JP3685917B2 - 中継装置、ネットワーク中継システムおよび中継方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数のLAN(Local Area Network)を相互に接続して高速,大容量のバックボーンネットワークを構築する中継装置、その中継装置を適用したネットワーク中継システム、および、その中継装置によりバックボーンとしての中継を実現する中継方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図31は一般的な企業内のネットワーク中継システムを示す構成図である。図31に示したビルには、地下1階、地上3階までの各フロアを用いてLANが構築されている。ビルの3階、2階、および1階には、それぞれルータRT1,RT2,RT3が設置され、これらルータRT1,RT2,RT3は地下1階に設置されたバックボーンとなるルータの中継装置100に接続されている。
【0003】
各階のシステムについては、ルータRT1には複数のハブHB1…HBi(iは自然数)が接続されている。他のルータRT2,RT3についても、図示せぬが、同様に複数のハブが接続されている。サーバやワークステーションなどの端末TL1…TLj(jは自然数)はハブHB1により集線され、パーソナルコンピュータなどの端末PC1…PCk(kは自然数)はハブHB2により集線されている。なお、1階や2階についても、3階に示したルータ、ハブ、端末の接続関係と同様のシステムが組まれている。
【0004】
また、中継装置100は、自身の配下にも各階のルータRT1,RT2,RT3と同様に複数のハブや端末を接続しているとともに、他の中継装置を接続している。
【0005】
つぎに、動作例として、図31に示したネットワーク中継システムにおいて、3階の端末TL1が2階のある端末にデータを伝送する場合について説明する。使用プロトコルは、一例としてTCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)プロトコルとする。
【0006】
図32はTCP/IPプロトコルで使用されるフレーム(パケットとも称する)のフォーマットを概略的に示す図である。フレームは、図32に示したように、先頭から末尾に向かって、フレームの始まりを示す開始フラグ、宛先MAC(Media Access Control)アドレス,送信元MACアドレスなどを規定するMACヘッダ、プロトコルタイプを規定するタイプ値、宛先IPアドレス,送信元IPアドレスなどを規定するIPヘッダ、データ、チェックサムなどのフレームチェックシーケンス(FCS)、フレームの終わりを示す終了フラグなどで構成される。
【0007】
ここで、送信元の端末TL1のMACアドレス,IPアドレスをそれぞれMACA,IPAとし、送信先のMACアドレス,IPアドレスをそれぞれMACB,IPBとする。さらに、端末TL1と送信先端末間で中継を行うルータRT1,中継装置100,ルータRT2の各MACアドレスをMACC,MACD,MACEとする。
【0008】
まず、端末TL1は、図32に示したフォーマットに従ってフレームを作成する。その際、MACヘッダには、自身のMACアドレス(MACA)とともに、送信先端末に伝送する際に最初に通過するルータRT1のMACアドレス(MACC)が宛先MACアドレスとして規定される。また、IPヘッダには、自身のIPアドレス(IPA)とともに、送信先端末のIPアドレス(IPB)が規定される。
【0009】
端末TL1によりネットワーク上にフレームが送出されると、まずルータRT1においてそのフレームが受領される。このルータRT1は、受領されたフレームからIPヘッダとMACヘッダとを抽出する。さらにルータRT1は、IPヘッダから発信元が端末TL1(IPA)であり、送信先がIPBのIPアドレスをもつ端末であることを確認すると、MACヘッダについてつぎのMACアドレスを中継装置100のMACDへ書き換える。このようにして、ルータRT1は、MACヘッダが更新されたフレームをバックボーンである中継装置100へ伝送する。
【0010】
MACヘッダの書き換え動作は、続く中継装置100,ルータRT2でも同様に実施される。すなわち、中継装置100では、MACアドレスがMACDからMACEへ書き換えられ、ルータRT2では、MACアドレスがMACEからMACBへ書き換えられる。このように、ルータを介してのデータ伝送では、ルータを通過する度にMACヘッダの更新が行われる。
【0011】
このネットワーク中継システムにおいて、中継装置100には各階から発生する大量のトラヒック(通信量)が集中することから、大容量かつ高速性を有する中継装置を選択する必要がある。
【0012】
そこで、複数のルータを相互に接続可能な大容量の中継装置としては、上述した中継装置100(ルータ)の他に、スイッチングハブとルータとの組み合わせやATM(Asynchronous Transfer Mode)スイッチとルータとの組み合わせが挙げられる。図33はスイッチングハブとルータとの組み合わせで構成される中継装置を概略的に示すブロック図であり、図34はATMスイッチとルータとの組み合わせで構成される中継装置を概略的に示すブロック図である。
【0013】
図33に示した中継装置200は、ルータ201とスイッチングハブ202とを接続させた構成である。スイッチングハブ202は、伝送路a,b,c間や伝送路d,e,f間でブリッジングを行うとともに、伝送路a,b,cと伝送路d,e,f間でスイッチングを行う。このスイッチングハブ202は、OSI(Open Systems Interconnection)レイヤに当てはめるとレイヤ2の中継を行う。すなわち、スイッチングハブ202は、経路の選択をMACアドレスにより行うことで、LAN上を流れるフレームを透過的に中継する。
【0014】
また、ルータ201は、スイッチングハブ202からフレームを受け取り、MACアドレス,TTL(Time to Live),チェックサムなどのデータを書き換えた後に再びスイッチングハブ202に戻す(例えば、MACアドレスをMACXからMACYに書き換えるなど)。このルータ201は、OSIレイヤに当てはめるとレイヤ3の中継を行う。すなわち、ルータ201は、経路の選択をIPアドレスにより行うことで、LAN上を流れるフレームを受信し、そのフレームを書き換えてから、別のLANに中継する。
【0015】
また、図34に示した中継装置300は、ATMスイッチ301にサーバ302とルータ303,305とを接続させた構成である。図34において、ATMスイッチ301の入力側に位置するルータ303は、内蔵されたATMボード304によりフレームをセルと呼ばれる固定長の短いデータ単位に分割してATMスイッチ301への伝送を行う。一方、ATMスイッチ301の出力側に位置するルータ305は、内蔵されたATMボード306によりセルをフレームに戻してから伝送を行う。
【0016】
ATMスイッチ301は、ルータ303,305間を流れるセルに基づいてOSIレイヤに当てはめるとレイヤ1の中継を行う。このATMスイッチ301は、宛先情報が記憶されているサーバ302の支援を受けて宛先ルータ(経路)を選択する。すなわち、ATMスイッチ301では、一意に割り振られたATM特有の識別子により経路選択が行われる。この例では、宛先ルータはルータ305となっている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように従来例によるネットワーク中継システムでは、中継装置200のようにスイッチングハブ202のところでフレームを透過的に通すことができても、ルータ201の通過によりフレームの書き換えが行われるので、機能的にはレイヤ3までカバーされることで満足できても、全体としての処理速度の低下を避けることはできなかった。それゆえ、高速性が要求されるバックボーンの中継装置としての性能が低いという問題があった。この問題を回避するには、大幅なコストアップが強いられることから、実現性は困難であった。
【0018】
また、中継装置300のようにATMスイッチ301の範囲で透過性を得るようにしても、ATMスイッチ301に接続されたルータ303,305などがフレームとセルとの間での変換処理を担うことから、インタフェース当たりのコストアップを避けることはできなかった。それゆえ、中継装置300においては、負荷をATMスイッチ301の周辺に分散してそのATMスイッチ301自身の負荷を軽減させたシステム構成に過ぎないことから、システム全体では割高であるという問題があった。
【0019】
この発明は、上述した従来例による問題を解消するため、従来のOSIレイヤに当てはめた中継技法にとらわれることなく、装置全体のコストパフォーマンスを実現することが可能な中継装置を得ることを第1の目的とする。
【0020】
また、この発明は、上述した従来例による問題を解消するため、上述した第1の目的を達成できる中継装置を適用して、システム全体のコストパフォーマンスを実現することが可能なネットワーク中継システムを得ることを第2の目的とする。
【0021】
また、この発明は、上述した従来例による問題を解消するため、従来のOSIレイヤに当てはめた中継技法にとらわれることなく、装置全体のコストパフォーマンスを実現できるようにバックボーンとしての中継を行うことが可能な中継方法を得ることを第3の目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、第1の目的を達成するため、請求項1の発明に係る中継装置は、宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークを接続し、複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する中継装置において、当該中継装置と接続されたネットワーク上のフレーム伝送相手の宛先情報に対応させて経路情報を記憶する経路記憶手段と、各ネットワークからフレームを受信した際に、経路記憶手段に記憶されている経路情報の中から受信されたフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択する経路選択手段と、経路選択手段により選択された経路情報に基づいて受信された宛先情報を含んだフレームをそのまま中継送信する中継送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
この請求項1の発明によれば、共通のフレーム形式で構成され、かつ宛先情報を含んだフレームの伝送を複数のネットワーク間で中継する場合、記憶中の経路情報の中から各ネットワークから受信されたフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択し、その経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信するようにしたので、フレームはフレーム全体を書き換えることなく透過的に中継され、かつ宛先を確認するだけで経路が確定することから、従来のOSIレイヤに当てはめた中継技法にとらわれることなく、装置全体のコストパフォーマンスを実現することが可能である。
【0024】
また、請求項2の発明に係る中継装置は、1または複数の周辺機器、および宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークを接続し、前記1または複数の周辺機器を含めて前記複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する中継装置において、前記各ネットワーク上の宛先情報に対応させて経路情報を記憶する経路記憶手段と、前記1または複数の周辺機器および前記複数のネットワークのうちから中継装置間および中継装置と周辺機器間で授受される制御情報を含むフレームを受信した際に、前記受信されたフレームから制御情報を識別し、前記識別された制御情報に基づいて前記経路記憶手段の記憶内容を構築する構築手段と、前記経路記憶手段に記憶されている経路情報の中から前記受信された宛先情報を含んだフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択する経路選択手段と、前記経路選択手段により選択された経路情報に基づいて前記受信された宛先情報を含んだフレームをそのまま中継送信する中継送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
この請求項2の発明によれば、共通のフレーム形式で構成され、かつ宛先情報を含んだフレームの伝送を複数のネットワーク間で中継する場合、各周辺機器および各ネットワークのうちから受信されたフレームに基づいて中継装置間および中継装置と周辺機器間で授受される制御情報を識別し、その制御情報に基づいて各ネットワーク上の宛先情報と経路情報との対応を構築して記憶するとともに、記憶中の経路情報の中から各ネットワークから受信されたフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択し、その経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信するようにしたので、性能劣化を起こすことなくフレームを透過的に中継しつつ、そのフレームからルーティングのための情報を取り込むことができ、これによって、ルーティングのための情報を容易に構築することが可能である。
【0026】
また、請求項3の発明に係る中継装置は、宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークを接続し、複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する中継装置において、各ネットワーク上の宛先情報に対応させて経路情報を記憶する経路記憶手段と、各ネットワークからルーティングプロトコルを含むフレームを受信した際に、受信されたフレームからルーティングプロトコルを識別し、識別されたルーティングプロトコルに基づいて経路記憶手段の記憶内容を構築する構築手段と、経路記憶手段に記憶されている経路情報の中から受信された宛先情報を含んだフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択する経路選択手段と、経路選択手段により選択された経路情報に基づいて受信された宛先情報を含んだフレームをそのまま中継送信する中継送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0027】
この請求項3の発明によれば、共通のフレーム形式で構成され、かつ宛先情報を含んだフレームの伝送を複数のネットワーク間で中継する場合、各ネットワークから受信されたフレームに基づいてルーティングプロトコルを識別し、そのルーティングプロトコルに基づいて各ネットワーク上の宛先情報と経路情報との対応を構築して記憶するとともに、記憶中の経路情報の中から各ネットワークから受信されたフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択し、その経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信するようにしたので、性能劣化を起こすことなくフレームを透過的に中継しつつ、そのフレームからルーティングのための情報を取り込むことができ、これによって、ルーティングのための情報を容易に構築することが可能である。
【0028】
また、請求項4の発明に係る中継装置は、1または複数の周辺機器、および宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークを接続し、前記1または複数の周辺機器を含めて前記複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する中継装置において、前記各ネットワーク上の宛先情報に対応させて経路情報を記憶する経路記憶手段と、前記1または複数の周辺機器からARPを含むフレームを受信した際に、前記受信されたフレームから周辺機器の送信元IPアドレスを識別し、前記識別された周辺機器の送信元IPアドレスに基づいて前記経路記憶手段の記憶内容を構築する構築手段と、前記経路記憶手段に記憶されている経路情報の中から前記受信された宛先情報を含んだフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択する経路選択手段と、前記経路選択手段により選択された経路情報に基づいて前記受信された宛先情報を含んだフレームをそのまま中継送信する中継送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0029】
この請求項4の発明によれば、共通のフレーム形式で構成され、かつ宛先情報を含んだフレームの伝送を複数のネットワーク間で中継する場合、周辺機器から受信されたフレームに基づいて周辺機器の送信元IPアドレスを識別し、その送信元IPアドレスに基づいて各ネットワーク上の宛先情報と経路情報との対応を構築して記憶するとともに、記憶中の経路情報の中から各ネットワークから受信されたフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択し、その経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信するようにしたので、性能劣化を起こすことなくフレームを透過的に中継しつつ、そのフレームからルーティングのための情報を取り込むことができ、これによって、ルーティングのための情報を容易に構築することが可能である。
【0030】
また、請求項5の発明に係る中継装置は、請求項4の発明において、前記構築手段は、前記識別された送信元IPアドレスに関連する経路情報が前記経路記憶手段に記憶されていない場合に前記経路情報を前記経路記憶手段に追加する追加手段と、前記追加手段の追加動作に応じて一定時間を計測する計測手段と、前記計測手段の計測により前記一定時間が経過する前に前記経路情報に従って前記周辺機器からARPを含むフレームが受信された場合に前記計測手段による計測を中止し、一方、前記計測手段の計測により前記一定時間が経過した場合に前記経路記憶手段から前記追加手段による追加内容を削除する追加削除手段とを有したことを特徴とする。
【0031】
この請求項5の発明によれば、受信されたARPを含むフレームの送信元IPアドレスに関連する経路情報を追加した後、一定時間が経過する前にその経路情報に従って周辺機器からARPを含むフレームが受信された場合にその計測を中止し、一方、一定時間が経過した場合に追加内容を削除するようにしたので、未登録の周辺機器についての新規登録をARPに従って行うことができ、これによって、ARPフレームによるホスト経路の自動取得および自動更新を実現することが可能である。
【0032】
また、請求項6の発明に係る中継装置は、請求項5の発明において、前記複数のネットワークには自中継装置と同等の他の中継装置が1または複数含まれており、前記構築手段は、前記追加手段の追加結果および前記追加削除手段による削除内容を前記他の中継装置へ通知することを特徴とする。
【0033】
この請求項6の発明によれば、新規に追加された経路情報について追加や削除を自中継装置と同機能をもつ他の中継装置にも通知するようにしたので、共有する通信経路上での記憶内容を確実かつ迅速に統一することが可能である。
【0034】
また、請求項7の発明に係る中継装置は、請求項5または6の発明において、前記構築手段は、前記計測手段による計測時間が前記一定時間に達する前に前記1または複数の周辺機器に対してARPを含むリクエストタイプのフレームを送出することを特徴とする。
【0035】
この請求項7の発明によれば、計測時間が一定時間に達する前に1または複数の周辺機器に対してARPを含むリクエストタイプのフレームを送出するようにしたので、新規追加の経路情報を削除する前に積極的に周辺機器に対してARPを含むフレームを要求することができ、これによって、本来追加しておくべき経路情報の削除を未然に防止することが可能である。
【0036】
また、請求項8の発明に係る中継装置は、請求項4〜7のいずれか一つの発明において、前記複数のネットワークには自中継装置と同等の他の中継装置が1または複数含まれており、前記構築手段は、前記識別された送信元IPアドレスに関連する経路情報が前記経路記憶手段に記憶されていた場合に前記経路情報に基づく自中継装置と前記周辺機器との接続関係の変化に応じて前記経路記憶手段の記憶内容を更新するとともに、その更新内容を前記他の中継装置へ通知することを特徴とする。
【0037】
この請求項8の発明によれば、受信されたARPを含むフレームの送信元IPアドレスに関連する経路情報がすでに記憶されていた場合には自中継装置と周辺機器との接続関係の変化に応じて記憶内容を更新するとともに、その更新内容を自中継装置と同等の他の中継装置へ通知するようにしたので、例えば周辺機器が他の中継装置の直下となれば自中継装置の管理下から外れることからその経路情報を記憶内容から削除すればよく、あるいは、自中継装置において接続位置(ポート位置)が変更されたのであれば経路情報を変更すれば済み、これにより、ARPフレームによるホスト経路の自動取得および自動更新を実現することが可能である。
【0038】
また、請求項9の発明に係る中継装置は、宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークを接続し、複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する中継装置において、フレームの宛先を制御するスイッチエンジンと、各ネットワーク上の宛先情報とその宛先情報で示される宛先の経路を示す経路情報とを対応付けて記憶した第1テーブルを有し、第1テーブルを用いてスイッチエンジンから宛先情報を受け取り、その宛先情報に対応する経路情報をスイッチエンジンへ供給するプロセッシングユニットと、各ネットワーク上の宛先情報とその宛先情報で示される宛先の経路を示す経路情報とを対応付けて記憶した第2テーブルを有するマネージメントユニットと、を備え、スイッチエンジンは、各ネットワークからフレームを受信した際に、受信されたフレームから宛先情報を抽出する抽出手段と、第1テーブルに記憶されている経路情報の中から抽出手段により抽出された宛先情報に対応する経路情報を検索する第1検索手段と、第1検索手段により経路情報が得られた場合にその経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信する中継送信手段と、を有し、マネージメントユニットは、第1検索手段により経路情報が得られなかった場合にプロセッシングユニットの要求に応じて第2テーブルに記憶されている経路情報の中から抽出手段により抽出された宛先情報に対応する経路情報を検索する第2検索手段と、第2検索手段により経路情報が得られた場合にその経路情報と抽出手段により抽出された宛先情報とを対応付けてプロセッシングユニットの第1テーブルに登録する登録手段と、を有したことを特徴とする。
【0039】
この請求項9の発明によれば、スイッチエンジンにおいて、各ネットワークから共通のフレーム形式で構成され、かつ宛先情報を含んだフレームを受信した際に、プロセッシングユニット内の第1テーブルからフレーム中の宛先情報に対応する経路情報を検索し、その経路情報が得られた場合にその経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信し、マネージメントユニットにおいて、スイッチエンジンでの検索で経路情報が得られなかった場合に自ユニット内の第2テーブルで同検索を行い、この検索で経路情報が得られた場合にその経路情報と検索に用いた宛先情報とを対応付けてプロセッシングユニットの第1テーブルに登録するようにしたので、第1テーブルを用いた検索の段階で所要の経路情報が得られると、マネージメントユニットを動作させずに中継を完了させることができ、これによって、中継動作が高速化されることから、装置全体のコストパフォーマンスを一層向上することが可能である。
【0040】
また、請求項10の発明に係る中継装置は、請求項9記載の発明において、スイッチエンジンは、各ネットワークからルーティングプロトコルを含むフレームを受信した際に、受信されたフレームからルーティングプロトコルを識別する識別手段と、マネージメントユニットは、スイッチエンジンにより識別されたルーティングプロトコルに基づいて第2テーブルを構築する構築手段とを有することを特徴とする。
【0041】
この請求項10の発明によれば、スイッチエンジンにおいて、各ネットワークからルーティングプロトコルを含むフレームを受信した際に、受信されたフレームからルーティングプロトコルを識別し、マネージメントユニットにおいて、スイッチエンジンにより識別されたルーティングプロトコルに基づいて第2テーブルを構築するようにしたので、第1テーブルはスイッチエンジンによる最初の経路検索専用となって、プロセッシングユニットの負荷は極力軽減され、これによって、フレームの透過的な中継を遅延させることがなくなることから、装置全体のコストパフォーマンスを一層向上することが可能である。
【0042】
また、請求項11の発明に係る中継装置は、請求項9記載の発明において、前記中継装置は1または複数の周辺機器を接続しており、前記スイッチエンジンは、前記周辺機器からARPを含む前記フレームを受信した際に、前記受信されたフレームから周辺機器の送信元IPアドレスを識別する識別手段と、前記マネージメントユニットは、前記スイッチエンジンにより識別された周辺機器の送信元IPアドレスに基づいて前記第2テーブルを構築する構築手段とを有することを特徴とする。
【0043】
この請求項11の発明によれば、スイッチエンジンにおいて、中継装置に接続された周辺機器からARPを含むフレームを受信した際に、受信されたフレームから周辺機器の送信元IPアドレスを識別し、マネージメントユニットにおいて、スイッチエンジンにより識別された送信元IPアドレスに基づいて第2テーブルを構築するようにしたので、第1テーブルはスイッチエンジンによる最初の経路検索専用となって、プロセッシングユニットの負荷は極力軽減され、これによって、フレームの透過的な中継を遅延させることがなくることから、装置全体のコストパフォーマンスを一層向上することが可能である。
【0044】
また、第2の目的を達成するため、請求項12の発明に係るネットワーク中継システムは、宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークと、複数のネットワークを接続し、複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する1または複数の中継装置と、を備え、中継装置は、当該中継装置と接続されたネットワーク上のフレーム伝送相手の宛先情報に対応させて経路情報を記憶する経路記憶手段と、各ネットワークからフレームを受信した際に、経路記憶手段に記憶されている経路情報の中から受信されたフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択する経路選択手段と、経路選択手段により選択された経路情報に基づいて受信された宛先情報を含んだフレームをそのまま中継送信する中継送信手段と、を有したことを特徴とする。
【0045】
この請求項12の発明によれば、共通のフレーム形式で構成され、かつ宛先情報を含んだフレームの伝送を複数のネットワーク間で中継する場合、複数のネットワークを接続させた1または複数の中継装置において、記憶中の経路情報の中から各ネットワークから受信されたフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択し、その経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信するようにしたので、中継装置を通るフレームはフレーム全体を書き換えることなく透過的に中継され、かつ宛先を確認するだけで経路が確定することから、従来のOSIレイヤに当てはめた中継技法にとらわれることなく、システム全体のコストパフォーマンスを実現することが可能である。
【0046】
また、請求項13の発明に係るネットワーク中継システムは、宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークと、複数のネットワークを接続し、複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する1または複数の中継装置と、を備え、中継装置は、各ネットワーク上の宛先情報に対応させて経路情報を記憶する経路記憶手段と、各ネットワークからルーティングプロトコルを含むフレームを受信した際に、受信されたフレームからルーティングプロトコルを識別し、識別されたルーティングプロトコルに基づいて経路記憶手段の記憶内容を構築するテーブル構築手段と、経路記憶手段に記憶されている経路情報の中から受信された宛先情報を含んだフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択する経路選択手段と、複数のネットワークの内で経路選択手段により選択された経路情報に基づいて受信された宛先情報を含んだフレームをそのまま中継送信する中継送信手段と、を有したことを特徴とする。
【0047】
この請求項13の発明によれば、共通のフレーム形式で構成され、かつ宛先情報を含んだフレームの伝送を複数のネットワーク間で中継する場合、中継装置において、各ネットワークから受信されたフレームに基づいてルーティングプロトコルを識別し、そのルーティングプロトコルに基づいて各ネットワーク上の宛先情報と経路情報との対応を構築して記憶するとともに、記憶中の経路情報の中から各ネットワークから受信されたフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択し、その経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信するようにしたので、性能劣化を起こすことなくフレームを透過的に中継しつつ、そのフレームからルーティングのための情報を取り込むことができ、これによって、システム内のルーティングのための情報を中継装置に容易に構築することが可能である。
【0048】
また、請求項14の発明に係るネットワーク中継システムは、請求項12または13に記載の発明において、テーブル構築手段は、受信されたフレームから識別されたルーティングプロトコルが他の中継装置から自発的に各ネットワークに送出されたルーティングプロトコルであった場合、受信されたフレームに含まれるルーティングプロトコルに基づいて経路記憶手段の記憶内容を構築することを特徴とする。
【0049】
この請求項14の発明によれば、中継送信の際に、受信されたフレームから他の中継装置が自発的に送出したルーティングプロトコルが識別された場合には、その受信されたフレームを取り込み、新たな宛先情報を生成し、その生成された宛先情報を他の中継装置に向けて自発的に送出する。これにより、中継装置間でルーティングプロトコルを中継しながらシステム内のルーティングのための情報を容易に構築することが可能である。
【0050】
また、請求項15の発明に係るネットワーク中継システムは、宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークと、1または複数の周辺機器および前記複数のネットワークを接続し、前記1または複数の周辺機器を含めて前記複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する1または複数の中継装置と、を備え、前記中継装置は、前記各ネットワーク上の宛先情報に対応させて経路情報を記憶する経路記憶手段と、前記周辺機器からARPを含む前記フレームを受信した際に、前記受信されたフレームから周辺機器の送信元IPアドレスを識別し、前記識別された周辺機器の送信元IPアドレスに基づいて前記経路記憶手段の記憶内容を構築するテーブル構築手段と、前記経路記憶手段に記憶されている経路情報の中から前記受信された宛先情報を含んだフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択する経路選択手段と、前記複数のネットワークの内で前記経路選択手段により選択された経路情報に基づいて前記受信された宛先情報を含んだフレームをそのまま中継送信する中継送信手段と、を有したことを特徴とする。
【0051】
この請求項15の発明によれば、共通のフレーム形式で構成され、かつ宛先情報を含んだフレームの伝送を複数のネットワーク間で中継する場合、中継装置において、接続された周辺機器から受信されたフレームに基づいて周辺機器の送信元IPアドレスを識別し、その送信元IPアドレスに基づいて各ネットワーク上の宛先情報と経路情報との対応を構築して記憶するとともに、記憶中の経路情報の中から各ネットワークから受信されたフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択し、その経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信するようにしたので、性能劣化を起こすことなくフレームを透過的に中継しつつ、そのフレームからルーティングのための情報を取り込むことができ、これによって、システム内のルーティングのための情報を中継装置に容易に構築することが可能である。
【0052】
また、第3の目的を達成するため、請求項16の発明に係る中継方法は、宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークを接続し、複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する中継方法において、各ネットワークからフレームを受信した際に、受信されたフレームから宛先情報を抽出する第1工程と、各ネットワーク上の宛先情報とその宛先情報で示される宛先の経路を示す経路情報とを対応付けて記憶した第1テーブルを用いて、第1テーブルに記憶されている経路情報の中から第1工程により抽出された宛先情報に対応する経路情報を検索する第2工程と、第2工程により経路情報が得られた場合にその経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信する第3工程と、第1テーブルとは別に設けられ、各ネットワーク上の宛先情報とその宛先情報で示される宛先の経路を示す経路情報とを対応付けて記憶した第2テーブルを用いて、第2工程により経路情報が得られなかった場合に第2テーブルに記憶されている経路情報の中から第1工程により抽出された宛先情報に対応する経路情報を検索する第4工程と、第4工程により経路情報が得られた場合にその経路情報と第1工程により抽出された宛先情報とを対応付けて第1テーブルに登録する第5工程と、を含んだことを特徴とする。
【0053】
この請求項16の発明によれば、各ネットワークから共通のフレーム形式で構成され、かつ宛先情報を含んだフレームを受信した際に、第1テーブルからフレーム中の宛先情報に対応する経路情報を検索し、その経路情報が得られた場合にその経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信し、一方、その経路情報が得られなかった場合に第2テーブルで同検索を行い、この検索で経路情報が得られた場合にその経路情報と検索に用いた宛先情報とを対応付けて第1テーブルに登録する工程にしたので、第1テーブルを用いた検索の段階で所要の経路情報が得られると、その段階で中継を完了させることができ、これによって、中継動作が高速化されることから、従来のOSIレイヤに当てはめた中継技法にとらわれることなく、装置全体のコストパフォーマンスを実現できるようにバックボーンとしての中継を行うことが可能である。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る中継装置、ネットワーク中継システムおよび中継方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0055】
(実施の形態1)
まず、この発明の実施の形態1による基本原理について説明する。図1はこの発明の実施の形態1による中継装置を機能的に示す機能ブロック図である。図1に示した中継装置1は、伝送路制御部2、プロトコル識別部3、経路選択部4、第1経路記憶部5、第2経路記憶部6、ルーティングプロトコル制御部7、伝送路制御部8などで構成される。なお、このネットワーク中継システムで使用されるフレームのフォーマットは、前述した図32のフォーマットに従うものとする。
【0056】
伝送路制御部2,8は、図示せぬ複数のLAN(周辺ルータ,同機能を有する他の中継装置,自装置配下など)に接続され、一方の伝送路制御部2は各LAN上のフレームを受信し、他方の伝送路制御部8は経路選択部4で選択された経路をもつLAN上へフレームを送信する。
【0057】
プロトコル識別部3は、伝送路制御部2を通じて受信されたフレームを識別して、そのタイプがルーティングプロトコル(例えば、RIP(RoutingInformation Protocol),OSPF(Open Shortest Path First)など)か、それとも通常のデータ(中継対象フレーム)であるかを判断する。このプロトコル識別部3は、受信フレームに基づいてルーティングプロトコルを識別すると、受信フレームをルーティングプロトコル制御部7と経路選択部4との両方に送出し、一方、通常のデータを識別すると、受信フレームを経路選択部4だけに送出する。なお、受信フレームがルーティングプロトコルであった場合には、フレーム中にルーティング情報が含まれる。
【0058】
経路選択部4は、受信フレームからIPヘッダを抽出して、レイヤ3の宛先情報すなわちIPアドレスをキーにして第1経路記憶部5を検索するとともに、その検索で得られた経路情報すなわち出力ポートを受け取りその出力ポートに対応する伝送路(伝送路制御部8)に対して受信フレームをそのまま送出する。
【0059】
第1経路記憶部5は、各LAN上の宛先を示すレイヤ3のIPアドレスと出力方路を示す出力ポートとを対応付けて記憶したルーティングテーブルであり、IPアドレスの入力に対して出力ポートを出力する。第2経路記憶部6は、上記第1経路記憶部5と同様に、各LAN上の宛先を示すレイヤ3のIPアドレスと出力方路を示す出力ポートとを対応付けて記憶したルーティングテーブルであり、第1経路記憶部5でIPアドレスに対応する出力ポートが得られなかった場合に利用される。
【0060】
ルーティングプロトコル制御部7は、受信フレームを調べ、そこからルーティング情報を抽出して、そのルーティング情報に基づいて上記第2経路記憶部6のIPレイヤと出力ポートとの対応関係を構築(新規,変更など)する。
【0061】
つぎに、図1に示した機能ブロックを参照して動作について説明する。図2は実施の形態1によるネットワーク中継システムにおいてフレームの流れを説明する図である。ここでは、図31に示したネットワーク中継システムの接続状態で、中継装置100に替わり中継装置1を設置した場合を例に挙げる。したがって、中継装置1には、図2に示した如く、説明上、ルータRT1,RT2が接続される。
【0062】
受信フレームが通常のデータ(中継対象フレーム)であった場合について説明する。中継装置1を中継して通常のデータ(中継対象フレーム)がルータRT1からルータRT2へ伝送される場合には、ルータRT1から送出されたフレームは、まず、中継装置1によって受信される。この中継装置1において、受信フレームが通常のデータであることから、プロトコル識別部3により受信フレームが通常のデータであることが判明する。この場合には、経路選択部4により受信フレーム中のIPアドレスをキーにして、第1段階のルーティングテーブル、すなわち第1経路記憶部5が検索される。
【0063】
経路選択部4では、その検索の結果、IPアドレスに対応する出力ポートの登録が認められると、その出力ポートに応じた伝送路(ルータRT2のLAN)で受信フレームを伝送できるように、受信フレームが伝送路制御部8を通じてルータRT2へ送出される。その際、図2に示したように、ルータRT1から送出された通常のデータは、中継装置1を透過的に中継されることでルータRT2へ伝送される。
【0064】
なお、第1経路記憶部5の検索で目的とする出力ポートが得られなかった場合には、さらに第2段階として第2経路記憶部6の検索でIPアドレスに対応する出力ポートを取得することになる。このとき、第1経路記憶部5により取得できなかったIPアドレスとこれに対応する出力ポートとの関係は、第1経路記憶部5に不足したルーティング情報となることから、第1経路記憶部5に新たに登録される。
【0065】
続いて、受信フレームが既存装置(ルータ,端末などの周辺機器など)が送出したルーティングプロトコルであった場合について説明する。中継装置1を中継してルーティングプロトコル(ルーティング情報)がルータRT1からルータRT2へ伝送される場合には、上述した通常のデータと同様に、ルータRT1から送出されたフレームは、まず、中継装置1によって受信される。この中継装置1において、受信フレームがルーティングプロトコルであることから、プロトコル識別部3によりフレーム中のタイプ値から受信フレームがルーティングプロトコルであることが判明する。
【0066】
この場合には、受信フレームはプロトコル識別部3を通じてルーティングプロトコル制御部7と経路選択部4との両方に出力される。経路選択部4に出力された受信フレームは、前述した通常のデータによる中継動作とは異なり、受信した経路を除くすべての送出経路に送出されるため、ルータRT2へ送出される。一方、受信フレームがルーティングプロトコル制御部7へ送られると、そのルーティングプロトコル制御部7の制御により、図2に示したように、受信フレーム中のルーティングプロトコルから第2経路記憶部6のルーティングテーブルがコピーによって構築(新規,変更など)される。
【0067】
また、ルーティングプロトコル制御部7は、第2経路記憶部6にテーブル上の変更が生じた場合に、第1経路記憶部5との登録内容の対応をとるため、その変更部位に相当する登録内容を第1経路記憶部5のルーティングテーブルから削除する。このようにして、第2経路記憶部6の登録内容を即座に第1経路記憶部5に反映することができる。ここでの反映は、第2経路記憶部6で変更済みの古い登録内容を第1経路記憶部5に残さないという意味である。
【0068】
このように、ルーティングプロトコル(ルーティング情報)を単に透過的に中継するだけでなく、中継時に中継装置1自身でそのルーティングプロトコルを獲得(コピー)してルーティングテーブルを構築することは、透過的にフレームを中継できる既存のスイッチングハブにもない機能である。これに対して、既存のルータは中継時にルーティングプロトコルからルーティングテーブルの構築を行うが、透過的にフレームを中継する機能がないことから、性能の面で低下は避けられない。
【0069】
続いて、受信フレームが中継装置1と同様の構成および機能を備えた中継装置から送出されたルーティングプロトコルであった場合について説明する。既存装置が送出するルーティングプロトコルと、中継装置1と同等の中継装置が送出するルーティングプロトコルとを識別する方法として、例えば、つぎの(1),(2)が考えられる。
【0070】
(1)プロトコル番号(例えば、IPの場合、UDP(User Datagram Protocol)のポート番号など)を通常のルーティングプロトコルとは別の番号にしておけばよい。
【0071】
(2)中継装置1に相当する全中継装置のレイヤ3の宛先情報(例えばIPアドレス)を全て設定により知っておき、これら宛先情報を送信元とするフレームならば、中継装置1に相当する中継装置からのルーティングプロトコルとしてルーティングテーブルの構築を行い、この場合にはフレームの書き換えを行ってつぎの中継装置へ転送する。この書き換えを行う点については、既存のルータと同様の処理手順となる。
【0072】
続いて、従来のスイッチングハブと本発明の中継装置1との間でIPマルチキャストについて比較する。図3はIPマルチキャストフレームを中継する際のポート送出例を示し、同図(a)は従来例の説明図であり、同図(b)は実施の形態1の説明図である。
【0073】
従来におけるスイッチングハブでは、受信されたIPマルチキャストフレーム中のMACアドレスがブロードキャストとなるため、その出力は全ポート(一例として5つ)に同時送出される(図3(a)参照)。これに対して、上述した中継装置1では、受信されたIPマルチキャストフレーム中のIPアドレスにより出力ポートが選択されるため、その出力は所要のマルチキャストグループ(一例として5つの内の3つの出力ポート)にだけ送出される(図3(b)参照)。
【0074】
さらに、従来のルータと本発明の中継装置1との間で中継原理について比較する。図4はフレームの中継原理を示し、同図(a)は従来例の説明図であり、同図(b)は実施の形態1の説明図である。
【0075】
従来のルータでは、受信フレーム中のIPヘッダにより経路を選択してフレーム送出するまでに、受信フレームに基づいてMACアドレスの書き換え,TTL減算,チェックサム書き換えなどの処理が実行されるため、遅延が発生して中継の高速化を阻むことになる(図4(a)参照)。これに対して、上述した中継装置1では、受信フレーム中のIPヘッダにより経路を選択すると、受信フレームはそのままフレーム送出されるので、図4(a)に示したような遅延が生じることはなく、フレームを透過して高速に中継することができる(図4(b)参照)。
【0076】
つぎに、この実施の形態1をハードウェアに即して説明する。図5は前述の中継装置1をハードウェア的に示すブロック図である。図5に示した中継装置1は、例えば、パケットスイッチエンジン(以下にスイッチエンジンと称する)11に、受信フレームを一時記憶するメモリ12、ルーティングテーブルによる検索をハードウェアレベルで実施するプロセッシングユニット13、ルーティングテーブルによる検索をソフトウェアレベルで実施するマネージメントユニット14を接続させた構成である。ここでは、イーサネットへの適用例を示す。
【0077】
スイッチエンジン11は、受信側の高速イーサネットインタフェースユニット(以下にFEIU(Fast Ethernet Interface Unit)と称する)15、送出側のFEIU16、およびパケットスイッチプロセッサ(以下にPSP(Packet Switch Processor)と称する)17より構成される。
【0078】
FEIU15,16は、イーサネットによる複数のLANに接続され、それぞれ図1の機能ブロックにおいて伝送路制御部2,8に相当する機能を有している。PSP17は、FEIU15,16、メモリ12、プロセッシングユニット13、およびマネージメントユニット14に接続され、中継動作全体を制御する。このPSP17は、図1の機能ブロックにおいてプロトコル識別部3,経路選択部4に相当する機能を有している。
【0079】
このPSP17は、メモリ12に対する受信フレームの書き込み/読み出し、プロセッシングユニット13のIPキャッシュテーブル13a(第1段のルーティングテーブルに相当する)を用いた経路情報の検索、マネージメントユニット14との協動によるマネージメントユニット14内のルーティングテーブル19(第2段のルーティングテーブルに相当する)の構築などを制御する。
【0080】
メモリ12は、スイッチエンジン11のPSP17の制御に従って受信データの書き込みや読み出しを行う大容量の記憶ユニットである。プロセッシングユニット13は、受信フレームの宛先情報(IPアドレス)をキーとして経路情報を検索できるように構築されたIPキャッシュテーブル13aを有し、図1の機能ブロックにおいて第1経路記憶部5に相当する機能を有している。このプロセッシングユニット13は、PSP17の要求に従うIPキャッシュテーブル13aの経路検索で所要の経路情報が取得できなかった場合、マネージメントユニット14に問い合わせ、ルーティングテーブル19にその所要の経路情報があれば、その経路情報とキーとなった宛先情報とを対応付けて登録する。
【0081】
マネージメントユニット14はCPU18と装置内に構築された更新自在のルーティングテーブル19とを有し、CPU18,ルーティングテーブル19はそれぞれ図1の機能ブロックにおいてルーティングプロトコル制御部7,第2経路記憶部6に相当する機能を有している。このマネージメントユニット14は、PSP17の要求に応じてCPU18の制御に従ってルーティングテーブル19を構築(新規,変更など)したり、プロセッシングユニット13の要求に応じてIPキャッシュテーブル13aに不足するルーティング情報を供給する。なお、CPU18は、ルーティングテーブル19の更新に従って削除,変更されるルーティング情報をIPキャッシュテーブル13aから削除する制御も兼ねている。
【0082】
つぎに、ルーティングテーブル19について説明する。図6はルーティングテーブル19のメモリ構成の一例を示す図である。ルーティングテーブル19は、図6に示したように、中継の際にコピーされるルーティング情報すなわちRIP盗聴結果に基づいて構築される外部ルーティングテーブル19Aと、この実施の形態1による中継装置1と同等の機能を有する中継装置との間でパケット交換されるルーティング情報すなわち内部RIPに基づいて構築される内部ルーティングテーブル19Bとにより構成される。
【0083】
ここで、外部ルーティングテーブル19Aの自動構築について説明する。この外部ルーティングテーブル19Aは、周辺ルータにより送出されるRIPパケットの盗聴(ファーム機能)によって自動構築されるものである。図7は実施の形態1によるネットワーク中継システムにおいてIPスイッチング機能を概念的に説明する図、図8はネットワーク中継システムにおいてRIPパケットの流れを説明する図、そして、図9はネットワーク中継システムにおいて外部ルーティングテーブル19Aの記憶内容の一例を示す図である。
【0084】
図7に示したネットワーク中継システムは、中継装置1にこの中継装置1と同様の構成であり、かつ同様の機能を有する中継装置10を接続したシステム構成を有している。中継装置1には、図31に示したネットワーク中継システムと同様の接続関係で構成されるネットワークが接続され、その代表としてサブネットSNB側のルータRT1の接続状態が示されている。また、中継装置10にも中継装置1と同様のネットワーク中継システムが接続され、その代表としてサブネットSNC側のルータRTCの接続状態が示されている。なお、サブネットSNBには、端末TL1の接続状態が代表として示され、サブネットSNCには、端末TLCの接続状態が代表として示されている。
【0085】
中継装置1には、ルータRT1側のポートに"W"、中継装置10側のポートに"X"がそれぞれ割り当てられている。また、各装置のIPアドレスについて、端末TL1から端末TLCへの伝送方向で説明すると、端末装置TL1には"B1"、ルータRT1には"B2","A1"、ルータRTCには"A2","C1"、端末TLCには"C2"がそれぞれ割り当てられている。さらに、各装置のMACアドレスについて、これも端末TL1から端末TLCへの伝送方向で説明すると、端末装置TL1には"M1"、ルータRT1には"M2","M3"、ルータRTCには"M4","M5"、端末TLCには"M6"がそれぞれ割り当てられている。
【0086】
以上のシステムにおいて、サブネットSNB側のルータRT1からサブネットSNC側のルータRTCに向かってRIPが伝送される場合、図8に示した如く、ルータRT1から送出されるRIPパケットは、中継装置1、続く中継装置10を通る際に、完全透過されつつ、盗聴されることで、各中継装置1,10へコピー保存される。逆に、サブネットSNC側のルータRTCからサブネットSNB側のルータRT1に向かってRIPが伝送される場合も同様に、中継装置10,1においてRIPの完全透過および盗聴が行われる。
【0087】
ここで、中継装置1,10においてRIPの盗聴からルーティングテーブルへのコピーが行われた場合の構築例を挙げる。中継装置1の外部ルーティングテーブル19Aには、中継装置1のサブネットB側、サブネットC側で最も近い周辺ルータのIPアドレスが記憶される。すなわち、図9(a)に示した如く、サブネットSNB側に対してルータRT1のIPアドレス"A1"が記憶され、サブネットSNC側に対してルータRTCのIPアドレス"A2"が記憶される。
【0088】
また、中継装置10の外部ルーティングテーブル19Aには、中継装置10のサブネットB側、サブネットC側で最も近い周辺ルータのIPアドレスが記憶される。すなわち、図9(b)に示した如く、サブネットSNB側に対してルータRT1のIPアドレス"A1"が記憶され、サブネットSNC側に対してルータRTCのIPアドレス"A2"が記憶される。
【0089】
このように、周辺ルータにおいては、ネットワーク上の全ての宛先IPサブネット(上記サブネットSNB,SNCなど)について、自分(周辺ルータ)から何ホップで到達できるかをRIPパケットにより宣言することができる。
【0090】
また、中継装置1,10においては、RIPパケットを中継しつつ盗聴によってコピーを保持し、そのコピーをチェックすることで、ネットワーク上の全ての宛先IPサブネットについて、最も近い周辺ルータがどれであるのかを判断することができる。その結果を外部ルーティングテーブル19Aに反映させることで、ルーティングテーブルが自動構築される。
【0091】
つぎに、内部ルーティングテーブル19Bの自動構築について説明する。この内部ルーティングテーブル19Bは、中継装置1と同等の機能を有する中継装置間での内部RIPパケット交換(ファーム機能)によって自動構築されるものである。図10はネットワーク中継システムにおいて内部RIPパケット交換機能を概念的に説明する図、図11はネットワーク中継システムにおいて内部RIPパケットの流れを説明する図、図12はネットワーク中継システムにおいて内部ルーティングテーブル19Bの記憶内容の一例を示す図である。
【0092】
内部ルーティングテーブル19Bの自動構築では、図10に示したように、前述の図8に示したネットワーク中継システムにおいて、中継装置1,10にもそれぞれIPアドレス"A3","A4"が割り当てられる。ただし、これらIPアドレス"A3","A4"は、周辺ルータからその実体を見ることができず、中継装置1,10およびこれらと同様の構成および機能を有した中継装置にだけ通用する内部通信用の情報である。
【0093】
図10に示したネットワーク中継システムにおいて、例えば、中継装置1から中継装置10へ送出される内部RIPパケットは、図11に示したように、同等の中継装置間でのみ授受される。この内部RIPパケットに関して、図32に示したフレームフォーマット中のタイプ値を通常のIPとは異なるように規定すれば、その内部RIPパケットが中継装置1,10などに受信された時に、PSP17により 内部RIPであることが識別される。
【0094】
ここで、中継装置1,10において内部RIPパケットからルーティングテーブルへのコピーが行われた場合の構築例を挙げる。中継装置1の内部ルーティングテーブル19Bには、中継装置1のサブネットB側、サブネットC側で最も近い周辺ルータに対してそれぞれ方路となるフレーム送出ポートの番号が記憶される。すなわち、図12(a)に示した如く、周辺ルータRT1のIPアドレスA1に対してフレーム送出ポートの番号"W"が記憶され、周辺ルータRTCのIPアドレスA2に対してフレーム送出ポートの番号"X"が記憶される。
【0095】
また、中継装置10の内部ルーティングテーブル19Bには、中継装置10のサブネットB側、サブネットC側で最も近い周辺ルータに対してそれぞれ方路となるフレーム送出ポートの番号が記憶される。すなわち、図12(b)に示した如く、周辺ルータRT1のIPアドレスA1に対してフレーム送出ポートの番号"Y"が記憶され、周辺ルータRTCのIPアドレスA2に対してフレーム送出ポートの番号"Z"が記憶される。
【0096】
このように、中継装置1,10およびこれらに同等の中継装置においては、ネットワーク上の全ての周辺ルータについて、自分(中継装置)から何ホップで到達できるかを内部RIPパケットにより宣言することができる。
【0097】
また、中継装置1,10においては、中継の際に、内部RIPパケットを受信することで、ネットワーク上の全ての周辺ルータについて、最短経路がどちらであるのかを判断することができる。その結果を内部ルーティングテーブル19Bに反映させることで、ルーティングテーブルが自動構築される。
【0098】
つぎに、ルーティングテーブル19の構築方法について説明する。図13は実施の形態1によるルーティングテーブル19の構築方法を概念的に説明する図である。ルーティングテーブル19は、上述したように自動構築された外部ルーティングテーブル19Aと内部ルーティングテーブル19Bとにより構築されるものである。
【0099】
ここで、中継装置1を例に挙げると(中継装置10についても同様のため説明を省略)、そのルーティングテーブル19は、図13に示したように、外部ルーティングテーブル19A(図9(a)参照)と、内部ルーティングテーブル19B(図12(a)参照)との間を周辺ルータのIPアドレスにより関連付けられている。このテーブルの利用方法として、例えば、中継装置1からサブネットSNB側へフレーム伝送する際に、IPキャッシュテーブル13aでの検出ができないと、まず外部ルーティングテーブル19Aにより経路情報が検索され、その結果、サブネットSNB側で最も近い周辺ルータのIPアドレスは"A1"となる。
【0100】
このように、外部ルーティングテーブル19Aの検索により経路情報が得られると、続いて内部ルーティングテーブル19Bによる経路情報の検索が行われる。その結果、このIPアドレス"A1"から今度はフレーム送出ポートの番号"W"が取得される。このように、結果的には、図13に示したように、宛先IPサブネットB(サブネットSNB)に対してフレーム送出ポートの番号"W"が取得される。
【0101】
つぎに、図5の中継装置1のハードウェア構成に即した動作について説明する。図14は実施の形態1によるIP中継フレーム処理を説明するフローチャートである。
【0102】
IP中継フレーム処理が開始され、中継装置1にフレーム(IP中継フレーム)が受信されると、PSP17によりその受信フレームからまずIPヘッダが抽出される(ステップS1)。続いて、その抽出されたIPヘッダから宛先IPアドレスが取り出され、その宛先IPアドレスをキーとしてプロセッシングユニット13内のIPキャッシュテーブル13aが検索される(ステップS2)。その検索の結果、所要の経路情報(出力ポート)がヒットされた場合(ステップS3)、そのヒットにより得られた出力ポートに受信されたフレームが書き換えされずにそのまま転送される(ステップS4)。
【0103】
一方、上記検索の結果、所要の経路情報(出力ポート)がヒットされなかった場合、今度は、マネージメントユニット14の支援を受け、上記宛先IPアドレスをキーとしてルーティングテーブル19の内の外部ルーティングテーブル19Aが検索される(ステップS5)。これは、次ホップの宛先IPアドレスの検索となる。具体的には、図13で説明したように、外部ルーティングテーブル19Aと内部ルーティングテーブル19Bとの間を関連付ける宛先情報、すなわち最も近い周辺ルータ(自装置ルートも含む)のIPアドレスが検索される。
【0104】
この次ホップの検索でヒットできなかった場合には(ステップS6)、内部ルーティングテーブル19Bの検索キーがないことを意味することから、本処理はフレーム廃棄処理へ移行して終了する。一方、次ホップの検索でヒットが得られた場合(ステップS6)、そのヒットされた次ホップの宛先IPアドレスが自装置ルートすなわち自装置に直接接続される装置を指しているか、それとも周辺ルータを指しているかの判別が行われる(ステップS7)。
【0105】
その結果、次ホップの宛先IPアドレスで示したルートが自装置ルートであった場合には、今度は宛先IPアドレスをキーとして内部ルーティングテーブル19Bが検索される(ステップS8)。具体的には、図13で説明したように、内部ルーティングテーブル19Bにおいて、宛て先IPアドレスに対応するフレーム送出ポート(出力ポート)が検索される。
【0106】
この内部ルーティングテーブル19Bによる検索で出力ポートがヒットされると(ステップS10)、そのヒットにより得られた出力ポートとIPヘッダに規定されていた宛先IPアドレスとを関連付けたルーティング情報がIPキャッシュテーブル13aに登録される(ステップS11)。その後、処理はステップS2に戻る。なお、ヒットができなかった場合には(ステップS10)、ステップS12においてARP(Address Resolution Protocol)リクエストフレーム(MACアドレスの要求)がネットワークに送出され、続くステップS13において上述のフレーム廃棄処理が実行される。
【0107】
また、ステップS7において、次ホップの宛先IPアドレスで示したルートが周辺ルータであった場合には、今度はその次ホップの宛先IPアドレスをキーとして内部ルーティングテーブル19Bが検索される(ステップS9)。具体的には、図13で説明したように、内部ルーティングテーブル19Bにおいて、周辺ルータのIPアドレス(次ホップの宛先IPアドレス)に対応するフレーム送出ポート(出力ポート)が検索される。以降、自装置ルートとの場合と同様に処理が実行される。
【0108】
ここで、具体例として、前述した図10のネットワーク中継システムにおいて、サブネットSBN側のLANに接続される端末TL1からサブネットSBC側のLANに接続される端末TLCに対してフレームを伝送する場合を例に挙げて説明する。図15はネットワーク中継システムにおいて伝送される宛先IPアドレスおよび宛先MACアドレスの遷移を説明する図、図16はネットワーク中継システムにおいてルーティングテーブルの記憶内容の一例を示す図、そして、図17はネットワーク中継システムにおいてIPキャッシュテーブル13aの記憶内容の一例を示す図である。図18はネットワーク中継システムにおいてルータRT1のルーティングテーブル(a)およびルータRTCのルーティングテーブル(b)の記憶内容の一例を示す図である。
【0109】
端末TL1から端末TLCへのフレーム中継は、ルータRT1,RTCにおいてそれぞれ図18のルーティングテーブル(a)、(b)を参照してルーティング動作に入ることから、端末TL1から送出されたMACヘッダ内のMACドレスは、ルータRT1を通過することでMACアドレス"M2"から"M4"へ書き換えられ、ルータRTCを通過することでMACアドレス"M4"から"M6"へ書き換えられる(図15参照)。
【0110】
また、このフレーム中継では、中継装置1,10間が透過的に中継されることから、MACアドレスの書き換えは行われず、ルータRT1から送出されたときのフレームがそのままルータRTCに受信される。ところが、中継装置1,10のいずれか一方もしくはその両方において、宛先IPアドレス"C2"がIPキャッシュテーブル13aに登録されていなければ、ファームによるルーティングテーブル19での検索が行われる。その検索で取得された出力ポートと宛先IPアドレスとは、前述したフローチャートで説明したように、IPキャッシュテーブル13aに登録される。
【0111】
すなわち、中継装置1においては、図16(a)に示したルーティングテーブル19のルーティング情報が使用され、中継装置10においては、同図(b)に示したルーティングテーブル19が使用される。なお、図16(a),(b)の各ルーティングテーブル19,19は、図9および図12の外部ルーティングテーブル19A,内部ルーティングテーブル19Bにより構築されるものである。
【0112】
そして、IPキャッシュテーブル13aにおいて、中継装置1の場合には(図17(a)参照)、宛先IPアドレス"C2"とフレーム送出ポート"X"とが対応付けて登録され、中継装置10の場合には(図17(b)参照)、宛先IPアドレス"C2"とフレーム送出ポート"Z"とが対応付けて登録される。
【0113】
以降、図17に示した対応関係のフレーム中継が行われる場合には、すでにIPキャッシュテーブル13aにそのルーティング情報が登録されていることから、ファームによる経路選択を踏まずに、キャッシュ(ハードウェア)による経路選択だけで高速スイッチングすることが可能である。
【0114】
以上説明したように、この実施の形態1によれば、共通のフレーム形式で構成され、かつ宛先情報(IPヘッダ)を含んだフレームの伝送を複数のLAN間で中継する場合、記憶中の経路情報の中から各LANから受信されたフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択し、その経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信する。これにより、フレームはフレーム全体を書き換えることなく透過的に中継され、かつ宛先を確認するだけで経路が確定することから、従来のOSIレイヤに当てはめた中継技法にとらわれることなく、装置全体のコストパフォーマンスを実現することが可能である。ここで、コストパフォーマンスとは、スイッチングハブの高性能とルータの高機能とを両立させるとともに、スイッチングハブやルータ並に安価に提供できることをいう。
【0115】
また、共通のフレーム形式で構成され、かつ宛先情報(IPヘッダ)を含んだフレームの伝送を複数のネットワーク間で中継する場合、各ネットワークから受信されたフレームに基づいてルーティングプロトコルを識別し、そのルーティングプロトコルに基づいて各ネットワーク上の宛先情報と経路情報との対応を構築して記憶するとともに、記憶中の経路情報の中から各ネットワークから受信されたフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択し、その経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信する。これにより、性能劣化を起こすことなくフレームを透過的に中継しつつ、そのフレームからルーティングのための情報(ルーティング情報)を取り込むことができ、これによって、ルーティングテーブルを容易に構築することが可能である。
【0116】
また、スイッチエンジン11において、各ネットワークから共通のフレーム形式で構成され、かつ宛先情報を含んだフレームを受信した際に、プロセッシングユニット13内のIPキャッシュテーブル13aからフレーム中の宛先IPアドレスに対応する経路情報を検索し、その経路情報が得られた場合にその経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信し、マネージメントユニット14において、スイッチエンジン11での検索で経路情報が得られなかった場合に自ユニット14内のルーティングテーブル19で同検索を行い、この検索で経路情報が得られた場合にその経路情報と検索に用いた宛先IPアドレスとを対応付けてIPキャッシュテーブル13aに登録する。これにより、IPキャッシュテーブル13aを用いた検索の段階で所要の経路情報が得られると、マネージメントユニット14を動作させずに中継を完了させることができ、これによって、中継動作が高速化されることから、装置全体のコストパフォーマンスを一層向上することが可能である。
【0117】
また、スイッチエンジン11において、各ネットワークからルーティングプロトコルを含むフレームを受信した際に、受信されたフレームからルーティングプロトコルを識別し、マネージメントユニット14において、スイッチエンジン11により識別されたルーティングプロトコルに基づいてルーティングテーブル19を構築(新規、変更含む)する。これにより、IPキャッシュテーブル13aはスイッチエンジン11による最初の経路検索専用となって、プロセッシングユニット13の負荷は極力軽減され、これによって、フレームの透過的な中継を遅延させることがなくることから、装置全体のコストパフォーマンスを一層向上することが可能である。
【0118】
また、中継送信の際に、受信されたフレームから他の中継装置が自発的に送出したルーティングプロトコルが識別された場合には、その受信されたフレームを取り込み、新たな宛先情報を生成し、その生成された宛先情報を他の中継装置に向けて自発的に送出する。これにより、中継装置1,10間でルーティングプロトコルを中継しながらシステム内のルーティングのための情報を容易に構築することが可能である。
【0119】
また、OSIレベルに当てはめるとレイヤ3のIPアドレスにより経路選択が行われるため、そのレイヤ3の機能(例えば、IPマルチキャスト機能(前述の図3参照),IPレイヤの帯域制御機能,IPレイヤの優先制御,IPフィルタリングなど)を実現することが可能である。すなわち、従来のOSIレイヤに当てはめた中継技法にとらわれることなく、既存技術であるルータ並の機能を実現することが可能である。
【0120】
また、中継装置1,10によりフレームを透過的に中継するため、フレーム書き換えに伴う性能劣化がないことから(前述の図4参照)、従来のOSIレイヤに当てはめた中継技法にとらわれることなく、既存技術であるスイッチングハブ並の機能を実現することが可能である。
【0121】
また、中継装置1,10によりフレームを透過的に中継するため、周辺の既存装置との接続性に支障無く動作することはもちろん、フレームのフォーマットについても既存フォーマットで対応でき、タグなどの識別子を付加する必要がないことから、実現性の高いシステムを提供することができる。
【0122】
また、中継装置1,10によりフレームを透過的に中継するため、ATMスイッチを適用した中継装置のようにセルとフレーム間の変換動作が不要なことから、既存技術であるルータやスイッチングハブ並の製造コストで中継装置1,10を実現することが可能である。
【0123】
(実施の形態2)
さて、前述の実施の形態1では、ルーティングプロトコルフレームを書き換えることなく透過的に中継する中継装置について言及していたが、以下に説明する実施の形態2のように、ARPフレームについてもルーティングプロトコルフレームと同様に書き換えることなく透過的に中継するようにしてもよい。また、この実施の形態2では、ARPフレームによるホスト経路の自動取得機能および更新機能についても詳述する。なお、この実施の形態2において、実施の形態1と同様の構成および機能については、説明を省略して、相違する部分についてのみ説明する。また、前述の実施の形態1と同様の構成については、この実施の形態2でも同一番号を用いて図示する。
【0124】
以下に、図19〜図28を参照して実施の形態2を説明する。まず、ARPフレームの位置付けについて図19を参照して説明する。図19(a)はARPのヘッダ形式を示す図であり、同図(b)はARPリクエストフレームのフォーマット例を示す図であり、同図(c)はARPレスポンスフレームのフォーマット例を示す図である。
【0125】
ARPは、IPアドレスからMACアドレス(ハードウェアアドレス)を得るためのプロトコルである。さらに詳述すれば、このARPは、目的とするホスト装置のIPアドレスをすでに知り得ていても物理的なハードウェアインタフェースのアドレスを知り得ない状態のときに利用される。すなわち、このARPは、LANのブロードキャスト機能を利用して全ホスト装置にARPリクエストフレームを送信し、そのレスポンスであるARPレスポンスフレームを受信してIPアドレスとMACアドレスとの対応関係を知るためのプロトコルである。
【0126】
このような機能をもつARPヘッダは、図19(a)に示した如く、ハードウェアタイプ,プロトコルタイプ,ハードウェアアドレス長,プロトコルアドレス長,オペレーション,送信元MACアドレス,送信元IPアドレス,送信先MACアドレスおよび送信先IPアドレスにより構成される。
【0127】
以上の構成において、ハードウェアタイプは、ネットワークハードウェアのタイプを示すものである。例えばイーサネットのハードウェアタイプは"1"となる。プロトコルタイプは、どのプロトコルがこの動作を要求したかを示すものである。例えばIPのプロトコルタイプは16進表現で"0800"となる。ハードウェアアドレス長は、ハードウェアアドレスの長さをオクテッド単位で表すものである。例えばMACアドレスの場合には、ハードウェアアドレス長さは"6"となる。プロトコルアドレス長は、ネットワーク層のアドレスの長さをオクテッドで表すものである。例えばIPアドレスの場合には、プロトコルアドレス長は"4"となる。
【0128】
オペレーションは、ARPリクエストか、それともARPレスポンスかを表すものである。ARPリクエストの場合には、オペレーションは"1"となり、一方、ARPレスポンスの場合には、オペレーションは"2"となる。
【0129】
そして、送信元IPアドレス,送信先MACアドレスおよび送信先IPアドレスは、アドレス部を構成する。そのアドレス部において、送信元MACアドレスは送信元のネットワークのハードウェアアドレスを示すものであり、送信元IPアドレスは送信元のIPアドレスを示すものである。送信先MACアドレスは探している宛先のネットワークのハードウェアアドレスを示すものであり、送信先IPアドレスは送信先のIPアドレスを示すものである。
【0130】
実際にキャスティングされるARPリクエストフレーム,ARPレスポンスフレームは、以上のARPヘッダ形式に従う構成となる。これらフレームは、主要な部分だけで表すと、それぞれ図19(b),(c)に示した構成となる。すなわち、ARPリクエストフレームは、図19(b)に示した如く、MACヘッダには、宛先MACアドレス(ブロードキャスト),送信元MACアドレス,イーサ(Ether)タイプ(ARP:"0806")がセットされ、ARPヘッダには、ARPタイプ(リクエスト),送信元MACアドレス,送信元IPアドレス,宛先MACアドレス(リクエスト時は空きとなる)および宛先IPアドレス(ターゲットとなるアドレス)がセットされる。
【0131】
また、ARPレスポンスフレームは、図19(c)に示した如く、MACヘッダには、宛先MACアドレス(ユニキャスト),送信元MACアドレス,イーサタイプがセットされ、ARPヘッダには、ARPタイプ(レスポンス),送信元MACアドレス(ターゲットとなるアドレス),送信元IPアドレス(ターゲットとなるアドレス),宛先MACアドレス(リクエストフレームに設定されていた送信元MACアドレス)および宛先IPアドレス(リクエストフレームに設定されていた送信元IPアドレス)がセットされる。
【0132】
以上のARPリクエストフレームおよびARPレスポンスフレームが中継装置間および中継装置と端末間でやりとりされることにより、リクエスト側のホスト装置すなわち中継装置においてMACアドレス(ハードウェアアドレス)を知ることができる。また、上述したARPフレームには、送信元IPアドレスが含まれている。このため、中継装置に接続される端末が上記ARPレスポンス/リクエストフレームを送信した場合には、中継装置においてそのARPレスポンス/リクエストフレームから送信元IPアドレスを知ることができる。
【0133】
また、このARPフレームのフォーマットに基づくARPフレームは、端末側から中継装置へ自発的に発信されてもよく、中継装置はその自発的に発信されたARPフレームから端末の送信元IPアドレスを知ることが可能となる。この場合には、ARPヘッダ内のオペレーションとして、ARPリクエストおよびARPレスポンスに属さない値(例えば"0","3","4"など)を設定すればよく、その取り決めに関する規則をあらかじめ決めておく必要がある。
【0134】
この自発的発信を含むARP転送機能には、前述の実施の形態1による透過的なフレーム転送機能が必要となる。この透過的なフレーム転送機能により、ARPフレームによるホスト経路の自動取得および更新が可能となる。このARPフレームによるホスト経路の自動取得機能および更新機能とは、外部ポート(中継装置に直結)から受信されたすべてのARPリクエストフレームおよびARPレスポンスフレームに関し、各フレームに格納されている送信元IPアドレスと受信された外部ポートとの関係を学習する機能を意味する。
【0135】
この学習によれば、中継装置に接続されている1または複数の端末やイーサスイッチ経由で接続されている端末などのIPアドレスと出力ポートとの関係が取得される。この関係は内部ルーティングテーブル19Bにホストルートの情報として登録される。なお、相手中継装置経由で接続される内部ポートから受信されたARPフレームに関しては、上記学習は実施されたものとする。その理由は、ホストルートの情報が経路情報として内部RIPを通じて通知されるためである。
【0136】
まず、この発明の実施の形態2による基本原理について説明する。この実施の形態2は、前述した実施の形態1におけるフレーム透過をARPフレームについても実現しようとするものである。したがって、実施の形態1との共通する構成については、実施の形態2でも同一番号を用いることでその説明を省略する。また、図中においては、同一番号を付すものとする。
【0137】
図20はこの発明の実施の形態2による中継装置を機能的に示す機能ブロック図である。図20に示した中継装置20は、前述した実施の形態1の中継装置1が備えている伝送路制御部2、プロトコル識別部3、経路選択部4、第1経路記憶部5、第2経路記憶部6、ルーティングプロトコル制御部7および伝送路制御部8(具体的には、図20に示した如く、伝送路制御部8−1,8−2…である)に対してARPフレーム制御部9を付加した構成である。
【0138】
図20に示した中継装置20において、プロトコル識別部3は、伝送路制御部2を通じて受信されたフレームを識別する場合、実際には、ARPについても識別対象に含めている。このプロトコル識別部3は、受信フレームがルーティングプロトコルであった場合にはつぎのフレーム送出を行う。すなわち、そのルーティングプロトコルが内部RIPであれば、その内部RIPフレームをルーティングプロトコル制御部7に送出し、外部RIPであればその外部RIPフレームをルーティングプロトコル制御部7と伝送路8−1…との両方に送出する。この伝送路8−1…への外部RIPフレームの送出は、透過的なフレーム転送を行うために実施されるものである。
【0139】
また、このプロトコル識別部3は、受信フレームがARPフレームであった場合にそのARPフレームをARPフレーム制御部9に送出する。また、このプロトコル識別部3は、受信フレームが通常のデータであれば、その受信フレームを経路選択部4に送出する。なお、受信フレームがRIPフレーム(ルーティングプロトコル)であった場合には、受信フレーム中にはルーティング情報が含まれる。また、受信フレームがARPフレームであった場合には、受信フレームにARPが含まれる。
【0140】
ルーティングプロトコル制御部7は、受信フレーム(内部RIPまたは外部RIP)を調べ、そこからルーティング情報を抽出して、そのルーティング情報とARPフレーム制御部9からのホスト経路とに基づいて上記第2経路記憶部6のIPレイヤと出力ポートとの対応関係を構築(新規,変更など)する。また、このルーティングプロトコル制御部7は、内部RIPフレームについては、新たな宛先情報を生成して、その生成された宛先情報を他の中継装置に向けて伝送路制御部8−1…より自発的に送出する。
【0141】
ARPフレーム制御部9は、ホスト経路記憶部9aを有しており、プロトコル識別部3から送出されたARPフレームから送信元IPアドレスなどを抽出してホスト経路を導きだし、そのホスト経路をホスト経路記憶部9aに登録する。このARPフレーム制御部9は、ホスト経路記憶部9aに登録されたホスト経路をルーティングプロトコル制御部7に供給したり、受け取ったARPフレームを透過的に伝送路制御部8−1…に送出する。ここで、ホスト経路とは、前述したように、中継装置に接続されている1または複数の端末やイーサスイッチ経由で接続されている端末などのIPアドレスと出力ポートとの関係を表すものである。
【0142】
つぎに、図20に示した機能ブロックを参照して動作について説明する。図21は実施の形態2によるネットワーク中継システムにおいてフレームの流れを説明する図である。ここでは、前述した実施の形態1において図2で説明したIPフレームに対応させて説明する。図21において、中継装置20には、説明上、内部ポートにルータRT1およびRT2が接続され、外部ポートに端末が接続される。
【0143】
中継装置20は、受信されたARPフレームが未登録のARPであった場合に、外部ポートすなわち自装置直下の端末に限ってホスト経路の構築を行うが、内部ポートすなわち他の中継装置(例えば中継装置21)からのフレーム転送であれば受信ARPフレームをそのままルータRT2へ送出して透過的なフレーム転送を実施する。
【0144】
さらに説明を補足すると図22のようになる。図22は実施の形態2による受信フレームの中継原理を説明する図である。図22において、中継装置20では、受信フレーム中のARPフレームの入力ポートの種別により、外部ポートが抽出、され、外部ポートの場合には、送信元IPアドレスと受信された外部ポートとの関係に基づいてホスト経路の構築を行い、一方、外部ポートでない場合にはそのままフレーム送出を行う。このように、ARPフレームについてもフレームを透過して高速に中継することができる。
【0145】
つぎに、この実施の形態2をハードウェアに即して説明する。図23は前述の中継装置20をハードウェア的に示すブロック図である。図23に示した中継装置20は、前述した実施の形態1と同様に、例えば、スイッチエンジン11に、メモリ12、プロセッシングユニット13およびマネージメントユニット14を接続させた構成である。ここでも、イーサネットへの適用例を示す。
【0146】
この実施の形態2は、前述した実施の形態1とはハードウェア的な構成としては、同様の構成となる。ただし、ARPフレームに関する構成を具体的に示すと、図23に示した如く、マネージメントユニット14において、CPU18にはエージングタイマ18aが内蔵され、かつルーティングテーブル19とは別にホスト経路記憶部9aに相当するホスト経路登録テーブル21が設けられる。
【0147】
このマネージメントユニット14は、さらにARPフレーム制御部9の機能を有する。このマネージメントユニット14は、PSP17の要求に応じてCPU18の制御に従ってルーティングテーブル19およびホスト経路登録テーブル21を構築(新規,変更など)したり、プロセッシングユニット13の要求に応じてIPキャッシュテーブル13aに不足するルーティング情報を供給する。なお、CPU18は、ルーティングテーブル19の更新に従って削除,変更されるルーティング情報をIPキャッシュテーブル13aから削除する制御と、ホスト経路登録テーブル21を構築する制御とを兼ねている。
【0148】
エージングタイマ18aは、カウントダウンするタイマである。このエージングタイマ18aは、カウントダウンに伴ってカウント値が一定値に達するとARPリクエストフレームを全ての外部ポートに出力するタイミングを計るとともに、ARPレスポンスによりホスト経路登録テーブル21にすでに登録済みのホスト経路(送信元IPアドレス,出力ポート,エージングタイマ値)を応答された場合にリセットされる。
【0149】
ホスト経路登録テーブル21は、詳細については後述するが、送信元IPアドレスであるIPアドレスと、ハードウェアアドレスである入力ポートと、エージングタイマ18aにおいてカウントダウンする値(エージングタイマ値)とを対応付けて登録するものである。このホスト経路登録テーブル21において、エージングタイマ値はエージングタイマ18aのカウントダウン処理により変化する。このホスト経路登録テーブル21が更新されると、その更新結果に応じて内部ルーティングテーブル19Bが更新されるものとする。
【0150】
つぎに、ホスト経路の自動取得および自動更新について説明する。図24は実施の形態2によるネットワーク中継システムにおいて端末のARP送受信機能を概念的に説明する図、図25は実施の形態2によるARPフレーム受信処理を説明するフローチャート、図26はネットワーク中継システムにおいてホスト経路登録テーブル21と内部ルーティングテーブル19Bとの関係を説明する図、図27は実施の形態2によるネットワーク中継システムにおいて中継装置のARP送受信機能を概念的に説明する図、そして、図28は実施の形態2によるARPフレーム送信処理を説明するフローチャートである。
【0151】
まず、図24〜図26を参照して、端末側からARPリクエストフレームが送出された場合について説明する。図24に示したネットワーク中継システムでは、中継装置20の一端に端末TL2が接続され、他端にこの中継装置20と同様の構成であり、かつ同様の機能を有する中継装置30が接続されている。また、この中継装置20には、図7に示したネットワーク中継システムと同様の接続関係で構成されるネットワークが接続され、その代表としてサブネットSNC側のルータRTCの接続状態が示されている。なお、サブネットSNCには、端末TLCの接続状態が代表として示されている。
【0152】
中継装置20,30のポートの割り当ては、説明上、前述した実施の形態1による中継装置1,中継装置10と同様の関係で設定される。すなわち、中継装置1(図7参照)に替わる中継装置20には、ルータRT1に替わる端末TL2側のポートに"W"、中継装置10に替わる中継装置30側のポートに"X"がそれぞれ割り当てられている。また、中継装置10(図7参照)に替わる中継装置30には、中継装置1に替わる中継装置20側のポートに"Y"、ルータRTC側のポートに"Z"がそれぞれ割り当てられている。
【0153】
また、各装置のIPアドレスについて、端末TL2から端末TLCへの伝送方向で説明すると、端末装置TL2には"A5"、中継装置20には"A3"、ルータRTCには"A2","C1"、端末TLCには"C2"がそれぞれ割り当てられている。さらに、各装置のMACアドレスについて、これも端末TL2から端末TLCへの伝送方向で説明すると、端末装置TL2には"M7"、ルータRTCには"M4","M5"、端末TLCには"M6"がそれぞれ割り当てられている。なお、中継装置20には、MACアドレス"M8"が割り当てられるものとする。
【0154】
以上のシステムにおいて、中継装置20に接続される端末TL2からルータRTCに向かってARPリクエストが発信された場合には、つぎのデータで構成されるARPリクエストフレームが使用される。すなわち、ARPリクエストフレーム(ARPのヘッダ)には、送信元が端末TL2であることから、送信元MACアドレスとして"M7"が格納され、送信元IPアドレスとして"A5"が格納される。また、送信先がルータRTCであることから、送信先IPアドレスとして"A2"が格納され、探索対象である送信先MACアドレスについては不明のため"null"が格納される。
【0155】
この後、送信先であるルータRTCからARPレスポンスが返信されることになる。この場合には、つぎのデータで構成されるARPレスポンスフレームが使用される。すなわち、ARPレスポンスフレームには、今度は送信元がルータRTCであることから、送信元MACアドレスとして"M4"が格納され、送信元IPアドレスとして"A2"が格納される。このように、探索対象であった送信元MACアドレスがセットされる。また、今度は送信先が端末TL2であることから、送信先IPアドレスとして"A5"が格納され、レスポンス先である送信先MACアドレスとして"M7"が格納される。
【0156】
以上のARPリクエストおよびARPレスポンスの動作においては、端末TL2側で自発的に実施されるものである。中継装置20および30において、このようなARPにおいても前述したRIPと同様に、完全透過とともに盗聴が実施される。ARPリクエストにより端末TL2からルータRTCへ向かってARPリクエストフレームが伝送された場合、中継装置20では、その受信されたARPリクエストフレームの完全透過が行われるとともに、そのARPリクエストフレームがどのポートから入力されたのかを表すポート"W"の確認、およびそのARPリクエストフレームから送信元を特定する送信元IPアドレス"A5"の盗聴が実施される。
【0157】
さらに図25および図26を参照して具体的な処理の流れで説明する。中継装置20において、ARPリクエストフレームが受信されると、その受信されたARPリクエストフレームから送信元IPアドレス"A5"が抽出される(ステップS21)。その抽出された送信元IPアドレス"A5"をキーとしてホスト経路登録テーブル21の検索が実施される(ステップS22)。このとき、ホスト経路登録テーブル21に送信元IPアドレス"A5"が未登録であった場合には、送信元IPアドレス"A5"はヒットできず(ステップS23)、処理はステップS31へ移行する。
【0158】
ステップS31では、受信されたARPリクエストフレームを受信したポートの種別(ポート種別)が判別される。すなわち、入力ポートが内部ポートか、それとも外部ポートか判別される。この場合には、図24に示した如く、端末TL2が中継装置20の外部ポート"W"に直接接続されていることから、ポート種別の判別結果は外部ポートとなる。もし端末TL2が他の中継装置を介して間接的に接続されていた場合には、入力ポートは内部ポートであるという判別結果となる。
【0159】
さて、ステップS31において外部ポートという判別結果がられた場合には、処理はステップS32へ移行して、送信元IPアドレスと受信外部ポートとの対応関係を学習する動作を開始する。すなわち、ステップS32において、図26に示したように、ステップS21で抽出された送信元IPアドレス"A5"とステップS31で判別された入力ポート"W"とが対応付けてホスト経路登録テーブル21に登録される。さらに、学習時間を表すエージングタイマ値として例えば210(sec)がセットされる。このようにしてエージングタイマ18aによりカウントダウンが開始されることで、上記対応関係の学習が開始される。
【0160】
このように、受信ARPフレーム内の送信元IPアドレスがヒットできず、かつ入力ポートが外部ポートとなる場合とは、送信元端末においてIPアドレスに対する外部ポートが同一中継装置20において別の外部ポートに変更になったことが要因のひとつとして考えられる。それゆえ、ホスト経路の学習が必要となる。そのためには、さらに続くステップS33において、図26に示したように、その新しい外部ポートに対応して内部ルーティングテーブル19Bの新規登録、もしくは該当するエントリの変更が実施される。
【0161】
ステップS33において内部ルーティングテーブル19Bの更新が完了すると、その更新内容を他の中継装置に通知するため、その更新内容を含む内部RIPが他の中継装置へ送出される(ステップS34)。
【0162】
また、ステップS31において内部ポートという判別結果が得られた場合には、送信元端末においてIPアドレスに対する外部ポートが他の中継装置(例えば中継装置30)に接続されていることが要因のひとつとして考えられる。したがって、ホスト経路の管理は他の中継装置に委ねられることから、自動取得および自動更新は不要となり、この受信処理は終了する。
【0163】
また、ステップS23において、送信元IPアドレス"A5"がホスト経路登録テーブル21内からヒットできた場合には、処理はステップS24へ移行する。ステップS24においては、受信ARPリクエストフレームの入力ポートがホスト経路登録テーブル21にその送信元IPアドレス"A5"に対応付けて登録される入力ポートに一致するか否か判断される。
【0164】
ステップS24において両入力ポートの一致が確認された場合には、処理はステップS25へ移行して、送信元IPアドレスと入力ポートとの対応関係が学習済みとしてエージングタイマ18aをリセットする。これにより受信処理は終了する。このステップS25において実施されるリセットは、ホスト経路登録テーブル21のエントリをさらに存続させるために行われる。ここで、リセットとは、エージングタイマ18aのカウント値を初期値"210(sec)"に戻すことをいう。
【0165】
一方、ステップS24において入力ポートの不一致が確認された場合には、処理はステップS26へ移行して、受信されたARPリクエストフレームを受信したポートの種別(ポート種別)を判別する。すなわち、入力ポートが内部ポートか、それとも外部ポートか判別される。このステップS26へ移行するケースとしては、送信元IPアドレスに関して内部ポートと外部ポート間での移動が考えられる。
【0166】
もしポート種別が外部ポートであった場合には(ステップS26)、送信元IPアドレスに関して他の外部ポートから別の外部ポートへの移動が確認される。したがって、ホスト経路登録テーブル21に登録されている送信元IPアドレス対応の入力ポートは、受信ARPフレームの入力ポートすなわち外部ポートに変更される(ステップS27)。このとき、内部ルーティングテーブル19Bでも、該当するエントリにおいて、この入力ポートの変更に伴ってIPアドレスと入力ポートとの関係が変更される(ステップS28)。この後、処理はステップS34へ移行して、ステップS28による変更内容を含む内部RIPを送出する。
【0167】
また、ポート種別が内部ポートであった場合には(ステップS26)、送信元IPアドレスに関して外部ポートから内部ポートへの移動が確認される。この移動は端末の管理が他の中継装置へ移ったことを示す。したがって、ホスト経路登録テーブル21から送信元IPアドレスに関するエントリが削除され(ステップS29)、さらに同様のエントリが内部ルーティングテーブル19Bからも削除される(ステップS30)。この後、処理はステップS34へ移行して、ステップS30による変更内容を含む内部RIPを送出する。
【0168】
また、図24に示したARPフレームの流れでは、端末TL2からルータRTCへ向かってARPリクエストが行われ、ルータRTCから端末TL2へ向かってARPレスポンスが行われることから、中継装置20と同等の中継装置30が、ルータRTCに関するエントリをホスト経路登録テーブル(ホスト経路登録テーブル21に相当する)および内部ルーティングテーブル(内部ルーティングテーブル19Bに相当する)に構築する。
【0169】
この場合にも、前述した中継装置20と端末TL2との関係と同様に図25のフローチャートに従って受信処理が実施される。すなわち、ルータRTCが中継装置30の外部ポート"Z"に接続されているため、中継装置30は、ARPレスポンスフレームを完全透過させるとともに、そのARPレスポンスフレームから送信元IPアドレス"A2"を盗聴する。この盗聴された送信元IPアドレス"A2"と受信外部ポートとの対応関係がホスト経路登録テーブルに学習済みであればこの受信処理は終了し、一方、学習済みでなければ学習の開始、もしくはホスト経路登録テーブルの更新もしくは送信元IPアドレスに関するエントリの削除が実施される。同時に、内部ルーティングテーブルについても並行して新規登録やエントリ変更が実施される。
【0170】
図26の例では、中継装置30のホスト経路登録テーブルには、送信元IPアドレス"A2"と受信外部ポート"Z"との対応関係が未学習の場合を表している。この場合には、ホスト経路登録テーブルに対して送信元IPアドレス"A2"と受信外部ポート"Z"との対応関係が新規に登録され、さらにエージングタイマ値"210(sec)"がセットされる。これにより、このエントリの学習が開始される。この後、中継装置30にARPフレームが受信され、そのARPフレームの盗聴の結果がすでに登録されている送信元IPアドレス"A2"と受信外部ポート"Z"との対応関係を表すものであれば、エージングタイマ18aのリセットを通じて学習が引き続き開始される。
【0171】
上述した図24の例では、端末TL2自身がARPリクエストフレームの送出およびARPレスポンスフレームの受信を行う際に、その経路に配置される中継装置20,30がそれぞれARPリクエストフレーム,ARPレスポンスフレームを盗聴して内部ルーティングテーブルのエントリを新規登録もしくは更新(変更含む)している。
【0172】
ところが、この実施の形態2による中継ネットワークシステムでは、ホスト経路登録テーブル21に新規にエントリが追加された場合には、エージングタイマ18aが起動され、与えられた時間内に新規エントリのARPリクエストもしくはARPレスポンスが盗聴できなかった場合にはそのエントリをホスト経路登録テーブル21および内部ルーティングテーブル19Bから削除する働きがある。
【0173】
そこで、図27および図28を参照して、中継装置自らARPリクエストを実施する場合について説明する。このARPリクエストフレームの送信処理は常時実施されるものである。
【0174】
図27には、図24で示したシステムにおいて、中継装置20からこれに接続される端末TL2に向かってARPリクエストが発信された場合のARPリクエストフレームおよびARPレスポンスフレームが示されている。ARPリクエストフレームには、送信元が中継装置20であることから、送信元MACアドレスとして"M8"が格納され、送信元IPアドレスとして"A3"が格納される。また、送信先が端末TL2であることから、送信先IPアドレスとして"A5"が格納され、探索対象である送信先MACアドレスについては不明のため"null"が格納される。
【0175】
また、送信先である端末TL2からはつぎのデータで構成されるARPレスポンスフレームが返信される。すなわち、ARPレスポンスフレームには、今度は送信元が端末TL2であることから、送信元MACアドレスとして"M7"が格納され、送信元IPアドレスとして"A5"が格納される。このように、探索対象であった送信元MACアドレスがセットされる。また、今度は送信先が中継装置20であることから、送信先IPアドレスとして"A3"が格納され、レスポンス先である送信先MACアドレスとして"M8"が格納される。
【0176】
以上のARPリクエストおよびARPレスポンスの動作は、中継装置20側で自発的に実施されるものである。中継装置20は、自装置発のARPリクエストに対応して端末TL2から返信されたARPレスポンスフレームから、そのARPレスポンスフレームがどのポートから入力されたのかを表すポート"W"の確認、およびそのARPレスポンスフレームから送信元を特定する送信元IPアドレス"A5"の盗聴を実施するとともに、各テーブルへの新規登録および変更を実施する。
【0177】
したがって、中継装置20もしくは30から発信されたARPリクエストに対するARPレスポンスにおいても、前述した図25の受信処理を適用することが可能である。これについては同様の手順となるため、その説明を省略する。
【0178】
このARPリクエストフレーム送信では、中継装置20において、図28に示すように、まず、ホスト経路登録テーブル21に現在エントリされているものがひとつ読み出される(ステップS41)。この読み出されたエントリからは、エージングタイマ18aによりカウントダウンされているエージングタイマ値が抽出される。すなわち、ここではエージングタイマ18aによりカウントされているエントリが対象となる。
【0179】
そして、そのエージングタイマ値(図中、ATで表す)が判定される(ステップS42)。エージングタイマ値(AT)が"0(sec)"に達した場合には、処理はステップS46へ移行し、一方、達していない場合には、処理はステップS43へ移行する。ステップS43では、さらにそのエージングタイマ値(AT)が例えば残り10秒を切っているか判断され、もし切っていた場合には続くステップS44以降によりARPリクエストが強制的に実施される。すなわち、ステップS44において、ARPリクエストフレームの送信先IPアドレスにステップS41で読み出されたエントリのIPアドレスが格納され、続くステップS45において、そのARPリクエストフレームが中継装置20直下のすべての外部ポートへブロードキャストされる。
【0180】
前述した受信処理(図25のステップS32参照)においてエージングタイマ18aのカウントダウンが開始された後すぐは、エージングタイマ値が残り10秒以上あることから(ステップS43)、ステップS43において端末TL2発のARPフレームが受信されることを待つ、すなわちARPフレームの待機状態として処理はステップS41に戻る。
【0181】
ところが、エージングタイマ値が残り10秒を切った場合には(ステップS43)、中継装置20は、端末TL2からARPフレームが届くのを待機するのではなく、積極的に端末TL2からARPフレームを取得する動作に移行する。この意味から、中継装置20を消極的な動作から積極的な動作へ移行するトリガをエージングタイマ値の残り10秒とする。
【0182】
このようにしてすべての外部ポートへARPリクエストフレームをブロードキャストした後は、端末TL2からARPレスポンスフレームが届くのを待つことになる。その間も端末TL2からARPレスポンスがなく、エージングタイマ値がリセットされるまでの間は、ステップS41〜ステップS45の動作が繰り返し実施される。その後、端末TL2からARPレスポンスがあり、エントリ内容と一致するARPレスポンスフレームの内容であれば、エージングタイマ値がリセットされるので、ホスト経路登録テーブル21および内部ルーティングテーブル19Bのテーブルエントリを保持し続けることができる(図25参照)。
【0183】
また、結局、エージングタイマ値のカウントダウンの時間内に端末TL2からARPレスポンスがなく、そのエージングタイマ値が"0(sec)"に達した場合には、タイムアウトとしてホスト経路登録テーブル21から読み出されたエントリは同テーブルより削除され(ステップS46)、さらに同じエントリ内容が内部ルーティングテーブル19Bからも削除される(ステップS47)。
【0184】
このように、内部ルーティングテーブル19Bの内容を更新(削除)した場合には、その旨を他の中継装置30に対して通知する必要があることから、続くステップS48において、ステップS47に基づく変更内容が内部RIPにより中継装置30へ送出される。なお、IPキャッシュテーブル13aにも同様のエントリが登録されていた場合には、そのエントリについても削除されるものとする。
【0185】
この通知により、他の中継装置は、例えば90秒後(30秒×3回)に、そのエントリが削除された端末に対するルーティングを行わないように制御される。これは、他の中継装置にとって、端末が移動したことにより以前よりも遠くなった場合でも、経路が切り替わることを保証している。この場合、最悪、通信ができなくなる時間は、210秒(エージングタイマ値)+90秒=300秒とすることで、ブリッジにおけるMAC学習テーブルでのデフォルトのタイマ値と同一にすることが可能である。
【0186】
つぎに、図24の中継ネットワークシステムにおいて、中継装置20に図7に示したサブネットSNBが接続された場合について説明する。図29は実施の形態2によるネットワーク中継システムにおいて中継装置のルーティングテーブル構築機能を概念的に説明する図であり、図30は実施の形態2によるルーティングテーブル構築の流れを説明する図である。
【0187】
図29において、中継装置20は、さらにルータRT1を接続させ、そのルータRT1を介してサブネットSNBに接続される。ルータRT1は、中継装置20のポート"V"に接続される。ルータRT1およびサブネットSNBの端末TL1のIPアドレス、MACアドレスは図7に従うものとする。
【0188】
ルーティングテーブル19は、自動構築された外部ルーティングテーブル19Aと内部ルーティングテーブル19Bとにより構築されるものである。ただし、前述したように、内部ルーティングテーブル19Bにおいては、ホスト経路登録テーブル21の新規登録や変更に応じて同様の更新が施される。
【0189】
ここで、まず、中継装置20(中継装置30も同様)を例に挙げると、そのルーティングテーブル19は、図30に示したように、外部ルーティングテーブル19Aと、内部ルーティングテーブル19Bとの間を最も近い周辺ルータのIPアドレスにより関連付けられている。このテーブルの利用方法として、例えば、中継装置20からサブネットSNB側へフレーム伝送する際に、IPキャッシュテーブル13aでの検出ができないと、まず外部ルーティングテーブル19Aにより経路情報が検索され、その結果、サブネットSNB側で最も近い周辺ルータのIPアドレスは"A1"となる。
【0190】
このように、外部ルーティングテーブル19Aの検索により経路情報が得られると、続いて内部ルーティングテーブル19Bによる経路情報の検索が行われる。その結果、このIPアドレス"A1"から今度はフレーム送出ポートの番号"V"(ルータRT1のポート)が取得される。このように、結果的には、宛先IPサブネットB(サブネットSNB)に対してフレーム送出ポートの番号"V"が取得される。
【0191】
同様に、中継装置20からサブネットSNC側へフレーム伝送する際に、IPキャッシュテーブル13aでの検出ができないと、まず外部ルーティングテーブル19Aにより経路情報が検索され、その結果、サブネットSNB側で最も近い周辺ルータのIPアドレスは"A2"となる。
【0192】
このように、外部ルーティングテーブル19Aの検索により経路情報が得られると、続いて内部ルーティングテーブル19Bによる経路情報の検索が行われる。その結果、このIPアドレス"A2"から今度はフレーム送出ポートの番号"X"(中継装置30のポート)が取得される。このように、結果的には、宛先IPサブネットC(サブネットSNC)に対してフレーム送出ポートの番号"X"が取得される。
【0193】
また、中継装置20直下の端末TL2はポート"W"にて接続されているので、内部ルーティングテーブル19Bには、その端末TL2における宛先IPアドレスの番号"A5"とフレーム送出ポートの番号"W"とが対応付けて登録されている。したがって、端末TL2に関しては、ルーティングテーブル19において、そのまま宛先IPアドレスの番号"A5"とフレーム送出ポートの番号"W"とが対応付けて登録さる。
【0194】
この端末TL2およびルータRT1に関するテーブルエントリは、前述したように、ホスト経路登録テーブル21により取得されるものである。すなわち、ホスト経路登録テーブル21において、端末TL2のテーブルエントリは、図30に示したように、IPアドレス"A5",入力ポート"W"およびエージングタイマ値"210(sec)"が対応付けて登録されている。また、ルータRT1のテーブルエントリは、図30に示したように、IPアドレス"A1",入力ポート"V"およびエージングタイマ値"210(sec)"が対応付けて登録されている。このルータRT1のテーブル構築については、前述した中継装置30とルータRTCとの関係と同様のため、ここでは説明を省略する。
【0195】
この端末TL2とルータRT1の各エントリ内容が内部ルーティングテーブル19Bのテーブルエントリに反映され、図30に示した内部ルーティングテーブル19Bすなわちルーティングテーブル19が構築される。
【0196】
この内部ルーティングテーブル19Bの更新内容については、他の中継装置すなわち中継装置30へ通知する必要がある。その際には、内部RIPを中継装置30に対して通知することで、中継装置20の更新内容が中継装置30の内部ルーティングテーブルに反映される。この反映は、図30に示した如く、中継装置30の内部ルーティングテーブルおよびルーティングテーブルにおいて、フレーム送出ポートの番号"Y"に対応させて端末TL2の宛先IPアドレス番号"A5"と、ルータRT1の宛先IPアドレス番号"A1"とが登録される。
【0197】
これに対して、中継装置30には、前述したように、ルータRTCがポート番号"Z"で接続されている。したがって、中継装置30のホスト経路登録テーブルには、そのルータRTCに関するテーブルエントリが登録される。そのテーブルエントリ内容は、IPアドレスの番号"A2",入力ポートの番号"Z"およびエージングタイマ値"210(sec)"を対応付けたものである。
【0198】
中継装置30においても、このIPアドレス"A2"と入力ポート"Z"との対応関係は、内部ルーティングテーブルおよびルーティングテーブルにも反映され、各テーブルを更新する。さらに、この更新内容は、内部RIPにより他の中継装置すなわち中継装置1に通知される。
【0199】
このように、中継装置20においても、他の中継装置30から通知される内部RIPに基づいて内部ルーティングテーブル19Bおよびルーティングテーブル19の更新が必要となる。中継装置20は、中継装置30から通知される内部RIPに基づいて内部ルーティングテーブル19Bに新たに宛先IPアドレス"A2"とフレーム送出ポート"X"とを対応付けたテーブルエントリを追加する。この追加はルーティングテーブル19にも反映される。
【0200】
以上説明したように、この実施の形態2によれば、前述した実施の形態1による効果にさらにつぎの効果を得ることができる。すなわち、受信されたARPを含むフレームの送信元IPアドレスに関連する経路情報を追加した後、一定時間が経過する前にその経路情報に従って周辺機器からARPを含むフレームが受信された場合にその計測を中止し、再度リセットしてから再び計測を開始し、一方、一定時間が経過した場合に追加内容を削除する。これにより、未登録の周辺機器についての新規登録をARPに従って行うことができるので、ARPフレームによるホスト経路の自動取得および自動更新を実現することが可能である。
【0201】
また、新規に追加されたテーブルエントリ(経路情報)について追加や削除を自中継装置と同機能をもつ他の中継装置にも通知するようにしたので、共有する通信経路上での記憶内容を確実かつ迅速に統一することが可能である。
【0202】
また、エージングタイマ18aの計測時間が一定時間に達する前にすべての外部ポートに対してARPリクエストフレームをブロードキャストするようにしたので、新規追加のテーブルエントリ(経路情報)を削除する前に積極的にすべての外部ポートに対してARPを要求することができる。これによって、本来追加しておくべきテーブルエントリ(経路情報)の削除を未然に防止することが可能である。
【0203】
また、受信されたARPフレームの送信元IPアドレスに関連するテーブルエントリ(経路情報)がすでにホスト経路登録テーブル21に登録済みであった場合には、自中継装置と端末(周辺機器)との接続関係の変化に応じてエントリ内容を更新するとともに、その更新内容を自中継装置と同等の他の中継装置へ通知する。例えば周辺機器が他の中継装置の直下となれば自中継装置の管理下から外れることからその経路情報を記憶内容から削除すればよく、あるいは、自中継装置において接続位置(ポート位置)が変更されたのであれば経路情報を変更すれば済む。これにより、ARPフレームによるホスト経路の自動取得および自動更新を実現することが可能である。
【0204】
以上、この発明を実施の形態1および2により説明したが、この発明の主旨の範囲内で種々の変形が可能であり、これらをこの発明の範囲から排除するものではない。
【0205】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、宛先情報を含んだフレームの伝送を複数のネットワーク間で中継する場合、記憶中の経路情報の中から各ネットワークから受信されたフレームに含まれる、中継装置と間接的に接続されたネットワーク上のフレーム伝送相手の宛先情報に対応する経路情報を選択し、その経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信するようにしたので、フレームはフレーム全体を書き換えることなく透過的に中継され、かつ宛先を確認するだけで経路が確定することから、従来のOSIレイヤに当てはめた中継技法にとらわれることなく、装置全体のコストパフォーマンスを実現することが可能な中継装置が得られるという効果を奏する。
【0206】
また、請求項2の発明によれば、共通のフレーム形式で構成され、かつ宛先情報を含んだフレームの伝送を複数のネットワーク間で中継する場合、各周辺機器および各ネットワークのうちから受信されたフレームに基づいて中継装置間および中継装置と周辺機器間で授受される制御情報を識別し、その制御情報に基づいて各ネットワーク上の宛先情報と経路情報との対応を構築して記憶するとともに、記憶中の経路情報の中から各ネットワークから受信されたフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択し、その経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信するようにしたので、性能劣化を起こすことなくフレームを透過的に中継しつつ、そのフレームからルーティングのための情報を取り込むことができ、これによって、ルーティングのための情報を容易に構築することが可能な中継装置が得られるという効果を奏する。
【0207】
また、請求項3の発明によれば、宛先情報を含んだフレームの伝送を複数のネットワーク間で中継する場合、各ネットワークから受信されたフレームに基づいてルーティングプロトコルを識別し、そのルーティングプロトコルに基づいて各ネットワーク上の宛先情報と経路情報との対応を構築して記憶するとともに、記憶中の経路情報の中から各ネットワークから受信された宛先情報を含んだフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択し、その経路情報に基づいて受信された宛先情報を含んだフレームをそのまま中継送信するようにしたので、性能劣化を起こすことなくフレームを透過的に中継しつつ、そのフレームからルーティングのための情報を取り込むことができ、これによって、ルーティングのための情報を容易に構築することが可能な中継装置が得られるという効果を奏する。
【0208】
また、請求項4の発明によれば、共通のフレーム形式で構成され、かつ宛先情報を含んだフレームの伝送を複数のネットワーク間で中継する場合、周辺機器から受信されたフレームに基づいて周辺機器の送信元IPアドレスを識別し、その送信元IPアドレスに基づいて各ネットワーク上の宛先情報と経路情報との対応を構築して記憶するとともに、記憶中の経路情報の中から各ネットワークから受信されたフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択し、その経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信するようにしたので、性能劣化を起こすことなくフレームを透過的に中継しつつ、そのフレームからルーティングのための情報を取り込むことができ、これによって、ルーティングのための情報を容易に構築することが可能な中継装置が得られるという効果を奏する。
【0209】
また、請求項5の発明によれば、請求項4の発明において、受信されたARPを含むフレームの送信元IPアドレスに関連する経路情報を追加した後、一定時間が経過する前にその経路情報に従って周辺機器からARPを含むフレームが受信された場合にその計測を中止し、一方、一定時間が経過した場合に追加内容を削除するようにしたので、未登録の周辺機器についての新規登録をARPに従って行うことができ、これによって、ARPフレームによるホスト経路の自動取得および自動更新を実現することが可能な中継装置が得られるという効果を奏する。
【0210】
また、請求項6の発明によれば、請求項5の発明において、新規に追加された経路情報について追加や削除を自中継装置と同機能をもつ他の中継装置にも通知するようにしたので、共有する通信経路上での記憶内容を確実かつ迅速に統一することが可能な中継装置が得られるという効果を奏する。
【0211】
また、請求項7の発明によれば、請求項5または6の発明において、計測時間が一定時間に達する前に1または複数の周辺機器に対してARPを含むリクエストタイプのフレームを送出するようにしたので、新規追加の経路情報を削除する前に積極的に周辺機器に対してARPを含むフレームを要求することができ、これによって、本来追加しておくべき経路情報の削除を未然に防止することが可能な中継装置が得られるという効果を奏する。
【0212】
また、請求項8の発明によれば、請求項4〜7のいずれか一つの発明において、受信されたARPを含むフレームの送信元IPアドレスに関連する経路情報がすでに記憶されていた場合には自中継装置と周辺機器との接続関係の変化に応じて記憶内容を更新するとともに、その更新内容を自中継装置と同等の他の中継装置へ通知するようにしたので、例えば周辺機器が他の中継装置の直下となれば自中継装置の管理下から外れることからその経路情報を記憶内容から削除すればよく、あるいは、自中継装置において接続位置(ポート位置)が変更されたのであれば経路情報を変更すれば済み、これにより、ARPフレームによるホスト経路の自動取得および自動更新を実現することが可能な中継装置が得られるという効果を奏する。
【0213】
また、請求項9の発明によれば、スイッチエンジンにおいて、各ネットワークから宛先情報を含んだフレームを受信した際に、プロセッシングユニット内の第1テーブルからフレーム中の宛先情報に対応する経路情報を検索し、その経路情報が得られた場合にその経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信し、マネージメントユニットにおいて、スイッチエンジンでの検索で経路情報が得られなかった場合に自ユニット内の第2テーブルで同検索を行い、この検索で経路情報が得られた場合にその経路情報と検索に用いた宛先情報とを対応付けてプロセッシングユニットの第1テーブルに登録するようにしたので、第1テーブルを用いた検索の段階で所要の経路情報が得られると、マネージメントユニットを動作させずに中継を完了させることができ、これによって、中継動作が高速化されることから、装置全体のコストパフォーマンスを一層向上することが可能な中継装置が得られるという効果を奏する。
【0214】
また、請求項10の発明によれば、請求項9記載の発明において、スイッチエンジンにおいて、各ネットワークからルーティングプロトコルを含むフレームを受信した際に、受信されたフレームからルーティングプロトコルを識別し、マネージメントユニットにおいて、スイッチエンジンにより識別されたルーティングプロトコルに基づいて第2テーブルを構築するようにしたので、第1テーブルはスイッチエンジンによる最初の経路検索専用となって、プロセッシングユニットの負荷は極力軽減され、これによって、フレームの透過的な中継を遅延させることがなくなることから、装置全体のコストパフォーマンスを一層向上することが可能な中継装置が得られるという効果を奏する。
【0215】
また、請求項11の発明によれば、スイッチエンジンにおいて、中継装置に接続された周辺機器からARPを含むフレームを受信した際に、受信されたフレームから周辺機器の送信元IPアドレスを識別し、マネージメントユニットにおいて、スイッチエンジンにより識別された送信元IPアドレスに基づいて第2テーブルを構築するようにしたので、第1テーブルはスイッチエンジンによる最初の経路検索専用となって、プロセッシングユニットの負荷は極力軽減され、これによって、フレームの透過的な中継を遅延させることがなくることから、装置全体のコストパフォーマンスを一層向上することが可能な中継装置が得られるという効果を奏する。
【0216】
また、請求項12の発明によれば、宛先情報を含んだフレームの伝送を複数のネットワーク間で中継する場合、複数のネットワークを接続させた1または複数の中継装置において、記憶中の経路情報の中から各ネットワークから受信されたフレームに含まれる、中継装置と間接的に接続されたネットワーク上のフレーム伝送相手の宛先情報に対応する経路情報を選択し、その経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信するようにしたので、中継装置を通るフレームはフレーム全体を書き換えることなく透過的に中継され、かつ宛先を確認するだけで経路が確定することから、従来のOSIレイヤに当てはめた中継技法にとらわれることなく、システム全体のコストパフォーマンスを実現することが可能なネットワーク中継システムが得られるという効果を奏する。
【0217】
また、請求項13の発明によれば、宛先情報を含んだフレームの伝送を複数のネットワーク間で中継する場合、中継装置において、各ネットワークから受信されたフレームに基づいてルーティングプロトコルを識別し、そのルーティングプロトコルに基づいて各ネットワーク上の宛先情報と経路情報との対応を構築して記憶するとともに、記憶中の経路情報の中から各ネットワークから受信された宛先情報を含んだフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択し、その経路情報に基づいて受信された宛先情報を含んだフレームをそのまま中継送信するようにしたので、性能劣化を起こすことなくフレームを透過的に中継しつつ、そのフレームからルーティングのための情報を取り込むことができ、これによって、システム内のルーティングのための情報を中継装置に容易に構築することが可能なネットワーク中継システムが得られるという効果を奏する。
【0218】
また、請求項14の発明によれば、請求項12または13に記載の発明において、中継送信の際に、受信されたフレームから他の中継装置が自発的に送出したルーティングプロトコルが識別された場合には、その受信されたフレームを取り込み、新たな宛先情報を生成し、その生成された宛先情報を他の中継装置に向けて自発的に送出するので、中継装置間でルーティングプロトコルを中継しながらシステム内のルーティングのための情報を容易に構築することが可能なネットワーク中継システムが得られるという効果を奏する。
【0219】
また、請求項15の発明によれば、共通のフレーム形式で構成され、かつ宛先情報を含んだフレームの伝送を複数のネットワーク間で中継する場合、中継装置において、接続された周辺機器から受信されたフレームに基づいて周辺機器の送信元IPアドレスを識別し、その送信元IPアドレスに基づいて各ネットワーク上の宛先情報と経路情報との対応を構築して記憶するとともに、記憶中の経路情報の中から各ネットワークから受信されたフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択し、その経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信するようにしたので、性能劣化を起こすことなくフレームを透過的に中継しつつ、そのフレームからルーティングのための情報を取り込むことができ、これによって、システム内のルーティングのための情報を中継装置に容易に構築することが可能なネットワーク中継システムが得られるという効果を奏する。
【0220】
また、請求項16の発明によれば、各ネットワークから宛先情報を含んだフレームを受信した際に、第1テーブルからフレーム中の宛先情報に対応する経路情報を検索し、その経路情報が得られた場合にその経路情報に基づいて受信されたフレームをそのまま中継送信し、一方、その経路情報が得られなかった場合に第2テーブルで同検索を行い、この検索で経路情報が得られた場合にその経路情報と検索に用いた宛先情報とを対応付けて第1テーブルに登録する工程にしたので、第1テーブルを用いた検索の段階で所要の経路情報が得られると、その段階で中継を完了させることができ、これによって、中継動作が高速化されることから、従来のOSIレイヤに当てはめた中継技法にとらわれることなく、装置全体のコストパフォーマンスを実現できるようにバックボーンとしての中継を行うことが可能な中継方法が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による中継装置を機能的に示す機能ブロック図である。
【図2】 実施の形態1によるネットワーク中継システムにおいてフレームの流れを説明する図である。
【図3】 IPマルチキャストフレームを中継する際のポート送出例を示す図である。同図(a)は従来例の説明図であり、同図(b)は実施の形態1の説明図である。
【図4】 フレームの中継原理を説明する図である。同図(a)は従来例の説明図であり、同図(b)は実施の形態1の説明図である。
【図5】 実施の形態1による中継装置をハードウェア的に示すブロック図である。
【図6】 実施の形態1によるルーティングテーブルのメモリ構成の一例を示す図である。
【図7】 実施の形態1によるネットワーク中継システムにおいてIPスイッチング機能を概念的に説明する図である。
【図8】 実施の形態1によるネットワーク中継システムにおいてRIPパケットの流れを説明する図である。
【図9】 実施の形態1によるネットワーク中継システムにおいて外部ルーティングテーブルの記憶内容の一例を示す図である。同図(a)は一中継装置の外部ルーティングテーブルの一例を示す図であり、同図(b)は他の中継装置の外部ルーティングテーブルの一例を示す図である。
【図10】 実施の形態1によるネットワーク中継システムにおいて内部RIPパケット交換機能を概念的に説明する図である。
【図11】 実施の形態1によるネットワーク中継システムにおいて内部RIPパケットの流れを説明する図である。
【図12】 実施の形態1によるネットワーク中継システムにおいて内部ルーティングテーブルの記憶内容の一例を示す図である。同図(a)は一中継装置の内部ルーティングテーブルの一例を示す図であり、同図(b)は他の中継装置の内部ルーティングテーブルの一例を示す図である。
【図13】 実施の形態1によるルーティングテーブルの構築方法を概念的に説明する図である。
【図14】 実施の形態1によるIP中継フレーム処理を説明するフローチャートである。
【図15】 実施の形態1によるネットワーク中継システムにおいて伝送される宛先IPアドレスおよび宛先MACアドレスの遷移を説明する図である。
【図16】 実施の形態1によるネットワーク中継システムにおいてルーティングテーブルの記憶内容の一例を示す図である。同図(a)は一中継装置のルーティングテーブルの一例を示す図であり、同図(b)は他の中継装置のルーティングテーブルの一例を示す図である。
【図17】 実施の形態1によるネットワーク中継システムにおいてIPキャッシュテーブルの記憶内容の一例を示す図である。同図(a)は一中継装置のIPキャッシュテーブルの一例を示す図であり、同図(b)は他の中継装置のIPキャッシュテーブルの一例を示す図である。
【図18】 実施の形態1によるネットワーク中継システムにおいて中継装置に接続されるルータのルーティングテーブルの記憶内容の一例を示す図である。
【図19】 同図(a)はARPのヘッダ形式を示す図、同図(b)はARPリクエストフレームのフォーマット例を示す図、そして、同図(c)はARPレスポンスフレームのフォーマット例を示す図である。
【図20】 この発明の実施の形態2による中継装置を機能的に示す機能ブロック図である。
【図21】 実施の形態2によるネットワーク中継システムにおいてフレームの流れを説明する図である。
【図22】 実施の形態2による受信フレームの中継原理を説明する図である。
【図23】 図20に示した中継装置をハードウェア的に示すブロック図である。
【図24】 実施の形態2によるネットワーク中継システムにおいて端末のARP送受信機能を概念的に説明する図である。
【図25】 実施の形態2によるARPフレーム受信処理を説明するフローチャートである。
【図26】 実施の形態2によるネットワーク中継システムにおいてホスト経路登録テーブルと内部ルーティングテーブルとの関係を説明する図である。
【図27】 実施の形態2によるネットワーク中継システムにおいて中継装置のARP送受信機能を概念的に説明する図である。
【図28】 実施の形態2によるARPフレーム送信処理を説明するフローチャートである。
【図29】 実施の形態2によるネットワーク中継システムにおいて中継装置のルーティングテーブル構築機能を概念的に説明する図である。
【図30】 実施の形態2によるルーティングテーブル構築の流れを説明する図である。
【図31】 一般的な企業内のネットワーク中継システムを示す構成図である。
【図32】 TCP/IPプロトコルで使用されるフレームのフォーマットを概略的に示す図である。
【図33】 従来例においてスイッチングハブとルータとの組み合わせで構成される中継装置を概略的に示すブロック図である。
【図34】 従来例においてATMスイッチとルータとの組み合わせで構成される中継装置を概略的に示すブロック図である。
【符号の説明】
1,10 中継装置
2,8 伝送路制御部(中継送信手段)
3 プロトコル識別部(構築手段)
4 経路選択部(経路選択手段,中継送信手段)
5 第1経路記憶部(経路記憶手段)
6 第2経路記憶部(経路記憶手段)
9 ARPフレーム制御部(構築手段,追加手段,追加削除手段)
9a ホスト経路記憶部
7 ルーティングプロトコル制御部(構築手段)
11 スイッチエンジン(抽出手段,第1検索手段,中継送信手段)
12 メモリ
13 プロセッシングユニット
13a IPキャッシュテーブル(第1テーブル)
14 マネージメントユニット(第2検索手段,登録手段)
15,16 FEIU
17 PSP
18 CPU
18a エージングタイマ(計測手段)
19 ルーティングテーブル(第2テーブル)
19A 外部ルーティングテーブル
19B 内部ルーティングテーブル
21 ホスト経路登録テーブル
Claims (16)
- 宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークを接続し、前記複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する中継装置において、
当該中継装置と接続された前記ネットワーク上のフレーム伝送相手の宛先情報に対応させて経路情報を記憶する経路記憶手段と、
前記各ネットワークからフレームを受信した際に、前記経路記憶手段に記憶されている経路情報の中から前記受信されたフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択する経路選択手段と、
前記経路選択手段により選択された経路情報に基づいて前記受信された宛先情報を含んだフレームをそのまま中継送信する中継送信手段と、
を備えたことを特徴とする中継装置。 - 1または複数の周辺機器、および宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークを接続し、前記1または複数の周辺機器を含めて前記複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する中継装置において、
前記各ネットワーク上の宛先情報に対応させて経路情報を記憶する経路記憶手段と、
前記1または複数の周辺機器および前記複数のネットワークのうちから中継装置間および中継装置と周辺機器間で授受される制御情報を含むフレームを受信した際に、前記受信されたフレームから制御情報を識別し、前記識別された制御情報に基づいて前記経路記憶手段の記憶内容を構築する構築手段と、
前記経路記憶手段に記憶されている経路情報の中から前記受信された宛先情報を含んだフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択する経路選択手段と、
前記経路選択手段により選択された経路情報に基づいて前記受信された宛先情報を含んだフレームをそのまま中継送信する中継送信手段と、
を備えたことを特徴とする中継装置。 - 宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークを接続し、前記複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する中継装置において、
前記各ネットワーク上の宛先情報に対応させて経路情報を記憶する経路記憶手段と、
前記各ネットワークからルーティングプロトコルを含むフレームを受信した際に、前記受信されたフレームからルーティングプロトコルを識別し、前記識別されたルーティングプロトコルに基づいて前記経路記憶手段の記憶内容を構築する構築手段と、
前記経路記憶手段に記憶されている経路情報の中から前記受信された宛先情報を含んだフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択する経路選択手段と、
前記経路選択手段により選択された経路情報に基づいて前記受信された宛先情報を含んだフレームをそのまま中継送信する中継送信手段と、
を備えたことを特徴とする中継装置。 - 1または複数の周辺機器、および宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークを接続し、前記1または複数の周辺機器を含めて前記複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する中継装置において、
前記各ネットワーク上の宛先情報に対応させて経路情報を記憶する経路記憶手段と、
前記周辺機器からARPを含むフレームを受信した際に、前記受信されたフレームから周辺機器の送信元IPアドレスを識別し、前記識別された周辺機器の送信元IPアドレスに基づいて前記経路記憶手段の記憶内容を構築する構築手段と、
前記経路記憶手段に記憶されている経路情報の中から前記受信された宛先情報を含んだフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択する経路選択手段と、
前記経路選択手段により選択された経路情報に基づいて前記受信された宛先情報を含んだフレームをそのまま中継送信する中継送信手段と、
を備えたことを特徴とする中継装置。 - 前記構築手段は、前記識別された送信元IPアドレスに関連する経路情報が前記経路記憶手段に記憶されていない場合に前記経路情報を前記経路記憶手段に追加する追加手段と、前記追加手段の追加動作に応じて一定時間を計測する計測手段と、前記計測手段の計測により前記一定時間が経過する前に前記経路情報に従って前記周辺機器からARPを含むフレームが受信された場合に前記計測手段による計測を中止し、一方、前記計測手段の計測により前記一定時間が経過した場合に前記経路記憶手段から前記追加手段による追加内容を削除する追加削除手段とを有したことを特徴とする請求項4に記載の中継装置。
- 前記複数のネットワークには自中継装置と同等の他の中継装置が1または複数含まれており、前記構築手段は、前記追加手段の追加結果および前記追加削除手段による削除内容を前記他の中継装置へ通知することを特徴とする請求項5に記載の中継装置。
- 前記構築手段は、前記計測手段による計測時間が前記一定時間に達する前に前記1または複数の周辺機器に対してARPを含むリクエストタイプのフレームを送出することを特徴とする請求項5または6に記載の中継装置。
- 前記複数のネットワークには自中継装置と同等の他の中継装置が1または複数含まれており、前記構築手段は、前記識別された送信元IPアドレスに関連する経路情報が前記経路記憶手段に記憶されていた場合に前記経路情報に基づく自中継装置と前記周辺機器との接続関係の変化に応じて前記経路記憶手段の記憶内容を更新するとともに、その更新内容を前記他の中継装置へ通知することを特徴とする請求項4〜7のいずれか一つに記載の中継装置。
- 宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークを接続し、前記複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する中継装置において、
前記フレームの宛先を制御するスイッチエンジンと、
前記各ネットワーク上の宛先情報とその宛先情報で示される宛先の経路を示す経路情報とを対応付けて記憶した第1テーブルを有し、前記第1テーブルを用いて前記スイッチエンジンから宛先情報を受け取り、その宛先情報に対応する経路情報を前記スイッチエンジンへ供給するプロセッシングユニットと、
前記各ネットワーク上の宛先情報とその宛先情報で示される宛先の経路を示す経路情報とを対応付けて記憶した第2テーブルを有するマネージメントユニットと、
を備え、
前記スイッチエンジンは、
前記各ネットワークから前記フレームを受信した際に、前記受信されたフレームから宛先情報を抽出する抽出手段と、
前記第1テーブルに記憶されている経路情報の中から前記抽出手段により抽出された宛先情報に対応する経路情報を検索する第1検索手段と、
前記第1検索手段により経路情報が得られた場合にその経路情報に基づいて前記受信されたフレームをそのまま中継送信する中継送信手段と、
を有し、
前記マネージメントユニットは、
前記第1検索手段により経路情報が得られなかった場合に前記プロセッシングユニットの要求に応じて前記第2テーブルに記憶されている経路情報の中から前記抽出手段により抽出された宛先情報に対応する経路情報を検索する第2検索手段と、
前記第2検索手段により経路情報が得られた場合にその経路情報と前記抽出手段により抽出された宛先情報とを対応付けて前記プロセッシングユニットの前記第1テーブルに登録する登録手段と、
を有したことを特徴とする中継装置。 - 前記スイッチエンジンは、前記各ネットワークからルーティングプロトコルを含む前記フレームを受信した際に、前記受信されたフレームからルーティングプロトコルを識別する識別手段と、前記マネージメントユニットは、前記スイッチエンジンにより識別されたルーティングプロトコルに基づいて前記第2テーブルを構築する構築手段とを有することを特徴とする請求項9に記載の中継装置。
- 前記中継装置は1または複数の周辺機器を接続しており、前記スイッチエンジンは、前記周辺機器からARPを含む前記フレームを受信した際に、前記受信されたフレームから周辺機器の送信元IPアドレスを識別する識別手段と、前記マネージメントユニットは、前記スイッチエンジンにより識別された周辺機器の送信元IPアドレスに基づいて前記第2テーブルを構築する構築手段とを有することを特徴とする請求項9に記載の中継装置。
- 宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークと、
前記複数のネットワークを接続し、前記複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する1または複数の中継装置と、
を備え、
前記中継装置は、
当該中継装置と接続された前記ネットワーク上のフレーム伝送相手の宛先情報に対応させて経路情報を記憶する経路記憶手段と、
前記各ネットワークから前記フレームを受信した際に、前記経路記憶手段に記憶されている経路情報の中から前記受信されたフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択する経路選択手段と、
前記経路選択手段により選択された経路情報に基づいて前記受信された宛先情報を含んだフレームをそのまま中継送信する中継送信手段と、
を有したことを特徴とするネットワーク中継システム。 - 宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークと、
前記複数のネットワークを接続し、前記複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する1または複数の中継装置と、
を備え、
前記中継装置は、
前記各ネットワーク上の宛先情報に対応させて経路情報を記憶する経路記憶手段と、
前記各ネットワークからルーティングプロトコルを含む前記フレームを受信した際に、前記受信されたフレームからルーティングプロトコルを識別し、前記識別されたルーティングプロトコルに基づいて前記経路記憶手段の記憶内容を構築するテーブル構築手段と、
前記経路記憶手段に記憶されている経路情報の中から前記受信された宛先情報を含んだフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択する経路選択手段と、
前記複数のネットワークの内で前記経路選択手段により選択された経路情報に基づいて前記受信された宛先情報を含んだフレームをそのまま中継送信する中継送信手段と、
を有したことを特徴とするネットワーク中継システム。 - 前記テーブル構築手段は、前記受信されたフレームから識別されたルーティングプロトコルが他の中継装置から自発的に前記各ネットワークに送出されたルーティングプロトコルであった場合、前記受信されたフレームに含まれるルーティングプロトコルに基づいて前記経路記憶手段の記憶内容を構築することを特徴とする請求項12または13に記載のネットワーク中継システム。
- 宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークと、
1または複数の周辺機器および前記複数のネットワークを接続し、前記1または複数の周辺機器を含めて前記複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する1または複数の中継装置と、
を備え、
前記中継装置は、
前記各ネットワーク上の宛先情報に対応させて経路情報を記憶する経路記憶手段と、
前記周辺機器からARPを含む前記フレームを受信した際に、前記受信されたフレームから周辺機器の送信元IPアドレスを識別し、前記識別された周辺機器の送信元IPアドレスに基づいて前記経路記憶手段の記憶内容を構築するテーブル構築手段と、
前記経路記憶手段に記憶されている経路情報の中から前記受信された宛先情報を含んだフレームに含まれる宛先情報に対応する経路情報を選択する経路選択手段と、
前記複数のネットワークの内で前記経路選択手段により選択された経路情報に基づいて前記受信された宛先情報を含んだフレームをそのまま中継送信する中継送信手段と、
を有したことを特徴とするネットワーク中継システム。 - 宛先情報を含んだフレームを用いて通信を行う複数のネットワークを接続し、前記複数のネットワーク間のフレーム伝送を中継する中継方法において、
前記各ネットワークから前記フレームを受信した際に、前記受信されたフレームから宛先情報を抽出する第1工程と、
前記各ネットワーク上の宛先情報とその宛先情報で示される宛先の経路を示す経路情報とを対応付けて記憶した第1テーブルを用いて、前記第1テーブルに記憶されている経路情報の中から前記第1工程により抽出された宛先情報に対応する経路情報を検索する第2工程と、
前記第2工程により経路情報が得られた場合にその経路情報に基づいて前記受信されたフレームをそのまま中継送信する第3工程と、
前記第1テーブルとは別に設けられ、前記各ネットワーク上の宛先情報とその宛先情報で示される宛先の経路を示す経路情報とを対応付けて記憶した第2テーブルを用いて、前記第2工程により経路情報が得られなかった場合に前記第2テーブルに記憶されている経路情報の中から前記第1工程により抽出された宛先情報に対応する経路情報を検索する第4工程と、
前記第4工程により経路情報が得られた場合にその経路情報と前記第1工程により抽出された宛先情報とを対応付けて前記第1テーブルに登録する第5工程と、
を含むことを特徴とする中継方法。
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