JP3680586B2 - ポリイソシアネート化合物及びこれを用いたポリウレタン樹脂とその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化性、塗膜物性に優れたポリイソシアネート化合物、及びこれを用いた、塗料、コーティング剤、接着剤として有用なポリウレタン樹脂に存する。
【0002】
【従来の技術】
各種ポリイソシアネート化合物のなかで分子末端がイソシアネート基であるものは活性水素を含有する樹脂の硬化剤として使用され、たとえば、金属、プラスチック、木工用塗料、磁気記録媒体用塗料分野、および接着剤分野等の広範な分野に使用されている。接着剤分野を例に挙げれば、塗膜の乾燥性と硬化性、およびその塗膜物性が重要な因子である。塗膜の乾燥性、硬化性、塗膜物性には塗料中のポリイソシアネート化合物の官能基数はもとより、そのイソシアネート基の反応性が大きく寄与する。
【0003】
従来、ポリイソシアネート化合物は有機イソシアネート化合物と短鎖の多価ヒドロキシ化合物から構成され、この多価ヒドロキシ化合物の中でもイソシアネート官能基数を高めるために3官能のヒドロキシ化合物が多く使用されている。従来はこの3官能ヒドロキシ化合物としてグリセリンやトリメチロールプロパンが主として用いられていた。しかしながら、グリセリンを用いた場合には、2級の水酸基が有るためにイソシアネート基との反応性が低く反応が進行し難い。そのため、反応終了にかなりの時間を要すとともに、得られたポリイソシアネート化合物の分子量分布が広くなるという問題があった。また、トリメチロールプロパン等は固体であるために製造上の取り扱いが不便である。さらに、得られたポリイソシアネート化合物においてはトリメチロールプロパンの構造から2つのイソシアネート基が反応してしまうと立体障害が生じ、残る1つのイソシアネート基の反応性が低くなり、その結果、グリセリンと同様の問題点がその程度は少ないものの依然として残っている。
【0004】
上記説明は、ポリイソシアネート化合物における分子末端官能基がイソシアネート基の場合であり、有機イソシアネートと多価ヒドロキシ化合物との配合割合(モル比)は、(イソシアネート基/活性水素基(水酸基等))>1である。(イソシアネート基/活性水素基)<1となるように多価ヒドロキシ化合物等を有機イソシアネートに対して過剰に添加することにより分子末端を水酸基としたポリウレタンポリオールは、耐摩耗性、柔軟性、強度、接着性等に優れていることから、塗料、インキ、接着剤、合成皮革等の用途に幅広く用いられている。殊に塗料用途においては、自動車、家電製品、建材等の分野において、金属、プラスチック、木工用の各素材への塗装用として需要が急増しておりそれぞれの要求性能にあった種々のポリウレタンポリオールが提案されている。
【0005】
従来、ポリウレタンポリオールの水酸基の官能基数を高めるためには、分子鎖中に3官能の多価ヒドロキシ化合物が多く使用されている。グリセリンやトリメチロールプロパンは上記理由から、その3つの水酸基のうち1つの水酸基の反応性が低いため、分子末端に反応性の低い水酸基が残り易いという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、硬化性が良好でかつ、硬化物の架橋密度が高く耐溶剤性、耐薬品性および塗膜物性に優れたポリイソシアネート化合物、及びこれを用いた塗料、コーティング剤、接着剤、フィルム、エラストマー等の分野へ使用するに適したポリウレタン樹脂を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、硬化剤中のイソシアネート反応性の向上と製造上での取り扱いの容易さ、さらには多価ヒドロキシ化合物との反応性、それを用いた塗料あるいは接着剤の塗膜の強度、接着性等を改善するために鋭意研究検討を重ねた結果、一般式(A)のトリオール類を使用することによりこれらを解決できることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、一般式(A)で示されるトリオール類と有機イソシアネート化合物とを反応させることを特徴とするポリイソシアネート化合物に存する。
【0008】
【化3】
(一般式(A)中、R1 はメチレン基、R2 はエチレン基、R3 はトリメチレン基を表す。)
【0009】
又、本発明の別の要旨は、上述のポリイソシアネート化合物を用いたポリウレタン樹脂及びその用途に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につきさらに詳細に説明する。
本発明において用いられるトリオール類は一般式(A)で示される。3級炭素から分岐した構造を有し、3つの水酸基が全て1級である。
【0011】
【化4】
(一般式(A)中、R1 〜R3 はそれぞれアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基から選ばれる基を表す。)
【0012】
この一般式(A)において、R1 、R2 、R3 はアルキレン基で有ることが好ましい。さらにはR1 、R2 、R3 が炭素数の異なるアルキレン基で炭素数1〜10、特にR1 がメチレン基、R2 がエチレン基、R3 がトリメチレン基である、3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオールが好ましい。
本発明において、一般式(A)で示されるトリオール類と反応させうる有機イソシアネート化合物としては任意のものが使用出来るが、通常は有機ジイソシアネート以上のものを使用する。かかる有機ジイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添化トリレンジイソシアネート、水添化キシレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。又これらのイソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、ウレトンイミン変性体、カルボジイミド変性体等も同様に挙げられる。これら、有機ジイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用しても良い。また、必要に応じて3官能性以上のトリイアシネートを使用しても良い。
【0013】
本発明のポリイソシアネート化合物を製造するに於いて一般式(A)で表されるトリオール類とともに、多官能ヒドロキシ化合物を用いてもよい。例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、エリスリトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコールや単量体グリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2、2−ジエチル−1、3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1、5−ペンタンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロへキサンジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコールが挙げられる。又、これらと、高分子量ポリオール、例えばビスフエノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドとの付加物であるグリコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリルポリオール等のポリオール類も同様に挙げられる。
【0014】
ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の官能基数3以上のポリオール、エチレンジアミン、トルエンジアミン類のポリアミン類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させた水酸基含有ポリエーテルポリオール等及びテトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
【0015】
ポリエステルポリオールとしては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸等のジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のトリ及びテトラカルボン酸等と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−エチル−2−プチルプロパンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロへキサンジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール等のジオール、又はトリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール、又はビスフエノールA、ビスフエノールF等との重縮合反応によって得られるもの等が挙げられる。
【0016】
ポリエーテルエステルポリオールとしてはエーテル基含有ジオールもしくは他のグリコールとの混合物を前記ジカルボン酸またはそれらの無水物とを反応させるか、またはポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートが挙げられる。
【0017】
ポリカーボネートポリオールとしては、多価アルコールとジメチル、ジエチル等のジアルキルカーボネートの脱アルコール縮合反応、多価アルコールとジフェニルカーボネートの脱フェノール縮合反応、多価アルコールとエチレンカーボネートの脱エチレングリコール縮合反応等で得られる。この多価アルコールとしては例えば、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−エチル2−ブチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、あるいは、1,4−シクロへキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオールを用いたポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0018】
これらポリオール成分の好適分子量は300〜5000である。分子量が5000を越えるポリオールを用いると架橋密度が下がり、塗膜強度が落ちることがある。
また、ジアミンやアミノアルコール等を用いることも可能である。ジアミン類としてはヘキサメチレンジアミン、キシレンジアミン、イソホロンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン等が挙げられ、アミノアルコールとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられる。
【0019】
本発明におけるポリイソシアネート化合物の製造(ウレタン化反応)における温度は、通常10〜90℃の範囲から選ばれ、特にそのための触媒は不要であるが、場合によってはジブチルチンジラウレートやジブチルチンジオクトエート等の有機錫系触媒、オクタン酸鉛等の有機鉛系触媒、あるいはトリエチルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の3級アミン系化合物の触媒を使用することも効果的である。ウレタン化反応の進行は、反応の途中段階のNCO含有量の測定により追跡することができる。目標とするNCO含有量に到達した時点で反応を停止させる。
【0020】
これらの反応は、溶剤中でも可能である。使用される溶剤としてはポリウレタン製造に常用の不活性溶剤、たとえばトルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤を1種または2種以上使用することができる。使用する溶剤の種類、量、樹脂濃度を選択することにより、使用条件に応じた粘度に調整することができる。
【0021】
本発明のポリイソシアネート化合物において、その分子末端官能基が(イソシアネート基/活性水素基)>1であるものについては、分子量が重量平均分子量で350〜100000、好ましくは650〜20000である。重量平均分子量100000超過では架橋間分子量が長くなり塗膜強度が落ちたり、粘度が高くなりすぎ作業性が低下することがある。
【0022】
又、一般式(A)と先述の有機イソシアネートとの反応で、ポリウレタンポリオールを製造する際には、その分子末端官能基が(イソシアネート基/活性水素基)<1となるようにすればよい。
その際には必要に応じて末端停止剤として、ジ−n−ブチルアミンなどのジアルキルアミン、ブチルアミン等のモノアルキルアミン、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のモノアルコール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のモノアミノアルコール等を用いても良い。
【0023】
本発明のポリウレタンポリオールの分子量としては重量平均分子量で5000〜300000、好ましくは15000〜200000である。重量平均分子量5000未満では塗膜の強度が低く、300000超過では粘度が高くなりすぎ作業性が低下していずれも好ましくない。
本発明のポリウレタンポリオールには、必要に応じて既存のポリイソシアネート化合物を単独あるいは混合しても使用できる。既存の例えば、トリレンジイソシアネート、ジフエニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートとトリメチロールプロバンとの付加物、上記ジイソシアネートの3量化物、水との反応により得られるビュレット変性体等が挙げられる。
【0024】
本発明の塗料、コーティング剤、接着剤において、ポリイソシアネート化合物と多価ヒドロキシル化合物との配合割合(モル比)は、得られるウレタン樹脂において(イソシアネート基/活性水素基)=0.1〜20の範囲が好ましく、更に好ましくは0.5〜15の範囲である。(イソシアネート基/活性水素基)が0.1以下では、硬化物の架橋が不十分で塗膜強度がなく、耐薬品性、耐溶剤性等の物性が低下し、また、20を越えると硬化物が脆く、耐衝撃性が低下することがある。
【0025】
本発明の塗料、コーティング剤、接着剤にはさらに他の多価ヒドロキシ化合物を用いてもよく、分子内に2個以上の水酸基を有する重量平均分子量50〜300、000のものが好ましい。例えば、前述した短量体グリコール類や3官能以上の多価アルコール類、飽和または不飽和ポリエステルポリオール、飽和または不飽和の油変性または脂肪酸変性アルキッドポリオール、アミノアルキッドポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、エポキシポリオール、ポリウレタンポリオール、セルロースアセテートブチラートポリオール、含フッ素ポリオール等が挙げられる。このうち、塗膜性能(光沢、肉濤感、硬度、可簾性、耐久性等)、作業性(乾燥性、硬化性等)、コスト等の点で、特に飽和または不飽和ポリエステルポリオール、飽和または不飽和の油変性または脂肪酸変性アルキッドポリオール、アクリルポリオールが好ましい。
【0026】
これら多価ヒドロキシ化合物の重量平均分子量が300,000を越えるポリオールを用いると架橋密度が下がり、塗膜強度が落ちることがある。
本発明の塗料、コーティング剤、接着剤には、必要に応じて一般に使用される硬化促進触媒、遅延剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤等の各種添加剤及び各種顔料等を含んでいてもよい。本発明の塗料用イソシアネート硬化剤を配合した塗料は通常の塗装方法によって塗装することができ、例えば、エアレススプレー機、エアスプレー機、静電塗装、浸漬、ロール塗装機、ハケ、衝突混合型のスプレー機、ペーパーインジェクションキュアー(VIC)方式の塗装俊等を用いることができる。
【0027】
本発明によれば、反応性、塗膜物性などに優れたポリイソシアネート化合物を提供することができる。そして、このポリイソシアネート化合物と多価ヒドロキシル化合物とからなる本発明のポリウレタン塗料、ポリウレタン接着剤は、従来の塗料、接着剤よりも塗膜性能が良好であり、あるいは接着性が優れている。そのため、金属、プラスチック、コンクリート、木材用の塗料や、オーディオテープ、ビデオテープ、フロッピーディスクなどの磁気記録媒体、インキ、合成皮革、接着剤、粘着剤、繊維等の広範囲な分野に適用できる。
【0028】
【実施例】
以下に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの実施例よって限定されるものではない。
以下の実施例および比較例における「部」および「%」は、特に断りがない限り、「重量部」および「重量%」を意味する。
【0029】
<製造例1>
撹拌機、温度計、環流冷却管、滴下漏斗および窒素導入管を備えたフラスコに2,4−トリレンジイソシアネート/2,6−トリレンジイソシアネート=80/20(重量比)のジイソシアネート 674.1部、テトラヒドロフラン 200.0部を仕込み、乾燥窒素気流下30℃に加熱後、激しく撹拌しながら3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオール 125.9部を3時間に渡り1定速度で滴下した。この間反応温度を30℃に調節した。滴下終了後、溶液を60℃に保ちさらに2時間反応させた。
【0030】
この反応溶液を分子蒸留装置(MS−300型回転薄膜式、柴田化学機械工業(株)製)にて、蒸留温度を170〜180℃、供給量10〜20g/分、減圧度0.5torrにて蒸留を行い、未反応のトリレンジイソシアネートモノマーを除去した。得られたポリイソシアネート化合物 750部を酢酸エチル250部に溶解させ濃度75%、NCO含有量 13.1%のポリイソシアネート化合物▲1▼を得た。
【0031】
<製造例2>
撹拌機、温度計、環流冷却管、滴下漏斗および窒素導入管を備えたフラスコにイソホロンジイソシアネート 709.9部、テトラヒドロフラン 200.0部を仕込み、乾燥窒素気流下30℃に加熱後、激しく撹拌しながら3−ヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジオール 90.1部を7時間に渡り一定速度で滴下した。この間反応温度を60℃に調節した。滴下終了後、溶液を60℃に保ちさらに3時間反応させた。
【0032】
この反応溶液を分子蒸留装置(MS−300型回転薄膜式、柴田化学機械工業(株)製)にて、蒸留温度を170〜180℃、供給量10〜20g/分、減圧度0.5torrにて蒸留を行い、未反応のイソホロンジイソシアネートモノマーを除去した。得られたポリイソシアネート化合物 750部を酢酸エチル250部に溶解させ濃度75重量%、NCO含有量 10.6%のポリイソシアネート化合物▲2▼を得た。
【0033】
<実施例1>
ポリイソシアネート化合物▲1▼とアクリルポリオール(アクリディックA−801:大日本インキ化学工業(株)社製)とを用いて以下に示した評価試験を行い、その結果を表1に示した。
<実施例2>
ポリイソシアネート化合物▲1▼にポリカプロラクトン(プラクセル308(ダイセル化学工業(株)社製商品名)とを用い、以下に示した評価試験を行い、その結果を表1に示した。
<実施例3>
ポリイソシアネート化合物▲2▼にプラクセル308とを用い、以下に示した評価試験を行い、その結果を表1に示した。
【0034】
<比較例1>
GP105A(三菱化学(株)社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、酢酸エチル溶液、樹脂固形分75%、NCO含有量13.3wt%)とアクリディックA−801とを用いて以下に示した評価試験を行い、その結果を表1に示した。
<比較例2>
GP105Aとプラクセル308を用いて以下に示した評価試験を行い、その結果を表1に示した。
<比較例3>
NY218A(三菱化学(株)社製、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、酢酸エチル溶液、樹脂固形分75%、NCO含有量10.4wt%)とプラクセル308を用いて以下に示した評価試験を行い、その結果を表1に示した。
【0035】
<評価試験>
(1)反応率
ポリイソシアネート化合物とポリオールを、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基とポリオールの水酸基の官能基数が1対1となる量添加・混合し、得られた混合物をガラス板上に乾燥膜厚3μmになるように塗布し、23℃、5分放置後と80℃、2時間後加熱後のイソシアネート基の吸収強度を赤外吸収スペクトル FT−IR(日本分光(株)製)から測定し、23℃ 5分後のイソシアネート基の吸光度を100とした時に、80℃ 2時間後のイソシアネート基の吸光度の減少度から反応率(%)を計算し表示した。
【0036】
(2)破断強度、破断伸度
ポリイソシアネート化合物とポリオールとポリイソシアネート化合物のイソシアネート基とポリオールの水酸基の官能基数が1対1.1となる量添加・混合し、離型紙上に塗布し80℃で24時間加熱し、硬化させて膜厚が100μmの塗布膜を得た。
得られた塗膜をJIS K 6301に準じテンシロンUTM−III −100((株)東洋ボールドウイン製)を用い、温度23℃、相対湿度65%の条件下で測定した。
【0037】
(3)耐溶剤性
ポリイソシアネート化合物とポリオールとポリイソシアネート化合物のイソシアネート基と水酸基の官能基数が1対1.1となる量添加・混合し、ガラス板上にに塗布し80℃で24時間加熱し、硬化させて膜厚が100μmの塗布膜を得た。
この塗膜表面を、酢酸エチルを含浸させた脱脂綿に一定の加重を負荷しながら擦り、往復を1回とし、10回擦った後の表面上対を目視で観察して判定し、結果を次のように表示した。
○:全く変化の認められないもの
△:塗膜表面の一部が溶解したもの
×:塗膜の大部分に溶解が確認されたもの
【0038】
【表1】
【0039】
上記の実施例および比較例から、次のようなことが明らかとなる。
(1)実施例2および比較例2において、ポリイソシアネート化合物▲1▼を使用すると、反応率が高くなっていることから、塗膜の硬化性が良好である。
(2)実施例3および比較例3において、ポリイソシアネート化合物▲2▼を使用すると、反応率が高くなっていることから、塗膜の硬化性が良好である。
(3)実施例1、2、3と比較例1、2、3とではいづれの場合も実施例の方が破断強度が高く良好な塗膜物性が得られている。これは、ポリイソシアネート化合物▲1▼のイソシアネート基の反応性が良好であるため、架橋が十分にかかっているためであると考えられる。従って、特に実施例2において破断伸度が比較例2よりも優れている。
【0040】
【発明の効果】
本発明のポリイソシアネート化合物は反応性に優れ、このポリイソシアネート化合物を用いたウレタン樹脂は、効果速度が速く、かつその硬化物の架橋密度が高いため、塗膜強度に優れているため、金属、プラスチック、木工用塗料、磁気記録媒体用塗料分野、および接着剤分野に好的である。
Claims (5)
- 多価ヒドロキシ化合物と請求項1に記載のポリイソシアネート化合物とを反応させてなるポリウレタン樹脂。
- 請求項3に記載のポリウレタン樹脂を含有する塗料。
- 請求項3に記載のポリウレタン樹脂を含有する接着剤。
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