JP3688092B2 - 管接続用クリップの脱落防止構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接続管に対して逆止弁等の被接続部材を抜け止め保持するクリップの脱落防止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種クリップの脱落防止カバーとして、例えば、特開平8−28770号公報に開示されたものがある。すなわち、接続管の管端を逆止弁へ内嵌して両者のフランジ同士を当接させ、クリップの本体部分に設けた長孔へ両フランジの一部を挿入して前記接続管に対して前記逆止弁の抜け止めを行うようにし、更に、クリップの前記両フランジからの脱落を防止するためクリップの開口の両端に跨がって、脱落防止カバーを例えば上方側から外嵌装着するように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、脱落防止カバーによって被覆されているのはクリップの前記開口した両端だけで、その他の部分は被覆されていなかった。すなわち、クリップは、一枚の帯状金具を折り返して形成したものであり、クリップの折り返し部や、クリップの本体部分は、露出されたままで被覆されてはいないから、使用時においては、露出部分に当接してケガの原因となっていた。また、クリップを脱落防止カバーに装着した状態で袋詰めされて保存または梱包・出荷される場合、前記露出部分によって他の部品が傷付くおそれがあった。
【0004】
本発明はこのような実情を考慮に入れてなされたものであって、クリップの露出部分によるケガならびに梱包・出荷等における他の部品の損傷を防止できる管接続用クリップの脱落防止構造を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、接続管の管端とこの接続管に接続される被接続部材との両方にそれぞれフランジを設け、これらフランジ同士を重ね合わせ、この重ね合わせ部に、両端で開口し、中間に折り返し部を有する抜け止め用のクリップを装着して当該クリップの本体部分に設けた長孔へ前記重ね合わせたフランジの一部を挿入して接続管の抜け止めを行うようにし、このクリップの略全体を被覆しながら前記両フランジからのクリップの脱落を防止する脱落防止カバーを設け、このカバーが、前記折り返し部を被覆する部分と、この部分を挟んで開閉可能に構成された二つの半割り体とで形成され、更に、前記開口した両端の外面に当接した状態で被覆してクリップの前記両端が外側へ開くのを防止する部分と、クリップの前記本体部分を被覆するための平面視半円状の鍔付筒部とが、それぞれ前記半割り体の各対称位置に設けられ、しかも、一方の半割り体には係止部、他方の半割り体には被係止部が設けられている。
【0006】
また本発明は別の観点から、接続管の管端とこの接続管に接続される被接続部材との両方にそれぞれフランジを設け、これらフランジ同士を重ね合わせ、この重ね合わせ部に、両端で開口し、中間に折り返し部を有する抜け止め用のクリップを装着して当該クリップの本体部分に設けた長孔へ前記重ね合わせたフランジの一部を挿入して接続管の抜け止めを行うようにし、このクリップの略全体を被覆しながら前記両フランジからのクリップの脱落を防止する脱落防止カバーを設け、このカバーが、前記開口した両端の外面に当接した状態で被覆してクリップの前記両端が外側へ開くのを防止する部分と、この部分を挟んで開閉可能に構成された二つの半割り体とで形成され、更に、前記折り返し部を被覆する部分と、クリップの前記本体部分を被覆するための平面視半円状の鍔付筒部とが、それぞれ前記半割り体の各対称位置に設けられ、しかも、一方の半割り体には係止部、他方の半割り体には被係止部が設けられている。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1〜4は本発明の第1の実施形態を示す。これらの図において、1は湯水混合栓、2はこの湯水混合栓1に湯または水を供給するサプライ管、3はこのサプライ管2の上流端に連通連結された中継管、4はこの中継管3に連通連結される逆止弁、5はこの逆止弁4を取付ける止水栓である。
【0008】
前記サプライ管2は例えば合成樹脂からなる可撓管であり、その外側面を例えばステンレス製の網体によって耐圧保護している。2aはこのサプライ管2の上流端に嵌合される金属からなるリングであり、中継管3の下流端にサプライ管2を挿入した状態でこのリング2aをかしめることにより、中継管3とサプライ管2との接続を強固にしている。
【0009】
前記中継管3は例えば真鍮からなるパイプ材を例えばプレス加工することにより形成されている。すなわち、中継管3の下流側の外周には前記サプライ管2の抜け止め用の波状部分3aを形成し、上流側の端部にはフランジ3bと内径拡大部分3cとを形成している。
【0010】
一方、逆止弁4は例えば真鍮からなる棒材を旋盤加工などにより切削して形成しており、その内部には逆止弁本体(図示せず)を挿入するための弁室4aを形成し、上流端側には止水栓5に接続する雌ねじ4bを形成している。逆止弁4の下流端側の接続部分4cは前記内径拡大部分3cの内径に挿入できる外径であり、この接続部分4cの外周には二つのOリング4d,4dを埋設している。そして、これらのOリング4d,4dより内側の管にはフランジ4eを形成している。
【0011】
8はクリップで、一枚の帯状の金属部材を折り返して形成したもので、図1に示すように、挿通部Aと、開口Bと、一対の長孔C,Cとを有している。そして、全体として弾性を有している。すなわち、クリップ8は、開口Bを形成する両端9,9と、長孔C,Cが形成された本体部分10,10と、中間の折り返し部11とからなる。
【0012】
6は脱落防止カバーで、クリップ8の略全体を被覆しながら前記両フランジ3b,4eからのクリップ8の脱落を防止する。この脱落防止カバー6は、クリップ8の前記折り返し部11を被覆する部分21と、この部分21を挟んで開閉可能に構成された二つの半割り体22a,22bとで形成されている。そして、クリップ8の前記両端9の外面に当接した状態で被覆して前記両端9が外側へ開くのを防止する部分19と、クリップ8の前記本体部分10を被覆するための平面視半円状の鍔付筒部20とが、それぞれ前記半割り体22a,22bの各対称位置に設けられている。前記部分19のそれぞれは、クリップ8被覆時にクリップ8の前記両端9,9の外周面側から当接する当り面Mを有する。更に、一方の半割り体22aには係止部30、他方の半割り体22bには被係止部31が設けられている。また、前記二つの半割り体22a,22bはそれぞれ前記折り返し部11を被覆する部分21に対して薄肉のヒンジ42で連結されている。
【0013】
而して、クリップ8の前記折り返し部11を、図2(B)に示す開いた状態の脱落防止カバー6の前記部分21内に位置させた後、脱落防止カバー6を閉じて脱落防止カバー6内にクリップ8をセットするとともに、係止部30、被係止部31を係止した状態〔図2(A)参照〕で、脱落防止カバー6が袋に詰められて保存または運搬される。すなわち、クリップ8の両端9,9のみならず、折り返し部21や本体部分10,10も脱落防止カバー6で被覆されているので、梱包・出荷時に他の部品を傷付けることはない。
【0014】
また、現場施工時には、逆止弁4の接続部分4cをサプライ管2先端の中継管3の内径拡大部分3cに挿入し、かつ、フランジ3b,4e同士を重ね合わせ、この重ね合わせ部にクリップ8を装着して当該クリップ8の本体部分10,10に設けた長孔C,Cへ前記重ね合わせたフランジ3b,4eの一部を挿入することにより、中継管3に対して逆止弁4が抜け止め保持された状態となる。
【0015】
しかる後に、クリップ8の前記折り返し部11を、図2(B)に示す開いた状態の脱落防止カバー6の前記部分21内に位置させた後、二つの半割り体22a,22bでクリップ8の前記両端9,9および前記本体部分10,10をそれぞれ覆う。すなわち、クリップ8の前記両端9,9を二つの半割り体22a,22bの前記各部分19で覆うとともに、クリップ8の前記本体部分10,10を二つの半割り体22a,22bの前記各鍔付筒部20で覆う。覆った後は、係止部30、被係止部31を係止する。
【0016】
このように、脱落防止カバー6によって、クリップ8の略全体を被覆しながら前記両フランジ3b,4eからのクリップ8の脱落を防止できるとともに、クリップ8をどの向きに向けてもクリップ8でケガをすることはない。
【0017】
なお、上記実施形態では、中継管3に対して逆止弁3を抜け止め保持する構成のものを示したが、接続管同士(つまり、被接続部材も管である場合)の抜け止め保持をクリップで行う構成のものにも本発明は適用できる。また、逆止弁3にシール部材としてのOリング4dを設けた構成のものを示したが、このシール部材は、中継管3側に設けてもよく、更に、接続管同士の抜け止め保持の場合には、いずれか一方がシール部材を設けて構成されているものであればよい。
【0018】
図5は、脱落防止カバー6の二つの半割り体22a,22b同士の係止位置を変更してある本発明の他の実施形態を示す。なお、図1〜4と同一の符号が付された部材は同一または同等の部材であるので、その詳細な説明を省略する。
【0019】
すなわち、図5(A)から明らかなように、この実施形態では、他方の半割り体22bに設けられる被係止部31を、当り面Mに形成している。
【0020】
図6は、本発明の更に他の実施形態を示す。なお、図1〜5と同一の符号が付された部材は同一または同等の部材であるので、その詳細な説明を省略する。
【0021】
図6において、脱落防止カバー6は、クリップ8の前記両端9,9の外面に当接した状態で被覆して前記両端9,9が外側へ開くのを防止する部分29と、この部分29を挟んで開閉可能に構成された二つの半割り体32a,32bとで形成されている。そして、クリップ8の前記折り返し部11を被覆する部分31と、クリップ8の前記本体部分10を被覆するための平面視半円状の鍔付筒部20とが、それぞれ前記半割り体32a,32bの各対称位置に設けられている。前記部分29は、クリップ8被覆時にクリップ8の前記両端9,9の外周面側から当接する当り面Mを有する。更に、一方の半割り体32aには係止部30、他方の半割り体32bには被係止部31が設けられている。また、前記二つの半割り体32a,32bはそれぞれ前記両端9,9が外側へ開くのを防止する部分29に対して薄肉のヒンジ42で連結されている。
【0022】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の管接続用クリップの脱落防止構造は、接続管の管端とこの接続管に接続される被接続部材との両方に形成されたフランジからのクリップの脱落を防止しながら、クリップの略全体を被覆する脱落防止カバーを設けたので、以下の効果を奏する。
▲1▼ クリップをどの向きに向けてもクリップでケガをすることはない。
▲2▼ 梱包・出荷時等にクリップを脱落防止カバー内に脱落防止カバーを閉じた状態でセットでき、他の部品を傷付けることはない。
▲3▼ クリップの脱落防止カバーへの装着を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の脱落防止カバーを用いた湯水混合栓の一例を要部拡大して示す斜視図である。
【図2】上記実施形態における脱落防止カバーの閉状態および開状態を示す斜視図である。
【図3】上記実施形態における脱落防止カバーを装着した状態を示す縦断面図である。
【図4】上記実施形態における脱落防止カバーを装着した状態を示す横断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態における脱落防止カバーの閉状態および開状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の更に他の実施形態における脱落防止カバーの閉状態および開状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
3…中継管、3b…中継管のフランジ、4…逆止弁、4e…逆止弁のフランジ、6…脱落防止カバー、8…クリップ、9,9…クリップの両端、10,10…クリップの本体部分、11…クリップの折り返し部、19…クリップの両端が外側へ開くのを防止する部分、20…クリップの本体部分を被覆するための平面視半円状の鍔付筒部、21…クリップの折り返し部を被覆する部分、22a,22b…半割り体、30…係止部、31…被係止部、B…開口、C,C…長孔。
Claims (4)
- 接続管の管端とこの接続管に接続される被接続部材との両方にそれぞれフランジを設け、これらフランジ同士を重ね合わせ、この重ね合わせ部に、両端で開口し、中間に折り返し部を有する抜け止め用のクリップを装着して当該クリップの本体部分に設けた長孔へ前記重ね合わせたフランジの一部を挿入して接続管の抜け止めを行うようにし、このクリップの略全体を被覆しながら前記両フランジからのクリップの脱落を防止する脱落防止カバーを設け、このカバーが、前記折り返し部を被覆する部分と、この部分を挟んで開閉可能に構成された二つの半割り体とで形成され、更に、前記開口した両端の外面に当接した状態で被覆してクリップの前記両端が外側へ開くのを防止する部分と、クリップの前記本体部分を被覆するための平面視半円状の鍔付筒部とが、それぞれ前記半割り体の各対称位置に設けられ、しかも、一方の半割り体には係止部、他方の半割り体には被係止部が設けられていることを特徴とする管接続用クリップの脱落防止構造。
- 前記二つの半割り体がそれぞれ前記折り返し部を被覆する部分に対して薄肉のヒンジで連結されている請求項1に記載の管接続用クリップの脱落防止構造。
- 接続管の管端とこの接続管に接続される被接続部材との両方にそれぞれフランジを設け、これらフランジ同士を重ね合わせ、この重ね合わせ部に、両端で開口し、中間に折り返し部を有する抜け止め用のクリップを装着して当該クリップの本体部分に設けた長孔へ前記重ね合わせたフランジの一部を挿入して接続管の抜け止めを行うようにし、このクリップの略全体を被覆しながら前記両フランジからのクリップの脱落を防止する脱落防止カバーを設け、このカバーが、前記開口した両端の外面に当接した状態で被覆してクリップの前記両端が外側へ開くのを防止する部分と、この部分を挟んで開閉可能に構成された二つの半割り体とで形成され、更に、前記折り返し部を被覆する部分と、クリップの前記本体部分を被覆するための平面視半円状の鍔付筒部とが、それぞれ前記半割り体の各対称位置に設けられ、しかも、一方の半割り体には係止部、他方の半割り体には被係止部が設けられていることを特徴とする管接続用クリップの脱落防止構造。
- 前記二つの半割り体がそれぞれクリップの前記両端が外側へ開くのを防止する部分に対して薄肉のヒンジで連結されている請求項3に記載の管接続用クリップの脱落防止構造。
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