JP3701891B2 - サービス毎の最適通信品質保証ネットワークシステムおよびサービス毎の最適通信品質保証方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,ネットワークに接続された情報通信機器間でサービスを実施するにあたって,通信品質を保証するネットワークシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術では,情報通信機器間の通信に関して通信品質を保証しないか,サービスの種別によらないすべての通信に関してあらかじめ固定的に一定の通信品質を保証することを行っていた。また,サービスを開始するたびに,通信品質を保証するための手続きをサービス開始元の情報通信機器とサービス開始先の情報通信機器の双方で処理していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術では,情報通信機器間の通信に関して通信品質が保証されないために通信データが転送の中途で失われるか,転送先への到着が遅延してサービスの実施が妨げられる場合があった。
【0004】
また,情報通信機器間で,すべての通信において固定的に一定の通信品質を保証するためには,実施が想定されるすべてのサービスを考慮した上で必要となる最良の通信品質を常に保証する必要があり,多数のサービス実施者を前提とした場合に,ネットワークのリソースを効率的に使用することが不可能であった。
【0005】
あるいは,通信品質を保証するための手続きが複数あり,それらの手続きの間で非互換性が存在するために,情報通信機器の組み合わせによっては通信品質を保証できない場合が生じていた。
【0006】
本発明の目的は,サービスの実施と通信品質の保証が連動しない点を解決するとともに,通信品質を保証する手続きの処理が情報通信機器側に委ねられている点を解決したネットワークシステムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は,ネットワークがサービスの実施に連動して最適な通信品質を保証し,通信品質を保証する手続きを情報通信機器側で処理することを不要としていることを最も主要な特徴とする。
【0008】
本発明が従来の技術と異なる点は,情報通信機器間でやり取りされるサービス開始要求とサービス停止要求をサービス制御サーバが中継し,サービス制御サーバが要求内容を解析することでサービスの種別を識別し,当該サービス種別に基づいてサービス制御サーバが通信品質情報サーバからサービスに最適な通信品質を取得することで,情報通信機器が特別な手続きを処理することなく,サービス制御サーバが通信データ転送装置にサービスに最適な保証すべき通信品質を設定する点である。
【0009】
具体的には,ネットワークに接続された情報通信機器間でサービスを実施する際に情報通信機器間の通信の品質を保証するネットワークシステムにおいて,通信データをある一定の通信品質を保証してネットワーク内で転送する通信データ転送装置と,サービス毎の最適な通信品質を保持する通信品質情報サーバと,サービス開始元情報通信機器からサービス開始要求を受信して,サービスの実施における通信品質を保証するサービス制御サーバとを備える。
【0010】
サービス制御サーバは,サービス開始元の情報通信機器からサービス開始要求を受信すると,要求内容を解析して要求のサービスに最適な通信品質を通信品質情報サーバから取得し,通信データ転送装置に保証すべき通信品質を通知したのち,サービス開始先の情報通信機器に対してサービスの開始を通知し,サービス開始元またはサービス開始先の情報通信機器からサービス停止要求を受信して,通信データ転送装置に保証すべき通信品質の消失を通知したのち,前記サービス停止要求をした情報通信機器の相手側の情報通信機器に対してサービスの停止を通知する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下,ネットワークに接続された情報通信機器間でサービスを実施するにあたって,通信品質を保証するネットワークシステムについて,図を用いて説明する。
【0012】
図1は,本実施の形態のネットワークシステムの構成例を示す。ネットワーク1には,サービス開始元の情報通信機器2,サービス開始先の情報通信機器3,サービス制御サーバ4が接続される。サービス制御サーバ4には,通信品質情報サーバ5が接続される。またネットワーク1内に,通信データ転送装置6a〜6cが設置される。
【0013】
ネットワーク1は,通信データ転送装置6a〜6cを経由してサービス開始元の情報通信機器2とサービス開始先の情報通信機器3の間でサービスの実施を実現する。
【0014】
サービス開始元の情報通信機器2およびサービス開始先の情報通信機器3は,ネットワーク1を通じてサービスを実施する装置であり,これらの機器間で送受信経路7を通して通信データの送受信を行う。ここでのサービスは,いわゆるプル型,プッシュ型のいずれでもよく,例えば情報検索などのプル型のサービスの場合,サービス開始元の情報通信機器2がクライアント,サービス開始先の情報通信機器3が情報提供サーバの装置である。また,情報配信などのプッシュ型のサービスの場合には,サービス開始元とサービス開始先とのクライアント・サーバの関係が逆になることもある。
【0015】
サービス制御サーバ4は,サービス開始元の情報通信機器2またはサービス開始先の情報通信機器3からのサービス開始要求および停止要求を受信し,他方の情報通信機器(2または3)へ転送する装置である。また,あるサービス種別に最適な通信品質を,通信品質情報サーバ5から取得する。さらに,通信データ転送装置6a〜6cに,保証すべき通信品質を設定する。
【0016】
通信品質情報サーバ5は,サービス種別毎に最適な通信品質を保持しており,サービス制御サーバ4からの問い合わせを受信すると,指定されたサービス種別に最適な通信品質を検索し,サービス制御サーバ4に返答する装置である。
【0017】
通信データ転送装置6a〜6cは,サービス開始元の情報通信機器2とサービス開始先の情報通信機器3の間で送受信される通信データを,ネットワーク1内で転送する装置である。また転送において,サービス制御サーバ4により設定された一定の通信品質を保証する。
【0018】
通信データの送受信経路7は,サービス開始元の情報通信機器2およびサービス開始先の情報通信機器3の間で送受信される通信データの転送経路である。サービス制御サーバ4は,通信データの送受信経路7において保証可能な通信品質の最大値と,現在の利用状況を管理する。
【0019】
本実施の形態のネットワークシステムにおける処理の流れを説明する。以下の説明における括弧付き数字は,図1の丸付き数字に対応している。
【0020】
(1)サービス開始元の情報通信機器2が,サービス開始先の情報通信機器3の間でサービスを実施するために,サービス開始要求をサービス制御サーバ4に送信する。
【0021】
(2)サービス開始要求を受信したサービス制御サーバ4は,要求を解析して開始要求の対象となるサービス種別を判別し,当該サービス種別を通信品質情報サーバ5に送信する。要求の解析において,サービス制御サーバ4は,サービス開始要求に用いられたプロトコルの種別(SIP・H.323・HTTP等)とプロトコル自体が含むサービス情報に基づいて,音声ストリーム・映像ストリーム・散発的トラヒック等のサービス形態と,コーデック種別・許容遅延・パケットロス割合等のサービス固有パラメータ群を,サービス種別として抽出する。
【0022】
(3)サービス種別を受信した通信品質情報サーバ5は,保持するサービス種別毎の最適な通信品質を検索し,受信したサービス種別に最適な帯域幅・許容遅延・パケットロス等の通信品質を得て,当該通信品質をサービス制御サーバ4に送信する。通信品質の検索において,通信品質情報サーバ5は,あらかじめサービス種別のサービス形態毎に通信品質を複数保持しておき,その中からサービス種別のサービス固有パラメータ群に基づいて最適な通信品質を算定する。
【0023】
(4)通信品質を受信したサービス制御サーバ4は,サービス開始元の情報通信機器2とサービス開始先の情報通信機器3の組み合わせから,通信データの送受信経路7を識別する。サービス制御サーバ4は,通信データの送受信経路7において物理的に保証可能な通信品質の最大値(A)と,受信した通信品質に現在の利用状況を加えたもの(B)を比較し,(A)が(B)と等しいか(B)を上回る場合,当該通信品質を通信データ転送装置6a〜6cに送信し,受信した通信品質を現在の利用状況に足し加える。現在の利用状況に足し加えるのは,例えば通信データ転送装置6a〜6cに送信した通信品質に帯域幅が含まれる場合でり,保証する通信品質の種類によって利用状況の管理方法は異なる。許容遅延,パケットロス等のパラメータは,通信データ転送装置6a〜6cに送信するだけで,利用状況としての更新・管理は不要である。
【0024】
(5)上記の比較において(A)が(B)を下回る場合,サービス制御サーバ4は,サービスの開始が不可能であることをサービス開始元の情報通信機器2へ通知する。この場合に限り,以降の処理を実施しない。
【0025】
(6)通信品質を受信した通信データ転送装置6a〜6cは,以降にサービス開始元の情報通信機器2またはサービス開始先の情報通信機器3から送信される通信データに関して当該通信品質を保証し,他方の情報通信機器に転送する。また,サービス制御サーバ4は,(1)で受信したサービス開始要求をサービス開始先の情報通信機器3に送信する。
【0026】
(7)サービス開始元の情報通信機器2とサービス開始先の情報通信機器3との間でサービスが実施される。サービス実施後,サービス開始先の情報通信機器3またはサービス開始元の情報通信機器2がサービス停止要求をサービス制御サーバ4に送信する。
【0027】
(8)サービス停止要求を受信したサービス制御サーバ4は,保証すべき通信品質の消失を通信データ転送装置6a〜6cに送信する。保証すべき通信品質の消失を受信した通信データ転送装置6a〜6cは,以降にサービス開始元の情報通信機器2またはサービス開始先の情報通信機器3から送信される通信データがあっても,通信品質を保証しない。
【0028】
(9)サービス制御サーバ4は,(6)で受信したサービス停止要求を,サービス開始元の情報通信機器2(サービス停止要求をサービス開始先の情報通信機器3から受信した場合)またはサービス開始先の情報通信機器3(サービス停止要求をサービス開始元の情報通信機器2から受信した場合)に送信する。これにより,サービス開始元の情報通信機器2とサービス開始先の情報通信機器3との間でのサービスが終了する。
【0029】
図2は,本実施の形態におけるサービス制御サーバおよび通信品質情報サーバの動作フローチャートである。まず,サービス制御サーバ4は,サービス開始元の情報通信機器2からサービス開始要求を受信すると(ステップS10),サービス種別を判別し,そのサービス種別を通信品質情報サーバ5に送信する(ステップS11)。通信品質情報サーバ5は,サービス制御サーバ4から受信したサービス種別に最適な通信品質を検索し(ステップS12),検索された最適な通信品質をサービス制御サーバ4に送信する(ステップS13)。
【0030】
サービス制御サーバ4は,サービス開始元とサービス開始先の情報通信機器(2および3)の組み合わせから,通信データの送受信経路7を識別し(ステップS14),その通信データの送受信経路7において,通信品質の保証が可能であるかを判別し(ステップS15),保証が不可能であれば,サービスの開始が不可能であることをサービス開始元通信機器2へ通知する(ステップS16)。
【0031】
ステップS15の判定において,通信品質の保証が可能であれば,通信品質を通信データ転送装置6a〜6cに送信し,現在の利用状況を更新し(ステップS17),サービス開始元の情報通信機器2からのサービス開始要求をサービス開始先の情報通信機器3に送信する(ステップS18)。
【0032】
サービス開始元またはサービス開始先の情報通信機器(2または3)からのサービス停止要求を受信すると(ステップS19),サービス制御サーバ4は,保証すべき通信品質の消失を通信データ転送装置6a〜6cに送信し(ステップS20),サービス停止要求をした情報通信機器(2または3)の相手側の情報通信機器(2または3)にサービスの停止要求を送信する(ステップS21)。
【0033】
以上,本発明の実施の形態を説明したが,本発明は上記実施の形態に限られるわけではなく,例えば図1に示すサービス制御サーバ4と通信品質情報サーバ5の機能を異なる複数の装置で実現しても,また同一の装置で実現してもどちらでもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,ネットワークにおける情報通信機器間のサービス開始を契機にして確実に通信品質を保証すると同時に,サービス毎の最適な通信品質を保証してネットワークのリソースを効率的に使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のネットワークシステムの構成例を示す図である。
【図2】本実施の形態におけるサービス制御サーバおよび通信品質情報サーバの動作フローチャートである。
【符号の説明】
1 ネットワーク
2 サービス開始元の情報通信機器
3 サービス開始先の情報通信機器
4 サービス制御サーバ
5 通信品質情報サーバ
6a〜6c 通信データ転送装置
7 通信データの送受信経路

Claims (2)

  1. ネットワークに接続された情報通信機器間でサービスを実施する際に情報通信機器間の通信の品質を保証するネットワークシステムであって,
    通信データをある一定の通信品質を保証してネットワーク内で転送する通信データ転送手段と,
    あらかじめ定められたサービス種別毎に最適な通信品質の情報を保持する通信品質情報管理手段と,
    サービス開始元の情報通信機器からサービス開始要求を受信した場合に,要求内容を解析して,サービス開始要求に用いられたプロトコルに基づいて決定されるサービス形態と,コーデック種別もしくは許容遅延もしくはパケットロス割合の情報を含むサービス固有パラメータ群とをサービス種別として抽出し,そのサービス種別に対応して保持される通信品質を前記通信品質情報管理手段から取得し,前記通信データ転送手段に保証すべき通信品質を通知し,サービス開始先の情報通信機器に対してサービスの開始を通知し,サービス開始元またはサービス開始先の情報通信機器からサービス停止要求を受信した場合に,前記通信データ転送手段に保証すべき通信品質の消失を通知し,相手側の情報通信機器に対してサービスの停止を通知するサービス制御手段とを備え,
    情報通信機器からの指定なしに最適な通信品質を保証するようにした
    ことを特徴とするサービス毎の最適通信品質保証ネットワークシステム。
  2. 通信データ転送手段と,通信品質情報管理手段と,サービス制御手段とを備え,ネットワークに接続された情報通信機器間でサービスを実施する際に情報通信機器間の通信の品質を保証するネットワークシステムにおけるサービス毎の最適通信品質保証方法であって,
    前記通信品質情報管理手段が,あらかじめ定められたサービス種別毎に最適な通信品質の情報をネットワークシステム側で保持し,
    前記サービス制御手段は,サービス開始元の情報通信機器からサービス開始要求を受信した場合に,要求内容を解析して,サービス開始要求に用いられたプロトコルに基づいて決定されるサービス形態と,コーデック種別もしくは許容遅延もしくはパケットロス割合の情報を含むサービス固有パラメータ群とをサービス種別として抽出し,そのサービス種別に対応して保持される通信品質を前記通信品質情報管理手段から取得し,前記通信データ転送手段に保証すべき通信品質を通知し,サービス開始先の情報通信機器に対してサービスの開始を通知し,サービス開始元またはサービス開始先の情報通信機器からサービス停止要求を受信した場合に,前記通信データ転送手段に保証すべき通信品質の消失を通知し,相手側の情報通信機器に対してサービスの停止を通知し,
    前記通信データ転送手段は,前記サービス制御手段からの通信品質の通知に基づき,前記サービス開始元の情報通信機器と前記サービス開始先の情報通信機器との間の通信データの転送を,前記通信品質を保証した状態で行い,前記通信品質の消失の通知により,前記サービス開始元の情報通信機器と前記サービス開始先の情報通信機器との間の通信品質の保証を解除する
    ことを特徴とするサービス毎の最適通信品質保証方法。
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