JP3680004B2 - 加工性に優れた薄肉化深絞りしごき缶用鋼板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は薄肉化深絞りしごき缶に用いられる鋼板(例えば、樹脂フィルムラミネート鋼板などの形態で用いられる)であって、特に製缶時の加工性に優れた薄肉化深絞りしごき缶用鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】
スチール製飲料缶のうち、缶内部が陽圧状態で流通する陽圧缶には、主としてDI(Drawn and Ironing)缶および薄肉化深絞りしごき缶が用いられている。DI缶は、錫鍍金鋼板を素材とし、深絞り加工したカップの側壁部をしごき加工して製缶される。このしごき加工の際、鋼板表面に存在する錫は比較的柔らかく且つ融点の低い金属であるため、固体潤滑作用を発揮する。また、しごき加工の際は潤滑剤を絶えず供給しつつ加工する。そのため、DI缶の加工では工具と鋼板の間での摩擦が低減されて材料にかかる加工応力が低下するため、高い加工度で加工することができる。
【0003】
一方、薄肉化深絞りしごき缶はDI缶とは加工方法が大きく異なり、例えば、樹脂フィルムラミネート鋼板を素材とし、特開平6−312223号公報などに開示されているように、絞り加工、再絞り加工を行う薄肉化深絞りしごき加工という加工方法で製缶される。この薄肉化深絞りしごき加工では、絞り加工したカップを再絞りする際に、加工コーナーの曲率半径の小さいダイスを用いて側壁部を曲げ−曲げ戻しすることによって缶壁部の厚みを減少させる、いわゆる薄肉化深絞り加工と、しごき加工とを組み合せることで、より高い加工度を得ている。
【0004】
このように、DI缶と薄肉化深絞りしごき缶とでは加工方法が全く異なるため、薄肉化深絞りしごき缶に用いる鋼板としては、この加工方法に適した特有の鋼板が必要となる。
薄肉化深絞りしごき加工に適した鋼板として、例えば特開平10−44318号公報では、C:0.008〜0.06mass%、Si≦0.05mass%、Mn≦0.9mass%、P≦0.04mass%、S≦0.04mass%、Al:0.04〜0.12mass%、N:≦0.0015〜0.0050mass%、必要に応じてB:0.0005〜0.005mass%を含有する鋼を用い、過時効処理を含まない連続焼鈍を行うことによって原板の結晶粒径を8μm以下とし、ポリエステル樹脂を被覆した鋼板の降伏点伸びを5%以下とした、薄肉化深絞りしごき缶用樹脂フィルムラミネート鋼板を開示している。
【0005】
上記技術は、薄肉化深絞りしごき加工において樹脂フィルムラミネート鋼板を用いる際に問題となる加工に伴う肌荒れを、結晶粒径を所定の大きさ以下にすることで解決している。また、ラミネート処理が加熱下で行われるために問題となる降伏点伸びをBの添加などで解消している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、薄肉化深絞りしごき缶に関してより一層のコスト低減化が求められており、このようなコスト低減化に対応して缶体のさらなる軽量化が検討されている。缶体の軽量化を行なうためには、従来にも増して高い加工度で製缶を行ない、缶壁部の厚みをより減少させる必要がある。しかし、薄肉化深絞りしごき加工は、加工コーナーの曲率半径の小さいダイスを用いて側壁部を曲げ−曲げ戻しによる薄肉化した状態でしごき加工を行なうため、 DI缶と比較して材料にとって極めて過酷な加工条件であると言える。その加工度は相当歪みで1以上に及ぶが、このような高い加工度で薄肉化深絞りしごき加工を行った場合、材料によっては加工中に側壁部が破断して目的の加工度が得られない場合がある。
【0007】
そして、このような高い加工度を得ることは、上述した特開平6−312223号公報や特開平10−44318号公報に開示されている技術をもってしても困難である。
このように近年求められている高い加工度の薄肉化深絞りしごき加工において、薄肉化深絞りしごき加工中に側壁部が破断することなく、目的の加工度で加工を行うことができる優れた薄肉化深絞りしごき加工性を備えた鋼板は未だ開発されていないのが現状である。
【0008】
したがって本発明の目的は、加工性に優れた薄肉化深絞りしごき缶用鋼板、特に製缶時の最高加工度が相当歪みで1以上であるような高い加工度での薄肉化深絞りしごき加工性に優れた鋼板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、優れた薄肉化深絞りしごき加工性が得られる加工条件とこれを可能とする素材鋼板の条件について詳細に検討した結果、薄肉化深絞りしごき加工において高い加工度を得るためには、加工中に側壁部に作用する加工応力と側壁部の強度とのバランスを制御することが重要であり、この加工応力と強度とのバランスを制御するためには鋼板の薄肉化深絞りしごき加工前の引張り強度と、加工に伴う加工硬化の挙動とを特定の関係に制御すればよいこと、さらには、この鋼板の薄肉化深絞りしごき加工前の引張り強度と加工に伴う加工硬化の挙動とを特定の関係に制御するには、鋼板の化学成分を最適化するとともに、鋼板中の炭化物を特定の形態に析出させればよいことを知見した。
【0010】
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下のような特徴を有する。
[1] C:0.010〜0.06mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Sol.Al:0.01〜0.10mass%、N:0.0005〜0.007mass%、残部が鉄および不可避的不純物からなり、鋼板の圧延方向での断面において、結晶粒内の炭化物の平均粒径が0.2〜1.5μmであり且つ炭化物密度が1.0×104〜2.0×105個/mm2であり、引張り強度TS(MPa)と、相当歪みε eq が1となる加工による引張り強度上昇量ΔTS(MPa)とがΔTS>0.388・TS+105の関係を満たすことを特徴とする加工性に優れた薄肉化深絞りしごき缶用鋼板。
【0011】
[2] 上記[1]の薄肉化深絞りしごき缶用鋼板において、引張り強度TS(MPa)と、相当歪みε eq が1となる加工による引張り強度上昇量ΔTS(MPa)とがΔTS>0.388・TS+138の関係を満たすことを特徴とする加工性に優れた薄肉化深絞りしごき缶用鋼板。
[3] 上記[1]または[2]の薄肉化深絞りしごき缶用鋼板において、さらに、B:0.0004〜0.01mass%を含有し、B/Nが原子比で0.8以上であることを特徴とする加工性に優れた薄肉化深絞りしごき缶用鋼板。
である。
【0012】
以下、本発明の詳細と限定理由について説明する。
まず最初に、薄肉化深絞りしごき加工性において重要な要素である鋼板の加工前の引張り強度と、加工に伴う加工硬化の挙動との関係について説明する。
本発明者らは、化学成分、熱間圧延条件、冷間圧延条件、焼鈍条件、調質圧延条件などを広く変化させた鋼板を試作し、鋼板の特性と薄肉化深絞りしごき加工性との関係を詳細に調査した。その結果、通常の引張り試験で得られ、加工前の原板を評価する機械特性値である降伏強度、降伏点伸び、引張り強度、全伸び、均一伸び、局部伸びなど、さらにはランクフォード値(r値)、加工硬化指数(n値)、硬さ試験などでは、それらの単独或いは2つ以上を組み合わせた指標を用いたとしても、薄肉化深絞りしごき加工性との間に明確な相関関係を見い出すことはできなかった。
【0013】
この理由としては、薄肉化深絞りしごき加工は、上述したように加工コーナーの曲率半径の小さいダイスを用いて側壁部の曲げ−曲げ戻しによる薄肉化を行った状態で、しごき加工を複合的に行なう複雑な加工であるため、通常の機械特性値やその組み合わせではその加工性を十分に評価できないことが考えられる。また、通常の引張り試験で評価する加工度は相当歪みで概ね0.3〜0.4程度であるのに対して、薄肉化深絞りしごき加工において加工性が問題となる加工度は相当歪みで1以上と高い加工度であるため、通常の引張り試験などで得られる機械特性値では薄肉化深絞りしごき加工での加工性を十分に反映した指標を得ることができないものと考えられる。
【0014】
そこで本発明者らは、薄肉化深絞りしごき加工において加工性を支配すると考えられる要素について詳細な調査、検討を行った。その結果、薄肉化深絞りしごき加工において高い加工度を得ようとした場合、加工中の側壁部には加工度に応じて高い加工応力が作用するようになり、その加工応力に側壁部の強度が耐えられなくなる状況に至ることで側壁部の破断が発生することを突き止め、さらに加工応力と加工中の材料強度との関係について以下のような知見を得た。
【0015】
まず、実験により様々な引張り強度を持つ鋼板を用いて薄肉化深絞りしごき加工を行なった結果、鋼板の加工前の引張り強度が比較的低い鋼板では、加工中の加工応力は低下するものの、一方で缶体側壁部の強度も低くなる傾向があり、必ずしも高い加工度が得られるわけではなかった。これに対して、加工前の引張り強度が比較的高い鋼板では、加工中の加工応力は高くなるものの、一方で缶体側壁部の強度も高くなる傾向があり、必ずしも得られる加工度が低いとは限らなかった。すなわち、単に加工前の鋼板の引張り強度を制御することだけでは、薄肉化深絞りしごき加工性を向上させることは困難であることが判った。
【0016】
そこでさらに、加工応力と側壁部の強度との関係を検討した結果、鋼板の加工前の引張り強度とともに、加工に伴う加工硬化の挙動を同時に制御することにより、高い加工度における薄肉化深絞りしごき加工性を向上させることができること、具体的には、鋼板の加工前の引張り強度に対して加工中の側壁部の硬化が十分に大きい場合に側壁部が加工応力に耐えることができ、結果として高い加工度を達成できることを見い出した。
【0017】
次に本発明者らは、鋼板の加工前の引張り強度と加工に伴って生じる鋼板の加工硬化の挙動との関係を、どのように制御すればよいかについて具体的に検討した。
まず、加工に伴う加工硬化の挙動を、実験的に測定可能な特性として評価する際の評価指標について検討した。
一般に加工硬化はJIS Z 2253に規定されている加工硬化指数(n値)で評価されることが多い。しかし、加工硬化指数で考慮している加工硬化の挙動は、一軸引張りでの伸びが相当歪みでは0.1〜0.2という比較的低い加工度での加工硬化を表すものであり、薄肉化深絞りしごき加工における高い加工度での加工硬化を表す指標としては適切ではない。
【0018】
そこで、製缶加工での加工硬化の挙動を適切に評価できる指標として、本発明者らは、相当歪みεeqが1の加工(以下、「相当歪み1の加工」という)を加えた後の鋼板の引張り強度と、加工前の鋼板の引張り強度との差ΔTSを定義した。この値は、相当歪み1の加工による引張り強度上昇量を示すものであると言え、材料間の特性の相異を客観的に比較できる指標であり、また実際の製缶での加工度に近い高い加工度まで材料を加工した際の加工硬化を評価することができる指標である。
【0019】
ここで、相当歪みεeqは、加工後の缶体の側壁部の板厚方向歪みεt 、周方向歪みεθ、缶高さ方向歪みεφから、次のようにして求められる値である。
【0020】
【数1】
【0021】
ここで、t0は加工前の板厚、tはある缶高さでの加工後の板厚、rは加工後の缶体の半径、r0は加工前の円形ブランクに相当する位置までの半径である。
なお、相当歪み1を与える加工方法は、実際の製缶加工で行なうことが最良であるが、相当歪みが同等になるように別の加工方法で加工しても同様に評価することができる。例えば、本発明者らは実際の製缶加工に加え、圧延加工も行なった。そして、圧延加工の際の相当歪みは上記の式に対して周方向歪みを板巾方向歪みで置き換えることで同様に求めることができた。
【0022】
次に、本発明者らは、鋼板の加工前の引張り強度TS及び相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSと薄肉化深絞りしごき加工での加工性との関係を調査した。その結果、鋼板の加工前の引張り強度TS及び相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSと薄肉化深絞りしごき加工での加工性には極めて密接な関係があることが判った。
【0023】
調査により得られた鋼板の加工前の引張り強度TS及び相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSと加工限界との関係を図1に示す。ここで、加工限界とは、薄肉化深絞りしごき加工中に側壁部が破断する限界の加工度である。また、図1において、加工限界の尺度として、従来の薄肉化深絞りしごき缶の基準の加工度に対して、加工限界の向上が5%未満のものを▲、加工限界が5%以上10%未満向上したものを●、同じく10%以上向上したものを○とした。
【0024】
図1によれば、TSとΔTSとを特定の関係に制御することで、薄肉化深絞りしごき加工性が効果的に向上することが判る。すなわち、鋼板の加工前の引張り強度TS(MPa)と、相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTS(MPa)とを ΔTS>0.388・TS+105、さらに望ましくは ΔTS>0.388・TS+138 を満たすように制御することで、薄肉化深絞りしごき加工性を効果的に向上させることができる。したがって、本発明では、鋼板の引張り強度TS(MPa)と相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTS(MPa)とが、ΔTS>0.388・TS+105、さらに望ましくは ΔTS>0.388・TS+138 の関係を満たすことを条件とする。
【0025】
次に、上記の特性を得るために必要な炭化物の析出状態について説明する。
図1から判るように、加工限界を向上させるためには相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSを向上させることが必要である。そこで本発明者らは、相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSを向上させるために必要な結晶組織構造および種々の因子について検討した。その結果、鋼板中の炭化物(セメンタイト)の析出状態を適切に制御することで、相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSを効果的に向上させ得ることを知見した。
【0026】
さらに本発明者らは、鋼板中のC量や焼鈍条件など変化させることにより炭化物の析出状態を変化させた種々の鋼板を用いて、具体的な炭化物の析出状態の条件について検討した。その結果、結晶粒内に析出した炭化物が相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSに影響を及ぼすこと、また相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSの向上に対しては、炭化物の平均粒径および析出密度に最適範囲が存在することが判った。
【0027】
まず、炭化物の析出位置について述べる。炭化物の析出位置には、結晶粒内と結晶粒界とがある。本発明者らは、炭化物の析出位置の異なる種々の鋼板について、炭化物の平均粒径および析出密度と相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSとの関係を調査した。その結果、結晶粒界に析出した炭化物に関しては、その平均粒径や析出密度が相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSに影響に及ぼすことは殆んどないのに対して、結晶粒内に析出した炭化物の平均粒径や析出強度は相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSに大きな影響を及ぼしていることが判った。
【0028】
次に、結晶粒内に析出した炭化物の平均粒径、析出密度と相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSとの関係について述べる。図2は結晶粒内の炭化物の平均粒径と相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSとの関係を示したものである。ここで、炭化物の平均粒径とは、鋼板の圧延方向での断面を研磨し、この研磨面で観察される炭化物を球形に換算した場合の当該球の直径の平均値である。
【0029】
図2によれば、結晶粒内の炭化物の平均粒径は相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSに大きな影響を及ぼし、炭化物の平均粒径が0.2〜1.5μmの範囲において相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSが顕著に向上していることが判る。
一方、結晶粒内の炭化物の平均粒径を0.2〜1.5μmの範囲にした場合でも、相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSが向上しない現象も認められた。断面観察の結果、炭化物の析出密度が過剰に低い或いは過剰に高い場合に相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSが向上しないことが判った。
【0030】
そこで、結晶粒内の炭化物の平均粒径を0.2〜1.5μmの範囲とした上で、相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSと炭化物密度(析出密度)との関係を調査した。図3に結晶粒内の炭化物密度と相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSとの関係を示す。ここで、炭化物密度とは、鋼板の圧延方向での断面を研磨し、この研磨面で観察される炭化物の1mm2当たりの個数である。
図3によれば、結晶粒内の炭化物密度は相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSに影響を及ぼし、炭化物密度が1.0×104〜2.0×105個/mm2 の範囲において相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSが顕著に向上していることが判る。
【0031】
以上の理由から本発明では、鋼板の圧延方向での断面において、結晶粒内の炭化物の平均粒径が0.2〜1.5μmであり且つ炭化物密度が1.0×104〜2.0×105個/mm2であることを条件とする。
以上のように、本発明で規定する条件で結晶粒内に析出した炭化物が相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSを大きく向上させる理由は必ずしも明らかではないが、概ね以下のように考えられる。
【0032】
すなわち、加工による強度の上昇は、加工によって結晶中に転位が導入され、転位どうしが転位密度の上昇に伴って互いにその運動を拘束し合うことで生じる。そして、本発明で規定する条件で結晶粒内に析出した炭化物は、加工の際に転位の発生源となっていることが考えられ、転位密度を高めるものと考えられる。また、本発明で規定する条件で結晶粒内に析出した炭化物は、それ自体が転位の運動を阻害する障害物となっていることも考えられる。
結晶粒内の炭化物が強度上昇に影響を与えるのは、転位が結晶粒内を移動することに関係しているものと考えられる。また、炭化物の平均粒径、析出密度の影響は、炭化物が転位源や転位の移動の障害になるために適した範囲が存在するためであると考えられる。
【0033】
次に、本発明の鋼板の化学成分の限定理由について説明する。
C量は、0.010mass%未満では薄肉化深絞りしごき加工性が劣化するだけでなく、製缶後の缶体として具備すべき缶体強度(缶内部の圧力の増加に対して缶底部がその形状を維持する耐圧強度、缶体の軸方向荷重に対して側壁部が挫屈せずにその形状を維持する挫屈強度、側壁部に鋭利な突起物が衝突した際に側壁部に穴があかない穴あき強度など)を維持できない。また、C量を低減するための溶鋼処理の負担が増えてコストの増加をもたらすとともに、介在物の混入の可能性も高まる。このためC量の下限は0.010mass%とする。一方、C量が0.06mass%を超えると鋼板が過剰に硬質化して加工応力が高まり、薄肉化深絞りしごき加工性が損なわれるばかりではなく、ネッキング加工性(製缶後にフランジ加工に先立って行われる、缶上端部の直径を小さくするネッキング工程において、挫屈が発生し難い特性)およびフランジ加工性(製缶後に缶胴上端に蓋を取付けるためのフランジ部を形成する工程において、フランジ割れが発生し難い特性)が劣化する。このためC量の上限は0.06mass%とする。なお、耐食性の点からはC量は0.015〜0.035mass%の範囲とすることが望ましい。
【0034】
Mn量は、0.05mass%を下回ると鋼板の強度が低下して所定の缶体強度を確保できず、またSをMnSとして固定して熱間脆性の劣化を防止することができないので、その下限を0.05mass%とする。また、Mn量が1.0mass%を超えると、鋼板が過度に硬質化して薄肉化深絞りしごき加工性が劣化するとともに、コストの増加も招くので、上限を1.0mass%とする。なお、耐食性の観点からはMn量は0.70mass%以下とすることが望ましい。
【0035】
Sol.Al量は、0.10mass%を超えると固溶Alが鋼板を硬質化させて薄肉化深絞りしごき加工性を劣化させる上に、ネッキング加工性、フランジ加工性がともに劣化し、さらにコスト高となるので、その上限を0.10mass%とする。また、Sol.Al量が0.01mass%を下回ると脱酸が不十分となり、結果として薄肉化深絞りしごき加工性を劣化させる。この理由は必ずしも明らかではないが、介在物の多い鋼板となることが原因であると考えられる。このためSol.Al量の下限は0.01mass%とする。
【0036】
N量は、0.007mass%を超えると鋼板が過度に硬質化することで薄肉化深絞りしごき加工性を劣化させ、同時にネッキング加工性およびフランジ加工性が劣化するので、その上限を0.007mass%とする。一方、N量が0.0005mass%を下回ると、薄肉化深絞りしごき加工性が顕著に劣化する。この理由は必ずしも明らかではないが、窒化物の形成および窒化物を核とする炭化物の形成に関係しているものと考えられる。また、N量が0.0005mass%を下回ると、鋼板の強度が低下して前述の缶胴強度が得られなくなる。このためN量の下限は0.0005mass%とする。
【0037】
Bを適量添加することにより、薄肉化深絞り加工性がさらに向上する。BはNと化合してBNを形成する。このBNは炭化物の析出核となることが期待され、炭化物の析出密度に影響を及ぼす。また、Nと化合しない過剰なBは結晶粒界に偏析することで、炭化物の粒界析出を抑制し、結果として炭化物を粒内に析出させる。B量が0.0004mass%未満では上記機能が期待できす、一方、0.01mass%を超えると効果が飽和してそれ以上の添加はコスト的にも望ましくないため、Bを添加する場合の添加量は0.0004〜0.01mass%とするのが好ましい。
【0038】
また、本発明でBを添加する場合、B、Nの量的な関係を、原子比で表した際のB/Nで0.8以上とすることが好ましい。図4は、他の製造条件を同一にしてB/Nを変化させて製造した鋼板のB/Nと相当歪み1の加工による引張強度上昇量ΔTSとの関係を示したものである。図4によれば、B/Nが0.8以上において相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSの向上が顕著であることが判る。以上の理由から、B/Nは原子比で0.8以上とすることが好ましい。
【0039】
これらの元素以外に、不可避的不純物として含まれる元素がある。これらの不可避的不純物がある程度含まれていても、本発明の狙いとする作用効果に大きな影響はないが、その影響を極力小さくするためには、以下に示すような含有量とすることが望ましい。
Si量は、0.1mass%を超えるとネッキング加工性およびフランジ加工性が劣化しやすく、またラミネート皮膜のフィルム密着性(鋼板表面にラミネートされたフィルムが加工によって剥離し難い特性)も劣化するおそれがあるため、0.1mass%以下とすることが望ましい。また、良好な耐食性を得るためには、Si量を0.05mass%以下とすることがさらに望ましい。
【0040】
P量は、0.13mass%を超えると鋼板が過度に硬質化してネッキング加工性およびフランジ加工性が劣化するおそれがあるとともに、耐食性も劣化しやすいので、0.13mass%以下とすることが望ましい。
S量は、0.06mass%を超えると熱間脆性の劣化をもたらすおそれがあるので、0.06mass%以下とすることが望ましい。また、耐食性の観点からはS量を0.01〜0.03mass%とすることがさらに望ましい。
また、上記以外の元素を、本発明の作用効果が損われない限度において耐食性の向上などを目的として添加することができる。
【0041】
次に、本発明の鋼板の製造条件について説明する。
本発明の鋼板を製造するに当たり、製鋼条件は本発明で規定する鋼成分が得られる方法であればよく、特別な制限はない。但し、鋳造については、鋳片の均一性という観点から連続鋳造で行うことが望ましい。また、鋳片の加熱温度については、窒化物の再溶解を促進するという観点から1250℃以上とすることが望ましい。窒化物を加熱により一旦再溶解させ、熱延時に再析出させることにより、窒化物の形成及び窒化物を核とする炭化物の形成に影響を与えると考えられ、本発明が狙いとする相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSを高める効果が得られ、製缶加工性も向上する。
【0042】
熱間圧延条件については、仕上温度を870℃以上とすることが望ましい。仕上温度が870℃未満であると熱延板表層の結晶粒径が粗大化し、冷延、焼鈍後にもその影響が残り、製品の機械特性がコイル内の位置により不安定になりやすい。また、巻取温度は560〜640℃とすることが望ましい。巻取温度が560℃未満ではランクフォード値が劣化しやすく、一方、640℃を超えると表面のスケール量が増加してしまう。
熱延後の酸洗については、スケールを確実に除去できれば、塩酸酸洗、硫酸酸洗等、方式に制限はない。また、冷間圧延条件についても特に制限はない。
【0043】
冷間圧延後の焼鈍については、経済的な観点から連続焼鈍が望ましい。連続焼鈍を行う場合には、均熱温度は630〜750℃とすることが望ましい。均熱温度が630℃未満では再結晶が十分に進まずに硬質な組織が残存し、製缶加工性も劣化しやすい。また、均熱温度が750℃を超えると結晶粒が粗大化し、製缶加工時に肌荒れ等の問題が生じるおそれがある。また、上記温度範囲のなかでも均熱温度を高目とした方が、また均熱時間を比較的長くとった方が、本発明が狙いとする相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSを高める効果が大きい。さらに、均熱後に300〜450℃の温度で過時効処理を行うことが望ましい。このような過時効処理を行うことにより炭化物の結晶粒内への析出が促進され、本発明が狙いとする相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSを高める効果が得られ、製缶加工性も向上する。また、この過時効処理では上記温度範囲のなかでも高目の処理温度とした方が、本発明が狙いとする相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSを高める効果が大きい。また、特にBを添加していない場合若しくはBを添加していてもB/N≧0.8を満足していない場合には、炭化物は結晶粒内に析出しにくいので、できる限り上記温度範囲で過時効処理を行うことが望ましい。さらに、Bを添加していない場合若しくはBを添加していてもB/N≧0.8を満足していない場合には、過時効処理における炭化物の粒内析出の効果を高めるために、連続焼鈍の均熱温度から過時効処理温度までの冷却は15℃/秒以上の冷却速度とすることが望ましい。また、この冷却速度が大きい方が、本発明が狙いとする相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSを高める効果が大きい。
【0044】
また、焼鈍後には圧延率1.5〜20%の二次圧延を行うことが望ましい。このような圧延率1.5〜20%の二次圧延により、製品の時効を抑制するとともに、所望の鋼板強度への調整等が可能となる。また、特に望ましくは1.5〜3.0%の一般的に調質圧延と呼ばれる範囲の圧延率がよい。この範囲の圧延率であれば、本発明が狙いとする相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSがより一層向上し、製缶加工性も向上する。また、この圧延率の範囲のなかでも、低目の圧延率の方が引張り強度上昇量ΔTSを高める上で有利である。
鋼板に対する表面処理は、ブリキ、TFSなど、如何なる種類のものでもよい。樹脂フィルムをラミネートする場合には、耐食性、フィルム密着性の観点からTFSまたはこれに類する電解クロメート処理が望ましい。
【0045】
【実施例】
表1及び表2に示す化学成分の鋼を溶製して鋳片とし、これを加熱温度1250℃にて加熱し、仕上温度870〜890℃、巻取温度560〜640℃にて熱間圧延し、板厚1.8〜2.2mmの熱延板を得た。これらの熱延板を酸洗した後、冷間圧延した。次いで、この冷間圧延板を連続焼鈍または箱焼鈍によって再結晶焼鈍した。連続焼鈍では均熱温度を630〜750℃とし、一部は均熱に引き続き300〜450℃で過時効処理を行なった。箱焼鈍では均熱温度を630〜670℃とした。次いで、これらの焼鈍板について圧延率1.5%の調質圧延または圧延率9〜18%の二次圧延を行い、板厚0.16〜0.18mmとした後、電解クロメート処理を施すことによりTFSとし、さらにポリエステル樹脂フィルムを加熱下でラミネートした。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
これらの鋼板に相当歪み1の加工を圧延で施し、JIS−5号試験片とした後、引張り試験で引張り強度を測定した。また、加工を施さない鋼板の引張り強度も併せて測定し、相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSを求めた。
また、これらの鋼板に深絞りしごき加工を施し、加工性の評価として加工限界を調べた。加工性の評価は、従来の薄肉化深絞りしごき缶の基準の加工度に対して、加工限界の向上が5%未満のものを▲、加工限界が5%以上、10%未満向上したものを●、同じく10%以上向上したものを○とした。その結果を表3、表4に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
表3および表4によれば、化学成分、鋼板圧延方向断面での結晶粒内の炭化物の平均粒径及び炭化物密度、鋼板の加工前の引張り強度TSと相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSとの関係が本発明範囲内である本発明例では、薄肉化深絞りしごき加工性が顕著に向上していることが判る。
【0052】
【発明の効果】
以上述べた本発明によれば、加工性に優れた薄肉化深絞りしごき缶用鋼板を得ることができる。本発明により得られる薄肉化深絞りしごき缶用鋼板は、薄肉化深絞りしごき加工性が極めて優れ、従来に増して高い加工度での加工を行なうことができるので、薄肉化深絞りしごき缶のコスト低減とさらなる缶体の軽量化に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼板の加工前の引張り強度TS及び相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSと加工限界との関係を示すグラフ
【図2】結晶粒内の炭化物の平均粒径と相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSとの関係を示すグラフ
【図3】結晶粒内の炭化物密度と相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSとの関係を示すグラフ
【図4】B/N(原子比)と相当歪み1の加工による引張り強度上昇量ΔTSとの関係を示すグラフ
Claims (3)
- C:0.010〜0.06mass%、Mn:0.05〜1.0mass%、Sol.Al:0.01〜0.10mass%、N:0.0005〜0.007mass%、残部が鉄および不可避的不純物からなり、鋼板の圧延方向での断面において、結晶粒内の炭化物の平均粒径が0.2〜1.5μmであり且つ炭化物密度が1.0×104〜2.0×105個/mm2であり、引張り強度TS(MPa)と、相当歪みε eq が1となる加工による引張り強度上昇量ΔTS(MPa)とがΔTS>0.388・TS+105の関係を満たすことを特徴とする加工性に優れた薄肉化深絞りしごき缶用鋼板。
- 引張り強度TS(MPa)と、相当歪みε eq が1となる加工による引張り強度上昇量ΔTS(MPa)とがΔTS>0.388・TS+138の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の加工性に優れた薄肉化深絞りしごき缶用鋼板。
- さらに、B:0.0004〜0.01mass%を含有し、B/Nが原子比で0.8以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の加工性に優れた薄肉化深絞りしごき缶用鋼板。
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