JP3697591B2 - 薄膜光触媒化学変換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、薄膜光触媒により水、海水または電解質を含む水溶液からプロトンを発生させ、このプロトンを結合させて水素を生成する、あるいはこのプロトンと二酸化炭素を反応させて化学合性原料を生成する薄膜光触媒化学変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、エネルギー確保と共に地球環境保全の問題解決が望まれている。
まず、長期的に見て将来の化石燃料枯渇の懸念から新しいエネルギー源を追求する必要がある。その場合、燃焼によって環境を汚染する物質(例えば窒素酸化物、硫黄酸化物、炭化水素、一酸化炭素)や地球温暖化を促進する二酸化炭素等を全く放出しないクリーン燃料が好ましい。例えば水素は燃焼によって水しか生成しないので最もクリーンな燃料として注目されている。
【0003】
次に、現在地球温暖化の主原因と思われる炭酸ガスの大気放出の削減が急務となっており、一つの削減方法として炭酸ガスの再資源化が考えられる。これは言わばケミカル・リサイクリングという概念に基づくもので、化石燃料の燃焼や多くの化学反応の結果生成される化学的に極めて安定な炭酸ガスをリサイクルして再び燃料として、あるいは化学合成の原料として再利用できる物質に変換することを目的としている。
【0004】
水素は、現在工業的には水性ガスの変性、天然ガスの変性、石炭のガス化等の熱エネルギーの助成を必要とする方法、あるいは水の電解のように化石燃料の燃焼によって得られる電気エネルギーを必要とする方法によって製造されており、いずれもガス生成法の中では比較的生成価格が高いと言える。また水素を燃料源として幅広く利用するためには、低価格化のほかに設備の簡略化が必要である。
【0005】
一般に物質の化学変換は触媒を利用するものが工業的手段としては多く、化学工業の他に例えば脱硝等の公害対策に普及している。但し、これらに共通して特徴的な点は、かなりの外的熱エネルギーの供給を必要とすること、即ち室温以上の温度において化学反応をを行なう必要がある。現状の水素製造や炭酸ガスの化学変換でも室温以上の温度での反応であり熱エネルギ-の供給が必要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
水素生成や環境保全対策のプロセスには自然界に豊富なエネルギー源や資源を利用する方法がコストの面から、またそのプロセスは二次公害(新たなエネルギー源や資源を造るために発生し、環境に悪影響を及ぼすこと)を出さないものが好ましい。更にシステムの面からみて、広い普及率を考えるならば、より簡素なものが必要となる。
【0007】
一方、究極の地球環境制御法の基本理念としてケミカルリサイクリング、即ち物質の化学的リサイクルが考えられる。従って無用なものあるいは有害なものを外部に放出せず、化学変換を利用して再資源化あるいは有用化することによって小規模または地球規模のグローバルな最適ケミカルバランスを追求することが今後重要な課題となって来ると考えられる。
【0008】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであって、本発明の一つの目的は、エネルギー源としての水素を製造する薄膜光触媒化学変換装置を提供することにある。
【0009】
また本発明のもう一つ目的は、炭酸ガスを還元して再資源化する薄膜光触媒化学変換装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の薄膜光触媒化学変換装置は、概して、紫外線波長領域を含む光源を光エネルギー源として、水、海水または電解質を含む水溶液を水素源として、薄膜光触媒と電気化学触媒を付加したシステムとして、外的熱エネルギー供給を必要としない室温での水素生成および炭酸ガスの化学変換を可能にする装置である。
【0011】
上記一つの目的を達成するために、本発明の第1の薄膜光触媒化学変換装置は、室温の水、海水または電解質を含む水溶液(水、海水または水溶液を溶液と称する)を満たした容器と、この容器の外から内部に紫外線波長領域を含む光を照射する光源と、容器内の溶液中にそれぞれ設置された光触媒体、プロトン分離膜および電気化学触媒体の3要素(すなわち、照射光を受ける光触媒としてアナタ−ゼ型結晶構造の酸化チタン(TiO2)薄膜を導電性基板の一つの面に形成してなる光触媒体、溶液が酸化チタン(TiO2)薄膜に発生するホール(h+)に接して分解し発生するプロトン(H+)を同時に発生する酸素から分離するプロトン分離膜、および、分離されたプロトン(H+)を捕捉する白金(Pt)の板からなる電気化学触媒体)と、電気化学触媒体と光触媒体の基板を接続するバイアス回路とを備え、電気化学触媒体は酸化チタン(TiO2)薄膜から発生しバイアス回路を通じて流れてきた電子(e~)と、捕捉したプロトン(H+)とを結合させて水素を生成する装置としている。
【0012】
そして第1の薄膜光触媒化学変換装置において、光触媒体の導電性基板はチタン板で構成する、または酸化チタン(TiO2)薄膜との間に酸化第二スズ(SnO2)の被膜を介在させたガラス板で構成するのがよい。またバイアス回路は酸化チタン(TiO2)薄膜にプラスのバイアス電圧を印加するか、またはプラスとマイナスの電圧を交互に周期的に印加することが好ましい。
【0013】
また上記一つの目的を達成するために、本発明の第2の薄膜光触媒化学変換装置は、第1の薄膜光触媒化学変換装置において一つの光触媒体を第1として、もう一つの光触媒体を第2の光触媒体として加えたもので、第2の光触媒体は、第1の光触媒体を透過する光を受ける光触媒としてアナタ−ゼ型結晶構造の酸化チタン(TiO2)薄膜を導電性基板の一つの面に形成してなり、電気化学触媒体は第1、2の光触媒体の酸化チタン(TiO)薄膜から発生しバイアス回路を通じて流れてきた電子(e~)と、捕捉したプロトン(H+)とを結合させて水素を生成する。
【0014】
そして第2の薄膜光触媒化学変換装置において、第2の光触媒体の導電性基板はチタンから構成してもよい。さらに第2の光触媒体に代えて、光触媒として三酸化第二鉄(Fe2O3)薄膜を鉄の基板に形成してなる光触媒体を設置してもよい。またバイアス回路は酸化チタン(TiO2)薄膜にプラスのバイアス電圧を印加する、あるいはプラスとマイナスの電圧を交互に周期的に印加するのがよい。
【0015】
上記第1および第2の薄膜光触媒化学変換装置において、白金からなる電気化学触媒体の代えて、パラジウム、金、銀、銅、酸化銅、酸化銀のいずれからなる電気化学触媒体、または酸化亜鉛あるいは酸化銀を全面または一部被覆した銅からなる電気化学触媒体を設置してもよい。さらに酸化チタン(TiO2)薄膜は厚さ50〜2000nmがよく、また光触媒として三酸化第二鉄(Fe2O3)薄膜を用いる場合は厚さが5〜200nmとするのがよい。
【0016】
上記もう一つの目的を達成するために、本発明の第3の薄膜光触媒化学変換装置は、第1の薄膜光触媒化学変換装置を構成する、室温の溶液を満たした容器、光源、光触媒体、プロトン分離膜、電気化学触媒体、および、バイアス回路に加えて、電気化学触媒体の表面に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給手段を設けて、電気化学触媒体は捕捉したプロトン(H+)により炭酸ガスを還元させる装置としている。
【0017】
また上記もう一つの目的を達成するために、本発明の第4の薄膜光触媒化学変換装置は、上記第2の薄膜光触媒化学変換装置を構成する、室温の溶液を満たした容器、光源、第1、第2の光触媒体、プロトン分離膜、電気化学触媒体、および、バイアス回路に加えて、電気化学触媒体の表面に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給手段を設け、電気化学触媒体は捕捉したプロトン(H+)により炭酸ガスを還元させる装置としている。
【0018】
再び上記第1の目的を達成するために、本発明の第5の薄膜光触媒化学変換装置は、室温の溶液を満たした容器と、この容器外から内部に紫外線波長領域を含む光を照射する光源と、容器の中間部を遮るように一体結合して設置された有孔式光触媒体、プロトン分離膜および有孔式電気化学触媒体(すなわち、照射光を受ける光触媒としてアナタ−ゼ型結晶構造の酸化チタン(TiO2)薄膜を導電性基板の一つの面に形成し、この薄膜および基板を貫通する孔を有する有孔式光触媒体、溶液が酸化チタン(TiO2)薄膜に発生するホール(h+)に接して分解し発生し、有孔式光触媒体の孔を通じて移動するプロトン(H+)を同時に発生する酸素から分離するプロトン分離膜、および、分離されたプロトン(H+)を捕捉する白金の板からなり、板方向に貫通する孔を有する有孔式電気化学触媒体)と、有孔式電気化学触媒体と有孔式光触媒体の基板を接続するバイアス回路とを備え、有孔式電気化学触媒体は酸化チタン(TiO2)薄膜から発生しバイアス回路を通じて流れてきた電子(e~)と、自身の孔を移動したプロトン(H+)とを結合させて水素を生成する装置としている。
【0019】
再びもう一つの目的を達成するために、本発明の第6の薄膜光触媒化学変換装置は、第5の薄膜光触媒化学変換装置を構成する、溶液を満たした容器、光源、有孔式光触媒体、プロトン分離膜、有孔式電気化学触媒体およびバイアス回路に加えて、有孔式電気化学触媒体で溶液に接する板面に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給手段を設け、有孔式電気化学触媒体は、自身の孔を移動したプロトン(H+)により炭酸ガスを還元させる装置としている。
【0020】
また、上記一つの目的を達成するために、本発明の第7の薄膜光触媒化学変換装置は、溶液を満たした容器と、この容器の外から内部に紫外線波長領域を含む光を照射する光源と、容器の後半部に一体結合して設置された有孔式光触媒体および水素吸蔵合金部材(すなわち、照射光を受ける光触媒としてアナタ−ゼ型結晶構造の酸化チタン(TiO2)薄膜を導電性基板の一つの面に形成し、酸化チタン(TiO2)薄膜および基板を貫通する孔を有する有孔式光触媒体、および溶液が酸化チタン(TiO2)薄膜に発生するホール(h+)に接して分解し発生し、有孔式光触媒体の孔を通じて移動したプロトン(H+)を捕捉する水素吸蔵合金部材)と、この水素吸蔵合金部材と有孔式光触媒体の基板を接続するバイアス回路とを備え、水素吸蔵合金部材は、酸化チタン(TiO2)薄膜から発生しバイアス回路を通じて流れてきた電子(e~)と捕捉したプロトンと結合させて水素として吸蔵する装置としている。
【0021】
そして上記第7の薄膜光触媒化学変換装置において、有孔式光触媒体と水素吸蔵合金部材との間に、プロトン分離膜を設けてもよい。
【0022】
【作用】
薄膜光触媒は、これに光を照射することにより、室温でこの触媒に接する水を分解して水素と酸素を生成する。この水素を炭酸ガスと化学反応させれば、炭酸ガスを種々有用物質に化学変換する。
【0023】
先ず、光触媒が光照射による光触媒の活性化の原理を図1により説明する。物質が光を吸収すると、物質中の電子(e~)は光のエネルギーによって価電子帯からバンドギャップを越えて伝導帯へと励起され、それと同時に電子の欠陥であるホール(正孔)が発生する。バンドギャップのエネルギーは光触媒種類によって異なり、例えば酸化チタン(TiO2)の場合は3.0〜3.2 eVである。これは波長で言えば415〜390 nmである。従ってこれ以上のエネルギーを持つ、あるいはこれ以下のより短い波長領域の光が照射されることによって電子の励起が起こる。
【0024】
図2は、薄膜光触媒による水(または海水または電解質を含む水溶液)の分解原理を原理を説明する図である。光を照射された光触媒中において、光励起により発生するホール(h+)は薄膜光触媒の表面に移動し、その表面に接触する水分子を酸化して、反応式:H2O + 2h+ → 2H+ + 1/2・O2 にしたがい化学変換を起こし、プロトン(H+)を造ると同時に酸素も生成する。このプロトン(H+)を合成することにより水素を得ることができ、またこのプロトン(H+)を炭酸ガスと反応させることにより炭化水素化合物を得ることができる。
【0025】
本発明の第1の薄膜光触媒化学変換装置において、溶液中で紫外線波長領域を含む光を照射された光触媒であるアナタ−ゼ型結晶構造の酸化チタン(TiO2)薄膜はホール(h+)と電子(e~)を発生し、溶液は酸化チタン(TiO2)薄膜表面でホール(h+)に接して分解しプロトン(H+)発生する。プロトン分離膜は溶液中を移動してきるプロトン(H+)を該プロトンと共に発生する酸素から分離し、電気化学触媒体は、分離されたプロトン(H+)を捕捉し、このプロトン(H+)と、酸化チタン(TiO2)薄膜からバイアス回路を通じて流れてきた電子(e~)とを結合させて水素を生成する。またバイアス回路により酸化チタン(TiO2)薄膜にプラスのバイアス電圧を印加すると、酸化チタン(TiO2)薄膜の量子効率ないし光電流の発生量を向上せることができ、またプラスとマイナスの電圧を交互に周期的に印加することにより、量子効率ないし光電流の発生量をより向上させるができる。なお量子効率、光電流については後述の実施例1,2で詳しく説明する。
【0026】
本発明の第2の薄膜光触媒化学変換装置において、第1、第2の光触媒体の2つの光触媒体を用いることにより、第1の光触媒体の酸化チタン(TiO2)薄膜に接する溶液からプロトン(H+)が生成されると共に、第1の光触媒体を透過した光を受ける第2の光触媒体の酸化チタン(TiO2)薄膜に接する溶液からもプロトン(H+)が生成されるので、一つの光触媒体を用いる場合に比べて、より多量のプロトン(H+)を生成することができる。第2の光触媒体として三酸化第二鉄(Fe2O3)薄膜を鉄(Fe)の基板に形成してものを用いても、同様により多量のプロトン(H+)を生成することができる。これについては後に実施例4で説明する。
【0027】
酸化チタン(TiO2)薄膜の厚さは、50nm未満では光触媒の活性を表す光電流が小さくなり、2000nmを超えても同様小さくなるため、50〜2000nmが適当である。また三酸化第二鉄(Fe2O3)薄膜の厚さは、5nm未満、または200nmを超えると光電流が小さくなるため、5〜200nmが適当である。
【0028】
本発明の第3、第4の薄膜光触媒化学変換装置において、電気化学触媒体の表面で炭酸ガスはプロトン(H+)により還元されて、一酸化炭素や炭化水素化合物に変換される。
【0029】
本発明の第5の薄膜光触媒化学変換装置(一体型)において、酸化チタン(TiO2)薄膜上で溶液から生成されたプロトン(H+)は、有孔式光触媒体の孔に侵入した溶液を通じて移動し、プロトン分離膜で酸素と分離され、有孔式電気化学触媒体の孔に侵入した溶液を通ってこの電気化学触媒体の裏面に達する。ここでプロトン(H+)はバイアス回路を通じて流れてきた電子(e~)と結合して水素に変換される。
【0030】
本発明の第6の薄膜光触媒化学変換装置(一体型)においては、第5の薄膜光触媒化学変換装置と同様に化学触媒体の裏面に達したプロトン(H+)は、ここに供給された炭酸ガスを還元し、一酸化炭素や炭化水素化合物を生成する。
【0031】
本発明の第7の薄膜光触媒化学変換装置において、酸化チタン(TiO2)薄膜上で溶液から発生したプロトン(H+)はこの薄膜および基板に設けた孔に侵入した溶液を通じて水素吸蔵合金部材に達し、ここでバイアス回路を通じて流れてきた電子(e~)と結合して水素に変換され、この水素は水素吸蔵合金部材に吸引され貯蔵されることになる。
【0032】
以上のように本発明の各装置によれば、水から水素を製造でき、あるいは炭酸ガスを有用な物質に化学変換できる。この装置は二次公害を出さない。
【0033】
【実施例】
〔実施例1〕
以下に、薄膜光触媒の量子効率を測定した実験結果について述べる。本実験に用いた薄膜光触媒装置は、図3に示すように、金属チタンの基板3表面にアナターゼ型結晶構造を含む酸化チタン(TiO2)薄膜光触媒2を形成した光触媒体4と、プロトン分離膜8と、白金板の電気化学触媒体9とを順に配列し、それらを海水または重炭酸カリウム(KHCO3)の電解質を含む水溶液で満たされた容器に設置し、そして光触媒体4と電気化学触媒体9とをバイアス回路Eで接続し、さらに酸化チタン(TiO2)薄膜光触媒2に光(エネルギーhν)を照射する光源1を容器外に設置したものである。この薄膜光触媒装置においては、薄膜光触媒2の表面で水の分解によって発生するプロトン(H+)は、溶液内を拡散してプロトン分離膜8を通過し、電気化学触媒9の表面へと移動する。プロトン分離膜8によってプロトンと酸素との再結合を防止できている。一方、光を受けて薄膜光触媒2でホール(h+)と共に発生した電子e~は薄膜光触媒2からバイアス回路を通じて電気化学触媒9へと移動する。
【0034】
実験では、酸化チタン薄膜光触媒2の表面に光源1からの照射光子量を一定として等間隔で波長を変化させて光を照射しながら、光触媒体の量子効率を測定した。なお、この実験ではバイアス電圧Eは印加しなかった。
【0035】
図4は、実験の結果を示す図で、曲線(a)は溶液として海水を用いた場合、曲線(b)は溶液として重炭酸カリウム(KHCO3)水溶液を用いた場合の量子効率(%)を示す。酸化チタン(TiO2)薄膜光触媒2からなる光触媒の量子効率は、いずれの溶液においても、アナターゼのバンドギャップである約3.0eVに相当する波長、即ち約410nmから量子効率が立上り、波長が短くなるにつれて上昇し、約55〜60%に達する。量子効率は、照射する光を光子としてとらえた場合、図1の原理のように、1個の光子によって電子が何個価電子帯から伝導帯へと励起されるかを示すもの、あるいはその確立を表すものとして、光触媒の潜在的物性性能を表す。55〜60%はかなり高い量子効率である。本実験データは酸化チタン薄膜光触媒の基本物性評価として重要である。ところで別に実験で確認したところ、プロトン分離膜8がなくても同じ結果となり、薄膜光触媒の量子効率についてはプロトン分離膜の存在に無関係であることが判明した。
【0036】
〔実施例2〕
次に実施例1で用いたのと同じ装置により、バイアス電圧E下における酸化チタン薄膜光触媒2の光電流特性を調べた。図3に示すように、酸化チタン薄膜光触媒2を有する光触媒体4と白金板の電気化学触媒9とを電池を介して結線し、酸化チタン薄膜光触媒2表面に光源1から光を照射し、かつ酸化チタン薄膜光触媒2にバイアス電圧Eを段階的に変化させて付加しながら、光電流を測定した。
【0037】
酸化チタン薄膜に生じる光電流は、図5に示すように、海水または重炭酸カリウム水溶液のいずれの溶液の場合も、バイアス電圧が−0.5V位から+0.5Vにかけて上昇し、+0.5V位で一定値に近づき、約6mA/cm2に落ち着いた。曲線(a)は溶液として海水を用いた場合、曲線(b)は溶液として重炭酸カリウム水溶液を用いた場合の光電流を示す。このようにバイアスは光触媒体で発生する電子をより多く取り出すのに効力を発し、本結果でもこれによってかなり高い光電流を得ている。本実験結果は酸化チタン薄膜触媒の基本物性評価として実施例1と共に重要である。
【0038】
〔実施例3〕
図6は2つの光触媒体を2段に配置して、図3に示す装置と同じようにプロトン分離膜、電気化学触媒体等と組み合わせた多段式薄膜光触媒装置を示す。なおこの実施例ではCO2の供給はない。
【0039】
第1の光触媒体4は、光触媒としてアナターゼ型結晶構造を含む酸化チタン
(TiO2)薄膜光触媒2を用い、基板3として光透過性の酸化第二スズ(SnO2)で被膜した光透過性のガラスを用い、酸化第二スズ(SnO2)膜上に酸化チタン(TiO2)薄膜光触媒2を形成して構成されている。また第2の光触媒体7は、第1の光触媒体4と同じく、酸化チタン(TiO2)薄膜5と光透過性の酸化第二スズ(SnO2)で被膜した光透過性のガラスの基板6とから構成されている。第1の光触媒体4、第2の光触媒体7、プロトン分離膜8及び白金板の電気化学触媒体9を、KHCO3溶液を満たした容器内に順次に設置し、第1の光触媒体4を介して第2の光触媒体に光を照射するように光源1を容器の外に設置して多段式薄膜光触媒装置を組んだ。
【0040】
この装置による実験から以下の結果を得た。まず薄膜触媒2と電気化学触媒9とを電気的に接続し、光源1としてキセノンランプ又は水銀ランプいずれかを用いて薄膜光触媒1に光照射することによって光電流が得られることを確認した。例えば500W水銀ランプで1Vのバイアス電圧下において3mA/cm2の電流を得た。このことは、この薄膜光触媒1が光透過性を持っており、また薄膜光触媒1によって吸収されずに透過してくる光によっても薄膜光触媒2において光による電子励起が行なわれて光電流が得られたことを示している。
【0041】
次に、薄膜光触媒1と薄膜光触媒2とを電気的に並列接続し、それらを電気化学触媒9に直列接続した。この場合の光電流密度は500W水銀ランプで、1Vのバイアス電圧下では9mA/cm2であった。この値は同じ条件において光触媒体4単独の場合に比べて3mA/cm2以上大きかった。以上の結果より、バンドギャップの同じ薄膜光触媒を多段式に組み合わせることの効果が示された。
【0042】
〔実施例4〕
この実施例の装置では、図6に示す多段式薄膜光触媒装置おいて第2の触媒体7を実施例3のものとは別の材質で構成したものを用いた。すなわち、第1の光触媒体4は、アナターゼ型結晶構造を含む酸化チタン(TiO2)薄膜光触媒2とその基板4として光透過性の酸化第二スズ(SnO2)で被膜した光透過性のガラスとから、一方、第2の光触媒体7は光触媒として三酸化第二鉄(Fe2O3)の薄膜光触媒5とその基板6として金属鉄とから構成したものである。このように光触媒が異種の2つの光触媒体とプロトン分離膜8と白金板の電気化学触媒9とを設置して多段式装置を組み、以下の各実験結果を得た。
【0043】
まず第2の光触媒体7と電気化学触媒9とを直列接続して、キセノンランプまたは水銀ランプいずれかを光源1として第1の光触媒体4の1に光照射することによって光電流が得られることを確認した。例えば500W水銀ランプで1Vのバイアス電圧下において2mA/cm2の光電流を得た。このことは、第1の光触媒体4が光透過性を持っており、また第1の光触媒体4によって吸収されずに透過してくる光によっても第2の光触媒体7において光による電子励起が行なわれ、光電流が得られたことを示している。
【0044】
次に、第1、第2の光触媒体4,7を並列接続し、それらを電気化学触媒9に直列接続した状態で、500Wのキセノンランプを第1の光触媒体4に照射した結果、第1の光触媒体4と第2の光触媒体7とが各々単独の場合と比較して、二つの光触媒を2段に配置すると大幅な光電流の向上が見られた。特に、第1の光触媒体4単独に比べて、V=1Vのバイアス電圧において50%〔第1の光触媒体4単独の8mA/cm2に対して2段配列により12mA/cm2〕、またV=1.5Vにおいて183%〔第1の光触媒体4単独の9mA/cm2に対して2段配置により25.5mA/cm2〕の各向上率であった。以上のことはバンドギャップの異なる二つの薄膜光触媒を多段式で組み合わせることの効果を表している。
【0045】
〔実施例5〕
図7は光触媒により得たプロトンと原料CO2とを用いて炭化水素化合物等を生成する薄膜光触媒化学変換装置を示す。この装置では、薄膜光触媒2にはアナターゼ型結晶構造を含む酸化チタン(TiO2)を、薄膜2を形成する基板3に金属チタンを用い、電気化学触媒9にZnO/Cu(銅板に適量の酸化亜鉛を付着したもの)を起用した。そしてこの装置は、室温で0.1 mol/l濃度のKHCO3の電解質水溶液中に、薄膜光触媒2及び基板3からなる光触媒体4とプロトン分離膜8と電気化学触媒9とを順次配列し、光触媒体4と電気化学触媒9とをバイアス回路Eで接続し、薄膜光触媒2に光を照射する500Wのキセノンランプ1を設置して、構成した。この装置においては、薄膜光触媒2の表面で水の分解によって発生するプロトン(H+)は、溶液内を拡散してプロトン分離膜8を通過し、電気化学触媒9の表面へと移動する。プロトン分離膜8によってプロトンと酸素との再結合を防止できている。そして電気化学触媒9に接触する反応物はプロトンと電子によって下記式で示す電気化学反応によって還元され種々生成物を発生する。
【0046】
aCO2 + bH+ ce~ → dCxHyOz + eH2
この装置において、バイアス電圧=1Vとし、二酸化炭素(CO2)を電気化学触媒9側に流入させた結果、次のような各種生成物の電流効率を得た。メタン15.8%、エチレン10.4%、一酸化炭素23.4%、水素41.9%であった。従って薄膜光触媒と電気化学触媒とを組み合わせた本装置は水素製造および炭酸ガスの化学変換用として機能することを確認した。この場合の炭酸ガス変換率は、58.1%であった。
【0047】
〔実施例6〕
実施例5と同様の実験において、バイアス電圧をプラスとマイナスの間で交互に一定時間の周期で変化させることにより、炭酸ガスの化学変換によって生成する炭化水素の生成向上を見た。即ち、電流効率でメタン44%、エチレン24%を得た。炭酸ガスの変換率も86%とかなり高くなった。またこのバイアス電圧付加方法によって少なくとも30時間以上、これらの電流効率が維持され、従って触媒反応が劣化されないこともわかった。
【0048】
〔実施例7〕
図8は薄膜光触媒、プロトン分離膜および電気化学触媒を一体化した化学変換装置の構成を示す図である。この一体型装置は薄膜光触媒層内および電気化学触媒内を有孔式にし、更にそれらの間にプロトン分離膜を挟んで一体化し、全体を通じて薄膜光触媒側で発生するプロトン(H+)が通過できるように構成されている。また薄膜光触媒層と電気化学触媒との間にバイアス電圧を付加する場合もある。
【0049】
図8において、有孔式薄膜光触媒12としてアナターゼ型結晶構造を含む酸化チタン(TiO2)とその有孔式基板13として酸化第二スズ(SnO2)で被覆したガラス、有孔式電気化学触媒19として白金板などをプロトン分離膜と8一体化して、室温、0.1 mol/l濃度のKHCO3の電解質を含む水溶液、光源1として500W水銀ランプ等の条件下において、100%の水素生成電流効率を得た。水素生成速度は1m2の薄膜光触媒面積当たりで20 l/hrであった。更に有孔式電気化学触媒19側に炭酸ガスを流入させた時、メタン、エチレンなどの炭酸ガス再資源化物の生成を確認した。これらの実験結果は、本装置が水素製造器として、また炭酸ガスの化学変換器としての機能を持つことを示している。次に、上記と同じ実験を太陽光を光源として行なったところ、水素およびメタンの生成を確認した。従って本装置は太陽光でも機能する。
【0050】
〔実施例8〕
酸化チタン(TiO2)薄膜光触媒の製法について説明する。0.5 mol/l濃度のチタンイソプロポキシド〔Ti(i−OC3H7)4〕のエタノール溶液に適量の塩酸を付加したゾル溶液を作成した。このゾル溶液を酸化第二スズ(SnO2)を被覆したガラスの基板に塗布して500℃にて空気焼成ゲル化する作業を繰り返すことにより、透明な酸化チタン(TiO2)膜を得た。この膜は走査型電子顕微鏡による測定で500nmの厚さを持ち、またエックス線解析によるバルク構造解析でほぼ100%のアナターゼ型結晶構造であることが判明した。更にレーザーラマン分光分析法によって、表面近傍でも100%アナターゼになっていることを確認した。以上の結果は基板を金属チタンにした場合も同じであった。
【0051】
本実験結果は上記のゾル・ゲル法による酸化チタン(TiO2)膜の調製方法によってアナターゼ型結晶構造の薄膜酸化チタンの光触媒ができることを示している。この薄膜酸化チタンは上記全ての実施例で使用されたものである。
【0052】
〔実施例9〕
次に三酸化第二鉄(Fe2O3)薄膜光触媒の製法について説明する。硝酸鉄9水和物〔Fe9(NO3)3・9H2O〕のエチレングリコール溶液に適量の硝酸を付加してできるゾル溶液に、酸化第二スズ(SnO2)で被覆したガラス基板に塗布して500℃にて空気酸化してゲル化することを繰り返すことにより、アルファ型の三酸化第二鉄(α−Fe2O3)膜が形成することがエックス線解析で判明した。また膜厚は約40nmで500Wの水銀ランプまたはキセノンランプのいずれの場合でも光電流密度が最大になることがわかった。また、金属チタン、金属鉄の基板でも同様の結果を得た。これらの三酸化第二鉄(Fe2O3)の薄膜光触媒は上記の実施例4で使用されたものである。
【0053】
〔実施例10〕
図9、図10はそれぞれ薄膜光触媒と水素吸蔵合金とを組み合わせた薄膜光触媒化学変換装置の構成を示す。
図9に示す装置は、有孔式薄膜光触媒12、有孔式基板13及び水素吸蔵合金20を順次並べて一体化して水溶液内に設置し、そして有孔式基板13(導電性)と水素吸蔵合金20をバイアス回路Eで接続して構成したものである。この装置においては水素吸蔵合金20はプロトンを選択的に吸蔵する。図10に示す装置は、図9に示す装置にプロトン分離膜6を加え、そして有孔式薄膜光触媒12、有孔式基板13、プロトン分離膜6及び水素吸蔵合金20を順次に並べて一体化して水溶液内に設置して構成したものである。図9,10において、プロトンを貯蔵する場合は、バイアス回路Eを遮断する。一方、水素を貯蔵する場合は、バイアス回路Eを接続し、薄膜光触媒で光照射の際に発生する電子を取り入れて、2H+ + 2e~ →H2の反応を生ぜしめる。
【0054】
図10において、有孔式薄膜光触媒12としてアナターゼ型結晶構造を含む酸化チタン(TiO2)、有孔式基板13として金属チタン、プロトン分離膜8とランタン・ニッケル系の水素吸蔵合金20と一体化して重炭酸カリウム(KHCO3)の電解質を含む水溶液内に設置し、バイアス電圧1V、500W水銀ランプによって5×1022個/cm3の水素吸蔵量を得た。
【0055】
以上の実施例では、光源としてキセノンランプ、水銀ランプを用いたが、そのほか太陽光を用いることができるのは勿論である。またバイアス電圧用電源としては太陽電池、乾電池、他の直流電源を用いることができる。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、薄膜光触媒化学変換装置を、室温の水、海水または電解質を含む水溶液(各液を一括して溶液という)中に順次設置した酸化チタン薄膜光触媒、プロトン分離膜、電気化学触媒体と、薄膜光触媒に光を照射する光源と、薄膜光触媒と電気化学触媒体を接続する回路とを基本要素として構成したので、室温で以下のプロセス、すなわち、(1)光源から光を照射された薄膜光触媒で電子と正孔を発生し、(2)薄膜光触媒に接触した溶液は正孔と反応して分解し、プロトンと酸素を発生し、(3)プロトン分離膜はプロトンを酸素から分離し透過させ、(4)電気化学触媒体表面でプロトンが電気化学的に結合して水素を生成し、また(5)電気化学触媒体表面に炭酸ガスが供給すれば、プロトンと電子によって炭酸ガスの還元反応が起き、CO、炭化水素を生成すること、が可能となり、したがって紫外線領域を含む光源または太陽光および水または海水または電解質を含む水溶液を原料として、室温で水を分解して水素を生成し、また室温で炭酸ガスを有用物質に再資源化することを可能にする。
【0057】
上記基本型装置の変型である、(a)薄膜光触媒を2段に設置した装置、または(b)薄膜光触媒、該薄膜の基板および電気化学触媒体に溶液を通す孔を設け、薄膜光触媒、プロトン分離膜および電気化学触媒体9を一体結合して小型化した装置、または(c)水素吸蔵合金を設置した装置によっても、上記同様に再資源化を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】光照射による光触媒活性化の原理を説明する図である。
【図2】光触媒である酸化チタンによる水の分解の原理を説明する図である。
【図3】薄膜光触媒/プロトン分離膜/電気化学触媒の薄膜光触媒装置の構成を示す図である。
【図4】酸化チタン薄膜光触媒の量子効率特性を示す図である。
【図5】酸化チタン薄膜光触媒のバイアス電圧−光電流特性を示す図である。
【図6】2段配列薄膜光触媒/プロトン分離膜/電気化学触媒の薄膜光触媒装置の構成を示す図である。
【図7】薄膜光触媒/プロトン分離膜/電気化学触媒の薄膜光触媒化学変換装置の構成を示す図である。
【図8】薄膜光触媒/プロトン分離膜/電気化学触媒の一体型薄膜光触媒化学変換装置の構成を示す図である。
【図9】薄膜光触媒/水素吸蔵合金の一体型薄膜光触媒化学変換装置の構成を示す図である。
【図10】薄膜光触媒/プロトン分離膜/水素吸蔵合金の一体型薄膜光触媒化学変換装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 光源
2 薄膜光触媒
3 基板
4 光触媒体
5 薄膜光触媒
6 基板
7 光触媒体
8 プロトン分離膜
9 電気化学触媒体
12 有孔式薄膜光触媒
13 有孔式基板
19 有孔式電気化学触媒体
20 水素吸蔵合金
E バイアス電圧

Claims (18)

  1. 室温の水、海水または電解質を含む水溶液を満たした容器と、該容器外から内部に紫外線波長領域を含む光を照射する光源と、容器内の水、海水または水溶液中にそれぞれ設置された、照射光を受ける光触媒としてアナタ−ゼ型結晶構造の酸化チタン(TiO2)薄膜を導電性基板の一つの面に形成してなる光触媒体、水、海水または水溶液が酸化チタン(TiO2)薄膜に発生するホール(h+)に接して分解し発生するプロトン(H+)を同時に発生する酸素から分離するプロトン分離膜、および、分離されたプロトン(H+)を捕捉する白金板からなる電気化学触媒体と、電気化学触媒体と光触媒体の基板を接続するバイアス回路とを備え、電気化学触媒体は酸化チタン(TiO2)薄膜から発生しバイアス回路を通じて流れてきた電子(e~)と、捕捉したプロトン(H+)とを結合させて水素を生成する薄膜光触媒化学変換装置。
  2. 前記導電性基板はチタン板で、または酸化チタン(TiO2)薄膜との間に酸化第二スズの被膜を介在させたガラス板でなることを特徴とする請求項1記載の薄膜光触媒化学変換装置。
  3. 前記バイアス回路は前記酸化チタン(TiO2)薄膜にプラスのバイアス電圧を印加することを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜光触媒化学変換装置。
  4. 前記バイアス回路は前記酸化チタン(TiO2)薄膜にプラスとマイナスの電圧を交互に周期的に印加することを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜光触媒化学変換装置。
  5. 室温の水、海水または電解質を含む水溶液を満たした容器と、該容器外から内部に紫外線波長領域を含む光を照射する光源と、容器内の水、海水または水溶液中にそれぞれ設置された、照射光を受ける光触媒としてアナタ−ゼ型結晶構造の酸化チタン(TiO2)薄膜を導電性かつ光透過性基板の一つの面に形成してなる第1の光触媒体、第1の光触媒体を透過する光を受ける光触媒としてアナタ−ゼ型結晶構造の酸化チタン(TiO2)薄膜を導電性基板の一つの面に形成してなる第2の光触媒体、水、海水または水溶液が各酸化チタン(TiO2)薄膜に発生するホール(h+)に接して分解し発生するプロトン(H+)を同時に発生する酸素から分離するプロトン分離膜、および、分離されたプロトン(H+)を捕捉する白金板からなる電気化学触媒体と、電気化学触媒体に各光触媒体の基板を並列接続するバイアス回路とを備え、電気化学触媒体は各酸化チタン(TiO)薄膜から発生しバイアス回路を通じて流れてきた電子(e~)と、捕捉したプロトン(H+)とを結合させて水素を生成する薄膜光触媒化学変換装置。
  6. 前記第2の光触媒体の導電性基板はチタンからなることを特徴とする請求項5記載の薄膜光触媒化学変換装置。
  7. 前記第2の光触媒体に代えて、光触媒として三酸化第二鉄
    (Fe2O3)薄膜を鉄の基板に形成してなる光触媒体を設置したことを特徴とする請求項5記載の薄膜光触媒化学変換装置。
  8. 前記バイアス回路は前記酸化チタン(TiO2)薄膜にプラスのバイアス電圧を印加することを特徴とする請求項5,6または7に記載の薄膜光触媒化学変換装置。
  9. 前記バイアス回路は前記酸化チタン(TiO2)薄膜にプラスとマイナスの電圧を交互に周期的に印加することを特徴とする請求項5,6または7に記載の薄膜光触媒化学変換装置。
  10. 前記白金からなる電気化学触媒体の代えて、パラジウム、金、銀、銅、酸化銅および酸化銀のいずれからなる電気化学触媒体、または酸化亜鉛あるいは酸化銀を全面または一部被覆した銅からなる電気化学触媒体を設置したことを特徴とする請求項1ないし9いずれかに記載の薄膜光触媒化学変換装置。
  11. 前記酸化チタン(TiO2)薄膜は厚さ50〜2000nmであることを特徴とする請求項1ないし10いずれかに記載の薄膜光触媒化学変換装置。
  12. 前記三酸化第二鉄(Fe2O3)薄膜は厚さ5〜200nmであることを特徴とする請求項7記載の薄膜光触媒化学変換装置。
  13. 室温の水、海水または電解質を含む水溶液を満たした容器と、該容器外から内部に紫外線波長領域を含む光を照射する光源と、容器内の水、海水または水溶液中にそれぞれ設置された、照射光を受ける光触媒としてアナタ−ゼ型結晶構造の酸化チタン(TiO2)薄膜を導電性基板の一つの面に形成してなる光触媒体、水、海水または水溶液が酸化チタン(TiO2)薄膜に発生するホール(h+)に接して分解し発生するプロトン(H+)を同時に発生する酸素から分離するプロトン分離膜、および、分離されたプロトン(H+)を捕捉する白金板からなる電気化学触媒体と、電気化学触媒体の表面に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給手段と、電気化学触媒体と光触媒体の基板を接続するバイアス回路とを備え、電気化学触媒体は、捕捉したプロトン(H+)により炭酸ガスを還元させる薄膜光触媒化学変換装置。
  14. 室温の水、海水または電解質を含む水溶液を満たした容器と、該容器外から内部に紫外線波長領域を含む光を照射する光源と、容器内の水、海水または水溶液中にそれぞれ設置された、照射光を受ける光触媒としてアナタ−ゼ型結晶構造の酸化チタン(TiO2)薄膜を導電性かつ光透過性基板の一つの面に形成してなる第1の光触媒体、第1の光触媒体を透過する光を受ける光触媒としてアナタ−ゼ型結晶構造の酸化チタン(TiO2)薄膜を導電性基板の一つの面に形成してなる第2の光触媒体、水、海水または水溶液が各酸化チタン(TiO2)薄膜に発生するホール(h+)に接して分解し発生するプロトン(H+)を同時に発生する酸素から分離するプロトン分離膜、および、分離されたプロトン(H+)を捕捉する白金からなる電気化学触媒体と、電気化学触媒体の表面に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給手段と、電気化学触媒体に各光触媒体の基板を並列接続するバイアス回路とを備え、電気化学触媒体は捕捉したプロトン(H+)により炭酸ガスを還元させる薄膜光触媒化学変換装置。
  15. 室温の水、海水または電解質を含む水溶液を満たした容器と、該容器外から内部に紫外線波長領域を含む光を照射する光源と、容器の中間部を遮るように一体結合して設置された、照射光を受ける光触媒としてアナタ−ゼ型結晶構造の酸化チタン(TiO2)薄膜を導電性基板の一つの面に形成し、酸化チタン(TiO2)薄膜および基板を貫通する孔を有する有孔式光触媒体、水、海水または水溶液が酸化チタン(TiO2)薄膜に発生するホール(h+)に接して分解し発生し、有孔式光触媒体の孔を通じて移動するプロトン(H+)を同時に発生する酸素から分離するプロトン分離膜、および、分離されたプロトン(H+)を捕捉する白金板からなり、板方向に貫通する孔を有する有孔式電気化学触媒体と、有孔式電気化学触媒体と有孔式光触媒体の基板を接続するバイアス回路とを備え、有孔式電気化学触媒体は酸化チタン(TiO2)薄膜から発生しバイアス回路を通じて流れてきた電子(e~)と、自身の孔を移動したプロトン(H+)とを結合させて水素を生成する薄膜光触媒化学変換装置。
  16. 室温の水、海水または電解質を含む水溶液を満たした容器と、該容器外から内部に紫外線波長領域を含む光を照射する光源と、容器の中間部を遮るように一体結合して設置された、照射光を受ける光触媒としてアナタ−ゼ型結晶構造の酸化チタン(TiO2)薄膜を導電性基板の一つの面に形成し、酸化チタン(TiO2)薄膜および基板を貫通する孔を有する有孔式光触媒体、水、海水または水溶液が酸化チタン(TiO2)薄膜に発生するホール(h+)に接して分解し発生し、有孔式光触媒体の孔を通じて移動するプロトン(H+)を同時に発生する酸素から分離するプロトン分離膜、および、分離されたプロトン(H+)を捕捉する白金板からなり、板方向に貫通する孔を有する有孔式電気化学触媒体と、有孔式電気化学触媒体で水、海水または水溶液に接する板面に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給手段と、有孔式電気化学触媒体と有孔式光触媒体の基板を接続するバイアス回路とを備え、有孔式電気化学触媒体は、自身の孔を移動したプロトン(H+)により炭酸ガスを還元させる薄膜光触媒化学変換装置。
  17. 室温の水、海水または電解質を含む水溶液を満たした容器と、該容器外から内部に紫外線波長領域を含む光を照射する光源と、容器の後半部に一体結合して設置された、照射光を受ける光触媒としてアナタ−ゼ型結晶構造の酸化チタン(TiO2)薄膜を導電性基板の一つの面に形成し、酸化チタン(TiO2)薄膜および基板を貫通する孔を有する有孔式光触媒体、および水、海水または水溶液が酸化チタン(TiO2)薄膜に発生するホール(h+)に接して分解し発生し、有孔式光触媒体の孔を通じて移動したプロトン(H+)を捕捉する水素吸蔵合金部材と、該水素吸蔵合金部材と有孔式光触媒体の基板を接続するバイアス回路とを備え、水素吸蔵合金部材は酸化チタン(TiO2)薄膜から発生しバイアス回路を通じて流れてきた電子(e~)と捕捉したプロトンと結合させて水素として吸蔵する薄膜光触媒化学変換装置。
  18. 前記有孔式光触媒体と前記水素吸蔵合金部材との間に、プロトン分離膜を設けたことを特徴とする請求項17記載の薄膜光触媒化学変換装置。
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