぼ2倍になる。これは、同一のアンプでコイルを駆動する際のスイッチング時間が2倍要するという欠点をもたらす。しかも、漏洩磁場は全くシールドされていない。
【0009】
一方、後者は非対称Gコイル部とトルクキャンセルコイル部が2重円筒をなすように構成される。これはASGCのそれと似ていることから分かるように、漏洩磁場を打ち消す効果も合わせ持つことが期待される。この方式の欠点は、第1に、コイルの半径のサイズが制限される場合にはトルクキャンセルコイルによる勾配磁場打ち消し効果が大きくなるため、所定の磁場勾配強度を得るにはターン数が増加してインダクタンスが大幅に大きくなるという点である。同時に、これは導体断面面積の減少・抵抗発熱の増大をもたらした。第2の欠点は、2重円筒の軸長が制限されていることから生じている。つまり、インダクタンスの増大をさけるために外半径を大きくした場合、トルクキャンセルと漏洩磁場シールド効果を両立できないという点である。つまり、非対称Gコイル部の生成する磁束は外部へ向かって広がっていくため、それを抑えるトルクキャンセル部の電流分布も当然広がる必要があるが、肩で軸長が制限されているので必要な電流分布を実現できなかった。逆に、漏洩磁場をシールドする電流パターンは非対称Gコイル部から1対1で決まり、軸長の制限から残留トルクが発生する。これは、Gコイルの移動、振動、寝台との共振などの問題を発生させる危険性があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、漏洩磁場シールド効果を維持し、しかもトルクキャンセルを実現し得る勾配磁場コイルを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、主コイルとシールドコイルとが接合部材により1つの構造体として接合されてなる勾配磁場コイルにおいて、前記主コイルと前記シールドコイルは同軸二重円筒コイルを構成し、静磁場中に置かれた前記主コイルに電流を流した際に生じるローレンツ力により前記構造体に働くトルクと、前記シールドコイルに電流を流した際に生じるローレンツ力により前記構造体に働くトルクとが釣合うように、前記主コイルと前記シールドコイルそれぞれの電流分布の大きさの比が、前記主コイルと前記シールドコイルとの半径比に基づいて決定され、かつ前記主コイルの電流分布をフーリエ変換して得られるFK1(m,k)のkに関する微分と、前記シールドコイルの電流分布をフーリエ変換して得られるFK2(m,k)のkに関する微分との比が、k=0において半径比×(−1)に等しくなるように、前記主コイルの電流分布と前記シールドコイルの電流分布各々の大きさが決定されている。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る勾配磁場コイルの具体的実施形態について、詳細な説明を行う。図1は、本実施形態による勾配磁場コイルが組み込まれる磁気共鳴映像装置の構成を示すブロック図である。同図において、静磁場磁石101は励磁用電源102に駆動され、撮像領域内に静磁場を発生する。なお、説明の便宜上、撮像領域の中心を原点として、静磁場の向きと平行にZ軸を規定し、直交3軸(X,Y,Z)を定義する。撮影時には、被検体106は図示しない寝台により撮像領域にその体軸がZ軸に略平行になるように載置される。
【0020】
アクティブシールド型勾配磁場コイルセットは、勾配コイル用電源105により駆動され、外部への漏洩磁場を抑えながら、撮像領域内にXYZ各軸に関する勾配磁場を個別に形成することができるように、XYZ各軸に対応する3組の勾配磁場コイルを有している。各勾配コイルは、主コイル103とシールドコイル104とを有する。主コイル103とシールドコイル104とは、直列接続され、共通の勾配コイル用電源105で単一駆動されてもよいし、複数の勾配コイル用電源105で分割駆動されてもよい。
【0021】
渦補償回路107は、システムコントローラ116からの矩形信号(又は台形信号)を入力し、これを渦磁場時間応答補償のために整形する。シムコイル108は、シムコイル用電源109に駆動され、静磁場の均一性を向上させるための磁場を発生する。
【0022】
プローブ(高周波コイル又はRFコイルとも呼ばれる)111は、送信部110から高周波信号の供給を受けて、撮像領域内に高周波磁場を発生する。高周波磁場により、被検体106の撮影対象とされる原子核のスピンの回転軸が倒され(励起され)、また位相の進み遅れが反転される。スピンが初期状態に戻る緩和過程で磁気共鳴信号が発生し、この磁気共鳴信号はプローブ111を介して受信部113で受信される。なお、ここではプローブ111は送受信兼用としているが、送信専用プローブと受信専用プローブとに分離してもよい。
【0023】
このプローブ111と勾配磁場コイルの主コイル103との間には、高周波シールド112が配設されている。
プローブ111を介して受信された磁気共鳴信号は、受信部113で検波され、さらにデータ収集部114でディジタル信号に変換された後、データ処理部115に送られる。データ処理部115は、データ収集部114から送られたデータに対してフーリエ変換等の処理を施し、被検体内部の所望原子核の密度分布や脳機能画像等の画像データを再構成する。再構成された画像データは、画像ディスプレイ118に表示される。
【0024】
システムコントローラ116は、コンソール117からの指令を受けて、励磁用電源102、勾配コイル用電源105、シムコイル用電源109、送信部110、受信部113、データ収集部114を制御する。
【0025】
図2は勾配磁場コイルセットのうちのX軸に対応する勾配磁場コイルの概略的なX×Z面断面図を示す。FOVは撮像領域を示す。図2において斜線部は順方向に電流が流れる部分(磁場形成電流部分)を表し、網線部は逆方向に電流が流れる部分(リターン電流部分)を表している。図3(a)は図2の主コイル103の展開図を示し、図3(b)は図2のシールドコイル104の展開図を示している。
【0026】
なお、Y軸に対応する勾配磁場コイルについては、X軸に対応する勾配磁場コイルをZ軸に関して略90°回転したものと同一であるので、ここでは省略する。
【0027】
主コイル103は、少なくとも一対の指紋状パターンコイルがZ軸を中心として対向した状態で円弧状に設けられる。シールドコイル104は、少なくとも一対の指紋状パターンコイルがZ軸を中心として対向した状態で、主コイル103の外側に、同じZ軸を中心として円弧状に設けられる。主コイル103とシールドコイル104とは、軸心が同一の2重円筒コイルとして、円筒状の接合部材120に含浸され、また適宜、接合ネジ等を併用して強固に接合され、物理的に1つの構造体として形成される。
【0028】
主コイル103は、磁場形成電流部分のコイルパターンとリターン電流部分のコイルパターンとが非対称な、いわゆる非対称Gコイルとして構成される。半径方向に関して、主コイル103とシールドコイル104とには逆向きに電流がながれるように、主コイル103とシールドコイル104とは直列接続され、又は勾配コイル用電源105からそれぞれ電流が供給される。これにより主コイル103からの漏洩磁場の少なくとも一部は、シールドコイル104からの磁場により打ち消される。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、シールドコイル104の電流分布は、以下のように決定されることにより、シールド効果と共に、接合部材120にかかるトルクをキャンセルする又は少なくとも低減するという効果を獲得することができる。なお、Z軸まわりの円周方向の角度をφで表すものとする。なお、ここではX軸に対応する勾配磁場コイルを対象に説明するが、Y軸に対応する勾配磁場コイルにおけるシールドコイルの電流分布の設計方法については、以下に説明するX軸に対応する勾配磁場コイルのシールドコイルの電流分布の設計方法と同様であるので、ここでは省略する。
【0029】
まず、静磁場中の円筒状コイルに働くトルクNtqは、式(1)で与えられる。なお、電流密度の円周方向成分のZ軸に関する空間的分布(以下、「電流分布」を略称する)をkφ(φ,z)、ρを円筒の半径、B0 を静磁場強度とする。
【0030】
【数1】
Figure 0003702047
ここで、kφ(φ,z)のフーリエ変換FK(m.k)は式(2)で定義される。
【0031】
【数2】
Figure 0003702047
式(2)を式(1)に代入すると、式(1)は式(3)に変形される。
【0032】
【数3】
Figure 0003702047
【0033】
なお、Im{}は虚部を表す。この式(3)は円筒面上の電流分布に応じて働くトルクの一般式であり、導出に際してはフーリエ変換が収束すること以外に仮定をしていない。したがって、静磁場中に置かれた主コイル103に電流を流した際に生じるローレンツ力により円筒状の接合部材120に働くトルクに対して、静磁場中に置かれたシールドコイル104に電流を流した際に生じるローレンツ力により円筒状の接合部材120に働くトルクが、逆向きに同強度でかかり、これらの合成トルクが実質的にゼロになるための条件式を、以下の式(4)として表すことができる。ここで、ρ1は主コイル103の半径、ρ2はシールドコイル104の半径、k1 (φ,z)は主コイル103の電流分布であり、k2 (φ,z)はシールドコイル104の電流分布である。図4(a)にk1 (φ,z)、図4(b)にk2 (φ,z)の一例を示す。
【0034】
【数4】
Figure 0003702047
【0035】
式(4)は、つまり主コイル103の電流分布をフーリエ変換して得られるFK1(m,k)と、シールドコイル104の電流分布をフーリエ変換して得られるFK2(m,k)とのkについての微分の比が、k=Oにおいて半径比×(−1)に等しくなるように、主コイル103の電流分布とシールドコイル104の電流分布各々の大きさが決定されることを意味する。
【0036】
実際的には、必要な撮像領域FOVに応じて決定されている主コイル103の電流分布k1 (φ,z)に対して、主コイル103の半径ρ1とシールドコイル104の半径ρ2とに基づいて、上記式(4)を満たすように、シールドコイル104の電流分布k2 (φ,z)を決定することににより、シールド効果を維持しながら、トルクキャンセルを実現できる。
【0037】
次に、より実際的なトルクキャンセルのためのシールドコイル104の電流分布k2 (φ,z)の決定方法について説明する。被検体106の頭部全体にわたって良好な線形性を実現するように主コイル103の電流分布が決定され、シールドコイル104の電流分布の関数形を定めると、上記式(4)より、シールドコイル104の電流分布関数の重みが決定されることになる。このとき、シールドコイル104が勾配磁場線形性に与える影響を無視したが、この影響を考虜することも可能であり、主コイル103の電流分布を設定する際に予めシールドコイル104による磁場非線形性(これは関数形で決まる)を打ち消すようにすれば良い。これは、主コイル103の全アンペア・ターンとシールドコイル104の全アンペア・ターンとが式(4)を介して比例関係にあることから可能となる。
【0038】
さて、式(4)はさらに重要な情報を提供する。すなわち、トルクを発生させるのは、Xコイルの場合、k (φ,z)のcos(φ)成分のみであるという点である。このことから、任意の非対称な主コイル103に働くトルクをキャンセルするためには、k2 (φ,z)はcos(φ)成分のみを有するように設定してもよい。あるいは、cos(φ)以外の成分を積極的に利用して、k2 (φ,z)を次の式(5)のようにcos(m・φ)(m=1、3、5、・・・)の和として表現し、各m成分の重みwt(m)は全インダクタンスを最小にする、などの拘束条件(評価関数)から決定してもよい。
【0039】
【数5】
Figure 0003702047
【0040】
拘束条件としては、インダクタンスの他に勾配磁場線形性・抵抗などを設定することもできる。重みを決定するには、ラグランジュの未定定数法などの各種最適化手法を用いることができる。以上説明した方法により、シールドコイル104の電流分布を設定できるとともに、勾配磁場線形性・インダクタンスなどを最適に設定することが可能となる。
【0041】
以上の説明は、ρ1=ρ2の場合、つまり主コイル103とシールドコイル104とが中心軸が同じで且つ半径が同じ場合にも有効である。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態によるシールドコイル104の電流分布の決定方法について説明する。電流分布の最も単純かつ理想的な設定は、k1 (φ,z)、k2 (φ,z)がともにcos(φ)成分のみを有する場合で、さらに望ましい設定は、シールドコイル104が主コイル103のつくる漏洩磁場をその外部でゼロにするように設定することである。このことは次に示すように可能である。即ち、Mansfieldらの特許(UK Patent Application GB 2180943A)にも記述されているとおり、漏洩磁場を完全にシールドする条件は式(6)で与えられる。
【0042】
【数6】
Figure 0003702047
Im()は第1種の変形ベッセル関数である。これがトルクキャンセル条件を表す式(4)を満たすことを確認しよう。数学公式集によれば、
【0043】
【数7】
Figure 0003702047
である。したがって、式4と式6は両立する。すなわち、理想的、つまり無限の軸長を有する非対称ASGCは、トルクを発生しないということがいえる。このとき、インダクタンスは、
【0044】
【数8】
Figure 0003702047
と近似的に求められる。ここで、Lは同一勾配磁場強度を有する非対称アクティブシールド勾配磁場コイルのインダクタンスを表し、L0 は非シールド型非対称勾配磁場コイル(半径ρ1)のインダクタンスである。したがって、
【0045】
【数9】
Figure 0003702047
ならば、Lは、2×L0 より小さく、上述のように、Abduljalilらの非対称でトルクキャンセルの勾配磁場コィル(インダクタンスはL〜2・L0 )に対してインダクタンスの面でも有利となる。
【0046】
主コイル103がつくる漏洩磁場の磁束は、主コイル103のコイル面から離れるほど広がるので、シールドコイル104の軸長は、必然的に主コイル103の軸長よりも長くなり、シールドコイル104は主コイル103の端部より突出した構造になってしまう。
【0047】
このことは頭部用勾配磁場コイルの場合には次のような問題を生じさせてしまう。つまり、撮像領域FOVが接合部材120の円筒端面から深い所に形成されてしまい、当該端面と被検体106の肩が干渉して、小脳や頸部が、撮像領域FOVに届かないという事態が生じる。
【0048】
この問題を解決して、接合部材120の円筒端面から撮像領域FOVまでの距離を短縮して(浅くして)、小脳や頸部が、撮像領域FOVに届くようにするためには、シールドコイル104の当該端の部分を主コイル103の端に合わせて切除することが必要になる。
【0049】
このため、シールドコイル104の電流分布を、上述のように制限された軸長の中で実現する他なかった。これはシールド性能の点では大きな影響を与えないと思われるが、本来打ち消しているはずのトルクが残留していることを意味する。
【0050】
この残留トルクの量は主コイル103に働くトルクの数%、すなわち数10[N−m](勾配磁場強度=20[mT/m]のとき)に達する。この残留トルクの発生により、勾配磁場コイルの移動や設置面での振動・共振が起こるという問題が生ずる。また、シールドコイル104の電流分布が円筒内におさまるように主コイル103の電流分布のZ範囲を軸方向に狭くすることが考えられるが、このとき頭部撮影に十分な撮像領域FOVを得ることが難しい。
【0051】
このように、シールドコイル104の端部分を切除すると、トルクが残留するという問題があり、第2の実施形態はこの問題を有効に解決する。具体的には以下のようにシールドコイル104の電流分布を決定する。
【0052】
図5に第2の実施形態による勾配磁場コイルセットのうちのX軸に対応する勾配磁場コイルの概略的なX×Z面断面図を示す。図5において、斜線部は順方向に電流が流れる部分(磁場形成電流部分)を表し、網線部は逆方向に電流が流れる部分(リターン電流部分)を表している。図6(a)は図5の主コイル103’の展開図を示し、図6(b)は図5のシールドコイル104’の展開図を示している。図7(a)は図5の主コイル103’の電流分布を示し、図7(b)は図5のシールドコイル104’の電流分布を示している。なお、図7(b)の点線は、第1の実施形態の方法でトルクキャンセルするものとして決定された図4(b)と同じシールドコイル104の電流分布を表している。
【0053】
なお、ここでも、Y軸に対応する勾配磁場コイルについては、X軸に対応する勾配磁場コイルをZ軸に関して略90°回転したものと同一であるので、ここでは省略する。
【0054】
第1ステップでは、主コイル103’の電流分布が、所定の勾配磁場線形性が得られるように決定される。この方法自体は前述のMansfieldらの手法を改良することで実現できる。この主コイル103’の電流分布に基づいて、第1の実施形態で説明した方法でシールドコイル104’の電流分布を決定すると、そのコイルパターンは図6(b)に点線で示したもの(第1の実施形態での図3(b)と同じ)となり、また電流分布は図7(b)に点線で示したもの(図4(b)と同じ)となる。
【0055】
ここで、上述の撮像領域FOVが深くなるという問題を解決するために、シールドコイル104’における主コイル103’の端部Zend より突出する部分(図6(b)の点線部分)を切除すると、当該切除部分に相当する電流成分が実質的に円筒中心Cに近くなり、シールドコイル104’のトルクは、切除前バランスのとれていた主コイル103’のトルクより小さくなり、バランスは失われる。
【0056】
そこで、本実施形態においては、この減少したトルクを補償して、主コイル103’のトルクとバランスをとってトルクキャンセルを達成するように、シールドコイル104’の電流分布を変更する。本実施形態では、この変更の方法を幾つか提供する。
【0057】
1つの方法として、図6(b)に示すように、被検体106の頭部挿入側とは反対側の撮像領域FOVから離れた部分に、電流分布を付加する方法である。付加する電流分布をkadd(φ,z)とおくと、式(10)を満たすように、電流分布を付加する。Zeは撮像領域FOVの中心0から、接合部材120の頭部挿入側端面までの距離である。
【0058】
【数10】
Figure 0003702047
【0059】
このような変更により被検体106から最も遠いターン群が被検体106から若干離れることになる。以上のような電流分布付加は、主コイル103’とシールドコイル104’の合成トルクをゼロに維持したまま、パターンの渦巻きの外側から1ターンないし数ターンの位置を若干遠ざけることに相当しており、勾配磁場線形性とシールド性能に与える影響は小さいと考えられる。
【0060】
以上のようにすることで、シールド効果を維持しながら、頭部全体を覆う程度の広い撮像領域を獲得し、しかも、トルクキャンセルを同時に実現できる。
別の方法は、図8のようにMansfield らの方法で得られたシールドコイル104’のターン位置を、シールドコイル104’の重心を中心にして軸方向に数パーセント程度拡大させる方法である。こうすることで、シールドコイル104’のトルクを大きくでき、主コイル103’のトルクを等しくすることができる。拡大させるターンは、全てのターンでもよいし、一部のターンに限定してもよい。また、図8のように撮像領域FOV内のターンを拡大してもよいし、電流リターン部分を拡大させてもよい。
【0061】
これまでMansfield らのASGC設計方法により理想的なシールド電流分布を実現するときに、残留トルクが発生することを説明し、その解決方法を説明してきた。当然のことながら、残留トルクの発生は、他のASGC設計方法や、トルクキャンセルコイルの設計方法(特に連続電流分布を扱う場合)を使って設計される勾配磁場コイルにおいても同様に起こる。上記の設計方法は、この場合にも適用可能である。
【0062】
以上は、シールドコイルの電流分布を調整し、シールドコイルから発生するトルクを増加させて主コイルから発生するトルクと相殺させてトルクキャンセルを実現した例であるが、逆に主コイルから発生するトルクを減少させて同様の効果を得るようにすることも可能である。この場合、主コイルの少なくとも一部のターン位置(軸方法)をコイル重心に近付けることになる。
【0063】
なお、以上は頭部用横(XY)勾配磁場コイルを例に説明したものだが、頭部と同様に軸長が制限される部位(四肢など)でも同様のGコイルを利用することが有益なことは言うまでもない。このような勾配磁場コイルの構造上の特徴は、2重円筒状コイルのそれぞれの導体の位置が、コイル両端で異なるという点である。図3はその典型的な例である。
本発明は上述した実施形態に限定されず種々変形して実施可能である。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により、漏洩磁場シールド性能を維持しながら、トルクキャンセルを実現できる。同コイルを例えば頭部撮影に使用したとき、同一勾配磁場性能を持つ全身用勾配磁場コイルと比べて、騒音等が数分の1以下になることが予想される。このように、大幅に向上した勾配磁場性能をペースとして、高精細MRA、脳機能ィメージング、Diffusion&Perfusionイメージングなどの次世代撮像法が、頭部ルーチン臨床検査として広く応用されていく可能性が高まる。また、音の静かな従来撮像法や、全身用勾配磁場コイルでも実現不可能な全く新しい頭部パルスシーケンス等の実現も期待出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気共鳴映像装置の構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態による勾配磁場コイルの縦断面図。
【図3】図2の主コイルとシールドコイル各々の円周方向に関する展開図。
【図4】図2の主コイルとシールドコイル各々の電流分布の一例を示す図。
【図5】第2の実施形態による勾配磁場コイルの縦断面図。
【図6】図5の主コイルとシールドコイル各々の円周方向に関する展開図。
【図7】図5の主コイルとシールドコイル各々の電流分布の一例を示す図。
【図8】図5のシールドコイルの電流ターンの拡大を示す図。
【図9】従来の非対称傾斜磁場コイルのコイルパターンを示す図。
【図10】従来の非対称且つトルクキャンセルのコイルパターンを示す図。
【符号の説明】
101…静磁場磁石、
102…励磁用電源、
103…主コイル、
104…シールドコイル、
105…勾配コイル用電源、
106…被検体、
107…渦補償回路、
108…シムコイル、
109…シムコイル用電源、
110…送信部、
111…プローブ、
112…高周波シールド、
113…受信部、
114…データ収集部、
115…データ処理部、
116…システムコントローラ、
117…コンソール、
118…画像ディスプレイ。

Claims (4)

  1. 主コイルとシールドコイルとが接合部材により1つの構造体として接合されてなる勾配磁場コイルにおいて、
    前記主コイルと前記シールドコイルは同軸二重円筒コイルを構成し、
    静磁場中に置かれた前記主コイルに電流を流した際に生じるローレンツ力により前記構造体に働くトルクと、前記シールドコイルに電流を流した際に生じるローレンツ力により前記構造体に働くトルクとが釣合うように、前記主コイルと前記シールドコイルそれぞれの電流分布の大きさの比が、前記主コイルと前記シールドコイルとの半径比に基づいて決定され、かつ前記主コイルの電流分布をフーリエ変換して得られるFK1(m,k)のkに関する微分と、前記シールドコイルの電流分布をフーリエ変換して得られるFK2(m,k)のkに関する微分との比が、k=0において半径比×(−1)に等しくなるように、前記主コイルの電流分布と前記シールドコイルの電流分布各々の大きさが決定されていることを特徴とする勾配磁場コイル。
  2. 前記主コイルと前記シールドコイルとの少なくとも一方の電流分布の円周方向成分が、φを静磁場方向回りの円周角としてcosφ又はsinφに比例することを特徴とする請求項1記載の勾配磁場コイル。
  3. 前記シールドコイルの電流分布における撮像中心から被検体挿入側の端までの距離は、前記主コイルからの磁場を磁気的に外部に対して遮蔽することのみを考慮して決定されるシールドコイルの電流分布より短く、この短いことによる前記シールドコイルのトルクの減少を補償するために、前記シールドコイルの電流分布における撮像中心から前記被検体挿入側と反対側の端までの距離は、前記主コイルからの磁場を磁気的に外部に対して遮蔽することのみを考慮して決定されるシールドコイルの電流分布より長く構成されることを特徴とする請求項1記載の勾配磁場コイル。
  4. 前記シールドコイルは指紋状コイルパターンで形成され、前記シールドコイルの電流分布における撮像中心から被検体挿入側の端までの距離は、前記主コイルからの磁場を磁気的に外部に対して遮蔽することのみを考慮して決定されるシールドコイルの電流分布より短く、この短いことによる前記シールドコイルのトルクの減少を補償するために、前記指紋状コイルパターンの少なくとも1つの電流ループの囲む面積が、前記主コイルからの磁場を磁気的に外部に対して遮蔽することのみを考慮して決定されるシールドコイルの対応する電流ループの囲む面積より大きく構成されることを特徴とする請求項1記載の勾配磁場コイル。
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