JP3700954B2 - 運動物体探知装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動く物体、特に、遮蔽物のために視認が困難な動く物体を探知する装置、例えば、倒壊した建造物、堆積した瓦礫、土砂、雪などの中に閉じ込められた生体を探索するための装置や、地下などの視認困難な場所に存在する動物その他の動く物の発見や観察をするための装置に、関するものである。
【0002】
【従来の技術】
医療の分野においては、呼吸や心拍動に伴う体表面の微小変位、あるいは手、足、頭部など身体各部の動きを計測することにより、呼吸状態、心拍動状態、平衡機能、小脳機能、不随意運動などの機能の検査を行なうことができ、これらの計測を遠隔的に、非接触、無拘束で行なう手段として、マイクロ波変位計が知られている。この装置は、計測対象に向けてマイクロ波を照射し、反射波の位相変化や振幅変化から、動く計測対象(人体)と静止反射体(壁、床等)を弁別するとともに、計測対象における前記微小変位や動きを計測するものである。
【0003】
これと同じ原理を用いて、マイクロ波を用いて、遮蔽物の蔭にいる生体、例えば、塀の向う側や建物の内部に潜む人間、あるいは倒壊した建造物、堆積した瓦礫等の中に閉じ込められた人間などを、その呼吸や心拍動に伴う体表面の微小変位、あるいは手、足、頭部など身体各部の動きを検知することによって探知する生体探知装置も、既に知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の生体探知装置は、マイクロ波の送受信に、通常のホーンアンテナ、パラボラアンテナなどを用い、これを、遮蔽物からある程度離れた所に置く。ところが、遮蔽物、特に、倒壊した建造物、堆積した瓦礫などの外からこのような通常のアンテナで電波を送受するのでは、これら遮蔽物の表面からの雑多な反射波が多量に混在するため、これら遮蔽物の奥又は蔭にいる生体の微小な動きを検知することが困難であり、更に、付近に探知対象以外の生体その他の動く物体が存在すると、それからの反射波も受信されて、誤探知を起こす恐れがある。
【0005】
また、探知対象とアンテナの間に存在する遮蔽物が電波を通しにくいものであると、探知対象に到達する電波とそれからの反射波は著しく減衰するので、探知能力が大きく低下する。
【0006】
本発明の課題は、マイクロ波利用の運動物体探知装置において、前記のような遮蔽物や近辺の運動体の悪影響を除くことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、所定周波数の電波を放射して反射波の特性から運動物体を探知する装置であって、前記電波を放射するための送信アンテナと前記反射波を受信するための受信アンテナとが竿状の支持部材の先端部に設けられ、前記支持部材の長さ方向に垂直な方向における前記アンテナと支持部材の全体としての最大寸法が15cm以下であり、前記受信アンテナに接続される受信機の受信回路は、送信信号の一部を受けてその位相と振幅を調整する調整回路と、前記調整回路の出力を受信信号から減算して受信信号中の静止物体からの反射波に対応する信号を抑制する相殺回路とを有することを特徴とする。
【0008】
この構造は、アンテナを、建造物の残骸や瓦礫などの隙間から奥に差し込んだり、あるいは、それらに比較的細い穴を穿ってそこに差し込むことを可能にし、それにより、前記の難点が克服できる。
【0009】
指向性の向きを異にする複数のアンテナを組合せれば、広い範囲の探索が可能である。また、送信器の少なくとも送出端側部分及び受信器の少なくとも受信端側部分の少なくとも一方を前記支持部材の内部に設けてもよい。支持部材自体を導波管として用いることも可能である。
【0010】
更に、受信回路は、相殺回路の出力を送信信号の基準信号で位相検波する検波回路と、相殺回路の出力を基準信号と90度位相が異なる信号で位相検波する検波回路とを組み合わせるのが有利である。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による探知装置の一例の全体の外観を示す。管状の支持部材1の先端にアンテナ部2があり、そこに、送信アンテナと受信アンテナの対か、又は送受信兼用アンテナが設けられている。アンテナ部2に接続された送信信号用ケーブル3と受信信号用ケーブル4は、例えば同軸ケーブルであり、管状の支持部材1の中を通ってその後端から引き出されて、送信信号用ケーブル3の末端は第1筐体5内の送信器に接続され、受信信号用ケーブル4の末端は第2筐体6内の受信器に接続されている。
【0012】
第1筐体5には電源も収納されている。第1筐体5は、また、車輪を備えていて、台車の役目も果たし、それから延びたハンドル7に第2筐体6が取付けられており、これにより、この探知装置の全体を、人力で所望の位置に移動することができる。第2筐体6には、受信信号から運動体を検知する検知回路も納められており、その出力は、この例では、ヘッドホン8に接続されている。第2筐体6には、更に、後述する不要反射波相殺信号の調整のためのダイヤルやメーターが設けられている。
【0013】
支持部材1とアンテナ部2の全体は、手に持って扱える程度の寸法と重量のものであり、これを、倒壊した建造物の残骸の隙間から奥の方に挿入したり、あるいは、土砂や雪に穴を穿って、そこに挿入することができる。このような操作性のためには、支持部材1とアンテナ部2を合わせた部分の寸法として、長さが50cm以上で、最も太い部分の直径が15cm以下であることが好都合であり、典型的には、長さが約1.5メートルで、最大直径が約10cmである。
【0014】
図2は、支持部材1とアンテナ部2の一例の詳細を示す。支持部材1は、ある程度の可撓性がある材料、例えば、厚さが2mm程度の塩化ビニールなどのプラスチックで作られた円管10からなり、その先端に、アンテナ部2が着脱可能に取付けられる。アンテナ部2は、円管10と同質で同径の短い円管11と、その先端に着脱可能に取り付けられたコーン12からなり、円管11の内側に、送信アンテナ13と受信アンテナ14が取付けられる。送信用同軸ケーブル3と受信用同軸ケーブル4は、円管10の後端から管内を通ってアンテナ部2に達し、それぞれバラン回路(図示省略)を介して、送信アンテナ13と受信アンテナ14に接続される。コーン12は、異物の侵入を防ぐとともに、隙間への滑らかな挿入を可能にする。
【0015】
図3は、支持部材1とアンテナ部2の他の例の詳細を示す。この例では、図2に示した送信アンテナ13と受信アンテナ14の代りに、送受信兼用アンテナ15が設けられ、この送受信兼用アンテナ15に接続された単一の同軸ケーブル16は、サーキュレータ17を介して、送信用同軸ケーブル3及び受信用同軸ケーブル4と接続される。このサーキュレータは、円管10の内部に設けても、あるいは外部に設けてもよい。
【0016】
図4は、図2に示した構造の変形を示す。この構造では、受信器の受信端側増幅回路18も、円管10の内部に納められており、それへの電力供給は、電源ケーブル19を介して行なわれる。受信器の受信端側増幅回路の代りに、送信器の送出端側増幅回路を円管10内に設けてもよく、あるいは、両者を共に円管10内に設けてもよい。
【0017】
図3に示した送受信兼用アンテナを設ける構造においても、同様に、受信器の受信端側増幅回路及び/又は送信器の送出端側増幅回路を、円管10の内部に収納することが可能である。例えば、図3において、送信用同軸ケーブル3と受信用同軸ケーブル4を円管10の内部まで延ばして、これらを、円管10の内部に取付けられた送信器の送出端側増幅回路と受信器の受信端側増幅回路にそれぞれ接続し、これらの増幅回路を、同じく円管10の内部に設けられたサーキュレータ17を介して、送受信兼用の同軸ケーブル16に接続する。更に、これら増幅回路に電力を供給するための電源ケーブルを追加する。
【0018】
図5ないし8は、特にアンテナ部2の更に具体的な例の幾つかを示す。なお、これらの例においても、受信器の受信端側増幅回路及び/又は送信器の送出端側増幅回路を、円管10の内部に収納することが可能である。
【0019】
図5は、図2における送信アンテナ13及び受信アンテナ14にダイポールアンテナを採用した場合の、アンテナ部分の詳細を示す。(a)は平面図であり、(b)は側面図であり、そして(c)は代表としての送信アンテナ13の斜視図である。プラスチック製のリング20は、外殻をなす円管11(図2)の内側にちょうど収まるような大きさの外径を有し、ある箇所に両側からV字形の切り込みがあって、そこにダイポールアンテナの本体をなす一対の三角形の金属片21及び22が嵌め込まれている。これらの金属片の突端は、それぞれ導電線23及び24によりバラン回路25に接続され、バラン回路25は送信用同軸ケーブル3に接続される。バラン回路25もリング20に固定されている。
【0020】
この構造は、円管11内へのダイポールアンテナの組込作業を容易にする。アンテナ本体の三角形の金属片21及び22は、僅かずつ長さの異なる多数のダイポールアンテナの集合体と等価であって、それにより、帯域幅が拡大する。受信アンテナ14の構造も、実質上これと同一である。
【0021】
図6は、送受信兼用アンテナとしてマイクロストリップアンテナ26を採用した場合を示す。このマイクロストリップアンテナ26は、支持部材1の長さ方向に対して適当な傾きθを持っており、その結果、指向性が支持部材1の長さ方向に対してある角度をなす。したがって、支持部材1をその軸の廻りに回転させることにより、円錐状の範囲を探索することができる。
【0022】
図7は、送受信兼用ダイポールアンテナ15に加えて、コーン12内に送受信兼用マイクロストリップアンテナ27を設けた例を示す。送受信兼用の同軸ケーブル16は、分配/合成器28を介して両アンテナに接続される。この構造によれば、ダイポールアンテナ15によって、支持部材1の軸と直交する方向を探索するとともに、マイクロストリップアンテナ27によって、支持部材1の軸方向を探索することができる。マイクロストリップアンテナ27に、図6に示したように、支持部材1の長さ方向に対して適当な傾きを持たせてもよい。これらの例の他にも、指向性の向きを異にする複数のアンテナを組合せることができる。
【0023】
図8は、送受信兼用アンテナとしてスリーブアンテナ29を採用した場合を示す。これは、支持部材1とアンテナ部2の全体を、細くて可撓性の高いものとすることができる。
【0024】
前述した各例において、円管10の代りに角管を用いることもできる。円管であれ、角管であれ、なるべくは、全体が弾力に富み、可撓性の大きいものが好ましいが、部分的に可撓性を持たせたり、可撓性を全く欠くものでも、目的・用途によっては十分である。管の中間部の1箇所又は複数箇所を、ゴムなどの特に可撓性が大きい材料の管で継ぐ構造にしたり、不連続な屈曲角度が取れるジョイント構造又は関節構造にするのも有効である。
【0025】
図9は、円管10の関節構造の一例を示す。(a)は全体を示し、(b)は1個のピースを部分的断面図で示す。複数の同形のピース30が嵌め合いにより連結されて、円管10を形成する。各ピース30は、その直径よりも若干小径の球状部31を一端に備えるとともに、他方の端部付近に、他のピースの球状部31が嵌まり込みうる空洞部32を備える。
【0026】
図10は、支持部材1とアンテナ部2の更に他の例を示す。この例では、導波管33そのものが支持部材1を兼ねており、その後端には、サーキュレータ34を介して、送信用同軸ケーブル3と受信用同軸ケーブル4が接続される。導波管33の先端は斜めにカットされて、その切り口は、スリット部35を有する壁で塞がれている。スリット部35には、適当な形状、寸法及び個数のスリットが空けられていて、これが送受信兼用アンテナとして機能する。スリット部35の面が導波管33の軸方向に対して斜めになっていることにより、指向性が導波管の軸方向に対してある角度を持つので、図6の構造の場合と同様に、導波管をその軸の周りに回転させて、広い範囲を探査することができる。図示されてはいないが、導波管の中間部の1箇所又は数箇所に蛇腹部を設けて、そこで曲げられるようにしてもよい。
【0027】
次に送受信回路を説明する。図11は、スーパーヘテロダイン方式の送信器と受信器の回路構造の一例を、ブロック図で示す。送信器40において、高周波発生器41の出力は、分配/合成器42、増幅器43、ミクサ44、増幅器45、分配/合成器46及び増幅器47をこの順で経て、送信用同軸ケーブル3に供給される。一方、受信器50において、受信用同軸ケーブル4上の信号は、増幅器51、減算器52、増幅器53、ミクサ54及び増幅器55をこの順で経て、検波器56に供給され、位相が90度異なる1対の検波出力E1及びE2に変換される。送信器内のミクサ44と受信器内のミクサ54には、局部発振器60の出力も供給される。送信器内の分配/合成器46の分岐出力epは、不要反射波相殺信号発生器61に供給され、この発生器61の出力eqは、受信器内の減算器52に供給される。送信器内の分配/合成器42の分岐出力ecは、検波器56に供給される。
【0028】
図12は、検波器56の内部構成を示す。増幅器55からの信号erは2分されて、一方は乗算器M1561に被乗数信号として供給され、他方は乗算器M2562に被乗数信号として供給される。また、送信器内の分配/合成器42の分岐出力ecも2分されて、一方はそのまま乗算器M1に乗数信号として供給され、他方は90度移相器563を経て乗算器M2に乗数信号esとして供給される。乗算器M1及びM2の出力は、それぞれ低域フィルタ564及び565を通って、検波出力E1及びE2となる。
【0029】
図13は、不要反射波相殺信号発生器61の内部構成を示す。送信器内の分配/合成器46の分岐出力epは、可変移相器611と可変減衰器612によりそれぞれ位相と振幅が調節されて、不要反射波相殺信号eqとなる。
【0030】
ここで、図11ないし13に示された回路、特に受信器の動作を説明する。一般に、送信信号eTと受信信号eRは、下記の式で表わすことができる。
eT=aT cosω0t (1)
eR=aR cosω0(t−τ) (2)
aT、aR:定数
ω0:角周波数=2πf0
f0は例えば1200MHz
t:時間
τ=2R/V
R:反射体までの距離
V:電波の速度
【0031】
説明を簡明にするため、減算器52は無いと仮定すると、検波器56に入力される受信信号erは、次式で表わすことができる。
er=ar cosω(t−τ) (3)
ω:周波数変換後の中間角周波数=2πf
fは例えば10MHz
他方、分配/合成器42により分岐された送信信号の一部ecは、次式で表わすことができる。
ec=ac cosωt (4)
【0032】
乗算器M1によりecとerを乗算すると、
また、乗算器M2により、ecを90度移相した信号es、すなわちac sinωtとerを乗算すると、
es×er=(1/2)am{sinω(2t−τ)+sinωτ} (6)
【0033】
(5)式及び(6)式において、右辺を展開したときの第1項は、放射電波の2倍の周波数を持つが、同第2項におけるωτは、反射体が静止物体の場合は一定であり、運動体の場合でも、その変化の周波数は第1項に比して極めて低い。したがって、これら乗算器の出力をそれぞれ低域フィルタ564及び565を通すと、(5)式及び(6)式の右辺第1項に対応する成分が除去されて、検波出力E1及びE2が得られる。すなわち、
E1=(1/2)am cosωτ (7)
E2=(1/2)am sinωτ (8)
【0034】
以上の説明は、任意の一つの反射波についてのものであり、したがって、探知対象である運動体、例えば生体からの反射波の位相(電波が往復に要する時間)をτoとし、それ以外の障害物、すなわち静止物からの反射波の位相をτnで代表すれば、検波出力E1及びE2は次のようになるはずである。
E1=(1/2)am cosωτo+(1/2)am' cosωτn (9)
E2=(1/2)am sinωτo+(1/2)am' sinωτn (10)
【0035】
上掲2式の右辺第2項は、探知対象とは無関係な、いわばノイズである。ところが、通常、am'はamよりも著しく大きいため、このままでは、第1項、すなわち探知対象に対応する所望の信号がこのノイズの中に埋もれてしまい、十分な感度が得られない。
【0036】
そこで、減算器52及び不要反射波相殺信号発生器61(図13)が設けられる。分配/合成器46の分岐出力epの位相と振幅を、可変移相器611と可変減衰器612により、増幅器51からの受信信号の主要成分のそれらととほぼ等しくなるように調整し、それを減算器52に供給して、増幅器51からの受信信号から差し引く。実際には、減算器52の出力をレベルメータなどで監視しながら、それが最小となるように、可変移相器611と可変減衰器612を調節すればよい。これにより、(9)式と(10)式の右辺第2項の振幅を、同第1項に対する後述の検知処理に支障がない程度に、小さくすることができる。
【0037】
ところで、探知対象である運動体とアンテナの間の距離は、運動体の動き、例えば、生体の呼吸、心拍、身体各部の動きなどに応じて、僅かであるが変動し、それに起因して、対象物からの反射波の位相τoが変動する。したがって、(9)式及び/又は(10)式の変化分を調べれば、探知対象である運動体を検知することができる。
【0038】
さて、探知対象までの距離の平均値をRoで表わし、変動分をrで表わせば、
ωτo=ω・2(Ro+r)/V=(2ω/V)Ro+(2ω/V)r
ここで、2ω/VとRoは一定であるから、(2ω/V)Ro=A、2ω/V=Bと置けば、(9)式と(10)式は次のように書き替えられる。ただし、前述のようにして低減された不要反射波信号の残渣をΔE1とΔE2で表わす。
E1=(1/2)am cos(A+Br)+ΔE1
E2=(1/2)am sin(A+Br)+ΔE2
【0039】
しかるに、Roは数m程度であるのに対して、rはせいぜい数cm程度であるから、|A|≫|Br|であり、したがって、次の近似式が成り立つ。
E1≒(1/2)am{cosA−Br sinA}+ΔE1 (11)
E2≒(1/2)am{sinA+Br cosA}+ΔE2 (12)
【0040】
これら2式の右辺を展開したときの第1項と第3項は一定、すなわち直流成分であから、高域フィルタによって除去することができ、それにより、第2項が示す反射波信号の変化分、すなわち探知対象である運動体を、検知することができる。
【0041】
図14は、検波出力E1及びE2から運動体を検知するための回路の一例を示すものである。高域フィルタ70及び71は、検波出力E1及びE2からそれぞれ直流成分を除去し、その結果、(11)式及び(12)式の右辺第2項に対応する信号のみが、増幅器72及び73で増幅される。これらで増幅された信号は、それぞれ加算器74及び75で加えられたバイアス電圧EB1及びEB2と共に、電圧制御型の可変周波発振器76及び77を制御し、これらの発振器の出力は、ヘッドホン8(図1)で聴取されて、その周波数変化により、対象物の動きが検知される。
【0042】
(11)式と(12)式の右辺第2項は、r、すなわち探知対象の距離の変動分に比例しているが、その周波数は通常非常に低い。例えば、心拍は1ヘルツ前後であり、呼吸は0.4ヘルツ前後である。そこで、バイアス電圧EB1及びEB2によって、可変周波発振器76及び77の発振周波数が、聴取し易い周波数、例えば800ヘルツ付近を中心として、変動するように調整する。
【0043】
なお、90度位相が異なる検波出力E1及びE2を発生させる理由は、次のとおりである。すなわち、変化量rの係数であるsinAとcosAにおいて、Aすなわち(2ω/V)Roがπの整数倍に近い時には、sinA≒0となるので、E1による検知は不可能になるが、|cosA|≒1となるので、E2による検知の感度は最大となり、また、Aがπ/2の整数倍に近いときには、cosA≒0となるので、E2による検知は不可能となるが、|sinA|≒1となるので、E1による検知の感度は最大となる。したがって、Aの値の如何にかかわらず、検出不能という事態を避けることができるのである。
【0044】
図15は、検知回路の他の例を示す。図14で用いられているものと同じ符号は、同等の回路を表わす。この例では、増幅器72及び73の出力は、それぞれA/D変換器78及び79でディジタル信号に変換されてから、算術演算回路80に供給されて、式(11)及び(12)の右辺第2項(変化分)の2乗の和が算出され、その結果を高速フーリエ変換器81がスペクトル解析して、得られたパワースペクトルが表示装置82に表示される。
【0045】
変形として、算術演算回路81の出力値を再びアナログ信号に変換し、それを用いて、波形図表示、レベルメータ表示などを行なうか、あるいは、受話器に接続された可変周波発振器を制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による探知装置の一例の全体の外観を示す図。
【図2】支持部材とアンテナ部の一例の詳細を示す図。
【図3】支持部材とアンテナ部の他の例の詳細を示す図。
【図4】図2に示した構造の変形を示す図。
【図5】アンテナ部の具体的な一例を示す図。
【図6】アンテナ部の具体的な他の例を示す図。
【図7】アンテナ部の具体的な他の例を示す図。
【図8】アンテナ部の具体的な更に他の例を示す図。
【図9】支持部材の関節構造の一例を示す図。
【図10】導波管が支持部材を兼ねる構造の一例を示す図。
【図11】送受信回路の一例を示すブロック図。
【図12】図11に示された回路中の検波器の一例のブロック図
【図13】図11に示された回路中の不要反射波相殺信号発生器の一例のブロック図
【図14】検波出力から運動体を検知するための回路の一例のブロック図。
【図15】検波出力から運動体を検知するための回路の他の例のブロック図。
【符号の説明】
1…アンテナ支持部材 2…アンテナ部 5…送信機筐体 6…受信機筐体
8…運動体検知出力手段の一例としてのヘッドホン 13…送信アンテナ 14受信アンテナ 15…送受信兼用アンテナ 26、27…マイクロストリップアンテナ 29…スリーブアンテナ 33…導波管 35…アンテナとしてのスリット部 40…送信器 50…受信器 52…減算器 56…検波器 561、562…乗算器 61…不要反射波相殺信号発生器 611…可変移相器 612…可変減衰器
Claims (9)
- 所定周波数の電波を放射して反射波の特性から運動物体を探知する装置であって、前記電波を放射するための送信アンテナと前記反射波を受信するための受信アンテナとが竿状の支持部材の先端部に設けられ、前記支持部材の長さ方向に垂直な方向における前記アンテナと支持部材の全体としての最大寸法が15cm以下であり、
前記受信アンテナに接続される受信機の受信回路は、送信信号の一部を受けてその位相と振幅を調整する調整回路と、前記調整回路の出力を受信信号から減算して受信信号中の静止物体からの反射波に対応する信号を抑制する相殺回路とを有することを特徴とする運動物体探知装置。 - 請求項1記載の装置において、前記受信回路は、前記相殺回路の出力を送信信号の基準信号で位相検波する検波回路と、前記相殺回路の出力を前記基準信号と90度位相が異なる信号で位相検波する検波回路とを有することを特徴とする運動物体探知装置。
- 請求項1または2記載の装置において、前記支持部材はその少なくとも一部が可撓性を有することを特徴とする運動物体探知装置。
- 請求項1または2記載の装置において、前記支持部材は少なくとも1箇所に屈曲可能な部分を有することを特徴とする運動物体探知装置。
- 請求項1ないし4いずれか記載の装置において、前記アンテナと支持部材の全体の長さが50cm以上であることを特徴とする運動物体探知装置。
- 請求項1ないし5いずれか記載の装置において、前記送信アンテナ及び受信アンテナの代りに送受信兼用アンテナが設けられていることを特徴とする運動物体探知装置。
- 請求項1ないし6いずれか記載の装置において、前記アンテナは、指向性の向きを異にする複数のアンテナの組合せからなることを特徴とする運動物体探知装置。
- 請求項1ないし7いずれか記載の装置において、送信器の少なくとも送出端側部分及び受信器の少なくとも受信端側部分の少なくとも一方が前記支持部材の内部に設けられていることを特徴とする運動物体探知装置。
- 請求項8記載の装置において、前記支持部材はそれ自体が導波管として機能することを特徴とする運動物体探知装置。
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