JP3678992B2 - マット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、セルロース系の材料によって形成されたマットに関する。
【0002】
【従来の技術】
農作物を植えるための畝などには、保温や除草の目的で、マットを敷くことが多い。これらのマットは、農作業や農作物、雑草等の成長に伴って、破損したり腐食したりする。このため、不要となったときには、すべてを回収するのが困難な場合も多い。例えば、マルチング用マットとしては、一般にプラスチックシートが使用されているが、プラスチックシートの合成樹脂成分は、生分解されにくいため、土壌中にそのまま存在し続ける。また、木質材料を用いて作られたマットも存在するが、運搬時に細分された木質材料が飛散し、マットの形状が崩れてしまったり、植物の成長を阻害する物質を含有していたりする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、自然環境下で生分解されやすいマットを提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、解繊された植物性のセルロース材料を有するマット層と、前記マット層の少なくとも片側に配置され、生分解性繊維から成る被覆層とを備え、前記被覆層の生分解性繊維は、前記マット層のセルロース材料に対して交絡されているマットを提供する。
この発明によれば、マットは、植物性のセルロース材料によって形成されているため、屋外又は土壌中等の自然環境下に放置すると、短期間で生分解される。
このマットは、マルチング用又は除草用に用いられると、マットが土壌中に残っても短期間で分解される。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のマット1は、植物性の解繊されたセルロース材料から成るマット層2,4と、前記マット層2,4の各々の両側に配置された生分解性繊維から成る被覆層6,8,10とを備えている。
【0006】
マット層2,4は、一種又は複数種の解繊されたセルロース材料がシート状に形成された層である。マット層2,4を構成可能なセルロース材料の種類は、特に限定しない。例えば、剪定された枝条材や間伐した若木、廃材、おがくず等の樹木由来の材料を使用するのが好ましい。また、これらに限定されず、サトウキビのバガス、綿の茎、籾殻、わら等の農業廃棄物や草、葉など広く木質系材料全般を用いることができる。これらのセルロース材料は、いずれも解繊等によって細かくされて、マット層2,4の形成に用いられる。
【0007】
なお、古紙のように既にパルプ化されたものでも良いが、インク、漂白剤等の化学薬品を含有しているため、好ましくは、人工的な化学物質を含有しない材料を用いる。また、植物由来の各セルロース材料は、解繊だけでなく、加熱等の処理が施されていても良い。好ましくは、化学変化によって生分解しやすい材料に変化したセルロース材料を使用すると、自然環境下で短期間に生分解されるマットを得ることができる。また、例えば、セルロース材料を発酵等によって腐植化させておくと、マットにおける病害菌の繁殖が抑制され、好ましい。また、加熱したセルロース材料を用いることで殺菌殺虫されたマットとすることができる。さらに、加熱によってセルロース材料に撥水性や油分吸着性を付与することで、マット層が撥水性、油分吸着性を有するマットが得られる。また、高温で処理して濃色化したセルロース材料を用いることより、吸熱しやすいマット層とすることができ、保温効果を高めたマットを得ることができる。
【0008】
マット層を構成するセルロース材料は、屋外や土壌中等の自然環境下に放置したときの生分解に要する時間を短縮するため、また、ニードルパンチ用の針が破損するのを防ぐため、所定の軟らかさを備える程度の繊維状態にしておくのが好ましい。好ましくは、解繊されたセルロース材料を使用する。この場合、用途に併せた柔軟性を備える程度に解繊されたセルロース材料を使用するのが好ましい。
【0009】
本マット層では、公知の種々の方法によって解繊されたセルロース材料を使用することができる。例えば、粉砕等によって細かくし、ふるいによって異物を除去されたセルロース材料を上昇気流に載せて舞い上がらせて更に切断、粉砕等し、その後、ディスクリファイナー等で解繊したセルロース材料を使用することができる。あるいは、爆砕によって解繊されたセルロース材料を使用することもできる。爆砕では、切断、粉砕等したセルロース材料を高圧蒸気中に投入し、その後大気圧に一気に開放することによってセルロース材料中に含まれる水分が気化するときの膨張によって解繊する。爆砕では、高圧蒸気は高温であることから、この熱を利用して、解繊と同時に所定の加熱処理が施されたセルロース材料を得ることができる。すなわち、爆砕によって改質されたセルロース材料を用いることによって、種々の性質のマットを得ることができる。
【0010】
なお、マット層には、セルロース材料以外の材料が混合されていても良い。例えば、羊毛や蚕の繭など動物性の繊維材料が混合されていても良い。動物性の繊維材料は、自然環境下で生分解されやすいため、好ましい。また、各セルロース材料を結合させたり分散を抑制したりするために接着剤が混合されていても良い。この接着剤は、生分解性又は水溶性を備えていることが、好ましい。
【0011】
マット層2,4の両側には、被覆層6,8,10が設けられている。
被覆層は、生分解性繊維がマット層の少なくとも一面を被覆するように層状に形成された部位である。
被覆層6,8,10を構成する生分解性繊維は、マット層2,4と同様、公知の種々の植物性のセルロース材料を使用し得る。また、例えば、羊毛や絹など生分解可能な動物性の繊維を使用することもできる。被覆層6,8,10を構成する繊維材料としては、紡績、開綿等によって生成される比較的長い繊維が好ましい。例えば、麻、綿等の比較的長い繊維を用いると、ニードルパンチングで良好にマット層2,4と一体化させることができ、好ましい。なお、被覆層6,8,10の生分解性繊維をマット層内にニードルパンチングによって交絡させるため、これらの繊維としては、紡績していない状態の繊維を使用するのが好ましい。
【0012】
本発明のマットは、被覆層の生分解性繊維が、マット層のセルロース材料に交絡されることにより、マット層と被覆層とが一体化されている。
マット層と被覆層との一体化は、マット層の表面に予めシート状に形成された被覆層を配置して、この被覆層の繊維をマット層に交絡させても良い。シート状に形成された被覆層とは、例えば、フェルト、ウェブなどの不織布や、織り地、編み地等に予め形成されているものをいう。また、マット層と被覆層との一体化は、マット層の表面に被覆層形成用の繊維を配置し、マット層に交絡させることによって、被覆層を形成するのと同時に行っても良い。いずれの場合においても、ニードルパンチングにより、被覆層を構成する繊維がマット層のセルロース材料に交絡されていることが好ましい。
被覆層の繊維は、マット層の厚みのほぼ全体にわたって侵入して交絡されていることが好ましい。
【0013】
本実施形態のマット1は、2つのマット層2,4を備えており、各マット層2,4の各両面に計3層の被覆層6,8,10を備えている。このマット1は、本実施形態では、以下の工程にしたがって製造されている。
まず、シート状のウェブの上にマット層を構成する解繊されたセルロース材料を均等に敷き詰め、その上に新たなウェブを重ねてニードルパンチする。このニードルパンチングにより、両側に被覆層を備えたマット層が形成される。
次に、このマットを折り畳んで、積層状態を形成する。このとき、同一のマット層が折り重ねられてマット層2,4が形成され、この積層体の両外面に、同一のウェブから成る被覆層6及び10が配置される。
【0014】
その後、この積層体をニードルパンチする。ニードルパンチングでは、少なくとも折り畳みによって形成された二つのマット層2,4内を針が走行するようにする。このニードルパンチングによって、各被覆層の繊維を交絡させて折り畳み状態に固定することができ、マット1が形成される。また、マット層2,4の間には、一枚のシート状体のウェブが折り畳まれて形成された被覆層8が形成される。
なお、ニードルパンチングでは、マット層の上側のウェブの繊維を下方に押し込んでも良いし、マット層の下側のウェブの繊維を上方に引き上げるようにしても良い。また、両方を同時に行っても良い。
また、マット層と被覆層との貼着やマット層内のセルロース材料を安定に保持するために、又は補強のために、水溶性又は生分解性の接着剤等を用いても良い。マット1が安定にマット状体を維持できると、運搬等で型崩れすることがなく、好ましい。
【0015】
このようにして形成されたマット1は、保温性、遮光性、遮音性等を備え、かつ良好な通気性を備えている。このため、例えば、農作業で保温のために用いられるマルチング用のマットや、農作物や植樹の周りに他の雑草類が繁殖するのを防止する除草用のマット等に用いることができる。このマット1は、ニードルパンチングによってマット層2,4のセルロース材料が固定されているため、セルロース材料がマット1から抜けて飛散したりするのが抑制されている。このため、運搬や設置の段階では型崩れし難く、取り扱い易い。また、マット1を自然環境下である使用位置にそのまま放置しておくと、マット1の各材料は徐々に生分解されて、堆肥化等する。このため、土壌から完全に除去しなくても、邪魔になったり、土壌を汚染したりし難い。さらに、マット層2,4のセルロース材料を加熱処理や堆肥化しておくことにより、植物の生長を阻害することのないマルチング用マットとすることができる。
また、このマット1は、両外面が被覆層で形成されているため、人が踏んだりしても滑り難い。さらに、通水性を備えているため、マット1の上から肥料、農薬等を散布して、土壌まで浸透させることができる。
【0016】
本発明のマットでは、マット層に用いるセルロース材料が、例えば200℃以上の高温で処理されていても良い。この場合、マット層は、良好な撥水性を示し、マット中に適度な空気層を確保しつつ良好な一体性を有する。このような材料を用いることで、水面上に浮遊させて用いるのに好適なマットを得ることができる。例えば、水面で植物を栽培するためのマットや、魚類の養殖における遮光用マット、孵化用マットあるいは給餌用マットとして使用することができる。なお、水面上に浮遊させて用いるマットとしては、例えば、カポックなどの中空構造を有する繊維材料をマット層として使用したマットも好適である。
更に、本発明のマットは、被覆層の繊維の交絡により、水分あるいは油分等の液体の吸収性に優れるマットとなっている。例えば、上記したように加熱処理することで、水面で油質分を良好に吸着除去する油質吸着用マットとしても使用できる。
【0017】
なお、上記実施形態のマット1は、マット層を二層、被覆層を三層備えた積層体であるが、本発明のマットはこの形態に限定されない。複数のマット層を備えた積層体に形成しても良く、この時各マット層の少なくとも片側に被覆層を備えていれば良い。また、マット層は一層でも良い。
また、マットは、マット層内、被覆層内、及びこれらのバインディングとして合成樹脂材料を含まないことが好ましい。自然環境下で、より短期間に生分解されるからである。すなわち、マット全体を植物性、又は天然由来の材料のみで構成し、短期間での生分解性が確保されるようにすることが好ましい。
【0018】
マルチング用マットや除草用マットとして使用するマットでは、マット層を形成するセルロース材料が発酵処理等によって腐植化、堆肥化、炭化等されていることが好ましい。このように処理したセルロース材料を用いると、マット内で、他の植物に有害な菌類や害虫が繁殖するのが抑制されたマットとなる。また、マットに抗菌剤等を添加しておいても良い。また、マット内に、窒素肥料を含有させておくと、本発明のマットを生分解するために土壌から窒素を摂取されるのを防いで、栽培する植物の栄養不良(窒素飢餓)を防ぐことができ、好ましい。なお、本発明のマットは種子を保持させた播種用マットとしても利用することができ、この場合も同様の処理を施すと、好ましい。
なお、除草用マットとして使用する場合は、腐食させていない植物由来のセルロース材料を含有させると、セルロース材料内に含まれているリグニン、フェノール、テルペン等が雑草類の生長を阻害するため、好ましい。
【0019】
【発明の効果】
本発明では、自然環境下で分解されやすいマットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係るマットを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 マット
2,4 マット層
6,8,10 被覆層
Claims (3)
- 樹木由来の材料が解繊されて成る植物性のセルロース材料を有するマット層と、
前記マット層の少なくとも両側に配置され、紡績していない状態の繊維を含む生分解性繊維から成るシート状に形成された被覆層とを備え、
前記被覆層の生分解性繊維は、前記マット層のセルロース材料に対して交絡されているマット。 - マルチング用マットである請求項1記載のマット。
- 除草用マットである請求項1記載のマット。
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