JP3680258B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の排気浄化装置に関し、詳細には排気通路に配置した排気浄化触媒に必要に応じて理論空燃比またはリッチ空燃比の排気を供給する排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
リーン空燃比下で排気中のNOX を浄化する排気浄化触媒が知られている。この種の排気浄化触媒としては、例えば排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOX を吸収し、排気空燃比が理論空燃比以下に低下したときに吸収したNOX を放出するとともに還元浄化するNOX 吸蔵還元触媒や、排気中の炭化水素や還元剤成分を吸着し、リーン空燃比下で排気中のNOX と吸着した炭化水素等とを選択的に反応させてNOX を還元するNOX 選択還元触媒等がある。
【0003】
上記のようにNOX を浄化する排気浄化触媒では、例えばNOX 吸蔵還元触媒では吸収したNOX を放出、還元浄化する際に、またNOX 選択還元触媒では炭化水素等を選択還元触媒に吸着させるために、それぞれ定期的に理論空燃比またはリッチ空燃比の炭化水素等を多く含む排気を排気浄化触媒に供給する必要がある。
【0004】
ディーゼル機関等のように筒内に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁を有する機関では、主燃料噴射に加えて膨張または排気行程に追加燃料噴射を実施することにより、筒内で燃焼する(すなわち出力トルクを増大させる)ことなく燃料を気化させて排気とともに触媒に供給することが可能である。これにより、機関出力トルクの大幅な変動を生じることなく排気浄化触媒に理論空燃比またはリッチ空燃比の炭化水素等を多く含む排気を供給することが可能となる。
【0005】
追加燃料噴射により排気浄化触媒に供給する排気の空燃比を理論空燃比以下にする排気浄化装置の例としては、例えば特開平9−212961号公報に記載されたものがある。
同公報の装置では、ディーゼル機関の排気通路にNOX 吸蔵還元触媒(NOX 吸収剤)を配置し、NOX 吸蔵還元触媒からNOX を放出させる際に気筒の膨張行程または排気行程中に追加燃料噴射を行い排気空燃比を理論空燃比またはリッチ空燃比にしている。これにより、同公報の装置では気筒内で気化した燃料をNOX 吸蔵還元触媒に到達させ、NOX 吸蔵還元触媒からのNOX の放出と還元浄化とを良好に行なうようにしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ディーゼル機関などのように極めてリーンな空燃比で運転されている機関において、追加燃料噴射により排気空燃比を理論空燃比以下(理論空燃比またはリッチ空燃比)にするためには追加燃料噴射により筒内に多量の燃料を供給する必要がある。例えば、通常のディーゼル機関の常用運転領域における運転空燃比は約30程度の極めてリーン空燃比となっている。このため、排気空燃比を理論空燃比以下にするためには、主燃料噴射量と同程度の多量の燃料を追加燃料噴射で筒内に供給する必要が生じるが、追加燃料噴射により多量の燃料噴射を気筒内に噴射すると問題が生じる場合がある。
【0007】
例えば、膨張行程や排気行程に一度に多量の燃料を噴射すると、噴射された燃料が気化せずに液体のままで気筒内壁面に到達する場合がある。液体のまま気筒内壁面に到達する燃料の量が多いと、気筒内壁面に形成された潤滑油油膜が燃料により洗い流されてしまい、油膜切れによるピストンリングや気筒内壁の磨耗、焼きつき、等が生じる問題がある。(以下の説明では、このように気筒内壁面に到達した液状燃料により油膜が洗い流されて油膜切れが生じる現象を「ボアフラッシング」と称する。)
特に、膨張行程後期から排気行程初期のようにピストンが気筒内で下降位置にあるような場合には、噴射された燃料がピストンに阻止されずに直接気筒内壁面に到達しやすくなるためボアフラッシングが生じやすい。また、膨張行程後期では気筒内温度も低下しているため、追加燃料噴射で多量の燃料を噴射すると液状のまま気筒内壁に到達する燃料の量が増大して、更にボアフラッシングが生じやすくなる。ボアフラッシングの発生を防止するためには、ディーゼル機関等のように多量の追加燃料噴射を行なう場合、ピストンができるだけ上昇位置にあるとき、すなわち、気筒の圧縮行程上死点または排気行程上死点に追加燃料噴射を行なうことが好ましい。
【0008】
しかし、気筒の圧縮上死点付近で追加燃料噴射を行なうと、主燃料噴射で噴射された燃料の燃焼直後の高温時に追加燃料噴射を行なうことになり、追加燃料噴射により噴射された燃料が不完全燃焼してしまい排気スモークが発生する問題が生じる。また、排気行程上死点付近に追加燃料噴射を行なうと、気筒排気弁と吸気弁との両方が開弁するバルブオーバラップ期間付近で追加燃料噴射を行なうことになり、追加燃料噴射により噴射された燃料が吸気ポートに逆流し、吸気行程中に再度気筒内に吸入され、次サイクルの燃焼行程で燃焼するようになり、機関のトルク変動や異常燃焼を生じる原因となる。
【0009】
また、ピストンが下降位置にある場合にも、1回の膨張、排気行程中に複数回の追加燃料噴射を行い、1回の追加燃料噴射で噴射される燃料の量を少なくして、噴射された燃料が壁面に到達する前に気化するようにすればボアフラッシングは生じにくくなる。しかし、この場合には、1つの気筒行程サイクル中に複数回の追加燃料噴射を行なうために燃料噴射制御が複雑化するとともに、応答性の高い燃料噴射弁を使用する必要が生じ、装置コストが増大する問題が生じる。また、この場合には1回の追加燃料噴射で噴射できる燃料量が制限され、必要な量の燃料を気筒に供給するためには1つの気筒行程サイクル中に多数の追加燃料噴射を実行する必要があるが、機関低負荷高回転運転時等では気筒の1行程サイクル中に充分な回数の追加燃料噴射を行なうことができない場合が生じる。
【0010】
本発明は上記問題に鑑み、ボアフラッシングを生じることなく、しかも排気スモークや機関の出力変動等の問題を生じることなく簡易に、追加燃料噴射により排気浄化触媒に理論空燃比以下の空燃比の排気を供給することを可能とする排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、気筒内に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁を有する内燃機関の排気通路に配置された排気浄化触媒と、必要に応じて前記排気浄化触媒に供給される排気の空燃比を理論空燃比またはリッチ空燃比にする際に、主燃料噴射に加えて、気筒の膨張または排気行程中に前記筒内燃料噴射弁から追加燃料噴射を行う制御手段と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、前記制御手段は、前記追加燃料噴射を各気筒の複数行程サイクルにわたって行うとともに、追加燃料噴射で噴射された燃料により気筒内壁面上の潤滑油油膜切れが生じる気筒行程サイクル数を前記追加燃料噴射により噴射される燃料量と現在の機関負荷と機関回転数とに基づいて算出し、各気筒で連続して追加燃料噴射を行う各気筒の行程サイクルの数を前記潤滑油油膜切れが生じる気筒行程サイクル数より小さい数に設定する、内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0012】
すなわち、請求項1の発明では、追加燃料噴射を行なう際に1つの気筒で連続して追加燃料噴射を行なう気筒行程サイクル数を制限している。前述のように、追加燃料噴射により噴射された多量の液状燃料が気筒内壁面に到達するとボアフラッシングが生じる場合があるが、実際にはボアフラッシングは液状燃料が気筒内壁面に到達すると直ちに発生するものではない。液状燃料が直接気筒内壁面に到達すると、到達した液状燃料は壁面に付着して油膜を形成した潤滑油に混合し、潤滑油を希釈する。燃料により潤滑油が希釈されると潤滑油の粘度が低下するため油膜が形成されにくくなるが、希釈の度合いがそれほど大きくない場合には油膜が切れることはなくボアフラッシングは生じない。しかし、追加燃料噴射が複数の気筒行程サイクルにわたって連続して行なわれ、追加燃料噴射毎に液状燃料が壁面に到達するようになると、潤滑油は追加燃料噴射毎に燃料により希釈されて粘度が低下して行き、ついには油膜切れが生じるようになる。
【0013】
しかし、例えばNOX 吸蔵還元触媒からのNOX の放出、還元のために追加燃料噴射を実施するような場合には、後述するように多量の追加燃料噴射を1つの気筒につき10〜60回の気筒行程サイクルにわたって連続して行なう必要がある。このため、追加燃料噴射開始時から壁面の潤滑油は徐々に希釈され、追加燃料噴射を行なう期間の後半ではボアフラッシングが生じるようになるのである。
【0014】
本発明では、追加燃料噴射をある期間、連続して行なう場合には1つの気筒で連続して追加燃料噴射を行なう気筒行程サイクル数を、壁面の潤滑油が過度に希釈されてボアフラッシングが生じるようになるサイクル数より小さい数に制限するようにしている。
これにより、本発明では各気筒でピストンが下降位置にある場合にもボアフラッシングを生じることなく1回の追加燃料噴射で多量の燃料を噴射することが可能となる。すなわち、本発明では排気スモークや異常燃焼を生じるようなピストン上死点付近での追加燃料噴射を行なわず、最適な時期に追加燃料噴射を行いながら、1気筒行程サイクルで必要な量の燃料を1回の追加燃料噴射で気筒に供給することが可能となる。
【0015】
また、本発明では追加燃料噴射を行なう気筒行程サイクル数は、気筒内壁面の温度に応じて設定される。機関負荷が高い場合には気筒内壁温度も負荷に応じて上昇している。従って、機関負荷が高いほど潤滑油油膜温度は高くなり潤滑油粘度は低下するため希釈による潤滑油の油膜切れが生じやすくなる。
【0016】
更に、本発明では追加燃料噴射を行なう気筒行程サイクル数は、追加燃料噴射量に応じて変更される。追加燃料噴射量は、排気空燃比を理論空燃比以下にするのに必要な量に設定する必要がある。このため、機関の燃焼空燃比が高い低負荷運転時等では、追加燃料噴射量を増大させる必要がある。一方、追加燃料噴射量が多い場合には、気筒内壁に到達する液状の燃料量も増大するため、より少ない回数の追加燃料噴射で壁面の潤滑油が希釈されボアフラッシングが生じやすくなる。このため、本発明では、例えば追加燃料噴射量が増大するほど追加燃料噴射を行なう気筒行程サイクル数が少なくなるように設定する。これにより、ボアフラッシングの発生が更に確実に防止されるようになる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、前記制御手段は、更に前記気筒行程サイクル数だけ連続して追加燃料噴射を行なった後に気筒内壁面上の潤滑油油膜厚さが前記連続した追加燃料噴射を開始する前の厚さに回復するのに必要な気筒行程サイクル数を現在の機関負荷と機関回転数とに基づいて算出するとともに、前記気筒行程サイクル数だけ連続して追加燃料噴射を行った後に、前記潤滑油油膜厚さが回復するのに必要な気筒行程サイクルだけ追加燃料噴射を休止する、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0018】
すなわち、請求項2の発明では追加燃料噴射はボアフラッシングが生じない数の気筒行程サイクルの間連続して行なわれた後は、希釈により低下した潤滑油粘度が回復し、油膜厚さが追加燃料噴射開始前の状態に戻るまで休止される。
追加燃料噴射が停止されると、壁面の潤滑油に混入した燃料の気化や新規に壁面に供給される潤滑油等により、壁面の潤滑油の粘度は増大して油膜厚さが徐々に増大して行く。本発明では、油膜厚さが回復するまで追加燃料噴射を休止するようにしたことにより、休止期間の経過後は再度追加燃料噴射を開始してもボアフラッシングが生じない。
例えば、気筒内壁温度が高いほど、壁面の潤滑油に混入した燃料は追加燃料噴射停止時に蒸発しやすくなり、油膜の厚さが回復する時間が短くなる。このため、本発明では、例えば機関負荷が高いほど追加燃料噴射を休止する気筒行程サイクル数が少くなるように設定される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を自動車用ディーゼル機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
図1において、1は自動車用内燃機関を示す。本実施形態では機関1は#1から#4の4つの気筒を備えた4気筒ディーゼル機関とされ、各気筒には気筒内に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁111が設けられている。燃料は高圧燃料噴射ポンプ113から各燃料噴射弁111が接続されたコモンレール(蓄圧室)115に圧送され、コモンレールから各燃料噴射弁111により各気筒内に所定のタイミングで噴射される。
【0020】
図1において20は各気筒の吸気ポートを吸気通路2に接続するサージタンク、31は各気筒の排気ポートを排気通路3に接続する排気マニホルドである。
本実施形態では、機関1の過給を行なう過給機35が設けられており、排気通路3は過給機35の排気出口に、吸気通路2は過給機35の吸気吐出口に、それぞれ接続されている。また、吸気通路2には過給機35から供給される吸気の冷却を行なうインタークーラ26及び吸気絞り弁27が設けられている。吸気絞り弁27は、機関アイドル運転時等に機関吸入空気量を絞り、機関の燃焼を安定させるため等に使用される。
【0021】
図1において、33は機関排気マニホルド31と吸気系のサージタンク20とを接続し機関排気の一部を吸気系に還流するEGR通路、45はEGR通路を通る排気を冷却するEGRクーラ、23はEGR通路に配置されたEGR弁である。EGR弁23はステッパモータ、負圧アクチュエータ等の適宜なアクチュエータ(図示せず)を備え、後述するECU30からの信号に応じた開度をとりEGR通路33を通って吸気系に還流する排気(EGRガス)流量を機関運転状態に応じて制御するものである。
【0022】
図1に70で示すのは、排気通路3に配置されたNOX 吸蔵還元触媒である。本実施形態のNOX 吸蔵還元触媒70は、例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa 、リチウムLi 、セシウムCs のようなアルカリ金属、バリウムBa 、カルシウムCa のようなアルカリ土類、ランタンLa 、セリウムCe、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つの成分と、白金Ptのような貴金属とを担持したものである。NOX 吸蔵還元触媒は流入する排気ガスの空燃比がリーンのときに、排気中のNOX (NO2 、NO)を硝酸イオンNO3 - の形で吸収し、流入排気ガスがリッチになると吸収したNOX を放出するNOX の吸放出作用を行う。
【0023】
この吸放出のメカニズムについて、以下に白金PtおよびバリウムBaを使用した場合を例にとって説明するが他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類、希土類を用いても同様なメカニズムとなる。
流入排気中の酸素濃度が増大すると(すなわち排気の空燃比がリーン空燃比になると)、これら酸素は白金Pt上にO2 - またはO2-の形で付着し、排気中のNOX は白金Pt上のO2 - またはO2-と反応し、これによりNO2 が生成される。また、流入排気中のNO2 及び上記により生成したNO2 は白金Pt上で更に酸化されつつ吸収剤としての酸化バリウムBaOと結合しながら硝酸イオンNO3 - の形で吸収剤内に拡散する。このため、リーン雰囲気下では排気中のNOX がNOX 吸蔵還元触媒内に硝酸塩の形で吸収されるようになる。
【0024】
また、流入排気中の酸素濃度が低下すると(すなわち、排気の空燃比が低下すると)、白金Pt上でのNO2 生成量が減少するため、反応が逆方向に進むようになり、吸収剤内の硝酸イオンNO3 - はNO2 の形でNOX 吸蔵還元触媒から放出されるようになる。この場合、排気中にHC、CO等の成分が存在すると白金Pt上でこれらの成分によりNO2 が還元される。
【0025】
本実施形態では、機関1としてディーゼル機関が使用されているため機関排気は通常リーン空燃比であり、NOX 吸蔵還元触媒70は排気中のNOX を吸収する。しかし、NOX 吸蔵還元触媒に吸収されたNOX 量が増大すると吸収剤(BaO等)が硝酸イオンで飽和してしまい、NOX 吸蔵還元触媒が排気中のNOX を吸収できなくなる。そこで、本実施形態ではNOX 吸蔵還元触媒に一定のタイミングで未燃燃料を多く含むリッチ空燃比の排気を供給し、NOX 吸蔵還元触媒がNOX で飽和する前に吸収したNOX を放出させ、還元浄化するようにしてNOX 吸蔵還元触媒のNOX 吸収能力の低下を防止している。
【0026】
図1に30で示すのは機関1の電子制御ユニット(ECU)である。ECU30は、本実施形態ではRAM、ROM、CPUを備えた公知の構成のマイクロコンピュータとされ、機関1の燃料噴射制御等の基本制御を行なう他、後述するようにNOX 吸蔵還元触媒70から吸収したNOX を放出させるべきときに、機関1の各気筒に追加燃料噴射を行って排気空燃比を理論空燃比以下にする操作を行う。
【0027】
これらの制御を行なうため、ECU30の入力ポートには、機関吸気通路に設けられたエアフローメータ25から機関吸入空気量に対応した信号が、また、コモンレール115に設けた燃料圧力センサ51からコモンレール燃料圧力に対応した信号が、それぞれ図示しないADコンバータを介して入力されている他、機関クランク軸(図示せず)近傍に配置された回転数センサ55から機関クランク軸一定回転角毎にパルス信号が入力されている。更に、本実施形態では、ECU30の入力ポートには機関1のアクセルペダル(図示せず)近傍に配置したアクセル開度センサ57から運転者のアクセルペダル踏込み量(アクセル開度)を表す信号が入力されている。
【0028】
ECU30は、所定間隔毎にエアフローメータ25出力とアクセル開度センサ57出力及び燃料圧力センサ51出力をAD変換して吸入空気量Gとアクセル開度ACCP、コモンレール圧力PFとしてECU30のRAMの所定領域に格納するとともに、回転数センサ55からのパルス信号の間隔から機関回転数NEを算出し、RAMの所定の領域に格納している。ECU30は、アクセル開度センサ57で検出されたアクセル開度ACCPと機関回転数NEとに基づいて予めROMに格納した関係に基づいて機関基本燃料噴射量を算出し、この基本燃料噴射量に機関運転状態に応じた補正を加えて機関の主燃料噴射量QKを設定する。なお、本発明では主燃料噴射量の設定方法には特に制限はなく、ディーゼル機関における公知の設定方法のいずれをも使用することができる。
【0029】
一方、ECU30の出力ポートは、各気筒への燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御するために、図示しない燃料噴射回路を介して各気筒の燃料噴射弁111に接続されている他、高圧燃料ポンプ113を制御して、高圧燃料ポンプからコモンレール115への燃料圧送量を制御している。ECU30は、後述するように燃料圧センサ51で検出したコモンレール燃料圧力PFが機関運転条件に応じて定まる目標圧力に一致するように高圧燃料ポンプ113の吐出量(燃料圧送量)を制御する。ECU30の出力ポートは更に、図示しない駆動回路を介してEGR弁23のアクチュエータに接続され、EGR弁23を通過するEGRガス量を制御している。
【0030】
次に、本実施形態における追加燃料噴射について説明する。
本実施形態では、ECU30はNOX 吸蔵還元触媒70に吸収されたNOX の量を推定し、このNOX 吸収量が予め定めた値(例えばNOX 吸蔵還元触媒70が吸収したNOX で飽和する量の約70パーセント程度)に到達する毎に各気筒で追加燃料噴射を行い、NOX 吸蔵還元触媒70からNOX を放出させ還元浄化する。
【0031】
NOX 吸蔵還元触媒70に吸収されたNOX 量は、例えば機関運転状態に基づいて推測することができる。機関で単位時間当たりに生成されるNOX 量は機関負荷、回転数等の機関運転状態により定まる。また、NOX 吸蔵還元触媒70に単位時間当たりに吸収されるNOX 量は、機関から単位時間当たりに放出されるNOX 量、すなわち機関の単位時間当たりのNOX 生成量に所定の係数を乗じた値となる。そこで、本実施形態では、予め機関燃料噴射量(負荷)と回転数との組合せを変えて実験を行い、機関が単位時間当たりに放出するNOX 量を計測しておき、このNOX 量と機関負荷、回転数との関係をECU30のROMに格納してある。そして、機関運転中に一定時間(上記単位時間)毎に実際の燃料噴射量と機関回転数とに基づいて、単位時間当たりに機関から放出されるNOX 量を算出し、このNOX 量に所定の係数を乗じた値を積算する。これにより、算出された積算値は、NOX 吸蔵還元触媒に吸収されたNOX 量に一致するようになる。なお、追加燃料噴射が行われてNOX 吸蔵還元触媒70から吸収したNOX が放出された後はNOX 吸蔵還元触媒70のNOX 吸収量は0にリセットされ、再度NOX 吸収量の積算が開始される。
【0032】
なお、NOX 吸蔵還元触媒70のNOX 吸収量が増大するにつれて、NOX 吸蔵還元触媒70下流側の排気中のNOX 濃度が増大する。そこで、上記のように機関運転状態に基づいてNOX 吸蔵還元触媒70のNOX 吸収量を推定する代りに、例えばNOX 吸蔵還元触媒70の下流側排気通路に排気中のNOX 濃度を検出可能なNOX センサを配置し、このNOX センサで検出したNOX 濃度が所定値以上になったときに、NOX 吸蔵還元触媒70に吸収されたNOX 量が増大したと判断して追加燃料噴射を実施するようにしても良い。
【0033】
ECU30は、上記によりNOX 吸蔵還元触媒70のNOX 吸収量が増大したと判断されたときに、各気筒の燃料噴射弁111から主燃料噴射に加えて追加燃料噴射を行うことにより、機関1の排気空燃比をリッチ空燃比にしてNOX 吸蔵還元触媒70から吸収したNOX を放出させる。
本実施形態では、各気筒の追加燃料噴射時期と燃料噴射量とは、以下に説明するように設定される。
(1)燃料噴射量
本実施形態では、エアフローメータ25で計測した機関の吸入空気量、機関の主燃料噴射における燃料噴射量と追加燃料噴射により機関に供給された燃料との合計との比(すなわち排気空燃比)が予め定めた理論空燃比以下の空燃比(本実施形態では、理論空燃比に近いリッチ空燃比とされる)になるように追加燃料噴射量が決定される。
【0034】
すなわち、ECU30はエアフローメータ25で計測した機関の吸入空気量(グラム/秒)と機関回転数とに基づいて、機関1回転当たりの機関吸入空気量G(グラム/回転)を算出する。
次いで、ECU30はアクセル開度と機関回転数とに基づいて各燃料噴射弁111からの1回当たりの主燃料噴射量を算出し、気筒数の1/2を乗じて機関1回転当たりに主燃料噴射により機関に供給される燃料合計量Q(グラム/回転)を算出する。
【0035】
機関1回転当たりに追加燃料噴射により機関1に供給すべき燃料量QAは、吸入空気量Gと全気筒の主燃料噴射合計量Qとに基づいて、
QA=(G/AF)−Q
として算出される。ここで、AFは追加燃料噴射により到達すべき目標空燃比である。
【0036】
各燃料噴射弁111から、機関1行程サイクル当たりに追加燃料噴射により供給すべき燃料量QAi は、上記QAを気筒数Nの1/2(本実施形態ではN=4)で割った値、すなわちQAi =QA/(N/2)となる。
(2)追加燃料噴射時期
追加燃料噴射の噴射時期は以下の条件を満たす必要がある。
【0037】
▲1▼ 主燃料噴射終了から最初の追加燃料噴射開始までの間に充分な間隔があること。
▲2▼ 追加燃料噴射終了から排気行程終期に吸気弁が開弁するまでの間に充分な間隔があること。
上記▲1▼の条件は、追加燃料噴射により噴射された燃料が気筒内で燃焼することを防止するためである。主燃料噴射終了直後は主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼により気筒内温度が極めて高くなっている。このため、主燃料噴射終了直後に追加燃料噴射を行うと、噴射された燃料は気筒内で燃焼して機関出力トルクの変動(増大)を生じたり、或いは燃焼しない場合も気筒内の高温により排気スモークを生成したりする場合がある。このため、本実施形態では、主燃料噴射終了後気筒内温度が噴射燃料の燃焼やスモークの発生を生じない程度まで低下してから第1回の追加燃料噴射を実施するようにしている。経験上、追加燃料噴射は、主燃料噴射開始後クランク角で30度(30°CA)程度経過後に行えば燃料の燃焼やスモークの発生を生じないことが判明している。従って、本実施形態では、追加燃料噴射を主燃料噴射開始後30°CA以後に実施する。
【0038】
上記▲2▼の条件は、追加燃料噴射により噴射された燃料が気筒内に残留することを防止するためである。吸気弁が開弁する時期(バルブオーバラップが生じる時期)に近い時点で追加燃料噴射を行なうと、噴射された燃料の一部は一旦吸気ポートに逆流し、その後、次の吸気行程で再度気筒内に流入するようになる。このため、追加燃料噴射により噴射された燃料の一部が排気ポートから排出されずに気筒内に残留することになり、残留燃料の燃焼により異常燃焼が生じたり機関出力トルクの変動が生じるようになる。これを防止するためには、追加燃料噴射は吸気弁開弁時期より充分前に、例えば吸入弁開弁開始より30°CA以上前に実施する必要がある。本実施形態では、このため追加燃料噴射時期は吸気弁開弁時期より30°CA以上前に設定する。
【0039】
上述のように、本実施形態では機関運転状態(アクセル開度、回転数、吸入空気量)から追加燃料噴射量QAi が定まる。ところが、追加燃料噴射時期を、機関出力トルク変動や異常燃焼、排気スモーク等が発生しない最適な時期(例えば主燃料噴射量終了時期から30°CA以上後で吸気弁開弁開始時期より30°CA以上前)に設定すると、ピストンがかなり下降位置にある状態で各気筒に追加燃料噴射を行なう必要が生じる。しかも、QAi の量の燃料をこの時期に追加燃料噴射として気筒内に供給すると、噴射された燃料はピストンに阻止されることなく液状のまま直接気筒内壁面に到達してしまう。
【0040】
NOX 吸蔵還元触媒70からのNOX の放出、還元浄化のためには通常NOX 吸蔵還元触媒70に0.5〜3秒程度の時間理論空燃比以下の排気を供給する必要がある。このため、例えば機関1が2400rpm程度の回転数で運転されている場合を例にとると、この間に機関の各気筒は吸気−圧縮−膨張−排気の気筒行程サイクルを10〜60回繰り返すことになる。本実施形態では、各気筒行程サイクルのうち膨張または排気行程に1回ずつ追加燃料噴射を行なうため、NOX 吸蔵還元触媒70からの1回のNOX の放出、還元浄化操作毎に各気筒で10〜60回連続して追加燃料噴射が行なわれることになる。このため、追加燃料噴射により気筒内壁面の潤滑油油膜が洗い流されてしまい、ボアフラッシングが生じる場合がある。
【0041】
そこで、本実施形態では、各気筒で連続して追加燃料噴射を行なう気筒行程サイクル数を、潤滑油の希釈により油膜切れが生じない数N1 に制限するとともに、N1 回連続して追加燃料噴射を行なった後は油膜の厚さを回復するのに必要な気筒行程サイクル数N2 だけ追加燃料噴射を休止するようにしている。これにより、追加燃料噴射時期を機関の運転に影響を与えない最適な期間(例えば主燃料噴射終了後30°CAから吸気弁開弁前30°CA)内に予め固定して、各気筒行程サイクルで1回のみ追加燃料噴射を行なうようにしながら、ボアフラッシングの発生を完全に防止することが可能となる。
【0042】
以下、本実施形態の追加燃料噴射制御について具体的に手順を追って説明する。
▲1▼ ECU30は、機関運転中に前述した方法でNOX 吸蔵還元触媒70に吸収されたNOX 量を監視し、NOX 量が所定値に到達したときに各気筒の追加燃料噴射を開始する。
【0043】
▲2▼ このとき、ECU30は、機関負荷(アクセル開度)と回転数とから予め定めた方法で算出される主燃料噴射量と機関吸入空気量とから、前述した計算により、各気筒の1回当たりの追加燃料噴射量QAi を算出する。
▲3▼ 更に、ECU30は現在の機関負荷(アクセル開度)と回転数、及び上記により算出した追加燃料噴射量QAi とに基づいて、ボアフラッシングを生じないで追加燃料噴射を連続して行なうことができる気筒行程サイクル数N1 と、追加燃料噴射を連続して実行した後に油膜厚さを回復させるために必要とされる追加燃料噴射休止の気筒行程サイクル数N2 とを算出する。
【0044】
前述したように、機関負荷が高く気筒内壁面温度が高くなっている場合には、潤滑油の粘度が低下しており追加燃料噴射を行なわなくても油膜厚さは薄くなっている。このため、機関負荷が高い場合には追加燃料噴射により油膜切れが生じやすくなっており、連続して追加燃料噴射を行なう気筒行程サイクル数を少なくする必要がある。従って、本実施形態では連続気筒行程サイクル数N1 は機関負荷(気筒内壁面温度)が高いほど小さく、低い程大きくなる。
【0045】
一方、連続気筒行程サイクル数N1 は追加燃料噴射量QAi によっても変更する必要がある。追加燃料噴射量QAi が大きければ1回の気筒行程サイクル中に壁面の潤滑油に混入する燃料量も多くなるため、QAi が小さい場合に較べて少ない気筒行程サイクル数でボアフラッシングが生じるためである。このため、本実施形態では、機関負荷が同一の場合でも追加燃料噴射量QAi が大きいほどN1 は小さく設定される。
【0046】
本実施形態では、予め追加燃料噴射量QAiと機関負荷、回転数とを変えて実際の機関の運転を行い、それぞれの追加燃料噴射量QAiと機関負荷とにおいて、ボアフラッシングを生じずに連続して追加燃料噴射を実施可能な最大気筒行程サイクル数N1を実験により求めてある。そして、実験により求めた気筒行程サイクル数N1は追加燃料噴射量QAiと機関負荷(アクセル開度)、回転数とをパラメータとした数値テーブルの形にしてECU30のROMに格納してある。ECU30は、現在の機関負荷(アクセル開度)、回転数、必要とされる追加燃料噴射量QAiとに基づいて上記数値テーブルからN1を決定する。
【0047】
一方、機関負荷が高く気筒内壁面温度が高い場合には潤滑油に混入した燃料は蒸発しやすくなっており、温度が低い場合に較べて短時間で壁面の潤滑油粘度が増大し油膜厚さが回復する。このため、本実施形態では追加燃料噴射を休止する気筒行程サイクル数N2 は機関負荷が高い程小さく、低い程大きくなるように設定される。
【0048】
本実施形態では、実際の機関を運転して、機関負荷、回転数とを変えて連続追加燃料噴射実施後に油膜厚さが追加燃料噴射開始前の厚さ(すなわち、通常運転時の油膜厚さ、例えば5〜10マイクロメートル程度の厚さ)に回復するまでの気筒行程サイクル数N2を計測してあり、計測したN2の値は機関負荷と回転数とをパラメータとした数値テーブルの形でECU30のROMに格納してある。ECU30は、現在の機関負荷(アクセル開度)と回転数とに基づいて上記数値テーブルから休止気筒行程サイクル数N2を決定する。
【0049】
▲4▼ 上記により、連続気筒行程サイクル数N1 と休止気筒行程サイクル数N2 とを算出すると、ECU30はNOX 吸蔵還元触媒70からのNOX の放出と還元とを行なう期間の間、各気筒でN1 回の気筒行程サイクルの追加燃料噴射実施とその後N2 回の気筒行程サイクルの休止とを繰り返す。
図2、図3は各気筒における追加燃料噴射実施サイクルと休止サイクルの設定を示すタイミング図である。
【0050】
図2は、各気筒の追加燃料噴射実施サイクルと休止サイクルとを一致させた場合を示す。図2において、Iは追加燃料噴射を実施する期間(気筒行程サイクル数N1 に相当する期間)、Rは追加燃料噴射を休止する期間(気筒行程サイクル数N2 に相当する期間)を示す。この場合には、各気筒の追加燃料噴射実施サイクルと休止サイクルとが一致するため、機関1の排気は各気筒で追加燃料噴射が休止される期間にはリーン空燃比となる。
【0051】
一方、図3は各気筒の追加燃料噴射期間Rが同時に生じないようにそれぞれの気筒の追加燃料噴射期間Rをずらして設定した場合を示す。この場合には、各気筒の追加燃料噴射休止サイクルが一致しないため、機関1の排気がリーン空燃比になる期間が生じない。
なお、図3のように、各気筒の追加燃料噴射休止サイクルをずらして設定する場合には、1つの気筒が追加燃料噴射を休止している期間は、残りの気筒の追加燃料噴射量を増量して、機関1の排気空燃比が変動することを防止するようにしても良い。この場合、本実施形態では4気筒機関が使用されているため、各気筒の燃料噴射量を前述の方法で算出した追加燃料噴射量QAi に設定したままだと、1つの気筒が追加燃料噴射を休止している場合には、機関に追加燃料噴射により供給される燃料量は必要量の3/4になってしまう。このため、1つの気筒で追加燃料噴射を休止する場合には他の気筒の追加燃料噴射量を通常のQAi に対して、QAi ×(4/3)に増量すれば、NOX 吸蔵還元触媒70に流入する排気空燃比が変動することを防止することができる。
【0052】
なお、上記のように追加燃料噴射を行なう場合のコモンレール燃料圧力の制御について簡単に説明する。
コモンレール115に燃料を圧送する高圧燃料ポンプ113は、通常プランジャタイプのポンプとされ、間欠的にコモンレール115に燃料を圧送している。また、燃料圧送は、各気筒の燃料噴射終了毎に行なわれる。このため、高圧燃料ポンプの吐出量(燃料圧送量)は、正確に1回の燃料噴射によりコモンレールから流出する燃料量を補うことができる量に設定する必要がある。
【0053】
通常、燃料ポンプの圧送量QFは、次回の1気筒分の燃料噴射量QKに補正係数fを乗じた値に設定される。すなわちQF=QK×fとなる。
補正係数fは、例えば機関運転条件の変化によりコモンレール圧力を変化させなければならない場合に、それに応じて燃料圧送量QFを変化させるためのものである。例えば、QF=QKとして常に燃料噴射量でコモンレールから流出するのと同量の燃料をコモンレールに圧送していたのでは、コモンレール圧力を一定に維持することはできるがコモンレール圧力を機関運転状態に応じて変化させることはできない。そこで、本実施形態ではECU30は燃料噴射実施毎に噴射後のコモンレール圧力を燃料圧力センサ51で検出し、検出した燃料噴射終了後の実際のコモンレール圧力に基づいて、次回の燃料圧送量を算出する際の補正係数fを設定する。すなわち、補正係数fの値は、機関運転条件に応じて定まる目標コモンレール圧力と前回の噴射終了後の実際の燃料圧力との偏差に応じて予め定めた関係に基づいて決定される。これにより、例えば目標コモンレール圧力と燃料噴射終了後の実際の燃料圧力との偏差が増大しているような場合(目標コモンレール圧力が上昇したような場合)には偏差に応じて補正係数fが1より大きい値に設定され、コモンレールへの燃料圧送量が増大される。
【0054】
また、ECU30は燃料噴射終了後に検出した実際のコモンレール圧力を予め定めたリーク判定値と比較し、燃料噴射終了後の実際のコモンレール圧力がリーク判定値より低くなった場合には、燃料系からの燃料リークがあると判断し、機関停止等のフェイルセーフ処置をとる。
ところが、追加燃料噴射時には通常の燃料噴射に加えて、追加燃料噴射が行なわれるため、燃料圧送量QFをQF=QK×fの計算式で設定するとコモンレール圧力が通常以上に低下することになる。すなわち、追加燃料噴射実施時には、通常の燃料噴射量QKに加えて、1気筒当たりQAi の追加燃料噴射量がコモンレールから流出するため、追加燃料噴射実施時にもQKのみに基づいて燃料圧送量を設定すると、燃料噴射終了後にコモンレール圧力が大きく低下してリーク判定値より低くなる場合が生じる。このため、追加燃料噴射実施時には、実際には燃料系には異常は生じていないにもかかわらず、燃料リークが生じたと誤判定されてしまい、機関停止が行なわれる可能性がある。
【0055】
そこで、本実施形態では、追加燃料噴射実施時には追加燃料噴射によりコモンレールから流出する燃料量を考慮して燃料圧送量QFを設定する。
すなわち、本実施形態では、通常運転時(追加燃料噴射を実施しない場合)には、燃料圧送量QFは、前述したようにQF=QK×fとして設定されるが、次回に燃料噴射を行なう気筒が追加燃料噴射を実施する場合には、燃料噴射量QKに追加燃料噴射量QAi を加えた値を用いて、QF=(QK+QAi )×fとして、燃料圧送量を算出する。これにより、次に燃料噴射を行なう気筒が追加燃料を実施する場合にも、コモンレールから流出する燃料量の合計とコモンレールに圧送される燃料量とが正確に対応するようになるため、燃料噴射終了時に燃料圧力が過度に低下して燃料リークの誤判定がなされることが防止される。
【0056】
なお、図1の実施形態では、排気浄化触媒としてNOX 吸蔵還元触媒を用いた場合を例にとって説明したが、本発明は、排気空燃比をリーンから理論空燃比以下に定期的に変化させる必要がある排気浄化触媒であれば、他の触媒を用いた場合にも適用可能である。
【0057】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、気筒膨張行程または排気行程に追加燃料噴射を行なう際に、気筒行程サイクル当たりで1回の追加燃料噴射を行いながら、排気スモークの発生や機関出力変動等を生じることなくボアフラッシングの発生を防止することが可能となる。このため、各請求項に記載の発明では、装置コストの増大を抑制しながら簡易な制御で最適な時期に追加燃料噴射を行なうことが可能となる共通の効果を得ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用ディーゼル機関に適用した実施形態の概略構成を説明する図である。
【図2】追加燃料噴射休止期間の設定の一例を示すタイミング図である。
【図3】追加燃料噴射休止期間の設定の別の例を示すタイミング図である。
【符号の説明】
1…ディーゼル機関
3…排気通路
30…電子制御ユニット(ECU)
70…NOX 吸蔵還元触媒
111…燃料噴射弁
115…コモンレール

Claims (2)

  1. 気筒内に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁を有する内燃機関の排気通路に配置された排気浄化触媒と、
    必要に応じて前記排気浄化触媒に供給される排気の空燃比を理論空燃比またはリッチ空燃比にする際に、主燃料噴射に加えて、気筒の膨張または排気行程中に前記筒内燃料噴射弁から追加燃料噴射を行う制御手段と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、
    前記制御手段は、前記追加燃料噴射を各気筒の複数行程サイクルにわたって行うとともに、追加燃料噴射で噴射された燃料により気筒内壁面上の潤滑油油膜切れが生じる気筒行程サイクル数を前記追加燃料噴射により噴射される燃料量と現在の機関負荷と機関回転数とに基づいて算出し、各気筒で連続して追加燃料噴射を行う各気筒の行程サイクルの数を前記潤滑油油膜切れが生じる気筒行程サイクル数より小さい数に設定する、内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記制御手段は、更に前記気筒行程サイクル数だけ連続して追加燃料噴射を行なった後に気筒内壁面上の潤滑油油膜厚さが前記連続した追加燃料噴射を開始する前の厚さに回復するのに必要な気筒行程サイクル数を現在の機関負荷と機関回転数とに基づいて算出するとともに、前記気筒行程サイクル数だけ連続して追加燃料噴射を行った後に、前記潤滑油油膜厚さが回復するのに必要な気筒行程サイクルだけ追加燃料噴射を休止する、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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