JP3679359B2 - 固液分離システムの制御方法及び制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、懸濁液に凝集剤を添加して凝集し脱水する固液分離システムの制御に関するもので、特に下水処理場や各種排水処理設備において発生する汚泥に高分子凝集剤等を添加、混合しスクリュープレス型脱水機で脱水するシステムにおいて、不意に発生する凝集不良状態や脱水不良状態をいち早く検知し、凝集及び脱水運転状態を常時制御することを目的とする脱水機の薬注制御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
懸濁液に凝集剤を添加して凝集汚泥を生成させた後に、脱水機により脱水処理を行うシステムにおいて、汚泥性状等の変化に伴って凝集剤の添加量を制御する等の薬注制御システムは、運転管理上非常に重要な技術であると言える。凝集剤の添加量は汚泥性状に応じて最適添加量が存在し、その値は常時変化している。凝集剤添加量が最適値より多い場合も少ない場合も、脱水により分離される脱水ろ液の量は減少する。従来、懸濁液に凝集剤を添加して凝集し、スクリュープレス型脱水機により脱水するシステムにおいて、脱水機に投入される凝集汚泥の凝集状態が悪化した場合、その状態を早期に検知することは困難であった。
【0003】
一般的に凝集不良が生じた場合に、スクリュープレス型脱水機は他のベルトプレス型脱水機や遠心脱水機等と比較して、脱水性が著しく低下する傾向があると言われており、スクリュープレス型脱水機において凝集不良の発生をいち早く察知することは、運転制御上非常に重要なポイントとなる。
【0004】
このような背景から近年、スクリュープレス型脱水機において凝集不良を検知する手段として、脱水ケーキ排出口を押さえつけている背圧板の圧力を検知し、該圧力が所定の値よりも小さくなる場合に、凝集不良と判断することにより運転制御を行う方法なども提案されている。しかしながら、本方式では背圧板の圧力が低下した時点で脱水機内は凝集不良の汚泥で充満しており、それらの汚泥はそのまま脱水ケーキとして排出するしかなく、大量に脱水不良の脱水ケーキを排出することになり問題であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に示すような従来のスクリュープレス型脱水機を用いた固液分離システムが、凝集不良状態等のトラブルを早急に察知し、迅速に脱水運転制御を行うことが困難であるという問題点を解決することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下に示す手段によって上記目的を達成することができる。すなわち、本発明は下記の構成からなるものである。
(1)脱水処理の対象とする懸濁液に対して凝集剤を添加及び混合し、スクリュープレス型脱水機により脱水する固液分離システムにおいて、スクリュー軸の外側に位置する外筒ろ過体に関して、汚泥投入側の末端からケーキ排出側に向かって長手方向全長の1/8〜3/4の所定の位置の外筒ろ過体より排出される脱水ろ液の量が、所定の値以下となる場合に、前段の凝集反応槽に注入する凝集剤の注入量、外筒ろ過体の洗浄頻度、及び脱水機の運転動作に対して少なくとも1つの制御を行うことを特徴とする固液分離システムの制御方法。
(2)脱水処理の対象とする懸濁液に対して凝集剤を添加及び混合し、スクリュープレス型脱水機により脱水する固液分離システムにおいて、スクリュープレス型脱水機により排出される全脱水ろ液のうち、外筒ろ過体の汚泥投入側の末端からケーキ排出側に向かって全長の3/4未満の外筒ろ過体から排出されるろ液量を、外筒ろ過体の位置ごとに複数に分割し、該分割されたろ液量を上流側からW1、W2、・・・Wnとし、W1、W2、・・・Wnの関数として表される値に基づいて、前段の凝集反応槽に注入する凝集剤の注入量、外筒ろ過体の洗浄頻度、及び脱水機の運転動作に対して少なくとも1つの制御を行うことを特徴とする固液分離システムの制御方法。
【0007】
(3)脱水処理の対象とする懸濁液に対して凝集剤を添加及び混合し、スクリュープレス型脱水機により脱水する固液分離システムにおいて、スクリュープレス型脱水機により排出される全脱水ろ液量のうち、外筒ろ過体の汚泥投入側の末端からケーキ排出側に向かって全長の3/4未満の外筒ろ過体より排出されるろ液の一部または全部、または外筒ろ過体の位置ごとに複数に分割したそれぞれのろ液量を常時測定する手段、該各ろ液量の関数で表される値により、前段の凝集反応槽に注入する凝集剤の注入量、外筒ろ過体の洗浄頻度、または脱水機の運転動作に対して少なくとも1つの制御を行える手段を備えることを特徴とする固液分離システムの制御装置。
【0008】
要するに、本発明の第1の態様は、スクリュー軸の外側に位置する外筒ろ過体の汚泥投入側の末端からケーキ排出側に向かって、長手方向全長の1/8〜3/4の所定の位置の外筒ろ過体より排出される脱水ろ液の量が、所定の値以下となる場合を凝集不良状態と認識し、その場合に凝集剤注入量を増減させる、あるいは円筒ろ過体の洗浄を行う、または脱水運転を停止する等の運転制御を行うことを、少なくとも1つの条件とする脱水機の薬注制御方法である。
【0009】
この方式では、凝集不良が生じた場合に、凝集反応槽から脱水機に投入された凝集汚泥が、スクリュー型脱水機の円筒ろ過体の汚泥投入側末端近傍に触れた時からろ液量が変化し始めることから、凝集不良の汚泥が脱水機内に充満するまで脱水不良を検知できない従来方式と比較して、より迅速に対処が可能となる。ろ液量はスクリュープレスの円筒ろ過体全体からのろ液量の変化から凝集不良を検知するよりも、汚泥投入側の一部分から排出されるろ液量の変化から凝集不良を検知する方が精度が高く、そのろ液量の採取場所は、汚泥性状や運転条件により異なるが、本発明者等がこれまでに調査及び検討した結果、外筒ろ過体の汚泥投入側の末端からケーキ排出側に向かって、長手方向全長の1/8〜3/4から排出されるろ液量の変化から判断することが、最も望ましいことが判明した。
【0010】
本発明の第2の態様は、スクリュープレス型脱水機により排出される全脱水ろ液のうち、外筒ろ過体の汚泥投入側の末端からケーキ排出側に向かって、全長の3/4末端の外筒ろ過体から排出されるろ液量を、外筒ろ過体の位置ごとに複数に分割し、該分割されたろ液量を上流側からW1、W2、・・・Wnとし、W1、W2、・・・Wnの関数として表される値に基づいて、前段の凝集反応槽に注入する凝集剤の注入量、外筒ろ過体の洗浄頻度、及び脱水機の運転動作等の制御を行うことを特徴とする脱水機の薬注制御方法である。
【0011】
スクリュープレス型脱水機における円筒ろ過体の長手方向のろ液排出量は、一般的に汚泥投入側末端近傍が最も多く、ケーキ排出口に向かって徐々にろ液量が減少し、ケーキ排出口近傍では、背圧がかかるために再びろ液量が増加する。本発明者らは様々な研究を重ねる中で、この円筒ろ過体の長手方向のろ液排出量の分布が、スクリュープレス型脱水機による固液分離システムにおける固液分離性と深く関係することを見出し、このろ液排出量の分布パターンを凝集剤添加量、外筒ろ過体の洗浄頻度、及び脱水機の運転動作等の制御に組み込むことで、効率良く固液分離システムを行うことができることを実現した。なお、円筒ろ過体のケーキ排出側1/4の部分から排出されるろ液は、場合によってはSSが多い上変動幅も大きいことから、このろ液量だけを計測する方法は採用しなかった。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1と第2の態様の固液分離システムの制御方法を行うために必要な機構を組み込んだ制御装置である。
【0013】
【発明の実施の形態】
具体的な実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、スクリュープレス型脱水機を用いた固液分離システムの概略説明図で、図2は本発明の実施の形態の一例を示すフローシートである。
図1において、原汚泥(流入汚泥)1はポンプP1により、同時に凝集剤3は凝集剤ポンプP2により、モータM1により回転される攪拌機11を取り付けた凝集反応装置2に供給され、攪拌・混合されて凝集フロックを形成後、スクリュー駆動機M2により回転される内胴スクリュー12と外筒スクリーン(外筒ろ過体)13からなるスクリュープレス型脱水機4の汚泥投入側の末端14に供給される。投入された汚泥フロックは、前記末端14から内胴スクリュー12の回転によりケーキ排出側15に向かって進行させられ、前記排出端15から脱水ケーキ8として排出される。一方、脱水ろ液は、外筒ろ過体13から排出される。なお、16は外筒スクリーン13を備えた外胴カバーを所定位置に保持するための押圧板である。
【0014】
(第1の制御方法)
本発明の第1の態様に示す固液分離システムの制御方法は、汚泥性状が比較的安定している汚泥に対して採用する場合が多い。例えば、下水処理場で発生するような汚泥の内、汚泥中の粗繊維が多く、腐敗も少なく、濃度変化も小さいような場合に適用される。図1及び図2に示すように、外筒ろ過体13の汚泥投入側の末端14からケーキ排出側15に向かって、長手方向全長の約1/5の位置から先の外筒ろ過体13より排出される脱水ろ液量を6aとすると、6aが「汚泥供給量(1a)+凝集剤供給量(3a)」の例えば約70〜76%となる場合を適正な薬注状態であると判断し、6aが(1a+3a)の76%以上の場合は凝集剤注入量が過剰気味であると判断し、凝集剤3供給量を減少させ、6aが(1a+3a)の例えば58%〜70%の場合は凝集剤3が不足気味であると判断し、凝集剤3供給量を増加させる。ただし、脱水ろ液量は、凝集剤3添加量が過剰な場合も不足の場合も減少することから、この制御方法は通常運転時はやや凝集剤3が不足気味の状態で運転する必要がある。この制御方法をろ液量薬注制御と呼ぶことにする。なお、図2におけるFl1〜4は流量計である。
【0015】
また、この凝集剤3の過不足状態の判断は、凝集剤3添加量をわずかに変化させた時の6aの変化の状態を元に常時監視し、その結果を凝集剤3注入量の制御に組み入れることも可能である。例えば、システム運転中に定期的に薬注量を5〜10%増加させるとすると、薬注量を増加させる以前の6aを(6a−b)、変化させた後の6aを(6a−a)とすると、ほぼ定常になった時の(6a−a)の値が(6a−b)より増加した場合は、薬注量を変化させる前はやや薬注不足気味であったと判断し、(6a−a)<(6a−b)の場合は薬注過剰気味であったと判断することが可能である。この判断により、常時現状の薬注状態が過剰気味か不足気味かをモニターすることができるので、例えば不足気味の状態で6aが減少した場合は、薬注量を増加させることによって適正な薬注量に制御でき、同様に凝集剤3が過剰気味の状態で6aが減少した場合は、薬注量を減少させることによって適正な薬注量に制御することができる。
【0016】
薬注量の変化量は、ろ液量の変化量に応じた1次関数や2次関数等の関数により、自在に設定することも可能である。このような手段により薬注制御の応答性を高めることにより、より正確な制御を行うことができる。この制御方法をフィードバッグ制御と呼ぶことにする。また、6aが(1a+3a)の例えば58%未満となった場合、もしくは先のろ液量制御やフィードバック制御により、6aが例えば(1a+3a)の約70〜56%に回復しない場合は、外筒ろ過体の有効ろ過面積が目詰まりを生じていると判断し、外筒ろ過体の洗浄工程に移行することも効果がある場合がある。また、この洗浄工程後に再度定常運転に入った後に、6aが例えば(1a+3a)の約70〜76%に回復しない場合は、脱水運転を一時停止する等の運転制御を行うことにより、凝集剤添加量やろ過体のろ過性の問題以外の問題が生じた場合などに対する対応が可能になる。
【0017】
以上説明した第1の態様に示す本発明方式では、凝集不良が生じた場合に、凝集反応槽2から脱水機4に投入された凝集汚泥1が、スクリュープレス型脱水機4の外筒ろ過体13の汚泥投入側末端14近傍に触れた時から、ろ液量が変化し始める点に着目している制御を組み込んでいることから、凝集不良の汚泥が脱水機4内に充満するまで脱水不良を検知できない従来方式と比較して、より迅速に対処が可能となる。ろ液量は、スクリュープレス型脱水機4の外筒ろ過体13全体からのろ液量の変化から凝集不良を検知するよりも、汚泥投入側14の一部分から排出されるろ液量の変化から凝集不良を検知する方が精度が高く、そのろ液量の採取場所は、汚泥性状や運転条件により異なるが、実験などにより外筒ろ過体13の汚泥投入側の末端14からケーキ排出側15に向かって、長手方向全長の1/8〜3/4から排出されるろ液量の変化から判断することが最も望ましい。
【0018】
(第2の制御方法)
本発明の第2の態様に示す固液分離システムの制御方法は、汚泥性状が比較的安定していない汚泥1や、比較的デリケートにシステム全体を制御する必要がある場合に対して採用する場合が多い。例えば、食品工場や化学工場において発生する汚泥で、汚泥1中の粗繊維が少なく、腐敗が激しく、濃度変化も大きいような場合に適している。外筒ろ過体13の汚泥投入側の末端14からケーキ排出側15に向かって全長の3/4未満の外筒ろ過体13を例えば3分割し、それぞれのろ過体部分から排出されるろ液量を汚泥投入側から順にW1、W2、W3とした場合、通常の良好な固液分離が行える場合のW1、W2、W3の比がa:b:cであるとすると、凝集剤3添加量が最適値より過少な状態に変化すると、「W1+W2+W3」が減少し、凝集剤3添加量が最適値より過大な状態に変化すると、W1/「W2+W3」の値がa/(b+c)よりも例えば15%以上小さくなる。また、外筒ろ過体13のろ過面の目詰まりが進行すると、W3/W1の値がc/aよりも20%以上増加する場合もある。これらW1、W2、W3を用いた演算値が所定の条件を満たした場合に、前記(1)で示したような凝集剤3添加量の増減、ろ過体洗浄工程への移行、または運転停止等の制御を行うことにより、効率良く脱水運転が行えるようになる。
【0019】
また、ここで設定するろ液量の分割数、分割された各ろ過体エリアの比率、制御に使用する関数、制御条件等はスクリュープレス型脱水機4やその前段の凝集反応槽2の構造、汚泥1の性状、目標性能、運転操作環境などの条件により様々に異なる。
【0020】
【実施例】
以下に、本発明を実際に組み込んだ処理施設の運転結果の一例について詳細に説明する。
なお、本発明はこの実施例により何等制限されるものではない。
【0021】
実施例1〜2
本実施例は、A下水処理場において発生する混合生汚泥に対して、カチオン系高分子凝集剤を使用して調質し、3台のスクリュープレス型脱水機により脱水するシステムにおいて、従来法の運転制御と、本発明による2種類の運転制御の合計3種類の方法を同時に適応した場合の運転結果として以下に示す。本処理場の汚泥性状は比較的変化し易く、それがスクリュープレス型脱水機の脱水性に影響が及ぶ場合が多い。本発明法2種類を実施例1と実施例2とすると、実施例1ではスクリュープレスの外筒型ろ過体の汚泥投入側から全長の1/4に位置するろ過体部分から排出するろ液量をろ液1とし、この値を運転制御に使用する。実施例2ではスクリュープレスの円筒型ろ過体の汚泥投入側から全長の1/2に位置するろ過体部分を等分割し、最初の全ろ過体の1/4の部分から排出するろ液量をろ液1とし、その次の全ろ過体の1/4から排出するろ液量をろ液2とし、これらの値を運転制御に使用することとした。従来法と本発明法2種類における凝集剤注入量制御に関する部分の運転制御方法を第1表に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
従来法では、投入汚泥濃度の変化に応じて約注量を比例添加する薬注制御を行うのみであるのに対して、実施例1では6aの変化に応じて薬注量の制御、ろ過体洗浄工程に移行するための条件、及び脱水機動作停止条件の一部を決めている。実施例2では6a及び6bの変化に応じて実施例1と同様、薬注量の制御、ろ過体洗浄工程に移行するための条件、及び脱水機動作停止条件の一部を決めている。
【0024】
従来法と2種類の本発明法を採用した3系列の汚泥脱水処理システムの、30日間の脱水機の運転結果を、第2表と図3〜5に示す。従来法では、薬注量を投入汚泥の固形物(SS)濃度計の指示値の比例添加方式を採用していることから、薬注率はほぼ1.1%の設定薬注率に近い値として推移している。しかし、時々刻々と変化する汚泥に対する適正薬注量は、汚泥濃度の変化だけでは追随できない場合が多く、汚泥のコロイド荷電量、Mアルカリ度、粒径分布、粗繊維分、VSS濃度等の変化によって適正薬注率は常時変化している。従来例では、それらSS濃度以外の汚泥性状の変化による凝集性の変化を追随できなかったために、運転期間中10日後及び25日後付近において、薬注率が適正範囲を大きく超えたために、ケーキ含水率及びSS回収率が大幅に低下している時期があった。この時、脱水ケーキ排出口の押圧板の圧力低下により脱水機が停止したが、脱水機内全体に凝集不良の汚泥が充満しており、それを排出するために脱水運転をしばらく停止して、脱水機の洗浄及び復旧操作を行う必要があった。
【0025】
【表2】
【0026】
一方、実施例1及び2では、凝集性の良し悪しが最初に現れる外筒ろ過体の上流側における、ろ液量の大小により薬注量を制御しているために、急激な汚泥性状の変化を迅速に察知し、薬注量をコントロールすることに成功している。また、薬注制御のみでは対応しきれない場合は、できるだけ早くシステムを停止することに成功したために、脱水機内全体に凝集不良の汚泥が充満するまで装置が停止しない従来例と比較して、凝集トラブルによる被害の拡大を最小限に食い止めることができている。
【0027】
実施例1、2において、凝集不良の状態で形成した脱水ケーキの排出を、できるだけ少なくすることに成功したことにより、平均ケーキ含水率で1.5〜1.8ポイント(図4参照)、SS回収率で2.7〜3.4ポイント従来法よりも性能が向上した(図5参照)。実施例1、2では薬注量を常時必要最小限のレベルで制御を行っているために、運転期間を通じての平均薬注率は従来例と比較して0.17〜0.25ポイント減少した(図3参照)。この数字は、脱水システムのランニングコストの約半分以上を占める場合が多い、凝集剤のコストを10〜20%削減することを意味し、薬注制御を行うことによるコスト面での効果も異常に大きいと言える。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、凝集性の良し悪しが最初に現れる、外筒形ろ過体の上流側における、ろ液量の大小により薬注量を制御しているために、急激な汚泥性状の変化を迅速に察知し、薬品量をコントロールできる。また、薬注制御のみでは対応しきれない場合は、できるだけ早くシステムを停止することができるために、凝集トラブルによる被害の拡大を最小限に抑えることができる。さらに、薬剤制限を適切に行うことにより、脱水システムのランニングコストに大きな比率を占める、凝集剤コストの低減により、ランニングコストも大幅に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクリュープレス型脱水機を用いた固液分離システムの概略説明図である。
【図2】本発明の固液分離システムの制御方法の一実施態様を示すフローシートである。
【図3】薬注率の経時変化を示すグラスである。
【図4】ケーキ含水率の経時変化を示すグラフである。
【図5】SS回収率の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 流入汚泥
2 凝集反応装置
3 凝集剤
4 スクリュープレス型脱水機
5 凝集剤溶解槽
6a ろ液1
6b ろ液2
6c ろ液3
7 プログラマブル調節計
8 脱水ケーキ
P1 汚泥注入ポンプ
P2 凝集剤注入ポンプ
M1 攪拌機駆動モータ
M2 スクリュー駆動機
11 攪拌機
12 内胴スクリュー
13 外筒スクリーン(外筒ろ過体)
14 汚泥投入側の末端
15 ケーキ排出側
16 押圧板
1−1 汚泥流量(信号)
3−1 凝集剤注入量指令信号(信号)
6a−1 ろ液1流量(信号)
6b−1 ろ液2流量(信号)
6c−1 ろ液3流量(信号)
9−1 他の機器、及びセンサーからの信号(信号)
10−1 他の運転動作系への信号(信号)
Claims (3)
- 脱水処理の対象とする懸濁液に対して凝集剤を添加及び混合し、スクリュープレス型脱水機により脱水する固液分離システムにおいて、スクリュー軸の外側に位置する外筒ろ過体に関して、汚泥投入側の末端からケーキ排出側に向かって長手方向全長の1/8〜3/4の所定の位置の外筒ろ過体より排出される脱水ろ液の量が、所定の値以下となる場合に、前段の凝集反応槽に注入する凝集剤の注入量、外筒ろ過体の洗浄頻度、及び脱水機の運転動作に対して少なくとも1つの制御を行うことを特徴とする固液分離システムの制御方法。
- 脱水処理の対象とする懸濁液に対して凝集剤を添加及び混合し、スクリュープレス型脱水機により脱水する固液分離システムにおいて、スクリュープレス型脱水機により排出される全脱水ろ液のうち、外筒ろ過体の汚泥投入側の末端からケーキ排出側に向かって全長の3/4未満の外筒ろ過体から排出されるろ液量を、外筒ろ過体の位置ごとに複数に分割し、該分割されたろ液量を上流側からW1、W2、・・・Wnとし、W1、W2、・・・Wnの関数として表される値に基づいて、前段の凝集反応槽に注入する凝集剤の注入量、外筒ろ過体の洗浄頻度、及び脱水機の運転動作に対して少なくとも1つの制御を行うことを特徴とする固液分離システムの制御方法。
- 脱水処理の対象とする懸濁液に対して凝集剤を添加及び混合し、スクリュープレス型脱水機により脱水する固液分離システムにおいて、スクリュープレス型脱水機により排出される全脱水ろ液量のうち、外筒ろ過体の汚泥投入側の末端からケーキ排出側に向かって全長の3/4未満の外筒ろ過体より排出されるろ液の一部または全部、または外筒ろ過体の位置ごとに複数に分割したそれぞれのろ液量を常時測定する手段、該各ろ液量の関数で表される値により、前段の凝集反応槽に注入する凝集剤の注入量、外筒ろ過体の洗浄頻度、または脱水機の運転動作に対して少なくとも1つの制御を行える手段を備えることを特徴とする固液分離システムの制御装置。
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