JP3677101B2 - 動画像符号化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像を少ない情報量に圧縮符号化する符号化装置および圧縮符号化された情報を復元し画像を再生する復号化装置に係り、特にイントラ符号化モードとインター符号化モードを有し、イントラ符号化領域を強制的に設定してリフレッシュを行う動画像符号化装置および動画像復号化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
動画像信号を効率的に圧縮符号化する技術の代表的なものとして、入力される動画像信号の動き補償予測により得られた予測画像信号との差分である予測残差信号を符号化(フレーム間符号化)して伝送する動き補償適応予測符号化方式がある。
【0003】
動き補償予測符号化方式を通信や放送用の動画符号化に適用する場合、リアルタイムの通信を可能とするために低遅延であることが望まれる。また、伝送路でのバースト符号誤りのために、符号化器や復号化器のフレームメモリ(蓄積媒体)の内容が異なる状態が生じる。この問題に対応するために、リアルタイムの通信、放送を可能とすべくフレーム毎の発生符号量が変動しないように、画面内に周期的にフレーム内(イントラ)符号化を行う画素領域を挿入して画面をリフレッシュする方法が一般的にとられる。
【0004】
リフレッシュについて、例えば、MPEG2の標準化で検討されていた方式(ISO−IEC CD13818−2)では、マクロブロックと呼ばれる16画素×16画素の単位でフレーム内符号化モード(イントラモード)とフレーム間符号化モード(インターモード)が切り替えられるようになっていて、縦30マクロブロック、横44マクロブロックで構成されている1フレームの横2マクロブロックラインをイントラモードで符号化し、1フレーム時間ごとに2ラインづつスライドさせる15フレームで1周期となるイントラスライスと呼ばれる方法が示されている。この方式の場合、図11のように、領域1でインターモードで符号化する場合には、動きベクトルの探索範囲を既にリフレッシュされていない領域2から行わないように制限されている。すなわち、例えば、図11に示したようにリフレッシュの方向が上から下に向かっているイントラスライスの場合、下から上向きの動きベクトルが制限に係る方向となる。このような制限により、最悪(2周期−1)回で完全にリフレッシュされることを保証している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
リフレッシュの問題点は、イントラモードでの発生符号量は、同一の量子化パラメータでのインターモードでの発生符号量の通常2倍以上あるため、同一のレートで符号化をするためには、リフレッシュの分だけ量子化パラメータを大きくしなくてはならず、画質が悪くなってしまう点である。
【0006】
また、動画像の復号化においては、伝送路または蓄積媒体において、ロングバーストが発生した場合には、数フレーム分以上の符号化データが正しく復号できないため、動画像復号化器では、最悪(2周期−1)フレームでリフレッシュされるまで、復号画像が大幅に劣化してしまうという問題点があった。
【0007】
さらに、フレーム全体の動き補償をおこなうグローバル動き補償モードがある場合に動きベクトルの制限をおこなうと、もし、グローバル動きベクトルが制限にかかる方向にある場合、グローバル動きベクトルを制限しなければならず、大幅に画質が悪くなってしまう問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、リフレッシュの効果を落とすことなく、画質の向上と、符号化データに誤りが混入したことによる画質の乱れを抑制できる動画像符号化装置および動画像復号化装置を提供することを目的とする。
【0009】
【発明を解決するための手段】
本発明の動画像符号化装置は、入力動画像信号をイントラ符号化するイントラ符号化モードとインター符号化するインター符号化モードを有する符号化手段と、
この符号化手段の符号化モードを前記入力動画像信号の所定の画像領域毎に適応的に選択する選択手段と、前記入力動画像信号と1フレーム前の動画像信号を基に入力動画像信号中の動領域と静止領域の判定を行う判定手段とを具備し、前記選択手段は、前記符号化手段に対しイントラ符号化モードで符号化するイントラ符号化領域を前記入力動画像信号のフレーム内に周期的に設定して、前記イントラ符号化領域をフレーム毎に移動させるリフレッシュ動作を行わせると共に、前記判定手段の判定結果に基づいて前記静止領域に対するリフレッシュの動作の周期を前記動領域に対するリフレッシュ動作の周期より長くすることにより、従来のリフレッシュと比較すると、静止領域でのイントラモードで符号化するマクロブロックの数が減るため、同一のレートでは、その分、量子化パラメータを小さくすることができ、画質が向上する。すなわち、リフレッシュの効果を落とすことなく、画質の向上が図れる。
【0010】
また、本発明の動画像復号化装置は、動画像信号が所定の画像領域毎にイントラ符号化モードまたはインター符号化モードで符号化された符号化データを一時保持する入力手段と、この入力手段に一時保持された符号化データを復号化する復号化手段と、前記インター符号化モードの符号化データを復号化するときに用いる参照画像信号を記憶する記憶手段と、前記復号化手段でイントラ符号化モードの符号化データを復号化して得られた動画像信号を基に、前記記憶手段に記憶された参照画像信号の書き換えを所定の画像領域毎に行う書換手段とを具備し、前記書換手段は、前記入力手段に一時保持された符号化データの符号量と前記符号化データの1フレームの符号量を基に、フレーム毎に前記符号化データの状態を判断し、異常フレームが検出されたとき、その異常フレームの動画像信号を基にした前記参照画像の書き換えを、以後の正常フレームのイントラ符号化モードの動画像信号が前記復号化手段で得られるまで中止することにより、伝送路または蓄積媒体から受信した符号データに誤りが生じ、ロングバーストが発生した場合でも、その影響を小さく抑えることができ 、従って、リフレッシュの効果を落とすことなく、符号化データに誤りが混入したことによる画質の乱れを抑制し、画質の向上が図れる。
【0011】
また、本発明の動画像符号化装置は、入力動画像信号をイントラ符号化するイントラ符号化モードと、1フレーム全体の動き補償を行いインター符号化する第1の動き補償符号化モードと、1フレームを分割した所定の画像領域単位に動き補償を行いインター符号化する第2の動き補償符号化モードとを有する符号化手段と、この符号化手段の符号化モードを前記入力動画像信号の所定の画像領域毎に適応的に選択する選択手段とを具備し、前記選択手段は、前記符号化手段に対しイントラ符号化モードで符号化するイントラ符号化領域を前記入力動画像信号のフレーム内に周期的に設定して前記イントラ符号化領域をフレーム毎に移動させるリフレッシュ動作を行わせると共に、前記入力動画像信号を前記符号化手段において、インター符号化する際に、前記リフレッシュ動作のために動きベクトルの制限を行う必要のある画像領域には、前記第1の動き補償符号化モードを選択しないことにより、リフレッシュの際の動きベクトルの制限による影響は、フレーム全体にはおよばず、フレーム内の所定の画像領域内に抑えることができ、従って、リフレッシュの効果を落とすことなく、符号化データに誤りが混入したことによる画質の乱れを抑制し、画質の向上が図れる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
まず、第1の実施形態について説明する。
【0014】
図1は、第1の実施形態に係る動画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
【0015】
図1において、入力動画像信号は、ブロック化回路101でマクロブロックに分割される。マクロブロックに分割された入力動画像信号は、減算器102に入力され、予測画像信号との差分がとられて、予測残差信号が生成される。この予測残差信号と、ブロック化回路101からの入力動画像信号のいずれか一方を、モード選択スイッチ103によって選択し、DCT(離散コサイン変換)回路104により離散コサイン変換される。DCT回路104で得られDCT係数データは、量子化回路105で量子化される。量子化回路105で量子化された信号は2分岐され、一方は可変長符号化回路106で可変長符号化される。一方、量子化回路105で量子化され2分岐された信号の他方は、逆量子化回路110及びIDCT(逆離散コサイン変換)回路111により量子化回路105およびDCT回路104の処理と逆の処理を順次受けた後、加算器112でスイッチ115を介して入力される予測画像信号と加算されることにより、局部復号信号が生成される。この局部復号信号は、フレームメモリ113に蓄えられ、動き補償回路114に入力される。
【0016】
動き補償回路114では、図11に示したように、既にリフレッシュしたイントラ領域1は、リフレッシュ前の領域2からの動き補償を禁止して、予測画像信号が生成される。
【0017】
符号化制御回路109では、符号化部118の符号化情報と出力バッファ108のバッファ量をもとに符号化を制御し、必要な情報を可変長符号化回路106におくる。可変長符号化回路106で符号化されたデータは、多重化回路107で多重化され、出力バッファ108で送信レートを平滑化され、符号化データとして送られる。
【0018】
モード選択回路116では、マクロブロック単位に動き補償回路114からの予測情報Pに基づいて、フレーム間符号化をおこなうマクロブロックとフレーム内符号化をおこなうマクロブロックを選択する。
【0019】
フレーム内符号化(イントラ符号化)をおこなう場合は、モード選択スイッチ情報MをAとし、スイッチ情報SをAとする。フレーム間符号化(インター符号化)をおこなう場合は、モード選択スイッチ情報MをBとし、スイッチ情報SをBとする。モード選択スイッチ103ではモード選択スイッチ情報Pに基づき、スイッチを変更し、また、スイッチ115ではスイッチ情報Sに基づき、スイッチを変更する。
【0020】
ここでは、モードとして、イントラモード(INTRA)、インターモード(INTER)、非符号化モード(NOT_CODED)があり、各マクロブロック毎に対応つけられ、INTRAのマクロブロックはフレーム内符号化される画像領域、INTERのマクロブロックはフレーム間符号化される画像領域で、NOT_CODEDのマクロブロックは符号化不要の画像領域である。そして、これらの情報は、モード選択情報MODEにより、モード選択回路116と、リフレッシュ判定回路117との間で受渡しされる。
【0021】
リフレッシュ判定回路117では、マクロブロック毎に動領域か静止領域かを判定し、その判定結果を基に、リフレッシュを行うかどうかを判定する。
【0022】
フレーム間の画像変化が少ない非符号化モード(NOT_CODED)のマクロブロックは、誤りが混入する確率がほとんどなく、他のマクロブロックの誤りの影響は混入しない。そこで、過去一定フレーム時間以上、NOT_CODEDになると判定できるマクロブロックは、静止領域と判定し、リフレッシュの周期を動領域より長く設定できる。
【0023】
静止領域の判定は、誤りにより連続して復号できないフレーム数に依存する。誤りにより連続して復号できないフレームがあると、その間に動領域があって、画面がかわる場合を考慮する必要があるため、
誤りが1フレームなら、1周期
誤りが2フレームなら 1周期+1
誤りが3フレームなら、1周期+2

誤りがLフレームなら、1周期+L−1

となり、一般に、誤りにより連続して復号できないフレーム数をLとすると、過去(1周期+L−1)フレームにわたって連続して静止と判定したマクロブロックならば、リフレッシュをおこなわなくても、誤りによって復号できないフレームの前のフレームの画像が正しいので、2周期によるリフレッシュの回復を保証することができる。
【0024】
本発明は、この原理に基づき、リフレッシュのイントラモードの数を減らしている。
【0025】
次に、本発明の原理について図2、図3を参照して説明する。
【0026】
図2および図3は、イントラスライスの場合の動作を時系列にフレームの真横からみて、リフレッシュの動作を示したものである。なお、図2、図3では、誤りにより復号できないフレーム数L=2の場合を示している。さらに、ここで、リフレッシュの周期は4フレームで、フレームの上から下に向かってリフレッシュされる。
【0027】
図2において、誤りで連続して復号できないフレームを2フレーム(L=2)とすると、4+2−1=5フレームにわたってNOT_CODEDであるならば、静止領域と判定して、その次のフレームの参照画像は、正しい参照画像が使えるのでリフレッシュの必要がないことがわかる。実際には、NOT_CODEDとはならなくても、リフレッシュのためのイントラ(INTRA)モードのマクロブロックの場合、入力画像信号で判定して、NOT_CODEDと判定できる場合は、静止領域に含めることができる。
【0028】
図3は、図2で説明したような処理を行うとして、最悪ケースの場合を示したものである。図3に示したように、誤りが伝搬する範囲は、誤りがあったマクロブロックでフレームメモリを書き換えなければ、最悪(2周期ー1回)で回復することが保証される。
【0029】
従来のリフレッシュと比較すると、静止領域でのイントラモードで符号化するマクロブロックの数が減るため、同一のレートでは、その分、量子化パラメータを小さくすることができ、画質が向上する。
【0030】
図4は、リフレッシュ判定回路117の処理動作を説明するためのもので、1フレームについての処理動作を示したフローチャートである。図4では、1フレームに1マクロブロックラインのイントラスライスでリフレッシュする場合の動作を示している。
【0031】
ここで、iとjは、フレーム内の垂直方向と水平方向のマクロブロックのアドレスをそれぞれ表し、V_NMBとH_NMBはフレーム内の垂直方向と水平方向のマクロブロック数をそれぞれ表している。また、Nは、0から数えた符号化したフレームの番号を表している。2次元配列D[i][j]は、各マクロブロック毎の動領域と静止領域に関する情報を蓄える配列である。
【0032】
図4に示した処理動作は、モード選択回路116から、フレーム番号Nとモード選択情報MODEが与えられ、もし、リフレッシュが必要ならば、モード選択回路116から与えられたMODEの値をINTRAに書き換えて返し、また、リフレッシュ判定回路117の内部で、動領域と静止領域に関する情報を蓄えている配列Dを更新するというものである。
【0033】
まず、ループ1(ステップS101〜ステップS114)とループ2(ステップS102〜ステップS113)の中で、フレーム内の各マクロブロック毎に、リフレッシュの判定を行う。(ステップS103)
すなわち、フレームの番号Nの値をV_NMBで除算を行った余りがマクロブロック垂直方向のアドレスiに等しく、かつ、D[i][j]の値がV_NMB+L−1以下ならば、リフレッシュを行うと判定し、MODEをINTRAに書き換える。(ステップS104)
符号化処理(ステップS105)の後、MODEの値別に、Dの更新を行う。
【0034】
もし、INTERならば、Dの値を0に初期化する。(ステップS110)
もし、INTRAならば、次のような動作をとる。
【0035】
ステップS107で、現在の入力動画像信号と1フレーム前の入力動画像信号との絶対値和SADを計算し、ある閾値TH以下の場合は、本来はNOT_CODEDとなると判定し、Dの値を1増やす。(ステップS108)
それ以外の場合は、Dの値を0に初期化する。(ステップS109)
もし、NOT_CODEDならば、次の動作をとる。
【0036】
ステップS111で、Dの値がV_NMB+L−1以下ならば、Dの値を1増やす。(ステップS112)
以上の処理により、リフレッシュの順番がきても、Dの値を基に、過去(1周期+L−1)以上NOT_CODEDと判定できるマクロブロックは、リフレッシュされない。
【0037】
なお、図4では、マクロブロックラインでリフレッシュを行うイントラスライスで説明したが、マクロブロックコラムでリフレッシュを行うイントラコラムにも適用することができる。
【0038】
図5はリフレッシュ判定回路117の他の処理動作を説明するためのもので、イントラコラムでリフレッシュした場合の1フレームごとのリフレッシュ判定回路の動作を示したフローチャートである。
【0039】
ここで、iとjは、フレーム内の垂直方向と水平方向ののマクロブロックのアドレスをそれぞれ表し、V_NMBとH_NMBはフレーム内の垂直方向と水平方向のマクロブロック数をそれぞれ表している。また、Nは、0から数えた符号化したフレームの番号を表している。2次元配列D[i][j]は、各マクロブロック毎の動領域と静止領域に関する情報を蓄える配列である。ここで、配列Dは、N=0の時、つまり最初のイントラマクロブロックで全て符号化されるフレームは誤りが入らないと仮定して、(H_NMB+L)で初期化されるとする。
【0040】
このフローチャートでは、モード選択回路116から、フレーム番号Nとモード選択情報MODEが与えられ、もし、リフレッシュが必要ならば、モード選択回路から与えられたMODEの値をINTRAに書き換えて返し、また、リフレッシュ判定回路の内部で、動領域と静止領域に関する情報を蓄えている配列Dを更新する動作を示している。
【0041】
はじめに長期リフレッシュのためのフラグLBをTRUEで初期化する。(ステップS201)
次に、ループ1(ステップS202〜ステップS217)とループ2(ステップS203〜ステップS216)の中で、フレーム内の各マクロブロック毎のリフレッシュの判定を行う。(ステップS204)
Nの値をH_NMBで除算を行って余りがマクロブロック水平方向のアドレスjに等しく、かつ、D[i][j]の値がH_NMB+L−1以下ならば、リフレッシュを行うと判定し、MODEをINTRAに書き換える(ステップS205)。
【0042】
符号化処理(ステップS206)の後、MODEの値別に、Dの更新を行う。
【0043】
もし、INTERならば、Dの値を0に初期化する。(ステップS211)
もし、INTRAならば、次のような動作をとる。
【0044】
ステップS208で、現在の入力動画像信号と1フレーム前の入力動画像信号との絶対値和SADを計算し、ある閾値TH以下の場合は、本来はNOT_CODEDとなると判定し、Dの値を1増やす。(ステップS209)
それ以外の場合は、Dの値を0に初期化する。(ステップS210)
もし、NOT_CODEDならば、次の動作をとる。
【0045】
ステップS212で、Dの値がH_NMB+L−1以下ならば、Dの値を1増やす。(ステップS213)
Dの値がH_NMB+L−1より大きく、ステップS214でフラグLBがTRUEならば、Dの値を0に初期化し、LBをFALSEにする。
【0046】
図5のフローチャートによる処理では、まず、最初のフレームでDがH_NMB+Lで初期化されているで、2番目のフレームからずっとNOT_CODEDのマクロブロックは、リフレッシュの順番がきてもリフレッシュされない。また、過去(1周期+L−1)以上NOT_CODEDと判定できるマクロブロックは、リフレッシュされない。ただし、過去(1周期+L−1)以上NOT_CODEDと判定できるマクロブロックのうち、1マクロブロックは、強制的にDを「0」にして次のリフレッシュでイントラで符号化されるように、長期のリフレッシュの保証をつけている。
【0047】
なお、上記第1の実施形態では、フレームを単位とする符号化で説明をおこなったが、フィールド単位での符号化でも実施できることは言うまでもない。
【0048】
以上、説明したように、上記第1の実施形態によれば、リフレッシュ判定回路117において、入力動画像信号と1フレーム前の入力動画像信号を基に、過去一定フレーム時間以上フレーム間の画像変化の少ない静止領域と判定したとき、リフレッシュの周期を長く設定することにより、従来のリフレッシュと比較すると、静止領域でのイントラモードで符号化するマクロブロックの数が減るため、同一のレートでは、その分、量子化パラメータを小さくすることができ、画質が向上する。
【0049】
次に、第2の実施形態について説明する。
【0050】
図6は、第2の実施形態に係る動画像復号化装置の構成を示すブロック図である。
【0051】
伝送路または蓄積媒体より受信した符号化データは、入力バッファ201に一度蓄えられ、多重化分離回路202により1フレーム毎にシンタクスに基づいて分離し、可変長復号化回路203に出力する。可変長復号化回路203では、各シンタクスの情報の可変長符号の復号をおこなう。
【0052】
可変長復号化回路203で復号化されたモード情報MODEは、モード判定回路206に入力される。モード判定回路206では、モード情報MODEがNOT_CODEDならば、スイッチ211をONに選択して、フレームメモリに参照画像として蓄えられている再生画像信号をスイッチ209をオンに選択して表示動画像信号として出力させる。
【0053】
モード情報MODEがINTRAならば、スイッチ211オフに選択して、可変長復号化回路203で復号化された量子化DCT係数情報は、逆量子化回路205で逆量子化され、IDCT回路207で逆離散コサイン変換処理をおこなうことにより、再生画像信号を生成させる。この再生画像信号は、フレームメモリ210に参照画像として蓄積され、スイッチ209を介して表示動画像信号として出力される。
【0054】
モード情報MODEがINTERならば、スイッチ211をオンにし、可変長復号化回路203で復号化された量子化DCT係数情報は、逆量子化回路205で逆量子化され、IDCT回路207で逆離散コサイン変換処理をおこない、可変長復号化回路203で復号化された動きベクトル情報MVが指し示しているフレームメモリ201の領域の参照画像信号と加算器208で足しあわせて、再生画像信号を生成させる。この再生画像信号は、フレームメモリ210に参照画像として蓄積され、スイッチ209を介して表示動画像信号として出力される。
【0055】
ロングバースト判定手段212では、入力バッファ201のバッファ量と多重化分離回路202での1フレームの符号量を監視し、入力バッファ201のバッファ量がアンダーフローし、かつ1フレームの符号量が一定量以上の場合は、ロングバーストと判定する。
【0056】
ロングバーストと判定したフレームは、スイッチ204を操作して、可変長符号化回路203より後の復号化動作を中止する。
【0057】
さらに、ロングバーストと判定されたフレームの以降のフレームについては、モード判定回路206で、INTRAと判定されたマクロブロックについては、スイッチ204をオンに操作して、復号化動作を再開し、以後のフレームで同一位置のマクロブロックは、通常の復号化動作に復帰する。
【0058】
復号化動作停止後、モード判定回路206でINTRAで復号されない場合、スイッチ204をオフとし、復号化動作は再開しない。
【0059】
また、動画像符号化装置でのリフレッシュの周期に応じて、外部から与えられる表示停止期間L_STOPを設定し、スイッチ209を操作して、出力動画像信号をロングバーストが混入したと判定したフレーム以降の一定期間の表示を停止する。
【0060】
通常、動画像符号化装置で正常に動作していれば、動画像復号化装置の入力バッファ201がオーバーフローしたり、アンダーフローしたりすることはない。入力バッファ201がアンダーフローするということは、通常よりも、1フレームの符号量が非常に大きくなる場合に生じる。
【0061】
したがって、動画像符号化装置が正常ならば、伝送路または蓄積媒体での誤りにより、フレームの同期符号が破壊され、正しく復号できたないフレームがあるため、フレームの同期符号の間隔が大きくなってしまっていると推定することができる。
【0062】
さらに、1フレームの符号量が一定以上、例えば、1sec以上になっているならば、少なくとも数フレーム以上が復号できないと推定できるので、ロングバーストが混入したと判定できる。
【0063】
ロングバーストが混入したフレームをそのまま復号化し、表示を行うと、誤りの入った画面が表示されることになる。したがって、前のフレームの復号画像が引き続き表示されるように、復号動作を停止させる。
【0064】
また、ロングバーストが混入したフレームの後のフレームについても、INTERモードのマクロブロックでは、参照画像が正しくないために、非常に汚い画像が復号される。しかし、INTRAモードのマクロブロックについては、正しい画像が復号できることが保証できるので、それ以降のINTERモードや非符号化モードのマクロブロックは、参照画像が正しくない領域から動き補償を行わない限り、正しい復号画像が得られる。
【0065】
したがって、ロングバーストが混入したフレームの後のフレームについては、図7のように、INTRAモードが復号されるまで、復号動作を停止し、INTRAモードで復号されたマクロブロックから復号を順次開始する。この方法により、たとえ、表示を止めなくても、INTRAモードのマクロブロックから部分的に復号化が開始されるように感じられるため、印象はよい。画像が回復していく間、表示を止める場合は、動画像復号化装置側でのリフレッシュの1周期分の時間、表示を止めれば、ほぼ回復した画像全体が表示できる。
【0066】
なお、上記第2の実施形態では、フレームを単位とする復号化で説明をおこなったが、フィールド単位での復号化でも実施できることは言うまでもない。
【0067】
次に、第3の実施形態について説明する。
【0068】
第3の実施形態に係る動画像符号化装置の構成は、図1と同様である。
【0069】
従来の技術で説明したように、イントラスライスやイントラコラムにおいては、リフレッシュしたマクロブロックは、次のフレームを符号化する時に、図11を参照して説明したように、動きベクトルの制限をおこなう必要がある。しかし、フレーム全体で動き補償をおこなうグローバル動き補償モードが選択されている場合、グローバル動きベクトルを制限してしまうと、制限が必要なマクロブロックのみならず、画面全体に影響があるために、画質的に問題がある。
【0070】
そこで、モード選択回路116では、動きベクトルの制限が必要なマクロブロックは、グローバル動き補償モードを選択しないように制御する。すなわち、リフレッシュのために動きベクトルの制限が必要なマクロブロックは、グローバル動き補償モードを選択しないようになっている。
【0071】
図8は、モード選択回路116の動作を説明するための図で、イントラスライスの場合の動作をフレームの真横からみて、リフレッシュの動作を時系列に示し手いる。
【0072】
今、グローバル動きベクトルが下向きにでていたとすると、動きベクトルの制限にかかってしまう。そこで、図8の水玉で示したマクロブロックについては、モード選択回路116において、強制的にグローバル動き補償モードを選択しないようにしている。すなわち、動き補償回路114において、グローバル動きベクトルを用いないよう制御する。この場合、例えば、図8の水玉で示したマクロブロックについては、非符号化モード(NOT_CODED)を選択する。
【0073】
従って、動きベクトルの制限による影響は、画面全体には及ばずに、水玉で示したマクロブロックのみにとどまる。
【0074】
次に、第4の実施形態について説明する。
【0075】
図9は、本発明の動画像符号化装置および動画像復号化装置を応用した無線通信システムの構成を示したものである。
【0076】
図9において、無線通信システムは、画像伝送系20と画像再生系21とを含み、ネットワーク40の設けられた基地局41を介して画像の送受信が行われる。
【0077】
画像伝送系20は、画像信号入力部21と誤り耐性処理部23を備える情報源符号化部22と、伝送路符号化部24と、無線部25とを備えており、情報源符号化部22において、離散コサイン変換(DCT)や量子化等が行われ、また、伝送路符号化部24においては、符号化データの誤り検出や訂正等が行われる。
【0078】
情報源符号化部22、情報源復号化部33の主要部には、それぞれ、本発明に係る動画像符号化装置、動画像復号化装置が適用されている。
【0079】
また、画像再生系30は、無線部31、伝送路復号化部32、誤り耐性処理部34を含む情報源復号化部33と、画像信号出力部35を備えている。
【0080】
図10は、第4の実施形態にかかる無線通信システムの一例を示したもので、図10に示すように、通信ネットワーク40の基地局41、42、43を介してラップトップタイプのパソコン51やデスクトップタイプのパソコン52等の端末50」により動画像の電送および受信が行われる。
【0081】
例えば、パソコン51に備え付けられている画像信号入力部としてのカメラ51aにより入力された画像信号は、パソコン51に組み込まれた情報源符号化部22によって符号化される。情報源符号化部22から出力される符号化データは、他の音声やデータの情報と多重化された後、パソコン51に組み込まれた無線部25、アンテナ51bを介して無線で送信される。この送信された電波信号はネットワーク40に設けられた基地局41〜43を介してパソコン52のアンテナ52a、パソコン52に組み込まれた無線部31を介して受信される。無線部31で受信された信号は、画像信号の符号化データおよび音声データに分解される。これらのうち、画像信号の符号化データは、パソコン52に組み込まれた情報源復号化部33によって復号され、パソコン52のディスプレイに表示される。
【0082】
一方、パソコン52に備え付けられた画像信号入力部21としてのカメラ52bにより入力された画像信号は、パソコン52に組み込まれた情報源符号化部22を用いて上記と同様に符号化される。符号化データは、他の音声やデータの情報と多重化され、パソコン52に組み込まれた無線部25、アンテナ52aにより無線で送信される。この送信された電波信号はネットワーク40に設けられた基地局41〜43を介してパソコン51のアンテナ51a、パソコン51に組み込まれた無線部31を介して受信される。無線部31によって受信された信号は、画像信号の符号化データおよび音声やデータの情報に分解される。これらのうち、画像信号の符号化データはパソコン51に組み込まれた情報源復号部33によって復号され、パソコン51のディスプレイに表示される。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、リフレッシュの効果を落とすことなく、画質の向上が図れ、符号化データに誤りが混入したことによる画質の乱れを抑制する動画像符号化装置および動画像復号化装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態および第3の実施形態に係る動画像符号化装置の構成を示すブロック図。
【図2】イントラスライスとリフレッシュ判定回路の動作を説明するための図。
【図3】イントラスライスとリフレッシュ判定回路の動作を説明するための図。
【図4】リフレッシュ判定回路の動作を説明するためのフローチャートで、イントラスライスによるリフレッシュを行う場合を示している。
【図5】リフレッシュ判定回路の他の動作処理を説明するためのフローチャートで、イントラコラムによるリフレッシュを行う場合について示している。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る動画像復号化装置の構成を示すブロック図。
【図7】ロングバースト判定回路の動作を説明するための図。
【図8】モード選択回路の動作を説明するための図。
【図9】本発明を適用した無線通信システムの構成を概略的に示した図。
【図10】本発明を適用した無線通信システムの一例を示した図。
【図11】従来のリフレッシュ方法を説明するための図。
【符号の説明】
20…画像伝送系、21…画像信号入力部、22…情報源符号化部、23…誤り耐性処理部、24…伝送路符号化部、25…無線部、30…画像再生系、31…無線部、32…伝送路複合化部、33…情報源復号化部、34…誤り耐性処理部、35…画像信号出力部、40…ネットワーク、41〜43…無線基地局、50…端末、51…パソコン、51a…カメラ、51b…アンテナ、52…パソコン、52a…アンテナ、52b…カメラ、101…ブロック化回路、102…減算器、103…モード選択スイッチ、104…DCT回路、105…量子化回路、106…可変長符号化回路、107…多重化回路、108…出力バッファ、109…符号化制御回路、110…逆量子化回路、111…IDCT回路、112…加算器、113…フレームメモリ、114…動き補償回路、115…スイッチ、116…モード選択回路、117…リフレッシュ判定回路、118…符号化部、201…入力バッファ、202…多重化分離回路、203…可変長復号化回路204…スイッチ、205…逆量子化回路、206…モード判定回路、207…IDCT回路、208…加算器、209…スイッチ、210…フレームメモリ、211…スイッチ、212…ロングバースト判定回路。

Claims (1)

  1. 入力動画像信号をイントラ符号化するイントラ符号化モードとインター符号化するインター符号化モードを有する符号化手段と、
    この符号化手段の符号化モードを前記入力動画像信号の所定の画像領域毎に適応的に選択するとともに、前記符号化手段に対し、前記入力動画像信号のフレーム内に、イントラ符号化モードで符号化するイントラ符号化領域を、M(Mは正の任意の整数)フレームの周期で設定して、前記イントラ符号化領域をフレーム毎に移動させるリフレッシュ動作を行わせる選択手段と、
    前記イントラ符号化領域が、過去M+L(Lは任意の正の整数)−1フレーム以上連続して静止領域の画像領域である場合に、当該イントラ符号化領域に対し、前記イントラ符号化モードで符号化を行わないよう制御する手段と、
    を具備したことを特徴とする動画像符号化装置。
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