JP3678828B2 - 構造物直下における地盤の液状化防止工法 - Google Patents

構造物直下における地盤の液状化防止工法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造物直下の地盤における地下水位を低下させることにより地盤強化を図り液状化を防止する液状化防止工法に係り、詳しくは周辺環境への影響を考慮して、一時的に地下水位を低下させ地盤強化を完了したならば揚水を止め元の地下水状態に復旧するようにした地盤の液状化防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、一般的な液状化防止工法としては、注入・固化による工法、グラベルドレーン等を打設することによる排水工法、鋼矢板でリング状に囲み基礎地盤のせん断変形を防止する工法、および土の締固めによる方法などがある。
【0003】
しかし、これらの工法は、構造物直下における地盤に対しては、種々の理由によりあまり効果がない。たとえば、注入・固化による方法では、注入薬液が浸透せず、未改良部分が残り、注入範囲や強度といった対策効果についても不確実性が存在する。
【0004】
一方、地下水位を低下させ液状化層を不飽和として液状化を防止するいわゆる地下水位低下工法は、確実に液状化層をなくすという点においては非常に効果的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記地下水位低下による液状化防止工法においては、長期的に地下水位を低下させる場合と一時的に地下水位を低下させる場合との2つの手法がある。
しかし、長期的に地下水位を低下させておく場合には、周辺地盤の沈下の問題や、止水壁により地下水の流れを遮断してしまうことに伴う環境問題、さらには地下水位を下げた状態を維持するためのメンテナンス等の問題がある。
【0006】
これに対して、施工時に一時的に地下水位を低下させ、施工完了後に地下水を回復する一時的な地下水位低下工法の場合は、周辺地盤の沈下等も発生しにくいとともに、メンテナンス等も容易となる。また、止水壁等も施工後に撤去することから対策後の地下水環境を保持できるなど数々の利点を有する。この一時的な地下水位低下工法は、既に室内実験により液状化防止効果の確認が行われ、液状化対策として十分なものであることが立証されており、また実際の施工例も存在する。
【0007】
しかしながら、施工時に地盤強化の程度を把握する手法が確立されていないことから、実際の地下水位低下の程度や揚水時間等が不確定となり、地盤の強化程度がまちまちとなりがちで、液状化層を所定の液状化強度をもった均質の地盤層に改変することが困難であるなどの問題を有する。
【0008】
なお、現在、液状化防止効果の確認試験としては、標準貫入試験N−値や不攪乱試料を用いた室内液状化強度試験などがあるが、これらの方法はいずれも地盤強化完了後に行われるものであり、施工中に対策効果を容易に確認できる方法の確立が望まれている。
【0009】
他方、この種の地下水位低下工法の場合には、地盤の圧密により地盤沈下が発生するという不可避的な問題が付随する。地盤強化中に不同沈下が発生すると、構造物が傾いたりするなどの問題が発生するため、液状化対策に地下水低下工法を採用する場合には、地上構造物の不同沈下を防止する何らかの対策を講じる必要がある。
【0010】
そこで、本発明の課題は、一時的に地下水位を低下させて構造物直下の地盤強化を図り液状化を防止する工法において、地下水位低下中、すなわち施工中に液状化防止効果の評価ができる判定手法を提案することにより、経済的かつ効率的に液状化層を所定の液状化強度をもった均質の地盤層に改変すること、および地下水位の低下に伴って発生が予想される構造物の不同沈下を抑制しながら地下水位の低下を図るようにした構造物直下の液状化防止工法を提案することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は、構造物直下およびその周辺に地盤の液状化防止範囲を設定し、この液状化防止範囲に設けられた複数の揚水井戸によって地下水を揚水して地下水位を低下させることにより液状化を防止する地盤の液状化防止工法において、
前記液状化防止範囲に複数の地盤沈下測定点を設定し、これら各測定点で地盤沈下量を求め、
この地盤沈下量により前記液状化防止範囲の体積歪を算定するとともに、別途室内試験より得られた過圧密時の体積歪−液状化地盤の液状化強度増加率関係に基づいて、前記液状化防止範囲の液状化強度増加率を求め、
この液状化強度増加率が所定値以上となったならば前記地下水の揚水を止め、元の地下水状態に自然復旧することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の場合には、一時的な地下水位低下工法において、各地盤沈下測定点で求められた沈下量を用いて、予め求められた過圧密時の体積歪−液状化地盤の液状化強度増加率関係に基づいて液状化防止範囲の液状化強度増加率を求めながら地盤強化を行う。すなわち、液状化強度増加率を指標として施工中の液状化防止効果を確認しながら地盤強化を図る。なお、本発明にいう「液状化強度増加率」とは、正規圧密した場合の液状化強度比に対する過圧密した場合の液状化強度比の割合を示す値である。
【0013】
そして、地下水位低下による圧密により液状化防止範囲の地盤の液状化強度率が徐々に増加し、その増加率が所定値となったならば揚水を止め元の地下水状態に自然復旧する。なお、所定の液状化強度増加率となった後は、液状化強度が低下して元に戻るようなことはなくその強度が保持されるため、施工完了後における地盤の液状化を確実に防止することができる。
【0014】
また、構造物の不同沈下を抑制しながらの地下水位低下工法は、前記各地盤沈下測定点の地盤沈下量より、前記液状化防止範囲における地盤の不同沈下量を算定し、この不同沈下量が設定基準値を超えた場合には、他の測定点よりも大きな沈下量を示す測定点またはその近傍の揚水井戸の揚水量を減少しまたは揚水を停止し、あるいは他の測定点よりも小さな沈下量を示す測定点またはその近傍の揚水井戸の揚水量を増加し、
その後、不同沈下量が前記設定基準値以内に回復したとき、前記揚水量を減少しまたは揚水を停止し、あるいは揚水量を増加した揚水井戸の揚水量を元に戻すことを特徴とするものである。
【0015】
本発明においては、施工中、揚水井戸またはその近傍に沈下量測定点を設定し、これら測定点の沈下量を求め、これらの沈下量により地盤の不同沈下量を算定する。そして、不同沈下量が設定基準値を超えた場合に、沈下量の大きい測定点またはその近傍における揚水井戸の揚水量を減少し、または揚水を停止する。あるいは、沈下量の小さい測定点またはその近傍における揚水井戸の揚水量を増加する。すると、他の揚水井戸より相対的に揚水量が減少した揚水井戸近傍においては沈下が抑制される一方、他の揚水井戸近傍の沈下はさらに進行する。その結果、不同沈下量は小さくなることになる。
【0016】
その後、不同沈下量が設定基準値以内となった段階で揚水量を変更し、または揚水を停止した揚水井戸の揚水量を、揚水量変更または停止前と同じ量に回復し、地盤改良を続行する。かくして、不同沈下させることなく地盤の液状化防止対策が図られる。
【0017】
前記液状化防止範囲における体積歪の算定方法としては、幾つかの方法が挙げられる。先ず第1の方法としては、前記揚水井戸またはその近傍の地下水位を計測するとともに、これら地下水位から前記液状化防止範囲の地下水位分布を推定し、かつ前記各地盤沈下測定点において地表面沈下量を求め、これら地下水位分布および地表面沈下より前記液状化防止範囲の体積歪を算定する方法がある。
【0018】
次いで、第2の方法としては、構造物直下の地盤性状とその周辺の地盤性状とは基本的にほぼ同一と考えてよいため、構造物周辺部分において、予め地下水位低下量と地盤沈下量との関係を求めておき、一方前記液状化防止範囲において構造物直下の地下水位分布を求め、この構造物直下の地下水位低下量を前記地下水位低下量と地盤沈下量との関係に当てはめることにより当該構造物直下の地盤沈下量を求め、この地盤沈下量から前記液状化防止範囲の体積歪を算定することもできる。さらに第3の方法として、前記液状化防止範囲の地盤沈下量を直接的に層別地盤沈下計により測定し、この地盤沈下量から前記液状化防止範囲の体積歪を算定することもできる。
【0019】
他方、構造物直下の地下水位分布に関しては、物理探査による計測方法により求めることもできる。構造物周辺の地下水位はボーリング孔を形成して観測井戸を設ければ計測は容易であるが、構造物直下の地下水位を計測することは一般に困難であるため、このような場合に物理探査により地下水位分布を測定に求めることもできる。
【0020】
さらに、地下水位低下工法の場合には、地下水の低下効率や周辺の地盤沈下等を考慮して前記液状化防止範囲を止水壁によって隔壁するのが好ましい。液状化防止範囲を止水壁によって隔壁することにより、周辺の地下水位を低下させず、液状化防止範囲の地下水位のみを低下させることができるため、地下水位低下効率に優れるとともに、周辺環境の悪化を招くこともない。この場合には、前記液状化防止範囲の液状化強度増加率が所定値以上となり地盤強化が完了した後は、揚水を停止するとともに、前記止水壁を撤去して元の地下水状態に復旧する。
【0021】
前記止水壁としては、液状化防止対策後の撤去を考慮して鋼矢板を用いるのが好適である。なお、前記薬液の注入により前記止水壁を構築することも当然に可能である。
【0022】
さらには、前記液状化防止範囲の地表面に載荷することもできる。地表面に載荷することにより、液状化防止範囲における地盤の強度をより早く確実に増加させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面により具体的に説明する。
図1は、本発明に係る液状化防止工法の実施状態を示す横断面図である。構造物、たとえばタンク1の直下における液状化層に液状化防止範囲Kを設定し、この液状化防止範囲Kを、好ましくは鋼矢板からなる止水壁2で囲む。この止水壁2の構築の仕方は、タンク1、1…の配置関係等を考慮した上で、具体的には隣接するタンク1、1間の離間距離や総タンク数などを考慮した上で任意に決定することができる。たとえば、図3(a)に示すように、隣接するタンク1、1の間隔が広い場合には、各タンク1、1…を個々に取り囲むように止水壁2、2…を構築し、各タンク1毎に液状化防止範囲K,K…を設定することができる。また、隣接するタンク1、1の間隔が狭い場合には、図3(b)に示すように、複数のタンク1、1…全体を取り囲んで止水壁2を構築し、タンク1、1…全体を取り囲んだ液状化防止範囲Kとすることができる。さらに図3(c)に示すように、複数のタンク1、1…全体を取り囲む止水壁2と個々のタンク1、1…毎に仕切る止水壁2を構築して、各タンク1毎に液状化防止範囲K,K…を設定することができる。なお、図1はタンク1を止水壁2で個々に取り囲んだもののうちの一つを示している。
【0024】
また、タンク1の周囲には、図2に示すように、タンク1を取り囲むように、かつ前記止水壁2の内側内周に沿って、たとえば図示の如く中心角120°方向に夫々揚水井戸3、3…が設けられている。揚水井戸3、3…は、図1に示すように、不透水層のほぼ直上位置まで達する長さの穿孔井戸であり、たとえばこの揚水井戸の下部に配設された水中ポンプより地下水を吸入し地上側に排出するようになっている。なお、液状化層の厚さが概ね10m未満であるような場合にはウエルポイントによるバキューム排水とすることもできる。
【0025】
また、揚水井戸3、3…の近傍およびタンク1の周方向に沿う揚水井戸3と揚水井戸3の間には、揚水井戸3、3…とほぼ同一深さの観測井戸4、4…が設けられているとともに、これに隣接して沈下量計測点5、5…が設定されている。この沈下量計測点5、5…においては、地表面沈下量あるいは液状化層の沈下量等が計測される。また、前記観測井戸4、4…の最下端には、水位計6、6…が設置され、構造物周囲の地下水位が計測される。前記水位計6としては、たとえば、水位計や間隙水圧計などの水位測定機器を用いることができる。
【0026】
また、沈下量計測点5、5…において地盤沈下量を計測するには、種々の方法を用いることができる。具体的に、たとえば地表面沈下測定を測定する場合には地表に杭を設けてレベルと標尺を用いて地表面の鉛直変位を測定する鉛直変位杭による地表面沈下の測定法などを採用することができる。また、液状化層の沈下を直接測定するためには、沈下しない支持層に定着させたアンカーロッドとこのロッドに沿って沈下する沈下板との相対変位量を電気的に計測する連続式沈下計による測定法や地盤変形に追随するように埋設されたアンカー体に連動するワイヤーの移動量を地表で測定することにより所定層の沈下を測定するワイヤー式沈下計による測定法、その他としてはボーリング孔壁アンカー式沈下計、電磁気式沈下計など種々の測定方法があり、対象地盤に合わせて適宜の計測方法を用いることができる。
【0027】
続いて、本発明に係る液状化防止工法を図4に示す施工管理フローを用いて具体的に説明する。
施工前の事前検討事項として、地盤の液状化判定により地盤の液状化防止対策上必要とされる必要液状化強度増加率R* を予め設定しておくとともに、室内における液状化強度試験により、過圧密時の体積歪−液状化地盤の液状化強度増加率Rの関係を求めておく。
【0028】
因みに、神戸ポートアイランドより採取した不攪乱試料と習志野沖積砂層より採取した不攪乱試料の2つについて行った過圧密時の体積歪−液状化強度増加率Rの試験結果を示す。図5は神戸ポートアイランド試料の場合における過圧密時の体積歪−液状化強度増加率Rの相関図である。また、図6は習志野沖積砂試料の場合における過圧密時の体積歪−液状化強度増加率Rの相関図である。神戸ポートアイランドより採取した不攪乱試料と習志野沖積砂層より採取した不攪乱試料との比較では両者間に明瞭な差異は認められず、過圧密時の体積歪−液状化強度増加率Rの関係は全体的に正比例的な相関関係があることが判明される。
【0029】
前記事項の検討が完了した段階で、各揚水井戸3、3…より揚水が行われ液状化防止のための地盤強化が開始される。最初の段階では各揚水井戸3、3…の揚水量は相互に均一とされる。施工前、すなわち揚水前の地下水位は、図1に点線で示す高さであるが、これを揚水井戸3、3…の揚水により、実線で示す位置まで低下する。このとき、液状化防止範囲Kは止水壁2により隔壁されているため、液状化防止範囲Kの外側の地下水位はほとんど変動しない。
【0030】
また、本実施形態においては、揚水井戸3、3…の近傍に観測井戸4、4…を設けて地下水位の計測を行い、構造物直下の地下水位についてはその分布を流線網などから推定することとしているが、たとえば構造物の底版にボーリング孔をあけることができるような場合には構造物直下の地下水位を直接測定することもできる。さらに、前記地下水位の推定に当り、物理探査により構造物直下の地下水位を測定し、これに基づいて地下水位の分布を求めることもできる。前記物理探査法としては、たとえば弾性波物理探査を用いることができる。
【0031】
揚水により地下水位が低下すると、浮力が無くなり見掛け上の単位体積重量が上がるため地盤が圧密される。地盤の圧密に伴い土の液状化強度が増加する。
【0032】
本発明では、図4に示されるように、好ましくは前記揚水により発生が予想される不同沈下を抑制しながら揚水制御操作が行われる。
具体的には、不同沈下量に予め設定基準値を設定しておき、適宜の時点で最大不同沈下量が設定基準値を超えたか否かが判断される。その結果、設定基準値以内であれば、揚水井戸3、3…による揚水をそのまま続行する。一方、設定基準値を超えた場合には、沈下量が大きい計測点5の近傍の揚水井戸3の揚水量を減少するか、または揚水を停止する。すると、揚水量を減少等している揚水井戸3の近傍の地下水位は低下しなくなるため、その揚水位置近傍の沈下は進まなくなる。したがって、不同沈下量は減少傾向となり、やがて不同沈下量は設定基準値内に収まる。なお、不同沈下修正方法としては、逆に沈下量が小さい計測点5の近傍の揚水井戸3の揚水量を増加することでもよい。なお、構造物単独の傾斜に着目するならば、構造物に取り付けた傾斜計などにより揚水中の傾斜状態を把握することもできる。
【0033】
前記揚水制御を行いながら揚水を続行し、地盤の液状化強度増加率Rが所定の液状化強度増加率R* に達したならば、揚水による地下水位の低下を止め、液状化防止工を完了する。前記液状化強度増加率R* としては、載荷圧を別にして地下水位低下だけに依る場合で、概ね1.2〜1.5程度に設定される。
【0034】
液状化防止範囲Kの地盤が液状化強度増加率R* に達したか否かの判定は、具体的には以下のようにして行われる。先ず第1の方法としては、地下水位の分布と地表面沈下から計算により、液状化防止範囲Kの地盤の体積歪を求め、別途室内試験から求めた「過圧密時の体積歪−液状化地盤の液状化強度増加率関係」に基づいて液状化強度増加率Rを算出する。計算手法としては、簡易計算法や有限要素法などをプログラムを用いたコンピューター解析などにより行うことができる。次いで第2の方法としては、予め構造物周辺において試験を行い、地下水位低下量と沈下量との関係を予め求めておき、前述した要領によって構造物直下の地下水位を推定または物理探査して地下水位の分布を決定したならば前記地下水位低下量と沈下量との関係図より液状化防止範囲の沈下量を算出し、次いでこの沈下量より体積歪を求め、前記「過圧密時の体積歪−液状化地盤の液状化強度増加率関係」から液状化強度増加率Rを算出することもできる。さらに、第3の方法としては、直接的に液状化防止範囲の沈下量を層別地盤沈下計により測定し、これから体積歪を求めて液状化強度増加率Rを算出することもできる。なお、前記地表面沈下から液状化層の沈下量を推定するケースにおいて、液状化層の下側に軟弱粘土層が存在するような場合には、この軟弱地盤の圧密沈下も含むことになるため、層別沈下計によりこの軟弱粘土層の沈下量を求め、地表面沈下量から前記軟弱粘土層の沈下量を減算して液状化層単独の体積歪を算定するようにする。
【0035】
以上の要領により、所定値以上に液状化地盤の強化が図れたならば、止水壁2を撤去し地下水状態を元の状態に戻す。一旦圧密された地盤はその後に地下水位が上昇したとしても、その強度の殆どは維持され、その後は液状化の虞が無くなる。また、地下水を元に戻すことにより周辺環境の悪化等の心配も無くなる。
【0036】
さらに、本発明では地下水位低下の繰り返しにより液状化強度増加率Rの上昇を図ることもできる。図7に示されるように、過圧密の繰り返しにより液状化強度増加率が上昇することが既に知見されているため、全く同じ揚水操作を何度か繰り返すことにより地盤強化の増加が望める。さらに、地下水位の低下中に地表面から載荷を行うことにより、地盤強化の効率化並びに圧密時間の短縮を図ることができる。載荷方法としては、たとえば簡易的には盛土を行ったりする方法が挙げられる。また、地上構造物がタンク等であるような場合には、タンク内に水を張ることによって載荷を行うことができる。
【0037】
この他、前記止水壁を薬液注入により構築することもできるし、また隣接構造物が存在せず周辺環境の悪化等の虞がないような条件の下では止水壁を構築することなく揚水を行うこともできる。
【0038】
【発明の効果】
以上のとおり本発明によれば、一時的に地下水位を低下させて構造物直下の地盤強化を図り液状化を防止する工法において、地下水位低下中、すなわち施工中に液状化防止効果の評価ができる判定手法を提案することにより、経済的かつ効率的に液状化層を所定の液状化強度をもった均質の地盤層に改変することができるようになる。また、地下水位の低下に伴って発生が予想される構造物の不同沈下を抑制しながら地下水位の低下を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液状化防止工法の実施形態横断面図である。
【図2】その平面図である。
【図3】構造物に対する止水壁の構築関係を示す平面図である。
【図4】本発明に係る液状化防止工法の施工管理フローである。
【図5】神戸ポートアイランド試料の場合における過圧密時の体積歪−液状化強度増加率Rの相関図である。
【図6】習志野沖積砂試料の場合における過圧密時の体積歪−液状化強度増加率Rの相関図の相関図である。
【図7】過圧密の繰り返し回数と過圧密による液状化強度増加率との関係図である。
【符号の説明】
1…構造物(タンク)、2…止水壁、3…揚水井戸、4…観測井戸、5…沈下量計測点、6…水位計。

Claims (13)

  1. 構造物直下およびその周辺に地盤の液状化防止範囲を設定し、この液状化防止範囲に設けられた複数の揚水井戸によって地下水を揚水して地下水位を低下させることにより液状化を防止する地盤の液状化防止工法において、
    前記液状化防止範囲に複数の地盤沈下測定点を設定し、これら各測定点で地盤沈下量を求め、
    この地盤沈下量により前記液状化防止範囲の体積歪を算定するとともに、別途室内試験より得られた過圧密時の体積歪−液状化地盤の液状化強度増加率関係に基づいて、前記液状化防止範囲の液状化強度増加率を求め、
    この液状化強度増加率が所定値以上となったならば前記地下水の揚水を止め、元の地下水状態に自然復旧することを特徴とする構造物直下における地盤の液状化防止工法。
  2. 前記各地盤沈下測定点の地盤沈下量より、前記液状化防止範囲における地盤の不同沈下量を算定し、この不同沈下量が設定基準値を超えた場合には、他の測定点よりも大きな沈下量を示す測定点またはその近傍の揚水井戸の揚水量を減少しまたは揚水を停止し、あるいは他の測定点よりも小さな沈下量を示す測定点またはその近傍の揚水井戸の揚水量を増加し、
    その後、不同沈下量が前記設定基準値以内に回復したとき、前記揚水量を減少しまたは揚水を停止し、あるいは揚水量を増加した揚水井戸の揚水量を元に戻すことを特徴とする請求項1記載の構造物直下における地盤の液状化防止工法。
  3. 前記揚水井戸またはその近傍の地下水位を計測するとともに、これら地下水位から前記液状化防止範囲の地下水位分布を推定し、かつ前記各地盤沈下測定点において地表面沈下量を求め、これら地下水位分布および地表面沈下より前記液状化防止範囲の体積歪を算定し、液状化強度増加率を求める請求項1または2記載の構造物直下における地盤の液状化防止工法。
  4. 構造物周辺部分において、予め地下水位低下量と地盤沈下量との関係を求めておき、一方前記液状化防止範囲において構造物直下の地下水位分布を求め、この構造物直下の地下水位低下量を前記地下水位低下量と地盤沈下量との関係に当てはめることにより当該構造物直下の地盤沈下量を求め、この地盤沈下量から前記液状化防止範囲の体積歪を算定し、液状化強度増加率を求める請求項1または2記載の構造物直下における地盤の液状化防止工法。
  5. 前記液状化防止範囲の地盤沈下量を直接的に層別地盤沈下計により測定し、この地盤沈下量から前記液状化防止範囲の体積歪を算定し、液状化強度増加率を求める請求項1または2記載の構造物直下における地盤の液状化防止工法。
  6. 前記構造物直下の地下水位分布および不飽和領域分布を物理探査で計測することにより求める請求項3または4記載の構造物直下における地盤の液状化防止工法。
  7. 地下水位低下および回復を繰り返し、揚水停止から地下水位回復までの一定期間、前記液状化防止範囲の飽和度を下げることにより液状化強度の増加を図る請求項1〜6のいずれか1項に記載の構造物直下における地盤の液状化防止工法。
  8. 請求項3記載の地盤の液状化防止工法において、液状化防止範囲の下側に軟弱粘土層が存在する場合に、この軟弱粘土層の圧密沈下量を層別地盤沈下計により計測し、地表面沈下量から前記軟弱粘土層の圧密沈下量を減算することにより当該液状化防止範囲のみの地盤沈下量を算出する構造物直下における地盤の液状化防止工法。
  9. 前記液状化防止範囲を止水壁によって隔壁する請求項1〜8のいずれか1項に記載の構造物直下における地盤の液状化防止工法。
  10. 前記液状化防止範囲の液状化強度増加率が所定値以上となった後、前記止水壁を撤去する請求項9記載の構造物直下における地盤の液状化防止工法。
  11. 前記止水壁として、鋼矢板を用いる請求項9または10記載の構造物直下における地盤の液状化防止工法。
  12. 前記止水壁を薬液の注入により構築する請求項9または10記載の構造物直下における地盤の液状化防止工法。
  13. 前記液状化防止範囲の地表面に載荷を行う請求項1〜12のいずれか1項に記載の構造物直下における地盤の液状化防止工法。
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