JP3684754B2 - セルラ通信網 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は移動体通信に用いられるセルラ型無線通信網に関し、特に移動局側に指向性アンテナを備えたセルラ型無線通信網に関する。また、本発明はフェーズドアレーアンテナを備えた移動体に関する。また、本発明はミリ波帯の通信システムに関する。また本発明は無線LANに関する。
【0002】
【従来の技術】
図22はセルラ通信網におけるセル構造の基本的な概念を示す平面図である。各基地局211ないし217はそれぞれセル201ないし207内に固定して設けられセル201ないし207内の移動局221ないし227の通信を制御する。例えば、セル201内の移動局221は基地局211と周波数F1によって交信し、セル202内の移動局222は基地局212と周波数F2によって交信する。
【0003】
隣接セル間では異なる周波数を用いることにより、セル間の干渉を防いでいる。隣接していないセルでは、再び同じ周波数を用いることができる。例えば、図23に示すように、7種類のセル(7通りの周波数)の繰り返しにより、同じ周波数の再利用が可能となる。
【0004】
実際のセルラ通信網では、基地局から移動局への伝送に使われる周波数と移動局から基地局への伝送に使われる周波数は別の周波数が用いられる。例えば図24に示すように、基地局211から移動局121への伝送には周波数F1が、移動局121から基地局211への伝送には周波数F8が用いられる。したがって、全体では図25に示すように14種類の周波数が用いられることになる。例えば、実際に運用されているアナログセルラ電話のNTT(Nippon Telephone & Telegram)方式では基地局送信は870−885MHz、基地局受信(移動局送信)周波数は925−940MHzの範囲で行われている。
【0005】
また実際のセルラ通信網では、単純に7種類の周波数を使うわけではなく、7種類の周波数をさらに細かく周波数分割して数百程度のチャネルに分けている。ひとつのセル内では、複数の移動局にはそれぞれ別のチャネルが割り当てられる。このような方式をFDM方式と呼ぶ。あるいはひとつの周波数を広い帯域のチャネルとして用い、このチャネルを時分割多元接続(TDMA)する方式も存在する。TDMA方式はディジタル方式の移動電話で実際に用いられている。また、拡散スペクトル方式の符号多重多元接続(CDMA)を用いてひとつの周波数を分割する方式も知られている。
【0006】
図26(a)に上記のFDM方式における周波数分割の様子を示す。通話用の多数のチャネル302とひとつのアクセス制御用のチャネル301とに分割されている。アクセス制御用のチャネルにおいては、ランダムアクセス方式のアロハ方式のプロトコルが採用されている。このアロハ方式のプロトコルでは、例えば、図22において移動局221が基地局211に最初にアクセスする場合、アクセス制御用のチャネル301に向けてランダムにパケット311を送信する(図26(b)参照)。図26(b)はアクセス制御用のチャネル301におけるタイミングチャートを示す。基地局211は移動局221からのパケットを受信すると移動局221に向けて、パケットを受領したことを示すパケット(アクノレッジメントパケット)312を送り返す。アロハ方式ではランダムにパケットを送信するので、別々の移動局(図22ではひとつのセルにはひとつの移動局しか描かれていないが、実際にはひとつのセルには多数の移動局が存在する)から送信されたパケット同士が衝突する場合が存在する。例えば図26(c)に示すようにパケット311にパケット313が衝突する。このような場合はアクノレッジメントパケット312が移動局に届かないので、移動局221はある時間(待機時間)アクノレッジメントパケットの到着が無い場合、衝突が生じたものと見なして再度パケット311rを送信する(図26(c)参照)。
移動局221から基地局211へのアクセスが成功した場合、基地局211から移動局221へアロハ方式に基づいて、通話チャネルの割当てを通知するパケットを送信する。
【0007】
図22に示すような、基地局も移動局も双方とも無指向性アンテナを備えているようなセルラ通信網はオムニゾーン方式とよばれている。オムニゾーン方式のセルラ通信網の基本繰り返しセル数は3種類以上あれば良く、代表的なセル構造として図27に基本繰り返しセル数N=4の場合を示す。また、前述のアナログセルラ電話のNTT方式で採用されている基本繰り返しセル数N=12の場合を図28にそれぞれ示す。
【0008】
基本繰り返し数Nが決まると同一チャネルを使用するセル間の距離D(図28参照)は、ひとつのセルの半径をRrとすると次式で表されることが知られている。
【0009】
【数1】
Figure 0003684754
セル間の境界付近の移動局は希望局(基地局)との距離がRrであり、干渉局(希望局と同一周波数を用いる最も近距離にある別の基地局)との距離が
【数2】
Figure 0003684754
となる。また地上無線通信では電波の伝搬損失は距離の3.44乗に比例することが知られていることから、干渉保護比D/U(希望局:Desireと干渉局Undesireのレベル比)は次式で与えられることが知られている。
【0010】
【数3】
Figure 0003684754
例えば、基本繰り返しセル数N=4の場合はD/U=13.5dB、 N=7の場合はD/U = 19.1dB、 N=12の場合はD/U =24.0dBという値を取る。
【0011】
一方、基地局に指向性アンテナを備え、移動局に無指向性アンテナを備えた方式があり、これはセクタゾーン方式と呼ばれている。セクタゾーン方式は米国モトローラ社の開発したTACS(Totoal Access Communicatin System)方式やディジタル方式のセルラ電話網に採用されている。なお、指向性アンテナを用いた通信方法一般のことを方向性ダイバシティ方式と呼ぶ。
【0012】
図29には4セル6ゾーン方式と呼ばれるセル配置構造を示す。これはTACS方式に採用されているセル方式である。これは6個のゾーンに分割したセル4個の基本繰り返しによって形成されたセルである。セルの中央にはひとつの基地局があり、基地局には6個の指向性アンテナが60゜ずつの角度をもって各方向を向いた構成になっている。4セル6ゾーン方式の場合の希望局と干渉局のレベル比が最も大きくなるのは図30に示すような場合である。希望局231からの信号と干渉局232からの信号が移動局221において干渉する場合である。計算の詳細は省略するが、この場合、希望局231と移動局221の距離r1と干渉局232と移動局221の距離r2の比は次式で与えられる。
【0013】
【数4】
Figure 0003684754
したがって、前述のように地上無線通信では電波の伝搬損失は距離の3.44乗に比例することから、最悪ケースのD/Uは19.2dBとなる。
【0014】
図31にはディジタルセルラ電話に用いられる4セル3ゾーン方式と呼ばれるセル構造を示す。この場合の最悪ケースでは、希望局231と移動局221の距離r1と干渉局232と移動局221の距離r2の比は次式で与えられる。
【0015】
【数5】
Figure 0003684754
したがって、これもまた前述の地上無線通信における電波の伝搬損失が距離の3.44乗に比例することから、最悪ケースのD/Uは14.5dBとなる。ディジタルセルラ電話では、誤り訂正符号や再送方式に工夫を加えたため、10dB程度のD/Uがあれば十分な品質の伝送が可能となっている。このため、アナログ方式のセルラ網に比べて、干渉保護比の小さいセル構造が採用されている。
【0016】
セル構造の性能評価尺度としては、上記の干渉保護比のほかに周波数再利用効率というファクターがある。これは、単位面積あたりの周波数帯域幅ηで評価すると良い。例えば、ひとつのセルの面積S0が1km2であり、全体で10MHzの周波数帯域幅Bwをオムニゾーン方式の7つのセル(N=7)に分割した場合を考えてみると、ひとつのセルには10MHz/7=1.4MHzの周波数帯域幅が割り当てられる。ひとつのセルの面積S0が1km2なのであるから、単位面積あたりの周波数帯域幅ηは1.4MHz/km2となる。もしもセルの面積を半分の500m2とした場合、この評価尺度は2.8MHz/km2となる。
【0017】
また、ひとつのセルの面積が1km2であり、全体で10MHzの周波数帯域幅という条件は同じまま、4セル3ゾーン方式(セルの数N=7、ゾーンの数Z=3)を採用したとする。全体で12種類の周波数に割り当てることから、ひとつのゾーンあたりの周波数帯域幅は10MHz/12=0.8MHzであるが、ひとつのゾーンの面積は1km2/3=0.33km2となる。この結果、前述の単位面積あたりの周波数帯域幅ηは0.8MHz/0.33km2=2.4MHz/km2となる。すなわち、基本繰り返しセル数N=7のオムニゾーン方式に比べて、4セル3ゾーン方式は約1.7倍の周波数再利用効率を持っていることになる。以上を数式化すると次式のようになる。
オムニゾーン方式の場合:
【0018】
【数6】
Figure 0003684754
セクタゾーン方式の場合:
【0019】
【数7】
Figure 0003684754
各方式における干渉保護比D/Uと単位面積あたりの周波数帯域幅ηを表にまとめると以下のようになる。ただし、セル面積1km2、全体の周波数帯域幅10MHzとして計算してある。
【0020】
【表1】
Figure 0003684754
【0021】
【表2】
Figure 0003684754
前述のように、実際のセルラ通信網では、基地局から移動局への伝送に使われる周波数と移動局から基地局への伝送に使われる周波数は別の周波数が用いられている。このことは、周波数再利用効率には影響を与えない。なぜなら、基地局に対する上り(Uplink)と下り(Downlink)の信号に別周波数を用いることによって、上りと下りの伝送を同時に行うことができるからである。電話のように上りと下りにおいてほぼ対象なトラフィックが発生するような信号伝送においては、上りと下りに別周波数を用いても総合的な周波数利用効率には影響が出ないのである。ただし、この構成は、上りと下りのトラフィックが非対称となるような系においては問題が出る。
【0022】
セクタゾーン方式では基地局側は指向性を有するアンテナを用いているが、移動局側は指向性を有しない全方位アンテナを用いている。もしも、移動局側に指向性を有するアンテナを用いることができれば、周波数再利用効率をさらに向上させることが期待される。例えば図32に示すように基地局231、232、移動局241、241がいずれも指向性アンテナを備えていれば、隣接セルで同一周波数を用いたとしても干渉することなく交信が行えるはずである。
【0023】
この観点から、基地局、移動局双方に指向性アンテナ、特にフェーズドアレーアンテナのような指向性を電気的に制御できるようなアンテナを用いたシステムが提案されている(特開平5−276084号公報)。また、基地局側にフェーズドアレーアンテナを採用し、移動局側には全方位アンテナを採用した通信システムも提案されている(特開平7−170227号公報)。アンテナ技術の観点からも、移動局に搭載可能なフェーズドアレーアンテナについても提案がある(特開平3−234128号公報)。基地局側の方向性ダイバシティ制御方法についての提案も行われている(特開平7−87011号公報)。また、電波ではなく光を用いたセルラ通信システムも提案されている(特開平3−91329号公報)。移動体通信網ではなく、放送網について隣接セル間で同一の周波数を用いる場合についての提案も行われている(特開平6−237195号公報)。
【0024】
さて、移動局側に指向性を有するアンテナを用いたシステムについての先行技術文献、例えば上記特開平5−276084号公報には、「基地局が例えば遠く離れた(角距離の大きい)2つの移動局と同一の周波数で通信することができ、しかもTDMAが使用されるならば同一チャネル上で通信でき、2つの通話は互いに干渉しない」旨の記載がある。しかしながら、このような移動局側に指向性を有するアンテナを用いたシステムにあっては、次に述べるような問題点が存在していた。
1)基地局の背後に回った移動局からの妨害波の発生。
2)基地局と移動局の最初のコネクション設定時の妨害波の発生。
3)角度距離の小さい移動局の分離の困難性。特に移動によって移動局間の角距離が小さくなった場合の分離の困難性。
【0025】
まず上記第1の問題点について説明する。図33に示すような、基地局231の背後に移動局(干渉局)242が存在し、基地局231、移動局241(希望局)、および移動局(干渉局)242がほぼ一直線上に存在する場合を考える。この場合、同一通信チャネル(同一周波数)で通信を行う場合、移動局(干渉局)242からの周波数F1の電波は基地局231からの周波数F1の電波とが混信して移動局241(希望局)に受信されてしまうことになる。移動局(干渉局)242が基地局231のすぐ背後に位置し、かつ、基地局と移動局の送信電力が等しい場合は、希望局からの電波と干渉局からの電波の強度はほぼ等しくなり、前述のD/U比は概略0dBとなってしまう。
【0026】
実際には、基地局の送信電力の方が移動局の送信電力の10倍程度になるように設計する場合が多く、この点を考慮すると、図33の場合は最悪でもD/U比が10dB程度取れる勘定にはなる。しかし、基地局の送信電力が移動局の送信電力より大きい場合は図34に示すような配置での基地局と移動局の間の干渉が生じる問題が生じる。図34では、基地局231に移動局241が、基地局232に移動局242がそれぞれリンクしている。移動局241と移動局242は基地局231と基地局232を結ぶ直線上にあり、しかも、移動局241は基地局231と基地局232の中間点より僅かに基地局231側に、移動局242は基地局231と基地局232の中間点より僅かに基地局232側にあるものとする。すると、基地局232から送信された周波数F1の電波は移動局241から基地局231に向けて送信される周波数F1の電波同方向となってしまう。基地局231に対して移動局241は基地局242より半分の距離にはあるものの、基地局242の送信電力は、例えば移動局231の10倍の出力があることになる。このため、前述の距離の3.44乗に比例して減衰するという地上通信の性質を考慮すると、D/U比は概略0dBとなってしまう。
【0027】
したがって、先行技術によれば、基地局の送信電力を移動局と同程度にすれば、図33のような配置でD/U比が概略0dBとなってしまう場合があり、基地局の送信電力を移動局の10倍程度に設定すると今度は図34のような配置でD/U比が概略0dBとなってしまう場合が生じることとなる。
【0028】
次に上記第2の問題点について説明する。基地局、移動局双方が指向性アンテナを有しているのであるから、基地局と移動局の最初のコネクション設定時には、例えば、移動局ないし基地局のどちらか一方が無指向性アンテナを用いるなどして、基地局を探す必要がある。この点について、例えば上記特開平5−276084号公報にあっては、「接続を確立するには、少なくとも一方の側からの全方向性放射が必要である」旨の記載がある。ここで、図35に示すように、基地局231、移動局(干渉局)242、および移動局241(希望局)がほぼ一直線上に存在する場合を考える。移動局(干渉局)242が最初のコネクション設定のために全方位アンテナを用いたとしたら、基地局231と移動局241(希望局)の交信に妨害を与えることになってしまう。
【0029】
上記特開平5−276084号公報には記載されていないことであるが、上記特開平5−276084号公報の構成に加えて専用のアクセス制御チャネルを、周波数分割多元接続(FDMA)ないしスペクトル拡散方式による符号分割多元接続(CDMA)によって、設けることは考えられないことではない。専用のアクセス制御チャネルを設ければ、上記の移動局(干渉局)242が既に通話状態に入っている基地局231と移動局241(希望局)の交信に妨害を与えることを防ぐことは不可能ではない。しかし、アクセス制御チャネルをTDMAでアクセス制御チャネル(スロット)を設けることはできない。時分割多元接続の場合は図35に示すような干渉を生じてしまうからである。
【0030】
上記特開平5−276084号公報には、最初のコネクション確立に必要な通信制御手順に関する記載はほとんど見られず、指向性アンテナを用いた移動局追尾の制御手順は考慮されていない。敢えて仮定を加えて、専用のアクセス制御チャネルを、例えば、FDMAないしCDMAによって専用のアクセス制御チャネルを設けたとして、さらに移動局241が最初のコネクション確立のために全方位アンテナを用いたとすると、以下に示ように、最初のコネクション確立のためのプロトコルは複雑を極めることになる。
【0031】
移動局241が最初のコネクション確立のために全方位アンテナを用いたと想定した場合に考えられる制御手順の一例を図36に示す。まず移動局241が全方位アンテナでアクセス制御チャネル(周波数fac)を通して周辺360度全方向に基地局を捜すための信号を送信する(図36(a))。基地局231は指向性アンテナをスキャンして移動局241の方位を検知する(図36(b))。移動局241は基地局231からの電波の方向を探知した上でアクセス制御チャネル(周波数fac)で指向性電波を出して基地局231とのコネクションを確立する(図36(c))。次いで、移動局241と基地局231とは通話チャネル(周波数fcom)で交信を開始する。電波の方向探知はフェ−ズドアレーアンテナを用いるとしても時間のかかる処理であり、また、上記のプロトコルは手順が多く、最初のコネクションの確立に時間がかかることは避けがたい。
【0032】
さらに図37(a)に示すように基地局231の周辺の複数の移動局241ないし245から同時にコネクション開設要求があった場合の処理や、図37(b)に示すような、ふたつの移動局移動局241と242が基地局231からみて角度分解が困難な場合、また反対に図37(c)に示すように移動局241に対して移動局241周辺の複数の基地局231ないし233から応答があった場合の処理などを考慮すると、さらに、コネクション確立のためのプロトコルは難しいものとなってしまう。
【0033】
最後に上記第3の問題点について説明する。図38に示すように、基地局231が固定方向の指向性アンテナを有している場合を考える。このような場合、ふたつのセクタ251と252の丁度境界上に移動局241があったとしたら、移動局241はセクタ251と252のどちらに属するのか分離することが困難である。たとえ、基地局231が可変指向性アンテナを有していたとしても、指向性アンテナの角度分解能以下の範囲に複数の移動局が存在していれば、やはり、それらの移動局の分離は困難である。しかも、初期には基地局の可変指向性アンテナの角度分解能以上の角度距離離れていた移動局が、移動によって、互いに接近したような場合には通信が途中で途絶(混信)するという問題が生じ得る。例えば、図39に示すように、移動局242(干渉局)が242aの位置から、別の移動局(希望局)241近傍の242bの位置へ移動したとする。基地局231は、移動局242(干渉局)を追尾して指向性アンテナの指向パターン262aを指向パターン262bへと動かす。その結果、移動局(希望局)241を追尾しているアンテナの指向性パターン261と、移動局242(干渉局)を追尾しているアンテナの指向性パターン262bとが分離できなくなってしまう場合が生じ得る。
【0034】
上記特開平5−276084号公報には明確には開示されていないものの、この先行技術にあっても、同一基地局のサービスエリア(前述のセルに対応する)内では周波数分割多元接続などが行われていると考えるのが妥当であろう。このように仮定すると、特開平5−276084号公報に開示されている技術においては、同一周波数を用いる周波数チャネルが、同一基地局のサービスエリア内で電波の指向性を用いて再利用されていると考えられる。すなわち、初期に周波数チャネルを割り当てる際に、電波の指向性では分離できないような角度距離しかない移動局同士には別の周波数チャネルを割り当て、十分な角度距離離れた移動局同士には同一周波数を割り当てる、というような制御を想定しているのではないかと思われる。ところが、最初の周波数チャネル割り当て時には十分な角度距離離れていた移動局同士も移動によって接近してしまったり、反対に、初期には角度距離的には近接していた移動局同士が移動によって離れるに至ることも考えられる。したがって、特開平5−276084号公報に開示されている技術を用いた場合、移動局同士の角度距離の変化に対して周波数チャネルの再割り当てを行うような制御手順が必須となると考えられる。
【0035】
さらに、基地局が可変指向性アンテナを用いて一つ々々の移動局を追尾するとなれば、基地局が収容する移動局数だけ可変指向性アンテナが必要となる。もしも、ひとつのサービスエリア(セル)を数百の周波数チャネルに分け、さらに電波の指向性を利用して同一周波数チャネルを数局に移動局で共有するとなれば1000以上もの可変指向性アンテナが必要となる。
【0036】
【発明の解決しようとする課題】
本発明は上述のごとく、移動局に指向性アンテナを持たせたセルラ通信網において生じる以下のような課題を解決することを目的としている。
1)基地局の背後に回った移動局からの妨害波の発生。
2)基地局と移動局の最初のコネクション設定時の妨害波の発生。
3)角度距離の小さい移動局の分離の困難性。特に移動によって移動局間の角距離が小さくなった場合の分離の困難性。
4)基地局に多数の可変指向性アンテナが必要になる。
【0037】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上述の目的を達成するために、セルラ通信網に、固定型指向性アンテナを備えた基地局をひとつ有するセルと、可変型指向性アンテナを備えた少なくともひとつの移動局と、前記セルを、基地局を中心として扇形に偶数個に分割して得られた複数のゾーンと、前記セルを平行移動によって繰り返したセル配置構造とを設けるようにしている。
【0038】
この構成においては、移動局の指向性アンテナによって、セル間の干渉を防ぐことができる。
【0039】
また、本発明によれば、上述の目的を達成するために、セルラ通信網に、固定型指向性アンテナを備えた基地局をひとつ有する第1のセルと、固定型指向性アンテナを備えた基地局をひとつ有し、第1のセルを鏡像反転した構造を有し、かつ第1のセルに隣接した第2のセルと、可変型指向性アンテナを備えた少なくともひとつの移動局と、前記セルを、基地局を中心として扇形状に偶数個に分割して得られた複数のゾーンと、第1のセルと第2のセルとが隣接した構成を基本単位として、この構成単位を平行移動によって繰り返したセル配置構造とを設けるようにしている。
【0040】
この構成においても、移動局の指向性アンテナによって、セル間の干渉を防ぐことができる。
【0041】
また、本発明によれば、上述の目的を達成するために、セルラ通信網に、全方向性アンテナを備えた基地局をひとつ有するセルと、指向性アンテナを備えた少なくともひとつの移動局と、前記セルを平行移動によって繰り返したセル構造とを設けるようにしている。
【0042】
この構成においても、移動局の指向性アンテナによって、セル間の干渉を防ぐことができる。
【0043】
また、本発明によれば、上述の目的を達成するために、セルラ通信網に、セル毎に設けられ、上記セルに対応する第1の伝送路によって送信を行う基地局と、任意のセルにおいて、上記任意のセルに設けられた基地局の上記第1の伝送路と異なる第2の伝送路によって、上記任意のセルに設けられた基地局への送信を行う指向性アンテナを備えた移動局とを設けるようにしている。
【0044】
この構成においても、移動局の指向性アンテナによって、セル間の干渉を防ぐことができる。
【0045】
また、この構成において、上記基地局は各々複数の固定型指向性アンテナを備えるようにし、上記セルの各々は、当該セル内の基地局を中心として配置される扇形の偶数セクタゾーンからなるようにし、上記セクタゾーンに時計まわりに番号をつけた場合の奇数番目の上記セクタゾーンにおいては上記基地局が上記第1の伝送路の所定の部分伝送路によって上記移動局への送信を行い、偶数番目のセクタゾーンにおいては上記基地局が上記第1の伝送路の他の部分伝送路によって上記移動局への送信を行うようにし、かつ上記奇数番目のセクタゾーンにおいては上記移動局が上記第2の伝送路の所定の部分伝送路によって上記基地局への送信を行い、偶数番目のセクタゾーンにおいては上記移動局が上記第2の伝送路の他の部分伝送路によって上記基地局への送信を行うようにしてもよい。
【0046】
また、この構成において、上記基地局は全方位アンテナを備えるようにしてもよい。
【0047】
また、この構成において、上記伝送路を周波数分割により多重化するようにしてもよく、スペクトラム拡散方式通信における符号分割により多重化さするようにしてもよく、時分割により多重化してもよく、偏波面分割により多重化してもよい。
【0048】
また、この構成において、15ないし3000GHzの搬送周波数を用いてもよく、30ないし60GHzの搬送周波数を用いてもよい。
【0049】
また、この構成において、上記セクタゾーンの個数を6とすることができ、また4とすることもできる。
【0050】
また、上記セルの各々の構造を隣接するセルと鏡像反転した構成とすることができる。
【0051】
また、前記第1の伝送路を多重化する多重化手段を備え、この多重化された伝送路の一部を通して基地局の識別が可能なビーコン信号を送信するようにしてもよい。
【0052】
このようにすると、基地局が近くに存在する移動局に対して自局の存在を上記ビーコン信号を介して知らしめることが可能となる。移動局は上記ビーコン信号の方向を探知した後定められたプロトコルしたがって基地局に対して最初のコネクションの確立を行うことができる。したがって移動局は全方向性放射を行う必要がなく、他の局への干渉を防ぐことができる。また、移動局が全方向性放射を行って、基地局が移動局の方向探知を行う場合に比べて制御が容易になる。
【0053】
この場合、前記多重化手段が周波数分割多元接続によるものであってよい。
また、前記多重化手段がスペトラム拡散方式による符号分割多元接続によるものであってもよい。
【0054】
また、前記多重化手段が時分割多元接続によるものであってもよい。
また、多重化された伝送路の一部をアクセス制御チャネルとして用い、このアクセス制御チャネルをスロットアロハ方式のプロトコルで運用し、スロット制御信号を前記基地局から送信することによって、前記ビーコン信号の機能をスロット制御信号に担わせるようにしてもよい。
【0055】
また、本発明によれば、上述の目的を達成するために、セルラ通信網に、セル毎に設けられ指向性アンテナを備えたを備えた基地局と、指向性アンテナを備えた少なくともひとつの移動局とを設け、上記セルを、基地局を中心として配置される扇形の偶数個のクタゾーンから構成し、上記セクタゾーンを時計まわりに番号をつけた場合の奇数番目のセクタゾーンにおいては上記基地局が第1の伝送路によって上記移動局への送信を行い、偶数番目のセクタゾーンにおいては第2の伝送路によって上記移動局への送信を行うようにし、上記奇数番目のセクタゾーン内においては上記移動局が上記第1の伝送路によって上記基地局への送信を行い、偶数番目のセクタゾーンにおいては上記基地局が上記第2の伝送路によって上記基地局への送信を行うようにしている。
【0056】
この構成においても、移動局の指向性アンテナによって、セル間の干渉を防ぐことができる。
【0057】
また、この構成においては、上記基地局の送信電力が上記移動局の送信電力より大になるように設定するようにできる。また、同一の上記セクタゾーン内ではトークンパッシング方式によって、上記基地局から上記移動局への伝送量と上記移動局から上記基地局への伝送量の割合を可変制御するようにできる。
【0058】
また、前記第1の伝送路を多重化する多重化手段を備え、この多重化された伝送路の一部を通して基地局の識別が可能なビーコン信号を送信するようにしてもよい。
【0059】
この場合、前記多重化手段が周波数分割多元接続によるものであってよい。
また、前記多重化手段がスペトラム拡散方式による符号分割多元接続によるものであってもよい。
【0060】
また、前記多重化手段が時分割多元接続によるものであってもよい。
また、多重化された伝送路の一部をアクセス制御チャネルとして用い、このアクセス制御チャネルをスロットアロハ方式のプロトコルで運用し、スロット制御信号を前記基地局から送信することによって、前記ビーコン信号の機能をスロット制御信号に担わせるようにしてもよい。
【0061】
【発明の実施の態様】
以下、本発明の実施例について説明する。
[第1実施例]
まず本発明の第1実施例について説明する。図1は本発明の第1実施例のセルラ通信網のセルの基本構造を示す平面図である。図1において、セル1内にはひとつの基地局31が備えられている。基地局31は6方向の指向性アンテナを備えている。セル1は6個のセクタゾーン11、12、13、14、15、及び16に分けられている。また、セル1内には移動局21、22が含まれており、移動局21、22には指向性アンテナが備えられている。セクタゾーン11内では、基地局11から移動局21への伝送は周波数F1で行われ、移動局21から基地局11への伝送は周波数F2で行われる。同様に、セクタゾーン13および15内では、基地局11から移動局(図示しない)への伝送は周波数F1で行われ、移動局から基地局11への伝送は周波数F2で行われる。一方、セクタゾーン11に隣接するセクタゾーン12内では、基地局11から移動局22への伝送は周波数F3で行われ、移動局22から基地局11への伝送は周波数F4で行われる。同様に、セクタゾーン14および16内では、基地局11から移動局(図示しない)への伝送は周波数F3で行われ、移動局から基地局への伝送は周波数F4で行われる。図1にはひとつセクタゾーンにはひとつの移動局しか書かれていないが、実際は複数(一例を挙げれば数百)の移動局が存在する。
【0062】
図2は本発明の第1実施例のセルラ通信網のセル配置構造を示す平面図である。基本繰り返しセル数N=1のセルラ網になっている。図2に示したセル配置構造は移動局が指向性アンテナを有することによって可能となったことに注意すべきである。例えば、図2中に示される移動局23に、もしも指向性アンテナが備えられていなかったとする。この場合、移動局23は6つのセクタゾーンの境界に位置しており、しかも、6つのセクタゾーンは3つずつ同じ周波数対を用いている。したがって、移動局23は同じ周波数対を採用しているセクタゾーンを区別することができない。しかし、これら同一の周波数を採用しているセクタゾーンの基地局は全て移動局23から見て別方向に存在するので、移動局23に指向性アンテナを採用すればこれらのセクタゾーンを区別することができる。
【0063】
本実施例において、基地局から移動局への送信周波数と移動局から基地局への送信周波数を変えたのは、セクタゾーンの境界上に位置する移動局同士の干渉を防ぐためである。図2で、移動局23および24がセクタゾーンの境界上に位置し、かつ、基地局31を挟んでほぼ直線上にある場合にあったとする。しかも、移動局24は移動局23から見て、基地局31のすぐ背後にあったとする。セクタゾーンの境界上では移動局は周波数F2で送信する場合と周波数F4で送信する場合の双方があるので、移動局23および24がたまた同じ周波数(例えばF2)で送信してしまう確率が存在する。この時、送受信を同一周波数チャネルの下で時分割によって行ったとすると、移動局24は基地局31と移動局24からの同じ周波数の電波を受信することになる。しかも移動局24は基地局31のすぐ背後に存在するので移動局24の基地局31への干渉は極めて大きなものとなってしまう。これは、図33を用いて説明した先行技術における問題点と類似した現象である。しかし本実施例にあっては、移動局から基地局への「上り」の周波数と基地局から移動局への「下り」の周波数とが異なるので、このような場合においても移動局23と24の間で干渉が生じることがない。
【0064】
また、本実施例では、基地局31ないし37は特定の周波数チャネルあるいはTDMAスロットなどを用いてビーコン(パイロット)信号を各セクタゾーン中に常時送信する。移動局はこのビーコン信号を受信して基地局の方向を検出することができる。さらにこのビーコン信号には基地局を特定するアドレスなども含まれており、移動局は接続可能な基地局を識別することができる。
【0065】
図19(a)は特定の周波数チャネルを用いてビーコン信号を常時送信している場合を示す。図20はアクセス制御を行う基地局31と移動局21との配置を示す。F1bは周波数F1に対応するビーコン信号の周波数を示し、F1acはF1に対応するアクセスチャネルを示し、F1comはF1に対応する通信チャネルを示す。F1bは常時送信されているので、移動局21はF1bの周波数で電波発信源の方向を検出することによって基地局の位置を知ることができる。また、ビーコン信号には基地局31のアドレスを識別する信号がふくまれているので、論理的なリンク情報も得ることができる。
【0066】
図19(b)はアクセスチャネル(周波数F1ac)上のトラフィックを示すタイムチャートである。アクセスチャネル上ではアロハ方式のプロトコルが採用されているので、パケット311あるいは312はランダムに移動局21と基地局31の双方から発信されている。パケット311あるいは312を介したネゴシエーションによって、移動局21は基地局31から通信チャネル(周波数F1com)のアクセス権を得る。通信チャネル(周波数F1com)内は再び周波数分割多重、時分割多重、あるいは符号分割多重により多重化されており、その多重化されたチャネルの一部を移動局21は基地局31から割当てられる。
【0067】
ビーコン信号F1bを用いることによって、従来技術においても問題点であった、基地局と移動局のコネクションの開設の困難さが大きく低減される。
【0068】
なお、上記のビーコン信号、アクセスチャネル、通信チャネルの多重化は周波数分割多元接続に変えて符号分割多元接続であっても良い。
【0069】
図20(a)はスロットアロハ方式のアクセスチャネルを用いて、ビーコン信号の送信を行う実施形態である。図19(a)の場合と異なって専用のビーコン信号は設けられていない。この実施形態ではビーコン信号としてアクセスチャネルの同期信号を用いる。図20(b)はアクセスチャネル(周波数F1ac)上のトラフィックを示すタイムチャートである。同期信号322はタイムスロット323の初めを示す信号であり、基地局31から一定間隔で送信される。移動局21はまず同期信号322を検出して、基地局の方位や基地局31のアドレスを識別する。次いで、タイムスロットに同期した形でランダムに基地局31へのアクセス要求パケット321を送信する。基地局も移動局に対するアクセス制御情報をタイムスロットに同期したパケットとして移動局21に通知する。
図21に上記の制御手順の様子の概要を示す。基地局31はビーコン信号(F1b)を常時送信し、移動局21は可変指向性アンテナで基地局31の方位を探知する。次いで基地局31と移動局21とでアクセスチャネル(F1ac)上でアクセス制御を行うのである。
【0070】
この実施形態においても、通信チャネル(周波数F1com)内は再び周波数分割多重、時分割多重、あるいは符号分割多重により多重化されており、その多重化されたチャネルの一部を移動局21は基地局31から割当てられる。その割当てに関する情報が、アクセスチャネルを介して行われるのである。
【0071】
本実施例では基地局に固定の指向性アンテナを採用して固定されたセクタゾーンを形成している。したがって、移動局は基地局から送信される上記パイロット信号を受信することによって、接続可能な基地局を検出することができる。すなわち、従来技術にあったような全方位への電波放出をすることなく接続可能な基地局を検出することができる。
【0072】
本実施例では固定セクタゾーンを採用しているから、従来のセルラ通信網において開発されたセクタゾーンの切り替え技術を用いることが可能である。したがって、特開平5−276084号公報に開示されている技術では必要となると考えられる、移動局同士の角度距離の変化に対して周波数チャネルの再割り当てを行うような制御手順は不要である。また収容局数だけ可変指向性アンテナが必要となることもない。
【0073】
図3に図2のセル構造におけるセル間干渉の最悪ケースを示す。移動局21が図3に示すような位置にある場合、基地局(希望局)31からの電波と基地局(干渉局)32からの電波は共に同方向かつ同一周波数で移動局21に受信される。この場合、基地局(希望局)31と移動局21の距離r1と基地局(干渉局)32と移動局21の距離r2の比はr2/r1=3となる。前述の地上無線通信における電波の伝搬損失が距離の3.44乗に比例するという関係から、最悪ケースの干渉保護比D/Uは16.4dBとなる。
【0074】
また、単位面積当たりの周波数帯域幅は、セル面積1Km2、全体の周波数帯域幅10MHzとした場合に30MHz/Km2となる。なぜなら、単位ゾーンの面積は1Km2/6であり、かつゾーン当たりの周波数帯域幅は10MH/2となるからである。
【0075】
図4は移動局21の概略構成を示す図である。移動局21は図4(a)に示すような、複数のアンテナ41ないし46を有して、必要に応じてアンテナを切り換える構造をしている。あるいは図4(b)に示すような、フェーズドアレーアンテナを備えた構造を有していても良い。
【0076】
携帯電話のような人が持ち運ぶ機器に本発明を適用することを考えると、アンテナのサイズの関係から本実施例は準ミリ波帯(15−30GHz)、ミリ波帯(30GHz−300GHz)ないしはサブミリ波帯(300GHz−3000GHz)の搬送周波数の電波を用いることが望ましい。30GHzでは電波の波長は1cmであるから、人が携帯可能なアンテナの大きさ(数センチメートル)を考慮すると、上記周波数範囲が望ましいことになる。アンテナ切り替え方式にしても、フェーズドアレーアンテナにしても使用波長の数倍の大きさのアンテナが必要である。
【0077】
また、使用する電波の波長が短いとアンテナのサイズは小さくなるが、電波伝搬が地上の様々な障害物や降雨の影響などを受け易くなる。この点を考慮すると、人が携帯する通信機器に本発明を適用するには、人が携帯可能なアンテナサイズの上限になるべく近い範囲の周波数帯、具体的には30−60GHzの範囲の周波数の電波を用いることが特に望ましい考えられる。
【0078】
もちろん、車載システムのような、アンテナの寸法の制限が緩いシステムの場合は、より低い周波数を用いることもできる。あるいは無線 LANのようなシステムでは、18GHz前後のサブミリ波帯で本発明を実施することもできる。無線LANの使われ方は、移動体通信というよりはケーブルレスの側面が強いので、携行性にこだわる必要があまりないからである。無線LANに本発明を適用すると、周波数再利用効率が高く取れるので、システム全体のスループットを向上させることができる。
【0079】
[第2実施例]
つぎに本発明の第2実施例について説明する。図5は本発明の第2実施例のセルラ通信網のセルの基本構造を示す平面図である。図5において、セル71内にはひとつの基地局61が備えられている。基地局61は全方向性アンテナを備えている。また、セル71内には移動局21が含まれており、移動局21には指向性アンテナが備えられている。基地局61から移動局21への伝送は周波数F1で行われ、移動局21から基地局11への伝送は周波数F2で行われる。図1にはひとつの移動局21しか書かれていないが、実際は複数の移動局が存在する。本実施例と第1実施例の相違は基地局が全方向性アンテナを備えていることである。
【0080】
本実施例において、基地局から移動局への送信周波数と移動局から基地局への送信周波数を変えた理由は、基地局同士の干渉を防ぐためである。基地局は全方位アンテナを備えているので、もしも、基地局の送信周波数と受信周波数(移動局の送信周波数)が同一であったとすると、隣接する基地局の送信周波数と移動局からの送信周波数が同一となってしまう。このような干渉を防ぐために、基地局から移動局への送信周波数と移動局から基地局への送信周波数を変えたのである。
【0081】
図6は本発明の第2実施例のセルラ通信網のセル配置構造を示す平面図である。図5に示したセルと同一の構造を有するセル7つからセルの基本繰り返し構造が形成されている。セル71、72、73、74、75、76、及び77には全方向性アンテナを備えた基地局61、62、63、64、65、66、及び67がそれぞれ備えられている。各セル内には例えば指向性アンテナを備えた移動局21、22、23、24、25、26、及び27がそれぞれ移動中である。本実施例は基地局が全方向性アンテナを備えている点はオムニゾーン方式に類似しているが、各セルにおいて、同じ周波数が用いられている点がオムニゾーン方式と大きく異なる。また、図6では各セルにはそれぞれひとつずつの移動局しか描かれていないが、実際には前述のごとく、各セルには多数の同様の構成を備えた移動局が含まれている。本実施例のセル構造を図7に示す。基本繰り返しセル数N=1のセルラ網になっている。
【0082】
図6のようなセル構造における干渉保護比は、図7に示されるような場合を考えることによって見積もることができる。基地局62から移動局22への電波信号に対して、基地局61からの電波信号が干渉してくることになる。この場合、希望局(基地局62)と移動局22の距離r1と、干渉局(基地局61)と移動局22の距離r2との比はr2/r1=3となるので、前述の地上無線通信では電波の伝搬損失は距離の3.44乗に比例するという関係から、干渉保護比D/U=3.44log(r2/r1)=16.4dBと求められる。また、単位面積当たりの周波数帯域幅は、セル面積1Km2、全体の周波数帯域幅10MHzとした場合に10MHz/Km2となる。
【0083】
本実施例は、第1実施例に比べて周波数利用効率は劣るものの、基地局の構成が簡単で、ハンドオーバーの制御方法も簡単になるという利点がある。しかも、周波数利用効率は第1実施例に比べれば劣るとはいっても、従来のオムニゾーン方式やセクタゾーン方式に比べれば、はるかに高い値を示している。
【0084】
[第3実施例]
つぎに本発明の第3実施例について説明する。図8に本発明の第3実施例のセルラ通信網のセル配置構造を示す。図8において、各セルの構造は図1に示した第1実施例の場合と同じセル構造を有している。第1実施例とこの第3実施例の違いは、ひとつおきにセルが鏡像反転した構造を取っていることである。すなわち、図10においてセル101aとセル101bとは互いに鏡像関係にある。このふたつのセル101aとセル101bを基本構成として繰り返した構造が図8に示した本発明の第3実施例の特徴となっている。
【0085】
このセル配置構造においては、第1実施例の際に最悪ケースとなった移動局と基地局の位置関係の干渉関係が大きく改善されている。図9を参照すると、第2実施例において最悪ケースの干渉局となった位置にある基地局112bの送信する電波は希望局 (基地局111a)と同一方向であるものの希望局(基地局111a)とは異なる周波数(基地局111aはF2であるのに対し基地局111bはF1)であるので干渉しない。なお、図9では基地局の送信周波数のみを示し、移動局の送信周波数は省略している。これは、今考えている干渉は、ふたつの基地局の送信信号が、ひとつの移動局にどのように受信されるかを考えているので、移動局の送信周波数は考慮する必要がないために省略したのである。
【0086】
移動局122から見た希望局(基地局111a)に対する干渉局は、図9の配置では基地局112aである。この場合、希望局(基地局111a)と移動局122の距離r1と、干渉局(基地局112a)と移動局122の距離r2との比はr2/r1=5となるので、前述の地上無線通信では電波の伝搬損失は距離の3.44乗に比例するという関係から、干渉保護比D/U=3.44log(r2/r1)=24.4dBと求められる。
【0087】
ただし、図8のセル配置構造では別の基地局、移動局配置関係において、もっと大きな干渉が起こる場合がある。すなわち、図10に示したような配置関係である。この場合、移動局122から見た希望局(基地局111a)に対する干渉局は基地局113aとなる。この場合、希望局(基地局111a)と移動局122の距離r1と、干渉局(基地局113a)と移動局122の距離r2との比はr2/r1=3となるので、前述の地上無線通信では電波の伝搬損失は距離の3.44乗に比例するという関係から、干渉保護比D/U=3.44log(r2/r1)=16.4dBと求められる。結局、図10のケースが最悪ケースとなり、図10のセル配置の干渉保護比D/U=3.44log(r2/r1)=16.4dBとなる。したがって、最悪時の干渉保護比は第1実施例の場合と同じになってしまうが、最悪時の発生する確率は1/3に減少することとなり、干渉保護比の平均値は第1実施例の場合に比べて大きく改善される。
【0088】
なお、図10においても基地局の送信周波数のみを示し、移動局の送信周波数は省略している。
【0089】
また、単位面積当たりの周波数帯域幅は、第2実施例と等しく30MHz/ Km2となる。この第3実施例では第2実施例の2倍の種類の周波数を用いているが、基地局と移動局の送信周波数を変えているので、同一ゾーン内の基地局と移動局が同時に送信を行うことができるからである。したがって、基地局に対する上りと下りのトラフィックが対象な場合は第3実施例は第2実施例と同等の周波数利用効率が得られることになる。
【0090】
[第4実施例]
つぎに本発明の第4実施例について説明する。図11は本発明の第4実施例のセルラ通信網のセルの基本構造を示す平面図である。この第4実施例は、基地局と移動局が同じ周波数を用いて送信を行う点が、第1実施例との主な相違点である。
【0091】
図11において、セル131内にはひとつの基地局151が備えられている。基地局151は6方向の固定型指向性アンテナを備えている。セル131は6個のセクタゾーン141、142、143、144、145、及び146に分けられている。隣接するセクタゾーンでは別の周波数を用いている。また、セル131内には移動局161、162が含まれており、移動局161、162には指向性アンテナが備えられている。基地局151から移動局161への伝送は周波数F1で行われ、セクタゾーン61内の移動局161から基地局151への伝送も周波数F1で行われる。基地局151から移動局162への伝送は周波数F2で行われ、セクタゾーン142内の移動局162から基地局151への伝送も周波数F2で行われる。移動局の図示はないが、セクタゾーン143とセクタゾーン145内では基地局から移動局への送信は周波数F1で、移動局から基地局への送信も周波数F1で行われる。また、同様にセクタゾーン144とセクタゾーン146内では基地局から移動局への送信は周波数F2で、移動局から基地局への送信も周波数F2で行われる(移動局の図示なし)。図11にはひとつセクタゾーンにはひとつの移動局161しか書かれていないが、実際は複数の移動局が存在する。
【0092】
図12は本発明の第4実施例のセルラ通信網のセル配置構造を示す平面図である。基本繰り返しセル数N=1のセルラ網になっている。本実施例では、基地局の送信電力は移動局の送信電力より大きく設定されている。基地局と移動局の送信電力比は10倍程度以上、望ましくは干渉保護比と同程度が良い。図11ないし図12の構成では、基地局と移動局の送信電力比は40倍(16dB)程度が望ましいことになる。これは、先行技術の項において説明したようなふたつの移動局が基地局を挟んで一直線上に並ぶような場合の干渉を防ぐためである。図12では、移動局163と移動局164が基地局151を挟んでセクタゾーン境界上に一直線に並んでいる。しかも、移動局164は基地局のすぐ背後に位置しているとする。このような場合、前述のように移動局164からの送信電波が基地局151からの送信電波と混信して移動局163に受信される。しかしながら、基地局151の送信電力が移動局164の40倍に設定されていれば干渉保護比D/Uは16.4dB確保できることになる。
【0093】
先行技術にあっては、上述のように基地局の送信電力を移動局の送信電力より大きく設定すると、隣接する基地局が移動局に干渉する場合が存在した。しかし、本実施例にあってはこのような現象は存在しない。なぜなら、図13に示すように、本実施例では、基地局から送信される電波は同一周波数ごとに同じ方向を向くからである。例えば、AA’線上では周波数F1の電波はAA’方向にしか送信されない。一方、周波数F2の電波はA’A方向にしか送信されない。同様に、BB’線上では周波数F1の電波はBB’方向にのみ、CC’線上では周波数F1の電波はCC’方向にのみしか送信されない。また、BB’線上では周波数F2の電波はB’B方向にのみ、CC’線上では周波数F2の電波はC’C方向にのみしか送信されない。したがって、本実施例では基地局の送信電力を移動局のそれより大きくなるように設定しても従来技術に見られたような、隣接する基地局が移動局に干渉することはないのである。
【0094】
本実施例では、同一ゾーン内の基地局が移動局へ送信する場合と、移動局が基地局へと送信を行う場合とは時分割によって制御されている。すなわち、基地局が移動局へ送信する時は移動局は送信せず、移動局が基地局へ送信する時は基地局は送信しない。このような制御は公知の時分割制御技術によって行うことができる。
【0095】
本実施例では、基地局に対する上りと下りのトラフィックが非対称な場合に、上りと下りの伝送量を変えるような構成を採用することもできる。例えば、公知のトークンパッシング方式を採用すれば、上りと下りのトラフィックを可変制御することが可能である。トークンパッシング方式は、トークンと呼ばれる発言許可証順々に回すことによって時分割制御を行う方式である。
【0096】
トークンパッシング方式を本実施例に採用した場合は例えば次のような手順によって時分割制御を行うことができる。まず、基地局がトークンと呼ばれる送信許可を示すパケットを特定移動局宛に発する。そのトークンによって送信許可を受けた移動局は、送信要求を有している場合は、一定長までのパケット(パケット長さは固定でも良いし、可変であっても良い)を基地局宛に送信した後、トークンを基地局に返す。もしも、トークンを受け取った移動局にたまたまその瞬間は送信要求が無い場合は、その局(移動局)はトークンを直ちに返す。基地局から移動局への送信要求がある場合は、トークンが帰ってきた後に基地局がその送信要求に基づくパケットを移動局宛に送信し、送信終了後に次の移動局にトークンを回す。すなわち、基地局→移動局→基地局→次の移動局→・・・という順序でトークンを回していく。
【0097】
データ通信の分野ではトラフィックが非対称となる系も多く、本実施例の上りと下りのトラフィックを可変制御することが可能という特性は有益である。例えば、WWW(World Wide Web)のサーバが移動局側にあるような場合は極めて希である。WWWではサーバからクライアント(情報をブラウズするユーザ側)への伝送量の方が、クライアント側からサーバ側への伝送量より圧倒的に多い。したがって、携帯情報端末でWWWサービスを受ける場合は、無線系のトラフィックは、上りが少なく下りが多くなる。
【0098】
本実施例の干渉保護比D/Uは第1実施例と同様16.4dBとなる。また、単位面積当たりの周波数帯域幅も第1実施例と同様30MHz/Km2となる。
【0099】
[従来技術との性能比較]
従来技術と本発明の各実施例の干渉保護比と周波数再利用効率を比較すると表3のようになる。単純な比較はできないが、本発明によれば干渉保護比を従来方式と同程度に保ちつつ周波数再利用効率を10倍以上改善することが可能である。
【0100】
【表3】
Figure 0003684754
図14は横軸に干渉保護比、縦軸に周波数利用効率をとり、本発明の第1から第4実施例および、オムニゾーン方式セクタゾーン方式の代表例をプロットしたグラフである。
【0101】
[変型例]
上記第1ないし第2実施例の構成をFDMA(Frequency Division Multiple Access: 周波数分割多元接続)方式ではなく、スペクトラム拡散方式を用いたCDMA(Code Division Multiple Access: 符号分割多元接続)や、TDMA (Time Division Multiple Access: 時分割多元接続)、あるいは偏波面分割に置き換えてセルラ通信網を構築することもできる。
【0102】
例えば図15は図2の構成をFDMAからCDMAに代えた構成であるし、図16は図6の構成をFDMAからTDMAに代えた構成である。図15においてC1ないしC4はスペクトラム拡散通信方式における拡散符号を示す。図16において、T1ないしT2は時分割多重方式におけるタイムスロットを表す。TDMA方式でセルラ網を構築する場合は、図17に示すようなタイミングで時分割伝送を行えば良い。基地局61から移動局21へはタイムスロットT1で、反対に移動局21から基地局61へはタイムスロットT2で伝送する。同様に基地局62から移動局22へはタイムスロットT1で、反対に移動局22から基地局62へはタイムスロットT2で伝送する。なお、TDMAを行う場合は全てに基地局のタイムスロットはある一定の範囲内で同期している必要がある。
【0103】
偏波面分割については特に図示しないが、垂直偏波と水平偏波によって伝送路を分割する公知の技術である。周波数分割、時分割、あるいは符号分割などと異なって、実用レベルの分離度を得るにはふたつの伝送路にしか分割できないが、他の方法(周波数分割、時分割、あるいは符号分割)と組み合わせて用いることができる。
【0104】
また、図18に示すような4角形のセル構造に本発明を適用することも可能である。図18の構成は干渉保護比や周波数再利用効率の観点からはあまり利点はないが、セル配置構造が簡単であるという利点がある。
【0105】
[応用範囲]
本発明は、セルラ型携帯電話のような無線モバイル通信網に適用可能なことを説明してきた。しかしながら、本発明の応用範囲はセルラ型携帯電話に限定されることはない。例えば、セルラ型携帯TV電話に適用したり、無線モバイルデータ通信網に適用することも可能である。さらには屋外(公衆網)に応用範囲が限定されることもない。例えば、構内網である無線LANシステムに本発明を適用することもできる。
【0106】
【発明の効果】
本発明によれば、セルラ型無線通信網において従来とほぼ同等のセル間干渉保護比を維持しながら、周波数再利用効率を向上せしめることができる。また、移動局に可変指向性アンテナを用いた従来技術において問題となっていた、基地局と移動局の最初のコネクション開設時の困難さを解消し、制御を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例のセルラ通信網のセルの基本構造を示す平面図である。
【図2】 本発明の第1実施例のセルラ通信網のセル配置構造を示す平面図である。
【図3】 図2のセル構造におけるセル間干渉の最悪ケースを示す図である。
【図4】 移動局21の概略構成図である。
【図5】 本発明の第2実施例のセルラ通信網のセルの基本構造を示す平面図である。
【図6】 本発明の第2実施例のセルラ通信網のセル配置構造を示す平面図である。
【図7】 図6のセル構造におけるセル間干渉の最悪ケースを示す概略図である。
【図8】 本発明の第3実施例のセルラ通信網のセル配置構造を示す平面図である。
【図9】 図8のセル構造におけるセル間干渉を示す概略図 (基地局の送信周波数のみ示す)である。
【図10】 図8のセル構造におけるセル間干渉の最悪ケースを示す概略図(基地局の送信周波数のみ示す)である。
【図11】 本発明の第4実施例のセルラ通信網のセルの基本構造を示す平面図である。
【図12】 本発明の第4実施例のセルラ通信網のセル配置構造を示す平面図である。
【図13】 本発明の第4実施例のセルラ通信網において基地局が電波を送信する方向を示す図である。
【図14】 本発明の第1ないし第4 実施例と従来技術との干渉保護比と周波数利用効率を比較したグラフである。
【図15】 図2の構成をFDMAからCDMAに代えた場合のセル配置構造を示す平面図である。
【図16】 図6の構成をFDMAからTDMAに代えた場合のセル配置構造を示す平面図である。
【図17】 図16の構成におけるタイミングチャートである。
【図18】 4角形のセル構造を採用した場合のセル配置構造を示す平面図である。
【図19】 本発明の第1実施例において用いられる、アクセス制御の方法を示す概略図である。
【図20】 本発明の第1実施例において用いられる、別のアクセス制御の実施態様を示す概略図である。
【図21】 図19のアクセス制御が実行される環境を説明する図である。
【図22】 従来のセルラ通信網におけるセル構造の基本的な概念を示す平面図である。
【図23】 図22のセル構造の繰り返しを示す平面図(オムニゾーン方式N=7)である。
【図24】 図22の従来のセル構造の単一セル内での基地局と移動局の送受信周波数の関係を示す平面図である。
【図25】 図22の従来のセル構造において繰り返しセルの個数N=7の場合14種類の周波数が用いられることを示すセル配置図である。
【図26】 従来技術において、可変指向性アンテナを用いて移動局を追尾する際に、移動局の移動によって生じる干渉を示す図である。
【図27】 基本繰り返しセル数N=4の場合の従来のオムニゾーン方式のセル配置図である。
【図28】 基本繰り返しセル数N=12の場合の従来のオムニゾーン方式のセル配置図である。
【図29】 4セル6ゾーン(N=4, Z=6)の従来のセクタゾーン方式のセル配置図である。
【図30】 4セル6ゾーン(N=4, Z=6)の従来のセクタゾーン方式におけるセル間干渉の最悪ケースを示す平面図である。
【図31】 4セル3ゾーン(N=4, Z=3)の従来のセクタゾーン方式におけるセル間干渉の最悪ケースを示す平面図である。
【図32】 従来技術において提案された、基地局と移動局双方が指向性アンテナを有している場合の通信ネットワークを示す概念図である。
【図33】 従来技術において、基地局のすぐ背後に移動局(干渉局)が存在する場合の干渉関係を示す図である。
【図34】 従来技術において、ふたつの基地局の中間点付近にふたつの移動局がある場合の基地局が移動局に対して干渉する様子を示す図である。
【図35】 従来技術において、移動局が全方向性アンテナを用いてコネクション設定を行うことによって、干渉を生じることを示す図である。
【図36】 従来技術において、セルラ通信網のアクセス制御チャネルの構造を示す概略図である。(a)はアクセス制御チャネル301と通信チャネル302の配置を示す図、(b)はアクセス制御チャネルに採用されテイルアロハ方式のプロトコルにおけるパケットのトラフィックを示すタイムチャート。(c)はアロハ方式におけるパケットの衝突の様子と再送の様子を示すタイムチャート。
【図37】 従来技術において、可変指向性アンテナを用いて最初に基地局問移動局とのコネクションを確立するに当たって生じる問題点を説明する概略図である。
【図38】 従来技術において、基地局が固定型の指向性アンテナを有する場合に、セクタゾーンの境界において生じる干渉を示す図である。
【図39】 従来技術において、可変指向性アンテナを用いて移動局を追尾する際に、移動局の移動によって生じる干渉を示す図である。
【符号の説明】
1−2…セル、11−17…セクタゾーン、21−27…指向性アンテナを有する移動局、31−37…固定型指向性アンテナを有する基地局、40…移動局本体、41−46…指向性アンテナ、51…フェーズドアレーアンテナの一エレメント、52…移相器、61−67…全方向性アンテナを有する基地局、71−77…セル、81−84…パケット、101a…セル、101b…セル101aに対して鏡映な構造を有するセル、102a…セル、102b…セル102aに対して鏡映な構造を有するセル、111a、111b、112a、112b…固定型指向性アンテナを有する基地局、122…指向性アンテナを有する移動局、131…セル、141−146…セクタゾーン、151…固定型指向性アンテナを有する基地局、161−162…指向性アンテナを有する移動局、163…移動局(希望局)、164…移動局(干渉局)、201−207…セル、211−217…全方向性アンテナを有する基地局、221−227…全方向性アンテナを有する移動局、231−232…指向性アンテナを有する基地局、241−242…指向性アンテナを有する移動局、242a−242b…移動局242の位置、251−256…固定型指向性アンテナの指向性パターン、261、262a、262b…可変指向性アンテナの指向性パターン、271…移動局242の移動方向、272…移動局242を追尾する可変指向性アンテナの追尾方向、301…アクセス制御チャネル、301…通信チャネル、311…アクセス制御用パケット、311r…再送されたアクセス制御用パケット、312…アクノレッジメントパケット、313…衝突パケット、321…アクセス制御用パケット、322…タイムスロット制御用同期信号、323…タイムスロット。

Claims (22)

  1. 下記の構成要素を備えたことを特徴とするセルラ通信網。
    a)固定型指向性アンテナを備えた基地局をひとつ有する第1のセル。
    b)固定型指向性アンテナを備えた基地局をひとつ有し、第1のセルを鏡像反転した構造を有し、かつ第1のセルに隣接した第2のセル。
    c)可変型指向性アンテナを備えた少なくともひとつの移動局。
    d)前記セルを、基地局を中心として扇形状に偶数個に分割して得られた複数のゾーン。
    e)第1のセルと第2のセルとが隣接した構成を基本単位として、この構成単位を平行移動によって繰り返したセル配置構造。
  2. 可変型指向性アンテナを備えた少なくともひとつの移動局と移動体通信を行なうために下記の構成要素を備えたことを特徴とするセルラ通信網。
    a)固定型指向性アンテナを備えた基地局をひとつ有する第1のセル。
    b)固定型指向性アンテナを備えた基地局をひとつ有し、第1のセルを鏡像反転した構造を有し、かつ第1のセルに隣接した第2のセル。
    c)前記セルを、基地局を中心として扇形状に偶数個に分割して得られた複数のゾーン。
    d)第1のセルと第2のセルとが隣接した構成を基本単位として、この構成単位を平行移動によって繰り返したセル配置構造。
  3. 請求項1または2のセルラ通信網において、上記基地局は、上記セルに対応する第1の伝送路によって上記移動局に対して送信を行い、上記移動局は、任意のセルにおいて、上記任意のセルに設けられた上記基地局の上記第1の伝送路と異なる第2の伝送路によって、上記任意のセルに設けられた上記基地局への送信を行うことを特徴とするセルラ通信網
  4. 請求項のセルラ通信網においてさらに次の特徴を有するセルラ通信網。
    )上記複数のゾーンに時計まわりに番号をつけた場合の奇数番目の上記ゾーンにおいては上記基地局が上記第1の伝送路の所定の部分伝送路によって上記移動局への送信を行い、偶数番目のゾーンにおいては上記基地局が上記第1の伝送路の他の部分伝送路によって上記移動局への送信を行う。
    )上記奇数番目のゾーンにおいては上記移動局が上記第2の伝送路の所定の部分伝送路によって上記基地局への送信を行い、偶数番目のゾーンにおいては上記移動局が上記第2の伝送路の他の部分伝送路によって上記基地局への送信を行う。
  5. 請求項のセルラ通信網において、上記第1の伝送路および上記第2の伝送路が周波数分割により多重化されたものであることを特徴とするセルラ通信網。
  6. 請求項のセルラ通信網において、上記第1の伝送路および上記第2の伝送路がスペクトラム拡散方式通信における符号分割により多重化されたものであることを特徴とするセルラ通信網。
  7. 請求項のセルラ通信網において、上記第1の伝送路および上記第2の伝送路が時分割により多重化されたものであることを特徴とするセルラ通信網。
  8. 請求項3のセルラ通信網において、上記第1の伝送路および上記第2の伝送路が偏波面分割により多重化されたものであることを特徴とするセルラ通信網。
  9. 請求項のセルラ通信網において、15ないし3000GHzの搬送周波数を用いたことを特徴とするセルラ通信網。
  10. 請求項のセルラ通信網において、30ないし60GHzの搬送周波数を用いたことを特徴とするセルラ通信網。
  11. 請求項4のセルラ通信網において、上記ゾーンの個数が6であることを特徴とするセルラ通信網。
  12. 請求項のセルラ通信網において、上記ゾーンの個数が4であることを特徴とするセルラ通信網。
  13. 請求項のセルラ通信網において、さらに前記第1の伝送路を多重化する多重化手段を備え、この多重化された伝送路の一部を通して基地局の識別が可能なビーコン信号を送信することを特徴とするセルラ通信網。
  14. 請求項13のセルラ通信網において、前記多重化手段が周波数分割多元接続によるものであることを特徴とするセルラ通信網。
  15. 請求項13のセルラ通信網において、前記多重化手段がスペトラム拡散方式による符号分割多元接続によるものであることを特徴とするセルラ通信網。
  16. 請求項13のセルラ通信網において、前記多重化手段が時分割多元接続によるものであることを特徴とするセルラ通信網。
  17. 請求項13のセルラ通信網において、多重化された伝送路の一部をアクセス制御チャネルとして用い、このアクセス制御チャネルをスロットアロハ方式のプロトコルで運用し、スロット制御信号を前記基地局から送信することによって、前記ビーコン信号の機能をスロット制御信号に担わせることを特徴とするセルラ通信網。
  18. 請求項1または2のセルラ通信網において、さらに下記の特徴を有するセルラ通信網。
    )上記ゾーンを時計まわりに番号をつけた場合の奇数番目のゾーンにおいては上記基地局が第1の伝送路によって上記移動局への送信を行い、偶数番目のゾーンにおいては第2の伝送路によって上記移動局への送信を行う。
    )上記奇数番目のゾーン内においては上記移動局が上記第1の伝送路によって上記基地局への送信を行い、偶数番目のゾーンにおいては上記基地局が上記第2の伝送路によって上記基地局への送信を行う。
  19. 請求項18のセルラ通信網において、上記基地局の送信電力が上記移動局の送信電力より大になるように設定されているセルラ通信網。
  20. 請求項18のセルラ通信網において、同一の上記ゾーン内ではトークンパッシング方式によって、上記基地局から上記移動局への伝送量と上記移動局から上記基地局への伝送量の割合を可変制御したことを特徴とするセルラ通信網。
  21. 請求項18のセルラ通信網において、さらに前記第1の伝送路を多重化する第1の多重化手段と、前記第2の伝送路を多重化する第2の多重化手段とを備え、この多重化された第1ないし第2の伝送路の一部を通して基地局の識別が可能なビーコン信号を送信することを特徴とするセルラ通信網。
  22. 請求項21のセルラ通信網において、多重化された伝送路の一部をアクセス制御チャネルとして用い、このアクセス制御チャネルをスロットアロハ方式のプロトコルで運用し、スロット制御信号を前記基地局から送信することによって、前記ビーコン信号の機能をスロット制御信号に担わせることを特徴とするセルラ通信網。
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