JP3677591B2 - イオン交換方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン交換方法に関し、更に詳しくは、逆洗操作とイオン交換操作を並行して実施することができるイオン交換方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の純水製造装置等に用いられる水処理装置の代表的なものとして例えば2床3塔式イオン交換装置がある。このイオン交換装置は、例えば図3に示すように、弱酸性カチオン交換樹脂(以下、「弱酸性カチオン交換樹脂層」とも称す。)1A及び強酸性カチオン交換樹脂(以下、「強酸性カチオン交換樹脂層」とも称す。)1Bがそれぞれ上下に充填されたカチオン交換塔1と、このカチオン交換塔1の下流側に配置された脱炭酸塔2と、この脱炭酸塔2の下流側に配置された弱塩基性アニオン交換樹脂(以下、「弱塩基性アニオン交換樹脂層」とも称す。)3A及び強塩基性アニオン交換樹脂(以下、「強塩基性アニオン交換樹脂層」とも称す。)3Bがそれぞれ上下に充填されたアニオン交換塔3とを備え、被処理水を下降流通水で処理するようにしてある。また、カチオン交換塔1の上流側には濾過装置4が配置され、原水中に含まれている懸濁物質を除去し、カチオン交換塔1内へ懸濁物質が極力混入しないようになっている。そして、濾過装置4、カチオン交換塔1、脱炭酸塔2及びアニオン交換塔3は、それぞれ通水管5A〜5Cを介して連結され、イオン交換装置の処理水は通水管5Dから流出するようになっている。
【0003】
上記イオン交換装置のカチオン交換塔1の詳細を示したものが図4、図5である。カチオン交換塔1内の弱酸性カチオン交換樹脂層1Aと強酸性カチオン交換樹脂層1Bは仕切板1Cによって仕切られ、この仕切板1Cによって弱酸性カチオン交換樹脂層1Aを支持している。カチオン交換塔1内では弱酸性カチオン交換樹脂層1Aの上方に逆洗用のフリーボード1Dが形成され、このフリーボード上部にディストリビュータ兼コレクタとなる第1給排液管1Fが配設されている。この第1給排液管1Fには通水管5A及び排液管5Eが分岐して接続され、それぞれのバルブ6A、6Bを個別に開き、通水管5Aからカチオン交換塔1内へ被処理水を供給し、排液管5Eから再生廃液等を排出する。一方、強酸性カチオン交換樹脂層1Bの下層部にはコレクタ兼ディストリビュータとなる第2給排液管1Gが配設されている。この第2給排液管1Gには通水管5B及び給液管5Fが分岐して接続され、それぞれのバルブ6C、6Dを個別に開き、通水管5Bから処理水を流出させ、給液管5Fから再生剤を供給する。逆洗水供給管7と通水管5Bがバルブ6Cの上流側で互いに接続され、この逆洗水供給管7のバルブ6Eによって両者間が連通、遮断可能になっている。また、アニオン交換塔3も基本的にはカチオン交換塔1に準じて構成されている。
【0004】
従って、被処理水を処理する時には、図4に示すように、バルブ6A、6Cを開き、バルブ6B、6D、6Eを閉じた状態で、濾過装置4から流出する被処理水を通水管5A及びディストリビュータ1Fを介してカチオン交換塔1内へ供給すると、被処理水が弱酸性カチオン交換樹脂層1A及び強酸性カチオン交換樹脂1Bを下降流で通過する間に各イオン交換樹脂層において被処理水中のカルシウムイオン、マグネシウムイオン、ナトリウムイオン等のカチオンを各イオン交換樹脂の水素イオンとイオン交換して除去され一次処理水が得られると、この一次処理水は通水管5Bを介して脱炭酸塔2へ流入する。脱炭酸塔2では酸性下で一次処理水中の遊離炭酸を炭酸ガスとして脱炭酸して二次処理水が得られる。この二次処理水が通水管5Cを介してアニオン交換塔3へ流入すると、二次処理水が弱塩基性アニオン交換樹脂3A及び強塩基性アニオン交換樹脂3Bを下降流で通過する間に各イオン交換樹脂層において硫酸イオン、硝酸イオン、塩素イオン等の鉱酸アニオンや残留遊離炭酸、シリカ等が水酸化物イオンとイオン交換して除去され処理水(純水)が得られる。
【0005】
また、上記カチオン交換塔1の各イオン交換樹脂1A、1Bの再生は例えば図5で示す操作によって行う。即ち、通常は通水終了時に逆洗を行うことなく、バルブ6B、6Dを開き、バルブ6A、6C、6Eを閉じた状態で、給液管5Fから塩酸水溶液等の酸再生剤を供給する。本操作により酸再生剤が第2給排液管1Gを介して強酸性カチオン交換樹脂層1B及び弱カチオン交換樹脂層1Aを上昇流で通液し、この間に各イオン交換樹脂層を再生し、再生廃液が排液管5Eから流出する。この際、強酸性カチオン交換樹脂層1Bは酸再生剤の供給圧によりピストン移動して仕切板に押し付けられた状態で再生され、上層の弱酸性カチオン交換樹脂層1Aはフリーボード1Dを利用して流動化し再生される。その後、各イオン交換樹脂層1B、1Aに残留する酸再生剤の押し出し及び洗浄操作を行う。尚、本再生中に弱酸性カチオン交換樹脂層1Aは流動化するので、通水中に蓄積した懸濁物質はある程度除去される。これと同様の操作をアニオン交換塔3についても水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ再生剤を用いて行う。
【0006】
ところで、被処理水は濾過装置4によって原水中の懸濁物質が除去されているが、その除去は完全ではなく、僅かではあるが懸濁物質が被処理水中に残り、カチオン交換塔1内に流入する。この懸濁物質は弱酸性カチオン交換樹脂層1Aにおいて蓄積するが、上述したように再生中にある程度除去される。しかし、再生中における弱酸性カチオン交換樹脂層1Aの流動化(逆洗)は十分なものではなく、処理水中の懸濁物質の量が多い場合には、特に弱酸性カチオン交換樹脂層1A中に懸濁物質が徐々に蓄積する。これに伴ってカチオン交換塔1の差圧が上昇し、差圧の上昇によりこのイオン交換樹脂が圧縮損傷する事態すら生じる。そのため、再生操作に先立って逆洗操作を行ってイオン交換塔1の差圧上昇を防止する場合もある。逆洗操作を行うには、バルブ6B、6Eを開き、その他のバルブを閉じた状態で、逆洗供給管7を介して例えば純水を逆洗水として第2給排液管1Gへ供給する。この給排液管1Gから供給された逆洗水は下層の強酸性カチオン交換樹脂層1Bを介して上層の弱酸性カチオン交換樹脂層1Aに至り、この弱酸性カチオン交換樹脂層1Aを流動化させて逆洗し、その廃液を排液管5Eから排出する。しかしながら、このような逆洗は、装置の稼働率を低下させ、廃液量を増大させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の純水製造装置において、被処理水の懸濁物質の濃度が高い場合には、イオン交換樹脂が貫流点に達するまでに上層である弱酸性カチオン交換樹脂層1Aの懸濁物質の捕捉能力を超えることがあるため、イオン交換樹脂が貫流点に達する前に逆洗操作が必要になることもある。しかしながら、逆洗操作を実施するとその都度装置を停止しなくてはならず、装置の稼動率が低下するという課題があった。また、弱酸性カチオン交換樹脂層1Aの懸濁物質の捕捉能力を超えると、上層で捕捉しきれなかった懸濁物質が下層の強酸性カチオン交換樹脂層1Bに流入し、下層の差圧上昇をも招く。このような事態になると下層をも逆洗する必要があるが、通常下層には逆洗用のフリーボードが設けられていないため、その一部を塔外へ取り出して残りをカチオン交換塔内で逆洗するか、あるいは全てを別に用意した逆洗塔へ取り出して逆洗しなくてはならず、逆洗操作が煩雑になるばかりでなく、その間、装置を停止しなくてはならず、益々装置の稼働率が低下するという課題があった。また、上層のみを逆洗する場合においても、下層の強酸性カチオン交換樹脂層1Bに原水のナトリウムイオン等の不純物イオンを吸着させないために逆洗水として純水を使用しなくてはならず、コスト高になるという課題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、被処理水の懸濁物質の濃度が高い場合であっても、装置の稼働率の低下を防止することができると共に上層の弱電解質イオン交換樹脂層から下層の強電解質イオン交換樹脂層への懸濁物質の流入を防止することができ、しかも逆洗関連設備費を削減することができるイオン交換方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載のイオン交換方法は、イオン交換塔の上方部に弱電解質イオン交換樹脂層、下方部に強電解質イオン交換樹脂層を形成し、イオン交換塔の上部から被処理水を下降流で通水して、被処理水を弱電解質イオン交換樹脂層、強電解質イオン交換樹脂層の順に通過させて処理水を得る通水工程と、イオン交換塔の下部から再生剤を上昇流で通液して、再生剤を強電解質イオン交換樹脂層、弱電解質イオン交換樹脂層の順に通過させて両イオン交換樹脂層を再生する再生工程とを有するイオン交換方法において、被処理水を弱電解質イオン交換樹脂層と強電解質イオン交換樹脂層の境界面近傍に供給し、弱電解質イオン交換樹脂層には被処理水を上昇流で通過させて弱電解質イオン交換樹脂層を逆洗すると共に、強電解質イオン交換樹脂層には被処理水を下降流で通過させて処理水を得る逆洗兼通水工程を有し、且つ、この逆洗兼通水工程を上記通水工程中に行うことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載のイオン交換方法は、請求項1に記載の発明において、上記弱電解質イオン交換樹脂層として弱酸性カチオン交換樹脂層を形成し、上記強電解質イオン交換樹脂層として強酸性カチオン交換樹脂層を形成することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図1及び図2に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。尚、各図中、図1は本発明のイオン交換塔の一実施形態による被処理水の処理操作を説明するための説明図、図2は図1に示すイオン交換塔による逆洗操作と処理操作との並行操作を説明するための説明図である。
【0014】
まず、本発明のイオン交換方法に用いられるイオン交換塔について図1、図2を参照しながら説明する。本実施形態ではイオン交換塔としてカチオン交換塔を例に挙げて説明するが、アニオン交換塔もカチオン交換塔に準じて構成することができる。本実施形態のカチオン交換塔10は、図1に示すように、塔本体11内が液体の流通は許すが、イオン交換樹脂の流通を阻止する仕切板12によって上部空間と下部空間に区画されている。仕切板12上には弱電解質イオン交換樹脂として弱酸性カチオン交換樹脂13が充填され、仕切板12の下方には強電解質イオン交換樹脂として強酸性カチオン交換樹脂14が充填されている。そこで、以下では弱酸性カチオン交換樹脂層及び強酸性カチオン交換樹脂層についても弱酸性カチオン交換樹脂及び強酸性カチオン交換樹脂と同一番号を附して説明する。
【0015】
また、上記弱酸性カチオン交換樹脂層13の上方には逆洗用のフリーボード15が保持され、このフリーボード15の上部にはディストリビュータ兼コレクタとなる第1給排液管16が配設されている。第1給排液管16には被処理水の供給管17及び再生廃液等の排液管18が分岐して接続され、それぞれのバルブ19A、19Bを個別に開き、通水管17から第1給排液管16へ被処理水を供給し、第1給排液管16で集めた廃液を排液管18から排出するようにしてある。一方、強酸性カチオン交換樹脂層14の下層部にはコレクタ兼ディストリビュータとなる第2給排液管20が配設され、この第2給排液管20には処理水の流出管21及び再生剤の給液管22が分岐して接続され、それぞれのバルブ19C、19Dを個別に開き、第2給排液管20で集めた処理水を流出管21から流出させ、給液管22から第2給排液管20へ再生剤を供給するようにしてある。
【0016】
従って、被処理水から処理水を得る通水工程では、図1に示すようにバルブ19B、19D、19Fを閉じ、バルブ19A、19Cを開いた状態では、供給管17の被処理水が第1給排液管16を介して塔本体11内へ供給され、弱酸性カチオン交換樹脂層13、強酸性カチオン交換樹脂層14の順に下降流で通過する間に各イオン交換樹脂層13、14により被処理水中のカチオンがイオン交換されて除去され処理水を得るようにしてある。
【0017】
また、強酸性カチオン交換樹脂14は再生時に膨潤するため、この樹脂層14の上方には強酸性カチオン交換樹脂14の膨潤によって増大する容積に見合った空間が設けられている。この空間を除けば強酸性カチオン交換樹脂14がほぼ満杯の状態で充填されていることになる。そして、本実施形態ではこの再生膨潤分の空間にディストリビュータ24が配設され、このディストリビュータ24は連結管25を介して供給管17に接続されている。この連結管25にはバルブ19Fが付設され、このバルブ19Fの開閉操作により被処理水の供給管17とディストリビュータ24が連通し、遮断するようになっている。
【0018】
従って、図2に示すようにバルブ19A、19Dを閉じ、バルブ19B、19C、19Fを開いた状態では、被処理水が連結管25、ディストリビュータ24を介して塔本体11内の弱酸性カチオン交換樹脂層13と強酸性カチオン交換樹脂層14の間に流入し、被処理水の一部は仕切板12を通過して弱酸性カチオン交換樹脂層13を流動化させながら上昇流で通過して弱酸性カチオン交換樹脂13を逆洗し、その他の被処理水は下降流で強酸性カチオン交換樹脂層14を通過して処理水を得るようにしてある。つまり、上層での逆洗と下層での通水を同時に行い、しかも、図1に示す通水工程の操作の中で行うようにしてある。
【0019】
次に、図1、図2を参照しながら上記カチオン交換塔10の操作を本発明のイオン交換方法の一実施態様と共に説明する。まず被処理水を処理する通水工程について説明する。通水工程では図1に示すように、バルブ19B、19D、19Fを閉じ、バルブ19A、19Cを開いた状態で供給管17を介して被処理水を供給する。この操作により被処理水が供給管17から塔本体11内の第1給排液管である第1ディストリビュータ16に到達し、第1ディストリビュータ16を介して被処理水を弱酸性カチオン交換樹脂層13上面全面に供給する。これにより被処理水が弱酸性カチオン交換樹脂層13を下降流で通過すると、この間に弱酸性カチオン交換樹脂13により被処理水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンを除去すると共に懸濁物質を捕捉して除去する。引き続き、被処理水は仕切板12を通過して下層の強酸性カチオン交換樹脂層14に到達し、ここを下降流で通過し、この間に強酸性カチオン交換樹脂14により被処理水中の残余のナトリウムイオン等のカチオンが除去されて処理水が得られ、この処理水が流出管21から流出し、後工程の脱炭酸工程へ供給される。
【0020】
被処理水中の懸濁物質の濃度が比較的高い場合には、通水工程を所定時間継続していると、各イオン交換樹脂13、14の貫流点に達する前に弱酸性カチオン交換樹脂層13に懸濁物質が徐々に蓄積され、圧損が高くなる。そこで、本実施形態では逆洗と通水を同時に行う逆洗兼通水工程を通水工程の期間中に複数回行うようにしてある。例えば、通水工程の全所要時間が20時間であると仮定すれば、この時間中に5〜6分の逆洗兼通水工程を所定時間毎に数回行う。
【0021】
そこで、逆洗兼通水工程における操作を図2を参照しながら説明する。この工程では図2に示すように、通水工程中にバルブ19Aを閉じ、バルブ19B、19Fを開いて被処理水の供給先を第1ディストリビュータ16から仕切板12の真下にあるディストリビュータ24に切り替える。この操作により被処理水が供給管17から連結管25を介してディストリビュータ24に到達する。この時、カチオン交換塔10内は既に満水状態になっているため、被処理水は継続して強酸性カチオン交換樹脂層14を下降流で通水し、この間に上述した被処理水中の複数種のカチオンが強酸性カチオン交換樹脂14により除去される。また、残余の被処理水は逆洗用水として仕切板12を通過して上層の弱酸性カチオン交換樹脂層13を上昇流で通水する。この上昇流で弱酸性カチオン交換樹脂層13が流動化して逆洗され、逆洗廃水が第1給排液管16、排液管18から排出される。この処理において、逆洗用水として使用する被処理水の割合は3〜25%が好ましい。尚、この工程では強酸性カチオン交換樹脂層14で直接被処理水を処理するため負荷が大きくなるが、この処理時間は短時間であるため、その後の通水工程に殆ど影響することはない。
【0022】
上述のようにして5〜6分の逆洗兼通水工程を終了すると、再び、バルブ19B、19Fを閉じてバルブ19Aを開き、被処理水の供給先をディストリビュータ24から塔本体11上部の第1給排液管16に切り替え、通常の通水工程に戻す。その後、各イオン交換樹脂13、14が貫流点近傍に達した時点で各イオン交換樹脂13、14の再生操作を行うが、本実施形態では通水工程中に上層の逆洗を十分に行ってあるため、再生工程では逆洗操作を行う必要がない。
【0023】
本発明では上述した通り、通水中に、上層の弱酸性カチオン交換樹脂層13を逆洗するため、イオン交換樹脂の各イオン形の配列に乱れが生じる。即ち、通水直後では弱酸性カチオン交換樹脂層13の下層部はH形であり、上層はカルシウム形やマグネシウム形となっているが、逆洗を実施すると、このイオン形の配列が乱れ、H形の樹脂とその他のイオン形の樹脂とが混合されることになる。しかし、弱酸性カチオン交換樹脂は、被処理水中に存在する炭酸水素イオンに対応するカルシウムイオン及びマグネシウムイオンを除去するものであり、このイオン交換反応はやや中和反応に近いので、H形のイオン交換樹脂と他のイオン形のイオン交換樹脂が混合されたとしても、弱酸性カチオン交換樹脂層13の貫流容量にそれほど影響を与えない。
【0024】
再生工程では、バルブ19A、19C、19Fを閉じた状態でバルブ19B、19Dを開き、塩酸水溶液等の酸再生剤を給液管22から供給すると、酸再生剤が第2給排液管20を介して強酸性カチオン交換樹脂層14の最下層部から上昇流で強酸性カチオン交換樹脂層14を通過し、この間に強酸性カチオン交換樹脂14が再生される。強酸性カチオン交換樹脂層14の再生廃液は仕切板12を通過して上層の弱酸性カチオン交換樹脂層13を上昇流で通過し、再生廃液中の残余の酸で弱酸性カチオン交換樹脂13が再生される。弱酸性カチオン交換樹脂層13を出た再生廃液は第1給排液管16を経由して排液管18から排出される。この再生操作が終了したら再び通水工程で被処理水を処理する。
【0025】
尚、弱酸性カチオン交換樹脂の上方にフリーボード15が存在するため、再生中は、弱酸性カチオン交換樹脂は流動化するが、このイオン交換樹脂は再生効率が良いため、流動状態でも再生することができる。
【0026】
以上説明したように本実施形態によれば、被処理水の懸濁物質の濃度が高い場合であっても、本来の通水を行っている間に被処理水を逆洗用水として利用して逆洗を同時に行うため、逆洗中であっても装置を停止することなく被処理水の通水を継続することができ、装置の稼働率が低下する虞はない。更に、通水工程中に弱酸性カチオン交換樹脂層13にのみ被処理水を上昇流で通水して逆洗するため、この弱酸性カチオン交換樹脂層13の捕捉能力を超えて懸濁物質が蓄積する虞がなく、ひいては下層の強酸性カチオン交換樹脂層14に懸濁物質が流入する虞がない。従って、下層の強酸性カチオン交換樹脂層14の逆洗操作を行う必要がなく、逆洗塔及びこれに付帯する設備を省略することができ、設備費を削減することができる。また、イオン交換塔10内には強酸性カチオン交換樹脂層13をその再生膨潤分の空間を残しほぼ満杯に充填してあるため、再生操作によってイオン配列を乱す虞がなく、再生操作後の処理水の純度低下を防止することができる。
【0027】
尚、上記実施形態では供給管17及び連結管25それぞれに付設したバルブ19A、19Fを用いて被処理水の供給先を切り換えるようにしたが、供給管17と連結管25の接続部(三叉路)に三方バルブを設け、三方バルブによって同様の切り換えを行っても良い。また、上層である弱酸性カチオン交換樹脂層13の差圧を検出する差圧計を設け、この差圧計の計測値に基づいて逆洗兼通水工程を行うタイミングを計るようにしても良い。また、差圧計が所定値に達したら自動的にバルブを切り換えて通水工程の間に逆洗兼通水工程を自動的に行うようにしても良い。また、上記実施形態では逆洗兼通水工程では被処理水を上層と下層の間に供給する場合について説明したが、給水位置は上下層の境界面近傍であれば良い。更に、上記実施形態ではカチオン交換塔10について説明したが、本発明はアニオン交換塔についても同様に適用できることは云うまでもない。また、図1において、万が一の逆洗のために、処理水の流出管21に、従来と同様に逆洗供給管を連通しても差し支えない。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、被処理水の懸濁物質の濃度が高い場合であっても、装置の稼働率の低下を防止することができると共に上層の弱電解質イオン交換樹脂層から下層の強電解質イオン交換樹脂層への懸濁物質の流入を防止することができ、しかも逆洗関連設備費を削減することができるイオン交換方法を提供することができる。また、本発明によれば、逆洗水としての純水の使用量を低減することができるイオン交換方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイオン交換塔の一実施形態を示す図で、被処理水の処理操作を説明するための説明図である。
【図2】図1に示すイオン交換塔による逆洗操作と処理操作との並行操作を説明するための説明図である。
【図3】2床3塔式イオン交換装置の一例を示す構成図である。
【図4】図3に示すイオン交換装置に用いられた従来のカチオン交換塔の一例を示す図で、被処理水の処理操作を説明するための説明図である。
【図5】図3に示すイオン交換装置に用いられた従来のカチオン交換塔の一例を示す図で、イオン交換塔の逆洗操作を説明するための説明図である。
【符号の説明】
10 イオン交換塔
12 仕切板
13 弱酸性カチオン交換樹脂(弱電解質イオン交換樹脂)
14 強酸性カチオン交換樹脂(強電解質イオン交換樹脂)
15 フリーボード
17 供給管
18 排液管(逆洗水の排出管)
19A バルブ(切替弁)
19F バルブ(切替弁)
21 流出管
24 ディストリビュータ
25 連結管
Claims (2)
- イオン交換塔の上方部に弱電解質イオン交換樹脂層、下方部に強電解質イオン交換樹脂層を形成し、イオン交換塔の上部から被処理水を下降流で通水して、被処理水を弱電解質イオン交換樹脂層、強電解質イオン交換樹脂層の順に通過させて処理水を得る通水工程と、イオン交換塔の下部から再生剤を上昇流で通液して、再生剤を強電解質イオン交換樹脂層、弱電解質イオン交換樹脂層の順に通過させて両イオン交換樹脂層を再生する再生工程とを有するイオン交換方法において、被処理水を弱電解質イオン交換樹脂層と強電解質イオン交換樹脂層の境界面近傍に供給し、弱電解質イオン交換樹脂層には被処理水を上昇流で通過させて弱電解質イオン交換樹脂層を逆洗すると共に、強電解質イオン交換樹脂層には被処理水を下降流で通過させて処理水を得る逆洗兼通水工程を有し、且つ、この逆洗兼通水工程を上記通水工程中に行うことを特徴とするイオン交換方法。
- 上記弱電解質イオン交換樹脂層として弱酸性カチオン交換樹脂層を形成し、上記強電解質イオン交換樹脂層として強酸性カチオン交換樹脂層を形成することを特徴とする請求項1に記載のイオン交換方法。
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