JP3685657B2 - 医療用吸引排出装置用容器の弁機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は主として外科治療において、手術後の胸部等の体腔から液体及び気体を排出させるための医療用低圧吸引排出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用吸引排出装置は開胸術後、胸腔内圧を一定に保つために使用されることが多く、その形態には3ボトル法を用いたディスポーザブルタイプと、ポンプを内蔵した器械タイプとが存在する。更にディスポーザブルタイプには、最も一般的な調圧部と集液部が一体成形されたものと、特開昭60−5162号公報に開示されているような、調圧部と集液部を分離したものを連結して使用し、集液部の交換が可能なものに分けられる。器械タイプとは、調圧部が器械ポンプにて構成されたもので、集液部は特開昭60−5162号公報に開示のものと同様の形態である。
【0003】
この、調圧部と集液部が分離、交換可能な形態は、以下のような利点が認められている。
(1)集液部のみ分離、交換できるので、小児用の500cc以下の小容量のものや、成人用の1000cc以上の容量、あるいは成人用でも治療目的によって100ccから500cc程度の各種容量に対応できる。
(2)集液部のみ使い捨てができるため、経済的である。
(3)集液部が排液室と水封室から構成されているため、排液部を調圧部と切り離しても、排液室は水封室を介しているため大気圧と直接通じることがなく、安全性に優れ、特に軽症の気胸患者等に吸引を加えない自然ドレナージとして使用することも可能である。
【0004】
しかしながら、利点(3)における自然ドレナージとして使用する場合において、患者が静常な場合には水封室にて大気との連通を阻止することが容易であるが、咳などにより患者の呼吸状態が急変した場合には水封による限界圧力差を越える場合があり、大気が患者の体腔内へ流入したり、又は水封室の無菌水が集液室へと移行し、患者に感染の危険が生じる可能性が考えられる。
この対策として、水封室の大気との流通口に一方弁を取り付け、急激な大気の流入を防ぎ、水封の無菌水が集液室側へと入らないようにすることが一般的に行われているが、この方法では、患者の体腔内が長時間過剰な陰圧に保たれることとなり、患者のQOLを低下させるばかりか、医学的に危険な状態になる可能性があるという問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、吸引圧力を制御する調圧部と、集液室と水封室からなる集液部と、前記調圧部と前記集液部が分離可能な形態であり、前記水封室の上部の接続口に、弁体を有する弁機構が接続された医療用低圧持続吸引装置用容器であって、前記弁機構は接続口に着脱可能に設けられ、かつ、前記弁体はフィルター構造を有することを特徴とする医療用低圧持続吸引装置用容器である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、吸引圧力を制御する調圧部及び、集液室と水封室からなる集液部にて構成され、更に調圧部と集液部が分離可能な形態である医療用低圧持続吸引装置において、水封室上部の接続口に着脱可能に設けられ、さらにフィルター構造を有することを特徴とする医療用低圧持続吸引装置用容器の弁機構である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下図面を用いて本発明を詳細に説明する。図1は自然ドレナージとして使用している状態を表した図であり、図2〜図4は本発明による弁機構の実施例を表したのもである。
図1において、集液部は、2つの部屋からなる集液室(2)と、細管(4)を有する水封室(3)からなり、集液室(2)は上部中央付近において2つの部屋が連通されており、さらに上部左側には患者からのドレーンチューブ(8)を接続する接続口(6b)と、上部右側には水封室(3)からの細管(4)が連通している。水封室(3)には上部に調圧部と接続する接続口(6a)があり、自然ドレナージで使用する場合、この接続口(6a)が大気へと開放されることとなる。通常の場合であれば、水封室(3)の無菌水(5)により外気と遮断されているため問題はないが、より安全なものとするために、この接続口(6a)に弁機構(1)を取り付け、急激な大気の流入による水封室の無菌水(5)の体腔内への逆流を防ぐ。
弁機構(1)は、容器内からの流れの時は開口し、容器外からの流れの時には閉口するように弁体が動く構造であり、一般にボールやフラッター方式の一方弁が用いられている。
【0008】
次に本発明の弁機構を図2〜4の実施例で説明する。
図2はボール弁機構を用いた例であり、球状の弁体(9a)がフィルター構造を持つ。このフィルターは衛生面から医療用途に多く使用されている無菌フィルターであることが望ましい。無菌フィルターは通気抵抗が大きいため、急激な気体の流入を防ぐことが可能となる。
弁機構が働く段階を順を追って説明すると、患者の呼吸状態が急変し、大きく咳き込んだ場合、胸腔内が急激に狭められるため、胸腔内から集液室(2)を通り、水封室(3)の無菌水(5)を介して水封室(3)上部の接続口(6a)から外部へ向けて気体が流れる。このとき弁体(9a)は、図2(b)に示すように、気体の流れにより押し上げられ、狭窄部(10a)と弁体(9a)との間にクリアランスができ、気体は外部へと流出する。
【0009】
次の段階の現象として、狭められた胸腔が元の状態に戻ろうとする。このとき、気体の流れは、胸腔内へと流れる向きになるため、水封室(3)から無菌水(5)を介して集液室(2)から胸腔へと向かう。このとき、弁機構がない場合は外気が急激に接続口(6a)から入り、結果として無菌水(5)が急流となり、細管(4)を上昇し集液室(2)へと流れ込む。急激な流れのため、無菌水(5)は飛沫を伴い、場合によっては直接胸腔内へと移行することも考えられ危険であるが、弁機構を有する場合には、図2(a)に示すように、胸腔内への気体の流れを弁体(9a)が狭窄部(10a)を塞ぐことにより外気の流入を遮断することが出来る。このとき、胸腔が元の状態に戻るときに外気の流入を遮断するため、回路が密閉系となり、胸腔内は過剰な陰圧となるが、本発明による弁体(9a)はフィルター構造を有するため、図2(a)に示すように、外部から胸腔内の向きに緩やかな気体の流れが生じ、過剰な陰圧が速やかに解除される。気体の流れが緩やかなため、水封の無菌水(5)が急流となり飛沫状にて集液室(2)側へと移行することはなく、また、流入する気体はフィルターを通過したものであるため、感染の危険性が少なく安全である。
【0010】
通常の一方弁の場合、胸腔内は過剰な陰圧が長時間持続され、患者は苦痛を強いられ好ましい状態ではない。この過剰陰圧の発生過程を数度繰り返した場合には、医学的に危険な状態になることも十分に起こり得る。
ここで、無菌水(5)の挙動であるが、本発明による弁体(9a)を通過する気体の流れは緩やかであるため、水封室(3)の無菌水(5)が急流となり飛沫状態で集液室(2)側へと移行することはなく安全であるが、無菌水(5)の集液室(2)への移行を防せぐために、公知の手段である細管(4)の上部を拡径化する手段をとることにより、更に安全性が高まる。また、特願平11−2680号の様に、万が一飛沫が生じた場合の回避手段である移行防止機構(7)を込み入れることが、安全性をより高める意味においてより好ましい。
【0011】
図3〜図4は上記弁体の形状の他の実施例を示したものである。
図3の実施例では弁体が板状であり、図2に示した球状よりも生産性に優れた形状であり、コスト削減のためには好ましい。この場合、一端を固定しておいても、全周固定なしでもよいが、ひっかかり等の誤動作を防ぐためには一端を固定する事が望ましい。図3(a)は弁が閉じている状態、図3(b)は弁が開いている状態を示した例である。この場合も弁体(9b)はフィルター構造を有する。
図4は狭窄部での弁体の密閉度を向上させるための一実施例で、図4(a)は、板状の弁体(9c)の下面、即ち狭窄部(10c)との接面の外周にゴム弾性体を貼り付け、弁体(9c)と狭窄部(10c)との隙間から外気が流入することを防ぐものである。これにより、感染の危険性を更に減少する。ゴム弾性体は、シリコーンゴムやニトリルゴム等の一般のゴム弾性体であればよく、低い圧力差においても気密性を確保するために、硬度が低く柔らかいものが好ましい。
図4(b)は、弁体を下向きの円錐状にし、狭窄部(10d)にて弁体が線で接触するようにしたもので、これも、弁体(9d)と狭窄部(10d)との隙間から外気が流入することを防ぎ、感染の危険性を低減するための一実施例であり、これら弁体(9c)及び弁体(9d)も当然フィルター構造を有する。
【0012】
本弁機構は、一般的な使用方法である集液部を調圧部に接続して持続吸引をする場合には、トイレ等による移動時以外は集液部を取り外すことが無いため、本弁機構は特に必要ではなく、集液部を取り外す時のみ取り付け出来る脱着可能な形態が好ましい。一方、集液部のみでの自然ドレナージを前提として使用する場合には、予め集液部の水封室上部に組み込んだ形態のほうが操作者の手間を省く意味において、好ましいと思われるが、その場合、弁機構が水封室への注水作業妨げとなるため、別途注水口を設けておく必要があり、当然この注水口には気密保持のためのキャップが必要となる。したがって手間の削減とはならず、また製造コストの面から見ても着脱可能な形態の方が望ましい。
【0013】
【発明の効果】
以上のように、本発明による医療用吸引排出装置用容器の弁機構を用いれば、患者の呼吸状態が急変した場合にも、大気及び水封室の無菌水が患者の体腔内へ移行することを防ぎ、且つ過剰な陰圧が長時間保持されることがなく、極めて安全性が高く有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による医療用吸引排出装置用容器と弁機構の一実施例であり、集液部と弁機構との接続状態の一例である。
【図2】本発明による医療用吸引排出装置用容器の弁機構の一実施例である。
【図3】本発明による医療用吸引排出装置用容器の弁機構の一実施例である。
【図4】本発明による医療用吸引排出装置用容器の弁機構の一実施例である。
【符号の説明】
1. 弁機構
2. 集液室
3. 水封室
4. 細管
5. 無菌水
6a,6b. 接続口
7. 移行防止機構
8. ドレーンチューブ
9a,9b,9c,9d. 弁体
10a,10b,10c,10d.狭窄部
11a,11b,11c,11d.外壁
12. ゴム弾性体
Claims (1)
- 吸引圧力を制御する調圧部と、集液室と水封室からなる集液部と、前記調圧部と前記集液部が分離可能な形態であり、前記水封室の上部の接続口に、弁体を有する弁機構が接続された医療用低圧持続吸引装置用容器であって、前記弁機構は接続口に着脱可能に設けられ、かつ、前記弁体はフィルター構造を有することを特徴とする医療用低圧持続吸引装置用容器。
Priority Applications (1)
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JP23032699A JP3685657B2 (ja) | 1999-08-17 | 1999-08-17 | 医療用吸引排出装置用容器の弁機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP23032699A JP3685657B2 (ja) | 1999-08-17 | 1999-08-17 | 医療用吸引排出装置用容器の弁機構 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2001054566A JP2001054566A (ja) | 2001-02-27 |
JP3685657B2 true JP3685657B2 (ja) | 2005-08-24 |
Family
ID=16906089
Family Applications (1)
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JP23032699A Expired - Fee Related JP3685657B2 (ja) | 1999-08-17 | 1999-08-17 | 医療用吸引排出装置用容器の弁機構 |
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JP (1) | JP3685657B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018070454A1 (ja) * | 2016-10-14 | 2018-04-19 | 株式会社村田製作所 | 吸引排出ユニット及び吸引排出装置 |
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1999
- 1999-08-17 JP JP23032699A patent/JP3685657B2/ja not_active Expired - Fee Related
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