JP3696229B2 - 超音波流量計および流量の計測方法 - Google Patents

超音波流量計および流量の計測方法 Download PDF

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Description

本発明は超音波を用いて流体の流量を計測する超音波流量計および流体の流量を計測する方法に関する。また、本発明はガスメータにも関する。
超音波流量計は、構造が簡単である、機械的可動部分が少ない、流量の計測可能な範囲が広い、流量計による圧力損失がないなどの特徴を備えている。また、近年のエレクトロニクス技術の進歩によって、超音波流量計の計測精度を向上させることも可能になってきた。このため、ガスメータをはじめ、気体や液体の流量の計測が必要なさまざま分野において超音波流量計を用いる研究がなされている。
以下、従来の超音波流量計の構造および計測原理を説明する。図12は、従来の超音波流量計の一例を示すブロック図である。図12に示す従来の超音波流量計は、たとえば非特許文献1に開示されている。図12に示すように、流体が流れる流路14を挟むように超音波振動子1および2が配置される。超音波振動子1および2は、それぞれ送信器および受信器として機能する。つまり、超音波振動子1を送信器として用いる場合には超音波振動子2を受信器として用い、超音波振動子2を送信器として用いる場合には超音波振動子1を受信器として用いる。図12に示すように、超音波振動子1および2の間に形成される超音波の伝播路は流体の流れる方向に対して角度θだけ傾いている。
超音波振動子1から超音波振動子2へ超音波を伝播させる場合、超音波は流体の流れに対して順方向に進むため、その速度は速くなる。一方、超音波振動子2から超音波振動子1へ超音波を伝播させる場合、超音波は流体の流れに対して逆方向に進むため、その速度は遅くなる。従って、超音波振動子1から超音波振動子2へ超音波が伝播する時間と超音波振動子2から超音波振動子1へ超音波が伝播する時間との差から、流体の速度を求めることができる。また、流路14の断面積と流速との積から流量を求めることができる。
上述の原理に従って流体の流量を求める具体的な方法として、シングアラウンド法による計測方法を具体的に説明する。
図12に示すように、超音波流量計は送信部3および受信部6を備え、超音波振動子1は、切り替え部10によって送信部3または受信部6の一方と選択的に接続される。この時、超音波振動子2は、超音波振動子1が接続されなかった送信部3または受信部6の他方と接続される。
送信部3と超音波振動子1とが接続される場合、送信部3が超音波振動子1を駆動し、発生した超音波は流体の流れを横切って超音波振動子2に到達する。超音波振動子2によって受信された超音波は、電気信号に変換され、受信信号が受信部6によって増幅される。ゼロクロス検知部7では、受信信号が所定のレベルに達した直後のゼロクロスポイントが検知され、ゼロクロス検知信号が生成される。ゼロクロスポイントとは受信信号の振幅が正から負または負から正へ変化する点をいう。このゼロクロスポイントを超音波振動子2において超音波が到達した時刻としている。ゼロクロス検知信号に基づいて、所定の時間遅らせたタイミングでトリガ信号を生成し送信部3へ入力する。ゼロクロス検知信号の生成からトリガ信号の生成までの時間を遅延時間と呼ぶ。
送信部3はトリガ信号に基づいて超音波振動子1を駆動し、次の超音波を発生させる。このように超音波の送信−受信−増幅・遅延−送信のループの繰り返すことをシングアラウンドと呼び、ループの回数をシングアラウンド回数と呼ぶ。
計時部9では、所定の回数、ループを繰り返すのに要した時間を計測し、計測結果が流量算出部11へ送られる。次に、切り替え部10を切り替えて、超音波振動子2を送信器として用い、超音波振動子1を受信器として用いて、同様に計測を行う。
上述の方法によって計測した時間から遅延時間とシングアラウンド回数とを乗じた値を引き、更にシングアラウンド回数で除した値が超音波の伝播時間となる。超音波振動子1を送信側にしたときの伝播時間をt1とし、超音波振動子2を送信側にしたときの伝播時間をt2とする。
また、図12に示すように、超音波振動子1と超音波振動子2との間の距離をLとし、流体の流速および超音波の音速をそれぞれVおよびCとする。
この時、t1およびt2は以下の式で表される。
Figure 0003696229
これらの式から流速Vは以下の式で表される。
Figure 0003696229
流体の流速Vが求まれば、流路14の断面積と流速Vとの積から流量Qが求まる。
日本電気計測器工業会規格、JEMIS 5032「超音波による流量測定法」(社)日本電気計測工業会、1987年
上述の超音波流量計では、超音波振動子1と超音波振動子2との間を伝播する超音波の伝播時間t1およびt2をゼロクロス検知により計測している。このため、超音波振動子1から送信した超音波を超音波振動子2で受信したときの波形と超音波振動子2から送信した超音波を超音波振動子1で受信したときの波形とは一致している必要がある。
しかし、実際には超音波振動子1と超音波振動子2との特性の違いから、波形は完全には一致しない。図13は、流体の流速がゼロであり、超音波振動子1と超音波振動子2との特性が異なる場合において、超音波振動子1から送信した超音波を超音波振動子2で受信したときの波形18と超音波振動子2から送信した超音波を超音波振動子1で受信したときの波形19とを示している。受信信号がレベルaを超えた直後のゼロクロスポイントは、波形18および波形19ではそれぞれ点18aおよび19aとなり、これらの点は一致しない。つまり、計測すべき気体や液体が流れていない場合であっても、誤った流量を示してしまう。
また、超音波振動子1は圧電素子で構成されており、圧電素子の特性は一般に温度依存性がある。図14は、流体の流速がゼロである場合において、上記伝播時間t1とt2との差Δtの温度依存性を示している。図14において曲線20aで示すように、温度に対してほぼ比例してΔtが変化する場合や、曲線20bあるいは曲線20cで示すように、温度の上昇と共に急激にΔtが増大したり、減少したりする場合がある。これは、超音波振動子1および超音波振動子2の特性の温度依存性が異なっており、その結果、組み合わせた特性の変化の傾向にも種々のパターンが考えられるからである。
したがって、従来の超音波流量計を用いてガスメータ作製した場合、2つの超音波振動子の特性差により生じる誤差のために、ガスを使っていないのにガスを使用していると計測される可能性がある。また、その特性差の温度依存性のために1日のうちでも気温が低い朝方と気温が上昇した日中とでは、同じガス器具を使用していても使用量が異なって計測されることとなる。
また、単に計測に誤差が生じるだけではなく、ガスメータにガス漏れ検知機能を付加した場合には、その検知機能の信頼性を低下させる可能性もある。
本発明は、このような従来の問題を解決し、精度の高い計測を行うことが可能な超音波流量計を提供することを目的とする。
本発明の超音波流量計は、超音波を送受信し、流体の流路中に前記超音波の伝播経路を形成するように配置される第1および第2の超音波振動子と、前記第1および第2の超音波振動子の一方を駆動する送信部と、前記送信部に接続され、前記送信部の出力インピーダンスを調整する第1の整合部と、前記調整された出力インピーダンスとほぼ等しい、または、前記調整された出力インピーダンスよりも小さい入力インピーダンスを有し、前記第1および第2の超音波振動子の他方に到達した超音波を受信する受信部とを備え、前記伝播経路間を伝播する超音波の双方向の伝播時間差を検出することにより流体の流量を計測する。
ある好ましい実施形態において、前記調整された出力インピーダンスは、前記第1および第2の超音波振動子の一方が共振周波数において有しているインピーダンス値の1/2よりも大きくなっている。
ある好ましい実施形態において、前記調整された出力インピーダンスが、前記第1および第2の超音波振動子の一方のインピーダンス値と実質的に等しくなっている。
ある好ましい実施形態において、前記入力インピーダンスは、40Ω以下であるより好ましくは20Ω以下である。
ある好ましい実施形態において、超音波流量計は、前記第1または第2の超音波振動子と前記送信部とのインピーダンスの不整合により生じる反射波を検知するための反射波検知部を更に備える。
ある好ましい実施形態において、超音波流量計は前記反射波検知部に反射波を選択的に導くための方向性結合器を更に備える。
ある好ましい実施形態において、超音波流量計は前記反射波検知部で検知した反射波に基づいて、前記第1の整合部を制御する制御部を更に有する。
ある好ましい実施形態において、超音波流量計は前記第1の整合部と前記第1および第2の超音波振動子のいずれかとを選択的に接続する第1の切り替え部および前記受信部と前記第1および第2の超音波振動子のいずれかとを選択的に接続する第2の切り替え部を更に備える。
ある好ましい実施形態において、前記出力インピーダンスが、前記切り替え部により選択した超音波振動子の共振周波数におけるインピーダンスと実質的に整合するよう前記第1の整合部を調節する。
ある好ましい実施形態において、前記送信部出力インピーダンスを調整する第2の整合部、前記送信部と前記第1の整合部および前記第2の整合部のいずれかとを選択的に接続する第1の切り替え部、ならびに前記受信部と前記第1および第2の超音波振動子のいずれかとを選択的に接続する第2の切り替え部を更に備え、前記第1および前記第2の整合部はそれぞれ前記第1または第2の超音波振動子と接続されている。
ある好ましい実施形態において、前記出力インピーダンスが、前記第1および第2の超音波振動子の共振周波数におけるインピーダンスと実質的に整合するよう前記第1および第2の整合部を調節する。
ある好ましい実施形態において、前記第1および第2の超音波振動子は、厚み振動モードで振動する。
ある好ましい実施形態において、超音波流量計は、前記受信部で増幅された受信信号を検知するための検知部を更に備え、前記検知部において前記受信信号の到達時刻をゼロクロスポイントにより決定する。
ある好ましい実施形態において、超音波流量計は、前記受信部で増幅された受信信号を検知するための検知部を更に備え、前記検知部において前記受信信号に複数のゼロクロスポイントを設定し、前記複数のゼロクロスポイントを用いて流量の補正を行う。
ある好ましい実施形態において、超音波流量計は、前記受信部と前記検知部との間に設けられ、前記受信信号から前記第1および第2の超音波振動子の共振周波数成分のみを抽出するバンドパスフィルタをさらに備える。
また、本発明のガスメータは、ガスが流れる流路に設けられた上記いずれかの超音波流量計と、前記流路を流れるガスを遮断する遮断弁と、前記超音波流量計および遮断弁を制御する制御装置とを備える。
また、本発明の流体の流量を計測する方法は、一対の超音波振動子を送信器および受信器として用いて流体の流路中に超音波の伝播経路を形成し、前記一対の超音波振動子の一方を駆動するための送信部と、前記送信部の出力インピーダンスとほぼ等しいか、または前記送信部の出力インピーダンスより小さい入力インピーダンスを有し、前記一対の超音波振動子の他方に到達した超音波を受信する受信部とを用いて前記伝播経路に沿って双方向に超音波を伝播させて双方向の伝播時間差を検出する。
ある好ましい実施形態において、前記送信部の出力インピーダンスを送信器として用いる前記超音波振動子の共振周波数におけるインピーダンスの少なくとも1/2以上の値となるよう調整し、前記超音波を受信するための受信部の入力インピーダンスを前記送信部の出力インピーダンスの値以下にする。
ある好ましい実施形態において、前記送信部の出力インピーダンスを送信器として用いる前記超音波振動子の共振周波数におけるインピーダンス値と実質的に等しい値になるよう調節する。
ある好ましい実施形態において、前記受信部の入力インピーダンスを40Ω以下より好ましくは、20Ω以下にする。
ある好ましい実施形態において、前記一対の超音波振動子と前記送信部とのインピーダンスの不整合により生じる反射波を検知し、前記反射波が小さくなるよう前記送信部の出力インピーダンスを調整する。
本発明の超音波流量計によれば、2つの超音波振動子の特性の違いに基づく受信波の差異を小さくすることができ、特性の差異に基づく計測誤差を小さくすることができる。したがって、高い精度で流量を計測することができる。
まず、本発明による超音波流量計の動作原理を説明する。
図1(a)に示すように、流体の流路14に第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2を配置して、流体の流量を計測するものとする。図1(a)では、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2に送信部3および受信部6をそれぞれ接続し、第1の超音波振動子1から送信した超音波を第2の超音波振動子2で受信する場合を考える。図1(b)は、図1(a)に示す部分をFパラメータを用いた四端子回路網によって示している。図1(b)に示すように、第1の超音波振動子1、第2の超音波振動子2および流路14からなる系を伝送線路16とする。また、送信部3の出力インピーダンスをZSとし、受信部6の入力インピーダンスをZRとする。送信部3の端子k−k’間の無負荷電圧をVで示す。端子k−k’間に伝送線路16が接続されている場合において、端子k−k’間の電圧をVkとし、端子kを流れる電圧をIkとする。また、入力インピーダンスZRを流れる電流をI2とする。
この時、端子k−k’から見た伝送線路16およびそれに接続された受信部6からなる系のインピーダンスZkは、Fパラメータを用いて以下の式(3)で表される。
Figure 0003696229
次に図2(a)に示すように、送受信の方向を入れ替え、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2に受信部6および送信部3を接続する場合を考える。第1の超音波振動子1、第2の超音波振動子2および流路14からなる系を伝送線路17とする。また、送信部3の出力インピーダンスをZS’とする。受信部6の入力インピーダンスは変わらない(ZR)ものとする。また、送信部3の端子k−k’間の無負荷電圧をVとし、端子k−k’に伝送線路17が接続されている場合において、端子kーk’間の電圧をVk’とし、端子kを流れる電圧をIk’とする。また、入力インピーダンスZRを流れる電流をI2’とする。
この時、端子k−k’から見た伝送線路17およびそれに接続された受信部6からなる系のインピーダンスZk’は、以下の式(4)で表される。
Figure 0003696229
一方、送信部3の端子k−k’間の電圧VkおよびVk’は、V、ZSおよびZS’を用いてそれぞれ式(5)および(6)で示される。
Figure 0003696229
Figure 0003696229
式(5)および式(6)に式(3)および(4)をそれぞれ代入すると、Vk、Vk’はそれぞれ以下に示す式(7)および式(8)で表される。
Figure 0003696229
Figure 0003696229
また、受信部6において、電圧はZR2およびZR2’で表される。したがって、端子k−k’間の電圧VkおよびVk’は、伝送線路16および17のFパラメータと電流I2およびI2’とを用いて以下のように示すことができる。
Figure 0003696229
Figure 0003696229
従って、式(7)および式(9)から以下の式(11)が得られる。同様に、式(8)および式(10)から以下の式(12)が得られる。
Figure 0003696229
Figure 0003696229
式(11)および式(12)において、受信インピーダンスZRがZR=0を満たすとき、式(11)および式(12)は以下の式(13)および(14)で表される。
Figure 0003696229
Figure 0003696229
式(13)および式(14)において、ZS=B/DでありZS’=B/Aであならば、I2=I2’となる。つまり、第1の超音波振動子1と第2の超音波振動子2との間で送受信を切り替えても、受信部3において受信する受信波に差異がないことを示している。
また、入力インピーダンスZRがゼロ(ZR=0)である場合、式(3)および式(4)より、Zk=B/Dであり、Zk’=B/Aとなる。上述の仮定から、この時、ZS=Zkであり、ZS’=Zk’となる。これは、送信部3の出力インピーダンスZSまたはZS’が、伝送線路16または17およびそれに接続された受信部6からなる系のインピーダンスZkまたはZk’と等しくなっていることを示している。つまり、送信部3の出力インピーダンスが第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2のインピーダンスと等しくなっている。
以上から明らかなように、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2を用いて、流路14を移動する流体の流量を計測する場合、受信部6の入力インピーダンスをゼロにして、送信部3の出力インピーダンスを第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2のインピーダンスと一致させる(マッチングさせる)ことによって、超音波振動子1から送信した超音波を超音波振動子2で受信したときの波形と超音波振動子2から送信した超音波を超音波振動子1で受信したときの波形とが一致する。
超音波振動子は、一般に図3に示すようなインピーダンス−周波数特性を備え、周波数によってインピーダンスが異なる。共振周波数frにおいて、インピーダンス値は最低となる。このため、送信部3の出力インピーダンスを、すべての帯域において第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2のインピーダンスと一致させることは現実的には難しい。しかし、超音波振動子を送信器として用いる場合、共振周波数において超音波振動子を駆動させるため、送信部3の出力インピーダンスを第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2のインピーダンスと一致させるという条件は、送信部3の出力インピーダンスを第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の共振周波数におけるインピーダンスに一致させることになる。
これらの条件は数式から導かれる理想的なものであり、これらの条件を満たすとき、最も高い本発明の効果が得られる。しかし、本発明の効果が得られるのはこの条件を完全に満たす時のみに限られるわけではなく、受信部6の入力インピーダンスが低い値であり、また、送信部3の出力インピーダンスが第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の共振周波数におけるインピーダンスに近い値になっておればよい。また、実際の回路において、入力インピーダンスが完全にゼロとなることはない。
本願発明者の詳細な検討によれば、送信部3の出力インピーダンスが、第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2の共振周波数におけるインピーダンスの少なくとも1/2以上の値であり、受信部6の入力インピーダンスがおおよそ100Ω以下であれば、超音波振動子1および第2の超音波振動子2の特性の違いに大きく影響されることなく、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2のより受信される受信波が実質的に同一となる。受信部6の入力インピーダンスは、好ましくは、40Ω以下であり、20Ω以下であればより好ましい。また、送信部3の出力インピーダンスが第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2の共振周波数におけるインピーダンスのおよそ±20%の値であり、受信部6の入力インピーダンスがおおよそ10Ω以下であれば更に好ましい。
ここで、これらの入力インピーダンスおよび出力インピーダンスは、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2からみた送信部側の出力インピーダンスおよび受信部側の入力インピーダンスを意味している。つまり、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2と送信部3および受信部6との間に存在しうる配線抵抗や切り替え器等の抵抗も入力インピーダンスや出力インピーダンスに含まれる。
一般に、送信素子を送信部で駆動する場合、送信部の出力インピーダンスは低いほうが、送信素子に高い電圧が印加できるため好ましい。一方、受信素子で受信した信号を受信部で増幅する場合、受信素子で受信する信号の大きさにかかわらず安定して受信信号を検知、増幅するためには受信部の入力インピーダンスは大きい方が好ましい。このような理由により、従来の超音波流量計においては、受信部の入力インピーダンスは送信部の出力インピーダンスはよりも大きくなっていた。具体的には、受信部の入力インピーダンスは数十KΩから数百KΩに設定され、送信部の出力インピーダンスは、数十Ωから数百Ωに設定されていた。
これに対して、上述の条件では、受信部の入力インピーダンスを従来の値の1/1000以下にする。超音波流量計の計測に用いられる典型的な特性(共振周波数および共振周波数におけるインピーダンス)を備えた超音波振動子を第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2として用いる場合には、受信部の入力インピーダンスは、送信部の出力インピーダンスとおおよそ等しいかまたは送信部の出力インピーダンスよりも小さくなる。受信部の入力インピーダンスが送信部の出力インピーダンスとおおよそ等しい場合、受信部の入力インピーダンスは従来の値の1/1000程度にまで小さくなる。したがって、従来の超音波流量計に比べて十分受信部の入力インピーダンスは小さくなり、超音波振動子1および第2の超音波振動子2の特性の違いによる受信波の差異を小さくすることができる。そして、受信部の入力インピーダンスが送信部の出力インピーダンスより小さく、ゼロに近い値をとるほど、超音波振動子1および第2の超音波振動子2の特性の違いによる受信波の差異をより小さくすることができる。
以下、本発明による超音波流量計の好ましい実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図4は、本発明による超音波流量計の第1の実施形態を示すブロック図である。超音波流量計51は、流体の流路14中に超音波の伝播経路を形成するように配置される第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2と、送信部3と、整合部5と、受信部6とを備えている。
第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2は、それぞれが送信器および受信器として機能する。第1の超音波振動子1から送信された超音波は第2の超音波振動子2により受信され、第2の超音波振動子2から送信された超音波は第1の超音波振動子1により受信する。これら双方向の伝播路は、流路14を流れる流体の流れる方向に対して角度θをなしている。角度θの大きさは、10〜40度の範囲内から選択される。
第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2としては、厚み振動モード、横すべり振動モード、縦振動モード等の振動モードにより、おおよそ20KHz以上の周波数で駆動され、超音波流量計として従来から使用される種々の超音波振動子を用いることができる。計測すべき流体の状態や種類、予測される流速などに応じて最適な周波数が適宜選択される。本実施形態では、例えば厚み振動モードで振動し、500KHzの共振周波数をもつ超音波振動子が用いられる。共振周波数における抵抗値は150〜200Ωである。
第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2は、切り替え部12を介して整合部5へ接続されており、切り替え部12による選択によって、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2のどちらか一方が選択的に整合部5へ接続される。整合部5は送信部3に接続されており、送信部3と第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2とのインピーダンスを整合させるために送信部3の出力インピーダンスを調節する。
また、超音波流量計51は、送信部3と整合部5との間に設けられた方向性結合器15および方向性結合器15に接続された反射波検知部4を更に備える。送信部3と第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2とのインピーダンスが整合していない場合、第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2へ送信される駆動信号は、インピーダンスの不整合によって第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2において反射され、送信部3へ戻ってくる。
方向性結合器15は、この反射波を反射波検知部4へ導く。また、送信部3から第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2へ送信される駆動信号は、反射波検知部4へ導かないように構成されている。
第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2は、切り替え部13を介して受信部6に接続される。第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2に到達した超音波は電気信号に変換され、受信信号が受信部6によって増幅される。受信部6における入力インピーダンスは、20Ω以下であることが好ましく、第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2から受信部側を見たときの切り替え部13を含む入力インピーダンスは40Ω以下であることが好ましい。本実施形態では、受信部6の入力インピーダンスは、2Ωである。第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2に到達した超音波による電気信号が十分大きい場合には必ずしも受信部6は受信信号を増幅しなくてもよい。
整合部5に第1の超音波振動子1が接続されるときには、受信部6が第2の超音波振動子2に接続され、整合部5に第2の超音波振動子2が接続されるときには、受信部6が第1の超音波振動子1に接続されるよう切り替え部12と切り替え部13とは連動していることが好ましい。切り替え部12および切り替え部13は、トグルスイッチのような機械的なものであってもよいし、電子部等により構成されるものであってもよい。
受信部6によって増幅された受信信号は、ゼロクロス検知部7へ送られ、ゼロクロス検知部7において、受信信号が所定のレベルに達した直後のゼロクロスポイントが検知される。これにより、ゼロクロス検知信号が生成される。なお、受信部6とゼロクロス検知部7との間に受信信号から第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の共振周波数成分のみを抽出するバンドパスフィルタを設けてもよい。
繰り返し部8は、ゼロクロス検知信号に基づいて、所定の時間遅らせたタイミングでトリガ信号を生成し、トリガ信号を送信部3へ出力する。送信部3は、トリガ信号に基づいて、第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子を駆動する。
計時部9は、所定の回数、シングアラウンドを繰り返すのに要した時間を計測し、計測結果を流量算出部11へ送る。反射波検知部4および整合部5を除く各部はマイコン等の演算装置によって制御される。
図5は、超音波流量計51の送信部3、方向性結合器を含む反射波検出部4’、整合部5および受信部6の具体的な構成の一例を示す回路図である。図5に示すように、受信部6はオペアンプ6aを含んでおり、オペアンプ6aの出力は抵抗6bを用いて負帰還させている。また、オペアンプ6aの反転入力端子は、抵抗を介さずに第1の超音波振動子1または第2の超音波振動へ接続される。このような構成によって、受信部6の入力インピーダンスを2Ωにすることができる。
反射波検出部4’は、コイル4aおよび4bと方向性結合器とを含む。整合部5を介して第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2から戻ってきた反射波は、コイル4aおよび4bによって検出され、その信号は定電圧ダイオード4dを介して検波出力端子4hから出力される。一方、送信部3から第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2へ送られる駆動信号も、コイル4aおよび4bにより検知されるが、その信号は抵抗4cを介して接地される。このため、検波出力端子4hに駆動信号が出力されることはない。このように、反射波を検知するコイル4aおよび4bは、方向性結合器によって整合部5と送信部3との間に挿入されている。
整合部5は、可変インダクタ5aを含み、トリマ等を回転させることによってインダクタンスを変化させ、送信部3の出力インピーダンスを変化させることができる。
図5に示していないゼロクロス検知部7、繰り返し部8、計時部9および流量算出部11には公知の構成を有するハードウエアあるいはソフトウエアを用いることができる。
次に、超音波流量計51を用いて流体の流量を計測する手順を説明する。まず、図4に示すように切り替え部12および13を用いて、整合部5を第1の超音波振動子1へ接続し、受信部13を第2の超音波振動子2へ接続する。
流量を計測する前に、送信部3の出力インピーダンスを第1の超音波振動子1の共振周波数におけるインピーダンスとマッチングさせる。このため、送信部3から駆動信号を発生させて第1の超音波振動子1から超音波を発生させる。この時、送信部3と第1の超音波振動子1とのインピーダンスが一致していないと、駆動信号の一部は、第1の超音波振動子1において反射され、反射波として整合部5へ戻ってくる。そして、反射波は方向性結合器15を介して反射波検知部4へ導かれ、反射波検知部4によって検知される。反射波検知部4の検波出力端子4hにパワーメータなどを接続し、例えば反射波の電力値を計測する。送信部3と第1の超音波振動子1とのインピーダンス差が大きいほど反射波も大きくなり、反射波の電力値も大きくなる。また、送信部3の出力インピーダンスが第1の超音波振動子1の共振周波数におけるインピーダンスと完全に一致する場合には、電力値はゼロとなる。なお、反射波の大きさを示す情報として、電力値以外に定在波比や、リターンロスを反射波検知部4で検出してもよい。
計測によって得られた電力値に基づいて、整合部5の可変インピーダンス5aを変化させ、送信部3の出力インピーダンスを第1の超音波振動子1の共振周波数におけるインピーダンスに近づける。そして、ふたたび第1の超音波振動子1から超音波を発生させ、反射波の電力値を計測し、得られた電力値に基づいて、整合部の可変インピーダンス5aを調整する。この手順を繰り返し、反射波の電力値が所定の値、あるいは、電力値が所定の範囲内になるようにする。
上述したように、送信部3の出力インピーダンスは第1の超音波振動子1の共振周波数におけるインピーダンスの少なくとも1/2以上であることが好ましく、第1の超音波振動子1の共振周波数におけるインピーダンスの±20%の値であることがより好ましい。したがって、送信部3の出力インピーダンスが第1の超音波振動子1の共振周波数におけるインピーダンスの1/2となるときの反射波の電力値、あるいは、送信部3の出力インピーダンスが第1の超音波振動子1の共振周波数におけるインピーダンスの±20%の値になるときの反射波の電力値の範囲を求めておき、これらの値や範囲を上記調整の目標値とすればよい。
このように送信部3の出力インピーダンスを調整したあと、流量の計測を行う。図4および図6に示すように、トリガ信号21を送信部3に入力し、駆動信号を生成させ、第1の超音波振動子1から超音波を発生させる。流路14を伝播した超音波は、第2の超音波振動子2によって受信され、受信部6によって受信信号22として検知される。ゼロクロス検知部7では、受信信号22が所定のレベルに達した直後のゼロクロスポイントが検知され、ゼロクロス検知信号が生成される。繰り返し部8は、ゼロクロス検知信号に基づいて、所定の遅延時間23を経た後にトリガ信号21’を生成し、送信部3へトリガ信号21’を出力する。これにより、シングアラウンドの1ループを構成する。
所定の回数(例えば50〜1000回)、シングアラウンドを繰り返した後、計時部9は、ループを繰り返すのに要した全時間24を計測し、計測結果を流量算出部11へ送る。全時間24をシングアラウンド回数で除し、その値から遅延時間23を引いた値が、式(1)に示すt1となる。
次に、切り替え部12および13を用いて、整合部5を第2の超音波振動子2へ接続し、受信部3を第1の超音波振動子1へ接続する。そして上述の手順と同様、整合部5を用いて、送信部3の出力インピーダンスを第2の超音波振動子2の共振周波数におけるインピーダンスとマッチングさせる。
送信部3の出力インピーダンスを調整した後、上述の手順と同様の手順により、第2の超音波振動子2から超音波を発生させ、第1の超音波振動子1で超音波を受信する。所定の回数、シングアラウンドを繰り返した後、計時部9は、ループを繰り返すのに要した全時間24を計測し、計測結果を流量算出部11へ送る。全時間24をシングアラウンド回数で除し、その値から遅延時間23を引いた値が、式(1)に示すt2となる。
式(2)に、t1およびt2の値と角度θを代入することによって、流体の流速Vが求まる。更に流路14の断面積をSとすれば、流量QはV×Sによって求めることができる。この流量Qは、単位時間あたりに流体が移動する量であり、流量Qを積分することによって流体の量を求めることができる。
図7は、超音波流量計51において、流体を静止させ、第1の超音波振動子1から送信した超音波を第2の超音波振動子2で受信したときの波形28と第2の超音波振動子2から送信した超音波を第1の超音波振動子1で受信したときの波形29とを示している。上述したように、第1の超音波振動子1から超音波を送信する時には、整合部5を用いて、送信部3の出力インピーダンスを第1の超音波振動子1の共振周波数におけるインイピーダンスにマッチングさせ、第2の超音波振動子2から超音波を送信する時には、整合部5を用いて、送信部3の出力インピーダンスを第2の超音波振動子2の共振周波数におけるインイピーダンスにマッチングさせている。図7に示すように、波形28および波形29は完全に一致している。このため、波形28のゼロクロスポイント28aおよび波形29のゼロクロスポイント29aが一致している。
このように本実施形態によれば、送信部3の出力インピーダンスを第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の共振周波数におけるインピーダンスとマッチングさせ、受信部6の入力インピーダンスを低くすることにより、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の特性の違いによる受信波の差異を小さくすることができ、特性の差異に基づく計測誤差を小さくすることができる。
また、送信部3の出力インピーダンスを第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の共振周波数におけるインピーダンスとマッチングさせることによって、駆動信号を効率よく超音波振動子へ伝播させることができる。さらに、インピーダンスの不整合により、切り替え部12および13において、反射波が受信側へ漏れて、検知すべき受信信号に悪影響を与え、検出誤差を引き起こすという問題の発生を防ぐことができる。
なお、上記実施形態では、第2の超音波振動子2を送信器として用いる場合にも送信部3と第2の超音波振動子2とのインピーダンスを整合させていた。しかし、この操作を省略し、第2の超音波振動子2を送信器として用い計測を行う場にも、送信部3は第1の超音波振動子1に対してマッチングする出力インピーダンスを備えたままであってもよい。なぜなら、受信部6の入力インピーダンスを低くし、送信部3の出力インピーダンスを第1の超音波振動子1の共振周波数におけるインピーダンスとおよそ一致させることによって、第1の超音波振動子1、第2の超音波振動子2、送信部3および受信部6を含む部分全体が、第1の超音波振動子1と第2の超音波振動子2との特性の差異による影響を受け難いように調整されるからである。特に、第1の超音波振動子1と第2の超音波振動子2として、複数の超音波振動子から特性がよく一致している一対の超音波振動子を選んでいる場合には、2回目のインピーダンス整合操作は省略してもよい。
本実施形態の超音波流量計によれば、超音波振動子の特性のばらつきにもかかわらず、広い流量範囲において、高い精度で流体の流量を計測することができる。しかし、超音波の周波数に対して流体の流速があまりにも大きい場合、媒質の音響インピーダンスの不平衡による第1の超音波振動子1から第2の超音波振動子2へ伝播する超音波の周波数と、第2の超音波振動子2から第1の超音波振動子1へ伝播する超音波の周波数との差異が計測に誤差を与える可能性がある。つまり、図8(a)および(b)に示すように、第1の超音波振動子1から第2の超音波振動子2へ伝播する超音波26において、振幅がゼロクロスする点の間隔A、B、C、Dと第2の超音波振動子2から第1の超音波振動子1へ伝播する超音波27において、振幅がゼロクロスする点の間隔A’、B’、C’、D’との間隔がそれぞれ一致しなくなる。
このような場合には、ゼロクロスポイントを複数設定し、各ゼロクロスポイントにおけるt1およびt2をそれぞれ求める。そして、各ゼロクロスポイントを用いて求めた伝播時間差の差異にあらかじめ記憶している流量係数を乗じ、補正した流速V’を求め、流路の断面積Sを掛けて流量を求める。このように流量の補正を行うことによって、流速が大きい場合であっても正確な流量を求めることができる。
また、上記実施形態では反射波検知部4を用いて送信部3の出力インピーダンスを調整した。しかし、あらかじめ第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の厚み振動の共振周波数におけるインピーダンスを求めておき、そのインピーダンスと整合するように整合部5を調整してもよい。
(第2の実施形態)
図9は、本発明による超音波流量計の第2の実施形態を示すブロック図である。超音波流量計52は、送信部3の出力インピーダンスを調整する整合部を2つ備えている点で第1の実施形態の超音波流量計51と異なっている。
具体的には、超音波流量計52は、第1の整合部5Aおよび第2の整合部5Bを備えている。第1の整合部5Aおよび第2の整合部5Bは、切り替え部12と第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2との間にそれぞれ挿入されている。
本実施形態の超音波流量計52によれば、送信部3と第1の超音波振動子1とのインピーダンスの整合には、第1の整合部5Aが用いられ、送信部3と第2の超音波振動子2とのインピーダンスの整合には、第2の整合部5Bが用いられる。このため、切り替え部12によって第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2が選択されるたびに、送信部3の出力インピーダンスを調整する必要がなくなる。例えば、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の共振周波数におけるインピーダンスが経時変化を起こさない場合には、一度、送信部3と第1の超音波振動子1とのインピーダンスが整合するよう第1の整合部5Aを調整し、送信部3と第2の超音波振動子2とのインピーダンスが整合するよう第2の整合部5Bを調整するだけで、高い精度で流量計測を行うことができる。
(第3の実施形態)
図10は、本発明による超音波流量計の第3の実施形態の主要部を示すブロック図である。本実施形態の超音波流量計は、反射波検知部4によって検知した反射波に関する情報に基づいて整合部5を自動的に制御する制御部30を備えている点で第1の実施形態の超音波流量計とは異なっている。
制御部30は、AD変換部31、ピーク検知部32、判定部33および可変部34を含んでいる。AD変換部31は、反射波検知部4によって検知した反射波に関する信号をデジタル信号に変換する。変換されたデジタル信号は、ピーク検知部31によって、そのピーク値が検知される。判定部33は、記憶している直前のピーク値と最新のピーク値とを比較し、比較値に基づいて、反射波が小さくなるような制御信号を可変部34へ出力する。可変部34は、制御信号に基づいて整合部5のインピーダンスを変化させる。AD変換部31、ピーク検知部32および判定部33は超音波流量計の他の部分を全体として制御するマイコンなどの制御装置35によって構成することができる。
制御部30によって整合部5を調整するタイミングは、超音波流量計の用途や要求される計測の精度に応じて適宜定めることができる。高い計測精度が求められる場合には、制御部30によって常時整合部5を調整するように超音波流量計を構成してもよい。第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の特性に変化が生じうると考えられる間隔にあわせて、制御部30により、整合部5を調整してもよい。
本実施形態によれば、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2と送信部3とのインピーダンスの整合を自動的に行うことができるので、計測精度が高く、信頼性も高い超音波流量計を実現することができる。特に、流量を計測する環境の温度変化が激しい場合や、長期間にわたって超音波流量計を設置して流量を計測する場合にも計測精度に高い信頼性のおける超音波流量計を実現することができる。
なお、本実施形態では、第1の実施形態の超音波流量計51に制御部30を設けた例を説明したが、第2の実施形態の超音波流量計52に制御部30を設けてもよい。
(第4の実施形態)
以下、本発明の超音波流量計を備えたガスメータを説明する。
図11は、配管60内を流れるガスの流量を計測するためのガスメータ55のブロック図を示している。配管60内を流れるガスは、天然ガスやプロパンガスなど一般家庭で用いられるもののほか、水素や酸素等、その他の気体であってもよい。
ガスメータ55は、配管60内を流れるガスの流量を計測するための超音波流量計56と、緊急時に配管60を流れるガスを遮断する遮断弁57と、超音波流量計56および遮断弁57を制御するマイコンなどの制御装置58と、超音波流量計56を用いて計測した流量や流量の積算値およびその他の情報を表示する表示部59とを備える。
本実施形態の超音波流量計56には、第3の実施形態の超音波流量計を用いる。第3の実施形態について説明したように、超音波流量計56は、整合部を自動的に制御する制御部を備える。この制御部は、マイコン58の機能を用いて構成される。制御部によって整合部を調整するタイミングは、用途に応じて適宜定めることが出きる。高い計測精度が求められる場合には、制御部によって常時整合部を調整するように超音波流量計を構成してもよい。1日の気温の変化によって、計測精度に影響が生じる場合には、1ないし数時間毎に整合部を調整してもよい。
超音波流量計56によって計測される流量に関するデータは、マイコン58で処理されて表示部59に表示される。また、マイコン58は、計測する流量に異常がないかを監視する。例えば、突然、大流量のガスが流れ始めた場合には、ガス漏れが生じていると判断して、遮断弁57を動作させ、ガスの供給を停止する。
このように、本実施形態によれば、計測精度が高く信頼性も高いガスメータを実現することができる。特に、ガスメータは屋外に設置されることが多いため、一日の気温差や、季節の変化による1日の平均気温差による影響を受けやすいが、本発明のガスメータは、このような温度変化に影響されず、精度の高い計測を行うことができる。
本発明の超音波流量計によれば、2つの超音波振動子の特性の違いに基づく受信波の差異を小さくすることができ、特性の差異に基づく計測誤差を小さくすることができる。したがって、高い精度で流量を計測することができる。
(a)は本発明の超音波流量計の原理を説明するブロック図であり、(b)は(a)の部分を四端子回路網で示した図である。 (a)は本発明の超音波流量計の原理を説明するブロック図であり、(b)は(a)の部分を四端子回路網で示した図である。 本発明で用いる超音波振動子の電気的特性を示すインピーダンス曲線図である。 本発明の超音波流量計の第1の実施形態を示すブロック図である。 図4に示す部分の主要部の具体的な構成を示す回路図である。 シングアラウンド法による計測を説明する図である。 本発明の超音波流量計において、流体が静止している場合に第1の超音波振動子および第2の超音波振動子が受信した信号の波形を示している。 (a)および(b)は、大流量時における受信波形を示している。 本発明の超音波流量計の第2の実施形態を示すブロック図である。 本発明の超音波流量計の第3の実施形態であって、主要部を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態であるガスメータを示すブロック図である。 従来の超音波流量計を示すブロック図である。 従来の超音波流量計において生じる受信波形の差異を示す図である。 従来の超音波流量計の特性の変化の温度依存性を示すグラフである。
符号の説明
1 第1の超音波振動子
2 第2の超音波振動子
3 送信部
4 反射波検出部
5 整合部
6 受信部
7 ゼロクロス検知部
8 繰り返し部
9 計時部
10、12、13 切り替え部
11 流量算出部
14 流路

Claims (6)

  1. 超音波を送受信し、流体の流路中に前記超音波の伝播経路を形成するように配置される第1および第2の超音波振動子と、
    前記第1および第2の超音波振動子の一方を駆動する送信部と、
    前記送信部に接続され、前記送信部の出力インピーダンスを調整する第1の整合部と、
    前記調整された出力インピーダンスとほぼ等しい、または、前記調整された出力インピーダンスよりも小さい入力インピーダンスを有し、前記第1および第2の超音波振動子の他方に到達した超音波を受信する受信部と、
    前記第1または第2の超音波振動子と前記送信部とのインピーダンスの不整合により生じる反射波を検知するための反射波検知部と、
    を備え、前記伝播経路間を伝播する超音波の双方向の伝播時間差を検出することにより流体の流量を計測する超音波流量計。
  2. 前記反射波検知部に反射波を選択的に導くための方向性結合器を更に有する請求項1に記載の超音波流量計。
  3. 前記反射波検知部で検知した反射波に基づいて、前記第1の整合部を制御する制御部を更に有する請求項1に記載の超音波流量計。
  4. 超音波を送受信し、流体の流路中に前記超音波の伝播経路を形成するように配置される第1および第2の超音波振動子と、
    前記第1および第2の超音波振動子の一方を駆動する送信部と、
    前記第1の超音波振動子に接続され、前記送信部の出力インピーダンスを調整する第1の整合部と、
    前記調整された出力インピーダンスとほぼ等しい、または、前記調整された出力インピーダンスよりも小さい入力インピーダンスを有し、前記第1および第2の超音波振動子の他方に到達した超音波を受信する受信部と、
    前記第2の超音波振動子に接続され、前記送信部の出力インピーダンスを調整する第2の整合部と、
    前記送信部と前記第1の整合部および前記第2の整合部のいずれかとを選択的に接続する第1の切り替え部、ならびに、前記受信部と前記第1および第2の超音波振動子のいずれかとを選択的に接続する第2の切り替え部と、
    を備え、前記第1および前記第2の整合部はそれぞれ前記第1または第2の超音波振動子と接続されるとともに、前記伝播経路間を伝播する超音波の双方向の伝播時間差を検出することにより流体の流量を計測する超音波流量計。
  5. 前記出力インピーダンスが、前記第1および第2の超音波振動子の共振周波数におけるインピーダンスと実質的に整合するよう前記第1および第2の整合部を調節する請求項4に記載の超音波流量計。
  6. ガスが流れる流路に設けられた請求項1または4に記載の超音波流量計と、
    前記流路を流れるガスを遮断する遮断弁と、
    前記超音波流量計および遮断弁を制御する制御装置と、
    を備えたガスメータ。

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