JP3678601B2 - 端末エミュレータ通信制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンピュータネットワーク網における端末エミュレータ通信制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
あるコンピュータシステム上で、異なるコンピュータシステムと同じ働きをさせることをエミュレーションと言い、エミュレーションを実現させるハードウェア又はソフトウェアをエミュレータと言う。エミュレーションは、コンピュータネットワークを介した通信によって実現されることが多い。
【0003】
通信プロトコルとして例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を用いたサーバ・クライアント型のエミュレータ通信では、クライアントが端末エミュレータ機能によってサーバにアクセスを行うと、サーバ側では端末エミュレータサーバ機能によってサーバとクライアントの論理的な接続(以下セッションという)が確立される。端末エミュレータサーバ機能は、接続しているクライアントをIPアドレスなどの各々の端末エミュレータ機能の固有の情報によって識別し、セッションを管理する。これによって、クライアント側では、サーバ環境のエミュレーションを実現できる。
【0004】
ところが、接続中のクライアントの端末エミュレータ機能が正常にセッションを終了しなかった、すなわちセッションを中断した場合(例えば端末エミュレータ機能が作動している端末装置の電源を強制的に切った場合など)、サーバ側の端末エミュレータサーバ機能では、この端末エミュレータ機能は接続中と認識される。再度クライアントがこの端末エミュレータ機能でサーバ側に接続を試みると、サーバ側で既に接続中と認識されるため接続不能となる。この状況でサーバに新たに接続するためには、異なる固有情報を持つ端末エミュレータ機能を用いてサーバに接続することになるが、サーバはセッション管理に利用されるエミュレータ資源を浪費するため、サーバの負担が多大となる。
【0005】
こうしたことを防ぐために、特開平9−223095号公報に開示された発明では、サーバから無通信監視データを定期的に接続中の端末エミュレータ機能に対して出すことにより、クライアントからの応答が一定時間無い時には、セッションを切断するようになっている。また、特開平10−93636号公報に開示された発明では、クライアントがWAN(Wide Area Network)等で遠隔地より中継装置を介してサーバに接続されている時には、中継装置間である一定時間データの送信が無い時には、中継装置間の回線接続だけを切断し、中継装置間で再度データ送受信要求があったときに中継装置間の回線を接続することにより回線費用を削減するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような従来の端末エミュレータ通信制御方法で、接続しているクライアント側の端末エミュレータ機能が正常動作しているかどうかを、サーバ側からの定期的な無通信監視によって確認する方法では、サーバとクライアント間で、エミュレーションの対象となっているサーバのアプリケーションに渡すデータ以外に無通信監視のためのデータが送信されるため、WAN等で遠隔地より中継装置を介して接続している場合は回線費用が大きくなるという問題点があった。
【0007】
また、中継装置間の接続でデータが一定時間送信されない時は中継装置間の回線を切断できるように設定されても、無通信監視データの送受信要求が発生すると回線が接続されるので、回線費用が大きくなるという問題点があった。
【0008】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、端末エミュレータ通信制御方法において、WANを介して遠隔地のクライアントからサーバに対して端末エミュレータ機能で接続する時に、セッションが中断された端末エミュレータ機能の再接続を実現することと、回線費用を削減できるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る端末エミュレータ通信制御方法においては、端末エミュレータ機能を有するクライアントと、端末エミュレータサーバ機能及び論理的な接続が確立された前記クライアントとの接続状態を監視するための無通信監視機能を有し、論理的な接続が確立された前記クライアントとのセッションに関するセッション情報を管理テーブルに登録することによって前記クライアントとの接続状態を管理するサーバとを有するネットワークシステムにおける端末エミュレータ通信制御方法において、前記サーバは、前記クライアントから送られてきた接続要求及びセッション情報を受信し、受信したセッション情報で前記管理テーブルを検索することによって、受信したセッション情報から特定できるクライアントのセッション情報が前記管理テーブルに登録されていないと判断した場合には、受信したセッション情報を前記管理テーブルに登録する接続処理を実施し、受信したセッション情報から特定できるクライアントのセッション情報が前記管理テーブルにすでに登録されていると判断した場合において、当該クライアントのセッション情報に対応させて前記管理テーブルに設定されている無通信監視機能に関する設定情報から、当該クライアントに対して無通信監視有りと設定されていると判断した場合には当該クライアントからの接続要求に対して接続を拒否し、一方、当該クライアントに対して無通信監視無しと設定されていると判断した場合には当該クライアントのセッション情報を前記管理テーブルから削除した後、当該クライアントからの接続要求に応じて前記接続処理を実施する再接続処理を実施するものである。
【0010】
また、前記クライアントは、セッション確立の際に無通信監視有り又は無通信監視無しを示す無線通信監視有無情報を前記サーバへ送信し、前記サーバは、前記クライアントから送られてきた無線通信監視有無情報を無通信監視機能に関する設定情報として、当該クライアントのセッション情報に対応させて前記管理テーブルに登録するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態を図を用いて説明する。
【0013】
図1は、本発明に基づく端末エミュレータ通信制御方法のシステム構成図の一例である。
【0014】
通信プロトコルとしてTCP/IPを用いたLAN(Local Area Network)上で認識可能なサーバ装置7では端末エミュレータサーバ8が作動しており、端末装置1は遠隔地より回線6を通してサーバ装置7のあるLANとつながっている。
【0015】
次に、端末装置1の構成について説明する。
【0016】
端末装置1には端末エミュレータ設定ツール2及び端末エミュレータ管理テーブル3が含まれている。また、端末装置1では端末エミュレータ4が作動しており、これが上述の端末エミュレータ機能に該当する。図1には示されていないが、端末装置1では端末エミュレータ4は複数個作動できるものとする。また端末装置1には固有のIPアドレス5が割り振られている。
【0017】
端末エミュレータ管理テーブル3では、接続先のサーバ装置に関する情報(以下、接続先情報という)が格納され、端末エミュレータ設定ツール2によって接続先情報の設定及び管理が行われている。
【0018】
この実施の形態における端末エミュレータ管理テーブル3の模式図を図2に示す。図2で示される模式図では、各行が一件の接続先情報を表している。接続先情報は、サーバ装置7のIPアドレス12、端末ID及び端末エミュレータサーバとの接続状態情報で構成されている。このうちサーバ装置7のIPアドレス12及び端末IDについては、サーバ装置7に接続するための準備として、サーバ装置7に接続前にあらかじめ設定されている。ここで端末IDは、端末装置1で作動している端末エミュレータに対して一意的な識別子であり、一つの端末装置で作動している複数の端末エミュレータをサーバ装置7に接続する時に、サーバ装置7において、各端末エミュレータ4を識別するために使用される。
【0019】
次に、サーバ装置7の構成について説明する。
【0020】
サーバ装置7では、端末エミュレータサーバ8が作動しており、これが上述の端末エミュレータサーバ機能に該当する。この端末エミュレータサーバ8には端末エミュレータサーバ設定ツール9、端末エミュレータサーバ管理テーブル10及び端末エミュレータサーバ制御部11が含まれている。またサーバ装置7には固有のIPアドレス12が割り振られている。
【0021】
端末エミュレータサーバ管理テーブル10では、接続中と認識されている端末エミュレータ4のセッションに関する情報(以下、セッション情報という)が格納されており、端末エミュレータサーバ設定ツール9によってセッション情報の設定及び管理が行われる。この実施形態における端末エミュレータサーバ管理テーブル10の模式図を図3に示す。
【0022】
図3で示される模式図では、各行が一件のセッション情報を表している。セッション情報は、端末エミュレータの作動する端末装置のIPアドレス5及び端末ID(以下、エミュレータ情報という)に、端末識別番号、端末エミュレータサーバにおける接続状態情報、無通信監視の有無情報の組み合わせで構成されている。ここで端末識別番号は端末エミュレータサーバ2でセッションを管理するための識別子であり、接続しようとする端末エミュレータ4のエミュレータ情報とは一意的である。
【0023】
図4は実施の形態1の端末エミュレータサーバ8での接続処理を示すフローチャートである。以下、図1及び図4を用いて、実施の形態1における端末エミュレータ制御方法の動作の概要について説明する。
【0024】
端末装置1の端末エミュレータ4が、サーバ装置7に接続を行う時、端末エミュレータ4は端末エミュレータ設定ツール2に、エミュレータ管理テーブル3から接続先のサーバ装置IPアドレスを読み出す命令を発する。この命令を受けた端末エミュレータ設定ツール2は、端末エミュレータ4に割り振られた端末IDを含む接続先情報から接続先のサーバ装置7のIPアドレス及び端末IDを読み出し、端末エミュレータ4に送信する。端末エミュレータ4は接続先のサーバ装置7のIPアドレスを手がかりに、接続要求と共に、端末装置1のエミュレータ情報、即ちIPアドレス5及び端末IDをサーバ装置7に送信する。
【0025】
端末エミュレータサーバ8では、端末エミュレータサーバ制御部11が、端末エミュレータ4から接続要求及びエミュレータ情報を受信すると(ステップS41)、端末エミュレータサーバ設定ツール9に、受信したエミュレータ情報を送信し、端末エミュレータサーバ管理テーブル10を参照して、セッション情報の中で同ーのエミュレータ情報を持つものがないか検索させる命令を発する。この命令を受けた端末エミュレータサーバ設定ツール9は、この命令を実行する。(ステップS42)。
【0026】
図4のステップS42において、検索の結果、端末エミュレータサーバ制御部11が受信したエミュレータ情報を持つセッション情報が存在しないと判断した場合は(ステップS42のNO)、端末エミュレータサーバ制御部11により接続処理が行われ(ステップS43)、端末エミュレータサーバ設定ツール9により、使用されていない端末識別番号及び接続する端末エミュレータのエミュレータ情報を含むセッション情報が端末エミュレータサーバ管理テーブル10に登録される。
【0027】
接続後は、端末エミュレータサーバ制御部11により、接続された端末エミュレータ4との通信制御を行う。
【0028】
図4のステップS42において、検索の結果、端末エミュレータサーバ制御部11が受信したエミュレータ情報を持つセッション情報が存在し(ステップS42のYES)、かつ無通信監視無しで設定されている場合(ステップS44のYES)、端末エミュレータサーバ制御部11は、接続されている端末エミュレータ4とのセッションを切断し(ステップS46)、端末エミュレータサーバ設定ツール9は端末エミュレータサーバ管理テーブル10からこのセッション情報を削除する。そして端末エミュレータサーバ制御部11は、接続要求のあった端末エミュレータ4に対して接続処理を行い、端末エミュレータサーバ設定ツール9は、使用されていない端末識別番号及び接続する端末エミュレータ4のエミュレータ情報を含むセッション情報を端末エミュレータサーバ管理テーブル10に登録する。以上述べたセッションの再接続処理によって、接続要求のあった端末エミュレータ4とのセッションが確立される(ステップS47)。
【0029】
また、図4のステップS44において、無通信監視で設定されている場合は(ステップS44のNO)、同一のエミュレータ情報を持つ端末エミュレータ4の接続は許可せず、接続要求のあった端末エミュレータに対して接続拒否の処理を行う(ステップS45)。
【0030】
上述の実施の形態により、端末エミュレータサーバ8とのセッションが確立している端末エミュレータ4が作動する端末装置1が、トラブル等により電源を強制的に切断したような場合でも、無通信監視無しの設定をすることにより、端末識別番号のような端末エミュレータサーバ8のエミュレータ資源を余分に使うことなく再接続処理ができる。
【0031】
この実施の形態において、端末エミュレータサーバ設定ツール9は、それぞれの端末識別番号に対し、特定のエミュレータ情報を持つ端末エミュレータだけが接続できるように設定したり、無通信監視を行えるように設定をするようにできることが望ましい。
【0032】
また、端末IDが端末装置1によらず端末エミュレータ4だけに対して一意的とし、端末装置のエミュレータ情報が端末IDのみとすることにより、端末装置1のIPアドレスが不定であるネットワーク環境下でも、セッションの再接続処理は可能となる。
【0033】
実施の形態2.
実施の形態1の端末エミュレータ通信制御方法において、端末エミュレータサーバ制御部11は、端末エミュレータ4とのセッション確立の際に、この端末エミュレータ4に無通信監視の有無情報を送信する。これを受信した端末エミュレータ4では、この設定情報を基に無通信監視の有無を決定し、決定した情報を端末エミュレータサーバ8に送信する。決定情報を受信した端末エミュレータサーバ8では、この端末エミュレータ4に対する監視方法を変更するように、端末エミュレータサーバ設定ツール9によって端末エミュレータサーバ管理テーブル10に変更を行う。
【0034】
この実施形態に係る端末エミュレータ通信制御方法では、端末エミュレータサーバ8に接続中の端末エミュレータ4で自身の監視方法を決定し、接続中の端末エミュレータサーバ8に指定することが可能である。
【0035】
実施の形態3.
実施の形態1又は2の端末エミュレータ通信制御方法において、端末エミュレータサーバ管理テーブル10に、端末エミュレータサーバ制御部11が受信したエミュレータ情報を持つセッション情報が存在し、無通信監視有りと設定されている時には、端末エミュレータサーバ制御部11は、接続されている端末エミュレータ4のセッションを切断し、端末エミュレータサーバ設定ツール9は端末エミュレータサーバ管理テーブル10からこのセッション情報を削除する。そして接続要求のあった端末エミュレータ4に対して接続処理を行い、セッションを確立する。また端末エミュレータサーバ制御部11は、端末エミュレータサーバ8で指定された時刻にこの端末エミュレータ4に無通信監視を実行する。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る端末エミュレータ通信制御方法によれば、端末エミュレータサーバ機能が、コンピュータネットワーク網を介して接続している端末エミュレータ機能に対して無通信監視無しと設定した場合に再接続機能を作動することにより、何らかの問題で正常に端末エミュレータ機能を終了できなかった時でも、再接続時に端末エミュレータサーバ機能のエミュレータ資源を余分に消費したり、接続を拒否されるような問題を解消できる。また、遠隔地の端末エミュレータ機能からの接続に対しては、無通信監視無しに設定することによって、無通信監視データの送信にかかる回線料金を削減できる。
【0038】
また、接続中の端末エミュレータ機能より無通信監視の有無を設定できることにより、端末エミュレータ機能が作動しているネットワーク環境に合わせた監視方法へ柔軟かつ敏速に対応できる。
【0040】
また、本発明は、端末エミュレータだけでなく、クライアント/サーバ型のプログラムにおいても応用でき、同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示すシステム構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態1のエミュレータ管理テーブルを示す模式図である。
【図3】 この発明の実施の形態1の端末エミュレータサーバ管理テーブルを示す模式図である。
【図4】 この発明の実施の形態1の端末エミュレータサーバ接続処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 端末装置、2 端末エミュレータ設定ツール、3 端末エミュレータ管理テーブル、4 端末エミュレータ、5 端末装置のIPアドレス、6 遠隔地の端末装置とを結ぶ回線、7 サーバ装置、8 端末エミュレータサーバ、9 端末エミュレータサーバ設定ツール、10 端末エミュレータサーバ管理テーブル、11 端末エミュレータサーバ制御部、12 サーバ装置のIPアドレス。

Claims (2)

  1. 端末エミュレータ機能を有するクライアントと、
    端末エミュレータサーバ機能及び論理的な接続が確立された前記クライアントとの接続状態を監視するための無通信監視機能を有し、論理的な接続が確立された前記クライアントとのセッションに関するセッション情報を管理テーブルに登録することによって前記クライアントとの接続状態を管理するサーバと、
    を有するネットワークシステムにおける端末エミュレータ通信制御方法において、
    前記サーバは、
    前記クライアントから送られてきた接続要求及びセッション情報を受信し、
    受信したセッション情報で前記管理テーブルを検索することによって、受信したセッション情報から特定できるクライアントのセッション情報が前記管理テーブルに登録されていないと判断した場合には、受信したセッション情報を前記管理テーブルに登録する接続処理を実施し、
    受信したセッション情報から特定できるクライアントのセッション情報が前記管理テーブルにすでに登録されていると判断した場合において、当該クライアントのセッション情報に対応させて前記管理テーブルに設定されている無通信監視機能に関する設定情報から、当該クライアントに対して無通信監視有りと設定されていると判断した場合には当該クライアントからの接続要求に対して接続を拒否し、一方、当該クライアントに対して無通信監視無しと設定されていると判断した場合には当該クライアントのセッション情報を前記管理テーブルから削除した後、当該クライアントからの接続要求に応じて前記接続処理を実施する再接続処理を実施することを特徴とする端末エミュレータ通信制御方法。
  2. 前記クライアントは、セッション確立の際に無通信監視有り又は無通信監視無しを示す無線通信監視有無情報を前記サーバへ送信し、
    前記サーバは、前記クライアントから送られてきた無線通信監視有無情報を無通信監視機能に関する設定情報として、当該クライアントのセッション情報に対応させて前記管理テーブルに登録することを特徴とする請求項1記載の端末エミュレータ通信制御方法。
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