JP3683448B2 - 振動を利用した物理パラメータ測定装置 - Google Patents
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- A61B5/021—Measuring pressure in heart or blood vessels
- A61B5/02133—Measuring pressure in heart or blood vessels by using induced vibration of the blood vessel
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動を利用した物理パラメータ測定装置に関し、特に、医療用器具の分野において、生体内に微弱な振動を与え、生体内を伝搬した振動を検出することで、生体情報を非侵襲で取得するために、2次元座標平面において円弧軌道上を往復運動するデータの座標からその円弧の中心座標を求める物理パラメータ測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、非観血的に血圧を測定する方法としては、カフにより上腕部を圧迫し、圧迫圧力を変化させ、それに伴う脈波の振幅変化から血圧を求めるオシロメトリック法や、同じくカフによる圧迫圧力を変化させ圧迫された血管から発生するコロトコフ音から血圧を求めるコロトコフ法がある。しかしながら、これらの測定方法は、1回の測定に30秒程度の時間がかかり、手術中など患者の急激な血圧変動を監視しなければならない場合は使用できない。
【0003】
これらの方法の欠点を補い、非観血的で連続的に血圧測定を行う血圧計として、米国特許第5590649号に開示された血圧計がある。これは、血圧の変化に応じて血管の弾性が変化することを利用し、血管の弾性を検出することで、その弾性値から血圧を推定する血圧計である。以下にその概要を図7と図8を参照して説明する。
【0004】
図8は、米国特許第5590649号に開示された血圧計の概要ブロック図である。発振器1は、数100Hz程度の正弦波を発生し、腕に取りつけられた励振器2を介して動脈を振動させる。センサ3は、腕を伝搬した励振器2からの振動を検出する。そのセンサ信号は、位相検波器4に送られる。位相検波器4は、発振器1からの信号を基準信号とし、センサ3からのセンサ信号の位相検波を行い、同相成分信号(I信号)と直交成分信号(Q信号)を出力する。位相検波器4の出力信号は、A/D変換器5によりディジタル信号に変換される。
【0005】
ディジタル信号に変換された同相成分信号と直交成分信号は、円弧中心推定部6と位相角演算部7に入力される。円弧中心推定部6は、入力データの分布から、その中心位置を求め、そのx座標とy座標を位相角演算部7に出力する。位相角演算部7は、中心位置から見た同相成分信号と直交成分信号の位相角を算出する。カフ式血圧測定器8は、適当な時間間隔でカフ9を動作させ、最高血圧と最低血圧を血圧演算部10に出力する。血圧演算部10は、カフ式血圧測定器8からの最高血圧と最低血圧値と、カフ式血圧測定器8が作動した時点での位相角演算部からの位相角から、位相角と血圧の対応を生成する。これをキャリブレーションと言う。それ以降は位相角のみから対応する血圧を算出し、連続波形として表示部11に送出する。制御部12は、図示していない制御線により各部と接続されており、動作タイミング等の制御を行う。
【0006】
ディジタル信号に変換されたI信号とQ信号は、次の特徴を有する。I信号をx座標値、Q信号をy座標値として2次元座標平面にプロットすると、図9に示すように、円弧上に分布する。以下、2つのA/D変換器5から出力されるデータは、サンプルデータのx座標とy座標を示す座標データであると考える。原点からプロットした点までのベクトルは腕を伝搬した励振波の位相と振幅を示すものであるが、このベクトルは2つの成分に分けることができる。1つは血管を伝わった成分すなわち円弧中心Cからサンプル点Pまでのベクトルであり、もう1つは血管以外の体組織を伝わった成分すなわち原点Oから円弧中心Cまでのベクトルである。
【0007】
血管以外の体組織は動きがないので、それを伝わった成分は一定の位置Cを保つ。一方、血管を伝わった成分は、血管の弾性が血圧により変化するので、血圧が高いときは血管の弾性が高く、励振波が早く伝わるため位相が大きくなり、血圧が低いときは血管の弾性が小さく、励振波が遅く伝わるため位相が小さくなる。よってサンプル点をプロットすると、図9に示したように、一心拍の血圧変動に伴いCを中心とした円弧上を往復運動することになる。円弧中心Cから見たサンプル点Pの位相角は血圧に一対一に対応しているので、別途設置したカフ式血圧測定器8で測定した最高血圧Psys、最低血圧Pdiasは、カフ9を動作させる直前または直後の位相角の最大値φsys、最小値φdiasに対応させることができ、血圧差と位相角差が比例の関係にあると仮定することにより、
【数1】
という関係式を用いて、位相角φの時の血圧Pを算出することができる。
【0008】
以上が、米国特許第5590649号に開示された血圧計の概要である。この方式において、血圧検出を安定して行うには、データの分布の円弧中心Cを正確に求めることが重要である。しかしながら、米国特許第5590649号では、サンプルしたデータの分布から、その中心Cを求めるアルゴリズムには言及していない。円弧上の点からその円弧の中心を求めるには、円弧上の3つの点からなるデータグループを作り、データグループの3点を通る円の中心を求める方法がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、等時間間隔でサンプリングされたデータの分布は、血圧波形の特徴から、図9のdの領域に多く分布するので、単純にサンプル点をn分の1に間引いて、時間的に隣り合う3点によりデータグループを構成した場合は、領域dでのノイズ成分に強く影響され、本来の中心よりも円弧に近いC’が中心として算出されてしまうという問題があった。また、データグループとして選択したデータで構成される弦が円の半径に比べあまりに小さいと、ほぼ3点が直線上に並んでしまい、正確に中心を求めるのは困難であるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記従来の問題を解決して、血圧を求めるために必要な円弧中心推定を安定して正確に行うことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明では、対象物に振動を与える励振手段と、対象物内を伝搬した振動を電気信号に変換するセンサ手段と、センサ手段からの信号を位相検波により2次元座標平面にサンプル点をマッピングする位相検波手段と、位相検波した信号をディジタル信号に変換するアナログ−ディジタル変換手段と、各サンプル点グループ毎に算出された分布から円弧中心を推定する円弧中心推定手段と、円弧中心から見込んだサンプル点の位相角を算出する位相角算出手段とを具備する物理パラメータ測定装置の円弧中心推定手段に、2次元平面上でのデータ間の距離差を規定する距離差規定手段と、規定された距離以上の距離差を持つ3つのサンプル点からなるサンプル点グループを複数選択する選択手段と、選択された各サンプル点グループに含まれる3点を通る円の中心を算出する円中心算出手段とを設けた構成とした。
【0012】
このように構成したことにより、偏った分布をとるデータから空間的に均等に離れたデータを選択し、演算に用いるので正確に円弧中心を求めることができる。
【0013】
また、円弧中心推定手段に、分布の重心を計算することにより円弧中心推定を行う手段を設けた。このように構成したことにより、複数のサンプル点グループからえられた円中心の分布から、円中心を1つ算出することができる。
【0014】
また、2次元平面上でのデータ間の距離差を規定する距離差規定手段に、1心拍以上の間のデータの重心を計算する重心計算手段と、1心拍以上の間のデータと重心との距離の最大値を計算する最大値計算手段と、距離の最大値の単調増加関数値を発生する単調増加関数発生手段とを設けた。このように構成したことにより、測定する人体の特性のばらつきや、センサと人体の接触状態によって円弧の大きさが変化しても、円弧の大きさに応じた弦を構成するサンプル点ペアを選択するので、安定して円弧中心を求めることができる。
【0015】
また、2次元平面上でのデータ間の距離差を規定する距離差規定手段に、1心拍以上の間のデータの重心を計算する重心計算手段と、1心拍以上の間のデータとの距離のうちn番目(nは2以上)に大きい値を距離を最大値として算出する最大値計算手段と、最大値の単調増加関数値を発生する単調増加関数発生手段とを設けた構成とした。このように構成したことにより、突発的に発生した大振幅のノイズの影響を受けずに最大距離算出手段は最大距離を算出できるので、安定して円弧中心を求めることができる。
【0016】
また、単調増加関数発生手段での比例関数の比例定数を、1/30から2の範囲とした。このように構成したことにより、測定する人体の特性のばらつきや、センサと人体の接触状態によって円弧の大きさが変化しても、円弧の直径の大きさにほぼ比例した長さの弦を構成するサンプル点ペアを選択できるので、少ないデータペアからでも、安定して円弧中心を求めることができる。
【0017】
また、円弧中心推定手段に、中心位置座標データのローパスフィルタリングを行うローパスフィルタ手段を設けた。このように構成したことにより、推定した中心位置座票データからノイズを除去することができ、安定した中心位置座票データを得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図7を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態は、サンプリングデータから適切な距離差を算出し、その距離差を持ったサンプリングデータグループを選択し、円弧中心計算に用いる血圧計である。
【0020】
本発明の第1の実施の形態における血圧計の基本構成は、図8に示す従来例と同様であるので、説明を省略する。第1の実施の形態が従来例と異なるところは、円弧中心推定部に距離差決定部とデータ選択部を設けた点である。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施の形態における血圧計の円弧中心推定部の機能ブロック図である。円弧中心推定部は、距離差決定部30と、データ選択部31と、円中心算出部32と、重心算出部33からなる。距離差決定部30は、A/D変換器からのデータを受け、その分布から円弧中心の算出に用いるデータの距離差を算出する手段である。データ選択部31は、距離差決定部30からの距離差データ以上の距離差をもつデータグループ(Ax,Ay),(Bx,By),(Cx,Cy)を選択する手段である。円中心算出部32は、データ選択部31からのデータグループから円中心を算出する手段である。重心算出部33は、円中心算出部32からの複数の円中心座標の重心を計算する手段である。
【0022】
図2は、距離差決定部30の機能ブロック図である。距離差決定部30は、重心演算部40と、距離算出部41と、最大値算出部42と、データラッチ43と、掛け算器44からなる。重心演算部40は、A/D変換器5からのデータを受け、その分布の重心を計算する手段である。距離算出部41は、重心演算部40からの重心座標(Gx,Gy)とA/D変換器5からのデータ(x,y)との距離を算出する手段である。最大値算出部42は、距離算出部41からの距離データの最大値を算出する手段である。データラッチ43は、定数を記憶する手段である。掛け算器44は、データラッチ43で記憶している定数と最大値算出部42からの最大値の積を計算する手段である。
【0023】
図3は、データ選択部31の機能ブロック図である。データ選択部31は、3つのラッチ50,51,52と、距離算出器53および比較器54からなる。ラッチ50,51,52は、座標データを記憶する手段である。図4は、血圧計の選択データが、円弧の折り返しを挟んだ3点となった状態を示す図である。
【0024】
上記のように構成された本発明の第1の実施の形態における血圧計の動作を説明する。最初に、距離差決定部30の動作を説明する。重心演算部40は、T1秒前から現在までに入力された座標データ(x,y)の集合の重心(Gx,Gy)を計算する。具体的には、Gxはx座標データの平均値、Gyはy座標データの平均値である。時間間隔T1は、生体の1心拍に要する時間以上とし、例えば、2秒程度とする。
【0025】
距離算出部41は、重心(Gx,Gy)と入力座標データ(x,y)との距離
【数2】
を計算する。最大値算出部42は、T2秒前から現在までに入力された距離データSの集合の最大値Smaxを計算する。時間間隔T2は、生体の1心拍に要する時間以上とし、例えば2秒程度とする。データラッチ43は、図示しない制御部により書き込まれた定数kを保持する。定数の範囲は、1/30から2の範囲が適当である。掛け算器44は、最大値算出部42からのSmaxに定数kを乗じ、データ選択部31に出力する。
【0026】
次に、データ選択部31の動作を説明する。ラッチ50,51,52は、イネーブル端子Gを持っており、そのイネーブル端子Gがアクティブになったとき、入力データを内部に記憶し、内部に記憶したデータを出力する。それぞれのイネーブル端子Gは、比較器54の出力に接続され、比較器54の出力がアクティブになったときの入力データを保持する。まず、ラッチ50は、初期値としてA/D変換器5からの最初の座標データをラッチする。距離算出器53は、ラッチ50でラッチされた座標(x1,y1)と現在の座標(x2,y2)との距離z
【数3】
を計算する。
【0027】
比較器54は、距離算出器53の出力と掛け算器44の出力を比較し、距離算出器53の出力の方が大きければ、出力をアクティブにする。これにより、ラッチ50,51,52の記憶内容が更新され、円弧中心算出部32への出力が更新される。以上により、掛け算器44の出力より大きな距離差をもったデータペア座標(Ax,Ay),(Bx,By),(Cx,Cy)が、円中心算出部32に出力される。
【0028】
次に、円中心算出部32の動作を説明する。円中心算出部32は、データ選択部31の出力が更新されるたびに、3点を通る円の中心座標の計算を行う。3点 (Ax,Ay),(Bx,By),(Cx,Cy)を通る円の中心座標(Ox,Oy)は、
【数4】
で求められる。ここで
【数5】
である。
【0029】
また、データ選択部31で選択された3点は、図4に示すように、円弧の折り返しを挟んだ3点(Ax,Ay),(Bx,By),(Cx,Cy)である可能性があり、この場合に求められる円中心は、求めたい円中心(Ox,Oy)とは異なるものとなる。そのため、ベクトルABとBCの内積
【数6】
を計算し、内積が正である時のみ円中心を演算し、負となる場合は演算を行わず入力データを破棄する。
【0030】
次に、重心算出部33の動作を説明する。重心算出部33は、円中心算出部32の出力が更新されるたびにデータをラッチする。T3秒以前から現在までに入力された円中心座標の重心を計算する。時間間隔T3は、生体の1心拍に要する時間以上とし、例えば2秒程度とする。重心演算に使用する中心座標数がnで、それらの座標を(Ox1,Oy1),(Ox2,Oy2),(Ox3,Oy3),・・・,(Oxn,Oyn)とすると、それらの重心座標(Wx,Wy)は、
【数7】
で求めることができる。
【0031】
以上の過程を、2次元座標平面上で説明する。図5は、A/D変換器5から出力されたサンプルデータ点を、2次元座標平面にプロットしたものである。点Gは、重心演算部40から出力されたデータ重心である。Smaxは、データ重心Gから各データまでの距離の最大値で、最大値算出部42から出力される。Smaxに定数をかけた長さがLで、掛け算器44の出力、すなわち距離差決定部30の出力である。選択されらサンプル点グループ(Ax1,Ay1),(Bx1,By1),(Cx1,Cy1)と(Ax2, Ay2),(Bx2,By2),(Cx2,Cy2)は、データ選択部31から出力されるデータグループであり、各データ間の距離差はLとなっている。円中心算出部32は、これらのデータグループを通る円の中心(Ox1,Oy1)と(Ox2,Oy2)を算出する。重心算出部33は、(Ox1,Oy1)と(Ox2,Oy2)の重心(Wx,Wy)を算出する。
【0032】
なお、距離算出部41での距離計算および距離算出器52での距離計算においては、平方根をとらずに2乗和を距離として扱ってもよい。この場合、平方根演算のための演算量を削減できる。
【0033】
上記のように、本発明の第1の実施の形態では、血圧計を、サンプリングデータから適切な距離差を算出し、その距離差を持ったサンプリングデータグループを選択し、円弧中心計算に用いる構成としたので、入力信号の振幅が変化しても正確な中心を求めることができる。また、必要なデータのみを選択するので演算量も削減できる。
【0034】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、重心算出部で算出された円弧中心座標データから高周波ノイズを取り除く血圧計である。
【0035】
図6は、本発明の第2の実施の形態における血圧計の円弧中心推定部の機能ブロック図である。図1に示した第1の実施の形態における血圧計の円弧中心推定部の出力部に、ローパスフィルタを加えた構成としたものである。図6において、ローパスフィルタ70は、重心算出部33からx座標、y座標を入力し、それぞれにローパスフィルタリングを行い出力する手段である。ローパスフィルタのカットオフ周波数としては、数Hzから数10Hzが望ましい。
【0036】
円弧の中心から求めた重心は、数10Hz以上の周波数で激しく変化することはありえない。そのように変化することがあれば、ノイズの影響であるから、ローパスフィルタでノイズをカットすれば、ノイズの影響を除いた重心のみを使用して、位相角を求めることができる。したがって、ノイズの影響のない位相角から正しい血圧を求めることができる。
【0037】
上記のように、本発明の第2の実施の形態では、血圧計を、重心算出部で算出された円弧中心座標データから高周波ノイズを取り除く構成としたので、ノイズに影響されにくい円弧中心推定部ができる。
【0038】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態は、サンプリングデータから適切な距離差を算出し、その距離差を持ったサンプリングデータペアを選択し、円弧中心計算に用いる血圧測定方法である。
【0039】
図7は、本発明の第3の実施の形態における円弧中心推定処理のフローチャートである。円弧中心推定部6をマイクロプロセッサにより実現した場合の処理手順を説明する。ステップ81では、A/D変換器5からデータ入力をおこなう。ステップ82では、入力されたデータ(x,y)および過去T1秒間に入力されたデータの重心を算出する。データ重心は、x座標、y座標それぞれの平均演算により計算される。時間間隔T1は、生体の1心拍に要する時間以上とし、例えば、2秒程度とする。
【0040】
ステップ83では、ステップ82で計算したデータ重心(Gx,Gy)と入力データ(x,y)との距離Sを算出する。ステップ84では、現在の距離Sおよび過去T2秒間に計算された距離の中で最大になるものSmaxを算出する。時間間隔T2は、生体の1心拍に要する時間以上とし、例えば、2秒程度とする。ステップ85では、ステップ84で算出されたSmaxに係数kをかけ、距離差Lとする。
【0041】
ステップ86では、選択データAと入力データ(x,y)との距離zを算出する。ステップ87では、ステップ86で算出された距離zとステップ85で算出された距離差Lとを比較して、距離zが距離差Lより小さければステップ81に戻り、距離zが距離差Lより大きければステップ88に分岐する。
【0042】
ステップ88では、選択データBと選択データAを結ぶベクトルと、選択データAと入力データ(x,y)とを結ぶベクトルの内積を計算する。内積が正でなければ、ステップ92に分岐し、内積が正であれば、ステップ89に分岐する。
【0043】
ステップ89では、選択データA、選択データB、入力データ(x,y)をデータグループとし、この3点を通る円の中心を計算する。ステップ90では、過去T3秒間に入力された円中心座標の重心を計算し、円弧中心座標とする。時間間隔T3は、生体の1心拍に要する時間以上とし、例えば、2秒程度とする。
【0044】
ステップ91では、ステップ90で算出した円弧中心の座標を位相角演算部7に出力する。ステップ92では、選択データAを選択データBに代入した後、入力データ(x,y)を選択データAに代入し、ステップ81に戻る。なお、選択データA,Bには初期値が必要であるが、第1番目の入力データを選択データA,Bの初期値とする。
【0045】
上記のように、本発明の第3の実施の形態では、血圧測定方法を、サンプリングデータから適切な距離差を算出し、その距離差を持ったサンプリングデータペアを選択し、円弧中心計算に用いる構成としたので、入力信号の振幅が変化しても正確な中心を求めることができる。また、必要なデータのみを選択するので、円の中心を求める演算量も削減できる。
【0046】
なお、本実施の形態では、円弧中心推定部をマイクロプロセッサにより実現する方法のみを説明したが、位相角演算部や血圧演算部等の他の構成要素もマイクロプロセッサにより実現することが可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明では、対象物に振動を与える励振手段と、対象物内を伝搬した振動を電気信号に変換するセンサ手段と、センサ手段からの信号を位相検波により2次元座標平面にサンプル点をマッピングする位相検波手段と、位相検波した信号をディジタル信号に変換するアナログ−ディジタル変換手段と、各サンプル点グループ毎に算出された分布から円弧中心を推定する円弧中心推定手段と、円弧中心から見込んだサンプル点の位相角を算出する位相角算出手段とを具備する物理パラメータ測定装置の円弧中心推定手段に、2次元平面上でのデータ間の距離差を規定する距離差規定手段と、規定された距離以上の距離差を持つ3つのサンプル点からなるサンプル点グループを複数選択する選択手段と、選択された各サンプル点グループに含まれる3点を通る円の中心を算出する円中心算出手段とを設けたので、一定の距離差のあるデータペアのみを選択して円弧中心を求める演算に使用でき、データの分布に偏りがある場合でも正確に分布の円弧中心の座標を求めることができるという効果が得られる。
【0048】
さらに、2次元平面上でのデータ間の距離差を規定する距離差規定手段に、1心拍以上の間のデータの重心を計算する重心計算手段と、1心拍以上の間のデータと重心との距離の最大値を計算する最大値計算手段と、距離の最大値の単調増加関数値を発生する単調増加関数発生手段とを設けたので、データ分布に応じて選択するデータペアの距離差を決定でき、入力データの振幅が変化しても、正確に円弧中心の座標を求めることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における血圧計の円弧中心推定部のブロック図、
【図2】本発明の第1の実施の形態における血圧計の距離差決定部のブロック図、
【図3】本発明の第1の実施の形態における血圧計のデータ選択部のブロック図、
【図4】本発明の第1の実施の形態における血圧計の選択データが、円弧の折り返しを挟んだ3点となった状態を示す図、
【図5】本発明の第1の実施の形態の血圧計の選択データと円弧中心との関係を示す図、
【図6】本発明の第2の実施の形態における血圧計の円弧中心推定部のブロック図、
【図7】本発明の第3の実施の形態における血圧計の円弧中心推定処理のフローチャート図、
【図8】従来の血圧計の概略ブロック図、
【図9】従来の血圧計において位相検波したデータを2次元平面上にプロットした図である。
【符号の説明】
1 発振器
2 励振器
3 センサ
4 位相検波器
5 A/D変換器
6 円弧中心推定部
7 位相角演算部
8 カフ式血圧測定器
9 カフ
10 血圧演算部
11 表示部
12 制御部
30 距離差決定部
31 データ選択部
32 円中心算出部
33 重心算出部
Claims (1)
- 対象物に振動を与える励振手段と、前記対象物内を伝搬した振動を電気信号に変換するセンサ手段と、前記センサ手段からの信号を位相検波により2次元座標平面にサンプル点としてマッピングする位相検波手段と、位相検波した信号をディジタル信号に変換するアナログ−ディジタル変換手段と、各サンプル点グループ毎に算出された分布から円弧中心を推定する円弧中心推定手段と、前記円弧中心から見込んだサンプル点の位相角を算出する位相角算出手段とを具備する物理パラメータ測定装置において、前記円弧中心推定手段に、2次元平面上でのデータ間の距離差を規定する距離差規定手段と、前記規定された距離以上の距離差を持つ3つのサンプル点からなるサンプル点グループを複数選択する選択手段と、前記選択された各サンプル点グループに含まれる3点を通る円の中心を算出する円中心算出手段と、中心位置座標データのローパスフィルタリングを行うローパスフィルタ手段と、3点をA , B , Cとして、ベクトルABとベクトルBCの内積を計算し、内積が正である時のみ円中心を演算し、負となる場合は演算を行わず入力データを破棄する手段とを設けたことを特徴とする物理パラメータ測定装置。
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