JP3689970B2 - 複合焼結接合体の製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄系粉末の圧粉成形体である内側管材の外周側に、同じく鉄系粉末の圧粉成形体である外側管材を同芯的に挿通嵌合し、焼結接合して複合焼結接合体を製造する方法において、外側管材に割れなどを生じることなく内・外側管材を強固に接合一体化することのできる方法に関し、この方法は、各種の機械部品、たとえば自動車などに用いるアイドラースプロケットの様な焼結接合体を製造する方法として有効に活用することができる。
【0002】
【従来の技術】
複雑な形状を有するたとえばアイドラースプロケットを焼結接合法によって製造する方法として、鉄系粉末を用いて大輪の外側管材と小輪の内側管材側を圧粉成形により成形しておき、内側管材の外側に外側管材を嵌め合わせてから加熱し、焼結と同時に接合一体化させる方法が知られている(たとえば、1993 「POWDER METALLURGY WORLD CONGRESS」 JSPM:P.467〜470 など) 。また、特公昭62−35442号や同62−57682号公報には、鉄系粉末を用いて上記の様な複合焼結接合体を製造する際に、締り嵌めを利用することによって接合強度を高める方法も開示されている。
【0003】
この方法には、(1)切削加工時の加工部分を減少させることができ、加工コストの低減ならびに原料費の節減が図れる、(2)Ni,Mo等の合金元素を全く使用しなくとも、焼結ままの接合体として完成でき原料費が安価である、といった利点を有している。ところがこの方法では、焼結接合強度を高めるため接合の際に締り嵌めしなければならず、接合強度を高めるために締め代を多く取った場合は、圧粉成形体の強度があまり高くないため焼結時の収縮によって外側管材に割れを生じることがあり、この状態で焼結を行なうと焼結接合製品は割れ欠陥品となる。また仮に明確な割れが検出されなくとも、接合強度が低くなって設計伝達力を確保できなくなり、接合面で滑りを起こし製品として実用化できなくなる。
【0004】
また特開平7−286202号公報には、本発明と同様に内側管材を構成する鉄粉系圧粉成形体の外側に、外側管材を構成する鉄粉系圧粉成形体を嵌合し、焼結接合することによって両者を強固に一体化する方法が開示されている。本号証には、成形素材としてCu粉とグラファイト粉を含む鉄系粉末を用い、該混合粉末にワックス系偏析防止剤あるいは金属石けん系偏析防止剤を含有させると共に、焼結時における内側管材の膨張率を外側管材の膨張率よりも大きくすることによって接合強度を高めるものである。そして、内側管材と外側管材との間で膨張率に差を与える為の手段として、内側管材のCu含有量を外側管材のCu含有量よりも多くし、Cu膨張、即ちCu Growth現象(Fe中へのCuの侵入によって膨張を生じる現象)を利用する方法を開示している。
【0005】
この方法は、偏析防止剤による構成素材の均一分散とCu Growthによる接合界面での拡散促進を利用した点で有効な方法と言えるが、本発明者らが研究を進めたところでは、実用規模での効果の確実性において改善の余地を残していることが確認された。即ち、本公報に開示された方法に従って適量の偏析防止剤を含有せしめ、且つ内・外側管材間でCu含有量に適切な差を与えたとしても、常に安定した接合状態が得られるとは限らず、確実性において問題を残している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の様な従来技術の問題点に着目してなされたものであって、その目的は、鉄系粉末の圧粉成形体を嵌合し焼結接合して複合焼結接合体を製造する際において、焼結接合工程で外側管材に割れや亀裂などの欠陥を生じることなく、外側管材と内側管材とが健全且つ強固に接合一体化した複合焼結接合体を安定して確実に得ることのできる方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することのできた本発明に係る製法とは、Cu粉末とグラファイト粉末を含有する鉄系粉末の圧粉成形体である内側管材の外周に、同じくCu粉末とグラファイト粉末を含有する鉄系粉末の圧粉成形体である外側管材を同芯状に挿通嵌合し、焼結接合して複合焼結接合体を製造する方法において、内側管材を構成する鉄系粉末は、その中のグラファイト粉末が灰分含有量1.5重量%未満であり、一方外側管材を構成する鉄系粉末は、その中のグラファイト粉末が灰分含有量1.5〜5重量%であり、且つ見掛け密度が2.5〜3.05g/cm3 であるか、あるいは下記式(1)によって計算される断面円形度係数が0.7以下である鉄粉を含有する鉄粉系混合粉末を使用するところにその特徴が存在する。
断面円形度係数=4π×S/L2 …(1)
(式中、Sは、任意に選択された鉄粉の画像解析によって求められる最大断面の面積、Lは当該最大断面における外周長さを表わす)
【0008】
上記本発明を実施する際に用いられる内側管材の好ましい構成素材は、Cu:1.5〜4.0重量%、グラファイト:0.6〜1.1重量%を含み、残部が鉄粉からなる混合粉末であり、また外側管材の好ましい構成素材は、Cu:1.0〜2.0重量%(但し、上記内側材のCu含有量よりも0.5〜1.0重量%少ない)、グラファイト:0.6〜1.1重量%を含み、残部が鉄粉からなる混合粉末である。そして本発明は、例えばアイドラースプロケットの製造に有効に活用することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
上記の様に本発明では、鉄系粉末の圧粉成形体である内側管材の外周側に、同じく鉄系粉末の圧粉成形体である外側管材を同芯状に挿通嵌合し、焼結接合して複合焼結接合体を製造する際に、内側管材と外側管材を構成する圧粉成形体の構成素材としてCu粉末とグラファイト粉末を含む鉄系粉末を使用することを前提とし、内側管材と外側管材中に配合されるグラファイト粉末中の灰分含有量を夫々特定範囲に規定した点に第1の特徴を有している。
【0010】
即ち本発明では、鉄系粉末の圧粉成形体からなる内側管材と外側管材の焼結時の熱膨張挙動差を利用して焼結接合せしめるもので、該焼結接合のばらつきに及ぼす要因を解明し、その要因を排除することによって接合強度の安定化を図るものであり、図1にその熱膨張挙動(昇温時の挙動のみ)の例を示す。外側管材(Cu粉末含有量:1.0重量%、グラファイト粉末含有量:0.9重量%、グラファイト中の灰分含有量:2.0重量%)の熱膨張挙動は実線で示し、内側管材(Cu粉末含有量:3.0重量%、とグラファイト粉末含有量:0.9重量%、グラファイト中の灰分含有量:2.0重量%)の熱膨張挙動は破線で示す通りであり、Cu粉末とグラファイト粉末を含む鉄系粉末を用いた圧粉成形体の焼結過程では、α鉄での固相焼結の進行とα鉄からγ鉄への変態による収縮が起こり、この変態が完了した後はγ鉄の熱膨張が進行する。
【0011】
そして、900〜1000℃でγ鉄へのC(グラファイト粉末に由来する)の拡散が起こって更に膨張し始める。その後、1083℃でCuの液相化が起こってCu Growth現象により急激に膨張する。そして焼結温度で保持すると固相焼結による収縮が起こり、ここで焼結接合が完了する。
【0012】
本発明者らが確認したところによると、これらの挙動のうち特に重要なのは1000℃までの熱膨張挙動であり、1000℃で内側管材と外側管材が密着していることが重要となる。即ち1000℃での密着が必要な理由は、外側管材中の元素と外側管材中の元素の相互拡散によって接合界面の密着が起こるからであり、接合界面が十分密着していれば界面へのCuの充填がスムーズに進行する。そして、接合界面にFe−Cu合金からなるε相が形成されると、焼結体の接合強度は実用に耐えられる強度に達する。
【0013】
このとき外側管材については、特にα→γ変態の終了温度以降のγ鉄領域におけるC(グラファイトとして配合)のα鉄中への拡散が開始される温度が高ければ、外側管材の熱膨張挙動が収縮方向で推移すること、従ってこのときの内側管材の挙動を膨張方向とすれば、熱膨張差によって内・外側管材の接合強度が高められることが確認されているが、本発明者らが種々研究を重ねたところによると、内・外側管材中に含まれるグラファイト粉末中に含まれる灰分量によって、両材の焼結時における挙動が著しく変わってくることが確認された。
【0014】
即ち、外側管材に含まれるグラファイト中の灰分が多くなると焼結プロセス中の鉄への浸炭が阻害され、α→γ変態終了後の鉄へのCの拡散開始が遅くなって熱膨張が小さくなり、一方内側管材料については、逆にグラファイト粉末中の灰分を少なめに抑えると、鉄への浸炭が促進されてα→γ変態終了後のγ鉄中へのCの拡散開始が速められて熱膨張が大きくなる。その結果、内・外側管材に所謂焼き嵌め効果が作用し、焼結接合力が高められることが明らかとなった。
【0015】
図2はこのときの熱膨張挙動を示したグラフであり、内側管材として灰分含有量が1.0重量%であるグラファイト0.9重量%とCu粉3.0重量%を含有させた鉄粉系混合粉末を用いた圧粉成形体を使用し、外側管材としては灰分量が2.5重量%であるグラファイト0.9重量%とCu粉1.0重量%を含有させた鉄粉系混合粉末を用いた圧粉成形体を使用し、夫々の熱膨張挙動を示している。
【0016】
このグラフからも明らかである様に、内・外側管材ともα→β変態が生じるまでの熱膨張挙動は殆んど変わらないが、その後の挙動は、Cu量やグラファイト中に含まれる灰分量によってかなり変わってくる。即ちCu量が少なめで灰分含有量の多いグラファイトを含有する外側管材では、焼結時における鉄粉への浸炭が灰分により阻害されてα→γ変態終了後の鉄へのCの拡散開始が遅くなると共にCu Growthも抑えられるため、1000℃付近から焼結温度までの熱膨張が小さくなっているのに対し、Cu量が多めで灰分含有量の少ないグラファイトを含有する内側管材では、灰分による鉄粉への浸炭阻害要因が軽減されてα→γ変態終了後のγ鉄中へのCの拡散開始が速められると共にCu Growthも顕著であるため、1000℃付近から焼結温度までに大きな熱膨張を示している。
【0017】
本発明は、こうしたグラファイト中の灰分量の違いによる熱膨張挙動の違いをうまく活用し、α→γ変態終了後の鉄へのCの拡散開始速度の違いに由来する熱膨張の差を利用して焼結時の焼き嵌め効果を高め、接合強度を高めるところに第1の特徴を有している。
【0018】
こうした効果を有効に発揮させるには、内側管材中に配合されるグラファイト粉末の灰分含有量を1.5重量%未満に抑える一方、外側管材中に配合されるグラファイト粉末の灰分含有量は1.5重量%以上に高めることが必要となる。但しグラファイト中の灰分含有量が多くなり過ぎると、不純介在物としての悪影響が顕著に現われて焼結体の物性を劣化させる原因になるので、グラファイト中の灰分量は5重量%を上限とする。焼結体の物性に悪影響を与えることなく上記の接合強度向上効果を有効に発揮させる上でより好ましい灰分量は、内側管材中のグラファイトについては1.2重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下、外側管材中のグラファイトについては2.0〜4.5重量%、より好ましくは2.0〜3.5重量の範囲である。
【0019】
尚、グラファイト粉末自体の含有量は特に規定しないが、内・外側管材共にグラファイト粉末の含有量が不足する場合は、浸炭による強化効果が不十分となり、逆に多過ぎると、浸炭過剰になるばかりでなく炭化物系介在物量の増大によって焼結体が脆弱になる傾向が生じてくるので、いずれの場合もグラファイト粉末の含有量は0.6〜1.1重量%、より好ましくは0.8〜1.0重量%の範囲とすることが望ましい。
【0020】
また、内・外側管材中に配合されるCu粉末は、焼結接合体の機械的特性や焼結接合強度を高める上で極めて有効に作用するが、添加量を過度に多くしてもそれ以上の改善効果が得られる訳ではなく、かえって寸法精度劣化による悪影響が顕著に現われてくる。従ってCu粉末の含有量は、内・外側管材共に1.0重量%以上4.0重量%以下の範囲とするのが良い。但しCu粉末は、前述の如く焼結時にCu Growthを起こす特性を有しており、この特性を接合強度の向上に役立てることは極めて有効である。従って、内側管材中のCu含有量は多めの1.5〜4.0重量%として焼結時の熱膨張率を大きくし、一方外側管材中のCu含有量は1.0〜2.0重量%と少なめに抑えることによって焼結時の熱膨張率を小さめに抑え、好ましくは外側管材のCu含有量を内側管材のCu含有量よりも0.5〜1.0重量%程度少なめに抑えてやれば、Cu Growthによる熱膨張差による焼き嵌め効果によって接合強度を一段と高めることができるので好ましい。
【0021】
このとき、外側管材中に配合されるCu粉末として44μm程度の粗めのものを使用すると、前記Cu Growth現象も抑制されて焼結完了時の寸法が小さめになり、一方内側管材中に配合されるCu粉末として33μm程度の細かめのものを使用すると、前記Cu Growth現象が増長されるので、焼結接合力は一段と高められる。その理由は、粗めのCu粉を使用すると、鉄粉中へのCuの拡散速度が遅くなって膨張量が小さくなるのに対し、細かなCu粉を使用すると鉄粉中へのCuの拡散速度が早くなり膨張量が大となってCu Growthが助長されるためである。
【0022】
上記の構成により、焼結接合時における接合強度はより確実に高めることが可能となるが、焼結時における上記焼き嵌め効果が過度に強くなり過ぎると、外側管材が割れを起こして健全な焼結接合体が得られなくなる。そこで本発明では、こうした外側管材の割れ防止対策についても検討を行った。
【0023】
その結果、焼結時に生じる前記焼き嵌め力によって撓み方向の力を受ける外側管材の耐撓み強度を十分に高めてやれば、圧粉成形体の嵌合時並びに焼結接合時における外側管材の割れ欠陥が防止されること、そしてこの耐撓み強度は、外側管材の主たる構成素材となる鉄粉の見掛け密度あるいは後述する断面円形度係数によって著しく変わり、見掛け密度が2.5〜3.05g/cm3 の範囲の鉄粉を使用し、あるいは断面円形度係数が0.7以下である鉄粉を使用すれば、圧粉成形体の嵌合時並びに焼結接合時における割れ欠陥の発生を確実に阻止できることを知った。
【0024】
以下、それらの点について説明を進める。
まず本発明者らは、内・外側管材の焼結接合を行なう際に、外側管材に作用する力が、内側管材から放射方向に作用する力であることから、外側管材の耐撓み性を高めてやればよいと考え、図3に示す方法によって求められる耐撓み性と、実際に内・外側管材を嵌合して焼結接合した時の割れ発生の関係を調べた。尚図3においてwは供試材の幅(12.7mm)、tは供試材の厚さ(3mm)、Lは撓み量測定時のスパン則長さ(25mm)を表わし、供試材のL/2の位置から荷重Pをかけ、荷重Pと撓み量の関係を調べる(その他の条件はJPMA、p10の記載に準拠)。そして、供試材が破壊した時の撓み量をもって最大撓み量とする。その結果、上記寸法サイズのものである場合、圧粉成形体の最大撓み量が0.35mm以上であれば、焼結接合によって実際にアイドラースプロケットを製造する際にも、割れ欠陥を起こさないことを確認した。
【0025】
そこで本発明者らは、上記の様な最大撓み量を満足し得る圧粉成形体を与える様な鉄粉の特性を明らかにすべく研究を進めた結果、外側管材用の鉄粉として前記した断面円形度係数(4π×S/L2 )が0.7以下である鉄粉を使用し、あるいは見掛け密度が2.5〜3.05g/cm3 の範囲のものを選択すれば、得られる外側管材(圧粉成形体)の最大撓み量を0.35mm以上とすることができ、外側管材として用いたときの焼結接合時における割れ欠陥の発生を確実に阻止できることが分かった。
【0026】
なお上記断面円形度係数は、例えば図4に示す如く任意に選択された鉄粉の画像解析によって最大断面の面積Sを求めると共に、当該最大断面における外周長さLを求め、それらの値から前記(1)式によって算出する。これを、無作為に選択した50個の鉄粉について求め、その平均値をもって断面円形度係数とした。
【0027】
外側管材の主成分となる鉄粉の上記断面円形度係数が0.7を超えると、後記実施例によっても明らかにする通り焼結体の接合強度が劣悪になり、健全な焼結接合体が得られなくなる。なお、断面円形度係数が0.7以下である鉄粉は、おおむね見掛け密度においても2.5〜3.05g/cm3 の範囲に納まり、これらの両特性を満足する鉄粉を使用することによって、前述の様な熱膨張差による焼き嵌め機能を与えた内・外側管材を使用した場合でも、焼結接合工程で外側管材に割れ欠陥等を生じることなく、また接合強度に大きなバラツキを生じることなく健全で安定した品質の焼結接合体を確実に得ることが可能となる。
【0028】
【実施例】
次に本発明の実施例を示すが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0029】
実施例
内・外側管材として表1,2に示す配合の混合粉末を使用し、これをスチレン・ブタジエン・ラバーによりグラファイト偏析防止処理した後、粉末成形プレス法により内側管材Aと外側管材Bを密度6.8g/cm3 となる様に圧粉成形し、図5に示す様に嵌合した。この嵌合体を1120℃で20分間、N2 −10%H2 雰囲気中で焼結接合することによって接合スプロケットを得、夫々の焼結接合部の割れの有無をJIS G 6505の磁粉探傷試験にて検知すると共に、図6に示す方法によって接合強度を測定した。
【0030】
図6中、Aは内側管材、Bは外側管材、1は受け台、2は下抜きパンチ、3は上抜きパンチを夫々示し、上記で得た接合スプロケットにおける図6(A)の破線で示した部分を切断し、これを図6(B)の試験機にセットし、上方から抜き荷重をかけて内・外側管材の接合界面の接合強度を測定した。
結果を表3に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003689970
【0032】
【表2】
Figure 0003689970
【0033】
【表3】
Figure 0003689970
【0034】
表1〜3より次の様に考察できる。
No.2,3,4,6,7,10,11,15,16はいずれも本発明の規定要件を全て満足する実施例であり、優れた接合強度を有すると共に、磁気探傷による割れも全く確認されない。これらに対しNo.1は、外側管材のグラファイト中に含まれる灰分量が不足する比較例、No.5は、逆に外側剤のグラファイト中の灰分量が多過ぎる比較例であり、いずれも焼結接合部の強度が劣悪である。またNo.12,13,14,17,18,19は、いずれも外側管材に用いた鉄粉の断面円形度係数が0.7を超える比較例であり、焼結接合部の強度は良好であるが、外側管材の耐撓み強度不足によって接合部に割れの発生が見られる。
【0035】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、Cu粉末とグラファイト粉末を含有する鉄系粉末の圧粉成形体よりなる内側管材と外側管材を挿通嵌合し、焼結接合して複合焼結接合体を製造する際に、内・外側管材を構成する混合粉末中のグラファイト中に含まれる灰分量を規定すると共に、外側管材中の鉄粉の断面円形度係数あるいは見掛け密度を規定することによって、外側管材に割れや亀裂などの欠陥を生じることなく優れた焼結接合強度を確保することができ、アイドラースプロケットなどに代表される複合焼結接合体の品質とその信頼性を著しく高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Cu粉とグラファイトを含む鉄系混合粉末の圧粉成形体よりなる内・外側管材を嵌合して焼結した時の、内側管材と外側管材の熱膨張挙動を例示するグラフである。
【図2】外側管材および内側管材中に含まれるグラファイト中の灰分量を変えて焼結を行なった時に見られる内側管材と外側管材の熱膨張挙動を例示するグラフである。
【図3】耐撓み性の測定法を示す説明図である。
【図4】断面円形度係数の算出法を説明するための図である。
【図5】実施例で供試接合体として採用したアイドラースプロケットを示す図である。
【図6】内・外側管材の接合強度測定法を示す説明図である。

Claims (4)

  1. Cu粉末とグラファイト粉末を含有する鉄系粉末の圧粉成形体である内側管材の外周に、同じくCu粉末とグラファイト粉末を含有する鉄系粉末の圧粉成形体である外側管材を同芯状に挿通嵌合し、焼結接合して複合焼結接合体を製造する方法において、内側管材を構成する鉄系粉末は、その中のグラファイト粉末が灰分含有量1.5重量%未満であり、一方外側管材を構成する鉄系粉末は、その中のグラファイト粉末が灰分含有量1.5〜5重量%であり、且つ見掛け密度が2.5〜3.05g/cm3であることを特徴とする複合焼結接合体の製法。
  2. Cu粉末とグラファイト粉末を含有する鉄系粉末の圧粉成形体である内側管材の外周に、同じくCu粉末とグラファイト粉末を含有する鉄系粉末の圧粉成形体である外側管材を同芯状に挿通嵌合し、焼結接合して複合焼結接合体を製造する方法において、内側管材を構成する鉄系粉末は、その中のグラファイト粉末が灰分含有量1.5重量%未満であり、一方外側管材を構成する鉄系粉末は、その中のグラファイト粉末が灰分含有量1.5〜5重量%であり、且つ下記式(1)によって計算される断面円形度係数が0.7以下である鉄粉を含有する鉄粉系混合粉末を使用することを特徴とする複合焼結接合体の製法。
    断面円形度係数=4π×S/L2…(1)
    (式中、Sは、任意に選択された鉄粉の画像解析によって求められる最大断面の面積、Lは当該最大断面における外周長さを表わす)
  3. 内側管材の構成素材として、Cu:1.5〜4.0重量%、グラファイト:0.6〜1.1重量%を含み、残部が鉄粉からなる混合粉末を使用し、外側管材の構成素材として、Cu:1.0〜2.0重量%(但し、上記内側管材のCu含有量よりも0.5〜1.0重量%少ない)、グラファイト:0.6〜1.1重量%を含み、残部が鉄粉からなる混合粉末を使用する請求項1または2に記載の製法。
  4. 複合焼結接合体が、アイドラースプロケットである請求項1〜3のいずれかに記載の製法。
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