JP3700640B2 - 内燃機関の蒸発燃料処理装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の蒸発燃料処理装置に係り、特に、キャニスタに吸着されたベーパを吸気通路にパージすることで処理する蒸発燃料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平7−243339号公報に開示されるように、燃料タンクで発生するベーパが大気に放出されるのを防止するための蒸発燃料処理装置が知られている。従来の蒸発燃料処理装置は、燃料タンク内で発生したベーパを一時的に吸着するキャニスタを備えている。キャニスタは、パージ制御弁を介して吸気通路のスロットル弁下流に連通している。また、キャニスタには、大気を取り込むための大気孔が設けられている。
【0003】
パージ制御弁は、内燃機関の運転中に適当な開度に制御される。内燃機関の運転中にパージ制御弁が開弁されると、吸気通路からキャニスタへ吸気負圧が導かれ、その結果、キャニスタに吸着されているベーパが空気と共に吸気通路にパージされる。このように、従来の蒸発燃料処理装置によれば、燃料タンク内で発生するベーパを、大気に放出させることなく処理することができる。
【0004】
従来の蒸発燃料処理装置において、スロットル弁の上流にはエアフロメータが配置されている。エアフロメータによれば、吸気通路に流入する空気の量を測定することができる。従来の装置においてキャニスタから吸気通路へベーパがパージされている間は、エアフロメータにより検出される空気量(「基本吸入空気量」と称す)と、キャニスタから吸気通路にパージされる空気の量(「パージ空気量」とが内燃機関に吸入される。従って、この状態で高精度な空燃比制御を実現するためには、基本吸入空気量とパージ空気量との和を精度良く検出する必要がある。
【0005】
ところで、パージ空気量の算出手法は、従来知られていなかった。一方、パージガス流量(パージ空気量とベーパ量との和)については、パージ制御弁の特性や開度に基づく算出手法が従来より公知であった。そこで、上記従来の蒸発燃料処理装置は、パージガス流量をパージ空気量と見なしたうえで、基本吸入空気量とパージガス流量との和を算出し、その算出値に基づいて空燃比制御を行うこととしている。
【0006】
パージガス流量は、ベーパ量が十分に少量であればパージ空気量とほぼ等しい値となる。また、基本吸入空気量に対してパージ空気量が十分に少量であれば、パージ空気量にある程度の誤差が重畳していても、基本吸入空気量とパージ空気量との和を所望の精度で求めることが可能である。このため、従来の蒸発燃料処理装置は、パージガス中のベーパ濃度が十分に低いこと、或いは、基本吸入空気量に対してパージ空気量が十分に少量であることが保証された環境下では、高精度な空燃比制御を実現することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
内燃機関の運転中、例えば燃料カットの実行中は、キャニスタから吸気通路へのベーパのパージがカットされる。この際、燃料タンク内部で新たに発生したベーパの流入に伴って、キャニスタ内のベーパ吸着量は増加する。このような状況下で、キャニスタがフルにベーパを吸着した状態、つまり、それ以上新たなベーパを吸着できない状態となるのを避けるうえでは、パージの実行中に、多量のベーパをパージすることが有効である。このため、蒸発燃料処理装置には、多量のベーパを短時間でパージする能力、すなわち、高いパージ能力が要求される。
【0008】
しかしながら、上述した従来の蒸発燃料処理装置では、パージされるベーパ量が無視され、パージガス流量がパージ空気量と見なされることから、基本吸入空気量に対するパージ空気量の割合が高い場合に、空燃比制御の精度を良好に維持することが困難となる。このように、従来の蒸発燃料処理装置は、ベーパ量とパージ空気量とが独立に検出できないために、高い空燃比制御精度と、高いパージ能力とが両立できないという問題を有していた。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、パージされるベーパ量とパージ空気量とを互いに他方から分離して検出することのできる内燃機関の蒸発燃料処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、
キャニスタに吸着したベーパを吸気通路のスロットル弁下流にパージするパージ機構と、
前記スロットル弁の上流で吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段と、
前記スロットル弁の下流の吸気圧力を検出する吸気圧検出手段と、
前記スロットル弁の下流における酸素分圧特性値を検出する酸素分圧検出手段と、
前記スロットル弁の下流に燃料を含まない空気が流れた場合に酸素が占める分圧の特性値を、基準酸素分圧特性値として検出する基準酸素分圧検出手段と、
前記基準酸素分圧特性値と前記酸素分圧特性値との差に基づいて、前記スロットル弁の下流におけるベーパ分圧を求めるベーパ分圧取得手段と、
前記吸気通路にパージされるパージガス流量を検出するパージガス流量検出手段と、
前記ベーパ分圧と前記吸気圧力との比、前記吸入空気量、および前記パージガス流量に基づいて、前記吸気通路にパージされるベーパ量を算出するベーパ量算出手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、前記パージガス流量と、前記ベーパ量とに基づいて、前記吸気通路にパージされるパージ空気量を算出するパージ空気量算出手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、前記ベーパ量算出手段は、前記吸気通路にパージされるベーパ、前記吸入通路にパージされるパージ空気、および前記スロットル弁上流に吸入される吸入空気のそれぞれに関する気体の状態方程式を利用した演算式に基づいて、前記ベーパ量を算出することを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、前記ベーパ分圧取得手段は、前記基準酸素分圧特性値と前記酸素分圧特性値との差と、1モルのベーパが燃焼する際に消費する酸素のモル数との比に基づいて前記ベーパ分圧を求めることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、
実現すべき目標空燃比を取得する目標空燃比取得手段と、
前記吸入空気量に対して前記目標空燃比を実現するための基本噴射量を算出する基本噴射量算出手段と、
前記パージ空気量と前記目標空燃比との比に基づいて、前記パージ空気量に対応して噴射量に加算すべきパージ空気対応補正量を算出するパージ空気対応補正量算出手段と、
前記基本噴射量に、前記パージ空気対応補正量に基づく増量補正と、前記ベーパ量に基づく減量補正とを施すことにより噴射量を算出する噴射量算出手段と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、前記吸入空気量と、前記パージ空気量とを加算することで、補正空気量を算出する補正空気量算出手段を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、
内燃機関の要求される目標出力を算出する目標出力算出手段と、
前記目標出力を達成するために必要とされる要求空気量を算出する要求空気量算出手段と、
前記要求空気量から前記パージ空気量を減じた吸入空気量を実現するためのスロットル開度を算出するスロットル開度算出手段と、
を備えることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0018】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の構成を説明するための図を示す。図1に示すように、本実施形態のシステムは、キャニスタ10を備えている。キャニスタ10には、ベーパ通路12を介して図示しない燃料タンクが接続されている。キャニスタ10は、燃料タンクの内部で発生し、ベーパ通路12を通って流入してくる蒸発燃料(ベーパ)を吸着保持することができる。
【0019】
キャニスタ10には、大気導入孔14が設けられていると共に、パージ通路16が連通している。パージ通路16は、その他端において内燃機関の吸気通路18と連通している。以下、パージ通路16と吸気通路18の連通箇所をパージポート20と称す。
【0020】
パージ通路16の途中には、パージVSV(Vacuum Switching Valve)22が配置されている。パージVSV22は、デューティ駆動されることにより任意のデューティ比で開閉し、その結果、実質的に任意の開度を実現する制御弁である。
【0021】
吸気通路18には、パージポート20の上流側にスロットル弁24が配設されている。スロットル弁24の更に上流には、エアフロメータ25、およびエアフィルタ26が配設されている。エアフロメータ25は、スロットル弁24の上流において、吸気通路18を流れる吸入空気量GAを検出するためのセンサである。
【0022】
吸気通路18の、パージポート20の下流には、サージタンク27が設けられている。サージタンク27には、吸気酸素濃度センサ28と吸気圧センサ30が組み付けられている。吸気圧センサ30は、吸気圧量PMに応じた出力を発するセンサである。一方、吸気酸素濃度センサ28は、吸気ガス中の酸素分圧PO2に相当する出力を発するセンサである。すなわち、吸気酸素濃度センサ28は、センサ素子面に存在する酸素分子の数(密度)に応じた出力を発する。吸気ガス中にベーパが存在する場合、センサ素子面でベーパと酸素が反応し、その近傍の酸素分子数(密度)が低下する。その結果、吸気酸素濃度センサ28の出力は、吸気ガス中の酸素分圧PO2に応じた値となる。
【0023】
吸気通路18は、サージタンク27の更に下流において内燃機関32の吸気ポート34に連通している。吸気ポート34には、内燃機関34に対して燃料を噴射する燃料噴射弁36が配置されている。
【0024】
本実施形態のシステムは、図1に示すように、ECU(Electronic Control Unit)40を備えている。ECU40は、パージVSV22や燃料噴射弁36の動作を制御するためのユニットである。上述したエアフロメータ25の出力、吸気酸素濃度センサ28の出力、および吸気圧センサ30の出力は、何れもECU40に供給されている。
【0025】
図1に示すシステムにおいて、キャニスタ10は、上記の如く燃料タンク内で発生するベーパを吸着保持することができる。ECU40は、内燃機関32の運転中に、所定のパージ条件が成立すると、パージVSV22を適当にデューティ駆動する。パージVSV22が開弁されると、キャニスタ10にはパージ通路16を介して吸気負圧が導入される。その結果、キャニスタ10の大気口14から空気が吸入され、キャニスタ10に吸着されているベーパが空気と共にパージ通路16を通って吸気通路18へパージされる。本実施形態のシステムによれば、このようにして、キャニスタ10に吸着されているベーパを大気中に放出させることなく処理することができる。
【0026】
本実施形態のシステムは、キャニスタ10から吸気通路18にベーパがパージされている間、上述した各種センサの出力に基づいて、パージポート20から吸気通路18にパージされるベーパ量gvおよびパージ空気量gpaを算出することができる。尚、これらの量gv、gpaの単位は、何れも質量流量である。
【0027】
図2は、上記の機能を実現するためにECU40が実行するパージ空気量算出ルーチンのフローチャートである。
図2に示すルーチンでは、先ず、エアフロメータ25の出力に基づいて吸入空気量ga(質量流量)が検出される(ステップ100)。
【0028】
次に、吸気圧センサ30の出力に基づいて、吸気圧力PMが検出される(ステップ102)。
【0029】
次に、吸気酸素濃度センサ28の出力に基づいて、吸気ガス中の酸素分圧PO2、すなわち、吸気圧力PMのうちに酸素が占める分圧PO2が検出される(ステップ104)。
【0030】
次いで、基準酸素分圧PO2100%が算出される(ステップ106)。
基準酸素分圧PO2100%は、吸気ガスがベーパを含まない純粋な空気で構成されている場合に、吸気圧量PMに対して発生すべき酸素分圧PO2である。ECU40は、大気中における酸素の割合(例えば、0.21)を記憶しており、本ステップ106では、その割合に、吸気圧力PM(例えば、100kpa)を乗算することで基準酸素分圧PO2100%(例えば、21kpa)を算出する。
【0031】
図2に示すルーチンでは、次に、他のルーチンで算出されたパージ率epgrが読み込まれる(ステップ108)。
【0032】
パージ率epgrは、吸入空気量gaの体積流量換算値に対するパージガス流量qpg(体積流量)の比を%表示した値であり、以下のように定義される値である。
epgr={qpg/(ga/ρair)×100 ・・・(1)
但し、ρairは、空気の密度である。また、パージガス流量qpgは、パージポート20からパージされるパージガスの総体積流量である。
【0033】
上記(1)式に含まれるパージガス流量qpgは、パージVSV22の全開流量qpgmax(体積流量)と、パージVSV22の駆動デューティ比Duty(%)とに基づいて、他のルーチンにおいて、次式の如く算出される。
パージガス流量qpg=全開流量qpgmax×Duty/100 ・・・(2)
但し、上記(2)式に含まれる全開流量qpgmaxは、パージVSV22が全開状態とされた時に生ずるパージガスの体積流量であり、内燃機関32の負荷に対して、ほぼ一義的に決定される。本実施形態において、ECU40には、内燃機関32の負荷と全開流量qpgmaxとの関係を定めたマップが記憶されており、全開流量qpgmaxは、そのマップを参照することで算出される。
【0034】
ECU40は、上記の手法で算出した全開流量qpgmaxを駆動デューティ比Dutyと共に上記(2)式に代入することでパージガス流量qpgを算出する。そして、ECU40は、その結果得られたパージガス流量qpgを、エアフロメータ25により検出された吸入空気量gaと共に上記(1)式に代入することで、パージ率epgrを算出する。
【0035】
図2に示すルーチンでは、次に、以下に示す演算式に従って、吸気通路18にパージされるベーパ量gvが算出される(ステップ110)。
【0036】
【数1】
Figure 0003700640
【0037】
但し、上記(3)式中、MHC、Mair、k、およびαは、それぞれ以下に示す適合値である。これらの適合値は、予めECU40に記憶されている。
MHC:ベーパ(燃料)の平均分子数
Mair:空気の平均分子数
kおよびα:燃料の平均的な分子構造kCHαを特定する係数
【0038】
上記ステップ110の処理によれば、ステップ100〜108の処理により取得した吸入空気量ga、吸気圧力PM、酸素分圧PO2、基準酸素分圧PO2100%、およびパージ率epgrに基づいて、パージされるベーパ量gvを算出することができる。
【0039】
次に、図2に示すルーチンでは、次式に従ってパージ空気量gpaが算出される(ステップ112)。
【0040】
【数2】
Figure 0003700640
【0041】
但し、上記(4)式中、ρair、およびρは、それぞれ以下に示す既定値である。
ρair:空気の平均密度
ρ:ベーパの平均密度
【0042】
上記ステップ112の処理によれば、ステップ100〜108で取得した吸入空気量ga、吸気圧力PM、酸素分圧PO2、基準酸素分圧PO2100%、およびパージ率epgrに基づいて、パージ空気量gpaを算出することができる。
【0043】
以下、上記(3)式および(4)式を導出する過程について説明する。
圧力P、体積V、分子量Mの気体については、以下に示す状態方程式が成立する。但し、mは体積V中に含まれる気体の質量、Rは定数、Tは気体の絶対温度である。
Figure 0003700640
【0044】
上記(5)式より、体積V中の気体の質量mは、次式のように表すことができる。
m=MPV/RT ・・・(6)
【0045】
上記(6)式を、ベーパについて当てはめると、体積V中のベーパ量gv(質量)は、次式のように表すことができる。但し、Pは、体積V中のベーパ分圧である。
gv=(MHC× P×V)/RT ・・・(7)
【0046】
ベーパ分圧Pは、基準酸素分圧PO2100%と、酸素分圧PO2との差(PO2100%−PO2)を用いて表すことができる。すなわち、(PO2100%−PO2)は、吸気酸素濃度センサ28のセンサ素子表面で、ベーパと反応して消費された酸素分子の数(モル数)に対応している。ベーパの平均的な分子構造がkCHαで表されるとすると、ベーパと酸素の反応式は、次式の如く表すことができる。
kCHα+k(1+α/4)O→kCO+k(α/2)HO ・・・(8)
【0047】
上記(8)式より、1モルのベーパにより消費される酸素のモル数は、k(1+α/4)モルであることが判る。還元すると、1モルの酸素を減少させるためのベーパのモル数は、1/{k(1+α/4)}モルであることが判る。従って、センサ素子の表面で酸素とベーパが反応して酸素分圧が(PO2100%−PO2)だけ減少したとすれば、その際に消費されたベーパの量は、圧力換算で(PO2100%−PO2)/{k(1+α/4)}と表すことができる。つまり、吸気ガス中のベーパ分圧Pは、基準酸素分圧PO2100%と、酸素分圧PO2との差(PO2100%−PO2)を用いて、次式の如く表すことができる。
【0048】
【数3】
Figure 0003700640
【0049】
上記(7)式および(9)式より、ベーパ分圧Pは、次式のように表すことができる。
【0050】
【数4】
Figure 0003700640
【0051】
気体の状態方程式から導かれる上記(6)式を、吸入空気について当てはめると、体積V中の吸入空気量ga(質量)は、次式のように表すことができる。但し、Pairは、体積V中の吸入空気の分圧である。
ga=(Mair× Pair×V)/RT ・・・(11)
【0052】
上記(11)式より、V/RTは、次式のように表すことができる。
V/RT=ga/(Mair× Pair) ・・・(12)
【0053】
上記(10)式に、上記(12)式の関係を当てはめると、ベーパ量gvは、次式のように表すことができる。
【0054】
【数5】
Figure 0003700640
【0055】
ところで、吸気圧力PMは、吸入空気の分圧Pairと、パージ空気の分圧Ppaと、ベーパの分圧Pとの和である。この関係は、次式の通り表すことができる。
PM=Pair+Ppa+P ・・・(14)
【0056】
体積Vの吸気ガス中における吸入空気のモル数をnair、パージ空気のモル数をnpa、ベーパのモル数をnvとすると、上記(14)式は、次式の通り書き直すことができる。
PM=(nair+npa+nv)×RT/V ・・・(15)
【0057】
本実施形態において、パージ率epgrが上記(1)式で定義されることは既述の通りである。この(1)式は、パージ空気量gpa(質量流量)およびベーパ量gv(質量流量)、並びにベーパの平均密度ρを用いて、更には、パージ空気のモル数npa、ベーパのモル数nv、および吸入空気のモル数nairを用いて次式の通り表すことができる。
【0058】
【数6】
Figure 0003700640
【0059】
上記(16)式より、パージ空気のモル数npaとベーパのモル数nvとの和npa+nvは、次式の通り表すことができる。
npa+nv=nair×epgr/100 ・・・(17)
【0060】
上記(17)式の関係を上記(15)式に代入すると、吸気圧力PMは、次式の通り表すことができる。
【0061】
【数7】
Figure 0003700640
【0062】
上記(18)式より、吸入空気の分圧Pairは、次式の通り表すことができる。
【0063】
【数8】
Figure 0003700640
【0064】
上記(19)式の関係を適用すると、上記(13)式で表されるベーパ量gvは、上記(3)式のように書き換えることができる。このように、上記(3)式は、ベーパ、パージ空気、および吸入空気のそれぞれに関する気体の状態方程式等から導かれた演算式である。従って、図2に示す上記ステップ110の処理によれば、上記(3)式を用いて、ベーパ量gvを精度良く算出することができる。
【0065】
パージ率epgrの定義に相当する上記(16)式を変形すると、パージ空気量gpaは、次式の通り表すことができる。
【0066】
【数9】
Figure 0003700640
【0067】
更に、上記(20)式に、上記(3)式で表されるベーパ量gvを代入すると、上記(4)式が得られる。このように、上記(4)式は、ベーパ、パージ空気、および吸入空気のそれぞれに関する気体の状態方程式等から導かれたパージ空気量gpaの演算式である。従って、図2に示す上記ステップ112の処理によれば、上記(4)式を用いて、パージ空気量gpaを精度良く算出することができる。
【0068】
以上説明した通り、本実施形態によれば、吸気通路にパージされるベーパ量gvおよびパージ空気量gpaのそれぞれを、精度良く算出することができる。従って、本実施形態の蒸発燃料処理装置によれば、ベーパ量gvやパージ空気量gpaを、近似値としてではなく、現実の値として各種の制御に提供することができる。
【0069】
ところで、燃料の平均的な分子構造がkCHαであり、空気中の窒素と酸素の比率が8:2であるとすると、ベーパの平均分子量MHC、空気の平均分子量Mair、ベーパの密度ρおよび空気の密度ρairは、それぞれ以下のように表すことができる。
MHC:k(12+α)
Mair:MN2×0.8+MO2×0.2=28×0.8+32×0.2=28.8
ρ:k(12+α)/22.4
ρair:28.8/22.4
但し、22.4は、基準温度および基準圧力における1モル当たりの気体体積である。
【0070】
ベーパ量gvの演算式である上記(3)式、およびパージ空気量gpaの演算式である上記(4)式は、上記のMHC等を用いて、それぞれ以下に示す(21)式または(22)式のように書き換えることができる。従って、本実施形態において、上記ステップ110および112では、以下に示す(21)式および(22)式に従ってベーパ量gvおよびパージ空気量gpaを算出することとしてもよい。
【0071】
【数10】
Figure 0003700640
【0072】
また、上述した実施の形態1においては、上記(9)式に示す通り、1モルのベーパにより消費される酸素のモル数を考慮してベーパ分圧Pを算出することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、制御の簡単化が要求される場合には、基準酸素分圧PO2100%と酸素分圧PO2との差(PO2100%−PO2)を、そのままベーパ分圧Pと扱うこととしてもよい。
【0073】
また、上述した実施の形態1においては、吸気酸素濃度センサ28を用いてベーパ量gvやパージ空気量gaを算出することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、吸気酸素濃度センサ28に代えて、吸気ガス中のベーパ濃度を検出するHCセンサを用い、その検出値に基づいてベーパ量gvやパージ空気量gaを算出することとしていもよい。
【0074】
尚、上述した実施の形態1においては、キャニスタ10、パージ通路20、パージVSV22などが前記請求項1記載の「パージ機構」に、エアフロメータ25が前記請求項1記載の「吸入空気量検出手段」に、吸気圧センサ30が前記請求項1記載の「吸気圧検出手段」に、吸気酸素濃度センサ28が前記請求項1記載の「酸素分圧検出手段」に、それぞれ相当している。また、上述した実施の形態1においては、ECU40が、上記ステップ106の処理を実行することにより前記請求項1記載の「基準酸素分圧検出手段」が、上記ステップ108において上記(9)式の演算を行うことにより前記請求項1記載の「ベーパ分圧取得手段」が、上記ステップ108においてパージガス流量qpgを算出することにより前記請求項1記載の「パージガス流量検出手段」が、上記ステップ110の処理を実行することにより前記請求項1記載の「ベーパ量算出手段」が、それぞれ実現されている。
【0075】
また、上述した実施の形態1においては、ECU40が、上記ステップ112の処理を実行することにより前記請求項2記載の「パージ空気量算出手段」が実現されている。
【0076】
実施の形態2.
次に、図3を参照して本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態の蒸発燃料処理装置は、図1に示すシステム構成において、ECU40に、上記図2に示すルーチンに代えて図3に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。本実施形態の蒸発燃料処理装置は、パージの実行中に精度良く所望の空燃比を実現するため、パージ空気の影響を排除するための補正係数と、ベーパの影響を排除するための補正係数とを導入して燃料噴射量の制御を行う点に特徴を有している。
【0077】
図3は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU40が実行する燃料噴射量算出ルーチンのフローチャートである。尚、図3において、上記図2に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0078】
すなわち、図3に示すルーチンでは、ステップ100〜108の処理に次いで、目標空燃比が検出される(ステップ120)。
目標空燃比は、実現すべき空燃比である。例えば、内燃機関32の定常時には、理論空燃比が目標空燃比とされる。
【0079】
次に、エアフロメータ25により検出された現在の吸入空気量gaに対して、目標空燃比を実現するための燃料噴射量が基本噴射量Tpとして算出される(ステップ122)。
【0080】
次に、以下に示す演算式に従って、パージ空気の影響を排除するための係数、すなわち、パージ空気補正係数が算出される(ステップ124)。
【0081】
【数11】
Figure 0003700640
【0082】
次いで、以下に示す演算式に従って、ベーパの影響を排除するための係数、すなわち、ベーパ補正係数が算出される(ステップ126)。
【0083】
【数12】
Figure 0003700640
【0084】
次に、上記ステップ122で算出された基本噴射量Tp、上記ステップ124で算出されたパージ空気補正係数、および上記ステップ126で算出されたベーパ補正係数を、次式に代入することにより、燃料噴射量が算出される(ステップ128)。
噴射量=Tp×(1+パージ空気補正係数+ベーパ補正係数) ・・・(25)
【0085】
上記(25)式により算出される噴射量は、パージの実行中に、精度良く所望の目標空燃比を実現するための噴射量である。つまり、上記(25)式に含まれるパージ空気補正係数、およびベーパ補正係数は、パージの実行中に、精度良く所望の目標空燃比を実現するための補正係数である。以下、それらを演算するための上記(23)式および(24)式の導出過程について説明する。
【0086】
パージ実行中における空燃比は、次式のように表すことができる。
空燃比=(吸入空気量+パージ空気量)/(噴射量+ベーパ量)・・・(26)
【0087】
上記(26)式より、パージの実行中に目標空燃比を実現するための噴射量は次式の通り表すことができる。
【0088】
【数13】
Figure 0003700640
【0089】
上記(27)式は、最終的に上記(25)式と同じ式に変形されている。つまり、本実施形態において、上記(25)式で用いられるパージ空気補正係数およびベーパ補正係数は、(27)式から判るように、それぞれ物理的には以下に示す意味を有している。
パージ空気補正係数=gpa/ga ・・・(28)
ベーパ補正係数=−gv/Tp ・・・(29)
【0090】
上記(28)式に、上記(4)式で表されるパージ空気量gpaを代入すると、上記(23)式で表されるパージ空気補正係数を得ることができる。つまり、本実施形態において、上記ステップ124で用いられるパージ空気補正係数は、上記(28)式の意味を有し、(25)式の形で噴射量に反映された場合に、パージ空気量に応じた増量補正を可能とする係数である。従って、上記ステップ128の処理によれば、パージ空気量gpaが発生している状況下で、目標空燃比を実現するための噴射量を算出することができる。
【0091】
上記(29)式に、上記(3)式で表されるベーパ量gvを代入すると、以下に示す変形処理を経て、上記(24)式で表されるベーパ補正係数を得ることができる。
【0092】
【数14】
Figure 0003700640
【0093】
つまり、本実施形態において、上記ステップ126で用いられるベーパ補正係数は、上記(29)式の意味を有し、(25)式の形で噴射量に反映された場合に、ベーパ量gvに応じた減量補正を可能とする係数である。従って、上記ステップ128の処理によれば、ベーパ量gvがパージされている状況下で、目標空燃比を実現するための噴射量を算出することができる。
【0094】
以上説明した通り、本実施形態のシステムによれば、パージ空気およびベーパがパージされている場合に、それらのパージ量gpaおよびgvに応じた燃料補正を行うことで、精度良く所望の目標空燃比を実現することができる。
【0095】
ところで、本実施形態において、パージ空気量gpaに対応して噴射量に施された補正量は、上記(25)式および上記(28)式より、以下のように表すことができる。
Figure 0003700640
つまり、本実施形態において、パージ空気量の影響を排除するために実行されている補正処理は、実質的に、燃料噴射量に対して、パージ空気量gpaと目標空燃比との比で表される補正量を加算する処理と等価である。このように、本実施形態では、燃料噴射量の算出過程でパージ空気量gpaがそのまま算出されることはないが、実質的には、パージ空気量gpaに基づく噴射量補正が行われている。
【0096】
また、本実施形態において、ベーパ量gvに対応して噴射量に施された補正量は、上記(25)式および上記(29)式より、以下のように表すことができる。
Figure 0003700640
つまり、本実施形態において、ベーパ量の影響を排除するために実行されている補正処理は、実質的に、燃料噴射量からベーパ量gvを減量補正する処理と等価である。このように、本実施形態では、燃料噴射量の算出過程でベーパ量gvがそのまま算出されることはないが、実質的には、ベーパ量gvに基づく噴射量補正が実行されている。
【0097】
ところで、燃料の平均的な分子構造がkCHαであり、空気中の窒素と酸素の比率が8:2であるとすると、上記(23)式および(24)式で表されるパージ空気補正係数およびベーパ補正係数は、それぞれ以下に示す(33)式または(34)式のように書き換えることができる。従って、本実施形態において、上記ステップ124および126では、以下に示す(33)式および(34)式に従ってパージ空気補正係数およびベーパ補正係数を算出することとしてもよい。
【0098】
【数15】
Figure 0003700640
【0099】
尚、上述した実施の形態2においては、ECU40が、上記ステップ120の処理を実行することにより前記請求項5記載の「目標空燃比取得手段」が、上記ステップ122の処理を実行することにより前記請求項5記載の「基本噴射量算出手段」が、上記ステップ124および128の処理を実行することにより前記請求項5記載の「パージ空気対応補正量算出手段」が、上記ステップ126および128の処理を実行することにより前記請求項5記載の「噴射量算出手段」が、それぞれ実現されている。
【0100】
実施の形態3.
次に、図4を参照して本発明の実施の形態3について説明する。
本実施形態の本実施形態の蒸発燃料処理装置は、図1に示すシステム構成において、ECU40に、上記図2に示すルーチンに代えて図4に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0101】
図4は、本実施形態においてECU40が実行する補正空気量算出ルーチンのフローチャートである。図4に示すルーチンでは、ステップ112の処理に次いで、補正空気量ga+gpaの算出が行われる(ステップ130)。
尚、図4に示すルーチンは、本ステップ130の処理が実行される点を除き、図2に示すルーチンと同様である。
【0102】
上記ステップ130では、ステップ100においてエアフロメータ25により検出された吸入空気量gaと、ステップ112において算出されたパージ空気量gpaとを加算することで補正空気量ga+gpaが算出される。この補正空気量ga+gpaは、パージの実行中に内燃機関32に吸入される総空気量を精度良く表す値である。本実施形態において、図4に示すルーチンで算出された補正空気量ga+gpaは、真の吸入空気量として、吸入空気量を基礎データとして実行される様々な制御に提供される。
【0103】
具体的には、補正空気量ga+gpaは、吸入空気量を基礎データとして実行される点火時期制御、可変バルブタイミング制御、或いは、内燃機関32の出力推定値を基礎データとする制御に提供される。補正空気量ga+gpaは、パージ空気が多量にパージされている場合でも、内燃機関32に吸入される真の空気量と精度良く一致している。従って、本実施形態のシステムによれば、パージガスが多量にパージされている状況下であっても、吸入空気量を基礎データとする様々な制御を精度良く実行させることができる。
【0104】
尚、上述した実施の形態3においては、ECU40が、上記ステップ130の処理を実行することにより、前記請求項6記載の「補正空気量算出手段」が実現されている。
【0105】
実施の形態4.
次に、図5乃至図7を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。
本実施形態の蒸発燃料処理装置は、図1に示すシステム構成において、ECU40に、上記図2乃至図4に示す何れかのルーチンと共に、図5に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。但し、図5に示すルーチンが、図3に示すルーチンと組み合わされて実行される場合には、図3に示すルーチン中で、パージ空気量gpaを算出することが必要である。
【0106】
本実施形態のシステムは、パージの実行中に、内燃機関32の出力トルクを精度良く所望値に制御する機能を有している。
図5は、上記の機能を実現するために、本実施形態においてECU40が実行する出力制御ルーチンのフローチャートである。
【0107】
図5に示すルーチンでは、先ず、アクセルペダルの踏み込み量など、目標出力を算出するために必要なパラメータが検出される(ステップ140)。
【0108】
次に、上記ステップ140で検出されたパラメータに基づいて、内燃機関32が発生するべき目標出力が算出される(ステップ142)。
図6は、アクセルペダルの踏み込み量と、目標出力との関係を定めたマップである。ECU40には、図6に示すように、所定のパラメータに基づいて目標出力を算出するためのマップが記憶されている。本ステップ142では、そのマップを参照することで目標出力が算出される。
【0109】
目標出力が算出されると、次に、その目標出力を発生させるための要求空気量が算出される(ステップ144)。
【0110】
図5に示すルーチンでは、次に、図2乃至図4の何れかのルーチンで算出されたパージ空気量gpaが読み込まれる(ステップ146)。
【0111】
次いで、要求空気量からパージ空気量gpaを差し引くことで、ga目標量が算出される(ステップ148)。
本ステップ148の処理によれば、要求空気量を実現するためにスロットル弁24を通過させるべき空気量を、ga目標量として算出することができる。
【0112】
ga目標量が算出されると、最後に、そのga目標量を流通させるためのスロットル開度TAが算出される(ステップ150)。
図7は、スロットル開度TAと、スロットル弁24を通過する空気量との関係を定めたマップである。ECU40は、図7に示すようなマップを記憶しており、本ステップ150では、そのマップを参照して、ga目標量を実現するためのスロットル開度TAが決定される。
【0113】
本実施形態では、上記ステップ150の処理によりスロットル開度TAが決定された後、速やかにそのスロットル開度TAが実現される。その結果、スロットル弁24を通過する空気量がga目標値となり、内燃機関32の出力が、精度良く目標出力に制御される。以上説明した通り、本実施形態のシステムによれば、内燃機関32に吸入される総空気量を精度良く要求空気量とすることができ、その状態を、パージ空気量gpaの多少に関わらず実現することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、パージの実行中に、極めて優れた精度で内燃機関32の出力制御を実行することができる。
【0114】
内燃機関32がハイブリッド車両に搭載される場合は、内燃機関32に対して、駆動出力と共に、バッテリを充電するための出力(発電機を駆動するための出力)が要求されることがある。この場合、内燃機関32の出力は、その出力から発電機の駆動に要する出力を減じた値と、モータの発生する出力との和が運転者の要求出力となるように精度良く制御されなければならない。
【0115】
また、内燃機関32が、CVT(Continuously Variable Transmission)との組み合わせで用いられる場合は、内燃機関32を高効率領域で運転させ続けるために、CVTの変速量と内燃機関32の出力とを精度良く対応させることが要求される。本実施形態のシステムによれば、上記の如く内燃機関32に要求される高精度な出力制御を、パージ空気量gpaの多少に関わらず常に実現させることができる。
【0116】
尚、上述した実施の形態4では、ECU40が、上記ステップ142の処理を実行することにより前記請求項7記載の「目標出力算出手段」が、上記ステップ144の処理を実行することにより前記請求項7記載の「要求空気量算出手段」が、上記ステップ150の処理を実行することにより前記請求項7記載の「スロットル開度算出手段」が、それぞれ実現されている。
【0117】
実施の形態5.
次に、図8および図9を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。本実施形態の蒸発燃料処理装置は、図1に示すシステム構成において、ECU40に、上記図2乃至図4に示す何れかのルーチンと共に、図8に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。但し、図8に示すルーチンが、図3に示すルーチンと組み合わされて実行される場合には、図3に示すルーチン中で、パージ空気量gpaを算出することが必要である。
【0118】
本実施形態のシステムは、上述した実施の形態4のシステムと同様に、パージの実行中に、内燃機関32の出力トルクを精度良く所望値に制御する機能を有している。
図8は、上記の機能を実現するために、本実施形態においてECU40が実行する出力制御ルーチンのフローチャートである。尚、図8において、上記図5に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0119】
図8に示すルーチンでは、ステップ140〜144の処理により目標出力を達成するための要求空気量が算出された後、基本スロットル開度TABが算出される(ステップ160)。
基本スロットル開度TABは、上記ステップ144で算出された要求空気量を通過させるためのスロットル開度である。
【0120】
基本スロットル開度TABが算出されると、ステップ146においてパージ空気量gpaが読み込まれ、次いで、そのパージ空気量gpaに基づいて、スロットル閉じ量が算出される(ステップ162)。
図9は、スロットル閉じ量をパージ空気量gpaとの関係で定めたマップの一例である。ここで、スロットル閉じ量とは、スロットル弁24を通過する吸入空気量gaから、パージ空気量gpaに相当する流量を減量するために、スロットル弁24に課すべき閉じ量である。ECU40には、図9に示すように、パージ空気量gpaとの関係でスロットル閉じ量を定めたマップが記憶されている。本ステップ162では、そのマップを参照して、スロットル閉じ量が算出される。
【0121】
図8に示すルーチンでは、次に、基本スロットル開度TABを、スロットル閉じ量分だけ小さくした値が、実現すべきスロットル開度TAとして算出される(ステップ164)。
本ステップ164の処理によれば、内燃機関32に吸入される総空気量を要求空気量とするスロットル開度TAを算出することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、実施の形態4の場合と同様に、パージの実行中に、極めて優れた精度で内燃機関32の出力制御を実行することができる。従って、本実施形態のシステムは、実施の形態4のシステムと同様に、内燃機関32がハイブリッド車両に搭載される場合や、CVTとの組み合わせで用いられる場合に特に有用である。
【0122】
尚、上述した実施の形態5では、ECU40が、図8に示すステップ142の処理を実行することにより前記請求項7記載の「目標出力算出手段」が、図8に示すステップ144の処理を実行することにより前記請求項7記載の「要求空気量算出手段」が、図8に示すステップ164の処理を実行することにより前記請求項7記載の「スロットル開度算出手段」が、それぞれ実現されている。
【0123】
ところで、上述した実施の形態4および5では、スロットル開度TAを適当に制御することでパージの実行中に、内燃機関32の出力を精度良く制御することとしているが、内燃機関32の出力を制御する手法は、これに限定されるものではない。すなわち、内燃機関32の出力は、例えば、吸入空気量が一定であっても、点火時期を変化させることにより変化させることができる。従って、本実施形態のシステムに点火時期を可変とする機構を搭載したうえで、パージの実行中に、点火時期により内燃機関32の出力を制御することとしてもよい。
【0124】
この場合、目標出力と独立にスロットル開度TAを制御することが可能となるため、例えば、パージ量の増加が望まれる場合に、内燃機関32の出力に影響を及ぼすことなく、スロットル開度TAを閉じて、吸気負圧を増大させ、パージ量を増加させる等の処理が可能となる。従って、内燃機関32の出力制御の手法として点火時期制御を加えると、その制御が総空気量のみで行われる場合に比して、内燃機関32の制御に関する自由度を高めることができる。
【0125】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
請求項1記載の発明によれば、基準酸素分圧特性値と酸素分圧特性値との差に基づいて、ベーパ分圧を求めることができる。そして、ベーパ分圧と吸気圧力との比、スロットル弁上流を流れる吸入空気量、および、キャニスタから吸気通路に流入するパージガス流量に基づいて、パージされるベーパ量を算出することができる。
【0126】
請求項2記載の発明によれば、パージガス流量とベーパ量とに基づいて、パージ空気量を算出することができる。
【0127】
請求項3記載の発明によれば、ベーパ、パージ空気、および吸入空気のそれぞれに関する気体の状態方程式を利用して、容易かつ正確にベーパ量を算出することができる。
【0128】
請求項4記載の発明によれば、基準酸素分圧特性値と酸素分圧特性値との差と、1モルのベーパが燃焼する際に消費する酸素のモル数との比に基づいて、ベーパ分圧を精度良く求めることができる。
【0129】
請求項5記載の発明によれば、パージ空気量と目標空燃比との比に基づいて、パージ空気量に対応して噴射量に加算すべきパージ空気対応補正量を算出することができる。そして、基本噴射量に、そのパージ空気対応補正量に基づく増量補正と、ベーパ量に基づく減量補正とを施すことにより、目標空燃比を実現するための燃料噴射量を精度良く算出することができる。
【0130】
請求項6記載の発明によれば、吸入空気量と、パージ空気量とを加算することで、現実に内燃機関に吸入される空気量に相当する補正空気量を精度良く算出することができる。
【0131】
請求項7記載の発明によれば、ベーパのパージ中に、精度良く目標出力を達成するためのスロットル開度を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の構造を説明するための図である。
【図2】 実施の形態1において実行されるパージ空気量算出ルーチンのフローチャートである。
【図3】 実施の形態2において実行される燃料噴射量算出ルーチンのフローチャートである。
【図4】 実施の形態3において実行される補正空気量算出ルーチンのフローチャートである。
【図5】 実施の形態4において実行される出力制御ルーチンのフローチャートである。
【図6】 内燃機関の目標出力とアクセル踏み込み量との関係を定めたマップの一例である。
【図7】 吸入空気量とスロットル開度との関係を定めたマップの一例である。
【図8】 実施の形態5において実行される出力制御ルーチンのフローチャートである。
【図9】 スロットル閉じ量とパージ空気量との関係を定めたマップの一例である。
【符号の説明】
10 キャニスタ
16 パージ通路
18 吸気通路
25 エアフロメータ
26 サージタンク
28 蒸発燃料濃度センサ
30 吸気圧センサ
40 ECU(Electronic Control Unit)
gv ベーパ量
gpa パージ空気量
ga 吸入空気量
qpg パージガス流量
epgr パージ率
Tp 基本噴射量
MHC ベーパ(燃料)の平均分子数
Mair 空気の平均分子数
kおよびα 燃料の平均的な分子構造kCHαを特定する係数
PO2100% 基準酸素分圧
PO2 酸素分圧
P ベーパ分圧
Pair 吸入空気の分圧
ρair 空気の平均密度
ρ ベーパの平均密度

Claims (7)

  1. キャニスタに吸着したベーパを吸気通路のスロットル弁下流にパージするパージ機構と、
    前記スロットル弁の上流で吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段と、
    前記スロットル弁の下流の吸気圧力を検出する吸気圧検出手段と、
    前記スロットル弁の下流における酸素分圧特性値を検出する酸素分圧検出手段と、
    前記スロットル弁の下流に燃料を含まない空気が流れた場合に酸素が占める分圧の特性値を、基準酸素分圧特性値として検出する基準酸素分圧検出手段と、
    前記基準酸素分圧特性値と前記酸素分圧特性値との差に基づいて、前記スロットル弁の下流におけるベーパ分圧を求めるベーパ分圧取得手段と、
    前記吸気通路にパージされるパージガス流量を検出するパージガス流量検出手段と、
    前記ベーパ分圧と前記吸気圧力との比、前記吸入空気量、および前記パージガス流量に基づいて、前記吸気通路にパージされるベーパ量を算出するベーパ量算出手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  2. 前記パージガス流量と、前記ベーパ量とに基づいて、前記吸気通路にパージされるパージ空気量を算出するパージ空気量算出手段を備えることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  3. 前記ベーパ量算出手段は、前記吸気通路にパージされるベーパ、前記吸入通路にパージされるパージ空気、および前記スロットル弁上流に吸入される吸入空気のそれぞれに関する気体の状態方程式を利用した演算式に基づいて、前記ベーパ量を算出することを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  4. 前記ベーパ分圧取得手段は、前記基準酸素分圧特性値と前記酸素分圧特性値との差と、1モルのベーパが燃焼する際に消費する酸素のモル数との比に基づいて前記ベーパ分圧を求めることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  5. 実現すべき目標空燃比を取得する目標空燃比取得手段と、
    前記吸入空気量に対して前記目標空燃比を実現するための基本噴射量を算出する基本噴射量算出手段と、
    前記パージ空気量と前記目標空燃比との比に基づいて、前記パージ空気量に対応して噴射量に加算すべきパージ空気対応補正量を算出するパージ空気対応補正量算出手段と、
    前記基本噴射量に、前記パージ空気対応補正量に基づく増量補正と、前記ベーパ量に基づく減量補正とを施すことにより噴射量を算出する噴射量算出手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  6. 前記吸入空気量と、前記パージ空気量とを加算することで、補正空気量を算出する補正空気量算出手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  7. 内燃機関の要求される目標出力を算出する目標出力算出手段と、
    前記目標出力を達成するために必要とされる要求空気量を算出する要求空気量算出手段と、
    前記要求空気量から前記パージ空気量を減じた吸入空気量を実現するためのスロットル開度を算出するスロットル開度算出手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
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