JP3696808B2 - 物質の微粒化装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、化学、医薬等の各業界で扱う物質を微粒化する装置に関し、特に、物質を、乳化、分散又は破砕の状態にて、ミクロン台又はそれ以下の均一(又は均質)的な粒子径に微粒化して、安定した粒度分布のものを得る装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の物質の微粒化装置として、最近において公開された特開2001−29776号公報のものがある。これは、原料供給口に供給された原料を加圧して装置本体に送り、この本体で前記原料中の物質を微粒化して取出す物質の微粒化装置において、前記本体は、入口及び出口付きの円筒体と、この円筒体に面一に重ね合わされて組込まれる少なくとも2個の円板とを有し、前記各円板には同一又は類似の態様で整列した多数の貫通孔と、前記面上で各貫通孔を接続する多数の溝とが設けられ、前記講は、前記各円板が重ね合わされた状態で多数の個所で一方の円板の溝が他方の円板の溝に対して前記面上で互いに交差するようになっていることを特徴とするものである。
【0003】
この従来のものは、前記構成により処理加圧力をそれほど大きくしなくても所望量の微粒化処理を可能とするという利点があるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のものは、前述の利点を有するが、装置本体を小型にする場合、各円板共、多数の貫通孔を有するが故に製作加工が難かしいという欠点がある。一方、貫通孔及び溝を極力少なくすれば加工容易となるが、その場合には、物質を扱う各業界の微粒化に対する粒径要望などに沿えず、融通性、設計の自由度において満足できないものとなる欠点がある。
【0005】
本発明は、装置を小型にできると共に、製作加工も容易で、かつ、各種物質の処理粒径や処理量増大といった多様な要求に対して的確に対処でき、汎用性、融通性、設計の自由度においても満足できる物質の微粒化装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するために、原料供給口に供給される原料を加圧して本体に送り、この本体で前記原料中の物質を微粒化して取出す物質の微粒化装置において、前記本体は、入口及び出口付きの円筒体と、この円筒体に位置合わせされ面一にP面にて重ねられ組込まれる一対の円板A,Bを有し、該円板A,Bには互いに反対側の半円部に2個の貫通孔が夫々設けられ、また、該円板A,Bのいずれか一方のP面には当該一方の2個の貫通孔と接続し、かつ、横直径線XX及び縦直径線YYに対し対称な所定の形状の溝が設けられており、円板A,BをP面で重ねたとき、前記溝の両端部が他方の2個の貫通孔に連通するようになっていることを特徴とするものである。
【0007】
【作用】
上記構成により、円板Aの上半円にある2個の貫通孔に流入した原料(流体)が円板BのP面と突き当った後に直角に向きを変え円板Aの、例えば、8の字状の溝を通り、その溝の両端部で円板Bの下半円にある2個の貫通孔と連通し、ここで、また直角に向きを変え、この貫通孔から流れ去る。これらの流れにおいて、加圧流体中の物質は、貫通孔、溝等での合流衝突、分流拡張により所望の粒径(粒度分布により定まる)のものに微粒化される。円板の材料が超硬質セラミックス、焼結人工ダイヤモンド又は単結晶ダイヤモンドであって、その大きさが直径40mmφ、厚さ5mmの硬い小さな円板のものにおいても容易に1〜2mmφの孔径の穿孔、0.5mm幅、0.2mm深さの溝の加工ができる。そして孔径や溝の形状を変えることで、粒径及び流量(処理量)増大の要望に応えることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1のシステム図に於て、1は原料(物質と液体の混合物)の供給口、2は原料を加圧する高圧ポンプ、3は本体、4は原料中の物質が微粒化されたもの、即ち、微粒化製品の受入器である。
【0010】
図2は、図1における本体3の断面図であり、本体3は入口側の円筒6と出口側の円筒7をボルト8で締結してなる1個の円筒体5内に、位置決め用のピン9で位置合わせされ、P面で面一に重ねられ組込まれた一対の円板A10と円板B11とを有する。円板A,Bは共に直径40mmφ、厚さ5mm、の超硬質セラミックス製である。
【0012】
〔第1形態〕
図3〜図7は第1形態における第1の実施例のものを示す。図3は円板A10と円板B11がP面で合わされる前の状態を模式的に示す斜視図である。図3において、円板A10には横直径線XXより上の上半円部に2個の貫通孔(約1.5mmφ)12が縦直径線YYに対して対称に設けられ、その合わせ面であるP面には、これらの貫通孔12と接続し(交わり)、かつ、横直径線XX及び縦直径線YYに対して対称となるように、上下一の字線を2個の円形で接続した大略8の字状の溝(幅1mm、深さ0.5mm)13が設けられている(円板AのP面を示す図4参照方)。また、円板B11には、P面に何等溝を有せず、円形A10の貫通孔12と対称の位置、即ち、横直径線XXより下の下半円部に、2個の貫通孔(円板Aのものより若干大径の約2mmφ)14が設けられている。円板BのP面を示す図6参照方)。この貫通孔14は、円板A10と合わせたときその溝13の両末端部13Aに連通するようになっている。なお、図3、4及び6において、15はピン9にはめこまれて位置決めとなる穴である。
【0013】
第1形態における第1実施例のものの作用は次のとおりである。即ち、図3において、これらが図2のように組込まれたものとすると、円板A10の貫通孔12に入った原料流れ(図3矢印Dで示す)は円板B11の合わせP面の平面部に当ってP面内の溝13の方向に直角に曲げられ、かつ、8の字形に流れ、両末端部13Aで円板B11の貫通孔14に連通しここで再び直角に曲げられて流出する(矢印Eで示す)。
【0014】
これにより、原料中の物質は、高圧、高速流での衝突、合流、分流、拡張により所望の粒径に微粒化される。両円板A,B共に貫通孔の数は少なく、また、円板Bには溝が設けられていない故に加工容易であり、極力、小型化できる長所がある。
【0015】
図8〜10は第1形態における第2実施例を示す。図8に示すように、円板A10には縦直径線YYの右半円部に2個の貫通孔12があり、これら貫通孔12と接続し横直径線XX及び縦直径線YYに対し対称のV字と逆V字を重ねた形状の溝13が設けられている。一方、図10に示すように、円板B11には、縦直径線YYの右半円部に円板A10と同様位置に但し孔径は若干大きい2個の貫通孔14があり、両円板A,Bを位置決め用の穴15を基準に重ね合わせたときには、図8に鎖線で示すように、貫通孔14のある半円部が左半円部となり、これにより、溝13の両端部13Aと連通するものである。
【0016】
図11〜14は第1形態における第3実施例を示す。これらの図より分るように、円板A10及び円板B11共に位置決め用の穴15が縦直径線YYの上方に位置し、2個の貫通孔12及び14が共に左半円部にあるが、重ね合わせたときは互いに反対の半円部に位置するものであり、また、溝13が図11で示すように、W字及び逆W字を重ねた形状のものであり、やはり、縦横直径線に対して対称であって、その両端部13Aで、貫通孔14に連通するものとなっている。
【0017】
このように、第1形態のものは、第1実施例、第2実施例、そして第3実施例の順に流量増大に対処できると共に、貫通孔の数が円板A,B共に互いに反対の半円部に2個設けるだけであるため、小型のものでの製作加工が容易となるものである。
【0018】
〔第2形態〕
図15は本発明による第2形態のものであって、この第2形態における第1、第2及び第3の各実施例を一括して示す模式的斜視図である。この図15において一対の円板A,Bの位置合わせ穴の図示を省略してあるが、例えば上段(a)ではP面に互いに面一に組込まれるものを示してある。そして、この上段の(a)は図16〜19に示す第1実施例、中段の(b)は図20〜23に示す第2実施例、下段の(c)は図24〜27に示す第3実施例を表わし、(a)(b)(c)の順に微粒化流量(処理量)が増大するのに対処するものとなっている。
【0019】
以下に、この図15をも参照しつつ順次説明する。
【0020】
図16〜19に示す第1実施例において、円板A20には4個の貫通孔22が横直径線XX及び縦直径線YYに対し高さh及び幅mをもって対称に設けられ、これらを結ぶH形の直線状溝23が設けられている(図16参照)。円板B21には、高さhで若干大径の2個の貫通孔24と、若干幅広でこれらを結ぶ1本の直線状(Iの字)溝25が縦直径線YYに沿って設けられている(図18参照)。そして位置決め用の穴26を基準に、円板A,Bを重ねると、2個の貫通孔24が4個の貫通孔22の中間に位置して重なることはなく、しかも溝25が溝23とは1個の交差点Kで交差し、これらが連通するものとなっている。
【0021】
次に、図20〜23に示す第2実施例においては、円板A20の貫通孔22及び円板B21の貫通孔24の数は第1実施例のものと同じであるが、配置の高さH、孔径が夫々大きくなっており、そして、これらを結ぶ溝23、溝25も共に幅広のものとなっている。しかも、円板A20の溝23は横線が5本となっており、これにより円板B21の溝25と交差する交差点Kも5個となっているものである。これらにより第2実施例のものは第1実施例より流量増大に対処できるものである。
【0022】
更に、図24〜27に示す第3実施例においては、円板A20では貫通孔22は孔径が第2実施例のものより小さいが、その数が6個となっていて、円板B21では貫通孔24の数が4個となって夫々2個増加している。これらは共に高さH、幅mでもって配置されるが、勿論、両方の貫通孔同士は重ならないようになっている。そして上方の位置決め用の穴26を基準に円板A,Bを重ねると、溝23と溝25の交差点Kは、図24に示すように、10本の横線により、計10個となり、これにより更なる流量増大に対処できるものである。
【0023】
【発明の効果】
以上に説明してきたように、本発明によれば、物質の微粒化に際し、各業界による各種物質について要望される粒径分布や所望される処理量の増大等多様な微粒化要求に的確に対処できる融通性良好で、しかも、経済的優位性を保障する物質の微粒化装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による装置全体のシステム図である。
【図2】図1の装置本体の縦断面図である。
【図3】本発明による第1の実施態様における第1実施例を示す一対の円板の模式的斜視図である。
【図4】図3における円板Aの合わせ面P面の正面図である。
【図5】図4のV−V線による断面図である。
【図6】図3における円板Bの合わせ面P面の正面図である。
【図7】図6の側面図である。
【図8】本発明による第1の実施態様における第2実施例であって、円板Aの合わせ面P面の正面図である。
【図9】図8のIX−IX線による断面図である。
【図10】図8に対応する円板Bの合わせ面P面の正面図である。
【図11】本発明による第1の実施態様における第3実施例であって、円板Aの合わせ面P面の正面図である。
【図12】図11のXII−XII線による断面図である。
【図13】図11に対応する円板Bの合わせ面P面の正面図である。
【図14】図13のXIV−XIV線による断面図である。
【図15】本発明による第2の実施態様における第1〜第3実施例のものを一括して示す一対の円板の模式的斜視図である。
【図16】図15の(a)第1実施例における円板Aの合わせ面P面の正面図である。
【図17】図16のXVII−XVII線による断面図である。
【図18】図15の(a)第1実施例における円板Bの合わせ面P面の正面図である。
【図19】図18のXIX−XIX線による断面図である。
【図20】図15の(b)第2実施例における円板Aの合わせ面P面の正面図である。
【図21】図20のXXI−XXI線による断面図である。
【図22】図15の(b)第2実施例における円板Bの合わせ面P面の正面図である。
【図23】図22のXXIII−XXIII線による断面図である。
【図24】図15の(c)第3実施例における円板Aの合わせ面P面の正面図である。
【図25】図24のXXV―XXV線による断面図である。
【図26】図15の(c)第3実施例における円板Bの合わせ面P面の正面図である。
【図27】図26のXXVII−XXVII線による断面図である。
【符号の説明】
1…原料供給口
2…高圧ポンプ
3…本体
4…微粒化製品の受入器
5…円筒体
6…円筒
7…円筒
8…ボルト
9…ピン
10…円板A
11…円板B
12…貫通孔
13…溝
14…貫通孔
15…位置決め用の穴
20…円板A
21…円板B
22…貫通孔
23…溝
24…貫通孔
25…溝
26…位置決め用の穴
P…合わせ面
XX…横直径線
YY…縦直径線
K…交差点
Claims (1)
- 原料供給口に供給される原料を加圧して本体に送り、この本体で前記原料中の物質を微粒化して取出す物質の微粒化装置において、前記本体は、入口及び出口付きの円筒体と、この円筒体に位置合わせされ面一にP面にて重ねられ組込まれる一対の円板A,Bを有し、該円板A,Bには互いに反対側の半円部に2個の貫通孔が夫々設けられ、また、該円板A,Bのいずれか一方のP面には当該一方の2個の貫通孔と接続し、かつ、横直径線XX及び縦直径線YYに対し対称な所定の形状の溝が設けられており、円板A,BをP面で重ねたとき、前記溝の両端部が他方の2個の貫通孔に連通するようになっていることを特徴とする物質の微粒化装置。
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