JP3686490B2 - プリンタドライバのアーキテクチャのための可変2値化処理を使用するシステムおよび方法 - Google Patents
プリンタドライバのアーキテクチャのための可変2値化処理を使用するシステムおよび方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は一般にプリンタドライバのアーキテクチャに関し,更に詳しくはプリンタドライバのアーキテクチャを実施するため,およびそれによって高品質の印刷画像を作成するために可変タイプの2値化処理を使用するシステムおよび方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータシステムを用いて高品質の印刷画像を作成することは,コンピュータシステムのメーカーのみならず多くのコンピュータユーザの重要な目標である。コンピュータプリンタおよびプリンタドライバは,高品質の印刷画像を達成する場合の重大な要素である。プリンタドライバのソフトウエアおよび関連ハードウエアはホストコンピュータシステムから印刷データを受け取り,またその印刷データを適当な書式で周辺装置を提供する。
【0003】
コンピュータ技術が高度になってきているので,高解像度およびカラー再生性能のより大きいコンピュータプリンタに対する需要もまた増加している。高解像度で且つカラー再生性能を大きくするには,典型的には多量のコンピュータメモリおよび長時間のコンピュータ処理を必要とする。高解像度のカラー印刷のこれら技術的要求により,しばしば印刷作業の効率が低下し,かつコンピュータシステムの性能はマイナスの影響を受けている。従って,コンピュータ印刷装置において,最適なコンピュータシステム性能を達成することは重要な検討対象となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
コンピュータシステムを用いて高品質の印刷画像を作成する試みが,従来数種の方法で行なわれている。これまでのコンピュータシステムでは,プリンタドライバに1ページ毎に印刷データを供給する。別の従来のコンピュータシステムは,バンド構造を利用し,印刷データのページを“バンド”と呼ばれる部分に分けてプリンタドライバに供給している。図1に,上から下に向けて印刷データバンド13に対応する水平ストリップに分割された先行技術の印刷データページ11を例示する。その結果プリンタドライバは,印刷データのページ11全体を1つの不可分の単位として処理および変換するのではなく,印刷データページ11のバンド13を処理および変換することができる。従来の1インチあたり720ドットおよび1画素あたり24ビットのカラー印刷データページ11は,130メガバイトを越えるデータを含んでおり,多量のRAMまたはハードディスクドライブ用のスペースを必要とし,従ってプリントデータページ11をバンド13に細分化することにより,プリンタドライバは更に能率的且つ処理しやすい書式で印刷データを処理および変換することができる。バンド13のサイズは,普通ホストコンピュータシステムのメモリに対する制約により印刷データページ11の1から500分の1の間で変動する。
【0005】
印刷処理の間に,プリンタドライバは例えば印刷オブジェクトの分析および処理,及び印刷オブジェクトの画素への変換といった一連の個別的な機能を実行する。従来のコンピュータシステムは,一般に印刷オブジェクトの処理および変換に「オール・オア・ナッシング」プリンタドライバ手法を使用する。図2には,従来のプリンタドライバを示したが,ここではドライバ・インタフェース15がシステムユーザからの印刷コマンドに応答して描画コマンドおよび印刷データを受け取る。印刷データは,典型的にはビットマップ,グラフィックおよびテキストを含む様々な種類の印刷オブジェクトを含んでいる。ドライバ・インタフェース15は,種々の印刷オブジェクトを組み合わせて共通バンドとし,次いでそのバンドをバンドバッファ32に記憶させる書き込みライブラリ25にそれら印刷オブジェクトを供給している。出力部34がそのバンドを受け取り印刷された画像を作成するために,バンドをプリンタ18に送信する前に画像/カラー処理36が各共通バンドについて行われる。
【0006】
この「オール・オア・ナッシング」手法は,印刷する高解像度のカラー画像の技術的に高い要求に直面した場合,しばしば最適性能を発揮し得ないことがある。複数の印刷オブジェクトが画像処理より前に共通バンドに一緒に組み合わせられ,また各バンドが個々の印刷オブジェクトの種類に関係なく1単位として処理されるので,異なる種類の印刷オブジェクトの特有の画像処理およびカラー処理が困難になる。
【0007】
従って,本発明の目的は,高品質の印刷画像を作成するために,多様な処理技術を使用したプリンタドライバのアーキテクチャのための改善されたシステムと方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば,可変2値化処理を使用してプリンタドライバのアーキテクチャを実現するためのシステムと方法が開示される。本発明の好ましい実施の形態によれば,コンピュータシステムは,スプリット・プリンタドライバおよびコンピュータ・オペレーティングシステムにより供給される印刷データに応答して高品質の画像を作成するプリンタ装置を含んでいる。
【0009】
スプリット・プリンタドライバは,印刷データの予備分析を実行し,またその分析データをジャーナルファイルに記憶する別個のページドライバを含んでいる。ジャーナルファイル・プロセッサがジャーナルファイルから分析データを検索し,それをスプリット・プリントドライバの1部分である別個の描画ドライバに供給する。その別個の描画ドライバはジャーナルファイル・プロセッサから分析データを受け取り,ページドライバにより得られジャーナルファイルに記憶された分析データの種類に依存する可変2値化処理を使用して印刷データを処理する。特に分析データは,典型的には印刷データ内の印刷オブジェクトの種類および属性を含んでいる。描画ドライバは次に,処理した印刷データを,メモリスペースに保存するためにピクセル深さを減少させた画素に変換し,その画素をバンドバッファに記憶させる。画素は次に,高品質の印刷画像を作成するために,プリンタによってアクセス可能なスプーラに供給される。
【0010】
本発明の好ましい実施形態はまた,印刷データを分析し記憶するために別個のページドライバを操作し,かつ同時に印刷データを処理して画素に変換するために別個の描画ドライバを操作することのできるマルチタスク・オペレーティングシステムを有している。ページドライバ機能と描画ドライバ機能をマルチタスク・コンピュータ操作システムを用いて同時操作することにより,時間効率の高いコンピュータ印刷システムを創成し,プリンタの処理能力をを効果的に増大することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
プリンタドライバのアーキテクチャのための可変2値化処理を使用するシステムと方法の実施形態を以下に説明する。可変2値化処理は,コンピュータシステムおよび関連するソフトウエアを使用して実行され,印刷データを分析するためのページドライバと,分析情報を記憶化するためのジャーナルファイルと,分析情報の検索用のジャーナルファイル・プロセッサと,印刷オブジェクトの種類と属性に応じて印刷データを可変的に処理して画素に変換するための描画ドライバとを使用する。描画ドライバはまた,処理した印刷オブジェクトをバンドバッファに記憶されたバンド中に組み入れ,バンドは次いでコンピュータプリンタに供給されて,高品質の印刷画像を作成する。
【0012】
図3は本発明の好ましい実施形態に従ったスプリット・プリンタドライバ21を有するコンピュータシステム10のブロック図である。コンピュータシステム10は,好ましくは,中央処理装置(CPU)12,ビデオ表示装置14,入力装置16,プリンタ18,通信用ンタフェース19,ランダムアクセス記憶装置(RAM)24,ハードドライブ27,読取り専用記憶装置(ROM)28およびディスクドライブ29を有している。RAM24は,オペレーティングシステム(O/S)20,アプリケーションプログラム22および記憶データ23を含んでいる。コンピュータシステム10の各要素は好ましくは,入力部と,共通のシステムバスに結合した出力部とを有している。あるいは,コンピュータシステム10は,情報を入力するためおよびシステムソフトウエアの種々の構成要素とインタフェースするための種々の入力装置を含んでいてもよい。スプリット・プリンタドライバ21は,RAM24内のO/S20の一部として存在しており,システムプリンタ10によって使用され,プリンタ18を制御し,本発明に従って高品質の印刷画像を作成する。
【0013】
本発明の構成要素は,本明細書の教示に従ってプログラムされた従来の汎用デジタルコンピュータシステム10を使用して実現することができ,また適切なソフトウエアのコード化が本開示の教示に基づいて容易に行うことができる。本発明はまた,アプリケーションに固有の集積回路を作製することにより,または従来の回路の適当なネットワークを相互結合することにより,実施することも出来る。本発明の好ましい実施形態に於いて,スプリット・プリンタドライバ21は,汎用コンピュータシステム10上で実行される相互間で独立したスレッドの形式をとることができる。これらのスレッドによって,システム10は,コンピュータの読み取り可能な記憶媒体からこれらスレッドの対応するプログラミング命令を読み取って実行するときに,スプリット・プリンタドライバ21の技術を実現することができる。スレッドの命令を含んでいる記憶媒体は,処理システム内または処理システム外のいずれにある場合に於いても,フロッピーディスク,光ディスク,CD−ROM,光磁気ディスク,ハードドライバまたはディスクアレイー等の如何なる種類のディスク媒体をであって構わないが,これらに制限されるものでもない。あるいは、記憶媒体はROM,RAM,EFROM,EEPROM,フラッシュEEPROMまたはコンピュータ読取り可能な命令を記憶するのに適したその他の如何なる媒体であってもよい。
【0014】
図4は,本発明の好ましい実施形態に従ったスプリット・プリンタドライバ21の要素を示すブロック図である。スプリット・プリンタドライバ21の細分化構造によって本発明は,印刷データ処理などのプリンタドライバ機能をモジュール化し分散化させる設計に貢献する。マルチタスク操作の支援が可能なオペレーティングシステムが,数種類のプリンタドライバの機能を同時に制御することが出来る場合には,プリンタドライバ21を個別の機能に分離することによって,プリンタの制御にマルチタスク手法を使用することが容易となり,その結果計算時間が節約され,印刷データの処理能力が増加する。スプリット・プリンタドライバ21はまた,ページドライバ31に印刷データ30を分析させることによって重要な“先読み”機能を実行する。この分析情報は描画ドライバ37に供給されて,最終的な目標印刷画像についての高度な情報によって画素の可変処理および変換を行うことができるようにする。この“先読み”特性は,スプリット・プリンタドライバ21をより効率的に機能させることができ,また図9を参照して説明するように,高品質の印刷画像を作成するのに役立っている。
【0015】
図4において,ページドライバ31がシステムユーザからの印刷コマンドに応答して,ホストコンピュータ操作システムから印刷データ30を受け取る。ページドライバ31は1ページ単位で印刷データを分析し,全ての描画コマンドによって分析データをジャーナルファイル33中に記憶する。ジャーナルファイル33は更に,オリジナル印刷データ30のページを変換するのに必要な描画コマンドおよび分析データの集合を含んでいる。
【0016】
ジャーナルファイル・プロセッサ35は,ジャーナルファイル33から分析データを検索し,その分析データを描画ドライバ37に供給する。ジャーナルファイル・プロセッサ35はまた,ドライバ設定値38の設定に応答する。ドライバ設定値38の例としては,印刷画像解像度,カラー印刷の選択,用紙の種類,画像化可能印刷領域および種々の特定のプリンタのオプションがある。初期のドライバ設定値38は描画ドライバ37により供給されており,その後にジャーナルファイル・プロセッサ35によって更新することができる。
【0017】
描画ドライバ37は,ユーザインタフェース(UI)39に結合され,ドライバ設定値38全体についての制御を継続する。また,描画ドライバ37は,UI39に知らせるための要求に応答してページドライバ31を間接的に呼び出すことも出来る。UI39は基本的に,システムユーザが特定のプリンタ機能とオプションを選択できるようにする制御を行っている。
【0018】
ジャーナルファイル・プロセッサ35は,ジャーナルファイル33から検索した分析データを描画ドライバ37に供給し,描画ドライバ37は分析データに応答して印刷データを画素に処理変換する。次に描画ドライバ37は,変換した画素を印刷スプーラ17に供給し,プリンタ18が印刷画像を作成するためスプーラ17にアクセスする。
【0019】
図5は,図4のスプリット・プリンタドライバ21のページドライバ31を示すブロック図である。図5において,印刷データ30が,ホストコンピュータ操作システム20によりシステムユーザからの印刷コマンドに応答してページドライバ31に供給される。ページデバイスドライバ・インタフェース(ページDDI)40が,印刷データ30を受け取り,印刷データ30を高品質の装置独立型のビットマップ(DIB)データ42と,基本テキスト及びグラフィック(図形)要素を含むその他のデータ44とに分離する。ページDDI40はまた,印刷解像度,用紙サイズ,カラー印刷選択またはプリンタオプションを含む描画ドライバ37からのドライバ設定値を問い合わせる機能を持っている。
【0020】
好ましい実施形態において,DIBデータ42およびその他のデータ44は,ジャーナルファイル33に記憶される前に分析される。この分析処理によって,ジャーナルファイル33に印刷データが記憶させる前に,ページドライバ31は予備の印刷データ処理およびフォーマット化を実行することができる。特にページドライバ31は,分析された印刷データをジャーナルファイル33に記憶させる前に,印刷画像内の各印刷オブジェクトに関するデータベースを発展させ,かつ必要な全てのポインタまたはタグを含む正しい順序で印刷オブジェクトを配列する。印刷データ30は前もってページドライバ31により分析されているので,直接読取り機能が印刷データ検索時に使用出来る。
【0021】
他のデータ44はブロック48で処理され,次いでジャーナルファイル33に記憶される。DIBデータ42はオブジェクトの種類,およびカラー情報などの重要な属性を決定するためブロック46で分析される。DIBデータ42もまた分析されて,分析した画像が更に大きい画像の一部であるかどうかが決定される。ブロック46での分析により,分析した画像が大きい画像の一部であることが示された場合は,関係する分析されたDIBデータ42を連結するためにそれに識別子が加えられ,その後にDIBデータ42がブロック49のページデータ記録(PDR)に記憶される。ブロック46によって分析された画像が大きい画像の一部でないことが示された場合は,分析されたDIBデータ42が識別され,ブロック49のPDRに記憶される。
【0022】
図6は本発明の好ましい実施形態によるスプリット・プリンタドライバ・ジャーナルファイル33の内容を示すブロック図である。ジャーナルファイル33は,基本的には,印刷データをページデータまたは標準データのいずれかとして識別するコード化情報を含んでいる。ページデータはページドライバ31より提供された分析データを含んでおり,そのため,分析データ,例えば印刷オブジェクトの種類,オブジェクトがより大きな画像の一部であるときの識別子,およびカラー情報や画線太さといった種々の印刷オブジェクトの属性など,に対する標準描画呼出しを反復的に走査する必要性がなくなる。
【0023】
図6において,ページドライバ31は分析した印刷データをジャーナルファイル33に供給する。ページデータ52は,上に図5に関連して述べた分析データを含めた分析印刷データを識別するコマンドとパラメータの組み合わせを含んでいる。
【0024】
標準描画データ54は標準の印刷作業用の描画呼出し,例えば円の基本要素,線の種類,塗り潰しパターン,色指定,ビットブロック転送および倍率変換など,を含んでいる。ジャーナルファイルプロセッサ35は,このように,ジャーナルファイル33の内容を読んで標準描画データ54とページデータ52とを識別する。
【0025】
図7はページドライバ31によりジャーナルファイル33に記憶された後のページデータ52の代表的なメモリ構成を示す概要図である。ページデータ52は,典型的には,ページデータ記録(PDR)のグループを含んでおり,これはプリントデータ30を可変的に処理し高品質画像に描画するために本発明が使用する情報を含んでいる。図7について説明すると,オブジェクト「1」120は,ページドライバ31の受け取った印刷データ30の細分化部分に対応しており,ページドライバ31が収集した分析情報を含んでいる。図7のオブジェクト「1」120を含むPDRは,各PDRが含んでいる情報の典型例を示している。印刷作業の主体である印刷オブジェクトの種類はオブジェクトの種類122で指定される。印刷オブジェクトの種類には,例えばテキスト,装置独立型のビットマップ(DIB),グラフィック(図形)およびビットブロック転送等がある。識別子(ID)124は,オブジェクト「1」120がより大きい画像の一部であるかどうかを識別するために用いられる。種々の属性126には,例えばカラー情報,画線太さ,印刷オブジェクトの領域決め用の長方形,印刷オブジェクト「1」120のための印刷データを含んだ標準描画データ54記録を指すポインタ等が含まれる。各PDR中にはまた,ジャーナルファイル33中の次の連結リスト記録を指すポインタ128も含まれる。オブジェクト「2」130もオブジェクト「3」132も,オブジェクト「n」134まで同様にして,ジャーナルファイル33のページデータ52内の個々のPDR中に記憶させることができる。各PDRは典型的には,オブジェクト「1」120との関連に於いて説明したように,オブジェクトの種類122,識別子124,属性126,およびポインタ128を含むことができる。
【0026】
図8は本発明の好ましい実施形態に従ったジャーナルファイル読取りモードのジャーナルファイルプロセッサ35を示すブロック図である。ジャーナルファイルプロセッサ35は,逐次,ジャーナルファイル33に記憶されている記録を読み取り,各記録がページデータ52を含んでいるか,または標準の描画データ54を含んでいるかを決定する。好ましい実施形態に於いては,ページドライバ31は,各記録を必要な情報と共に正しいシーケンスでジャーナルファイル33中に記憶し,その結果ジャーナルファイルプロセッサ35が典型的にはジャーナルファイル33中の各記録に基づいて直接読取り機能を実行する。この時ジャーナルファイルプロセッサ35が,ジャーナルファイル33(図6)からのページデータ52に応答して描画ドライバ37に拡張(エスケープ)信号56を供給する。拡張信号56には,ページドライバ31によって実行され,ページデータ52中に記憶される分析工程からの分析情報が含まれている。ジャーナルファイルプロセッサ35はまた標準描画信号58を描画ドライバ37に供給する。標準描画信号58は,ジャーナルファイル33内の標準の描画データ54中に記憶される標準情報を含んでいる。
【0027】
図9は本発明の好ましい実施形態に従ったスプリット・プリンタドライバ21の描画ドライバ37を示すブロック図である。図9において,拡張信号56および標準描画信号58が描画ドライバ37の描画デバイスドライバインタフェース(DDI)60に供給される。標準描画信号58は,描画デバイスドライバインタフェース60によって,高品質の装置独立型ビットマップ(DIB)データ62およびその他のデータ64とに分離される。描画デバイスドライバインタフェース60は次いでDIBデータ62およびその他のデータ64を描画ライブラリ65に供給する。拡張信号56は内部的には描画デバイスドライバインタフェース60を通って画像処理/カラープロセッサ66に送られ,画素の処理および描画に使用される。
【0028】
最高印刷品質は,印刷データ30のある種の重要な側面を理解することによって得ることができる。例えば,ジャーナルファイル33内の特殊ページデータ52中に記憶された属性126は,具体的な印刷作業用の色域の計算に使用することができる。またページデータ52中に記憶された識別子124は,具体的なオブジェクトがより大きい画像の一部であるかどうかを描画ドライバ37に知らせるために用いることもできる。印刷オブジェクトの種類122は,ページドライバ31により得られ,描画ドライバ37により,画像およびカラー処理を含む可変2値化処理ならびに画素の描画を実行するために使用される。このページドライバ31の分析情報は,印刷オブジェクトの種類122および属性126の先行知識(「先読み」)によって描画ドライバ37の画像処理アルゴリズムをより効果的に機能させることができるので,印刷品質を向上させる。各種の画像処理と画素の描画には,描画プロセスの開始時に,以前のプリンタドライバによって典型的には提供されなかった情報を必要とする。これに対して,本発明は既に前以て印刷データ30を分析しており,この特別の分析情報を拡張信号56によって「先読み」として描画ドライバ37に提供することができる。
【0029】
画像処理/カラープロセッサ66は,描画ライブラリ65を通じてDIB信号62およびその他の信号64にアクセスし,拡張信号56を介して供給された分析情報を使用して印刷される具体的な画像のオブジェクトの種類122および属性126を識別する。オブジェクトの種類122がDIB(装置独立型のビットマップ)か,グラフィック(図形)か,またはテキストかに基づいて,DIB信号62およびその他の信号64について可変2値化処理を実行することができる。ページドライバ31により分析された属性126はまた,この可変2値化処理の間,画像およびカラー処理用ならびに画素の変換用に使用される。
【0030】
好ましい実施形態に於いては,画素は典型的には白黒画像用にピクセル当たり8ビット(bpp)またカラー画像用に24bppを有し,従来のRGB(赤,緑,青)フォーマットで使用されている。描画中,本発明においては,典型的には描画した画素をバンドバッファ67に記憶する前に係数8だけピクセル深さを減少させて,白黒画像用には1bppまたカラー画像用には3bppを有する記憶ピクセルのバンドを得ている。このようにピクセル深さを減少させることによりホストコンピュータシステム10に大量のメモリ保存することができる。バンドバッファ67は次に記憶された画素のバンドをカラーコンバータ68に送り,これをRGBフォーマットからCMY(シアン,マゼンダ,黄色)もしくはCMYK(シアン,マゼンダ,黄色,黒色)等のプリンタ18と互換性のあるフォーマットに変換する。変換した画素のバンドはカラーコンバータ68からスプーラ17に送られる,そこでプリンタ18によりアクセスされて高品質の印刷画像を生成する。
【0031】
図10は,本発明の好ましい実施形態に従った高品質の印刷画像を生成するためのページドライバ21により使用される基本処理ステップの概要を示すフローチャートである。ステップ70においては,ページドライバ31がオペレーティングシステム20の提供する印刷データを分析し,分析情報をページデータ52としてジャーナルファイル33に記録する。ジャーナルファイルプロセッサ35は,ステップ71において,ジャーナルファイル33からページデータ52を検索してこれを描画ドライバ37に供給する。描画ドライバ37は,ステップ72において,ページデータ52を使用して画素を処理および変換しバンドバッファ67に記憶する。画素は,ステップ73において,バンドバッファ67によりスプーラ17に送られ,そこでプリンタ18によりアクセスされて高品質の印刷画像を生成する。
【0032】
図11は本発明の好ましい実施形態に従ったページドライバ31による印刷データ30の獲得,分析,および記憶のための処理ステップを示すフローチャートである。ページドライバ31は,ステップ74において,システムユーザの発行する印刷コマンドに応答してホストコンピュータ・オペレーティングシステム20から分析されていない印刷データ30を受け取る。ページドライバ31はステップ75において,受け取った印刷データ30を分析し,高品質の装置独立型ビットマップ(DIB)データ42をその他のデータ44から分離する。ステップ77においては,分析データおよび標準描画呼出しがページドライバ31によってジャーナルファイル33内に記録される。ページドライバ31は描画コマンドの終了時に,次のステップ78において,ジャーナルファイル・プロセッサ35に対し,画素の処理および描画のために分析データがいつでも検索および使用できる旨の信号を送る。
【0033】
図12は,本発明の好ましい実施形態に従って,ぺージドライバ31が印刷データを分析・記憶するための詳細な処理ステップを示すフローチャートである。図12に図11の分析ステップ(75)の処理をより詳細に示す。ステップ80において,ページドライバ31は,ホストコンピュータ・オペレーティングシステム20から受け取った印刷データ30についてオブジェクト分析を行ない,印刷データ30を高品質な装置独立型のビットマップ(DIB)データ42およびその他のデータ44などの印刷オブジェクトの種類別に分類する。ページドライバ31は,ステップ82において,分析されたDIBデータ42がより大きな画像の一部であるか否かを決定する。DIBデータ42がより大きな画像の一部であるときは,ステップ84でDIBデータ42用の別のページデータ記録(PDR)が作成され,すべての関連PDRをより大きな画像の一部として識別するために,すべての関連PDRを更新する。DIBデータ42がより大きな画像の一部でないときは,ステップ86によって,DIBデータ42用のPDRが作成される。ステップ77(図11および図12)では,ステップ84およびステップ86からのDIBデータ,およびステップ80からのその他のデータを含む分析データをジャーナルファイル33に記録する。好ましい実施形態に於いて,ステップ80からのその他のデータは,ステップ77でジャーナルファイル33に記録される前に,分析または処理することもできる。
【0034】
図13は,ジャーナルファイル33からの分析データを読み取り,そのデータを描画ドライバ37に供給するためのジャーナルファイル・プロセッサ35の各ステップを示すフローチャートである。ジャーナルファイル・プロセッサ35は,ステップ90において,ジャーナルファイル33からの個々の印刷データ記録を検索する。ステップ92に於いて,ジャーナルファイル・プロセッサ35は,印刷データ記録がページデータ52であるか,または標準描画データ54であるかを決定する。ジャーナルファイル・プロセッサは,ステップ94において,ページデータ52に応答して,描画ドライバ37上の拡張インタフェースに拡張信号56を供給する。ジャーナルファイル・プロセッサ35は,ステップ96に於いて,標準描画データ54に応答して,描画ドライバ37上の標準インタフェースに標準描画信号58を供給する。ステップ98において,ジャーナルファイル・プロセッサ35は,ジャーナルファイル33から検索されるその他のジャーナルファイル記録が残っているか否かを判断する。その他の記録が残っているときには,ステップ98はステップ90の処理に戻り,図13の処理ステップを繰り返す。その他の記録が残らない場合は,図13の処理は終了する。
【0035】
図14は,印刷データを処理して画素を描画し,その画素をプリンタ18に供給するための描画ドライバ37の各方法ステップを示すフローチャートである。描画ドライバ37は,ジャーナルファイル・プロセッサ35によって供給された標準描画信号58に応答して,高品質な装置独立型のビットマップ(DIB)信号62,およびその他の信号64を生成する(ステップ100)。ステップ102において,描画ドライバ37は,DIB信号62およびその他の信号64を,これに画像処理/カラープロセッサ66がアクセスできるように,描画ドライバ37内の描画ライブラリ65に供給する。ステップ104において,描画ドライバ37は,可変処理および画素の描画に使用するために,画像処理プロセッサ66に拡張信号56を供給する。拡張信号56は,ページドライバ31によって予め得られ記憶された印刷オブジェクトの種類122および属性126を含む分析情報を供給するために使用される。描画ドライバ37は,ステップ106に於いて,拡張信号56を介して提供される分析情報に応答して,印刷データを可変的に処理して画素を描画する。好ましい実施形態において,画素はメモリスペースを節減するために減少されたピクセル深さで変換され,バンド中に組み込まれ,バンドバッファ内に記憶される。ステップ108において,変換された画素はプリンタ18と互換性のあるフォーマットに転換され,プリンタスプーラ17に送られる,次いでプリンタスプーラ17にプリンタ18がアクセスして,本発明に従って高品質画像を作成する。
【0036】
図15は,所定の印刷オブジェクトを可変的に処理して画素に変換し,そしてこのオブジェクトをバンドバッファ67に書き込む描画ドライバ37のステップを示すフローチャートである。図15の処理ステップは図14のステップ106をより詳細に説明している。描画ドライバ37は,ステップ110において,所定の印刷オブジェクトを画素に処理し変換するための描画コマンドを受け取る。描画ドライバ37は,ステップ112において,拡張信号56により供給されたオブジェクトの種類122および属性126に基づいて種々のカラー処理および画像処理を使用して,所定の印刷オブジェクトを画素に変換する。好ましい実施形態に於いては,描画ドライバ37は画素のピクセル深さを係数8で変換し,これにより8bpp(黒および白)は1bpp(黒および白)となり,また24bpp(カラー)は3bpp(カラー)となる。描画ドライバ37は次に,ステップ114において,この処理,描画および変換されたピクセルをバンドバッファ67に格納されたバンドに書き込む。
【0037】
図16は,カラーおよび画像処理を所定の印刷オブジェクトに適用し次いで所定の印刷オブジェクトを画素に変換するために可変2値化処理を用いるための描画ドライバ37の処理ステップを示すフローチャートである。図16では図15の処理ステップ112をより詳細に説明している。描画ドライバ37は,ステップ135において,画像処理/カラープロセッサ66へ供給される拡張信号56を介してそのオブジェクトの種類122にアクセスすることにより,所定の印刷オブジェクトを識別する。オブジェクトの種類122はページドライバ31が実行した分析工程により予め識別されており(ステップ75),ページドライバ31はオブジェクトの種類122および属性126を含む分析情報をジャーナルファイル33に格納する。好ましい実施形態に於いては,オブジェクトの種類122は,グラフィックおよびテキストを含む装置独立型のビットマップ(DIB)オブジェクトおよび他の非DIBオブジェクトで構成することもできる。
【0038】
本発明は,与えられた印刷オブジェクトに対し,オブジェクトの種類122に応じた可変2値化処理を実行する。例えば,DIB印刷オブジェクトは,グラフィック印刷オブジェクトまたはテキスト印刷オブジェクトの処理と異なる処理を受けることもできる。オブジェクトの種類122は予め識別され,また描画ドライバ37が画素を処理し描画する前にアクセスできるので,本発明は基本的には,描画ドライバ37が最も効果的な画像処理およびカラー処理ができるように所定の印刷オブジェクトの「先読み」分析を使用する。図16の種々の処理ステップは本発明の1つの実施形態を示すものでり,別の実施形態においてはその他の処理ステップおよびシーケンスを使用することもできる。
【0039】
印刷オブジェクトが装置独立型のビットマップ(DIB)として識別されると,画像処理/カラープロセッサ66は,ステップ137において,画像の縁取り強化,カラーバランス化および画像の鮮明化を含む画像処理を実行する。画像処理/カラープロセッサ66は,オブジェクトの種類122に加え,拡張信号56を介して供給される他のページデータ52を使用して,印刷オブジェクトのためのカラー情報,画線太さおよび領域決め用の長方形等の属性126を含めた印刷オブジェクトを処理する。画像処理/カラープロセッサ66は,ステップ138において,同じく拡張信号56を介して供給されたページデータ52を使用して印刷オブジェクト上にカラー処理を実施する。ステップ139において,描画ドライバ37は,個々のピクセルドットに使われるプリンタインクの量を調節するために負のバイアスを適用するドットゲイン逆変換を用いて,印刷オブジェクト上にドットゲイン処理を実行する。描画ドライバ37は,ステップ140において,処理された印刷オブジェクトをRGB(赤,青,緑)フォーマットに転換するディザリング処理を実行し,処理された印刷オブジェクトを画素に描画する。好ましい実施形態においては,描画工程は,印刷オブジェクトのピクセル深さを8bppから1bpp(黒および白)に,また24bppから3bpp(カラー)に変換して記憶保存する。この変換処理は,エラー係数と補間を用いたディザリング・アルゴリズムにより,絶対または指標付きピクセルカラー値を2レベル(オンまたはオフ)プレーン(RGBの各カラー成分に対して1プレーン)のピクセルマトリックスに変換する。
【0040】
描画ドライバ37が印刷オブジェクトを装置独立型のビットマップ(DIB)以外のものであると識別すると,画像処理/カラープロセッサ66は,ステップ136において,拡張信号56を介してオブジェクトの種類122をアクセスさせて,印刷オブジェクトがグラフィック印刷オブジェクトであるかテキスト印刷オブジェクトであるかを判断する。ステップ136がグラフィック印刷オブジェクトを識別すると,画像処理/カラープロセッサ66は,ステップ141において,拡張信号56を介して供給された属性126を含むページデータ52を使用してカラー処理を実行する。ステップ142において,描画ドライバ37は,ステップ139に関連して上記に説明したように,ドットゲイン逆変換を使用してグラフィック印刷オブジェクトのドットゲイン処理を実行する。ステップ143において,描画ドライバ37は,印刷オブジェクト・カラーデータのパラメータを疑似論理ブラシパターンに転換する。疑似論理ブラシパターンは,好ましくは,具体的な印刷オブジェクトの要求に応じて定義可能な可変ビットサイズを有するビットマップであり,かつ重ね書き透過性のようなその他の属性を含むことができる。典型的には,ブラシパターンのサイズが増加すれば利用可能な印刷色調も増えるが,ブラシパターンサイズが減少するにつれて立体的な印刷解像はより細かくなるのでトレードオフが存在する。したがって,ブラシパターンサイズは,拡張信号56を介して供給されるオブジェクトの種類122に基づいて選択してもよい。例えば,大きな長方形を塗り潰すためには,解像度は決定的なものではないので大きなブラシパターンが適切なこともあり,また広範囲にわたる飽和色が有用なこともある。反対に,縁取りが微細でポイントサイズの小さいテキストを印刷するときには,特にテキストは広範囲な色彩選択を必要としないので,小さなブラシパターンの方が高い空間的解像度を得るために適しているであろう。描画ドライバ37は,ステップ144において,処理した図形印刷オブジェクトを画素に変換して描画する。好ましい実施形態においては,描画処理は,印刷オブジェクトのピクセル深さを8bppから1bpp(黒および白)に,また24bppから3bpp(カラー)に変換することにより記憶保存する。
【0041】
ステップ136でテキスト印刷オブジェクトであると識別されると,ステップ145において,画像処理/カラープロセッサ66は,拡張信号56を介して供給された属性126を含むページデータ52を使用してカラー処理を実行する。ステップ146において,描画ドライバ37は,ステップ139に関連して上に説明したように,ドットゲイン逆変換を使用してテキスト印刷オブジェクトについてドットゲイン処理を実行する。ステップ147において,描画ドライバ37は,ステップ143に関連して上記に説明したように,印刷オブジェクト・カラーデータのパラメータを疑似論理ブラシパターンに転換する。描画ドライバ37は,ステップ148において,処理したテキスト印刷オブジェクトを画素に変換して描画する。好ましい実施形態においては,ステップ148の描画工程は,印刷オブジェクトのピクセル深さを8bppから1bpp(黒および白)に,また24bppから3bpp(カラー)に変換することにより記憶保存する。ステップ149において,描画ドライバ37は,その他の処理すべき印刷オブジェクトが残っているかどうかを判断する。印刷オブジェクトが残っているときは,ステップ149は図16の工程をステップ135から再度繰り返し,また印刷オブジェクトが残っていないときには図16の工程は終了する。
【0042】
図17は,スプリット・プリンタドライバ21による可変2値化処理の基本操作を説明する例として使う棒グラフ150より成る印刷ジョブ例の図である。棒グラフ150は,垂直y軸152,水平x軸154,第1バー156,第2バー158,第3バー160を含む少なくとも5つの別個の印刷オブジェクトを有している。
【0043】
好ましい実施形態に於いて,システムユーザが棒グラフ150にコマンドを出すと,オペレーティングシステム20は,棒グラフに対応する印刷データ30をスプリット・プリンタドライバ21内のページドライバ31に供給する。印刷データ30のフォーマットは,主としてホストコンピュータシステム10およびそのオペレーティングシステム20に依存している。典型的には,印刷データ30は,印刷データ30が1ページ単位でページドライバ31に供給されるページフォーマットか,または印刷ジョブのページを“バンド”13と呼ばれる増分に分けるバンディングフォーマットのいずれかである。更にメモリ保存等の理由から,印刷データ30の順序は,棒グラフ150の物理的なレイアウト(上から下,左から右)に従わなくてもよい。その代わりにオペレーティングシステム20は,例えば最初に第3バー160を送り,続いて垂直y軸152を送り,その後に残りの印刷オブジェクトを送って完了させることも出来る。
【0044】
描画ドライバ37は,棒グラフ150の物理的なレイアウト(上から下,左から右)に従った順序で画素を描画して,それらをプリンタ18に供給しなければならない。従って,本発明は印刷データ30を分析し,次いでその分析データをページデータ52内にあるページデータ記録(PDR)に正しい順序で記録するためにページドライバ31を使用する。例えば印刷オブジェクト152,154,156,158および160は,ページドライバ31により別個に分析することが出来,またその分析データは5つの個別PDR内のジャーナルファイル33に記録するようにすることができる。各PDRは,PDR自身がより大きな画面の1部であるかどうかを示す識別子124を含んでいる。PDRはまたそれぞれ,ジャーナルファイル・プロセッサ35により実行される検索順序中にどのPDRが次を読み取るべきかを示すポインタ128を含んでいる。ページドライバ31はまた,典型的には5つの印刷オブジェクトを分析し,またその他の分析データをそれぞれのPDRに記憶する。斯かる分析データの例には,印刷オブジェクトの種類122(DIB,グラフィック,テキスト,ビットブロック転送または多角形など),および印刷オブジェクトの属性126(カラー情報,画線の太さ,矩形の張り付け,および印刷データ52を関連する標準描画データ54に結合するポインタ)がある。分析データはジャーナルファイル33中のページデータ52に記憶され,標準描画の呼出しはジャーナルファイル33中の標準描画データ54に記憶される。
【0045】
ページドライバ31は次に,ジャーナルファイル・プロセッサ35に信号を送り,ジャーナルファイル33からPDRを検索し,それを描画ドライバ37に供給する。ジャーナルファイル35は順次各PDRを読取り,次に標準描画信号58を介して標準描画データ54を描画ドライバ37の標準インタフェースに送り,また拡張信号56を介してページデータ52を描画ドライバ37の標準インタフェースに送る。描画ドライバ37は,拡張信号56を画像処理/カラープロセッサに供給する。拡張信号56によって,変換ドライバ37はページドライバ31により予め実行した分析手法の結果を得ることが出来る。拡張信号56は,印刷オブジェクトの種類122,関連画面の1部であることを示す識別子124,および印刷オブジェクトの属性126(カラー情報,画線の太さ,および領域決め用長方形など)の分析データを供給することが出来る。この“先読み”機能によって変換ドライバ37は,盲目的に画素の描画を開始するのではなく、所望の最終的な印刷画像についての高度の情報を持って,より効率的に印刷データを処理および描画することができる。
【0046】
描画ドライバ37は,可変タイプの2値化処理を使用してオブジェクトの種類122がDIB(装置独立型のビットマップ),グラフィックまたはテキストであるかどうかに応じて棒グラフ150を処理し画素に描画する。この可変2値化処理はまた,属性126を使用して画像処理およびカラー処理を実行し,印刷オブジェクトを従来のRGB(赤,緑,青)フォーマットを有する画素に描画する。画像処理/カラープロセッサ66は,描画した画素のピクセル深さを係数8だけ減少させるための変換処理を行ない,その結果ピクセルは1bpp(黒および白)または3bpp(カラー)となり,更に変換したピクセルをバンドバッファ67内のバンドに記憶する。カラーコンバータ68はバンドバッファ67からバンドを読取り,プリンタ18と互換性のあるフォーマットにRGBフォーマットを変換し,プリンタ18によりアクセス可能なスプーラ17に正しい順序で画素を供給し,本発明に従って高品質の印刷画像を作成する。
【0047】
本発明を好ましい実施形態に関して上に説明した。その他の実施形態は,当業者にとって明白である。例えばジャーナルファイル33は,システム・ハードドライブ27,システムRAM24または個別のジャーナルファイル記憶装置を含む様々な記憶装置を使用して実現することが出来る。更に可変2値化処理の各ステップは,好ましい実施の形態中に開示されたものとは異なる種々のシーケンスで実行することも出来る。またページドライバ31の印刷データ30を分析および記憶する機能,および描画ドライバ37の画素を処理および描画する機能は,逐次的に操作してもよく,または,ホストオペレーティングシステム31が協調的又は横取り的なマルチタスク操作をサポート出来るならば,独立して実行可能なスレッドすなわち実行モジュールとして同時に操作することも出来る。マルチタスク操作システムを使用する同時処理として,ページドライバ31と描画ドライバ37を同時に操作することによって,更に時間効率のよい印刷システムが得られ,且つ印刷の処理能力を著しく増加させることが出来る。
【0048】
以上のように,本発明の範囲内において好ましい実施形態に基づく種々の変形が可能であり,本発明は特許請求の範囲のみによって制限されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】印刷データを構成するために従来使用されているバンディングアーキテクチャを示す先行技術の概要図。
【図2】従来のプリンタドライバを示す先行技術のブロック図。
【図3】本発明の好ましい実施形態に従うスプリット・プリンタドライバによるコンピュータシステムを示すブロック図。
【図4】図3のスプリット・プリンタドライバの要素を示すブロック図。
【図5】図4のスプリット・プリンタドライバのページドライバを示すブロック図。
【図6】図4のスプリット・プリンタドライバのジャーナルファイルの内容を示すブロック図。
【図7】ページドライバによってジャーナルファイルに記憶されたページデータの代表的メモリ構成を示す図。
【図8】本発明の好ましい実施形態に従うジャーナルファイル・プロセッサの読取りモードを示すブロック図。
【図9】図4のスプリット・プリンタドライバの描画ドライバを示すブロック図。
【図10】高品質の印刷画像を作成するためにスプリットドライバにより使用される基本処理ステップの概要フローチャト。
【図11】ページドライバによる印刷データの収集,分析および記憶の処理ステップを示すフローチャート。
【図12】ページドライバによる印刷データの分析および記憶の詳細の処理ステップを示すフローチャート。
【図13】ジャーナルファイルから分析印刷データを読取り,描画ドライバに分析印刷データを供給するためのジャーナルファイル・プロセッサの各ステップを示すフローチャート。
【図14】画素の処理および変換し,またプリンタに画素を供給するための変換ドライバステップの概要を示すフローチャート。
【図15】印刷オブジェクトを処理し画素に変換し,また印刷オブジェクトをバンドバッファに書き込むための描画ドライバステップのフローチャート。
【図16】可変2値化処理を使用する詳細な描画ドライバの図。
【図17】棒グラフを含む印刷ジョブの例を示す図。
【符号の説明】
15 ドライバインターフェース
17 スプーラ
18 プリンタ
21 スプリット・プリンタドライバ
31 ページドライバ
33 ジャーナルファイル
35 ジャーナルファイルプロセッサ
37 描画ドライバ
52 ページデータ
53 標準描画データ
120 オブジェクト「1」
122 オブジェクトの種類
124 識別子
126 属性
Claims (10)
- コンピュータシステムを制御するためのプロセッサと,マルチタスク・コンピュータ操作システムと,少なくとも1つの印刷オブジェクトを含む印刷データを受け取るようにプロセッサに結合されたプリンタドライバと,画素から印刷画像を作成するためにプリンタドライバに結合されたプリンタとを備えたコンピュータシステムにおいて,
前記プリンタドライバが,
受け取った印刷オブジェクトに基づいて,印刷オブジェクトの種類を示す分析データを含むページデータと、標準描画データとを生成するためのページドライバと,
前記ページデータ及び前記標準描画データを記憶するためのジャーナルファイルと,
前記ジャーナルファイルから前記ページデータ及び前記標準描画データを読み出し、前記ページデータに含まれている分析データと前記標準描画データに含まれている情報を含む標準描画信号とを出力するジャーナルファイルプロセッサと,
印刷データを画素に変換するためのものであって,画像処理/カラープロセッサと描画ライブラリとを備え、前記画像処理/カラープロセッサは、前記ジャーナルファイルプロセッサから供給された前記分析データを先読みし、その後、前記ジャーナルファイルプロセッサから供給された前記標準描画信号に前記描画ライブラリを介してアクセスし、前記ジャーナルファイルプロセッサから供給された前記分析データに示される種類に応じて可変なカラー処理方法で処理する,別個の描画ドライバとを有し,
前記マルチタスク・コンピュータ操作システムにより,前記ページドライバがページデータ及び標準描画データを生成すると同時に,前記描画ドライバが印刷データを画素に変換するように制御されることを特徴とするコンピュータシステム。 - 請求項1に記載のコンピュータシステムにおいて,前記描画ドライバが,画素をバンド中に組み込み,且つバンドをバンドバッファ中に記録することを特徴とするコンピュータシステム。
- 請求項2に記載のコンピュータシステムにおいて,前記描画ドライバが,画素をバンド中に組み込んでバンドをバンドバッファ中に記憶する前に,印刷データのピクセル深さを減少させ,且つ印刷データを画素に変換することを特徴とするコンピュータシステム。
- 少なくとも1つの印刷オブジェクトを有する印刷データを受け取るためのプリンタドライバと,マルチタスク・コンピュータ操作システムと,画素から印刷画像を作成するために前記プリンタドライバに結合されたプリンタとを備えた出力装置であって,
前記プリンタドライバが,
受け取った印刷データに基づいて,印刷オブジェクトの種類を示す分析データを含むページデータと、標準描画データとを生成するためのページドライバと,
前記ページデータ及び前記標準描画データを記憶するためのジャーナルファイルと,
前記ジャーナルファイルから前記ページデータ及び前記標準描画データを読み出し、前記ページデータに含まれている分析データと前記標準描画データに含まれている情報を含む標準描画信号とを出力するジャーナルファイルプロセッサと,
印刷データを画素に変換するためのものであって,画像処理/カラープロセッサと描画ライブラリとを備え、前記画像処理/カラープロセッサは、前記ジャーナルファイルプロセッサから供給された前記分析データを先読みし、その後、前記ジャーナルファイルプロセッサから供給された前記標準描画信号に前記描画ライブラリを介してアクセスし、前記分析データに示される種類に応じて可変なカラー処理方法で処理する,別個の描画ドライバとを有し,
前記マルチタスク・コンピュータ操作システムにより,前記ページドライバがページデータ及び標準描画データを生成すると同時に,前記描画ドライバが印刷データを画素に変換するように制御されることを特徴とする出力装置。 - 請求項4に記載の出力装置において,前記描画ドライバが画素をバンド中に組み込み,且つバンドをバンドバッファ中に記憶することを特徴とする出力装置。
- コンピュータプリンタを制御するために、マルチタスク・コンピュータ操作システムが動作するコンピュータにおいてプリンタドライバを使用して,印刷データを逐次処理する方法において,
少なくとも1つの印刷オブジェクトを含む印刷データを受け取る段階と,
受け取った印刷オブジェクトに基づいて,印刷オブジェクトの種類を示す分析データを含むページデータと、標準描画データとを生成する段階と,
生成されたページデータ及び標準描画データをジャーナルファイルに記憶する段階と,
前記ジャーナルファイルから前記ページデータ及び標準描画データを読み出す段階と,
印刷データを画素に変換すると共に,前記ジャーナルファイルから読み出された分析データを先読みし、その後、前記標準描画データに含まれている情報を含む標準描画信号に描画ライブラリを介してアクセスし、前記ページデータに含まれている分析データに示される種類に応じて可変なカラー処理方法で処理する段階と,
印刷画像を生成するためにコンピュータプリンタに画素を供給する段階とを備え,
前記マルチタスク・コンピュータ操作システムにより,ページデータ及び標準描画データを生成する段階と印刷データを画素に変換する段階とが,同時に制御されることを特徴とする方法。 - 請求項6記載の方法において,さらに画素をバンド中に組み込む段階と,バンドをバンドバッファ中に記憶する段階とを備えたことを特徴とする方法。
- 請求項7に記載の方法において,印刷データを処理する段階及び画素に変換する段階が,画素をバンド中に組み込む段階及びバンドをバンドバッファ中に記憶する段階の前に発生することを特徴とする方法。
- マルチタスク・コンピュータ操作システムを備えた出力装置であって,
少なくとも1つの印刷オブジェクトを含む印刷データを受け取る手段と,
受け取った印刷オブジェクトに基づいて,印刷オブジェクトの種類を示す分析データを含むページデータと、標準描画データとを生成する手段と,
生成されたページデータ及び標準描画データをジャーナルファイルに記憶する手段と,
前記ジャーナルファイルから前記ページデータ及び標準描画データを読み出す手段と,
画像処理/カラープロセッサと描画ライブラリとを備え、前記画像処理/カラープロセッサは、前記ジャーナルファイルプロセッサから供給された前記分析データを先読みし、その後、前記標準描画データに含まれている標準描画信号に描画ライブラリを介してアクセスして画素に変換すると共に、前記分析データに示される種類に応じて可変なカラー処理方法で処理する手段と,
印刷画像を生成するためにコンピュータプリンタに画素を供給する手段とを備え,
前記マルチタスク・コンピュータ操作システムにより,ページデータ及び標準描画データを生成する段階と印刷データを画素に変換する段階とが,同時に制御されることを特徴とする出力装置。 - 請求項9記載の出力装置において,さらに画素をバンド中に組み込むための手段と,バンドをバンドバッファ中に記憶するための手段とを備えたことを特徴とする出力装置。
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