JP3692594B2 - リン脂質類似構造を有するプレポリマーおよびポリウレタン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホスホリルコリン基のリン脂質類似構造を有するプレポリマーおよびそれを用いたポリウレタンに関する。
【0002】
【従来の技術】
生体内には多種のリン脂質が含まれており、これらのリン脂質は生体が生命を維持するために重要な役割を演じていることが明らかになっている。例えば、リン脂質は細胞膜などの細胞質の構成要素であり、生体の種々な代謝過程と密接な関係があり、またその他にも脳組織のエネルギー源、脂肪の運搬および吸収、血液の凝固、食物の味覚などにも非常に重要な役割を果たしている。このようにリン脂質は生体全体の生命維持において多くの機能をもつため、人工臓器用等の医用材料、バイオセンサー等のセンサー類などに応用する試みが数多くなされている。
【0003】
しかし、一般にこれらの試みに用いられているリン脂質はレシチン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリンなどのいずれも生体から抽出した天然物であり、低分子量であるため、均一で強固な膜を得ることは著しく困難である。このため、医用材料やセンサーなどの分野で利用するための比較的高分子量で、かつ強固な膜又は繊維などに成形でき、しかも容易に製造できるリン脂質化合物が要望されている。
このような背景の中で、これまでにもリン脂質類似構造を有するポリマーが合成されているが、上記要望を満たす化合物は得られていないのが現状である。たとえば、特開昭54−63025号公報にはホスホリルコリン基をもつアクリレートポリマーが記載されているが、この化合物は重合時に空気中の酸素の影響を受けやすく、未反応のモノマーが残り、その量を少なくコントロールするのが困難という問題点がある。また特開昭63−96200号公報にはリン脂質化ポリペプチドが記載されているが、この化合物の出発原料となるポリ−γ−ジメチルヘキシルグルタミン酸は入手しにくいという問題点がある。さらに特開昭61−207395号公報にはジオールとジフェニルメタンジイソシアネートとを反応させて得られるリン脂質類似構造をもつポリウレタン、特表昭62−500726号公報にはジイソシアネートとグリセロホスファチジルコリンとを反応させて得られるポリウレタンが記載されているが、これらのポリウレタン化合物はフィルムを形成した場合の強度が必ずしも十分ではないという問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解決するため、比較的高分子量で、かつ強固なフィルムなどの成形体を容易に成形することができ、しかも容易に製造することができる新規かつ有用なリン脂質類似構造を有するプレポリマーおよびポリウレタンを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点に鑑み鋭意検討した結果、特定の三次元共重合体からなるプレポリマーとそれを用いたポリウレタンが、リン脂質類似構造を有し、かつ製膜性もよいことを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
【0006】
(1)プレポリマーの構造が下記一般式[1]
【化4】
【0007】
[式中、R1、R2、R3は水素原子またはメチル基を示し同一でも異なっていてもよく、R4は炭素数1〜22の炭化水素基、R5は炭素数2〜6の二価の炭化水素基、mは2〜6の整数、x、y、zはモル比を表しx:y:z=1:1〜10:0.2〜1の実数を表す。結合様式はランダムであってもブロックであってもさらにブロック連鎖がランダムに結合していてもよく、連結の順番は問わない。また(Eg1)または(Eg2)はラジカル開始剤によるポリマー末端を示し、平均分子量は3000〜1000000である。]
で表される、ホスホリルコリン基含有の(メタ)アクリル酸エステル、疎水性基含有の(メタ)アクリル酸エステルおよびヒドロキシ基含有の(メタ)アクリル酸エステルに基づく構成単位からなるリン脂質類似構造を有するプレポリマーである。
【0008】
(2)前記の一般式[1]で表されるプレポリマーと、下記一般式[2]
【化5】
[式中、R6は炭素数4〜16の2価の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜16の2価の芳香族炭化水素基あるいは炭素数7〜16の2価の芳香族基置換炭化水素基、R7は−(AO)k−(ただしAは炭素数2〜12のアルキレン基を示し、kはオキシアルキレン基の平均付加モル数で1〜100の数を示す。)で示されるオリゴオキシアルキレン基、または炭素数2〜6の2価の炭化水素基、R8は炭素数2〜12の2価の脂肪族炭化水素基を示す。Bは−NH−または−O−基を示す。]
で表されるジイソシアネート化合物との反応によって得られる一般式[3]
【化6】
[ただし、式中の記号で、R1、R2、R3、R4、R5、m、x、y、z、(Eg1)および(Eg2)は前記一般式[1]と、また、R6、R7、R8およびBは前記一般式[2]と同じであり、pは1〜1000の繰り返し単位数を示す。]
で表されるリン脂質類似構造を有するポリウレタンである。
【0009】
【発明の実施の形態】
一般式[1]において、R1、R2、R3は水素原子またはメチル基を示し同一でも異なっていてもよい。
一般式[1]において、R4は炭素数1〜22の炭化水素基であり、脂肪族炭化水素基または脂肪族置換芳香族炭化水素基であり、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよい。また飽和基であっても不飽和基であってもよい。このような基の具体的なものとしては、メチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、フェニルエチル基、エチルフェニルエチル基、ジエチルフェニルエチル基などが挙げられる。
【0010】
一般式[1]において、R5は炭素数2〜6の2価の炭化水素基で、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよい。また飽和基であっても不飽和基であってもよい。このような基の具体的なものとしては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、2−エチルブチレン基などが挙げられる。
また、一般式[1]において、mは2〜6の整数を表す。
一般式[1]において、x、y、zはモル比を表しx:y:z=1:1〜10:0.2〜1の実数を表し、特に、1:2〜8:0.3〜0.6であるのが好ましい。
xに対するyの比が1より小さすぎるとポリウレタンの有機溶媒に対する溶解性が悪くなり、10より大きすぎると相対的に、リン脂質構造の含有量が少なくなり、またヒドロキシ基の含有量が少なくなり、膜の性質や架橋の効果が劣る。
また、xに対するzの比が0.2より小さいとポリウレタンの分子量があがらずフイルムの物性がわるくなり、1より大きすぎるとゲル状化して有機溶媒に溶けなくなる。
ただし、x、y、zはプレポリマー中の連鎖の比率のみを示し、結合様式はランダムでも、ブロック状でもよく、さらにブロック連鎖がランダム状に結合していてもよく連結の順番は問わない。
【0011】
一般式[1]において、(Eg 1)および(Eg 2)はラジカル開始剤を用いたアクリル系モノマーのラジカル重合によって生じる、一方は開始剤切片、他方は不均化または再結合停止によって生成するポリマー末端を示す。すなわち例えば典型的なラジカル重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用いた場合、(Eg 1)は開始剤切片であるイソブチロニトリル基となる。また、(Eg 2)は不均化の場合、末端モノマーユニットの水素原子の移動によって不飽和と飽和の末端、すなわち、−CH=CHCOO−と−CH2−CH2−COO−となり、再結合の場合には再結合点でモノマーユニットの繰り返し単位の向きが逆になり末端はイソブチロニトリル基となる。また、例えば、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物の場合も同様に過酸化物由来の反応残基となる。
【0012】
一般式[2]において、R6は炭素数4〜16の2価の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜16の2価の芳香族炭化水素基あるいは炭素数7〜16の2価の芳香族基置換炭化水素基をあらわす。このような基の具体的なものとしては、ヘキサメチレン基、メチルフェニレン基、メチレンジフェニル基、m−フェニレンジメチル基、1,3−ジメチレンフェニル基などが挙げられる。
【0013】
一般式[2]において、R7は−(AO)k−(ただしAは炭素数2〜12のアルキレン基を示し、kはオキシアルキレン基の平均付加モル数で1〜100の数を示す。)で示されるオリゴオキシアルキレン基、または炭素数2〜6の2価の炭化水素基を示す。このような基の具体的なものとしては、オリゴ(オキシエチレン)基、オリゴ(オキシプロピレン)基、ヘキサメチレン基などが挙げられる。
【0014】
一般式[2]において、R8は炭素数2〜12の2価の脂肪族炭化水素基を示す。このような基の具体的なものとしては、エチレン基、プロピレン基、イソブチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、2−メチル−ブチレン基などが挙げられる。
一般式[2]において、Bは−NH−または−O−基を示す。
【0015】
一般式[1]であらわされるプレポリマーは次のような方法によって容易に製造することができる。
すなわち、ホスホリルコリン基を有する(メタ)アクリル酸エステルのモノマーとして、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下、MPCと略す)などのモノマーと、炭素数1〜22の炭化水素基である疎水性基を有する(メタ)アクリル酸エステルと、ヒドロキシ基を有する炭素数2〜6の(メタ)アクリル酸エステルの3種のモノマーをメタノール、エタノールなどの溶媒中で、アゾ系または過酸化物系のラジカル開始剤を用いて重合させることによって得ることができる。また反応物はエーテルなどの適当な溶媒中に注ぎ入れ、再沈殿させることによって、精製プレポリマーを得ることができ、さらに、減圧乾燥などによって粉末状の生成物が得られる。
【0016】
本発明の効果を損ねない範囲において、一般式[1]で示されるプレポリマーを得るためのモノマーは、前記以外に、例えばスチレン系、イタコン酸系、フマル酸系、アリール系などの共重合可能な置換基を有する化合物を用いてもよい。
【0017】
一般式[2]で表わされるジイソシアネートオリゴマーは、従来から知られている次のような方法で容易に製造することができる。すなわち、前述のR4の置換基を有するジイソシアネート化合物、例えば、メチレンジ(4−フェニルイソシアネート)(以下MDIと略す)と、前述のR5の置換を有するジオール化合物、例えばオリゴテトラメチレングリコールを官能基数比2:1でジメチルアセトアミド(DMAcと略す)やジメチルスルホキシド(DMSOと略す)などの有機溶媒中60〜80℃の温度で1〜5時間反応させる。さらに、反応後この反応液中にジアミン化合物またはジオール化合物、例えばエチレンジアミンまたは1,6−ヘキサンジオールなどを加えて、同温度のままさらに1〜5時間反応させることによって、オリゴマー溶液を得ることができる。
【0018】
一般式[3]で表されるポリウレタンは、次のような方法によって容易に製造することができる。すなわち一般式[2]で表されるオリゴマー溶液中に一般式[1]で表されるプレポリマーを加え、60〜100℃で10〜30時間反応し、この反応溶液をメタノールなどの溶媒中に注いで再沈殿させ、さらに濾別、減圧乾燥することによって精製ポリウレタンを得ることができる。
また、一般式[3]のpは、1〜1000の繰り返し単位数であり、一般式[1]のプレポリマーと一般式[2]のジイソシアネートとの仕込み比率によって適宜変えることができる。
【0019】
以上のようにして得られる本発明のポリウレタンは、従来の天然リン脂質に比較して製膜性に優れており、例えば溶液キャスト法などの極めて簡単な方法により、容易にフィルムを成形することができる。しかも得られたフィルム、繊維などの成型品は天然のリン脂質から成形された成形品に較べはるかに強固なものとなる。また本発明のポリウレタンは、リン脂質類似構造を有しているため抗血栓性があり、このため人工臓器などの医用材料、バイオセンサー等のセンサー類など、幅広い分野への利用が可能である。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、新規かつ有用なリン脂質類似構造をもつポリウレタンが得られる。本発明のポリウレタンは、プレポリマーを構成するモノマーの種類、組成を容易に変えることによって、また、プレポリマーとジイソシアネートの種類、組成を変えることによって、膜の物性、溶解性等を幅広くまた望むように設計することが可能で、強固なフィルムなどの成形体を容易に成形することができる。
【0021】
【実施例】
次に本発明の実施例について説明する。なお各実施例で製造したポリウレタンの数平均分子量は、DMAcを展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法でカラムポリスチレンゲルによって標準ポリスチレンを基に測定した。
[実施例1−1]メタクリレートプレポリマー(PreP1)の合成
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)2g(7.2mmol)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)0.49g(3.6mmol)、ブチルメタクリレート(BMA)6.3g(44.2mmol)、およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.1mg(1.1mmol)を溶媒としてメタノール20mlとともに重合管中に仕込み、脱気、封管後75℃で20時間反応した。反応溶液をエーテル中に注ぎ再沈してオリゴマーを得た。乾燥後の収率は43%であった。次にNMRおよびIRの測定結果を示した。
1H−NMR(δ(ppm):TMS/CDCl3)
0.7−1.2 −CH3
1.4−2.2 −(CH2)n−
3.2−3.3 −N+(CH3)3
3.7−4.4 −O(CH2)n−
IR(KBr−Tablet(cm-1))
765 −(CH2)n−
1070 −P−O−CH2−
1230 −P=O
1450 −CH2CH3
2850 −CH2−
2920 −CH3
3270 −OH
1H−NMRのプロトン比よりx:y:z=2.18:12.2:1.0となり、生成した化合物は次の構造のものである。
【0022】
【化7】
【0023】
[実施例1−2]メタクリレートプレポリマー(PreP2)の合成
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)2g(7.2mmol)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)0.49g(3.6mmol)、ブチルメタクリレート(BMA)3.2g(22.1mmol)、およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.1mg(1.1mmol)を溶媒としてメタノール20mlとともに重合管中に仕込み、脱気、封管後75℃で20時間反応した。反応溶液をエーテル中に注ぎ再沈してオリゴマーを得た。乾燥後の収率は55%であった。また次にNMRおよびIRの測定結果を示した。
1H−NMR(δ(ppm):TMS/CDCl3)
0.7−1.2 −CH3
1.4−2.2 −(CH2)n−
3.2−3.3 −N+(CH3)3
3.7−4.4 −O(CH2)n−
IR(KBr−Tablet(cm-1))
765 −(CH2)n−
1070 −P−O−CH2−
1230 −P=O
1450 −CH2CH3
2850 −CH2−
2920 −CH3
3270 −OH
1H−NMRのプロトン比よりx:y:z=2.06:5.94:1.0となり、生成した化合物は次の構造のものである。
【0024】
【化8】
【0025】
[合成例1−1]ジイソシアネートオリゴマー(DIO-A)の合成
ポリテトラメチレングリコール(三洋化成製PTMG1000、数平均分子量:1000)1.8g(1.8mmol)とメチレンジ(4−フェニルイソシアネート)(MDI)0.9g(3.6mmol)を反応溶媒としてDMSO 20mlを用い70℃で1時間反応させてジイソシアネートオリゴマーを得た。このまま次の反応に用いた。
【0026】
[合成例1−2]ジイソシアネートオリゴマー(DIO-B, DIO-C)の合成
まず[合成例1−1]と同様にポリテトラメチレングリコールとMDIを反応溶媒としてDMAc(またはDMSO)を用い70℃で1時間反応させ、続いて1,4−ブタンジオール(BD)またはエチレンジアミン(EDA)を仕込み1時間反応させてジイソシアネートオリゴマーを得た。このまま次の反応に用いた。各仕込み組成は表1にまとめた。
【0027】
【表1】
【0028】
[実施例2−1]ポリウレタン(PU−A)の合成
[実施例1−1]で得られたメタクリレートプレポリマーPreP1を[合成例1−1]で得られたジイソシアネートオリゴマーDIO-Aの溶液中に加え、80〜90℃で15時間反応させた。反応後反応溶液をメタノール中に注ぎ、再沈させポリウレタンを得て、アセトン/メタノール=1/1(vol比)で洗浄した。乾燥後の収率は80%であった。分子量は78000であった。NMRおよびIRの測定結果を示した。
1H−NMR(δ(ppm):TMS/CDCl3)
0.7−1.2 −CH3
1.4−2.2 −(CH2)n−
3.2−3.3 −N+(CH3)3
3.7−4.4 −O(CH2)n−
IR(KBr−Tablet(cm-1))
765 −(CH2)n−
1070 −P−O−CH2−
1230 −P=O
1450 −CH2CH3
2850 −CH2−
2920 −CH3
3270 −OH
【0029】
[実施例2−2]ポリウレタン(PU−B1)の合成
同様に[実施例1−1]で得られたメタクリレートプレポリマーPreP1を[合成例1−2]で得られたジイソシアネートオリゴマーDIO-B1の溶液中に加え、80〜90℃で15時間反応させた。反応後反応溶液をメタノール中に注ぎ、再沈させポリウレタンを得て、アセトン/メタノール=1/1(vol比)で洗浄した。乾燥後の収率は78%であった。分子量は85000であった。次にNMRおよびIRの測定結果を示した。
1H−NMR(δ(ppm):TMS/CDCl3)
0.7−1.2 −CH3
1.4−2.2 −(CH2)n−
3.2−3.3 −N+(CH3)3
3.7−4.4 −O(CH2)n−
IR(KBr−Tablet(cm-1))
765 −(CH2)n−
1070 −P−O−CH2−
1230 −P=O
1450 −CH2CH3
2850 −CH2−
2920 −CH3
3270 −OH
【0030】
[実施例2−3]ポリウレタン(PU−B2)の合成
同様に[実施例1−1]で得られたメタクリレートプレポリマーPreP2を[合成例1−2]で得られたジイソシアネートオリゴマーDIO-B2の溶液中に加え、80〜90℃で15時間反応させた。反応後反応溶液をメタノール中に注ぎ、再沈させポリウレタンを得て、アセトン/メタノール=1/1(vol比)で洗浄した。乾燥後の収率は82%であった。分子量は80000であった。NMRおよびIRの測定結果を示した。
1H−NMR(δ(ppm):TMS/CDCl3)
0.7−1.2 −CH3
1.4−2.2 −(CH2)n−
3.2−3.3 −N+(CH3)3
3.7−4.4 −O(CH2)n−
IR(KBr−Tablet(cm-1))
765 −(CH2)n−
1070 −P−O−CH2−
1230 −P=O
1450 −CH2CH3
2850 −CH2−
2920 −CH3
3270 −OH
【0031】
[実施例2−4]ポリウレタン(PU−C)の合成
同様に[実施例1−1]で得られたメタクリレートプレポリマーPreP1を[合成例1−2]で得られたジイソシアネートオリゴマーDIO-Cの溶液中に加え、80〜90℃で15時間反応させた。反応後反応溶液をメタノール中に注ぎ、再沈させポリウレタンを得て、アセトン/メタノール=1/1(vol比)で洗浄した。乾燥後の収率は85%であった。分子量は950000であった。次にNMRおよびIRの測定結果を示した。
1H−NMR(δ(ppm):TMS/CDCl3)
0.7−1.2 −CH3
1.4−2.2 −(CH2)n−
3.2−3.3 −N+(CH3)3
3.7−4.4 −O(CH2)n−
IR(KBr−Tablet(cm-1))
765 −(CH2)n−
1070 −P−O−CH2−
1230 −P=O
1450 −CH2CH3
2850 −CH2−
2920 −CH3
3270 −OH
【0032】
[参考例1]キャスト製膜
[実施例2]で得られたポリウレタンをDMAcに溶解しキャスト法によってガラスプレート上に製膜し、製膜性を比較した。結果を表2に示した。
なお、表2中の記号は次の通りである。
◎:ガラスプレート上できれいな膜となり、充分な強度のフィルムとして得られる。
○:ガラスプレート上できれいな膜となり、フィルムとして得られる。
△:ガラスプレート上でなんとか膜となり、フィルム状のものとして得られる。
【0033】
比較参考例として、特開昭61−207395号公報に示されている次の構造のリン脂質類似構造を有するジオールとMDIの反応によるポリウレタン(PU−P)を合成し、製膜性を比較した。結果を表2に示した。
【0034】
【化9】
【0035】
【表2】
【0036】
[参考例2]抗血栓性試験
各膜上にPRP(血小板多血漿)を滴下し1時間放置後洗浄し、フィルム上に粘着、活性化した血小板数を電子顕微鏡下でカウントした。結果を表3に示した。
【0037】
【表3】
【0038】
以上の結果より、本発明のプレポリマーを用いたウレタンはフィルム状となり、ある程度の強度を有し、かつ、抗血栓性があることがわかる。
Claims (2)
- プレポリマーの構造が下記一般式[1]
で表される、ホスホリルコリン基含有の(メタ)アクリル酸エステル、疎水性基含有の(メタ)アクリル酸エステルおよびヒドロキシ基含有の(メタ)アクリル酸エステルに基づく構成単位からなるリン脂質類似構造を有するプレポリマー。 - 請求項1の一般式[1]で表されるプレポリマーと、下記一般式[2]
で表されるジイソシアネート化合物との反応によって得られる一般式[3]
で表されるリン脂質類似構造を有するポリウレタン。
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