JP3696664B2 - Multi-plate clutch structure - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は自動変速機の湿式多板クラッチ構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下に従来の多板クラッチ構造について説明する。
【0003】
図9に示すように従来の多板クラッチ構造は、円筒形のドラム2内にハブ4のスプライン4aに咬合するドライブプレート5と、ドラム2にのスプライン2a咬合するドリブンプレート6が交互に重ね合わせて嵌装され、またこのドラム2内にこれらドライブプレート5とドリブンプレート6との一端側に作動するピストン7と、他端側に位置してこれらプレート5、6の脱出を防止するためのスナップリング8がリテーニングプレート9を介して嵌装されて構成されている。そしてリテーニングプレート9、ドライブプレート5およびドリブンプレート6とで摩擦プレート10を形成している。
【0004】
以上のような多板クラッチ構造1では、ピストン7はその背面側に供給される油圧によってリターンスプリング(図示せず)に抗して摩擦プレート10を押圧する方向に移動するようになされている。また、リテーニングプレート9、ドリブンプレート6はドラム2と共回りし、ドライブプレート5はハブ4と共回りしてこれらは各々異速回転しており、ピストン7に油圧が作動して各プレート5、6が押圧されると、これらは互いに摩擦しながら次第に締結されドラム2とハブ4とが同速回転になりハブ4の回転力が伝達される。
【0005】
そして、ドラム2とハブ4とが異速回転中には軸芯から油路を経由して油が供給されて、遠心力によりハブ4に形成された穴4bから摩擦プレート10に供給され摩擦プレート10の潤滑と冷却が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来の構成では、スナップリング8のセットの作業性確保のため、スナップリング8の板巾を広くしたり、板厚を厚くすることができず、また、図11に示すようにスナップリング8は端末8aが切れているために、ピストン7の作動時の力によって変形することがある。さらに、ピストン7の作動時の力点(F点)とスナップリングの支点(A点)とはオフセットの関係になっているために、スナップリング8とリテーニングプレート9は図10のような変形を起こしてしまう。
【0007】
この時のスナップリング8とドラム2の接点(A点)と、スナップリング8とリテーニングプレート9の接点(B点)とは図10のような片当りの関係位置にあり、結果的にドライブプレート5のフェーシング5aがドリブンプレート6に対して外側のみの局部当りになり、クラッチ焼けを発生し易いという問題点を有していた。
【0008】
本発明は上記の従来の問題点を解決するもので、ドライブプレートとドリブンプレートとの圧力分布を均一に保ち、クラッチ焼けの発生を防止する多板クラッチ構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の多板クラッチ構造は、ドラム内の底面側に軸方向に移動可能なピストンを備え、前記ドラム内の開口部側にリテーニングプレートを備え、前記ピストンと前記リテーニングプレートとの間にドライブハブのスプラインに咬合する複数のドライブプレートと、前記ドラムのスプラインに咬合する複数のドリブンプレートとが交互に重ね合わせて嵌装され、前記ピストンの移動によって前記ドライブプレートと前記ドリブンプレートとを締結して前記ハブのトルクをドラム側に伝達するようにした多板クラッチ構造において、前記ドラム内面に前記スプラインに連続し且つ前記リテーニングプレートのトルク伝達方向の円周上に嵌合溝を刻設し、該嵌合溝に前記リテーニングプレートの外歯を嵌合して抜止めした構成を有している。
【0010】
また、本発明の多板クラッチ構造は、前記ドラムのスプラインに前記リテーニングプレートを固定する止めピンを嵌入した構成を有している。
【0011】
さらに、本発明の多板クラッチ構造は、前記リテーニングプレートの外歯に嵌合する前記嵌合溝に段差を設けた構成を有している。
【0012】
【作用】
この構成によって、リテーニングプレートの外歯がドラム内面の嵌合溝に嵌合するので、リテーニングプレートの剛性によってドライブプレートとドリブンプレートとの摩擦面の圧力分布が均一に保たれて、クラッチ焼けの発生が防止される。
【0013】
また、ドラムのスプラインにリテーニングプレートを固定する止めピンを嵌入した構成によって、リテーニングプレートの固定が強固になる。
【0014】
さらに、リテーニングプレートの外歯に嵌合する嵌合溝に段差を設けた構成によって、外歯をトルク伝達方向に小回転した時に外歯が段差に嵌合するので、回り止めピンが不要であり、作業工程が短縮できてコストが安くなる。
【0015】
【実施例】
以下本発明の一実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
自動変速機の多板クラッチ構造11は、図1に示すように回転軸27に駆動されるドライブハブ14と、このハブ14の回転力をドラム12に伝達する摩擦プレート20とを備えている。即ち、円筒形のドラム12内にはハブ14のスプライン15に咬合するドライブプレート16と、ドラム12のスプライン13に咬合するドリブンプレート17とが交互に重ね合わせて嵌装され、またドラム12内にはこれらドライブプレート16とドリブンプレート17に作動するピストン18と、これらプレート16、17の脱出を防止するためのリテーニングプレート19とが嵌装されている。
【0017】
リテーニングプレート19はスナップリングを兼ねており、図2乃至図6に示すようにドラム12内面に、リテーニングプレート19の外歯22に嵌合する嵌合溝23がスプライン13に接続してトルク伝達方向(矢印方向)に形成されている。そして、リテーニングプレート19の外歯22をスプライン13に嵌装してトルク伝達方向に小回転すると、外歯22が嵌合溝23に嵌合してリテーニングプレート19がドラム12に固定されるようになっている。また、リテーニングプレート19の外歯22が嵌合溝23に入り易くするために、ドラム嵌合溝23のコーナーRを大きくとり、また溝巾は外歯厚さに対して僅かにプラスした寸法にして入り易く、且つガタをなくすようにしてある。
【0018】
さらに、トルク伝達方向の逆側はトルクはほとんどかからないが、1〜3箇所の止めピン24などをドラム12のスプライン13に嵌入することにより、リテーニングプレート19の固定が強固になされる。止めピン24の形状は図3、図4に示すように差し込み型にしてもよく、図5、図6に示すように挟み型にしてもよい。
【0019】
また、ピストン18は背面側に供給される油圧によってリターンスプリング21に抗してドライブプレート16とドリブンプレート17とを押圧する方向に移動してこれらプレート16、17を締結するように作用する。
【0020】
以上のように構成された多板クラッチ構造11は、リテーニングプレート19、ドリブンプレート17はドラム12と共回りし、ドライブプレート16はハブ14と共回りしてこれらは各々異速回転しているが、ピストン18に油圧が作動して各プレート16、17が押圧されると、これらは摩擦しながら締結されてドラム12とハブ14とが同速回転になりハブ14の回転力がドラム12に伝達される。
【0021】
この時、図7に示すようにリテーニングプレート19の外歯22がドラム内面の嵌合溝23に嵌合しており、ピストン18の押圧力に対して支点X、Y点でドラム12に保持されている。また、リテーニングプレート19は剛性を有するので、これによってドライブプレート16とドリブンプレート17との摩擦面圧力分布が均一に保たれて、クラッチ焼けの発生が防止される。
【0022】
さらに、端末に切れ目があり、板巾、厚さが小さく剛性の少ないスナップリングを廃止することにより、クラッチ長さを短くすることができスペースセーブが可能でコストダウンとなる。また、重量が軽くなり回転(損失)エネルギーが多少減少する。
【0023】
また、図8に示すようにリテーニングプレート19の外歯22が嵌合する嵌合溝23に段差25を形成することにより、外歯22をトルク伝達方向に小回転した時に外歯22が段差25に嵌合するので、回り止めピンが不要であり、作業工程が短縮できてコストが安くなる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明は、ドラム内の底面側に軸方向に移動可能なピストンを備え、ドラム内の開口部側にリテーニングプレートを備え、前記ピストンと前記リテーニングプレートとの間にドライブハブのスプラインに咬合する複数のドライブプレートと、前記ドラムのスプラインに咬合する複数のドリブンプレートとが交互に重ね合わせて嵌装され、前記ピストンの移動によって前記ドライブプレートと前記ドリブンプレートとを締結して前記ハブのトルクをドラム側に伝達するようにした多板クラッチ構造において、前記ドラム内面に前記スプラインに連続し且つ前記リテーニングプレートのトルク伝達方向の円周上に嵌合溝を刻設し、該嵌合溝に前記リテーニングプレートの外歯を嵌合して抜止めすることにより、リテーニングプレートの外歯がドラム内面の嵌合溝に嵌合するので、リテーニングプレートの剛性によってドライブプレートとドリブンプレートとの摩擦面圧力分布が均一に保たれて、クラッチ焼けの発生が防止され、且つ、スナップリングを廃止したために、このスナップリングの設置スペース分の空間がドラム側に形成されることとなって、この空間の一部を利用して、リテーニングプレートの板厚をより厚くすることが可能となり、この小量の板厚変化でも板厚の3乗に相当するリテーニングプレートの剛性を非常に高めることとなる優れた多板クラッチ構造を実現できるものである。
【0025】
また、前記ドラムのスプラインに前記リテーニングプレートを固定する止めピンを嵌入することにより、リテーニングプレートの固定が強固になる。
【0026】
さらに、前記リテーニングプレートの外歯が嵌合する前記嵌合溝に段差を形成することにより、外歯をトルク伝達方向に小回転した時に外歯が段差に嵌合するので、回り止めピンが不要であり、作業工程が短縮できてコストが安くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における多板クラッチ構造の断面図である。
【図2】同ドラムに嵌装されたリテーニングプレートの斜視図である。
【図3】同止めピンを嵌入したリテーニングプレートの斜視図である。
【図4】(a)図3のA−A線に沿う断面図である。(b)図3のB−B線に沿う断面図である。
【図5】同他の止めピンを嵌入したリテーニングプレートの斜視図である。
【図6】(a)図5のC−C線に沿う断面図である。
(b)図5のD矢視方向の側面図である。
【図7】同多板クラッチ構造の要部拡大断面図である。
【図8】同他のリテーニングプレート嵌合溝の断面図である。
【図9】従来の多板クラッチ構造の要部断面図である。
【図10】同部分拡大断面図である。
【図11】同スナップリングの部分平面図である。
【符号の説明】
11 多板クラッチ構造
12 ドラム
13 スプライン
14 ハブ
16 ドライブプレート
17 ドリブンプレート
18 ピストン
19 リテーニングプレート
22 外歯
23 嵌合溝[0001]
[Industrial application fields]
The present invention relates to a wet multi-plate clutch structure for an automatic transmission.
[0002]
[Prior art]
A conventional multi-plate clutch structure will be described below.
[0003]
As shown in FIG. 9, in the conventional multi-plate clutch structure, the
[0004]
In the multi-plate clutch structure 1 as described above, the piston 7 is moved in the direction of pressing the
[0005]
During the rotation of the
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the above-described conventional configuration, in order to ensure the workability of the set of the
[0007]
At this time, the contact point (point A) between the
[0008]
SUMMARY OF THE INVENTION An object of the present invention is to solve the above-described conventional problems, and to provide a multi-plate clutch structure that maintains a uniform pressure distribution between a drive plate and a driven plate and prevents the occurrence of clutch burn.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve this object, the multi-plate clutch structure of the present invention includes a piston that is movable in the axial direction on the bottom surface side in the drum, a retaining plate on the opening side in the drum, and the piston and the A plurality of drive plates that engage with the splines of the drive hub and a plurality of driven plates that engage with the splines of the drum are alternately overlapped and fitted between the retaining plates, and the drive plates are moved by the movement of the pistons. In the multi-plate clutch structure in which the torque of the hub is transmitted to the drum side by fastening the driven plate and the driven plate, the drum inner surface is continuous with the spline and on the circumference of the retaining plate in the torque transmission direction. A fitting groove is cut in the fitting groove, and the external teeth of the retaining plate are fitted into the fitting groove to prevent it from being removed. It has a configuration.
[0010]
Further, the multi-plate clutch structure of the present invention has a configuration in which a stop pin for fixing the retaining plate is fitted into the spline of the drum.
[0011]
Furthermore, the multi-plate clutch structure of the present invention has a configuration in which a step is provided in the fitting groove that is fitted to the external teeth of the retaining plate.
[0012]
[Action]
With this configuration, the external teeth of the retaining plate are fitted in the fitting groove on the drum inner surface, so that the pressure distribution on the friction surface between the drive plate and the driven plate is kept uniform by the rigidity of the retaining plate, and the clutch burns. Is prevented from occurring.
[0013]
Further, the retaining plate is firmly fixed by the structure in which the stop pin for fixing the retaining plate is fitted to the spline of the drum.
[0014]
In addition, the structure in which the step is provided in the fitting groove that fits the external teeth of the retaining plate allows the external teeth to fit into the step when the external teeth are rotated in the torque transmission direction, eliminating the need for a locking pin. Yes, the work process can be shortened and the cost is reduced.
[0015]
【Example】
An embodiment of the present invention will be described below with reference to the drawings.
[0016]
As shown in FIG. 1, the multi-plate clutch structure 11 of the automatic transmission includes a
[0017]
The
[0018]
Further, although the torque is hardly applied on the opposite side in the torque transmission direction, the retaining
[0019]
Further, the
[0020]
In the multi-plate clutch structure 11 configured as described above, the retaining
[0021]
At this time, as shown in FIG. 7, the
[0022]
Further, by eliminating the snap ring with a cut end, a small plate width and a small rigidity, the clutch length can be shortened, space can be saved and the cost can be reduced. Also, the weight is reduced and the rotational (loss) energy is somewhat reduced.
[0023]
Further, as shown in FIG. 8, by forming a
[0024]
【The invention's effect】
As described above, the present invention includes a piston that is movable in the axial direction on the bottom surface side in the drum, a retaining plate on the opening side in the drum, and a drive hub between the piston and the retaining plate. A plurality of drive plates that mesh with the splines of the drum and a plurality of driven plates that mesh with the splines of the drum are alternately overlapped and fitted, and the drive plate and the driven plate are fastened by movement of the piston In the multi-plate clutch structure configured to transmit the torque of the hub to the drum side, a fitting groove is formed on the inner surface of the drum so as to be continuous with the spline and on the circumference in the torque transmission direction of the retaining plate, By retaining the retaining plate by fitting the external teeth of the retaining plate into the fitting groove, the retaining plate Since the external teeth fit into the fitting groove on the drum inner surface, the rigidity of the retaining plate keeps the friction surface pressure distribution between the drive plate and driven plate uniform, preventing the occurrence of clutch burning and snapping. Since the ring is abolished, a space equivalent to the installation space of this snap ring is formed on the drum side, and it is possible to make the thickness of the retaining plate thicker by using a part of this space Thus, even with this small change in plate thickness, it is possible to realize an excellent multi-plate clutch structure that greatly increases the rigidity of the retaining plate corresponding to the cube of the plate thickness.
[0025]
Further, the retaining plate is firmly fixed by inserting a retaining pin for fixing the retaining plate into the spline of the drum.
[0026]
Further, by forming a step in the fitting groove into which the external teeth of the retaining plate are fitted, the external teeth are fitted into the step when the external teeth are rotated in the torque transmission direction. It is not necessary, the work process can be shortened, and the cost is reduced.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view of a multi-plate clutch structure in one embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a perspective view of a retaining plate fitted to the drum.
FIG. 3 is a perspective view of a retaining plate fitted with a locking pin.
4A is a cross-sectional view taken along line AA in FIG. (B) It is sectional drawing which follows the BB line of FIG.
FIG. 5 is a perspective view of a retaining plate fitted with another stop pin.
6A is a cross-sectional view taken along the line CC in FIG.
(B) It is a side view of the D arrow direction of FIG.
FIG. 7 is an enlarged cross-sectional view of a main part of the multi-plate clutch structure.
FIG. 8 is a sectional view of another retaining plate fitting groove.
FIG. 9 is a cross-sectional view of a main part of a conventional multi-plate clutch structure.
FIG. 10 is an enlarged sectional view of the same part.
FIG. 11 is a partial plan view of the snap ring.
[Explanation of symbols]
11 Multi-plate
Claims (3)
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1995
- 1995-08-10 JP JP22458295A patent/JP3696664B2/en not_active Expired - Lifetime
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