JP3685989B2 - 遺伝子の検出用チップ、検出装置、並びに検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遺伝子の塩基配列のほか、遺伝子DNAの一塩基置換SNP(シングル・ヌクレオチド・ポリモフィズム:人の遺伝コード中の変種)、数塩基置換、点突然変異、遺伝子の欠損等の遺伝子の異常を検出し解析可能とする遺伝子の検出用チップ、検出装置、並びに検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一塩基置換SNPとは、ヒトDNAの1000bpから2000bpに1つあると言われている塩基配列の一塩基変化であり、正常人、病気の人問わず人には十万から数百万のSNPがあると考えられており、病因の解明、予防に有効なマーカーと期待されている。
【0003】
数塩基置換とは、遺伝子の塩基配列の数塩基変化である。
【0004】
点突然変異とは、すでに既知である遺伝子における塩基配列の一塩基の変化であり、これにより翻訳されるタンパク質の機能異常がみられ、疾患の原因になる場合がある。
【0005】
遺伝子の転座とは、塩基配列の順序が一部逆さまになるものであり、疾患の原因となる場合がある。
【0006】
遺伝子の欠損とは、塩基配列の一部が欠乏したものであり、疾患の原因となる場合がある。
【0007】
遺伝子の増幅とは、塩基配列の一部が重複したものであり、疾患の原因となる場合がある。
【0008】
トリプレットリピートとは、3塩基対がリピートして伸長するものであり、疾患の原因となる場合がある。
【0009】
遺伝子DNAの塩基配列の違いを検出、解析する手段としては、DNAシーケンス法(塩基配列決定法)、PCR−SSCP(Polymerase chain reaction−single stranded polymorphism)法、アレル特異的ハイブリダイゼーション法、DNAチップ法等が用いられている。
【0010】
DNAシーケンス法は、マキサム・ギルバート法とサンガー(ダイデオキシ)法があるが、現在は主にダイデオキシ法が用いられている。ヒトの遺伝子の解析したい領域をPCR法(ポリミラーゼ連鎖反応法)で増幅したのち、PCR法で用いたプライマー若しくは増幅DNA内に設定したプライマーを用いてシーケンスを行い、当領域内の遺伝子配列を決定する。
【0011】
PCR−SSCP(Polymerase chain reaction−single stranded polymorphism)法はヒトの遣伝子の解析したい領域をPCR法で増幅した後、熱変性で一本鎖にし、これを非変性ポリアクリルアミドゲル中で電気泳動を行うことで、PCR法で増幅した2本鎖DNAのそれぞれの鎖に2次構造(分子内水素結合)を形成させる。一塩基配列の違いによってとる2次構造(分子内水素結合)がことなるため、電気泳動距離の違いによって遺伝子の一塩基置換SNPと点突然変異等を検出する。
【0012】
アレル特異的ハイブリダイゼーション法では、解析したい領域をPCR法で増幅した後、メンブレン(ナイロンフィルター)の領域内に20塩基程度のPCR産物もしくはオリゴヌクレオチドプローブを作成し、そこに放射性同位元素32Pなどで標識したサンプルDNA(被検出DNA)をハイブリダイゼーションさせるものである。その際の温度等のハイブリダイゼーション条件を調節することで、遺伝子の−塩基性SNPと点突然変異を放射性同位元素の強度の差で検出する。
【0013】
DNAチップ法は、原理的にはアレル特異的ハイブリダイゼーション法とほぼ同じであるが、20塩基程度のPCR産物もしくはオリゴヌクレオチドプローブを固定相(基盤上)に並べ、そこに蛍光標識したサンプルDNA(被検出DNA)をハイブリダイゼーションさせるものである。温度等のハイブリダイゼーション条件を調節することで、ヒトの遺伝子の一塩基置換SNP等を蛍光強度の差によって検出するものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
アレル特異的ハイブリダイゼーション法におけるハイブリダイゼーションの場合は、DNAを放射性同位元素で標識するために、放射性同位元素の取り扱いと管理に多大な費用が有することが問題である。又、DNAチップ法の場合は、蛍光色素で標識すると、蛍光色素の大きな分子構造のために十分な頻度で蛍光がDNAにとりこまれないために、蛍光標識プローブの蛍光強度が高くないこと、さらに蛍光の退色及びガラス等の基盤の有する蛍光(背景部分の蛍光)が問題になる。
【0015】
このような問題点を解決するために、DNAハイブリッド形成の検出、二本鎖DNAを検出する簡単で感度の優れた方法として、プローブDNAを電極に固定し、このプローブDNAを、インターカレータ存在下においてサンプルDNAと反応させて、二本鎖DNAの検出、ハイブリッド形成体の検出を電気化学的に行う方法が開示されている(特開平9−288080号公報及び第57回分析化学討論会予稿集、P137−138、1996年、参照)。
【0016】
しかしながら、遺伝子の一塩基置換SNPや遺伝子の突然変異等の数は莫大であり、例えばヒトの場合15KBの密度(解像度)の一塩基置換SNP地図を作成するためには、すくなくとも200万の一塩基置換SNPを同定しなければならない。又、既知の疾患に関係する遺伝子の点突然変異の数もきわめて多い。一塩基置換や点突然変異を網羅的に解析することは従来の方法では現実的に不可能に近い。
【0017】
本発明は、上記従来の問題点を解決することを目的とするものであり、複数のサンプルDNAを対象に、大量の遺伝子を検出、解析することが可能な、すなわちハイスループット(高速大量)の処理ができ、しかも高感度に検出と解析が可能な遺伝子の同定装置を提供する。要するに、本発明は、特開平9−288080号公報に記載された二本鎖DNAの検出、ハイブリッド形成体の検出を電気化学的に行う原理に基づいて、大量かつ高感度な遺伝子の検出・解析装置として実現しようとするものである。
【0018】
さらに、本発明は、実際の検出等の作業において、取り扱いが簡単で、作業しやすい、遺伝子の検出方法、検出装置及び検出用チップを実現しようとするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、測定極である複数のピン電極を有し、前記ピン電極と前記ピン電極の対極である共通電極との間に電圧を印加し、電流を検出することが可能であることを特徴とする、遺伝子の検出用チップを提供する。
本発明ではアレイ状に複数配列されたピン電極を用いているので、大量の遺伝子を同時に解析することができる。
【0020】
また、ピン先端部および側面部に遺伝子を固定することができ、固定する面積を多く取ることができるという利点がある。
【0021】
また、平面電極上に遺伝子を分注する場合では平面電極の表面に凹凸があると均一に固定することができないのに比べて、ピン電極を遺伝子を含む液体の中に挿入することにより固定するので、ピン電極の表面に凹凸があっても均一に一定量の遺伝子を固定することができるという利点もある。一定量の遺伝子を固定できることにより、定量分析する上で精度・感度が高まる。
【0022】
さらに、本発明では、遺伝子を含む液体を分注する操作が不要であり、操作が簡便であるという利点もある。
【0023】
本発明では、ピン電極に固定されたプローブ遺伝子とサンプルDNAとのハイブリダイゼーションにより検出を行った後に、サンプルDNAを除去して、再度別のサンプルDNAをハイブリダーゼーションさせることができるので、繰り返してチップを使用することができる。あるいは、プローブ遺伝子を除去する処理を行い、再度別のプローブ遺伝子をピン電極に固定することができるので、異なる検出用途にて繰り返してチップを使用することができる。
【0024】
本発明における検出用チップは、さらに、前記ピン電極の対極であって前記ピン電極と接触しないように配置された共通電極を有していてもよい。
【0025】
本発明における検出用チップは、さらに前記ピンを受容し得るとともに、サンプルDNAを充填し得る窪みを有していてもよい。
【0026】
前記ピン電極には、異なる遺伝子配列を有する遺伝子がそれぞれ固定されていてもよい。
【0027】
前記ピン電極には、異なる遺伝子配列を有する複数のPCR産物、オリゴヌクレオチド、mRNA、cDNA、PNA(peptidic nucleic acid)、またはLNA(locked nucleic acid;Proligo LLC社商標)が固定されていてもよい。
【0028】
本発明に係る他の検出用チップは、前記ピン電極には、同一の遺伝子配列を有する遺伝子がそれぞれ固定されていてもよい。
【0029】
前記ピン電極には、同一の遺伝子配列を有するPCR産物、オリゴヌクレオチド、mRNA、cDNA、PNA(peptidic nucleic acid)、またはLNA(locked nucleic acid;Proligo LLC社商標)が固定されていてもよい。
【0030】
当該検出用チップは、さらに前記ピン電極をそれぞれ受容し得るとともに、サンプルDNAを充填し得る複数の窪みを有してなり、当該複数の窪みに異なるサンプルDNAをぞれぞれ充填し得るようにしてもよい。
【0031】
前記遺伝子の検出用チップは、例えば、遺伝子の塩基配列、一塩基置換SNP、数塩基置換、点突然変異、転座、欠損、増幅、またはトリプレットリピートを検出するのに有用である。
【0032】
前記ピン電極は、表面に金がメッキされていてもよい。
【0033】
前記ピン電極は、表面の一部が樹脂でコーティングされていてもよい。
【0034】
前記樹脂は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)またはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)であってもよい。
【0035】
前記遺伝子の検出用チップは、さらにピン電極を支持する支持部材を有してなり、前記ピン電極は、当該支持部材上に突設されていてもよい。
【0036】
ここで突設とは、ピン電極が支持部材を土台として支持部材から突出するように配置されていることを意味する。
【0037】
前記ピン電極は、前記支持部材上にスポット電極を介して突設されていてもよい。
【0038】
スポット電極とは、支持部材上にスポット上に配置された電極を意味する。
【0039】
前記遺伝子の検出用チップは、さらにピン電極を支持する支持部材を有してなり、前記ピン電極の一の端部が、当該支持部材上に植設されていてもよい。
【0040】
ここで植設とは、ピン電極の一の端部が支持部材に設けられた凹部に嵌合され、ピン電極が支持部材から突出するように配置されていることを意味する。
【0041】
前記支持部材は回路基板であってもよい。
【0042】
前記ピン電極は、前記支持部材上に接触または植設されている端部がエポキシ樹脂またはPTFEにより包囲され支持部材上に固定されていてもよい。
【0043】
前記ピン電極においては、前記支持部材上に接触または植設されている端部ではない側の端部にのみ遺伝子が固定されていても、あるいは、ピン電極の全体にわたり遺伝子が固定されていてもよい。
【0044】
ピン電極の表面の所定の場所に樹脂コーティングをすることにより、コーティングされず露出している部分にのみ遺伝子が固定されるようにしてもよい。
【0045】
前記遺伝子の検出用チップが内部に空隙を有してなり、前記ピン電極は、当該空隙内へ突出するように前記支持部材上に設けられ、前記共通電極の一部または全部が当該空隙内に露出していてもよい。
【0046】
チップに当該空隙内へ通じる注入口を設けて、当該空隙内へサンプル遺伝子や電解質等を注入・排出できるようにしてもよい。
【0047】
前記遺伝子の検出用チップは、本体部と当該本体部と結合し得るフレーム部とを有しており、前記本体部は、その内側面に前記ピン電極を有し、前記フレーム部は、その内側面に、当該本体部と結合した際に前記ピン電極を受容し得るとともにサンプルDNAを充填し得る窪みを有していてもよい。
【0048】
前記本体部と前記フレーム部とは着脱自在であってもよい。
【0049】
本体部とフレーム部とを着脱自在に結合する構成としては、本体部またはフレームのいずれか一方に凸部を設け他方に凹部を設け当該凸部と凹部とを係合できるようにした構成や、両者をクリップやクランプで止める構成や、一方を他方に対してスライドさせながら嵌着させる構成や、磁石により互いに吸着させる構成など、公知の方法が適宜採用され得る。
【0050】
本発明は、上記課題を解決するために、互いに着脱自在な本体部とフレーム部とを有する遺伝子の一塩基置換SNPと点突然変異の検出用チップであって、前記本体部は、その内側面にマトリックス状に配列されて突出した測定極である多数のピン電極を有し、前記フレーム部は、その内側面に、前記本体部を装着した際に前記多数のピン電極を受け入れることができるとともに、サンプルDNAを充填することのできる窪みを有し、前記窪みには前記ピン電極と接触しないように配置された対極である共通電極が配設されており、前記ピン電極は、異なる遺伝子配列から成るPCR産物もしくはオリゴヌクレオチドが固定されており、前記共通電極と前記ピン電極間に電圧が印加され、電流が検出されることが可能であることを待徴とする追伝子の一塩基置換SNPと点突然変異の検出用チップを提供する。
【0051】
なお、本発明においてマトリックス状とは、多数のピン電極が互いに平行になるように所定の面から突出するように配列されている状態を意味する。
【0052】
上記ピン電極は、夫々マトリックス状に多数配列され、異なる遺伝子配列から成るPCR産物もしくはオリゴヌクレオチドを収容する収容部の各々に、挿入されることにより、上記異なる遺伝子配列から成るPCR産物もしくはオリゴヌクレオチドが固定されているものとしてもよい。
【0053】
上記検出用チップは、遺伝子診断用であってもよい。本発明の検出用チップを用いて遺伝子診断することにより、筋ジストロフィー、血友病、フェニルケトン尿症等の単一遺伝子病、糖尿病、がん、高血圧、心筋梗塞、肥満症等の多因子遺伝子病に関する遺伝子を持っているか否かを診断したり、発症前の遺伝子を診断したり、適切な治療法や薬を選択するための判断材料にすることができる。
【0054】
又、本発明は、上記課題を解決するために、前記遺伝子の検出用チップ、ならびに該検出チップを装入及び取り出し可能な測定装置を有する遺伝子の検出装置を提供する。
【0055】
上記検出用チップにおいては、温度制御手段として、ペルチエ素子を用いて温度をコントロール可能としてもよい。
【0056】
さらに、本発明は、上記課題を解決するために、前記遺伝子の検出用チップを用いた検出方法であって、前記窪み内に、サンプルDNA又はサンプルDNAから遺伝子増幅されたDNAを充填し、ハイブリダイゼーションを行わせて二本鎖を形成し、その後、前記サンプルDNA又はサンプルDNAから遺伝子増幅されたDNAを前記窪みから除去し洗浄してから、前記窪み内に、電気化学活性分子を含む電解質を充填して、前記二本鎖に前記電気化学活性分子を結合させ、そして、前記共通電極と前記ピン電極間に電圧を印加して流れる電流値を検出することを特徴とする検出方法を提供する。
【0057】
あるいは、前記遺伝子の検出用チップを用いた検出方法であって、前記窪み内に、サンプルDNA又はサンプルDNAから遺伝子増幅されたDNAと、電気化学活性分子を含む電解質とを充填し、ハイブリダイゼーションを行わせて二本鎖を形成しながら、前記二本鎖に前記電気化学活性分子を結合させ、そして、前記共通電極と前記ピン電極間に電圧を印加して流れる電流値を検出することを特徴とする、検出方法を提供する。
【0058】
このように、前記チップを用いて、ハイブリダイゼーションをした後に電気化学活性分子を結合させたり、あるいは、電気化学活性分子の存在下にハイブリダイゼーションを行わせることにより、大量の遺伝子を同時にかつ極めて高精度・高感度に、極めて簡便な操作で解析することができる。
【0059】
前記検出方法においては、温度をコントロールしながら前記二本鎖に前記電気化学活性分子を結合させるようにしてもよい。
【0060】
前記電気化学活性分子を含む電解質は、フェロセン、カテコールアミン、金属ピピリジン錯体、金属フェナンスリン錯体、ピオローゲン、またはこれら化合物を導入した縫い込み型インターカレータを有効成分とするものであってもよい。特に好ましくは、フェロセン縫い込み型インターカレータである。
【0061】
前記電気化学活性分子を含む電解質としては、上記の他に、エチジュウム、エチジュウムブロマイド、アクリジン、アミノアクリジン、アクリジンオレンジ、プロフラビン、エリブチシン、アクチノマイシンD、ドーノマイシン、マイトマイシンC、トリス(フェナントロリン)亜鉛錯体、トリス(フェナントロリン)ルテニュウム錯体、トリス(フェナントロリン)コバルト錯体、ジ(フェナントロリン)亜鉛錯体、ジ(フェナントロリン)ルテニュウム錯体、ジ(フェナントロリン)コバルト錯体、ビピリジンプラチナ錯体、ターピリジンプラチナ錯体、フェナントロリンプラチナ錯体、トリス(ビピリジル)亜鉛錯体、トリス(ビピリジル)ルテニュウム錯体、トリス(ビピリジル)コバルト錯体、ジ(ビピリジル)亜鉛錯体、ジ(ビピリジル)ルテニュウム錯体、ジ(ビピリジル)コバルト錯体を有効成分としてもよい。
【0062】
【発明の実施の形態】
本発明に係る遺伝子の検出方法、並びに検出装置及び検出用チップの実施の形態を図面を参照しながら以下に説明する。なお、図面は本発明の一実施の形態にすぎず、これに限定されるものではない。
【0063】
図1において、本発明に係る遺伝子の検出装置1は、検出用チップ2と、この検出用チップ2を差し込み可能な装入口29を有し、ハイブリダイゼーションにより生じる二本鎖DNAを検出し解析可能とする測定装置3と、パソコン35とから構成される。
【0064】
図2は、検出用チップ2の構造を示す図であり、図2(a)は、検出用チップ2の全体斜視図を示しており、これは、カードあるいはカセット状のチップとして形成されている。図2(b)に分解斜視図として示すように、検出用チップ2は、セラミックスや合成樹脂材等により形成されたフレーム4と、該フレーム4に着脱可能に装着される本体部5とから構成される。
【0065】
フレーム4に対して本体部5を着脱自在に結合する構成は、例えば、互いに弾性的に嵌合する凹凸をフレーム4と本体部5の当接面に夫々形成することにより可能である。本実施例では、図2(b)、(c)、図3(a)、図5(a)に示すように、本体部5およびフレーム4に、ピン電極の配列を避けた箇所にそれぞれ凸部6および凹部7を設け着脱可能とした。
【0066】
フレーム4と本体部5とを互いに着脱自在に結合する構成としては、両者をクリップやクランプで止めたり、磁石により互いに吸着させたり、公知の方法が適宜採用され得る。
【0067】
フレーム4のほぼ中央には、矩形の窪み8が形成されている。この窪み8の周囲には、シール9が付設されている。この窪み8内には後述するように、溶液(サンプルDNA、縫い込み式インターカレータ、洗浄液等)を充填することができ、本体部5をフレーム4に装着することにより封止される。又、本体部5をフレーム4からはずすことにより、窪み8内の溶液の交換や混合、洗浄等を迅速に行うことができる。
【0068】
一方、本体部5には、図2(c)に示すように、フレーム4の窪み8に対応する領域に、多数のピン電極10が均等に突設されている。ピン電極10の突出長さは、本体部5をフレーム4に装着した際、窪み8内に収まる長さである。
【0069】
図3(a)は、図2(c)のA−A断面を示す図であり、本体部5の構成と、ピン電極10の突設されている状態を示している。本体部5は、内側壁11と外側壁12との間に回路基板13が設けられて構成される。回路基板13の端部が露出し、当該露出部分にピン電極用のターミナル端子20および共通電極用のターミナル端子(図4において示す27)が設けられている。また、回路基板13には配線(図4において示す21、22、23)等を含む回路が形成されている。
【0070】
図3(a)、(b)に示すように、ピン電極10は、回路基板13から内側壁11を貫通して突出するように構成される。
【0071】
ピン電極10は、図3(c)に示すように、外側壁12から回路基板13及び内側壁11を貫通して突出するように構成されてもよい。
【0072】
ピン電極10は、図3(d)に示すように、本体部5を、基台14上に回路基板13を設け、その上にピン電極10を突設するような構成としてもよい。
【0073】
あるいは、図3(e)に示すように、予め回路基板13上に多数のスポット電極15を蒸着して、多数のスポット電極15を形成しておき、ピン電極10をこのスポット電極15上に電気的に接触した状態で突設してもよい。
【0074】
ピン電極10の表面には、図6(b)でその拡大図を示すように、PCR産物、オリゴヌクレオチドの5’末端にチオール化してSH基を導入したSH化オリゴヌクレオチド16が固定されている。PCR産物は二本鎖DNAであるが、一方の鎖の5’末端をチオール化し、SH基を導入してあるこのオリゴヌクレオチドは、20〜50塩基含む長さを有し、その基端に導入したチオール基を介してピン電極10上に固定されている。
【0075】
このオリゴヌクレオチドの固定は、図6(a)に示すように、ピン電極10を、ピン電極10と同じピッチ配列されたDNA収容部18を有するマイクロプレート17の各収容部18内に、挿入することにより、同時に種類の異なるDNAを同時に修飾して行うことが可能である。ピン電極10の表面は金がメッキされており、金にSH基を介してSH化オリゴヌクレオチド16を固定する手法は公知である。
【0076】
ピン電極の表面に金メッキをする前の前処理方法やSH−金結合に関しては、例えばJ.Am.Chem.Soc 111号P321〜 1989年 C.D.Bain著や、Anal.Chem.70号P2396〜1998年 JJ.Gooding著に記載がある。なお、プローブ遺伝子の除去は、J.Am.Chem.Soc 111号P321〜 1989年 C.D.Bain著に記載の方法等で行う。
【0077】
多数のピン電極10は、回路基板13の上に設けられ、電気的にも回路基板の一部となるように構成されている。そして、図2(c)に示すように、本体部5の先端部には、ターミナル端子20、27が並設されている。
【0078】
図4(a)、図3(a)、(b)に示すように、ピン電極10は、夫々回路基板上の配線21に接続され、該配線21の他端はターミナル端子20とそれぞれ独立して接続されている。
【0079】
図4は、遺伝子の電気検出回路を示すものであり、図4(a)に示すように、ピン電極10に対する配線21は、ピン電極10それぞれに対応して一本づつ接続してそれぞれターミナル端子20に接続してもよいが、図4(b)に示すように、TFTからなるスイッチング素子を設けたアクティブマトリックス型のTFT液晶表示装置等のマトリックス電極のように、多数の縦及び横の導線22、23から成るマトリックス配線の交差部で、夫々マトリックス配線の導線22、23とピン電極10がFET(電界効果型トランジスタ)24を介して接続するような構成としてもよい。このような構成とすると、縦及び横の導線22、23が走査され、選択されたTFTがONし特定のピン電極がターミナル端子に電気的に接続されるようになる。
【0080】
本実施例では、さらに、図4で示す共通電極25を有する。図4で示す共通電極は、あくまでも回路構成を説明するために模式的に記載しているものであり、実際は、窪み8に配設されることが好ましい。例えば、共通電極25は、図5(a)に示すように、窪み8の底面の一部(例えば周縁等)又は全面、或いは窪み8の底面近くの内周側面等に、ピン電極10の対極として配設されている。そして、共通電極25は、ピン電極10と接しない位置に設けられている。共通電極20は、本体部5をフレーム4に装着すると、図5(b)に拡大図で示すように、本体部5の共通電極用の端子26と接触するように構成されている。そして、この共通電極用の端子26は、共通電極用ターミナル端子27に配線28を介して接続されている。
【0081】
なお、それぞれのピン電極10と対極である共通電極25の間の電流値は、窪み8内の空間に後述する電解質溶液を充填した場合にこの電解質溶液に接するように配線された参照電極(図示せず)の値を基準に測定され、測定ごとに正確な電流値が得られる構造としてもよい。
【0082】
測定装置における検出用チップの装入口(図1の29)の内部には、図4(c)で示すように、共通電極用ターミナル端子27及び各ピン電極用ターミナル端子20に接続して、共通電極用ターミナル端子27及び各ピン電極用ターミナル端子20間に電圧を印加する回路30が配設されている。
【0083】
そして、共通電極用ターミナル端子27と各ピン電極用ターミナル端子20間に電圧Eが印加された際に、共通電極25と各ピン電極10の間に流れる電流を、回路30に設けられた検出器31で検出して測定できるような構成とされている。
【0084】
なお、ピン電極10のターミナル端子20を選択的に接続するためには、測定装置3には、検出用チップ2を装入口29から差し込んだ場合に、各ピン電極用ターミナル端子20と接続するための受け端子32と、受け端子32を回路30に選択的に接続するための走査端子33とが設けられている。
【0085】
この検出した電流に基づく測定データは、検出器31に接続するA−D変換器34等でデジタル化され、パソコン35によりサンプルDNAの解析、同定等の処理データとして利用される。
【0086】
さらに、測定装置3には、ペルチエ素子から成る温度コントロール装置(図示せず)が装備されている。この温度コントロール装置により、後述するハイブリダイゼーションの温度条件をコントロールすることができる。
【0087】
以上のような構成から成る本発明に係る検出装置1の作用について説明する。図6(a)は、ピン電極10と同じピッチで収容部18がアレイ状に配列されたマイクロプレート17である。このマイクロプレート17の各収容部18内に、種類の同じ又は異なるDNAを収容しておく。
【0088】
そして、図6(a)に示すように、検出用チップ2の本体部5の多数の電極ピン10を、夫々収容部18に挿入する。これにより、図6(b)にその一部拡大図を示すように、夫々の電極ピン10に種類の同じ又は異なるDNAを修飾することができる。
【0089】
一方、フレーム4の窪み8内にサンプルDNA溶液を注入し充填する。そして、この窪み8内に、上記DNAの修飾された多数のピン電極10を挿入するように、本体部5をフレーム4に、凸部と凹部を係合して装着する。すると、窪み8内はシール9で封止され、共通電極25は、本体部5の共通電極用の端子26と接触する。
【0090】
なお、サンプルDNAは、生物材料から抽出したDNAを、DNA分解酵素もしくは超音波処理で分解したもの、又は特定の遺伝子からPCR(ポリメラーゼ連鎖反応法)によって増帽したDNAを用いる。これらのサンプルDNAは、ハイブリダイゼーションの直前に熱処理によって変性しておく。
【0091】
ピン電極に固定されたPCR産物もしくはオリゴヌクレオチドのDNA(一本鎖の体態)にサンプルDNA(一本鎖の状態)が添加されると、互いに相補的な塩基配列を持つPCR産物もしくはオリゴヌクレオチドのDNAとサンプルDNAは、ハイブリダイゼーションが行われる。
【0092】
このハイブリダイゼーションの際、検出用チップ2を測定装置3内の装入口29に装入して装着し、測定装置3内に装備されたペルチエ素子から成る温度コントロール装置により、ハイブリダイゼーションの温度条件をコントロールする。
【0093】
このハイブリダイゼーションが行われた後、検出用チップ2を測定装置3から抜いて、本体部5をフレーム4から外す。そして、窪み8内のサンプルDNA溶液を除去して、窪み8内に洗浄液を注入し、ハイブリダイゼーションしなかったサンプルDNAを洗い流して洗浄する。
【0094】
このような洗浄を行った後に、電気化学活性分子を含む電解質溶液を窪み8内に充填し、本体部5をフレーム4に装着する。電気化学活性分子は、ハイブリダイゼーションにより二本鎖DNAの抵抗値等の電気的特性を変化させる機能を奏する。この点については、特開平9−288080号公報に詳細に説明されている。
【0095】
このような処理を行った検出用チップ2を測定装置3に再度装着し、検出用チップ2の共通電極用ターミナル端子27及び各ピン電極用ターミナル端子20を、測定装置の受け端子32に接続し、選択スイッチを介して電圧回路30に接続し、共通電極25と各ピン電極10の間に弱い電圧をかけると、ハイブリダイゼーションにより生じた二本鎖DNAと接続されたピン電極10には、電圧回路30及び共通電極25を通して微弱電流が流れる。測定装置3内に装備されたペルチエ素子により温度をコントロールし、異なる温度での電流値を測定する。
【0096】
測定装置3では、図4(c)に示すように、各ピン電極用ターミナル端子20及び受け端子32に対して走査端子33を切り替える(切り替えは、自動又は手動で行うことが可能であるが、その構成はこの発明の要旨ではないので説明は省略する。)ことにより、順次ハイブリダイゼーションの後の二本鎖DNAに電流が流れて、検出器31で検出される。
【0097】
この検出結果が、A−D変換器34によりデジタルデータに変換されて、パソコン35で測定データとしてメモリ等に蓄積される。この測定データにより、サンプルDNAの同定や解析が行われる。例えば、予め蓄績されている各種類のDNAデータ等と比較することにより、サンプルDNAの解析や同定が可能となる。
【0098】
次に本発明に係わる遺伝子の電気化学的検出装置の実験例を説明する。
【0099】
(実験例1)
遺伝子p53の72番目のコドンにおける一塩基置換SNPの検出の実験例を示す。以下の2種類のポリモルフィズム(遺伝的多型)に相当する塩基配列をもつオリゴヌクレオチドをピン電極10それぞれにスポットすることにより固定化した。
【0100】
p53Pro(コドン72番目がPro)
p53Arg(コドン72番目がArg)
【0101】
これにp53のコドン72番目がProであるの正常人の未梢血から採取したDNA、及びこのDNAからp53のエキソン4に存在するコドン72を含む領域を増幅したPCR産物を熱変性後ハイブリダイゼーション反応を行った。測定用電解質溶液(0.1M AcOH−AcOK(pH5.6),0.1M KCl,0.05mM NFc)中で20度で470mV(Ag/AgCl参照電極基準)のハイブリダイゼーション前後の電流値変化を測定した。
【0102】
末梢血から採取したDNA
p53Proの電流変化(%) 52%
p53Argの電流変化(%) 15%
PCR産物
p53Proの電流変化(%) 65%
p53Argの電流変化(%) 13%
【0103】
さらにp53のコドン72番目がArgである正常人の末梢血から採取したDNA、及びこのDNAからp53のエキソン4に存在するコドン72を含む領域を増幅したPCR産物を同様にハイブリダイゼーション反応を行った。
【0104】
末梢血から採取したDNA
p53Proの電流変化(%) 46%
p53Argの電流変化(%) 17%
PCR産物
p53Proの電流変化(%) 53%
p53Argの電流変化(%) 11%
【0105】
これらの電流変化は、完全にマッチした塩基配列の場合とミスマッチの場合では明らかな差が認められた。
【0106】
(実験例2)
塩基置換の数によって測定する電流値が異なり、これによりミスマッチの量が測定できることを示した実験例を説明する。dT20,dT10dAdT9,dT8dA4dT8,dAdT19,dA3dT17,dT19dA,dT17dA3の7種のオリゴヌクレオチドをピン電極10それぞれにスポットすることにより固定化した。これにdA20をハイブリダイゼーション反応を行った。
【0107】
これを、測定電解質用溶液(0.1M AcOH−AcOK(pH5.6)、0.1M KCl,0.05mM NFc)中で20度で470mV(Ag/AgCl参照電極基準)のハイブリダイゼーション前後の電流値変化を測定した。
【0108】
この測定結果を表1に示す。
【0109】
【表1】
【0110】
表1における電流変化は、ほぼミスマッチ塩基の量に依存した変化であった。特に末端部にミスマッチが存在する場合は、Tm値より大きな変化が見られた。従来のSSCPでは、このような系は検出できなかったが本手法で初めて明らかとなった。
【0111】
(実験例3)
mRNA発現量の定量について実験例を示す。大腸菌ラクトースオペロン上のlacz遺伝子上に存在するユニーク配列40量体(高次構造を形成しないように設計している)のオリゴヌクレオチドの5’末端にチオール基(HS)を導入したものを、ピン電極10のそれぞれに固定化した(HS−m1:60fmol)。
【0112】
また、異なった発現量のmRNAを含む大腸菌からのmRNA抽出液をタイタープレート上の異なったウェルに入れた。このタイタープレートのウェルに先に調製したピン電極10を浸し、2×SSC、室温、1時間の条件下でハイブリダイゼーション反応を行った。これを、測定用電解質溶液(0.1M AcOH−AcOK(pH5.6),0.1M KCl,0.05mM NFc)中で20度で470mV(Ag/AgCl参照電極基準)のハイブリダイゼーション前後の電流値変化を測定した。
【0113】
得られた測定結果を図7に示す。図7から分かるように、mRNA量が60fmolまではmRNA量の増加に伴って電流変化Δi(%)が直線的に増加した。
【0114】
このように、本実施例では、mRNAの発現量をfmolレベルで定量化することができることが分かった。
【0115】
(実験例4)
遺伝子の検出について実験例を示す。アフリカツメガエルの卵細胞由来シトクロムCの遺伝子検出用DNAプローブ(5’−HS−AAGGTTGATTACTGGAATGGGGACCTGTTA−3’)を、ピン電極10のそれぞれに固定化した。また、異なったDNA量の目的遺伝子(DNAプローブと相補するDNA)を含む溶液をタイタープレート上の異なったウェルに入れた。このタイタープレートのウェルに先に調製したピン電極10を浸し、2×SSC、室温、1時間の条件下でハイブリダイゼーション反応を行った。これを測定用電解質溶液(0.1M AcOH−AcOK(pH5.6),0.1M KCl,0.05mM NFc)中で20度で470mV(Ag/AgCl参照電極基準)のハイブリダイゼーション前後の電流値変化を測定した。
【0116】
得られた結果を図8に示す。図8から分かるように、数10〜数100fmolの目的遺伝子が検出できた。一方、シトクロムCを含まないDNAサンプルの電流変化はほとんど観察されなかった。
【0117】
以上、本発明に係る遺伝子の検出方法、並びに検出装置及び検出用チップについて、その実施例で説明したが、本発明は、特にこのような実施例に限定されることはなく、特許請求の範囲の技術的事項の範囲内で、いろいろな実施の態様があることは言うまでもない。
【0118】
【発明の効果】
本発明に係る遺伝子の検出方法、並びに検出装置及び検出用チップは、以上のような構成であるから、高感度でもって、高速大量に、簡便に遺伝子を検出・解析することができる。
【0119】
このように、高感度、ハイスループット(高速大量)の処理ができる本発明に係る検出装置は、生物学、医学分野での遺伝子、表現形質との相関の解析に有効な手段である。薬剤代謝酵素、がん抑制遺伝子などの特定の遺伝子を、本発明に係る遺伝子の塩基配列、一塩基置換SNP、数塩基置換、点突然変異、転座、欠損、増幅、またはトリプレットリピートの検出・解析装置よって、解析することにより、遺伝子診断にも利用できる。
【0120】
例えば、本発明に係る検出装置では、高感度、ハイスループット(高速大量)の処理が可能であるから、日本人の遺伝子に関するデータを収集し、病気の発症と関連する遺伝子を同定し、将来発症するのを予測・予防することに役立てることができる。
【0121】
また、遺伝子を診断することにより、適切な治療法を選択したり、副作用の少ない薬を選択したりする上で役立てることができる。
【0122】
さらに、病気の遺伝子解析の結果を利用して、臨床実験等を繰り返すことなく、新薬を開発することもできる。
【0123】
本発明では、検出用チップを互いに着脱自在な本体部とフレーム部とで構成し、フレーム部にサンプルDNA溶液等を充填できる窪みを形成したので、サンプルDNA、縫い込み式インターカレータ等の溶液を、極めて簡単な作業で充填したり取り出したりできるとともに、窪み内を洗浄液で簡単に洗浄をすることができる。
【0124】
本発明では、検出用チップの測定極として、本体部の内側にマトリックス状に配列したピン電極を突出して設けたので、ピン電極を、異なるDNAを収容したマイクロプレートの収容部内に挿入することにより、同時に種類の異なるDNAを一度に修飾(固定)させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る遺伝子の検出装置の全体構成を説明する斜視図である。
【図2】 本発明に係る遺伝子の検出用チップの全体構成を説明する斜視図である。
【図3】 図3(a)は図2(c)のA一A断面図、図3(b)は図3(a)の要部拡大図、図3(c)〜(e)は、ピン電極を回路基板に設けるいろいろな構造を示している。
【図4】 本発明に係る遺伝子の検出装置及び検出用チップの電極、配線等の構成を説明するための図である。
【図5】 図2の検出用チップの断面図及びその要部拡大図である。
【図6】 本発明に係る遺伝子の検出用チップの使用状態を説明する斜視図である。
【図7】 実験例3の測定結果である。
【図8】 実験例4の測定結果である。
【符号の説明】
1 検出装置
2 検出用チップ
3 測定装置
4 検出用チップのフレーム
5 検出用チップの本体部
8 窪み
10 ピン電極
13 回路基板
14 本体部の基台
16 オリゴヌクレオチド
17 マイクロプレート
18 マイクロプレートの収容部
20 ピン電極用のターミナル端子
25 共通電極
27 共通電極用のターミナル端子
28 配線
29 測定装置の装入ロ
31 検出器
35 パソコン
Claims (31)
- 測定極である複数のピン電極を有する、遺伝子の検出用チップであって、
前記ピン電極と、前記ピン電極の対極である共通電極との間に電圧を印加し、電流を検出することが可能であることを特徴とする、遺伝子の検出用チップ。 - さらに、前記ピン電極の対極であって前記ピン電極と接触しないように配置された共通電極を有することを特徴とする、請求項1に記載の遺伝子の検出用チップ。
- さらに、前記ピン電極を受容し得るとともに、サンプルDNAを充填し得る窪みを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の遺伝子の検出用チップ。
- 前記ピン電極には、異なる遺伝子配列を有する遺伝子がそれぞれ固定されてなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップ。
- 前記ピン電極には、異なる遺伝子配列を有する複数のPCR産物、オリゴヌクレオチド、mRNA、cDNA、PNA(peptidic nucleic acid)、またはLNA(locked nucleic acid;Proligo LLC社商標)が固定されてなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップ。
- 前記ピン電極には、同一の遺伝子配列を有する遺伝子がそれぞれ固定されてなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップ。
- 前記ピン電極には、同一の遺伝子配列を有するPCR産物、オリゴヌクレオチド、mRNA、cDNA、PNA(peptidic nucleic acid)、またはLNA(locked nucleic acid;Proligo LLC社商標)が固定されてなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップ。
- さらに、前記ピン電極をそれぞれ受容し得るとともに、サンプルDNAを充填し得る複数の窪みを有してなり、
当該複数の窪みに異なるサンプルDNAをぞれぞれ充填し得るようにしたことを特徴とする、請求項6または7に記載の遺伝子の検出用チップ。 - 遺伝子の塩基配列、一塩基置換SNP、数塩基置換、点突然変異、転座、欠損、増幅、またはトリプレットリピートを検出するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップ。
- 前記ピン電極は、表面に金がメッキされてなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップ。
- 前記ピン電極は、表面の一部が樹脂でコーティングされてなることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップ。
- 前記樹脂が、PEEKまたはPTFEであることを特徴とする、請求項11に記載の遺伝子の検出用チップ。
- さらにピン電極を支持する支持部材を有してなり、
前記ピン電極は、当該支持部材上に突設されてなることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップ。 - 前記ピン電極は、前記支持部材上にスポット電極を介して突設されてなることを特徴とする、請求項13に記載の遺伝子の検出用チップ。
- さらにピン電極を支持する支持部材を有してなり、
前記ピン電極の一の端部が、当該支持部材上に植設されてなることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップ。 - 前記支持部材が回路基板である、請求項13〜15のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップ。
- 前記ピン電極は、前記支持部材上に接触または植設されている端部がエポキシ樹脂またはPTFEにより包囲され支持部材上に固定されていることを特徴とする、請求項13〜16のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップ。
- 前記ピン電極においては、前記支持部材上に接触または植設されている端部ではない側の端部にのみ遺伝子が固定されてなることを特徴とする、請求項13〜17のいずれか一項に記載の遺伝子検出用チップ。
- 前記ピン電極においては、ピン電極の全体にわたり遺伝子が固定されてなることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の遺伝子検出用チップ。
- 内部に空隙を有してなる請求項13〜19のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップであって、
前記ピン電極は、当該空隙内へ突出するように前記支持部材上に設けられ、
前記共通電極の一部または全部が当該空隙内に露出していることを特徴とする、
請求項13〜19のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップ。 - 本体部と当該本体部と結合し得るフレーム部とを有してなる請求項1〜20のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップであって、
前記本体部は、その内側面に前記ピン電極を有し、
前記フレーム部は、その内側面に、当該本体部と結合した際に前記ピン電極を受容し得るとともにサンプルDNAを充填し得る窪みを有することを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップ。 - 前記本体部と前記フレーム部とが着脱自在である、請求項21に記載の遺伝子の検出用チップ。
- 互いに着脱自在な本体部とフレーム部とを有する遺伝子の一塩基置換SNPと点突然変異の検出用チップであって、
前記本体部は、その内側面にマトリックス状に配列されて突出した測定極である多数のピン電極を有し、
前記フレーム部は、その内側面に、前記本体部を装着した際に前記多数のピン電極を受け入れることができるとともに、サンプルDNAを充填することのできる窪みを有し、
前記窪みには、前記ピン電極と接触しないように配置された対極である共通電極が配設されており、
前記ピン電極は、異なる遺伝子配列から成るPCR産物もしくはオリゴヌクレオチドが固定されており、
前記共通電極と前記ピン電極間に電圧が印加され、電流が検出されることが可能であることを特徴とする遺伝子の一塩基置換SNPと点突然変異の検出用チップ。 - 前記ピン電極は、夫々マトリックス状に多数配列され、異なる遺伝子配列から成るPCR産物もしくはオリゴヌクレオチドを収容する収容部の各々に、挿入されることにより、前記異なる遺伝子配列から成るPCR産物もしくはオリゴヌクレオチドが固定されているものであることを特徴とする請求項23に記載の遺伝子の検出用チップ。
- 遺伝子診断用である、請求項1〜24のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップ。
- 請求項1〜25のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップ、ならびに当該検出用チップを装入および取り出し可能な測定装置を有する遺伝子の検出装置。
- 前記遺伝子の検出用チップの温度をペルチエ素子を用いコントロール可能としたことを特徴とする、請求項26記載の遺伝子の検出装置。
- 請求項1〜25のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップを用いた検出方法であって、
前記窪み内に、サンプルDNA又はサンプルDNAから遺伝子増幅されたDNAを充填し、ハイブリダイゼーションを行わせて二本鎖を形成し、
その後、前記サンプルDNA又はサンプルDNAから遺伝子増幅されたDNAを前記窪みから除去し洗浄してから、前記窪み内に、電気化学活性分子を含む電解質を充填して、前記二本鎖に前記電気化学活性分子を結合させ、
そして、前記共通電極と前記ピン電極間に電圧を印加して流れる電流値を検出することを特徴とする、検出方法。 - 請求項1〜25のいずれか一項に記載の遺伝子の検出用チップを用いた検出方法であって、
前記窪み内に、サンプルDNA又はサンプルDNAから遺伝子増幅されたDNAと、電気化学活性分子を含む電解質とを充填し、ハイブリダイゼーションを行わせて二本鎖を形成しながら、前記二本鎖に前記電気化学活性分子を結合させ、そして、前記共通電極と前記ピン電極間に電圧を印加して流れる電流値を検出することを特徴とする、検出方法。 - 温度をコントロールしながら前記二本鎖に前記電気化学活性分子を結合させることを特徴とする、請求項28または29に記載の検出方法。
- 前記電気化学活性分子を含む電解質が、フェロセン、カテコールアミン、金属ピピリジン錯体、金属フェナンスリン錯体、ピオローゲン、もしくはこれら化合物を導入した縫い込み型インターカレータを有効成分とすることを特徴とする、請求項28〜30のいずれか一項に記載の検出方法。
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